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Wednesday, December 28, 2016

安倍首相による戦争被害者の政治利用は許さない!-日本の専門家たちの声 Japanese scholars call for Prime Minister Abe to apologize to Asian victims of Japanese Aggression

12月27日、参議院議員会館で記者会見した高嶋伸欣氏ら「村山首相談話を継承し発展させる会」の声明全文を以下紹介します。

朝日新聞ではこのように報道されました。

市民団体、首相に「アジア侵略の謝罪」求める声明
http://www.asahi.com/articles/ASJDW43DRJDWUTIL010.html

高嶋氏ら「村山首相談話の会」28日午後、安倍首相の真珠湾での「献花」に対抗する意味をこめて、千鳥ヶ淵戦没者墓苑にて献花を行いました。その際のスピーチで高嶋氏は次のように述べました。
アジアへの加害のことには全く触れずに、日米両国間の”和解”や”寛容”などをいくら強調しても、両国間のなれ合いの政治的パフォーマンスであることは明白で、説得力がない。もともと米国はスペインからキューバ、グァム、フィリピンなどを奪った植民地領有国だったのであって、そこへ日本が植民地横取りの戦争を仕掛けたのが、真珠湾攻撃以後の日米戦争だった。それはいわば古株のやくざ・暴力団の支配地域・ショバに、新顔のやくざ・暴力団が殴り込みを仕掛けたもので、日米戦に限ればはやくざ同士の争いだった。最終的には新顔やくざの日本が返り討ちにあい、大本まで逆に支配されてしまい、戦争が終わって70年たっても古株の親分のところに繰り返しご機嫌伺いに出向いては「よしよし」と言われて「和解だ、和解だ」とはしゃいでいるのが今の安倍政権の姿でしかない。
聴いていた通信社の記者からあとで「とても分かりやすい説明だった。こういう説明を聴ける生徒がうらやましい」と高嶋氏に伝えたそうです。
以下声明文です。
2016年12月27日 


真珠湾で献花をする安倍首相にアジア侵略の「謝罪」を求める声明

「村山首相談話を継承し発展させる会」

 安倍晋三首相は、明日27日(現地時間)にハワイの真珠湾アリゾナ記念館においてオバマ米国大統領とともに献花し、その後に「慰霊」のスピーチを行うことが、公式に発表されている。

なぜ日米開戦の日でもないこの時に慌ただしくこうした日程が組まれたのか、日米両政府から納得のいく説明はされていない。両首脳はTPP交渉につまずき、国内の諸政策でも厳しい批判の目が向けられている。そうした国政の失策から関心を逸らさせるために、戦争犠牲者の魂や遺族の心情が政治的に利用されるのを、我々は見過ごすわけにはいかない。

 とりわけ安倍首相の場合、今回の行動をもって「戦後政治の総決算」あるいは「歴史戦を自分の代で終わらせる」「未来志向」の取り組みの一環とするなどの意味づけを繰り返している。安倍首相の歴史認識が未熟かつ粗雑であることは、4月28日が1952年の講和条約によって沖縄県を切り捨てた日であるにもかかわらず、2013年の同日に政府主催で「主権回復記念式典」を突如開催し、沖縄県民に新たな屈辱感を植え付けた事例などによって、周知のこととなっている。

 さらにこれまではもっぱら歴史修正主義者が用いるだけであった造語「歴史戦」を、安倍首相が口にしている。これは、首相自らが歴史修正主義者であることを証明していることに他ならない。しかも造語「歴史戦」を常用している『産経新聞』は、1993年8月15日の社説<主張>において、先の戦争を4つの側面に分け、対中国の「侵略政策は、『十五年戦争(俗称)』をもたらした。
弁明の余地はない」と断定している。一方で対ソ連(現・ロシア)については「日本に非はない」とし、対東南アジア諸国については「結果として欧米列強の植民地支配からの解放と独立をもたらした」と、恩着せがましくしながら、「現実には資源の獲得が狙いだった」と認めている。

 4つ目の対米国については、実質的な最後通告となった『ハルノート』が「日本を開戦に追い詰めた」のだとし、米国にも責任があると指摘している。しかも同時に「日本の対東南アジア拡張政策が米国の権益を脅かしたことは事実だが」と言及し、日米は植民地支配などで勢力争いをしていた存在であったと、認めている。

 安倍首相シンパの歴史認識においてさえ、日米はともにアジアに対する侵略勢力であったと認め、日本は少なくとも中国と東南アジアに侵略行為をしたと、歴史教科書の多くでも確認されている。今更の米国との「和解」を演出して見せたところで、アジア侵略の事実や認識は消せない。

 それどころか、アジアの被害者家族などが心情を無視されたことで新たな怒りの炎を燃えたぎらせ、新たに世代を超えて被害の事実と怒りを語り継ぐきっかけを安倍首相が創ることになりかねない。そうした禍根を残さないようにするには、さしあたり、真珠湾の帰途にシンガポールに立ち寄って、虐殺犠牲者の追悼碑「血債の塔」に献花することなどが、可能なはずだ。

また、南京・ハルピン、朝鮮半島などのアジア各地や日本国内では強制連行・強制労働の追悼碑・記念館等が各地に多数存在している。それらへの献花や存命の被害者に謝罪することに今からでも、安倍首相は取り組むべきである。それがどれほど困難であろうと、自己の認識不足を自覚しなないままに「戦後政治の総括」あるいは「歴史戦」を「終わらせる」などと口走った者の責務である。われわれは、安倍首相がこれらの責務を果たすことを強く求める。

さらに、われわれ「村山談話を継承し発展させる会」は、今後も安倍首相を含む歴史修正主義者たちによる歴史歪曲の動きを監視し、声を挙げ続ける所存であることをここに表明する。

(以上)

Tuesday, December 27, 2016

真珠湾訪問にあたり安倍首相に歴史認識を問う公開書簡:報道記事集 Media reports on the Open Letter to Prime Minister Abe on the occasion of his Pearl Harbor Visit

安倍首相真珠湾訪問にむけて世界の識者が連名、オリバー・ストーン監督も賛同した首相の歴史認識を問う「公開書簡」、以下のように報道されています。随時更新していきます。Here are media reports on the 53 scholars and activists' Open Letter to Prime Minister Abe on the eve of his visit to Pearl Harbor. We will add new ones as they come in. 

★28日の『東京新聞』2面では全文を掲載。Tokyo Shimbun ran the full text in its December 28th edition (Page 2). 

朝日新聞 Asahi Shimbun
首相の真珠湾訪問、歴史認識問う質問状 ストーン監督ら
http://www.asahi.com/articles/ASJDT64ZPJDTUHBI01B.html

Asahi's English version:
Scholars, others write to Abe to get his take on Japan’s war role
http://www.asahi.com/ajw/articles/AJ201612270037.html

The Japan Times
Abe offers ‘everlasting condolences’ at Pearl Harbor as Obama praises partnership in peace
http://www.japantimes.co.jp/news/2016/12/28/national/politics-diplomacy/abe-offers-everlasting-condolences-pearl-harbor-obama-praises-partnership-peace/#.WGSievnhA2w

毎日新聞 Mainichi Shimbun
安倍首相に質問状「アジアも慰霊を」
http://mainichi.jp/articles/20161226/k00/00m/030/037000c

産経新聞(共同)Sankei Shimbun (Kyodo)
「アジアの犠牲者慰霊は?」安倍晋三首相へ日米学者らが質問状
http://www.sankei.com/politics/news/161225/plt1612250015-n1.html
(共同電は全国の地方紙、ブロック紙に取り上げられています)

ハフィントン・ポスト Huffington Post (Japanese version)
安倍首相へオリバー・ストーン監督ら公開質問状「日本が攻撃したのは真珠湾だけではない」【全文】
http://www.huffingtonpost.jp/2016/12/25/story_n_13854564.htm

日刊ゲンダイ Nikkan Gendai (Japanese)
真珠湾訪問に公開質問状 安倍首相が試される不戦の本気度 | 日刊ゲンダイDIGITAL
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/196586/1

しんぶん赤旗 Shimbun Akahata (Japanese)
日本の戦争を侵略戦争と認めるか/安倍首相に歴史認識問う/真珠湾訪問めぐり日米識者が質問状
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2016-12-27/2016122701_03_1.html

ニュースサイト・リテラ News Site "Litera" (Japanese)
安倍首相が“真珠湾訪問”で欺瞞のスピーチ! オリバー・ストーン監督らが徹底批判するも日本のマスコミは - 本と雑誌のニュースサイト/リテラ
http://lite-ra.com/2016/12/post-2807.html

CCTV News (English)
Open letter issued to Shinzo Abe by scholars and experts
http://english.cctv.com/2016/12/27/VIDEMUVcNz86Fi9LPYcYrk6N161227.shtml

中国・人民日報  People's Daily Japanese version
安倍首相の真珠湾訪問に各国の学者から疑問の声
http://j.people.com.cn/n3/2016/1226/c94474-9159311.html

人民日報(中国語)People's Daily Chinese
Here are the related links in People's Daily sites:

安倍访珍珠港质疑声四起 民间冷水泼不停
http://world.people.com.cn/n1/2016/1227/c1002-28979321.html
53名学者联合发表公开信 质疑安倍二战历史观
http://world.people.com.cn/n1/2016/1226/c1002-28976268.html
安倍开启珍珠港“慰灵”之旅 历史认识再遭质疑
http://japan.people.com.cn/n1/2016/1227/c35421-28978931.html

レコード・チャイナ Record China (Japanese)
安倍首相、真珠湾で謝罪なしに中国メディア「多くの国際学者が疑問」
http://sp.recordchina.co.jp/newsinfo.php?id=158916&ph=0

China Daily (English)
http://usa.chinadaily.com.cn/china/2016-12/28/content_27794337.htm

China News (中国新聞網)ニュース映像 (Chinese)
http://www.chinanews.com/gj/2016/12-26/8104452.shtml

韓国・ハンギョレ新聞 Hankyoreh (Korea) Japanese version
真珠湾訪問予定の安倍首相に韓米日の学者たちが公開質問状
http://japan.hani.co.kr/arti/international/26053.html

Richard Falk's blog
Open Letter to Prime Minister Abe on Eve of Visit to Pearl Harbor
https://richardfalk.wordpress.com/2016/12/25/open-letter-to-the-japanese-prime-minister-on-eve-of-visit-to-pearl-harbor/


Sunday, December 25, 2016

オリバー・ストーン監督、米日韓加中英豪沖台の専門家など53名 真珠湾訪問に際し安倍首相の歴史認識を問う Oliver Stone and internatonal scholars and activists send an Open Letter to Prime Minister Abe on the eve of his Pearl Harbor visit

12月25日付けで発表した「真珠湾訪問にあたっての安倍首相への公開質問状」、以下、英語版、日本語版、署名者53名のリストです。拡散、転載歓迎です。53 international scholars, artists, and activists sent an Open Letter to Prime Minister Shinzo Abe on the eve of his upcoming visit to Pearl Harbor. See below English and Japanese versions, followed by the list of signers. All are welcome to share and re-post this letter. 


USS Arizona Memorial, which Mr. Abe plans to visit. 



An Open Letter to Prime Minister Shinzo Abe 
On the Occasion of Your Visit to Pearl Harbor 

December 25, 2016 

Dear Mr. Abe, 
You recently announced plans to visit Pearl Harbor in Hawai’i at the end of December 2016 to “mourn the victims” of the Japanese Navy’s attack on the U.S. naval base on December 8, 1941 (Tokyo Time). 

In fact, Pearl Harbor was not the only place Japan attacked that day. The Japanese Army had attacked the northeastern shore of the Malay Peninsula one hour earlier and would go on to attack several other British and U.S. colonies and bases in the Asia-Pacific region later that day. Japan launched these attacks in order to secure the oil and other resources of Southeast Asia essential to extend its war of aggression against China. 

Since this will be your first official visit to the place where Japan’s war against the United States began, we would like to raise the following questions concerning your previous statements about the war. 

1) You were Deputy Executive Director of the “Diet Members’ League for the 50th Anniversary of the End of War,” which was established at the end of 1994 in order to counter parliamentary efforts to pass a resolution to critically reflect upon Japan’s aggressive war. Its Founding Statement asserts that Japan’s more than two million war-dead gave their lives for “Japan’s self-existence and self-defense, and peace of Asia.” The League’s Campaign Policy statement of April 13, 1995 rejected offering any apology or issuing the no-war pledge included in the parliamentary resolution to mark the 50th anniversary of the end of war. The League’s public statement of June 8, 1995 declared that the majority parties’ resolution draft was unacceptable because it admitted Japan’s “behaviors of aggression” and “colonial rule.” Mr. Abe, do you still hold such views about the war? 

2) In the Diet questioning period of April 23, 2013, you as Prime Minister stated that "the definition of what constitutes 'aggression' has yet to be established in academia or in the international community." Does that mean that you do not recognize Japan’s war against the Allied and Asia-Pacific nations and the preceding war against China as wars of aggression? 

3) You state that you are going to visit Pearl Harbor to “mourn” the 2,400 Americans who perished in the attack. If that is the case, will you also be visiting China, Korea, other Asia-Pacific nations, or the other Allied nations for the purpose of “mourning” war victims in those countries who number in the tens of millions? 

As Prime Minister, you have pressed for Constitutional revision including reinterpretation and revision of Article 9 to allow Japanese Self-Defense Forces to fight anywhere in the world. We ask that you reflect on the signal this sends to nations that suffered at Japan’s hands in the Asia-Pacific War. 

(The list of signers follows the Japanese version.)



真珠湾訪問にあたっての安倍首相への公開質問状

2016年12月25日

親愛なる安倍首相、
安倍首相は先日、1941年12月8日(日本時間)に日本海軍が米国の海軍基地を攻撃した際の「犠牲者を慰霊する」目的で、12月末にハワイの真珠湾を訪問する計画を発表しました。

実際のところ、その日に日本が攻撃した場所は真珠湾だけではありませんでした。その約1時間前には日本陸軍はマレー半島の北東沿岸を攻撃、同日にはアジア太平洋地域の他の幾つかの英米の植民地や基地を攻撃しています。日本は、中国に対する侵略戦争を続行するために不可欠な石油や他の資源を東南アジアに求めてこれらの攻撃を開始したのです。

米日の開戦の場所をあなたが公式に訪問するのが初めてであることからも、私たちは以下の質問をしたく思います。

1) あなたは、1994年末に、日本の侵略戦争を反省する国会決議に対抗する目的で結成された「終戦五十周年議員連盟」の事務局長代理を務めていました。その結成趣意書には、日本の200万余の戦没者が「日本の自存自衛とアジアの平和」のために命を捧げたとあります。この連盟の1995年4月13日の運動方針では、終戦50周年を記念する国会決議に謝罪や不戦の誓いを入れることを拒否しています。1995年6月8日の声明では、与党の決議案が「侵略的行為」や「植民地支配」を認めていることから賛成できないと表明しています。安倍首相、あなたは今でもこの戦争についてこのような認識をお持ちですか。

2) 2013年4月23日の国会答弁では、首相として「侵略の定義は学界的にも国際的にも定まっていない」と答弁しています。ということは、あなたは、連合国およびアジア太平洋諸国に対する戦争と、すでに続行していた対中戦争を侵略戦争とは認めないということでしょうか。

3) あなたは、真珠湾攻撃で亡くなった約2400人の米国人の「慰霊」のために訪問するということです。それなら、中国や、朝鮮半島、他のアジア太平洋諸国、他の連合国における数千万にも上る戦争被害者の「慰霊」にも行く予定はありますか。


首相としてあなたは、憲法9条を再解釈あるいは改定して自衛隊に海外のどこでも戦争ができるようにすることを推進してきました。これがアジア太平洋戦争において日本に被害を受けた国々にどのような合図として映るのか、考えてみてください。


1.      Ikuro Anzai, Professor Emeritus, Ritsumeikan University 安斎育郎、立命館大学名誉教授

2.      Herbert P. Bix, emeritus professor of history and sociology, Binghamton University, SUNY ハーバート・P・ビックス、ニューヨーク州立大学ビンガムトン校歴史学・社会学名誉教授

3.      Peter van den Dungen, Formerly, Lecturer in Peace Studies, University of Bradford, UK, and general coordinator of the International Network of Museums for Peace ピーター・バン・デン・デュンゲン、元ブラッドフォード大学(英国)平和学教員、世界平和博物館ネットワーク総括コーディネーター

4.      Alexis Dudden, Professor of History, University of Connecticut アレクシス・ダディン、コネチカット大学歴史学教授

5.      Richard Falk, Albert G. Professor of International Law and Practice, Emeritus, Princeton University リチャード・フォーク、プリンストン大学国際法名誉教授

6.      John Feffer, Director, Foreign Policy In Focus, ジョン・フェッファー、「フォーリン・ポリシー・イン・フォーカス」ディレクター

7.      Norma Field, Professor emerita, University of Chicago ノーマ・フィールド、シカゴ大学名誉教授

8.      Kay Fischer, Instructor, Ethnic Studies, Chabot Collegeケイ・フィッシャー、シャボット・カレッジ(カリフォルニア州)講師

9.      Atsushi Fujioka, Emeritus Professor, Ritsumeikan University 藤岡惇、立命館大学名誉教授

10.   Joseph Gerson (PhD), Vice-President, International Peace Bureau ジョセフ・ガーソン、国際平和ビューロー副会長

11.   Geoffrey C. Gunn, Emeritus, Nagasaki University ジェフリー・C・ガン、長崎大学名誉教授

12.   Kyung Hee Ha, Assistant Professor, Meiji University 河庚希、明治大学特任講師

13.   Laura Hein, Professor, Northwestern University ローラ・ハイン、ノースウェスタン大学教授(米国シカゴ)

14.   Hirofumi Hayashi, Professor, Kanto Gakuin University 林博史、関東学院大学教授

15.   Katsuya Hirano, Associate Professor of History, UCLA平野克弥、カリフォルニア大学ロスアンゼルス校准教授

16.   IKEDA Eriko, Chair of the Board, Women's  Active  Museum on War  and  Peacewam) 池田恵理子 アクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」(wam)館長

17.   Masaie Ishihara, Professor Emeritus Okinawa International University 石原昌家、沖縄国際大学名誉教授

18.   Paul Jobin, Associate Research Fellow, Academia Sinica, Institute of Sociology
ポール・ジョバン 台湾国立中央研究院社会学研究所 アソシエート・リサーチ・フェロー

19.   John Junkerman, Documentary Filmmaker ジャン・ユンカーマン、ドキュメンタリー映画監督

20.   Nan Kim, Associate Professor, University of Wisconsin-Milwaukee ナン・キム(金永蘭)、ウィスコンシン大学ミルウォーキー校准教授

21.   KIM Puja, Professor of Gender History, Tokyo University of Foreign Studies 富子、ジェンダー史、東京外国語大学教授

22.   Akira Kimura, Professor, Kagoshima University 木村朗、鹿児島大学教授

23.   Tomomi Kinukawa, Instructor, San Francisco State University絹川知美、サンフランシスコ州立大学講師

24.   Peter Kuznick, Professor of History, American University ピーター・カズニック、アメリカン大学歴史学教授

25.   Kwon, Heok-Tae, Professor, Sungkonghoe University, Korea 権赫泰(クォン・ヒョクテ)、韓国・聖公会大学教授

26.   Lee Kyeong-Ju, Professor, Inha University (Korea) 李京柱、仁荷大学教授

27.   Miho Kim Lee, Co-founder of Eclipse Rising ミホ・キム・リー、「エクリプス・ライジング」共同創立者

28.   Lim Jie-Hyun, Professor of transnational history, director of Critical Global Studies Institute, Sogang University 林志弦(イム・ジヒョン)、西江大学教授(韓国)

29.   Akira Maeda, Professor, Tokyo Zokei University 前田 朗、東京造形大学教授

30.   Janice Matsumura, Associate Professor of History, Simon Fraser University, Canada ジャニス・マツムラ、サイモンフレイザー大学(カナダ)歴史学准教授

31.   Tanya Maus, PhD, Director, Wilmington College Peace Resource Center, Wilmington, Ohio タニア・マウス、ウィルミントン大学(オハイオ州)平和資料センターディレクター

32.   David McNeill, Adjunct Professor, Sophia University デイビッド・マクニール、上智大学非常勤講師

33.   Gavan McCormack, Emeritus Professor, Australian National University ガバン・マコーマック、オーストラリア国立大学名誉教授

34.   Katherine Muzik, Ph.D., marine biologist, Kauai Island キャサリン・ミュージック、海洋生物学者(ハワイ・カウアイ島)

35.   Koichi Nakano, Professor, Sophia University 中野晃一、上智大学教授

36.   NAKANO Toshio, Professor Emeritus, Tokyo University of Foreign Studies中野敏男、社会理論・社会思想、東京外国語大学名誉教授

37.   Narusawa Muneo, Editor, Weekly Kinyobi, 成澤宗男、『週刊金曜日』編集部

38.   Satoko Oka Norimatsu, Editor, Asia-Pacific Journal: Japan Focus 乗松聡子、『アジア太平洋ジャーナル:ジャパンフォーカス』エディター

39.   John Price, Professor of History, University of Victoria, Canada ジョン・プライス、ビクトリア大学(カナダ)歴史学教授

40.   Steve Rabson, Professor Emeritus, Brown University (U.S.A.) Veteran, United States Armyスティーブ・ラブソン、ブラウン大学(米国)名誉教授 米国陸軍退役軍人

41.   Sonia Ryang, Director, Chao Center for Asian Studies, Rice University ソニア・リャン、ライス大学(テキサス州)チャオ・アジア研究センターディレクター

42.   Daiyo Sawada, Emeritus Professor, University of Alberta ダイヨウ・サワダ、アルバータ大学名誉教授

43.   Mark Selden, Senior Research Associate, East Asia Program, Cornell University マーク・セルダン、コーネル大学東アジア研究プログラム上級研究員

44.   Oliver Stone, Academy Award-Winning Filmmaker オリバー・ストーン、アカデミー賞受賞映画監督

45.   Tetsuya Takahashi, Professor, University of Tokyo 高橋哲哉、東京大学教授

46.   Nobuyoshi Takashima, Professor Emeritus, the University of Ryukyus 高嶋伸欣、琉球大学名誉教授

47.   Akiko Takenaka, Associate Professor of Japanese History, University of Kentucky竹中晶子、ケンタッキー大学准教授

48.   Wesley Ueunten, Associate Professor, Asian American Studies Department, San Francisco State University ウェスリー・ウエウンテン、サンフランシスコ州立大学アジア・アメリカ研究学部准教授

49.   Aiko Utsumi, Professor Emeritus, Keisen University内海愛子、恵泉女学園大学名誉教授

50.   Shue Tuck Wong, Professor Emeritus, Simon Fraser University シュエ・タク・ウォング、サイモンフレーザー大学(カナダ)名誉教授

51.   Yi Wu, Assistant Professor, Department of Sociology and Anthropology, Clemson University イー・ウー、クレムゾン大学社会学・人類学部助教授

52.   Tomomi Yamaguchi, Associate Professor of Anthropology, Montana State University 山口智美、モンタナ州立大学人類学准教授

53.   Lisa Yoneyama, Professor, University of Toronto リサ・ヨネヤマ、トロント大学教授

**********************************************************
Signatures that arrived after we released the letter 
発表後に署名が届いた方たちをここに記します(到着順)

Jenny Chan 陳慧玲, Assistant Professor of Sociology and China Studies, Department of Applied Social Sciences, The Hong Kong Polytechnic University 


Matthew Penny, Associate Professor, Concordia University (Canada) 

マシュー・ペニー、コンコーディア大学(カナダ)准教授

Aisa Kiyosue, Associate Professor, Muroran Institute of Technology (Hokkaido, Japan) 

清末愛砂、室蘭工業大学大学院工学研究科准教授

Tetsumi Takara, Professor, the University of Ryukyus 

高良鉄美、琉球大学教授

Dave Webb, Emeritus Professor of Peace and Conflict Studies, Leeds Met University, UK, Chair, CND

デイブ・ウェブ、リーズ・メトロポリタン大学平和・紛争学名誉教授

Taketo SHIMIZU, Professor of Peace Studies, J. F. Oberlin University 
清水竹人、桜美林大学教授

Tessa Morris-Suzuki, Professor, Australian National University 
テッサ・モリス―スズキ、オーストラリア国立大学教授






Saturday, December 24, 2016

翁長知事への要請行動「埋め立て承認取消を取り消さないでください」26日午前8時県庁ロビーに集合

翁長知事は、22日の名護におけるオスプレイ墜落事故抗議集会の際のぶら下り取材で、敗訴ではあっても執行力はない最高裁判決を受けても埋立承認取消を自ら取り消そうとしている真意を聞かれ、こう答えた。

「多くの国民の理解を得つつ、県民のオール沖縄は残念ながら自民県連は違うが、大きな輪を作って一緒にやっていく。本土でもネトウヨとかいろいろ言われるが沖縄に対するいろんなことがある。これを最高裁判決が出て、法廷で従うと言ったことをこれを取り消ししない場合にはそれが正しい正しくないの以前に今のような形で斜めから沖縄が見られている中で闘いができるか。法廷での約束と、これからの国民に沖縄が条理を尽くして、それでも反対していることを話して一つ一つ前に進めていきたい。」
翁長知事はネトウヨに気を遣って自らの埋立承認取消を取り消すのでしょうか。ネトウヨのように、事実や道理などどうでもいいような人々は、知事が何をしようがしまいが沖縄のことをあれこれ言い続けます。このような沖縄の将来を左右するような決断をする理由にはなりません。法廷で「従う」と言ってしまったからというのもおかしいです。この判決は取消を命令していないのだからこの判決に「従う」というのは「自分の取消が違法であるということを認めました」ということだけで、何もしないことで立派に判決に「従って」いるのです。それなのに取消を決行する。その理由が、「いろいろ言われるから」というのでは納得がいかない。26日にも取消を行う予定と報道されていますが、なぜ26日なのかの説明もない。『沖縄タイムス』の平安名純代記者は24日のコラム「想い風」で次のように書いています。


「岩礁破砕許可が生きている状態で埋め立て承認が復活すれば、工事は再開され、沖縄は新基地建設を止める術(すべ)を永遠に失ってしまうかもしれません。翁長知事は、26日に埋め立て承認を取り消すといわれていますが、なぜそんなに急ぐのでしょう?重要な決断だからこそ、まずその理由を県民に明確に説明し、判断を仰ぐ必要があるのではないでしょうか。」と平安名記者は言います。


元裁判官の仲宗根勇氏と、仲宗根氏が共同代表をつとめる「うるま市島ぐるみ会議」や「うるま市具志川9条の会」の人たちが以下のような要請書を携え県知事に必死の訴えをしています。


仲宗根氏はフェースブックでこう言っています。
2013年12月27日仲井真知事が県民を裏切った。2016年12月26日翁長知事も県民を裏切ろうとしている。心ある県民は下記要請書をご覧ください。26日午前8時県庁ロビーに結集して知事に対する要請行動に参加してください。辺野古の新基地建設工事が再開され沖縄の運命が決まる歴史的な日です。この日に行動しない者たち・団体を私たちは信用しません。いつでも「勝利の歌」を歌っている連中を!
本当に「あらゆる手段」で基地そ阻止するのなら、埋め立て承認取消の取消はせず、違法確認訴訟のときにしなかった「裁判官忌避」を、次の代執行訴訟の冒頭で行い、適時に「埋め立て承認撤回」を行うこと、と訴えています(参照:仲宗根&乗松「辺野古埋め立て「違法確認訴訟」最高裁で県が敗訴しても知事は判決を理由に埋立承認取消を取り消すことはできない」

ここで工事を再開させてしまわないよう、知事には「取消」を思い留まってほしいです。『琉球新報』に21日掲載された私の評論をもう一度紹介します。



26日(月)の要請行動は午前8時県庁ロビーで集合です。この訴訟の意味についてもっと知りたい人、平安名記者が提起する疑問のように、県民に対する説明が足りないのではないかと感じている人も、行かれたらいいのではないかと思います。私は海外にいて行けませんが、こうやってネット上で情報を拡散することによって参加している思いです。 乗松聡子



Thursday, December 22, 2016

辺野古違法確認訴訟:最高裁判決は翁長知事に埋立承認取消の取消を命じるものではない。Henoko Lawsuit Supreme Court Ruling Does Not Require Governor Onaga to Cancel His Landfill Permit Cancellation

12月21日『琉球新報』3面に掲載されたブログ運営者の評論を紹介します。ガバン・マコーマック氏による英訳を下に記します。Here is an article printed in the December 21 edition of Okinawan newspaper Ryukyu Shimpo. Below is an English translation by Gavan McCormack.  

埋立承認取消の取り消しは沖縄県民の新基地反対への民意を受けた行動とは言えません。取消を取り消さなくとも、最高裁の判決に従っていないということはありません。この判決は違法確認だけであり、埋立承認取消の取り消しを命じていないのですから。だから判決の後、取り消すとしたらそれは判決を受けてということではなく、翁長知事の政治的意思によるものということになります。

取り消さないことは立派に判決に従っているのです。翁長知事には埋め立て承認取消の取消を思い留まってほしいと思います。



詳しくはこちらの投稿も見てください。
辺野古埋め立て「違法確認訴訟」最高裁で県が敗訴しても知事は判決を理由に埋立承認取消を取り消すことはできません/させてはいけません―元裁判官仲宗根勇氏との問答

Defeat in the Supreme Court does not extinguish the [Henoko] Reclamation License Cancellation

Satoko Oka Norimatsu

Translated by Gavan McCormack

In the case of the state of Japan versus Okinawa prefecture, in which the Japanese state sought a ruling that the Governor had acted illegally in canceling the order for cancelation of the license for reclamation of Henoko, the Supreme Court has now ruled in favor of the State of Japan.

It is a cause for deep concern that this has come to be widely understood as meaning that the Governor must now cancel his cancelation of the reclamation license, whereupon, as a necessary consequence, the state can resume construction. Even if the state is successful in its suit for a declaration of breach of the law, it cannot resume work. The judgment is simply a recognition that Governor Onaga’s cancelation of the reclamation license is, literally, a breach of the law. It would convey no legal duty on the part of the Governor to approve reclamation.

For the state to resume reclamation work, it would have to launch a new, proxy execution suit. It could only resume work following a Supreme Court proxy execution order enabling the state to act in lieu of the prefecture.

It seems that many people take the view that Governor Onaga, “obeying” the ruling of the suit for declaration of breach of the law, must cancel his cancelation of reclamation license under the terms of Clause 9 of the March 4 Conciliation Agreement. But that is not the case. Clauses 5 and 6 of the Conciliation agreement ceased to have effect once the State-Local Government Disputes Resolution Committee determined on June 17 that it would not rule on the question of the legality of the state’s rectification order. And since the prefecture did not launch any suit for cancellation of the rectification order based on either clause 5 (in case of there being no breach of the law) or clause 6 (in case of a determination of breach of the law), clause 9, which is predicated on the existence of clauses 5 and 6, has no scope for effect, and so naturally it [clause 9] also becomes void. Because the suit in which the prefecture has been defeated was a suit for confirmation of an illegality, not a suit for cancellation of a rectification order, the clause 9 “obey the judgment” is irrelevant.

Furthermore, it has been reported that Governor Onaga, in discussions with the state on July 21, agreed to “obey the judgment” in the suit for confirmation of breach of the law. But, as noted above, a confirmed ruling of breach of the law is just that--a recognition of breach of the law. It does not oblige the Governor to cancel his cancellation order and it cannot extinguish the order cancelling the reclamation license in order to “obey.”

And accordingly if, following this judgment, the Governor were to cancel the cancellation order, it would simply mean that he was acting on his own political judgment. If he were to do that, it would be a gross betrayal of the people of the prefecture who elected him on the platform to oppose base construction.

This is a translation of Norimatsu’s article “Shikisha hyoron – Ken ni hoteki gimu shojizu,” in Ryukyu Shimpo, 21 December 2016.

Satoko Oka Norimatsu and Gavan McCormack are editors of Asia-Pacific Journal: Japan Focus.


Wednesday, December 21, 2016

12月22日、何も祝うことはない。Again, There is Nothing to Celebrate on December 22  

22 international scholars and activists issued a statement that, on December 22, when U.S. returns about a half of USMC Northern Training Area to Japan, there is "nothing to celebrate." Below is a comment by Sumiyo Heianna, the Okinawa Times Washington Correspondent's comment on her Facebook, shared here with her permission, translated by Norma Field. 

12月22日、沖縄の北部訓練場の部分返還に際し「何も祝うことはない」という宣言を出した海外識者ら22人の声明は、沖縄紙に以下のように報道されました。

沖縄タイムス(平安名純代記者)
ユンカーマン監督ら、日米の返還式典を非難「祝うことなどない」

琉球新報(問山栄恵記者)
「祝う必要ない」 北部訓練場返還式典 海外識者が声明


このうち沖縄タイムスの平安名記者がフェースブック上でこの声明を拡散した際のコメントを、許可を得て紹介します。

完成間近の高江ヘリパッド建設を阻止できなかったのはなぜなのか。22人の海外識者らは16日に発表した声明「12月22日 祝うことなどない」で、高江ヘリパッド建設を強行した日米政府、同建設に反対してこなかった翁長雄志知事、工事を強行するために日本全国から集められた機動隊の派遣を阻止できなかった県議会の責任を追求しています。私はこの声明を真摯に受け止めます。基地建設を強行する日米両政府に立ち向かうには、沖縄が一枚岩となって闘う必要があります。しかし「翁長知事に対する批判は分断を招く」と本来ならば健全な民主主義に宿るはずの批判精神をなくしてしまった結果、知事の間違った選択が許され、ヘリパッド建設強行を許してしまいました。私たちは、ここで流れを変える必要があります。沖縄のあちこちで聞かれてきた「知事を守れ」「知事を支援する」のスローガンは、本来ならば「県民を守れ」「高江を守れ」「沖縄を守れ」ではなかったのか。私たちが守りたいもの、守べきものは何なのかを明確にして計画の軌道修正を図り、真の意味で沖縄が一枚岩となる必要があります。
これを、ノーマ・フィールド氏(シカゴ大学名誉教授)が英訳したもの。

A comment by Sumiyo Heianna: 
Why wasn’t it possible to stop the nearly completed helipad construction at Takae. In their statement published on December 16 (“December 22 Nothing to Celebrate”), 22 concerned overseas intellectuals refer to the responsibility of the Japanese government for its forcible construction of the helipads; Governor Takeshi Onaga for his failure to oppose said construction; and the prefectural assembly for failure to prevent the dispatch of riot police from throughout Japan. I take this statement to heart. True, there is a need for Okinawans to act as one in order to stand up to the governments of Japan and the United States in their ruthless determination to proceed with base construction. At the same time, the argument that “criticism of Governor Onaga will only invite division” has resulted in the loss of the critical spirit that should reside in a healthy democracy. Thus have his misguided choices been condoned and forcible construction allowed to proceed. We must now change that tide. The slogans heard throughout Okinawa of “protect the governor,” “support the governor”—shouldn’t they have been “protect the people of Okinawa,” “protect Takae,” “protect Okinawa”? We must clarify precisely what it is we wish and need to protect, correct course, and stand together as a genuinely united Okinawa.
See the full text and related reports on the original statement signed by 22 international scholars and activists here.

高江ヘリパッド建設現場近くから、やんばるの「ブロッコリーの森」をみおろす
(11月7日 筆者撮影)

今日(日本時間12月22日)、返還式典がケネディ大使、菅官房長官などの出席のもとに行われる。翁長知事はこれには出席せず、同日に開かれるオスプレイ墜落抗議集会に出るようだ。オスプレイ墜落への抗議は当然のことであるが、この集会に自分が行くとしたら、高江ヘリパッドが造られてしまったこと、他県機動隊の強権発動を県や県議会として止めようとしなかったことに厳しい目を向け、山城博治氏ら抵抗運動で逮捕されて拘留されている5人の釈放を訴え、辺野古・高江・伊江島、そして宮古、八重山におけるミサイル部隊配備をはじめとする南西諸島全体での日米による対中戦争準備に断固反対し阻止する具体的な道筋をともに考えたいと思う。     乗松聡子


Monday, December 19, 2016

【重要】辺野古埋め立て「違法確認訴訟」最高裁で県が敗訴しても知事は判決を理由に埋立承認取消を取り消すことはできません/させてはいけません―元裁判官仲宗根勇氏との問答 Govenor Onaga cannot/must not cancel his Henoko reclamation permit cancellation using the Supreme Court decision against him

沖縄の元裁判官で連日高江や辺野古の現場で基地建設に抵抗してきている仲宗根勇(なかそね・いさむ)氏と、9月16日の辺野古埋め立て「違法確認訴訟」高裁判決直後に仲宗根氏が高江で行ったスピーチと、私とのQ&Aをまとめたこの原稿の問題意識を広く知ってもらおうと発表の場を探していたが、「敗訴」と決まっている最高裁判決が目前となり、一刻の猶予もない状況になってきたのでこのブログに発表する。

自分で自分を引用するが仲宗根さんに話をきいて最後にこうまとめた。
今までのお話をまとめていうと違法確認訴訟が確定してもその判決に執行力はなく、代執行訴訟で国が勝たなければ工事再開はできないということを県、県弁護団、識者、マスコミがしっかり認識し県民、国民に理解を広めることですね。さらに、仲宗根さんとして県知事に勧告するのは、本当に「あらゆる手段」で基地を阻止するのなら、違法確認訴訟のときにはしなかった裁判官忌避を代執行訴訟の冒頭で行うこと、そして同時に埋立承認撤回をすることですね。
以下、どうぞ。

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2016年9月16日の辺野古埋立「違法確認訴訟」高裁判決翌日17日、高江N1ゲート前での行動における仲宗根勇氏(元裁判官、うるま市具志川9条の会・うるま市島ぐるみ会議各共同代表)の挨拶のまとめ:

私が100%予想した通りの判決理由と主文です。少し専門的な話をしますが、判決というのは二つの部分で構成されています。一つは判決主文。判決主文は1「国の是正指示に従わないのは違法であることを確認する」と2「訴訟費用は被告が負担」というものです。これを判決主文という。主文だけ言って、判決理由は「別紙のとおり」と言うであろう、合計2-3分で判決言渡しは終わるだろうと私は仲間に言っていたがその通りになった。もう一つの部分が、判決理由。主文を導くための理由付けを記載します。「判決理由」には既判力はなく「主文」にだけに既判力がある。既判力というのはその後の両当事者の裁判において前にした裁判が効力を有することを「既判力を有する」というのです。民事訴訟法114条では「主文のみが既判力を有する」となっている。(注:民事訴訟法114条条文:1.確定判決は、主文に包含するものに限り、既判力を有する。2.相殺のために主張した請求の成立又は不成立の判断は、相殺をもって対抗した額について既判力を有する。)

昨日の判決理由は国の言い分をそのまま認めたものでありますが、われわれは何ら動揺することもない。あれには既判力はない。本来既判力のない判決理由にその既判力をもたせようと県が国と合意したのが3月4日「和解」の第9項です。判決主文、判決理由、またその後についてもこれに従う、という三つの、三重の拘束で、手を縛っておったわけです。この9項がはたらくには国地方係争処理委員会が沖縄県の審査申し立てに対して(国が県に埋立承認の取消の取り消しを求めた是正指示が)違法であるとか違法でないとかという判断を下した場合には5項又は6項にもとづいて、是正指示の取り消し訴訟を出すということになっていました。違法でないと判断した場合は5項、違法であると判断したのに国が委員会の勧告に応じた措置を取らないときは6項にもとづく訴訟となるが、この裁判が確定した場合は主文、判決理由、その後も、お互い協力し合うという三重の縛りをかけておりました。

ところが今回の違法確認訴訟というのは、沖縄県が5項又は6項に基づいて是正指示取り消し訴訟をする必要がなくなったので、国がやむなく違法確認訴訟を出したわけです。つまり、これは3月4日の和解条項5項又は6項に基づかないので、3月4日の和解とは無関係であり、この違法確認訴訟に9項ははたらかない。これが和解条項の裁判所や訴訟関係者における常識的な読み方なのです。国地方係争処理委員会が、国の是正指示を違法であるともないとも判断せず、協議をしなさいといった。だから県は是正指示取り消し訴訟は提訴しなかった。しかし昨日の、国に調教された裁判官は、安倍官邸の是正指示の効力は維持されているので沖縄県はこの是正指示取消訴訟を出すべきであったと、判決理由の中で言っている。それは和解9項をはたらかそうという悪知恵です。国の代理人は第1回弁論期日において、この訴訟は3月の和解条項に従って行われるものであると陳述し、また菅官房長官も記者会見で何度も「和解条項にしたがって」と言ったが、和解9項をかぶせよう(9項で県知事の以後の公有水面埋立法上の権限行使や承認撤回の主張を封じようとする)という意図だ。しかし和解9項は、5項又は6項にもとづく、沖縄県が出す是正取消訴訟についてのみ適用できるのである。沖縄が協議に期待して地方委員会の結論にしたがって協議をやるということで、是正指示取り消し訴訟の訴えを出さなかったことについて、この裁判官は、するべきだったと言って和解条項に全く反するようなことを判決理由中で言っているわけです。

 この裁判官が那覇に着任して1ヶ月ほど後に、成田の関係者から聞いたところでは、この裁判官は過去の裁判、成田空港に隣接した農地明け渡し訴訟について、証拠調べもせずに農民を追い出した。国と密通していたのか。農民側に寄り添うようなパフォーマンスを見せながら、はじめから結論ありきだったそうです。一番大事なことはこうです。前の代執行の訴訟、県が出した二つの訴訟、沖縄防衛局長の県に対する行政不服審査法に基づく審査請求及び執行停止申立は3月4日の和解条項第1項、第2項で全部取り下げられました。訴えが取り下げられたときは訴えが最初からなかったものとみなすという民事訴訟法の条文(民事訴訟法262条第1項「訴訟は、訴えの取下げがあった部分については、はじめから係属していなかったものとみなす」)がある。したがって代執行訴訟でやった証拠調べとか主張は全部無効になる。すべてその効力を失う。だから、そこでの主張や証拠調べを前提にして今度の違法確認裁判を審理することはできないはずである。そこでの主張や証拠調べの結果を使うわけにはいかない。今度の判決は取り下げられた代執行裁判の無効となった主張や資料に基づく予断に基づく前代未聞の政治的判決だ。この裁判官は知事本人尋問の他の証拠調べはしなかった、予想通り。県が8人の証人申請をしたが全部却下。そのあと本人尋問と弁論の全趣旨で裁判の結論を出した。本来、本人尋問というのは他の証拠を調べてなお不足のあるときに補足的にやるのが原則。この本人尋問の前に、つまり8月19日の法廷の前に、この裁判官の訴訟指揮は、民事訴訟法第24条に規定する裁判の公正を妨げるべき事情があるから裁判官の忌避をすべきである、ということを新聞の「論壇」に書いた
のですが何の効果もなかった(県は私の助言を採用しなかった)。(参考資料:仲宗根勇 「多見谷寿郎裁判官を忌避すべきである」)

昨日(9月16日)、判決後の県知事の記者会見では、裁判官が当初「自分は東京を向いたことはない、東京に背を向けてきた人間だ」と言ったので、権力に左右されないでちゃんと判断する真摯な方だという印象を最初に持ち期待していたと、知事は言いますが、それは和解勧告文とともにはじめから騙しの手法の言葉であったわけです。有識者の中にもいかにも和解勧告文が和解条項と同様な法的効力を持つかのような誤解をしている者がいます。3月4日の和解勧告文についてですが、裁判所は、おべんちゃらを言った。オールジャパンで解決すべきとか、沖縄県知事の権限も大きいとか、国が勝ち続ける保証はないとか言いながら、和解条項の根本案と暫定案の二つの和解案を出したわけです。中立を装ったあの和解勧告文、和解直後に私が新聞(沖縄タイムス3月22日)で論じた通り、あれは沖縄県を和解に引きずりこむためのペテンであったわけですよ。そのペテンに唯々諾々と県は従い、裁判官に対する忌避申立てもせず、結審から判決までズルズル迎えてしまった結果、われわれが今、法的な弱さ、袋小路に追い込まれています。上告と言ったって、憲法に違反するとか、重大な訴訟手続違反とか、上告理由は狭い理由に限られている。その理由に当たらないとして、最高裁は三行半(三くだり半)を突き付けて終わることが多いのですよ。「憲法違反に当たらない、上告棄却」といった主文と理由で終わってしまう可能性があります。日本の裁判所は上級審に行けば行くほど下級になる。だから皆さん、最高裁に幻想をもってはいけない。

判決前のこの場での挨拶で、私は、この裁判は負けるはずだが、裁判を聞いてみんながっかりし、「嘆くなよ、臣下ヌチャー(皆さま)」と組踊風に言いましたが、この違法確認訴訟は、最高裁で判決が確定したって、確認訴訟の判決には執行力はありませんので、この訴訟の確定判決だけで辺野古工事の再開はできないのです。できないのに副知事との作業部会の、協議会(8月31日)で埋立本体の工事と、陸上分の米軍隊舎は別だから工事をさせてほしいというのを県は了解してしまっているわけですよ!それで安倍官邸は昨日の判決とは何の関係もないのにこれをテコにして辺野古の陸上工事を始めようとしているわけです。あいつらには理屈も憲法もなにもない。いまや暴力による国民の支配。(中略)

この裁判の後に国はおそらく取り下げた代執行訴訟、つまり翁長知事が(埋立承認取り消しを)取り消さないので国が替わって取り消しましょうという訴えを出すはずです。その訴訟で最高裁まで行って負けた場合は、国が翁長知事の承認取消を取り消して、仲井真知事の埋立承認が復活する。そうなると工事再開ができる。しかし、沖縄県にはまだ承認後の事情の変更、公益を問題にして、承認の撤回という、「取消」とは異なる別の法的手段が残っている。これをいつ行使するか、それが県の頭脳を集めるべきことです。つまり3月4日の和解第2項及び第8項で、裁判が確定するまで工事は中止するということになっているので、裁判を長引かせれば長引かせるほど中止の期間は長くなる。撤回の裁判で問題になるのはすでにやった工事量、国はこの違法確認訴訟の訴状の中で、すでに工事の契約金額のうち577億円を支払っていると主張しており、昨日の判決の理由にあったように思いますが、撤回となると、撤回の理由となった公益の内容や程度と、国がすでに撤回までに費やした既成事実との利益衡量、バランス論で撤回の裁判の勝敗が決まるのであり、だからこそ撤回までは工事中止を長引かせ工事量を増やさないことが必要なのですよ。

以下、Q&A。

乗松:仲宗根さんの話を聞いて一番驚いたのは、違法確認訴訟の確定判決(最高裁判決)で執行力は生じないということです。国がその後さらに代執行訴訟を起こして、それの確定判決が出て、国が勝訴し、国が県に代わって仲井真前知事の埋立承認の翁長知事による取消を取り消すという代執行を行って始めて、仲井真知事の埋立承認が復活し、工事ができる状態になると。新聞報道などを見てもそれを言っている人がほとんどいない。国は代執行訴訟もしなければいけないし、県は埋立承認撤回もこれからできる。その辺のタイミングは。

仲宗根:最高裁で確認訴訟が確定しても確認判決に執行力はありませんから、工事の再開は全く不可能です。ファシスト政権でもこれはできない。ただ、この確認判決についても和解条項第9項の適用があると強弁してくれば、確認判決で示した地理的優位性だの辺野古唯一論など証拠無しに事実認定した判決理由にも拘束力が生じてしまいます。9項適用の主張をするための見事な準備的主張が「この確認訴訟は和解条項に基づくものだ」と菅がいい、判決でも言っている。私がこの確認訴訟は和解条項とは関係ないものだという反論しているのはそれを封ずるためのものです。代執行訴訟は必ず提起されます。官邸が3月までには代執行訴訟も確定させるべく協議(蜜約?)を裁判所側としていることを推測させる報道もあります提起されるであろう代執行訴訟の第1回期日の冒頭で県が断固として、忌避申し立てをせず、9月16日の判決言渡直後に感謝された県代理人と県民をコケにした多見谷裁判長の裁判を再び受けるのであれば、もはや県とその弁護団の能力のみでなく、翁長知事の「あらゆる手段で阻止」の政治的真意が問われます。埋立承認撤回はその忌避申し立てと同時にすれば、衝撃力があるはずです

乗松: 仲宗根さんが「この確認訴訟は和解条項に基づく訴えの提起ではないから、もちろん和解条項第9項と関係ない」と主張されるし県もそのように言っている。しかし国と裁判所は和解条項がこの違法確認訴訟に適用するための主張や判決理由を書いています。一方で翁長知事は「判決に従う」と言っています。しかし仲宗根さんによると、違法確認訴訟の確定判決に翁長知事が「従った」場合でも、和解条項第9項の適用がない以上、代執行訴訟を国が起こして勝たなければ工事は再開できないということですね。

仲宗根:たしかに判決の説示も国の主張もこの確認訴訟が和解条項に基づくものだと言っています。和解9項につなげるための策謀です。翁長知事が反論せず従う場合は判決の効力としてではなく、政治的取引=談合による工事再開となるでしょう。そうなれば、代執行裁判はもちろん不要です。知事が確認訴訟の結果に従わず、政府と政治的談合もしないし、国が第9項適用を主張・強行しない場合には、国は必ず代執行の裁判を出さざるをえません。その時には再説したように裁判官忌避などあらゆる訴訟戦術が使えるのは当然です。

乗松:仲宗根さんのおっしゃる「翁長知事が反論せず従う場合は判決の効力としてではなく、政治的取引=談合による工事再開となるでしょう」という部分についてお訊ねします。裁判所は和解の効力がこの裁判(違法確認訴訟)に及ぶという判決を出しており、最高裁判決でもそれを覆さなかったとしたら、それは仲宗根さんのいう「9項につなげるための策謀」であったとしても、確定判決の一部になるものなのですよね。ということは、翁長知事が「判決に従う」ということは和解の効力がこの訴訟に及ぶということを翁長知事も認めるということになるのではないですか。そうであるとしたら、それなのに違法確認訴訟後代執行裁判せずに工事再開するとしたら、それが判決の効力としてではなく政府と県の談合の結果としてしかあり得ないというのがやはりわからないのです。どうかご説明をお願いします。

仲宗根:「確認判決の効力としての工事再開はありえない」ということです。再開できるとしたら、判決とは関係なしの政府と県の協議=取引によるしかありえません。確定した国勝訴の代執行判決によって翁長知事の承認取り消し処分を国が変わって取り消し、仲井真知事の承認行為を復活させなければ工事再開は法的には出来ないわけです。現在は翁長知事の承認取り消しの行政行為が生き続けている法的状況にあります。給付判決や形成判決と異なり、確認判決には執行力がないという原理からくる単純な話です。(民事裁判に以下3つの類型がある。給付判決とは、「支払え」「明け渡せ」など被告に対する給付命令が主文となるもの。形成判決とは、「夫・Aと妻Bは離婚する」のような、法律関係を変動させる形成力を生じさせるもの。確認判決は、「・・・を確認する」とする判決主文。給付・形成判決に執行力があり、従わない場合は強制執行ができる。確認判決に執行力は生じないから、確認判決に基づいて強制執行はできない。したがって、敗訴した確認判決に従わなくても強制執行はできない。

乗松:「給付判決」「形成判決」「確認判決」の違いを教えていただきありがとうございます。それでは和解9項が有効とされてもされなくても、翁長氏が従っても従わなくても、確認訴訟の確定判決だけでは執行力はなく、よって強制執行はできないし、国は代執行訴訟を提起し、勝訴しないかぎり法的に工事開始はできないということですね。しかし翁長氏と国が判決によってではなく政治的に話をつければ工事が再開できると。となると、確認訴訟の最高裁判決を受けて(県が負けた場合)、翁長氏が「判決に従う」ということで国が(執行力はないにもかかわらず)工事を再開してしまった場合「判決で負けたから工事が再開してしまった」という理解が県民に広がってしまうのではないでしょうか。国と県の協議が密室のままにされている今、両者が「談合」しているのかしていないのか、市民にはわかりようがないのです。ここに大変なリスクをはらんでいませんか。

仲宗根:まさに懸念はそこにあります。つまり、談合=知事の裏切りの結果の工事再開を、判決で負けたから、法治国家だから判決に従わざるをえないなどと、県と県の弁護団が逃げを打つ可能性があるわけです。それを事前に助けている識者の論にも、確認訴訟が最高裁で敗訴で確定したら、知事は埋立承認の取り消しを取り消し、工事再開されるというような間違った(あるいは意図的な)言説をするものがおり、マスコミもそのようなあきらかな間違い予想を書いたものが大部分です。

乗松:仲宗根さん、識者やマスコミが県にこのような逃げ道を敷くようなことがないようにしなければいけませんね。県が違法確認訴訟に敗訴した場合、「県は是正の指示に従って、承認取り消しを取り消すことになる」と書いている新聞もありますがこれは間違いなのですね。9月24日の報道によると、菅官房長官がこの最高裁判決により「国と県の対立が解消される」「引き続き和解の趣旨にもとづいて」というように、この裁判が最後の裁判になるかのごとく、また和解が有効であるかのごとく言っていますが、それに反論したりする記事も、違法確認訴訟だけでは執行力はなく、代執行訴訟をしなければいけないという風に主張している記事もありません。この違法確認訴訟が決定的な訴訟であるといった間違った理解があるとしたら県紙の中でそれを正していく言論展開が早急に必要です。

今までのお話をまとめていうと違法確認訴訟が確定してもその判決に執行力はなく、代執行訴訟で国が勝たなければ工事再開はできないということを県、県弁護団、識者、マスコミがしっかり認識し県民、国民に理解を広めることですね。さらに、仲宗根さんとして県知事に勧告するのは、本当に「あらゆる手段」で基地を阻止するのなら、違法確認訴訟のときにはしなかった裁判官忌避を代執行訴訟の冒頭で行うこと、そして同時に埋立承認撤回をすることですね。


(終)