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米軍普天間基地問題に関する日本国際法律家協会声明
―11月8日沖縄県民大会に連帯してー
1. 米軍は、沖縄本島に広大な軍事基地を保持し、とりわけ海兵隊のヘリコプター基地である普天間飛行場を返還していない。普天間基地は、住宅と教育施設が集まる地域のど真ん中にあり、これまでも大学構内への墜落事故や爆音のために、住民の平穏な生活は脅かされ、平和に生きる権利は著しく侵害されている。
2. 1995年9月の少女に対する暴虐な事件がきっかけとなり、沖縄県民総決起大会は米軍基地の縮小整理と在日米軍地位協定の改定などを決議し、この意思は1996年9月の県民投票によっても確かめられている。また、米国政府自身も同年4月に、普天間基地の返還を約束した。ところが、米国政府は、その見返りに、名護市辺野古沖での海上ヘリ基地の建設や海兵隊8000人の移駐用費用の負担などを要求し、普天間基地返還の速やかな実施を拒んできた。
辺野古沿岸には、絶滅危惧種として指定され国際的な保護の対象となっているジュゴンが生息しており、環境保護の点からも重大な問題がある。2008年1月24日(現地時間)に、米国のサンフランシスコ連邦地方裁判所は、日米の自然保護団体が米国防総省を相手に提訴した「沖縄ジュゴン訴訟」について、米国防総省がジュゴンへの影響などを評価・検討していないことが米国文化財保護法(NHPA)に違反すると判決した。また、住民のねばり強い反対運動により、10年以上にわたり新基地建設は着工されていない。
3. 本年8月の総選挙によって政権が交代した。新しく政権についた民主党は、その選挙公約において、沖縄県民の心情に理解を示し、普天間基地の県外ないし国外移転を掲げた。しかし本年10月に来日した米国ゲーツ国防長官が自民党時代の日米両政府の合意を盾にして新基地建設を強く迫ったため、鳩山新政権の防衛大臣は辺野古沖への新基地建設容認を表明し、外務大臣は沖縄県内の嘉手納基地に統合することを検討すると表明するなど、沖縄県民・日本国民の平和に生きる権利は、またしても踏みにじられている。
4. 米国政府は、全世界的な平和を求める声に反して、力によらない平和を求める公的な良心の声に対して、前政権以来の兵力再編路線を継承し、軍事力の維持・強化を追求している。米軍基地の強化は、アジアにおける軍事的な緊張を増大させ、世界で唯一残された東北アジアの冷戦構造を固定化する。このような問題の根本には、米軍基地の提供義務を認める日米安全保障条約がある。冷戦時代の遺物であるこのような軍事同盟は、早急に解消されなければならない。
5. 沖縄での新たな軍事基地建設に反対することは、本年6月にハノイで開かれた国際民主法律家協会(IADL)の総会でも決議され、軍事力によらない紛争解決をめざす「グローバル9条キャンペーン」の推進が確認されている。
6. われわれは、11月8日の基地建設反対を求める県民大会に連帯し、米軍普天間基地の速やかな返還を求めるとともに、沖縄、日本、アジアにおける新たな米軍基地の建設に反対するよう、国際的な連帯を呼びかける。
2009年10月30日
日本国際法律家協会理事会
会長 新倉 修 / 事務局長 笹本潤
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