もうこの話題は飽きたけれど、メディアが嘘をついているのを黙ってはおれないので指摘する。
ワシントン共同が下のような報道をしている。
★★★
尖閣は安保対象と再確認 日米外相会談で米長官
2011年1月8日 07時24分
【ワシントン共同】米国務省のクローリー次官補(広報担当)は7日の記者会見で、クリントン国務長官が6日の前原誠司外相との会談で、日本と中国が共に領有権を主張する沖縄県・尖閣諸島が日米安全保障条約の適用対象だと再確認したことを明らかにした。
2011年の日本外交にとって、尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件で険悪化した日中関係の改善が課題の一つとなる中、オバマ政権が尖閣問題で日本寄りの姿勢をあらためて示した格好。
クリントン長官は昨年10月のハワイでの日米外相会談の際、尖閣諸島は日本防衛義務を定めた日米安保条約の適用対象になると断言。中国の楊潔チ外相との会談でもこの立場を通告している。
★★★
クローリー次官補の7日の会見の該当部分は以下だ。尖閣に安保が適用などという意味のことは全く言っていない。関連部分のみ赤字にして訳する。
国務省ウェブサイトより
http://www.state.gov/r/pa/prs/dpb/2011/01/154119.htm
QUESTION: Japanese Foreign Minister Maehara delivered a speech in Washington yesterday and in such occasion he reiterate Japan’s position on Senkaku Islands. (前原外相は昨日ワシントンでスピーチし、日本の尖閣に対する姿勢を再確認しました。)Do you see any diplomatic implications for him to make such a statement in Washington? And in his meeting with the Secretary yesterday, did the U.S. – did the Japan-China relationship came up?
MR. CROWLEY: In the – I mean, we are aware of the foreign minister’s speech. During the course of the bilateral yesterday, he gave the Secretary a copy of the speech. The issue of the Senkaku Islands did come up during the bilateral yesterday. (昨日の外相会談で尖閣の問題は話題に上がりました。)There was discussions of China in the context not only of regional – of relations among countries in the region, including Japan and China, but also in the context of multilateral organizations, North Korea. The foreign minister asked the Secretary for her assessment of the expectations of the upcoming visit by President Hu Jintao. Obviously, I think Japan recognizes, as we do, the importance of this upcoming visit.
QUESTION: Can I have a follow-up? So what’s the Secretary’s response to the Senkaku issue? What’s the Secretary’s response when they talk about the Senkaku Island issues? (クリントン長官の尖閣問題についての反応はどうでしたか?尖閣問題を話し合ったときにどんな返答をしたのですか。)
MR. CROWLEY: Well, I mean, she reiterated to the foreign minister our public commitment to the security alliance. (私たちの安全保障同盟に対して公式にコミットメントしている、と、長官は外相に再確認しました。)
上の報道とこの記者会見を比べてほしい。尖閣の話は出たという確認があり、クリントンの反応はどうだったかと記者がつっこんだのに対し、クローリーは直接の回答を避けて、「日米同盟が大事なのは変わらないですよ」という趣旨のことを言っただけである。
正直な記者だったら、「国務省は外相会談についての会見で、尖閣についての米国の立場は直接の言及を避けた。」と報道するのが筋であろう。
嘘はいけない。
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