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Sunday, July 15, 2012

SPEEDI予測と活用の時系列整理: 言い訳は許されない

SPEEDI 情報遅れについてまたおかしな報告が出た。

7月15日NHK報道より(下方参照)「政府の事故調査・検証委員会は、SPEEDIが避難に生かされ、住民が15日には屋内にとどまり16日になってから避難していれば、無用な被ばくを避けられたとする」

政府の事故調は放射性物質がある日に拡散し、翌日にはきれいになくなるとでも思っているのか。問題は避難の日よりも避難の方向だろうが!高汚染の北西方向に避難するのだったら日付を変えたって避難先で高い汚染にさらされることは同じじゃないか。

さらに「国会の事故調査委員会は今月上旬にまとめた報告で、「SPEEDIは、予測に用いる気象情報の精度に限界があり、避難の根拠にできるほど正確性を持つものではない」という見解を示しています。」

何をまた間抜けたことを言っているのか。後になって公開されてきたSPEEDI予測と実際の汚染範囲が合致していることは誰もが認めることだ。6月19日の投稿「絶対に許してはいけない:政府はSPEEDI予測を隠し、陰で活用し、結果をまた隠し、住民を放射線にさらした。」を見てほしい。

上記投稿で指摘したことを時系列的に整理すると:
3月14日:SPEEDIによる試算結果を、文部科学省が外務省を通じて米軍に提供した。(共同通信2012年1月16日報道

3月15日:文科省が原発の北西20キロの浪江町に職員を派遣し、時330μSVという高い数値を計測し、16日未明には公表したが、それはSPEEDI予測結果を基にした計測だったことが判明。(6月12日東京新聞:すでにリンク切れしておりここに貼り付けておいてよかった!)文科省はSPEEDI予測の正確さをこの時点で確認していた。
3月17-19日:「米エネルギー省が軍用機で原発の半径45キロ圏を測定。第1原発の北西方向約25キロにわたり、放射線量が1時間当たり125マイクロシーベルト以上の地域が広がっていることが確認された。」(6月18日共同通信

3月22日:米エネルギー省はウェブサイトで福島の放射性物質測定の結果を公表開始。(米国エネルギー省ウェブサイト「福島地域からの放射線モニタリングデータ」
http://energy.gov/articles/us-department-energy-releases-radiation-monitoring-data-fukushima

 3月23日:米国の発表を追いかけるように、文科省はSPEEDIの結果を小出しに発表し始める。
これを見れば明白だ。 文科省は3月11日夕に開始したSPEEDIによる計算結果を、14日には米軍に提供し、それをもとに米エネルギー省は17-19日「軍用機」を使ってモニタリングを行っている。米国民の50マイル(80キロ)圏避難が3月16日に決定されたことを見ると、米国は実測より前にSPEEDI試算にもとづいて避難をさせるという、きわめて賢明な政策を取っていたということになる。3月15日の文科省の部分的計測も参考にしただろう。

6月19日にこのように分析した。
米国情報を日本政府が市民に知らせなかった​のではなく、日本政府が最初から市民に知らせないつもりでSPE​EDI情報を米国にだけ渡して調べさせたのである。文科省はSP​EEDI情報を事故直後3月14日に米国に提供し、米エネルギー​省はその情報をもとに航空モニタリングを行った。また、文科省は自らの職員もSPEEDIの予測で高汚染が予測された浪江町に派遣した。その結果SPE​EDI予測が正確であったことが立証された文科省は怖くなっ​てSPEEDIの情報は極力隠し、米国モニタリング情報が3月2​2日以降エネ省のサイトで堂々と発表された後も無視してなかった​ことにした。その隠蔽に大手メディアは全て加担した。 米国はこの​情報を自国民の避難に使ったが、日本政府からの重圧か、気を遣ってか、エネ省のサイトに調査結果をさりげなく置いただけで日本​市民に積極的に伝えようとはしなかった。そして米国に追随するよ​うに、文科省は申し訳程度に3月23以降小出しにSPEEDIの​情報を出しはじめた。情報隠ぺいに必死になっていた政府の避難政​策は後手後手となり、結局、高汚染地域だと事故当初からわかって​いた飯館村の避難がほぼ完了したのが5月末、3ヵ月間住民を放置​し多量の放射線に晒すという大罪を犯した(6月20日追記:5月25日東京新聞報道「飯舘村指定に3週間も 助言チーム、至急避難提言 政府の対応遅れ」では小佐古内閣官房参与ら専門家の助言チームの強い提言があったにも関わらず政府は避難区域見直しを渋った経過が報道されている。)平野文相は今になって​「反省すべきところは反省」とか言ってしらばっくれているが、米​国にだけSPEEDI情報を提供し調査させ、その結果を国民から​隠したのは政府の確信犯罪である。
・・・頭にくるのは、ネットでは公表されていた米エネルギー省の情報に目をつぶって全く報道せず、政府に重圧を与えることもしなかったメディアに対してである。政府がこの情報を使わなかったなどとよく言えるものだ。メディアが今になって自分たちの責任逃れをしているとしか思えない。 
このSPEEDIとそれに伴うモニタリングの情報を住民避難に生かさなかった政府+東電、メディアの共犯、そしてトモダチ米国の加担は絶対にこのままにしてはいけない。 
何度も言うが、日本政府も米国政府もSPEEDI情報があったからこそ早期に原発北西方向の高汚染地域がわかり、 日本政府は部分的な計測を3月15日には行い、米国は軍用機を飛ばして17日から本格的計測を行っていたのである。

SPEEDIの予測が信用できないなんて誰に言う権利もない。政府は、SPEEDIの予測や、その予測に基づく実測結果を被災地市民にわかるようにしっかり公表し正しい方向への避難を誘導しなかった責任をSPEEDIのせいにして責任逃れしようとしており、国会事故調はその片棒をかついでいる。

以下、関連重要投稿。メディアはSPEEDI情報(この場合WSPEEDI)を一般より相当早く入手していたが報道していなかったのではないかと思われる一つの確定的な証拠。

「4月中旬、NHKに一瞬映った 「WSPEEDI」 3月15日被ばく予測マップ→5月18日NHKから返信、4月4日のニュースと確認」(2011年5月16日付投稿:後日追記あり)
http://peacephilosophy.blogspot.jp/2011/05/blog-post_16.html

@PeacePhilosophy


上記で触れた7月15日のNHKの報道はこれ。

“無用の被ばくは避けられた”
7月15日 18時44分

放射性物質の広がりを予測するシステム「SPEEDI(すぴーでぃー)」について、政府の事故調査・検証委員会は、近くまとめる最終報告で、東京電力福島第一原子力発電所の事故で避難に生かされていれば、住民の無用な被ばくを避けられたとする見解を盛り込むことが分かりました。一方、国会の事故調査委員会は、「精度に限界があり避難の根拠にできない」としていて見解が別れています。

福島第一原発の事故で、政府は、SPEEDIの予測の前提となる放射性物質の放出源の情報が地震の影響で得られず、事故発生の当日から仮のデータで予測していましたが、その結果を、当時、公表しませんでした。
この問題について、政府の事故調査・検証委員会は、文部科学省が予測していた結果や住民がどのように避難したかを検証し、今月23日にまとめる最終報告に盛り込むことにしています。
それによりますと、去年3月15日午後の予測結果では、放射性物質は西や北西など陸側の方向に拡散していくとなっていましたが、原発近くの南相馬市や浪江町では、当時、住民が放射性物質が広がる方向に避難していました。
一方、3月16日の明け方からは風が海向きに変化し、放射性物質は海側に拡散すると予測されていました。
このため政府の事故調査・検証委員会は、SPEEDIが避難に生かされ、住民が15日には屋内にとどまり16日になってから避難していれば、無用な被ばくを避けられたとする見解をまとめています。
一方、国会の事故調査委員会は今月上旬にまとめた報告で、「SPEEDIは、予測に用いる気象情報の精度に限界があり、避難の根拠にできるほど正確性を持つものではない」という見解を示しています。
SPEEDIを巡っては、避難にどう活用するかを、9月までに発足する国の「原子力規制委員会」が検討することになっていますが、2つの委員会で見解が分かれたことは、今後の議論に影響を与えそうです。

浪江町長“悔しい思いと残念な思いが交錯”

浪江町の馬場有町長は「SPEEDIの利用が不適切だったという指摘は、私たちが主張してきたことと同じで、非常に残念なことだ。町民は無用な被ばくをしなくても済んだわけなので、非常に悔しい思いと残念な思いが交錯している。結果をすぐに関係機関や避難自治体に伝えるシステムが必要で、政府に法的な整備を望む」と話しています。

“読み取る力、われわれにも求められている”

災害時の情報提供に詳しい、東京女子大学の広瀬弘忠名誉教授は「地震のような大きな災害の時には、そもそも確かな情報が得られることはない。原発事故の教訓として、不確かな情報の中から、何がどう使えるかを読み取る力が、防災担当者だけでなく、われわれ国民にも求められていると思う」と話しています。

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