「ニューヨーク・タイムズ」が12月16日、再び痛烈な安倍政権批判の社説を出しました。
Japan's Dangerous Anachronism
http://www.nytimes.com/2013/12/16/opinion/japans-dangerous-anachronism.html
急ぎ和訳ですが下に紹介します。(投稿後訳語を微修正する可能性有。)@PeacePhilosophy
(こちらもどうぞ。今年1月2日の社説の訳。)
ニューヨークタイムズ社説が安倍歴史否定を批判
社説
日本の危険な時代錯誤ぶり
2013年12月16日
安倍晋三首相の政府は今月、国会で秘密保護法をゴリ押しして通過させた。この法律は日本の民主主義の理解が根本的に変えられることを示唆している。この法律の文言は曖昧で非常に広範囲にわたるものであり、政府が不都合だと思うものを何でも秘密にすることを許すことになる。秘密を漏らした公務員は10年まで投獄されうる。報道関係者が、「不当」な方法で入手したり、秘密指定されていると知らない情報を得ようとしたりすることでさえ5年まで投獄されうる。この法律は国家安全保障を取扱い、スパイ行為やテロも含まれる。
この法案が通る直前に、与党自民党幹事長の石破茂が、自身のブログで11月29日、秘密保護法案に反対して合法的にデモを行う人たちをテロリストになぞらえた。言論の自由に対するこのような無情なまでの軽視は、安倍政権が本当は何をやろうとしているのかについての懐疑心を大いにかき立てた。日本の公衆はこの法律が報道の自由と個人の自由を侵害することを恐れていることは明確のようだ。共同通信が行った世論調査によると、回答者の82%が、法律は廃案か見直すべきだと答えている。
しかし安倍氏は、傲慢なことに公衆の不安をものともしない。法案通過後に「この法律で日常生活が脅かされることはない」と語った。自民党の古参議員の中谷元は、「政府が関与する事柄と一般市民が関与する事柄は区別されるものだ」と表明し、民主主義についての驚くべき無知を露呈した。
この法律は安倍氏の、日本を「美しい国」に作り替える聖戦における不可欠な要素である。それは、市民に対する政府の権力の拡大と個人の権利保護の縮小、すなわち愛国的な人々に支えられる強い国家を想定するものだ。彼が公言してきた目標は、約70年前、占領中に米陸軍に課された国家の憲法を書き換えることである。
昨年4月に発表された自民党の憲法草案は、基本的人権の保証についての既存の条項を取り除いている。草案は、国旗と国歌を尊重しなければいけないとする。また、国民は「自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚し、常に公益及び公の秩序に反してはならない」とする。さらに、総理大臣が緊急事態を宣言し、通常法を一時停止する権限を持つとされている。
安倍氏の目的は「戦後レジームの脱却」である。日本で批判する人々は、彼が1945年以前の国家を復活させようとしていると警告する。時代錯誤的で危険な思想だ。
(以上)
原文はこちら。
ヨーロッパや中国よりは短いと
ReplyDeleteはいえ、日本の長い二千年の歴
史の中で、何故安倍政権の方向
性は軍部官僚が支配した戦前の
一時期なのだろうか。
あの時期は、息詰まるような、
自由に物の言えない、隣保班や
町会が相互に監視し合うような
閉塞感に満ち、一億総玉砕をス
ローガンにして、みんなで死の
うなどという愚かしい戦争をや
らかしていた時代です。
恐らくはその軍部官僚の末裔が
安倍政権や自民党なのでしょう
。大本営発表のようにマスコミ
も安倍政権を絶賛していますか
ら、それに騙された国民の支持
が簡単に下がるはずがありませ
ん。
これは民主党に対するマスコミ
の態度と比較すれば簡単に理解
できることで、東電に乗り込ん
で撤退を阻止した菅総理、「直
ちに健康に害はない」の枝野氏
、「原発事故収束」の野田総理
、「死の街」の鉢呂氏、みんな
原子力ムラ=自民党大本営のマ
スコミにその地位を追われるま
で袋叩きにされ続けました。
ところが安倍総理は、「汚染水
完全ブロック」「原発はコント
ロールされている」など民主党
なら政権が吹き飛んでいた発言
をしても軽く扱われるだけ。
また、同じく安倍総理の、「つ
まり、健康問題については、今
までも、現在も、そして将来も
! 全く問題はない!!」という
、健康問題が起き得ることを示
唆した枝野氏よりも、もっとひ
どい最低最悪の発言は、ほとん
ど報道もされないので誰も知り
ません。
この発言が民主党の首相であれ
ば大本営マスコミは連日一面ト
ップ扱い、ひたすら叩いて叩い
て叩きまくり、支持率を落とし
て首相間引き摺り下ろすでしょ
う。
もうこの国の報道機関の言って
いることは、見る価値も聞く価
値もありません。完全に腐って
います。秘密保護法で、ますま
すそうなります。
安倍晋三にかぎらず、日本国憲法に基づく体制を嫌悪し、戦前の「天皇制官僚国家」への回帰を妄想する人がいます。そうした妄想の持ち主は現在の憲法を「アメリカからの押しつけ」と批判する一方で「日米同盟」を絶対視、アメリカの要求に基づいて創設した自衛隊をアメリカ軍の下請け部隊にしようとしているように見えます。
ReplyDeleteアメリカからの「押しつけ」に嫌悪感を示しながらアメリカに従属する矛盾。その原因は、彼らの頭には2種類のアメリカ、いわばアメリカAとアメリカBが存在し、それを人びとが混同するように使っているからではないかと最近は考えています。つまり、ウォール街とニュー・ディーラー。彼らが従っているのはウォール街であり、嫌悪している相手はニュー・ディーラーではないか、ということです。
ここで歴史に深入りするのは適切でないと思いますが、それでも関東大震災まではさかのぼらせてください。
この震災で神奈川や東京など関東地方で大きな被害がでたことわけですが、その復興資金を調達するために日本政府はJPモルガンに頼りました。カネ貸しは恐ろしいもので、借り主は頭が上がらなくなります。実際、震災以降、日本政府はJPモルガンの影響下に入ります。(NHK取材班『日本の選択〈6〉金融小国ニッポンの悲劇』角川文庫、1995年)
このJPモルガンと対立していたのがフランクリン・ルーズベルトを中心とするニュー・ディーラーで、ルーズベルトが大統領に就任した1933年にはファシズム体制の樹立を目指すクーデターを計画しています。この計画を阻止したのがスメドリー・バトラー少将でした。クーデター派にカウンター・クーデターの意思を伝え、議会で計画を明らかにする証言をしています。バトラー少将が1935年に出した『War Is a Racket』という本は有名です。
大統領選でルーズベルトが勝利した1932年に駐日大使となったジョセフ・グルーは、親戚のジェーン・ノートン・グルーがジョン・ピアポント・モルガン・ジュニアの妻。グルーの妻、アリス・ペリーは日本で過ごした少女時代、大正(嘉仁)天皇の妻、つまり貞明皇后と親しくなっています。戦後、昭和天皇がウォール街の代理人であるジョン・フォスター・ダレスとつながっていることを豊下楢彦教授は指摘していますが、その根はこの辺にあるのではないでしょうか。
関東大震災から真珠湾攻撃まで、特に1932年までの日本はアメリカ資本に従属していたということです。日本側で最もJPモルガンと近い位置にいたのが井上準之助、浜口雄幸首相の大蔵大臣だということも広く知られています。井上は緊縮財政(小さい政府)、産業合理化(労働者解雇)、そして金解禁(金本位制)などの政策を打ち出しますが、これはウォール街が望んでいることでした。
浜口と井上は暗殺されますが、だからといって、彼らを「善玉」として描くことは間違っていると私は思います。彼らはファシストと結びついているのであり、ウォール街に従属していました。軍の中枢に「皇族」がいたことも忘れてはならないと考えています。
現在、安倍晋三と同じ立場の人たちがアメリカに従属するのは必然なのではないでしょうか?
櫻井さん感謝です。
ReplyDeleteスメドリー・バトラーのWar is a Racket は和訳をここで紹介しています。
http://peacephilosophy.blogspot.ca/2013/02/smedley-butler-war-is-racket-japanese.html
このときもJPモルガンのことでコメントしていただいていましたね。
「戦前の日本がJPモルガンの影響下にあったことを忘れて日本の近代史は語れないと、最近、思っています。」櫻井さんに教えていただきわかるようになりました。1933年のクーデターの企てはJPモルガンなどウォール街によるものですね。
アメリカA とアメリカBの区別も大変納得できるものです。戦後の日本の占領政策もニューディールのアメリカが憲法を作ってウォール街のアメリカがその民主的な動きを凌駕して反共、資本主義、軍国主義のアメリカが日本の戦前勢力を復活させ戦後日本を支配するようになって今に至るということですね。米国の支配が戦後から始まったわけではなく関東大震災にさかのぼるという理解をすれば日米戦争も全く違うものに見えてくるのではないかと感じています。