1月17日、このバスに那覇から乗って抗議行動に参加した米国出身、沖縄在住の政治学者、C・ダグラス・ラミス氏は一日の活動の様子を英語で The Asia-Pacific Journal: Japan Focus に投稿した。
The Bus to Henoko: Riot Police and Okinawan Citizens Face-off over New Marine Base
「辺野古へのバス: 新海兵隊基地をめぐっての機動隊と沖縄市民の対決」
http://www.japanfocus.org/events/view/240
このラミス氏の記事の全訳をしたいところだが、日本語では、辺野古と大浦湾での抵抗の様子は沖縄の新聞-沖縄タイムスや琉球新報で毎日報じられている。琉球新報は2月までに限って電子版を誰でも無料で読めるようになっているのでチェックしてほしい。
今回はラミス氏の記事の終盤の部分、17日、辺野古から那覇に戻る「島ぐるみ会議」バスの中でマイクを回しながら交わされた会話の報告が貴重であるとおもい、そこを抜粋翻訳して紹介する。本文では、In the bus on the way back... 以降の部分である。
帰りのバスの中で、人々はマイクを回し合い、感想を語り合った。ほとんどの人は明るい調子で語った。家にいて新聞を読んでテレビを見て非常に腹が立ち、居ても立っても居られない気持ちになって辺野古に来てエネルギーが湧いたと。
私の番が来たとき、もう選挙が終わってしばらく経つこともあり、発言に気を遣うことはもうやめて、政治的な話をそろそろしてもいいかなと思って切り出してみた。
私はまず、辺野古に来てほっとした面もあるが、それはあくまである程度に過ぎないと言った。なぜなら、そこで私が知ったことは、というより確認できたことは、このような抵抗を24時間体制で3か月続けることは、これが沖縄であるということを考えると可能ではあるとは思いつつ、やはりあまりにも厳しいのではないかと思うと。
(ラミス発言続き)私たちはみな、翁長知事が、前任者の裏切り知事が政府に与えた埋め立て承認の取り消しか撤回をすることを待っている。知事はこの問題を検証するには3か月かかるかもしれないと言っている。しかしそれは長すぎるのではないか。(拍手がおこる)取消の場合は3か月かかるかもしれないことは理解できる。法廷に持ち込まれたときに対応できるようなしっかりした法的な根拠に基づかなければいけないだろう。しかし撤回なら今日でも明日でもできる。これは政治的な判断だからだ。専門家の意見を要するものではない。撤回の決定をしてもらいたいと思っている人々に選挙で選ばれたという事実に基づき知事は決定できるのである。だからありとあらゆる方法を使って、知事に一刻も早くそれをしてもらうように促そうではないか。(拍手がおこる)
そうしたら中年の男性がすぐマイクを取ってそのアイデアに賛同した。彼は、三日三晩現場に滞在し、テントで寝たと語った。というか、寝ようと試みたということだ。雨が降っており、テントは水漏れして、三晩目には一晩中咳が出たという。だから諦めて家に帰ってしばし休息した後また日帰りでその日参加したと。彼の話で明らかになった-このようなことを3か月も続けていたらたくさんの人が体を壊してしまうだろうと。そして次はある女性がマイクを握り、どうしたら知事を動かすことができるだろうかと尋ねた。私は、電話をかけたり新聞に投書をしたりすることはどうかと答えているいるときに、由井晶子さんといって、元新聞記者でよく知られた運動家がマイクを取った。
彼女はこう言った-私は「島ぐるみ会議」(このバスを手配した組織)の共同代表を務めている。この会議は設立されて間もなく、今行うべき行動を模索している。皆さんが賛成してくれるのなら、ここで話していること-ある日この会議が手配したバスに乗っていたときの乗客たちが、「島ぐるみ会議」の影響力を使って、知事に埋め立て承認撤回・取消を急ぐように促すようにお願いしている-ということを次の会議で伝えることができます、と。(ここでも拍手が起こった)
最初は、誰かが要請書を書いて他の人たちが皆署名してという案が出たが、100%が賛成したわけではなかった。1人の女性がマイクを取り、今私たちはこの人を知事として選んだばかりなのだから、もう少し好意をもって見守り、知事はご自分のしていることを心得ていると信じるのがいいのではないかと提案した。
その時点でバスは那覇に入り、時間切れとなった。要請書の案はなくなり、由井さんは、いずれにせよ話し合ったことを次回の会議で報告し、「島ぐるみ会議」が行動を起こすように促すと言った。この時点で解散となった。
由井さんの尽力が実を結ぶかどうかはわからないが、結果を生み出しても私は驚かない。由井さんは大変パワフルな性格の持ち主で尊敬を受けている人だ。
そして同時に言えることは、この40人強の人たちの中では、翁長氏が行っていることや行っていないことを批判的に語ることはタブーではなかったということだ。怒り出したり、「分裂させる」とか言う人もいなかった。ほとんど全員がこの分野(埋め立て承認の取り消し・撤回)において、翁長氏に助言するべき状況であるということに賛成しているようだった。
このグループが、行動を起こす準備ができている度合いにおいて典型的なグループであるとしたら、沖縄で現在起こっている大きな政治的・文化的再編成は、最も可視化されてきたのは最近の一連の選挙であるにしても、基本的には草の根からの現象であるということが言えるのではないか。
以上、ラミス氏の「辺野古バス」報告からの抜粋翻訳である。バスの中の人たちのメッセージが「島ぐるみ会議」、そして、翁長知事に届くことを願う。
現場で闘っている人に申し訳なく思う。一刻も早く作業が止まるように、けが人がもう出ないように、基地建設が断念されるように、全力でできることをする。
注:翻訳は投稿後微修正することがあります。
@PeacePhilosophy
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