Pages

Tuesday, January 28, 2014

想像を超えるNSAのスパイ活動 They Know Much More Than You Think

 特定秘密保護法が成立し、アメリカと歩調を合わせるように、日本はテロ抑止などの名目で情報収集を強化する恐れがある。エドワード・スノーデンが明らかにしたことは、9.11テロ後のブッシュ政権でにわかに活発化した、アメリカ国家安全保障局(NSA)のネット盗聴活動であった。ニューヨーク・レビュー・オブ・ブックスの2013815日号に掲載された記事を紹介する。

 国家の安全のためには秘密が必要だという考え方自体が、ナチスの台頭を許してしまった全体主義の流れにあるもので、都合良く権力を振るいたい「ビッグ・ブラザー」側の論理である。テロとの戦いのために暴走を始めた情報テクノロジーとNSAの問題から、インターネットのアメリカ集中という事実のために、それ自体がもはやアメリカ一国の問題とは言えず、日本人も米NSAの監視対象であること、電話会社やグーグルなどの民間インターネット会社がNSAの監視システムの一部に取り込まれていること、日本にも「ビッグデータ」や「データマイニング」ブームの中、すでに同様のフィルターができつつあることなど、情報漬けになってしまった私達の社会生活が、危険な罠に絡め取られつつある問題が見えてくるのではないだろうか。
(前文・翻訳:酒井泰幸)
文中[ ]内は訳者注。

想像を超えるNSAのスパイ活動


They Know Much More Than You Think
ジェームズ・バムフォード
2013815日号

 5月の半ば、20代後半のアメリカ人、エドワード・スノーデンは、香港のネイザンロードにあるザ・ミラ・ホテルで、黒瑪瑙(めのう)の玄関を入ってチェックインした。彼は黒い小さな旅行カバンを引き、ラップトップ用のケースをいくつも肩に掛けていた。それらの中には4台のコンピュータが、彼の祖国が最高機密に指定した情報とともに入っていた。

 スノーデンの文書がガーディアン紙とワシントン・ポスト紙に掲載され、アメリカ国家安全保障局(NSA)が行う広範な国内監視活動のいくつかが明るみに出されてから数日で、書店ではジョージ・オーウェルの古典的ディストピア[反ユートピア]小説『1984年』の売り上げが突然跳ね上がった。オンライン書店のアマゾンで、この本は「影響を受けた本」のリストに登場し、1日で6,021パーセントも急上昇した。65年前に書かれたこの本は、「ビッグ・ブラザー」と呼ばれる指導者が国民の生活を隅々まで監視して支配する架空の全体主義社会を描いた。「テレスクリーン」には「マイクとカメラが隠されている。これらの装置は、密告者たちの存在とあわせて、思想警察が万人に対してスパイ活動をするための手段になっている」とオーウェルは書いた。

 こんにち、スノーデンの文書で明らかになったように、電話の通話記録を追跡し、通信を傍受し、グーグル検索などのオンライン活動をデータ・マイニングして[データ解析の技法を大量のデータに網羅的に適用することで、今まで知られていなかった自明でない情報をデータから抽出して]人々の思想を分析しているのは、国家安全保障局(NSA) である。オーウェルは主人公のウインストン・スミスについて、「ウインストンが、ごく小さなつぶやきよりも大きな音を立てたなら、装置に検出されてしまう」と書いた。

 『もちろん、ある瞬間に自分が監視されているかどうかを知る方法はなかった。ある個人の通信を、どれほどの頻度で、あるいは何の回線を、思想警察が傍受しているのだろうかと考えても、それは当て推量でしかなかった。全員が四六時中監視されているとすら感じられた。しかし、彼らは回線を盗聴しようと思えばいつでも出来るのだ。すっかり本能にまでなってしまった習慣のせいで、自分が立てる音は全て盗聴され、真っ暗闇以外ではあらゆる動作を見られているという前提で生きなければならず、じっさい生きていたのだ。』

 もちろん、スノーデンの情報が広く報道されたことが示すように、アメリカは全体主義の社会ではなく、ビッグ・ブラザーに相当する人物が支配しているわけでもない。国家安全保障局(NSA)が入手する情報の多くを何のために使うのかということについて、私達はほとんど知らない。NSAはいくつかのテロ計画を暴いたと主張しているが、NSAの活動が多くのアメリカ市民の生活にどのような影響を及ぼす可能性があるのかは未だに明らかにされていない。下院委員会と特別連邦裁判所がNSAの業務を監督する任務を負うが、守秘義務があり、政府以外からの上訴は受け付けない。

 それでもなお、アメリカの諜報機関はオーウェルの二重思考の概念を取り入れてもいるようだ。「完全な真実を語ることを心がけつつ、注意深く構成された嘘を騙るのだ」とオーウェルは書いた。たとえば、アメリカ国家情報長官のジェームズ・クラパーは3月に行われた上院の公聴会で、「国家安全保障局(NSA)は、数百万人、数億人のアメリカ人から、何らかのデータを集めているということがあるのですか」と問われ、クラパーはこう答えた。「いいえ、故意にそうすることはありません。」

 その3ヶ月後、電話の発信者・受信者の番号と通話時間データを、何億人ものアメリカ人から国家安全保障局(NSA)が収集する通話記録プログラムが明るみに出た後、クラパーは二重思考に切り替えた。彼は、以前の答えは嘘ではなかったのだと言った。彼はただ「最も偽りの少ない言い方で」答えることにしたと言った。このようにオーウェル的な真実の概念が使われるようになった今、政府がここ数年にわたり監視活動について大衆に語ってきたことと、元NSA局員のエドワード・スノーデンをはじめとする人々によって公表された最高機密文書などの情報から私達が現在知っていることとを、比較検証してみるのは有益なことだ。

 ふり返ってみると、国家安全保障局(NSA)とその元になった組織は1世紀近くにわたりアメリカ人の通信に対して秘密裏かつ違法にアクセス[接近、入手、利用]してきた。192071日、痩身で頭の禿げかかった30代前半の男がマンハッタンの東37番街141番地にある4階建ての住宅に入っていった。これが、NSAの最も初期の先駆組織であるブラック・チェンバー[黒い部屋、つまり秘密室]の誕生であり、その存在はこの平凡な赤砂岩の建物に隠されることになる。しかし、長官のハーバート・オズボーン・ヤードリーはある問題を抱えていた。ウッドロウ・ウィルソン政権に提供する情報を収集するには、アメリカを出入りし通過していく電報にアクセスする必要があったが、初期の無線通信法によりこのようなアクセスは違法であった。しかし一度の握手だけで、ヤードリーはウエスタンユニオンの社長、ニューコム・カールトンを説得し、往時のインターネットとも言える彼の会社の電信線を流れる私信を、秘密裏に日常的にアクセスする権限をブラック・チェンバーに与えさせた。

 その後の百年間で採られた方法はずっと変わっていない。国家安全保障局(NSA)とその先駆組織は通信事業者との間で通信にアクセスする秘密で違法な合意を結ぶことになる。その後シャムロック計画と名付けられたこの企ては、諜報機関の悪弊を調査していた上院委員会が1975年にそれを発見したとき、とうとう完全にストップしてしまった。委員長のフランク・チャーチ上院議員はこのNSAの計画を、「これまで実行されたアメリカ人に影響を及ぼす政府による盗聴計画のなかで、おそらく最大のものだ」と形容した。

 何十年にもわたる国家安全保障局(NSA)による違法な監視の結果、1978年に外国情報監視法(FISA)が成立し、外国情報活動監視裁判所(FISC)が発足した。その目的は、史上初めて、アメリカ人を盗聴するにはNSAに法的な承認を得るように求めることだった。裁判所が「命令」と呼ばれる許可の申請を却下することはめったになかったのだが、それでも程々の安全装置として働き、アメリカ大衆を、以前から問題が多く、規制さえなければスパイ活動の範囲を押し広げる傾向を持った機関から守る役には立っていた。

 この規則は四半世紀にわたって守られ、国家安全保障局(NSA)は問題を起こさなかったが、9.11テロ攻撃のあと、ブッシュ政権はこの裁判所を違法に迂回して不当な盗聴活動を始めることにした。「基本的に全ての規則は破棄され、アメリカ人をスパイするため法の適用免除を正当化するためなら、どんな言い訳でも使うでしょう」と、2001年当時24歳の電話盗聴オペレータで実際に何件かの盗聴作戦に従事したエイドリアン・J・キンは、私に語った。彼女も彼女の上役も、盗聴の令状を取る必要は無かった。「アメリカ人の私的な通話を聞いているのは信じられないほど不快な経験でした」と彼女は語った。「誰かの部屋を歩いて通り抜けようとして、何かに躓(つまづ)き、誰かの日記を見つけ、それを読むような気持ちでした。」

 しかし、この時期を通じて、ブッシュ政権はアメリカ大衆にその逆、つまり、アメリカ人を標的にする場合は常に令状を取っていると語っていたのだ。「アメリカ政府が盗聴のことを議論するときはいつも要求します。盗聴には裁判所の命令が必要です」とブッシュ大統領は2004年に語った。「ちなみに、何も変わっていません。テロリストを追い詰める相談をするとき、我々は実行に移す前に裁判所の命令を取ることを話すのです。」しかし、ニューヨーク・タイムズが2005年にこの作戦を暴露した後、国家安全保障局(NSA)のスパイ活動に対する規制を強めるどころか、以前なら違法だったことを外国情報監視法(FISA)の修正条項として法制化することなどによって、議会は規制を弱める議決をした。

 同時に、盗聴計画に不法に協力したことについて通信会社首脳の起訴を要求したり、少なくとも透明性の確保された公聴会を要求するどころか、議会は刑事訴追だけでなく民事訴訟からも通信会社を免責してしまった。このように一世紀近くにわたって、通信会社は何の刑罰も受けずに何百万ものアメリカ人のプライバシーを侵害することを許されてきた。

 オバマ政権の登場で、国家安全保障局(NSA)の権力は膨張を続けるとともに、政権首脳とNSAはスパイ活動の拡がりについてアメリカ大衆を欺き続けた。上述のジェームズ・クラパーによる否認のほかに、NSA長官のキース・アレクサンダー元帥も、NSAが何百万のアメリカ人に対して記録を取っていたことを、ふてぶてしく否定した。2012年3月、百万平方フィート[約9.3ヘクタール]におよぶ新たなNSAのデータセンターがユタ州ブラフデールに建設中であることを書いた私の特集記事が、雑誌『ワイヤード』に掲載された。この記事で私は、元NSA高官のウィリアム・ビニーと対談した。彼はNSAの全世界的な盗聴網を自動化した中心人物だった。主として国外の脅威についての諜報活動のために設計されたシステムが、アメリカ国内の大衆に向けられていることに彼は気付き、これに反対して彼は2001年にNSAを辞職した。対談で、彼はNSAがどのようにアメリカの電話通信とインターネット網に侵入していたかを語った。NSAがアメリカ人の何十億回もの通話記録を令状なしでアクセスできる権限を、AT&Tとベライゾンの両社を始めとする通信会社から秘密裏に得ようとしていたことも暴露し、彼は「NSAは集めた情報を全て蓄積している」と語った。

 その後数ヶ月の間、アレクサンダー元帥はビニーによる嫌疑を繰り返し否定した。「いいえ、我々はアメリカ市民のデータを保持していません」と彼はフォックス・ニュースに語り、アスペン研究所の会議では「我々がアメリカ人全員のデータを集めていると考えるなら…、それは違法でしょう」と彼は発言し、「我々は国外を対象とした情報機関であるというのが事実です」と付け加えた。

 しかし、エドワード・スノーデンによって公表された文書が示しているのは、国家安全保障局(NSA)はベライゾンの加入者全員の市内通話を含む通話記録を収集する大規模な計画を実施していて、おそらく同様な合意がAT&Tその他の通信会社とも結ばれているということなのだ。これらは、誰が誰にいつ電話を掛けたかという記録で、通話内容の記録ではないが、それでもNSAは他の方法によって通話内容にもアクセスできる。しかしNSAは日常的にほぼ全ての人の通話記録を、携帯電話でも地上回線でも、アクセスすることができ、またそれを蓄積し、データ・マイニングし、無期限に保存することができる。プリズム(PRISM)計画について書いたスノーデンの文書は、NSAがグーグルやヤフーを始めとするアメリカの9大インターネット会社のインターネット・データにアクセスしていることも示している。

 国家安全保障局(NSA)がどのように盗聴とデータ・マイニング計画を遂行しているのか、またアメリカ大衆に対するNSAの活動に関してNSAとオバマ政権がいかに人を欺くような説明をしていたかについて、スノーデンの文書と陳述は私達の理解を大幅に深めてくれる。ザ・ミラ・ホテルの彼の部屋で行われたビデオ・インタビューで、スノーデンはNSAの能力がどの程度のものなのかを説明した。「アナリストは、いつでも、誰でも標的にすることができます。どんなセレクターでも、どこででも」と彼は語った。

『どこで通信を傍受するかは、センサー網の範囲とアナリストに与えられた権限によります。全てのアナリストが何でも標的にできるというわけではありません。しかしデスクにいる私は確かに誰でも盗聴できる権限を持っていました。あなたや、あなたのアカウント、連邦判事や大統領でさえも、個人のメールアドレスさえあれば可能です。』

 スノーデンが議論していたことは、国家安全保障局(NSA)のアナリストが名前や電話番号、メールアドレスなどを標的リストに書き込み、そのような「セレクター」を含む通信が傍受されるようにセットする方法のことだった。外国情報監視法(FISA)のもとではアメリカ人を標的リストに登録するには裁判所からの命令が必要とされるが、アナリストは単に名前やメールアドレスを標的リストに書き連ねるだけで一方的にこの手続きを回避する能力があることを、これはまだ公式に確認されたわけではないが、彼は示唆しているようだった。スノーデンが言っていることを理解するには、NSAが盗聴を実行する方法について少し説明しておく必要がある。

 この10年間で、国家安全保障局(NSA)はアメリカを出入りし通過していく実質的に全ての通信にアクセスする権限を秘密裏に確保してきた。その重要な理由は、スノーデンがリークしたNSA監察官の極秘報告書の下書きによれば、世界中のあらゆる国際通話の約3分の1はアメリカを出入りし通過していくからである。「ほとんどの国際通話は、最終目的地に届くまでに、国際電話交換システムの『ボトルネック』、つまり、ある少数の交換機を通過してゆく」と報告書には書かれている。「アメリカは交換される国際電話トラフィック[ネットワークを流れる情報]の巨大な交差点なのだ。」また、世界中ほぼ全てのインターネット通信はアメリカを通る。たとえば全世界のインターネットとコンピュータを結ぶインターネット容量のうち、2002年には「アメリカ以外の2地域を結んでいたのは1パーセント未満だった」と、2009年の報告書に記されている。

 このデータにアクセスするには、いくつかのテクニックを組み合わせる必要がある。国家安全保障局(NSA)はその中でも最強のものを使って、現在ほとんどの種類の通信データを運んでいる光ファイバー回線への直接アクセスを確保している。スノーデンが公表したスライドによると、このファイバー盗聴活動は「アップストリーム(UPSTREAM)」というコード名で呼ばれ、「ファイバー回線と通信インフラをデータが流れる際に通信内容を収集する」と説明されている。それはまた、スノーデンが暴露したプリズム計画よりもはるかに秘密に包まれ、はるかに侵入的であるように見える。プリズム計画では、ヤフーやグーグル、マイクロソフトといった個別のインターネット会社からのデータにNSAがアクセスする権限を与えはするが、各社はNSAに自社のサーバーを直接アクセスすることは許していないと主張している。しかしアップストリーム計画を使って、NSAはアメリカでほとんど全てのインターネットと電話のトラフィックを運ぶ光ファイバー回線と情報インフラを、まさに直接アクセスしているのだ。

 ケーブル盗聴計画の一部として、国家安全保障局(NSA)はコンピュータ化されたフィルター[情報選別装置]とも言えるものをアメリカ中の通信インフラに秘密裏に設置した。リークされた監察官の報告書によれば、NSAは秘密の協力協定をアメリカでトップ3の電話会社と結んでいる。この報告書は会社名を伏せているが、AT&Tとベライゾン、スプリントである可能性が高い。

NSAはその権限の下、協力企業3社を通ってアメリカに出入りする国際通話の約81%A社は39%B社は28%C社は14%)にアクセスできることを確認した。』

 これらのフィルターは交換機と呼ばれる重要な接続ポイントに設置されている。たとえば、アメリカ北西部で発信・着信するほとんどの通信は、電話であれインターネットであれ、サンフランシスコのフォルサム通り611番地にある、ほとんど窓のない9階建てのビルを通過する。ここがAT&Tの地域交換局である。2003年に、国家安全保障局(NSA)はその施設内に秘密の部屋を造り、部屋いっぱいに設置されたコンピュータにはナルス(Narus)と呼ばれる会社のソフトウエアが入れられた。ナルス社は、イスラエルでイスラエル人により設立され、現在はボーイング社に所有されている。同社はスパイウエアが専門で、その装置は、光の速度で走り抜けていくメタデータ(インターネット上で通信する人々の名前とアドレス)と、メールのようなデジタル情報トラフィックの内容とを両方とも監視する。

 国家安全保障局(NSA)は全てのアメリカ人の電話メタデータ(発信者と着信者双方の電話番号その他の詳細)にもアクセスできる。標的に選ばれた電話番号からの通話は直接NSAに転送され、録音することが出来る。元NSA高官のウィリアム・ビニーによれば、NSAがアメリカ中の通信会社の交換局に設置したこのような秘密の部屋の数は10から20の間である。

 国家安全保障局(NSA)が何百万ものアメリカ人の監視記録を持っていることを偽って否定したとき、NSAと国家情報室が隠そうとしたのは、外国情報監視法(FISA)の令状なしで全アメリカ人の電話メタデータを毎日アクセスしているという、この事実なのである。NSAは何年間にもわたり、メール及びインターネット・メタデータの全国的な一括収集蓄積計画も行っていたが、こちらは国家情報長官によれば「運用上ならびに経営資源[いわゆるヒト・モノ・カネ]の問題」により2011年に終了した。

 しかし、上院議員のロン・ワイデンとマーク・ユードルが72日に発表した共同声明によれば、この計画が中止された本当の理由は、国家安全保障局(NSA)がこの活動の有用性を証明することが「不可能」だったからである。「我々はこの計画がアメリカ人の市民的自由とプライバシー権に及ぼす影響について非常に憂慮しており、有効性の証拠を提示するよう情報関係の官僚たちに圧力をかけるために、我々は2011年の大半を費やした。彼らはそうすることができず、その年に計画は中止された」と二人は語った。「いくつかの諜報機関は両院の議会(と外国情報監視法(FISA)の法廷)で、この計画の有効性を著しく誇張する陳述をしたことにも注目する必要がある。諜報機関による特定の情報収集計画の有用性の評価は、重要なものであっても、常に正確だとは限らないことを、この経験は我々に示している」と、上院議員らは付け加えた。

 弁護士でジャーナリストのグレン・グリーンウォルドは、国家安全保障局(NSA)による電話データの収集についての記事をガーディアン紙に書いたが、彼はミート・ザ・プレス[アメリカの3大ネットワークの一つであるNBCが日曜朝に放送する報道番組]に出演して、当時まだ秘密だった80ページの外国情報監視法(FISA)法廷意見書について話した。これは、憲法修正第4条とFISA法令の両方に違反しているとして、NSAを批判したものだった。グリーンウォルドによれば、「意見書が強調しているのは、NSAは伝送データ全体、何百万のアメリカ人からの多くの会話を収集していて…、これは違法なのです。」NSAは「その裁定を調停に持ち込むことを計画した」と彼は語った。同じ番組で、下院情報委員会の共和党委員長であるマイク・ロジャーズ下院議員は、FISA法廷が批判的意見を出していたことを確認し、NSAは「それを正す方法を見つけ出していた」と語った。

 629日付のエコノミスト紙によれば、「国家安全保障局(NSA)は、スノーデン氏が暴露した計画がアメリカと20以上の国々でのテロ計画の『理解と、多くの場合は粉砕』に貢献した50件以上の例だというものを、議会の情報委員会に提出した。」最近のニューヨーク・レビュー・オブ・ブックスのブログ記事で、ヒューマン・ライツ・ウォッチの事務局長で元連邦検事のケネス・ロスは次のようにコメントした。「詳細な調査によれば」、NSAが言及したテロ計画の多くは

『実際には、我々からのメタデータの大量収集によってではなく、特定の電話番号やメールアドレスをもっと伝統的な方法で監視することによって暴露されたようであり、それは司法による命令を簡単に得られる種類の標的調査で、通信会社が取った記録の再調査や、それらの通信内容の監視も可能になる。』

 フォルサム通りのAT&T施設やその他の場所で、何百万もの通信を乗せた光ファイバー回線が建物に入り、ビーム・スプリッタという装置に入る。これはガラス製のプリズム形の装置で、信号の複製、つまり元の通信のコピーを作る。インターネット・データを乗せた元の光ビームは、どこであれ元々の行き先に向かって旅を続ける。複製された光ビームは1階下にある641A号室、国家安全保障局(NSA)の秘密の部屋へと入っていく。これは、もう一人の内部告発者、AT&T技術員のマーク・クラインによって発見された。そこではナルス社の装置が全てのインターネット・トラフィックを監視し、NSAが知りたい名前、メールアドレス、語句などの指標である「セレクター」を探している。セレクターを含む全てのメッセージは、選ばれた電話通話内容と同じように、全文が分析のためNSAに送信される。NSAは標的にした電話番号リストを電話会社に提供し、電話会社はNSAが通話を傍受できるようにアクセス権を与える。

 セレクターは、メリーランド州フォート・ミードの国家安全保障局(NSA)の本部や世界中の何十ヶ所に散らばる拠点のデスクに座ったNSAのアナリストによって遠隔操作でナルス社の装置に送り込まれる。スノーデンがインタビューで言おうとしていたと思われるのは、あるアナリストたちが、たとえばメールアドレスを持っているなら、彼らはその情報をシステムに入力するだけで、そのアドレスに発着するメールの内容を読み出すことが可能だということなのだ。スノーデンの話によると、アメリカ人を狙うことが、ただNSA職員による判断ではなく、外国情報監視法(FISA)裁判所命令によって承認されたものだということを保証するための、司法による抑制と均衡は存在しないのだ。スノーデンによるこれらの主張と、彼が公表した文書で暴露された他の事実は、チャーチ委員会のような議会の特別委員会か、9/11委員会のような独立組織によって調査されるべきである。

 アップストリーム計画は通信の大部分(ビニーによれば約80パーセント)を捕捉できるが、まだ漏れがある。そこにプリズム計画が登場する。プリズム計画を使えば、アップストリーム計画で取り逃がしたものを何でも手に入れるため、国家安全保障局(NSA)は大手インターネット会社をはじめとする通信産業に直接入り込むことができる。監察官の極秘報告書によれば、「NSA100社以上のアメリカ企業と関係を維持して」おり、アメリカは「全世界の通信の中枢としてのホーム・アドバンテージ」を有していると付け加えた。

 スノーデンが公表した最近のスライドによれば、この監視計画で国家安全保障局(NSA)201345日現在117,675件の標的を監視中であり、生の音声や、テキスト、メール、インターネットのチャットなどのリアルタイムのデータにアクセスできる他、蓄積されたデータも解析していた。

 最後に、アップストリーム計画とプリズム計画のどちらも、ずっと大きなシステムの一角に過ぎないかもしれない。スノーデンが公表したもう一つの新しい文書には、国際通信を標的にしたメタデータ処理プログラムのシェルトランペット(SHELLTRUMPET)が、2012年の大晦日に「処理したメタデータが1兆件を超えた」と記されていた。5年前に開始されたこの計画で、この1兆の半分は2012年になってから増えたものだと書かれていた。その文書にはまた、ムーンライトパス(MOONLIGHTPATH)とスピナレット(SPINNERET)という2つの新しい計画を「20139月までに追加する計画である」と記されていた。

 将来に起きることを見通すだけの先見の明をもった一人の男がいた。国家安全保障局(NSA)の暗部を垣間見た初めての部外者、フランク・チャーチ上院議員だった。それは1975年のこと、こんにちのNSAがアップストリーム計画やプリズム計画、そのほか何千もの情報収集とデータ・マイニングの計画で引き起こしているプライバシーに対する脅威に比べれば、まだまだ取るに足らない存在だった時代に、チャーチは次のような厳しい警告を発している。

『その能力は、いつかはアメリカ国民に対して向けられるかもしれず、そのとき一人のアメリカ人にもプライバシーは残されていないだろう。その能力とは、全てを監視する能力である。電話での会話であろうと、電信であろうと、関係ない。隠れる場所はどこにもない。もしアメリカ政府が専制政治になったら、もしも独裁者がこの国で権力を握ったら、諜報集団が政府に与えた技術的能力によって、政府は完全な専制政治を押し付けることが可能になるかもしれず、反撃は不可能になるだろう。なぜなら、政府に対する抵抗運動において団結するための最も注意深い努力でさえ、どんなに秘かに行ったとしても、それは政府の知るところになってしまうからである。この技術の能力とはそういうものだ…、我が国がその橋を渡るのを見たくはない。アメリカで専制政治を完全なものにするための能力がそこにあることを、私は知っている。そして、私達がけっしてこの底知れぬ淵を渡らないように、この組織とこの技術を持つ全ての組織が、適切に監督され法の範囲で運用されていることを、私達はチェックしなければならない。その深淵からは二度と戻ることができない。』

 チャーチの言葉は『1984年』の教訓を学んでいたかのように響く。最近の証拠が示すのは、その教訓が未だに学ばれていないということだ。

2013712



関連投稿
エドワード・スノーデン「声なき人間になるくらいなら国なき人間になる」
http://peacephilosophy.blogspot.jp/2013/12/edward-snowden-i-would-rather-be.html

No comments:

Post a Comment