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Monday, December 30, 2013

エドワード・スノーデン「声なき人間になるくらいなら国なき人間になる」 Edward Snowden: I Would Rather Be without a State than without a Voice.

Edward Snowden
米国のプログレッシブニュースサイト、『コモン・ドリームズ』12月17日付に掲載された、元CIA職員で米英による世界中での個人情報収集活動を暴露したエドワード・スノーデン氏のブラジル国民に向けた公開書簡が掲載されました。

NSA Surveillance Is about Power, Not "Safety"
An open letter to the people of Brazil
http://www.commondreams.org/view/2013/12/17-1

記事の写真に添えられたキャプションに、エドワード・スノーデンの言葉が紹介されています。「政府がその名において何をやっているのかを大衆は知る必要があります。そうでなければ、『統治される者の同意』など無意味なのです。情報が開示されなければ、統治される者の同意は、同意とはいえません。」 


この手紙の中のスノーデンの名言には力づけられます:


I would rather be without a state than without a voice. 

 「声なき人間になるくらいなら国なき人間になる」=「言論を失うぐらいなら国籍など要らない」。



エドワード・スノーデン「NSA の監視は『安全』ではなく権力のためのものだ 」


ブラジル国民に向けた公開書簡

2013年12月17日

http://www.commondreams.org/view/2013/12/17-1

(翻訳: 酒井泰幸)

以下の書簡は2013年12月17日ブラジルの新聞 A Folhaにポルトガル語で掲載された。原文は[スノーデンの内部告発を初めて報道した]グレン・グリーンウォルドのパートナーであるデイヴィッド・ミランダのフェイスブックにて提供されている。


 6ヶ月前、私はアメリカ 政府の国家安全保障局(NSA)の暗部から歩み出て記者のカメラの前に立ちました。私が世界の人々と共有したのは、ある国々の政府が全世界的な監視システムを構築しつつあるという証拠です。そのシステムは、私たちがどのように生活しているか、私たちが誰と話しているか、私たちが何を言っているかを、秘密裏に追跡します。もし私が目を見開いてカメラの前に立てば、家族や家を失い、私の命にも危険が及ぶかもしれないことは分かっていましたが、私は敢えてそう決心しました。世界の市民には、自分たちが生きているシステムを理解する権利があるのだという信念に、私は突き動かされていました。

 私が最も恐れたのは、私の警告に誰も耳を貸そうとしないことでした。しかし、これが全くの見当違いであったということほど、私にとって喜ばしいことはありませんでした。いくつかの国々での反響は特に私の心に残るものでした。ブラジルは、まさにそのような国々の一つです。

 私はNSAで、犯罪の疑いなどない全ての人々に対する監視が行われているのを目撃し、これが私たちの時代で最悪の人権侵害に発展するであろうという危機感を覚えました。NSAなど諜報機関の言い分では、私たち自身の「安全」のために、(つまりはジルマ[・ルセフ、ブラジル大統領]の「安全」のため、[ブラジル石油公社]ペトロブラスの「安全」のために、)私たちのプライバシーの権利を踏みにじって私たちの生活に侵入したというのです。 彼らはいかなる国の大衆にも、まして自国民にさえも、許可を求めたことはありませんでした。

 今日では、あなたがもしサンパウロで携帯電話を持っていれば、NSAはあなたのいる位置を追跡することができ、実際そうしています。彼らはこのような追跡を世界中の人々に対して毎日50億回も行っています。[ブラジル・サンタカタリーナ州の州都]フロリアノーポリスの人が、どこかのウェブサイトを見たなら、あなたがいつ何をしたかをNSAは記録します。[リオグランデ・ド・スル州の州都]ポルト・アレグレのお母さんが息子に大学の試験が良くできるようにと電話をかけたなら、NSAはその通話記録を5年以上も保存することができます。標的にした人の名声を傷つけることが必要な場合は、誰が男女の関係を持ったとかポルノ写真を見たとかいうことさえも追跡します。

 アメリカの上院議員たちは、これは「監視」ではなく「データ収集」なのだから、ブラジルの皆さんは心配する必要は無いと言います。皆さんの安全を確保するために行っているのだと言います。しかし彼らは間違っています。法的に正当な活動、つまり、個人を監視の標的にするときは特定の個人に対する筋の通った容疑に基づいてのみ行われるという合法的なスパイ活動は、合法的な法の執行[警察活動]とみなされますが、これとは天と地ほども違っているのが、すべてを見通す監視の下に全人民を置き、情報のコピーを永久に保存するという、この一網打尽の監視活動です。これらの監視活動はテロリズムとはまったく無関係でした。これらは産業スパイや、社会的統制、外交的な情報操作にまつわるものです。これらは権力にまつわるものなのです。

 多くのブラジルの上院議員たちはこれに賛同し、ブラジル市民に対する犯罪容疑の調査のため私に協力を要請しました。私は適切で合法なことなら何でも協力する意思を表明しましたが、不幸なことにアメリカ政府は私の能力を制限するため努力を惜しみませんでした。私がラテンアメリカに行けないようにするためエボ・モラレス[ボリビア大統領]の専用機を離陸阻止さえしました。どこかの国が無期限の政治亡命を受け入れてくれるまで、アメリカ政府は私の発言を妨害し続けるでしょう。

 私は半年前に、NSAは全世界に聞き耳を立てたがっていることを公にしました。現在、全世界は逆にNSAの言うことに聞き耳を立て、抗議の声を上げてもいます。そしてNSAは自分の耳に入ることが気に入らないのです。無差別の全世界的な監視という文化は、全ての大陸で公開討論と徹底した調査にさらされ、崩壊しようとしています。わずか3週間前のことですが、ブラジルは国連人権委員会を主導して、私たちがデジタル・ネットワークに踏み入ってもプライバシーが効力を失うことはなく、潔白な人々を集団監視するのは人権侵害であるということを、歴史上初めて認めさせました。

 いま時代の潮流は反転しました。私たちのプライバシーを犠牲にすることなく治安を享受することができる未来を、私たちはついに見ることができます。私たちの権利は秘密組織によって制限されてはならず、けっしてアメリカの政府高官がブラジル市民の自由を左右すべきではありません。集団監視の擁護者たちは、私たちが手にした監視技術の進歩は民主的な統制を危険なまでに追い越していると言っても信じないかもしれませんが、そんな彼らでさえも、大衆の監視は大衆自身によって議論されなければならない問題だということに、今は同意しています。

 私の良心的行動はこの宣言から始まりました。「私の言うこと全て、私のすること全て、私が話す相手の全て、創造性や愛や友情の表現が全て記録されるような世界に、私は住みたいとは望みません。これは私が支持したいと望むものではありません。これは私が築きたいと望むものではありません。これはその下で私が暮らしたいと望むシステムではありません。」

 その数日後、私に伝えられたのは、米政府が私の国籍を剥奪し、私を刑務所に入れようとしているということでした。私の発言の代償として私はパスポートを失いましたが、私は何度でも発言します。私は、政治的な安楽のために犯罪性を無視するような人間にはなりません。私は声なき人間になるくらいなら国なき人間になります。

 ブラジルの皆さんが私から一つだけメッセージを受け取ってくださるなら、これを覚えておいてください。私たち全員が、不正に反対しプライバシーと基本的人権を擁護するために団結すれば、私たちはどんなに強力なシステムからであろうと身を守ることができるのです。


エドワード・スノーデン


内部告発者のエドワード・ジョセフ・スノーデンは、アメリカ国家安全保障局(NSA)と中央情報局 (CIA)職員の元技術請負人で、最高機密の 米英両政府による大衆監視活動の詳細を報道機関にリークした。


Saturday, December 28, 2013

「沖縄の平和創造と人間の尊厳回復を求める100人委員会」の仲井真知事への抗議声明

沖縄の平和創造と人間の尊厳回復を求める100人委員会」からの抗議声明です。


新たな軍事基地建設を容認した仲井真知事に満腔の怒りをもって抗議する

12月25日、「100人委員会」は、知事のこれまでの公約及びしっかりとした言動から埋め立て不承認に期待をしながら、知事を支えるつもりで県庁に要請行動を行った。それが今、もろくも崩れ、仲井真県政そのものに対する信頼を完全に失った。これまでの言動は何だったのか?多くの県民も同じように裏切られた情けなさの中で 沸々とした怒りがこみあげてきていると 思 う。驚きを通り越してあきれたという巷の声が、多くの沖縄の人の心根を代弁すると共に、テレビの前で悔しさと怒りの涙を流す、子ども連れの若いお母さん姿も、私たちと同じく如何ともしがたい心情を表出していると思う。

知事のこのような姿勢は沖縄の歴史に新たな屈辱の上塗りをしたといえる。沖縄ではこれまで、強制的に建設された基地はあっても、自ら新たな基地建設を招いたことはなく、県民は抵抗の姿勢をしばしば見せてきた。沖縄の先人たちは沖縄の現状を見て何と思うのだろうか?沖縄の地で眠る沖縄戦での無念の死没者たちは、知事と同じように政府に感謝しているとはとても思えない。沖縄戦から70年近く経つが、その間、断続的に米軍の出撃基地として戦争や軍事演習が続き、多大な被害を内外にもたらし、沖縄に平和が訪れたと落ち着いて実感することがない。

「日本復帰」で日本政府に期待した米軍基地からの解放は、逆に米軍の「銃剣とブルドーザ」に代わって、「法的銃剣とブルドーザ」というべき日本政府による基地の強制使用が相次いだ。

辺野古新基地を建設するという意味が何を意味しているのか?軍港機能も備え、100年以上の使用に耐えるような最新鋭の機能をもった基地は、米軍だけでなく自衛隊の共同使用まで見据えている。それはとりもなおさず、東アジアでの戦争・紛争に即応態勢をもくろむものであり、68年前、「国体護持」の捨石にされ、多大な被害を蒙った沖縄戦再来の危機に、私たちを晒すものである。仲井真知事の「辺野古埋め立て承認」というのは、これまでの帝国日本による被害、米軍占領による被害、日米両政府による被害の歴史だけでなく、沖縄自らが被害の歴史をつくることになる。

仲井間知事はこのことを理解せず、今回の埋め立て承認によって、今後何十年も基地負担が続くことを容認し、将来の世代をさらに苦しめ、基地から逃れられない中毒状態にするもので、沖縄住民の人間の尊厳を失わしめるものである。

11月下旬、自民党政府の恫喝による県内移設への公約転換をさせられ、まるで「罪人」のように頭をたれていた県選出自民党国会議員の姿といい、今回の概算要求超えの予算回答に諂(へつら)いながら感謝し、あろうことか「良い正月を迎えられる」と、辺野古埋め立て承認を表明する知事の姿といい、いずれも私たち沖縄県民の代表として、人間の尊厳を辱められた感さえあり、私たち自身が耐えられない侮辱・屈辱を受けたのである。仲井真知事には、このような惨めな沖縄の姿がみえないということは、もはや、私たちの代表たる知事の座に座る資格はない。

ここに沖縄県民を平和な生活から遠ざけ、県民の人間の尊厳を失わしめるような、知事の新基地建設に向けた判断に対して、怒りをこめて抗議する。

2013年12月28日
沖縄の平和創造と人間の尊厳回復を求める100人委員会


沖縄県選出・出身野党国会議員「うりずんの会」-仲井真知事の埋め立て承認を糾弾し即時辞任を要求する緊急声明(12月27日)




仲井眞知事の辺野古埋め立て申請「承認」を糾弾し、即時辞任を要求する緊急声明

沖縄県民世論の8割にも達する圧倒的多数意見が普天間飛行場の辺野古移設に反対し、普天間基地の閉鎖・撤去、県内移設断念を求める中、県民の代表たる仲井眞県知事が、辺野古移設(実態は新基地建設)を前提とする埋め立て申請を承認した。
埋め立て承認を前提とするかのような大盤振る舞いの振興策関連予算、目新しさに乏しい振興策の内容、さらに実現性の見えない基地負担軽減策などを引き合いに、安倍総理と裏取引をしたかの如くに、「県外移設」の公約をも翻して県民を裏切った仲井眞知事の責任は極めて重い。
本年1月に安倍総理に直訴した「建白書」に込められた沖縄県民の民意は、普天間基地へのオスプレイ配備を直ちに撤回すること、嘉手納基地への特殊作戦用垂直離着陸輸送機CV22オスプレイの配備計画を直ちに撤回すること、米軍普天間基地を閉鎖・撤去し、県内移設を断念すること等であり、日米地位協定の全面改定は長年にわたり要求し続けている県民の総意であることも言うまでもない。
県民の代表たる知事がこのような民意に背き、沖縄を「カネ」と引き換えにするかのような行為に走ることは、もはや言語道断である。仲井眞知事の即刻辞任を要求する。
私たち「うりずんの会」は絶対に諦めない。辺野古新基地建設を日米両政府に断念させ、普天間飛行場の無条件即時閉鎖・返還を実現するまで、恒久平和を願う県民とともに闘い続ける。

そのうえで、「辺野古の海にも陸にも新しい基地は造らせない」との公約を堅持する現職の稲嶺ススム名護市長を全面的に支援し、その勝利に向け、全力を尽くすことを表明する。

2013年12月27日
沖縄県選出・出身野党国会議員「うりずんの会」

衆議院議員 照屋 寛徳     
衆議院議員 玉城 デニー
衆議院議員 赤嶺 政賢     
参議院議員 糸数 慶子

名護市稲嶺市長から仲井真知事の埋め立て承認への抗議文 (英訳付) A letter of protest from Mayor of Nago to Governor of Okinawa

(12月29日英訳を追加掲載)
Mayor Inamine 

新基地は「海にも陸にも作らせない」との一貫した姿勢を貫く名護市の稲嶺進市長から仲井真知事への抗議文を紹介する。画面で読みにくいかもしれないのでテキストを下方に貼付。 Here is a letter of protest from INAMINE Susumu, Mayor of Nago City to NAKAIMA Hirokazu, Govenor of Okinawa, against Nakaima's approval of the government's request to reclaim Henoko, where the US and Japanese governments are planning to build a new air base with a military port, as a replacement facility of Futenma Air Station (See report from Asahi). See below for an English translation. 



平成 25 年 12 月 27 日 
                                                      名広渉第号 


沖縄県知事  仲井眞  弘多  殿 

名護市長 稲嶺 進


        普天間飛行場代替施設建設に係る公有水面埋立の沖縄県知事による承認について(抗議) 



 本日沖縄県知事が普天間飛行場代替施設建設事業に係る名護市辺野古公有水面埋立を「承認」したことについて、これまでオール沖縄の先頭に立ち県外移設を訴えてきた知事が豹変したかの如く承認に転じた姿は、知事の強い言葉を信じてきた沖縄県民を三たび失意のどん底に突き落とすことになった。 
 安倍首相との会談の中での「140 万人の沖縄県民を代表して感謝申し上げる」や「いい正月を迎えられる」という発言など、あまりに軽率であり、知事に強い期待を抱いていた県民に対する背信行為と言わざるを得ない。 
 本埋立承認願書は、環境影響評価の手続きの段階からオスプレイ配備等重要事項の後だし、ジュゴンの複数年調査の不実施をはじめ、名護市長意見でも記したとおり、多数の不備が指摘されてきた。にもかかわらず「法律に適合する」と判断した行為は、もはや法治国家の体をなさず、国際社会における我が国の威信にかかわる問題であり、断じて許されるものではない。 
 そもそも地元名護市が代替施設の建設を容認していない中、政府による強行に県知事が与みするという形で承認された計画は、市民の生命財産をあずかる立場から到底受け入れられるものではない。名護市長として、一人の政治家として市民との約束を貫いていくとともに、今回の承認に対し、市民の代表として強く抗議する。 

December 27, 2013

To Nakaima Hirokazu, Governor of Okinawa Prefecture

From Inamine Susumu, Mayor of Nago City  

Letter of protest against the Governor of Okinawa's approval of the reclamation of a body of public water for the construction of a replacement facility of Futenma Air Station 

Today, the Governor of Okinawa approved the request for reclamation of a body of public water at Henoko, Nago City, for the construction of a replacement facility of Futenma Air Station. The Governor, who had been spearheading the "All-Okinawa" movement for moving the base outside of Okinawa, suddenly changed his position and approved reclamation. The Governor's turnabout again pushed Okinawan people, who had believed his strong word, down to the abyss of disappointment.

In the Governor's meeting with Prime Minister Abe, his words like "I am grateful, on behalf of 1.4 million Okinawan people," and "Now I can look forward to a good New Year holiday" were too inconsiderate. It amounted to an utter breach of trust against the people of the prefecture, who had strong expectations of the Governor.

It has been pointed out that the process that led to the reclamation request, which was the Environmental Impact Assessment, has had many flaws as I noted them in the Nago Mayor's Opinion Statement. The flaws included the addition of the planned deployment of MV-22 Osprey in a later stage of the Assessment, and the lack of multi-year survey of the dugong in the area. The fact that Governor regarded the reclamation application as "legally compatible" despite these flaws means that Japan is no longer a nation ruled by law. It raises a problem about the dignity of our nation in the international community, and therefore it is absolutely unforgivable.

The reclamation plan was approved in the manner that the Governor of Okinawa sided with the government that tries to force the construction of the replacement facility, even though Nago City, where the construction is planned to take place, does not approve it. It is absolutely unacceptable, from my position where I am responsible for the lives and assets of people of Nago. I stand firmly by my promise with the citizens, as Mayor of Nago, and as one politician, and at the same time, I, as a representative of citizens, strongly protest the reclamation approval by the Governor.

(Translated by Satoko Oka Norimatsu and Gavan McCormack)

Related article: 


Friday, December 27, 2013

名護・ヘリ基地反対協議会から仲井真知事の埋め立て承認の撤回要求

12月27日、沖縄県仲井真知事は普天間基地県外移設を要求するという公約を破り、辺野古に移設するための国による埋め立て申請を承認するという歴史的背信行為を行った。これに対する各団体、市民からの抗議文書を掲載していく。@PeacePhilosophy


以下、名護・ヘリ基地反対協議会から。


20131227
沖縄県知事・仲井眞弘多 殿

                    名護・ヘリ基地反対協議会
                    (共同代表:安次富 浩)

 
<抗議声明>
仲井眞知事の辺野古埋め立て承認を
満腔の怒りをもって糾弾し、撤回を求めます!

 1227日、仲井眞弘多知事は安倍自民党政権の圧力に屈し、辺野古新基地建設に向けた埋め立て申請の承認を表明した。沖縄選出・出身の自民党国会議員や自民党沖縄県連が次々と自民党本部の恫喝・圧力に屈して「県外移設」の公約を翻す中、「県外移設」の姿勢を崩さない仲井眞知事に託していた私たち県民の願いと信頼は真っ向から裏切られ、県民は失意と怒り、悲しみの中に突き落とされた。とても「いい正月を迎えられる」状況ではない。
 仲井眞知事の今回の判断は、沖縄の最大の財産である貴重な自然環境を修復不可能に破壊し、沖縄を半永久的に基地の島として固定し子々孫々に多大な苦しみを与えるだけでなく、沖縄はカネで思い通りになるという沖縄差別に満ちた日本政府のシナリオに乗って、沖縄の歴史に最大・最悪の汚点を残した。
 知事が「驚くべき立派な内容」と賞賛した安倍政権の「負担軽減」策はどれも担保のない口約束であり、米国政府の姿勢からも、それらが実現する可能性はほとんどないことを県民は知り尽くしている。「振興策」についても、「基地問題とは別」と知事が言い続けてきたように、基地と取引される筋合いのものではない。県民がカネと引き替えに基地を受け入れたという間違ったメッセージを政府や国民に与えたことは、県民にとって最大の屈辱である。
 私たち名護市民は、ちょうど16年前の年末を思い出さずにはいられない。新基地NOという市民投票の結果を裏切り、当時の比嘉鉄也名護市長が日本政府の圧力に屈して基地を受け入れ、引責辞任した、あの年末である。仲井眞知事は自らの公約と県民に軸足を置くなら、今すぐ承認を撤回すべきであり、さもなくば辞職すべきである。
 比嘉市長(当時)の辺野古基地受け入れ表明から16年。政府はその間、ある時は海上自衛隊まで投入して強権的に作業を行おうと何度も試みたが、地元住民をはじめ県内外の強固な抵抗に阻まれて、ことごとく失敗している。今回の知事判断はその抵抗をいっそう強める結果となるだろう。それを敢えて強行すれば、現場はますます混迷をきわめ、基地問題の解決は遠のくばかりである。辺野古基地建設はそもそも不可能であることを、仲井眞知事も日米両政府も認識すべきである。

 仲井眞知事は埋め立て承認を撤回し、日米両政府は辺野古新基地建設を断念するよう強く求めるものである。

Thursday, December 26, 2013

安倍首相の突然の靖国神社訪問: 米国からの批判

12月26日、安倍首相が突然靖国神社訪問を行ったことで世界に衝撃が走っている。中国や韓国からの批判は広く報道されているので、まず米国メディアから抜粋して紹介。

ウォール・ストリート・ジャーナルは「この訪問は日米関係に支障をきたすとの声もある」として上智大学の中野晃一教授(政治学)のコメントを紹介している。「(中国や韓国との)首脳会談はますます遠のいた。米国が、日本に対し隣国との関係を改善するように圧力をかけていることを考慮しても、東京のワシントンとの関係にも傷をつけるであろう。」「この訪問は、安倍の経済政策がその国家主義的な意図を隠すための見せかけであることを明らかにしているようだ。」

ブルームバーグは香港科技大学の David Zweig 教授(政治学)が、この訪問を「扇動的 incendiary である」と表現し、「官界から大規模な抗議を訴える声が多数出てくるだろう。波及しないといいが。しかし安倍は、対立関係の悪化(エスカレーション)が続くように中国の防空識別圏設定に反応することを決めたのかもしれない。」と言ったと伝えている。また、米国は日本が「地域の緊張を悪化させるような行動をしてきたことに失望している」とし、やはり上智の中野晃一氏の言葉として、「米国は10月に、日本に対して靖国に行くなと明確なメッセージを送っていることからも、今回の訪問は米国人にとって攻撃的なものとなる。安倍は明確にこのアドバイスを無視した」と伝えている。

ちなみに、ここで10月に米国が日本に靖国について注意をしたというのは、ケリー国務長官、ヘーゲル国防長官が日本を訪問した際真っ先に千鳥ヶ淵戦没者墓苑に献花することによって米国は靖国を認めないとの態度を明らかにしたことである。この、前例のない米国高官による千鳥ヶ淵墓苑訪問の意義を日本のメディアは総じて報道しなかった。このことを指摘した当ブログの以下の投稿には万単位のアクセスが集まっている。

画期的な米国務、国防長官揃っての千鳥ヶ淵墓苑訪問の意味は、「米国のアーリントン墓地に相当するのは靖国ではなく千鳥ヶ淵である」という、安倍政権へのメッセージ



千鳥ヶ淵墓苑の公式ウェブサイトにおける報告には両長官の10月3日の訪問について「両長官の献花は米国側の強い希望により行われたもので千鳥ヶ淵戦没者墓苑の創建以来、米国政府関係者 の中では最も高位である。又両長官同時の献花もきわめて珍しいことであった国際儀礼上外国要人はそれぞれ訪問国において戦没者墓地等に献花を行うことが慣例であるが今般もその一環である」とある。ちなみにこのウェブサイトを見て気づいたが、10月18日にはカート・トン米国臨時代理大使も訪問している。「秋季慰霊祭に米国大使が参加されるのは初めての事」とある。

ブルームバーグの記事は、中国人民大学の国際関係学 Shi Ynhong 教授の言葉、「この訪問の前は、中日関係はこれ以上悪くなれるのだろうかという疑問があった。安倍氏の訪問により、その問いへの答えはYESであることが示された」を引用して締めくくっている。

CNNは、「東京の米国大使館はこの訪問に失望していると言った」と報道している。「日本は大事な同盟相手であり友人である」「しかし米国は、日本が隣国との緊張を悪化させる行動を取ったことに失望している」との発言が米国大使館からあったと。この意義は大きい。朝日新聞は「米政権『失望している』 首相靖国参拝で異例の批判声明」としてすでに報道している(下方に声明全文を紹介)。

CNNはまた、テンプル大学のジェフ・キングストン教授による「北朝鮮の脅威について中国や韓国と協力関係を築かなければいけないときに日本は歴史問題を引き起こしている」との懸念を伝えている。キングストン曰く:「共有する歴史について隣国の感情を踏みにじることは、(中韓)両国と抱える領土問題に対処したり、他の重要事項を進展させることを妨げる。」

ニューヨーク・タイムズは、「安倍氏に一番近い側近たちは、靖国神社訪問を避けることによって、現在まで安倍政権を定義づけてきた政策に集中できるように助言」していたという。「米国の高官も、米国がより主張を増している中国や北朝鮮の核問題に面しているときに米国のアジアにおける最大の同盟国である日本が歴史問題で孤立するとの懸念を示した」とも伝えている。

ロイター通信も上記の米国大使館による懸念を伝えている。

各社が報道している米国大使館の声明は、大使館のウェブサイトに記者発表として出ているので紹介する。http://japan.usembassy.gov/e/p/tp-20131226-01.html

Statement on Prime Minister Abe's December 26 Visit to Yasukuni Shrine

December 26, 2013
Japan is a valued ally and friend. Nevertheless, the United States is disappointed that Japan's leadership has taken an action that will exacerbate tensions with Japan's neighbors.
The United States hopes that both Japan and its neighbors will find constructive ways to deal with sensitive issues from the past, to improve their relations, and to promote cooperation in advancing our shared goals of regional peace and stability.
We take note of the Prime Minister’s expression of remorse for the past and his reaffirmation of Japan's commitment to peace.
公式訳は今のところ見当たらないので、ここに和訳する。
安倍首相の12月26日の靖国神社訪問についての声明 
日本は大事な同盟相手であり友人です。しかし、米国は、日本の指導者が、隣国との関係を悪化させる行動をとったことに失望しています。
米国は、日本と隣国双方が、過去の繊細な事柄に対処し、関係を改善し、我々が共有する目的である、地域の平和と安定の前進への協力を促進するための建設的な方法を見つけることを願います。
我々は、首相による過去に対する遺憾の意の表明と、日本の平和へのコミットメントの再確認を注視しています。
安倍氏は側近の助言にもかかわらず、また従属相手の米国の深い懸念にもかかわらず靖国訪問を断行したようだ。安倍氏とその政権は、これに対しどのような高いツケを払うことになるのか。そして日本と隣国の人々がこの愚かな指導者によってどのような迷惑を被ることになるのか。日本の外交孤立をますます深めながら軍拡を進める危険な政権にこれ以上日本市民の代表を務める資格はあるのか。@PeacePhilosophy 


追記:上記を投稿してから米国大使館による日本語訳を発見。リンクはこちら。http://japanese.japan.usembassy.gov/j/p/tpj-20131226-01.html

関連報道:
AFP
安倍首相の靖国参拝に「失望している」、米大使館が声明

このブログでの関連投稿:
ニューヨーク・タイムズ社説で安倍政権批判-「日本の危険な時代錯誤ぶり」


Sunday, December 22, 2013

沖縄「100人委員会」から知事への要請; 平和と人間の尊重のため、辺野古埋め立て申請を不承認に!

沖縄の平和創造と人間の尊厳回復を求める100人委員会」(2013年3月発足)の仲井真沖縄県知事への要請書を紹介します。


沖縄県知事 仲井間弘多 殿

米軍普天間飛行場の辺野古移設に向けた埋め立て申請不承認の要請

知事は、県外移設公約を貫き、豊かな辺野古の海を守ってください。
そのために、ぜひ公有水面の埋め立てを承認しないでください。

普天間基地の即時閉鎖、辺野古の公有水面埋め立ての不承認を求める声は、沖縄県民の強い思いの表れです。一部、政府の恫喝に屈した者があるとはいえ、辺野古移設に反対する意思は明確であり。すでに74団体による女性たちは、知事の県内移設を認めないという判断を信頼し、知事を支える集会を開催しています。また多くの市民団体もそれに続いています。

私たちは、次に掲げる理由から埋め立てに反対します。

・新基地建設のための埋め立ては、沖縄戦を経験してきたこの地を再び戦争にむけて新たに提供することになります。

・地域住民にとって海は、長年ともに暮らしてきた生存の場、文化創造の場であり、それが大規模に破壊されます。

・豊かな海を糧にしてきた漁業従事者にとって、埋め立ては致命的打撃を受けることになります。

・予定地には、藻場があり、沖縄を北限とする貴重なジュゴンが生息しています。

・辺野古、大浦湾には豊かなサンゴが生育しており、多様な生態系がみられます。

・埋め立て用土砂の採取は、採取地の環境破壊を招くと共に、搬入土砂が辺野古周辺地域及び海域に与える影響も多大です。
 
「辺野古移設は不可能」など日ごろの知事の発言に励まされ、感銘した県民も非常に多いと思います。名護市長の意見書には「基地に依存せず、豊な自然を活かした自立経済を目指し、基地被害のない平穏な地域で、お金では買えない命、人間の真心を守りたい」旨の声が寄せられています。知事は、平和で人間が尊重される状態で暮らしたいという、市民の声をしっかり受け止め、申請の不承認とされるよう強く要請いたします。

20131222

沖縄の平和創造と人間の尊厳回復を求める100人委員会

顧問 大田昌秀・大城立裕
共同代表 (50音順)
  安里英子・石原昌家・上里賢一・高良沙哉・
高良鉄美・比屋根照夫・宮城(内海)恵美子

  

Tuesday, December 17, 2013

ニューヨーク・タイムズ社説で安倍政権批判-「日本の危険な時代錯誤ぶり」 New York Times Editorial Criticizes Japan's "Dangerous Anachronism"

「ニューヨーク・タイムズ」が12月16日、再び痛烈な安倍政権批判の社説を出しました。

Japan's Dangerous Anachronism 
http://www.nytimes.com/2013/12/16/opinion/japans-dangerous-anachronism.html

急ぎ和訳ですが下に紹介します。(投稿後訳語を微修正する可能性有。)@PeacePhilosophy 

(こちらもどうぞ。今年1月2日の社説の訳。)
ニューヨークタイムズ社説が安倍歴史否定を批判


社説

日本の危険な時代錯誤ぶり

2013年12月16日

安倍晋三首相の政府は今月、国会で秘密保護法をゴリ押しして通過させた。この法律は日本の民主主義の理解が根本的に変えられることを示唆している。この法律の文言は曖昧で非常に広範囲にわたるものであり、政府が不都合だと思うものを何でも秘密にすることを許すことになる。秘密を漏らした公務員は10年まで投獄されうる。報道関係者が、「不当」な方法で入手したり、秘密指定されていると知らない情報を得ようとしたりすることでさえ5年まで投獄されうる。この法律は国家安全保障を取扱い、スパイ行為やテロも含まれる。

この法案が通る直前に、与党自民党幹事長の石破茂が、自身のブログで11月29日、秘密保護法案に反対して合法的にデモを行う人たちをテロリストになぞらえた。言論の自由に対するこのような無情なまでの軽視は、安倍政権が本当は何をやろうとしているのかについての懐疑心を大いにかき立てた。日本の公衆はこの法律が報道の自由と個人の自由を侵害することを恐れていることは明確のようだ。共同通信が行った世論調査によると、回答者の82%が、法律は廃案か見直すべきだと答えている。

しかし安倍氏は、傲慢なことに公衆の不安をものともしない。法案通過後に「この法律で日常生活が脅かされることはない」と語った。自民党の古参議員の中谷元は、「政府が関与する事柄と一般市民が関与する事柄は区別されるものだ」と表明し、民主主義についての驚くべき無知を露呈した。

この法律は安倍氏の、日本を「美しい国」に作り替える聖戦における不可欠な要素である。それは、市民に対する政府の権力の拡大と個人の権利保護の縮小、すなわち愛国的な人々に支えられる強い国家を想定するものだ。彼が公言してきた目標は、約70年前、占領中に米陸軍に課された国家の憲法を書き換えることである。

昨年4月に発表された自民党の憲法草案は、基本的人権の保証についての既存の条項を取り除いている。草案は、国旗と国歌を尊重しなければいけないとする。また、国民は「自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚し、常に公益及び公の秩序に反してはならない」とする。さらに、総理大臣が緊急事態を宣言し、通常法を一時停止する権限を持つとされている。

安倍氏の目的は「戦後レジームの脱却」である。日本で批判する人々は、彼が1945年以前の国家を復活させようとしていると警告する。時代錯誤的で危険な思想だ。

(以上)

原文はこちら


Friday, December 06, 2013

戦争ができるように法律を変える方向性

10月13日と14日、大阪で開催された「九条世界会議」をレポートした北海道新聞の大西隆雄編集委員の記事(11月24日2面掲載)を紹介する。

ここに紹介されている晩年の加藤周一(08年没)の言葉がある。
(防衛、安全保障問題で言えば)日本のすべてが戦争に向かって進んでいる。・・・これが非常に大事なところですが、どういう方角に世の中の変化が動いでいるか・・・ある方角へ向かっている。外国に戦争があって、その戦争の中に日本が参加できるような方角へ法律を変えている。逆に戦争がしにくくなるように法律を変えた例はない、ということです。(06年12月、東京大学)
全国に反対の声が沸き上がり国際的な批判の声も高まる中、12月6日、「特定秘密保護法」が参院を通過し成立した。今こそこの加藤氏の警鐘に耳を傾けるときではないか。明日、12月8日は日本が米英に戦争を仕掛けた記念日である(1941)。12月13日は日本が南京を占領した日だ(1937)。南京と郊外ではすさまじい残虐行為が繰り広げられた。このような歴史的重要な節目も急速なファシズム化、翼賛的な中国敵視の中でかき消されていくのであろうか。戦争を防ぐには過去の戦争から目を背けずその教訓を抱き続けることである。そうではない方向性は戦争への方向性だということを忘れてはいけない。@PeacePhilosophy


「ツワネ原則」作成を率いた財団が緊急声明発表-日本の秘密保護法は国際水準を大きく下回る。「米国からの圧力」は理由にならない。Japan's New State Secrecy Law Threatens Public Accountability

今や有名になった「国家安全保障と情報への権利に関する国際原則」(「ツワネ原則」概要はhttp://peacephilosophy.blogspot.ca/2013/09/global-principles-on-national-security.html 日弁連による全文訳はhttp://www.nichibenren.or.jp/library/ja/opinion/statement/data/2013/tshwane.pdf)。特定秘密保護法案が国会で審議される中、この作成のイニシアティブを取った財団が緊急声明を出しました。仮訳つきで紹介します。
Japan's New State Secrecy Law Threatens Public Accountability
日本の新しい国家秘密法は公共に対する説明責任を脅かす
 2013年12月5日
NEW YORK—The Open Society Justice Initiative has expressed its deep concern over the provisions of Japan’s new state secrecy law, expected to be adopted by the country’s parliament on Friday.
ニューヨーク発-オープン・ソサエティ・ジャスティス・イニシアティブ[訳者注:ツワネ原則作成を主導したオープン・ソサエティ財団の一部門]は、金曜日(12月6日)に日本国が採択することが予想されている新規の国家秘密法の規定に対し深い懸念を表明した。
Sandra Coliver, senior legal officer at the Justice Initiative, noted that the new law falls far below international standards in setting strict limits on the public’s right to know about national security and national defence issues.
ジャスティス・イニシアティブの上級法務官サンドラ・コリバーは、この新法が、国家安全保障と国家防衛に関する事項についての公衆の知る権利に厳格な制限を設定することにより、国際基準を大きく下回るものになっていると指摘した。
“This law represents a step backwards for Japan,” said Coliver, who heads the Justice Initiative’s work on right to information issues. “It proposes a level of secrecy that threatens proper public accountability.”
ジャスティス・イニシアティブにおける情報への権利に関する研究事業を率いるコリバーは、「この法律によって日本は一歩後退することになる」と語った。
Morton Halperin, senior advisor to the Open Society Foundations, who held key national security positions in three U.S. administrations, said: “This law is about as bad as any that a democratic government has considered in the 21st Century. What is of equal concern is the speed at which it was enacted without extensive hearings or consultation with civil society and global experts.”
オープン・ソサエティ財団の上級顧問で、米国の3つの政権において国家安全保障の重要ポストを務めたモートン・ハルペリンはこう述べる。「この法律は21世紀の民主主義国家が検討するものとしては最悪の部類に入るものだ。その内容と同じくらい深刻なのは、市民社会や世界の専門家を関与させた広範囲にわたる公聴会や協議会なしにスピード成立させてしまうことにある。」
Frank La Rue, UN special rapporteur on freedom of expression, has expressed concern that the bill “not only appears to establish very broad and vague grounds for secrecy but also includes serious threats to whistle-blowers and even journalists reporting on secrets.”
表現の自由に関する国連の特別報告者であるフランク・ラ・ルーは、法案は「秘密保護について極めて広範かつ曖昧な根拠を定めるだけでなく、内部告発者、さらには機密に関して報道するジャーナリストにとっても深刻な脅威を含んでいると見られる」との懸念を表明している。
The new law includes the following provisions:
新法は以下のような規定を含む。
·         It would dramatically extend current powers under a 2001 law that empowers the Minister of Defence to keep confidential information “especially necessary to be made secret for Japan’s defence.” The new bill would extend this power to several vague and over-broad categories of information, including defence, diplomacy, “designated dangerous activities,” and prevention of terrorism.
2001年の法律[訳者注:自衛隊法改正]で「我が国の防衛上特に秘匿することが必要である」情報を防衛秘密とする権限を防衛大臣に与えた現行の権限を飛躍的に拡大させるものである。

·         The list of government entities empowered to designate information as secret would be expanded beyond the Defence Ministry to include every cabinet ministry and major agency of the government.
情報を秘密指定する権限を持つ行政機関のリストが、防衛省を超えて、さまざまな省庁や政府の主な機関に拡大される。

·         The maximum penalty for disclosure of classified information would be increased to 10 years imprisonment from 5 years under the 2001 law.
秘密指定された情報を公開したことに対する最大の罪が2001年時点での最大5年から最大10年に延長される。

There is no provision for review of secrecy designations by an administrative body that is fully independent of the executive branch, as well as by the courts. In addition:
行政機関による秘密指定を行政から独立して審査する規定も、裁判所により審査する規定もない。
·         It does not include a “public interest override,” that would allow disclosure if the public interest in the information outweighs the likely harm from disclosure.
公開することにより生じる可能性のある害よりも、公益の方が大きいと思われる情報の公開を許可する「公益優先」についての条項がない。

·         It fails to include a public interest defense. This provides that a person who leaks information of high public interest should not be subject to criminal penalties if the public interest in the information is greater than the actual harm caused.
公益的開示をした者を守る条項がない。これは、高い公益性を有する情報を流出させた人は、その情報における公益性がその情報が実際にもたらす害より大きい場合は刑事処分の対象とはしないと規定するものである。

In all these areas, the law falls far below international standards and best practice, as reflected in a set of  global principles on national security and the right to information, called the Tshwane Principles, which the Justice Initiative helped draft.
今回の法律はこれらの全ての側面において、「ツワネ原則」と呼ばれる国家安全保障と情報への権利に関する国際原則集に反映されている国際基準と最優良事例(ベスト・プラクティス)に比べて、著しく劣るものである。

The Tshwane Principles are based on international and national law, standards and good practices, and are reflected in the laws of modern democracies as well as decisions of regional courts. They were drafted by 22 organizations and academic centers from around the world, in consultation with more than 500 experts, including with security sector, intelligence and diplomatic experience. They have been endorsed by the Parliamentary Assembly of the Council of Europe, the relevant UN special rapporteurs, and the special rapporteurs on right to information or freedom of expression of the Inter-American and African human rights systems.
ツワネ原則は国際法と各国の国内法、さまざまな基準と優良な事例にもとづくものであり、現代の民主主義社会における法律や各地の裁判所での決定に反映されている。安全保障セクター、諜報や外交の分野で経験のある500人の専門家の助言を受け、世界中の22の団体と研究機関により起草されたものである。ツワネ原則は欧州評議会議員総会、国連の関連する特別報告者たち、そして環米およびアフリカの人権保障諸制度の情報への権利または表現の自由に関する特別報告者たちに支持されている。
The principles recognize that the government is justified in keeping sensitive information from the public for periods of time, as long as secrecy decisions are necessary to protect against an identifiable harm and are periodically reviewed. The Japanese bill does not meet this standard.
ツワネ原則は、秘密指定の決定が確認可能な害から守るためであり、定期的に審査を受ける限りは、政府が繊細な情報をある一定期間公衆から隠すことを認めている。しかし日本の法案はこの基準を満たしていない。
Prime Minister Shinzo Abe has repeatedly declared that the need for a tougher secrecy law is indispensable to his plan to create a National Security Council based on the American model. Japanese newspapers have also reported that U.S. officials have pushed Japan to tighten its secrecy regime.
安倍晋三首相は、米国のモデルにもとづく国家安全保障会議(NSC)を作る計画に、より厳格な秘密法が必要不可欠であると何度も言明している。日本の新聞各社も、米国高官が日本の秘密指定制度をより厳しくするよう日本に圧力をかけていると報道している。
But several close U.S. allies allow public interest considerations in classification decisions, have maximum penalties of five years or less for unauthorized disclosures of classified information, permit designation of state secrets by fewer ministries, and have processes by which secrecy designations can be challenged before the courts and/or other independent bodies.
しかし米国の親密な同盟国の中には、秘密指定の決定に公益性を考慮し、秘密情報の許可なき公開に対する処分は最高5年かそれ以下で、国家秘密指定を許す行政機関の数もより少なく、秘密指定に対し裁判所や他の独立機関により異議を申し立てることを可能にするプロセスを備えているところは数か国ある。
“The model of US classification is hardly one that should be forced on other countries. The huge amounts of information classified by the US government make it virtually impossible to protect genuine secrets,” Sandra Coliver added. “National security is best protected when the public is well informed about the state’s activities, including those undertaken to protect national security.”
サンドラ・コリバーは、「米国の秘密指定のモデルは他国に強要するべきものでは決してない。米国政府により秘密指定を受ける情報は膨大であり、本当に必要な秘密を守ることを事実上不可能にしている。」と付け加えた。「公衆が国家の活動についての情報をしっかり得ることによって国家安全保障は最大限に守られる。それは国家安全保障を守るためになされることも含む。」
仮訳:乗松聡子 info@peacephilosophy.com  @PeacePhilosophy

(訳は読む人に迅速に概要を理解してもらうために急いで行ったものなので100%正確とは保証できません。送信後修正する場合があります。報道などされる場合はそれぞれの責任で確認してください。この仮訳での訳語を使うのは自由です。広めてください。)

Monday, December 02, 2013

石破氏、菅氏の暴言と、『シランフーナー(知らんふり)の暴力』

(11月26日に投稿したものの修正投稿です)

石破茂自民党幹事長がブログで、秘密保護法に反対しデモする市民をテロリスト扱いしたことが憲法にもとる発言であると批判されている。

石破氏のブログの訂正箇所を引用。

・・・主義主張を実現したければ、民主主義に従って理解者を一人でも増やし、支持の輪を広げるべきなのであって、単なる絶叫戦術はテロ行為とその本質においてあまり変わらない本来あるべき民主主義の手法とは異なるように *1 思います

普天間基地「県外移設」を唱え、沖縄の民主主義によって選出された自民党議員を脅迫と懐柔によって公約撤回させた石破氏に「本来あるべき民主主義」を語る資格はない。

自民党県連の翁長政俊会長は、県連も「県外移設」を撤回し辺野古を容認するように方針転換した責任を取って12月1日辞意を表明した。2日「琉球新報」に報道された翁長氏の発言を抜粋。

・・・県民は厳しい環境の中で長年基地問題と対峙してきた。不条理や不平等が引き起こされる中で政府に解決を求めてきたが、県民が理解できるように問題が解決してこなかったのも事実だ。

・・・(方向転換に関する本土での論調について)
沖縄は転ぶべきして転んだとの心ない意見もある。国民の大多数が日米安保の平和と安全をぬくぬくと享受している。

沖縄県外の日本の人は、沖縄県民を裏切った自民党議員を県民と一緒になって批判しすることによって正しいことを言っているような気になっている人が多いように見えるが、私たちはこの翁長会長の声にこそ耳を傾けるべきである。このような状況に沖縄を追い込んでいるのは日本人なのだから。

「県外移設」については、菅官房長官は11月18日の記者会見で「政府の立場は明解でありますから、県外移設はあり得ないと、そこは厳しく、・・・あのお、しっかり申し上げます。」と言っている。これにもびっくりした。自分でもまずかったと思ってあわてて言い直しているが、「厳しく」という言葉を使っている。

何をもって政府は沖縄に対して「厳しく」対処する権利があるのか。これが沖縄でなく他の地域だったらこのような言語を使うだろうか。

この「厳しく」の意味は何なのか。

☆☆

私たち日本の人間は一人一人は沖縄に対して意識的に「差別してやろう」とか「植民支配してやろう」とか思って暮らしているわけではないかもしれない。しかし実際は、無関心、無知、無視、同情、ニグレクト、といった形で差別を毎日行ってきている。基地を押しつけている状況が変わらないかぎりどんなに「申し訳ない」と思っても、どんなに「連帯」行動をしても、差別している事実に変わりはないのだ。政府のこの人たちの言動は残酷、醜悪としか言い様がない。しかし私たちこそ、翁長氏が言うように、沖縄に基地を押しつけてしらんぷりしているのである。このような暴力を沖縄にふるい、秘密保護法案や改憲・解釈改憲で市民の権利を縛ろうとしている政府を選んでいるか、選ばれるのを許してしまっているのである。今問われているのは私たち一人一人の責任意識と行動である。

☆☆

知念ウシ氏の新刊 『シランフーナー(知らんふり)の暴力』(未来社)を読んでほしい。この本には誰もが「自分」を見つけるであろう。

乗松聡子 @PeacePhilosophy