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Wednesday, April 24, 2024

ジェフリー・D・サックス「CIAはいかに世界を不安定化させるか」(Common Dreams 寄稿)Jeffrey D. Sachs: How the CIA Destabilizes the World (Japanese Translation)

Jeffrey D. Sachs サイトより
メインストリームの経済学者であるコロンビア大学のジェフリー・サックス教授は米国の帝国主義と軍産複合体に真正面から批判の声を上げていることで、これらの権力の下僕と化したメインストリームメディアから疎まれるようになっています。サックス氏はいま学界から市民活動まで幅広い分野で西側プロパガンダと闘っています。戦争と制裁でグローバルサウス諸国を攻撃・搾取を続ける米国および西側諸国の「ルールに基づく秩序」ならず「マイルールに基づく秩序」を正し、公正で平和な世界を作ろうと声を上げている、貴重な論客だと思います。彼がプログレッシブなネットメディア『コモン・ドリームズ』に寄稿したCIAについての記事は核心をついていると思い、ここに翻訳を紹介します。Deepl訳を調整しました。翻訳はアップ後修正することがあります。文中のハイパーリンクは翻訳では省略してあるので原文をご覧ください。@PeacePhilosophy 

How the CIA Destabilizes the World

https://www.commondreams.org/opinion/cia-destablizes-the-world?fbclid=IwAR2-dJ8ygNnfCvLp4z6ftKWKUjgHkmq7vVlKZEB3XhJ4NgPwCO876tUKOx4


CIAはいかに世界を不安定化させるか

ジェフリー・D・サックス

2024年2月12日

チャーチ委員会が暴露した犯罪の結果、CIAの悪質な作戦の数々が歴史に幕を下ろすか、少なくともCIAが法の支配下に置かれ、公的な説明責任を果たすようになっていたならよかったのだが......。しかし、実際はそうならなかった。


CIAには3つの基本的な問題がある:その目的、方法、説明責任のなさである。CIAの作戦目的は、国際法や米国法に関係なく、CIAや大統領がその時々の米国の利益になると定義したものである。その方法は秘密主義で偽りだらけである。その説明責任のなさは、CIAと大統領が国民の監視なしに外交政策を運営することを意味する。議会はないがしろにされ、余興でしかない。

近年CIA長官を務めた、マイク・ポンペオはCIA時代のことをこう語っている: 「私はCIA長官だった。私たちは嘘をつき、ごまかし、盗んだ。それらを教えるための訓練コースもあった。アメリカの実験の栄光を思い起こさせる。」

CIAは、戦略サービス局(OSS)の後継組織として1947年に設立された。OSSは第二次世界大戦中、諜報活動と破壊工作という2つの異なる役割を担っていた。CIAはその2つの役割を引き継いだ。一方では、CIAはアメリカ政府に情報を提供する。もう一方では、CIAは「敵」、つまり大統領やCIAが敵と定義した相手を、暗殺、クーデター、騒乱の演出、反乱分子の武装化など、幅広い手段を使って転覆させることだった。

世界の安定と米国の法の支配に壊滅的な打撃を与えたのは、後者の役割である。CIAは今日もその役割を追求し続けている。事実上、CIAはアメリカの秘密軍隊であり、何の説明責任も果たさずに世界中に騒乱を引き起こすことができる。

ドワイト・アイゼンハワー大統領が、アフリカの新興勢力であるザイール(現コンゴ民主共和国)のパトリス・ルムンバを「敵」だと決めつけると、CIAは1961年に彼の暗殺を謀り、アフリカの民主化への希望を損なわせた。CIAによって暗殺されたアフリカの大統領は、ルムンバが最後とはとてもいえないだろう。

CIAはその77年の歴史の中で、1975年に一度だけ重大な公的責任を問われたことがある。この年、アイダホ州選出の上院議員フランク・チャーチが上院の調査を主導し、暗殺、クーデター、不安定化、監視、メンゲレ式の拷問や医学的「実験」など、CIAの衝撃的な暴挙を暴露した。

チャーチ委員会によるCIAの衝撃的な不正行為の暴露は、最近、ジェームズ・リゼン調査報道記者による素晴らしい本『The Last Honest Man』(最後の正直者): CIA、FBI、マフィア、ケネディ家―そして民主主義を守るための一人の上院議員の戦い』に記録されている。

このたった一つの、議会による政府監視が機能したケースは、珍しい出来事が重なったために起こった。

チャーチ委員会の前年、ウォーターゲート事件はリチャード・ニクソンを失脚させ、ホワイトハウスを弱体化させた。ニクソンの後継者であったジェラルド・フォードは、選挙で選ばれたわけでもなく、元下院議員であり、議会の監督権限に反対することに消極的であった。上院アーヴィン委員会が調査したウォーターゲート事件も上院に権限を与え、行政府の権力乱用に対する上院の監視の価値を実証した。重要なのは、CIAを改革しようとしていたウィリアム・コルビー長官が、CIAを新たに率いていたことである。また、同じくチャーチ委員会によって暴露された広範な違法行為の当事者であるJ・エドガー・フーバーFBI長官も、1972年に死去していた。

1974年12月、調査報道記者のシーモア・ハーシュは、その当時も今もCIA内部に情報源を持つ偉大な記者で あるが、米国の反戦運動に対するCIAの違法な諜報活動について発表した。当時の上院院内総務マイク・マンスフィールドは、個性的な指導者で知られていたが、チャーチをCIAの調査官に任命した。チャーチ自身、勇敢で、正直で、知的で、 独立心が強く、そして勇敢な上院議員であった。これらは米国の政界には慢性的に不足していた資質であった。

チャーチ委員会が暴いた犯罪の結果、CIAの不正な作戦が歴史から消え去り、少なくともCIAが法の支配下に置かれ、公的な説明責任を果たすようになっていたならどんなによかったことだろう。しかし、そうはならなかった。CIAは、海外破壊工作を含め、米国の外交政策において卓越した役割を維持することで、最後に笑い、いや、世界を泣かせたのである。

1975年以来、CIAはアフガニスタンでイスラム聖戦主義者を支援する秘密作戦を実行し、アルカイダを生み出しながらアフガニスタンを完全に破壊した。バルカン半島ではセルビアに対して、コーカサス地方ではロシアに対して、中央アジアでは中国に対して、CIAが支援する聖戦主義者を使った秘密作戦を展開してきた。2010年代、CIAはシリアのバシール・アル=アサドを打倒するための破壊的な作戦を実行した。CIAは少なくとも20年間、ウクライナで拡大する大惨事の扇動に深く関与してきた。2014年2月には、ウクライナのヴィクトル・ヤヌコビッチ大統領を暴力的に転覆させ、現在ウクライナを巻き込んでいる壊滅的な戦争を引き起こした。

これらの作戦について、何がわかっているのだろうか。内部告発者、少数の勇敢な調査記者、一握りの勇敢な学者、そして一部の外国政府が、アメリカ政府から厳しい報復を受ける可能性があることを承知で、進んで話してくれたり、話すことができた部分だけである。アメリカ政府自身による説明責任はほとんどなく、議会による意味のある監視や 制限も課せられていない。それどころか、政府はこれまで以上に秘密主義を強め、機密情報の暴露に対して、たとえその情報が政府自身による違法行為を示すものであったとしても、いやとりわけそういう時にこそ、強硬な法的措置を取るようになっている。

時折、元米政府高官がポロリと秘密を漏らすことがある。例えば、ズビグニュー・ブレジンスキーが、アフガニスタン政府を不安定化させるためにイスラム聖戦士を訓練するようジミー・カーターを誘導し、ソ連をアフガニスタンへ侵攻させる目的でCIAに命じたことを暴露したように。

シリアの場合、私たちは2016年と2017年に『ニューヨーク・タイムズ』紙に掲載されたいくつかの記事から、バラク・オバマ大統領の命令による、シリアを不安定化させアサドを打倒するためのCIAの破壊工作を知った。ここにあるのは、明らかに国際法違反の、ひどく誤ったCIAの作戦であり、それが10年にわたる騒乱、エスカレートする地域戦争、数十万人の死者、数百万人の避難民をもたらしたにもかかわらず、ホワイトハウスや議会はこのCIA主導の大惨事を一度も正直に認めていない。

ウクライナの場合、ヤヌコビッチを失脚させ、ウクライナを10年にわたる流血の渦に巻き込んだ暴力的なクーデターにおいて、米国が秘密裏に大きな役割を果たしたことは分かっているが、今日に至るまでその詳細は分かっていない。ロシアは、当時米国務次官補だったヴィクトリア・ヌーランド(現国務次官補)と駐ウクライナ大使のジェフリー・パイアット(現国務次官補)がクーデター後の政府について謀議した通話を傍受し、公開することで、世界にこのクーデターへの手がかりを提供した。クーデター後、CIAは米国が支援したクーデター後の政権の特殊作戦部隊を秘密裏に訓練した。ウクライナにおけるCIAの秘密工作について、アメリカ政府は口を閉ざしている。

現在はフリーの記者であるシーモア・ハーシュが言うように、CIAの工作員がノルド・ストリーム・パイプラインの破壊を実行したと信じる十分な理由がある。ハーシュが『ニューヨーク・タイムズ』紙に在籍していた1975年当時、同紙はまだ政府の責任を追及しようとしていたのだが、今や『タイムズ』紙はハーシュの証言を調べようともしない。

CIAに公的責任を問うことは、もちろん険しい道のりである。大統領も議会もやろうとすらしない。主流メディアはCIAを調査せず、代わりに「匿名の高官」と公式の隠蔽工作を引用することを好む。主流メディアは怠惰なのか、隷属させられているのか、軍産複合体からの広告収入減を恐れているのか、脅されているのか、無知なのか、あるいは上記のすべてなのか、無知なのか、そのすべてなのか。そんなことはわからない。

わずかな希望の光がある。1975年当時、CIAは改革者によって率いられていた。今日、CIAを率いているのは米国の外交官として長年活躍してきたウィリアム・バーンズだ。バーンズはウクライナについての真実を知っている。2008年当時駐ロシア大使を務め、NATO拡大をウクライナにまで押し進める重大な誤りについてワシントンに電報を打ったからだ。バーンズの地位と外交実績を考えれば、おそらく彼は緊急に必要とされる説明責任を支持するだろう。

CIAの作戦の誤りに起因する継続的な混乱は、驚くべきものである。アフガニスタン、ハイチ、シリア、ベネズエラ、コソボ、ウクライナ、さらにはそれ以外の国でも、CIAの破壊工作によって不必要な人命の損失、不安定化、破壊が今日まで続いている。主流メディア、学術機関、議会は、これらの作戦を可能な限り調査し、民主的な説明責任を果たすために文書の公開を要求すべきなのだ。

来年はチャーチ委員会の公聴会から50周年にあたる。50年経った今、チャーチ委員会自身の先例にならい、その経験をを教訓とし、いまこそ目隠しを外し、米国主導の騒乱の真実を暴き、米国の外交政策が透明性を持ち、説明責任を果たし、国内外を問わず法の支配に服し、仮想敵国を破壊するのではなく世界平和を目指す、新たな時代を始める時である。


ジェフリー・D・サックス

ジェフリー・D・サックスは、2002年から2016年まで地球研究所の所長を務めたコロンビア大学の大学教授兼「持続可能な開発センター」所長。「国連持続可能な開発ソリューション・ネットワーク」会長、国連ブロードバンド開発委員会委員。これまでに3人の国連事務総長の顧問を務め、現在はアントニオ・グテーレス事務総長の下でSDGsアドボケート(SDGs提唱者)を務めている。近著に『A New Foreign Policy: Beyond American Exceptionalism [新しい外交政策:米国例外主義を超えて]』(2020)。その他の著書には 『 Smart, Fair, and Sustainable[賢く、フェアで、持続可能]』(2017年)、潘基文との共著『The Age of Sustainable Development[持続可能な開発の時代]』(2015年)など。

Tuesday, April 23, 2024

第9回 戦争の加害パネル展 (横浜にて) 4月27日~5月5日 Annual Japanese War Atrocities Exhibit in Yokohama: April 27 to May 5, 2024

 今年も「戦争の加害パネル展」が横浜で開かれます。チラシをここに紹介します。





また期間中、「万人坑」調査で知られる青木茂さんによる講演があるとのことです。

 

第9回  戦争の加害パネル展(かながわ)                       

ミニ講演会の御案内 (参加無料)                               

日時:2024年5月4日(土)14:00~16:00 

場所:かながわ県民センター  パネル展会場内 

演題: 中国人強制連行・強制労働と万人坑(人捨て場) 

講演:青木茂(中国人強制連行・強制労働と万人坑に関する著書多数) 

(ミニ講演会の会場内で著書を販売します) 

Saturday, April 06, 2024

藤井正希著『検証・群馬の森朝鮮人追悼碑裁判』出版記念講演の呼びかけ人になったことを事後撤回します。

(4月7日追記:6日の時点で誤引用をしていたので削除しました。109ページの引用は他者の発言、124-5ページの引用は関東大震災虐殺否定本をまとめた表現でした。昨日は講演のショックのため注意が散漫になっていました。お詫び申し上げます)

(4月12日追記:藤井氏の講演動画はここにあります。

https://www.youtube.com/watch?v=mtYOU5uuXM8&t=7s 

【4月12日追記。講演で多くの人が違和感、怒りを感じたことをスルーして本の引用の話にすり替えている人たちがいるので、本の引用の部分は削除します。本についてもヘイトスピーチを容認、真実はわからない、歴史否定を歴史と同列に並べ両論併記していること等を私は問題視していますが、この発信の主旨は講演に対する批判です。】

【4月26日追記。「『検証・群馬の森朝鮮人追悼碑裁判』出版記念会実行委員会」からの声明「『検証・群馬の森朝鮮人追悼碑裁判』出版記念会の不手際について」が出ました。呼びかけ人数人を含む多くの人たちから講演内容への懸念が表明されたにもかかわらず、それらに向き合わず、「事実にもとづかない『論争』」、「藤井さんへの誹謗中傷」「名誉毀損」としか理解されていないことがわかり、大変残念な気持ちです。私を含む懸念を表明した人たちが事実と異なることを言っているとしたら訂正すべきですが、何が事実と違うのかが提示されていません。私が私の見解や意見を述べる権利は藤井正希さん自身、否定なさることはしないでしょう。ひとつ補足しますが、私にとっては、歴史否定はヘイトに値します。「朝鮮人の強制連行はなかった」という歴史否定について、「物事にはいろいろな見方がある」から共存すべきという意見は、私にとっては受け入れられないということです。今回、残念な結果となりましたが日本の植民地主義と闘う同じ目的を持つもの同士ですので、そこを大事にして前に進みたいと思います。対話をしてくださった、関係者みなさんに敬意を表します。群馬の森の朝鮮人追悼碑の撤去に抗議し、碑が再び設置されることを願い、歴史の記憶と被害者の追悼を続けることを支持し、私もそのような尽力の一端を担いたいと思っています。


さきほど、この、私も宣伝してしまったイベントの藤井正希氏の講演を聞いたあと退場しました。

【4月6日 東京でのリアルイベント】歴史修正主義とたたかうために:『検証・群馬の森朝鮮人追悼碑裁判』出版記念会https://peacephilosophy.blogspot.com/2024/02/4653068-ike-biz-107-800-150-e-mail.html

https://peacephilosophy.blogspot.com/2024/02/4653068-ike-biz-107-800-150-e-mail.html 藤井正希氏は、群馬の森の朝鮮人追悼碑の集会で「強制連行」という言葉を使ったことについて「ルール違反は明確」を繰り返しました。その「ルール」が「強制連行と言わない」などというルールではなく「政治的行事はしない」という条件でした。強制連行を強制連行と呼んではいけないのならいったい何のためにこの碑があるのか。しかし藤井氏は、碑自体を問題視したいがためにそれを「政治的表現」と解釈した県の側に完全に立っているように見えました。 また、関東大震災虐殺、強制連行、日本軍「慰安婦」を「嘘やデタラメ」と言うのも「表現の自由を守らなけばいけない」と何度も豪語し、強制連行などを認めた「政府見解」が気に入らないなら日朝宣言等撤回させればいいという、県や右派への批判的論調の中とはいえ「臭い匂いは元から断つ」といった表現を使い、強制連行をや関東大震災時虐殺や「慰安婦」を語る者を「臭いもの」扱いしたような結果になりました。 そのころには吐き気と目眩で私はそこにいられない気持ちになりました。政府見解至上主義的なところも大変気になりました。この中にはこれらの歴史(関東大震災虐殺、強制連行、日本軍「慰安婦」)に近い、当事者の人たちもいると思うといたたまれませんでした。

事後になってしまいますが呼びかけ人になったことを撤回します。歴史否定(ヘイト)と共存しろなどという人とその本を推薦することはできません。