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Tuesday, September 01, 2026

高井弘之:「中国への戦争態勢」の状況と反戦運動の課題 Hiroyuki Takai: The Current State of War Preparations Against China and the Challenges Facing the Antiwar Movement

Here is the text of Hiroyuki Takai’s speech at the webinar “Re-narrativizing Hiroshima & Nagasaki: Resisting the Remilitarization of Japan,” held on August 11, 2026, and organized by Tricontinental Asia. Click HERE to watch the webinar recording.

8月11日の、トライコンチネンタル・アジア主催のウェビナー「広島・長崎の記憶を語りなおし日本の再軍備化に抵抗する国際会議」で一緒に登壇した高井弘之氏の講演原稿をアップします。イベントの動画はここにあります。

高井さんは、「1840年代から1940年代の100年に及ぶ時期のいずれかに、あるいは継続的に、中国への侵略を行なって来た帝国主義列強と呼ばれた諸国」がまさしく現在中国に牙を向けている国々と指摘します。まさいしく、欧米列強プラス日本。また、日本は加害国だったにもかかわらず、日本国内の歴史記憶が「被害」中心のために、戦争とは「他国が責めてくるもの」と思い込んでいるという指摘はその通りと思いました。言語になっていそうで、なっていない、本質を言語化する高井さんの言論から目が離せません。@PeacePhilosophy


 「中国への戦争態勢」の状況と反戦運動の課題


高井弘之


一 日米による「対中国戦争態勢」の構築―その実態―

 

(1)「臨戦態勢」化する日本

 

沖縄から全国へと拡大する軍事拠点化

 いま日本では、「中国への戦争態勢」が急ピッチで構築されています。それは、沖縄・奄美地方で2010年代の半ばころから始められ、数年前からは九州・西日本・全国へと拡大しています。中国大陸を包囲する形で配備されているミサイル部隊には、今年から、中国大陸まで届く飛距離の長いミサイルが配備され始めました。これら長射程ミサイルは、今後、全国各地に配備されていく予定です。

 

民間空港・港湾・船舶・公道の軍事利用

自衛隊(日本軍)の演習や日米等の共同軍事訓練では、各地の民間空港・港湾のほか、私たちが日常生活で使っている一般道路やさまざまな公共施設も使われ、部隊や軍備の輸送に民間船舶や定期航路も使用されるようになっています。

 

自衛隊司令部の地下化

 また、政府・防衛省は、自衛隊司令部の「地下化」も進めています。それは、23年度に沖縄・九州の基地・駐屯地6か所が予算化されたことから始まり、その対象は、徐々に、全国へと広げられています。

政府は、日本への武力攻撃を抑止するため、つまり、戦争を起こさせないための軍備だなどとして軍拡を進めて来ました。しかし実際は、中国と戦争することを想定し、そのとき、軍の司令部のみを「地下化」によって守る準備を始めているのです。地上にいる住民の命ではなく、地下司令部の生存と戦闘態勢のみを守り維持しようとしているのです。

 

日米NATOによる「対中国軍事包囲網」の構築

 この「中国への戦争態勢―中国に対する軍事包囲網」の構築は、もちろん、日本単独でのものではありません。数年前から、米日の軍隊だけでなく、西欧からイギリス・フランス・ドイツ・オランダなどの軍艦や空母が、中国の近くまではるばるやって来て、その周辺の地域・海域で、しきりに合同軍事演習をやっています。

これらの国々は、1840年代から1940年代の100年に及ぶ時期のいずれかに、あるいは継続的に、中国への侵略を行なって来た帝国主義列強と呼ばれた諸国です。つまり、列強の軍隊が再び中国近海へと戻って来ているのです。

2024年に行なわれた日米共同統合演習「キーン・ソード25」は、日米の軍隊合わせて、総勢4万5千人の兵士、40隻の軍艦、370機の軍用機に加え、オーストラリア軍、カナダ軍も加わって大規模に展開され、英仏独伊・NATOなどもオブザーバーとして参加しました。演習は、米軍・日本軍(自衛隊)の基地だけでなく、合計30余の民間の空港・港湾も使用されました。

 沖縄・奄美には、日米共同指揮所が作られました。ここで行なわれたのは、まさに、「戦争の指揮」であり、その訓練です。ミサイル部隊が配備されている奄美・沖縄・宮古・石垣の島々では、「本土」の部隊と共に、中国艦船への攻撃を想定しての、対艦ミサイル発射訓練が行なわれました。

 そして、2025年も、今年2026年も、これまでよりもさらに大規模かつ実戦的な合同軍事訓練が展開され続けています。

 

東アジア全域での戦争戦略―「ワンシアター」構想―

2025年3月、中谷防衛大臣(当時)は、ヘグセス米国防長官に、「ワンシアター構想」を提起しました。構想は、朝鮮半島・東シナ海・南シナ海をワンシアター(一つの軍事作戦が実行される地域―戦域)と捉えて、日米を中心とする関係国が共同で行動しようというものです。

これは、日本から遠く離れている南シナ海(南中国海)までも、自衛隊にとっての「戦域」と捉えていることを示すものであり、まさに、南シナ海を含めた「対中軍事包囲網構築」の提起です。実際に、この海域では、すでに数年前から日米等の合同軍事演習が行なわれています。

 今年、5月6日には、フィリピンのルソン島北部で、小泉防衛大臣も視察する中、陸上自衛隊の地対艦ミサイル部隊によるミサイル実射訓練も行なわれました。

 

 

(2)大日本帝国の軌道の上に在る「対中国戦争態勢」


近代日本国家は、150年前の東アジアでの台頭期以来、周辺諸国への軍事侵略―占領を次々と展開し、膨大な数の人びとを殺戮―支配し、アジアの大国となっていきました。この長い期間、日本は、アジアの人びと・国ぐにに対する支配・加害者として、独自に、あるいは欧米列強と共に、東アジアを軍事的・経済的に侵略し、戦争を起こし、平和を奪って来ました。欧米と共に、東アジアの国ぐに・人びとに対してそのようにしたのは、東アジアで日本だけです。

いま行なわれている対中戦争態勢の構築は、この大日本帝国が歩んで来た軌道の上にあるものです。

戦後日本国家は、自らの侵略・植民地支配を深く反省することも、その侵略責任・支配責任を果たすこともないまま、いま、新たな戦争体制を構築し始めています。中国への攻撃態勢であるそれは、いまや、臨戦態勢の域にまで達しています。いまの高市政権は、この「大日本帝国の軌道」に、さらに徹底して乗ろうとしているようです。

高市首相は、昨年11月、国会において、中国が台湾統一行動に出た場合の日本の対応に関する発言を行ないました。この「高市発言」とは、中国が台湾の武力統一行動に出た場合、(日本が攻撃されていなくても)軍事力を行使してそれを妨害する――中国に戦争を仕掛けるという意味です。これは、中国にとって、何を意味するでしょうか。

周知のように台湾は、日本が行なった日清戦争(中国侵略戦争・朝鮮植民地化戦争/1894~95年)後の講和条約によって日本が中国に割譲させ、その後の「台湾征服戦争」によって完全に植民地にしたところです。つまり、日本が中国から奪ったところです。そして、「台湾統一」とは、中国にとって、日本に奪われ、日本の敗戦後も米国の妨害によって分離・分断状態であり続けたその台湾を取り戻す――「回復」する行為です。「高市発言」は、その「回復行為」を、台湾のかつての宗主国・日本は許さない、という意味を持つことになります。

また、これは、日本が中国への侵略を反省し両国の平和友好関係を約束したものとして、この50年余りのあいだ、「一応」機能して来た「日中共同声明・日中平和友好条約」体制を――国連・国際法体制でもあるそれを、公然と破る発言でした。

 さらに恐ろしいのは、高市政権の対中姿勢を支持する国内世論の状況です。当時の各世論調査では、「高市発言」を撤回する必要がないという意見が7割近くに達していました。

 かつて、日本が中国への侵略・支配を拡大していった1937年当時、日本の政府・メディアは、「暴支膺懲」(暴虐な中国を懲らしめる)のスローガンを発し続けました。日本の侵略に対する中国側の当然の抵抗行為を「暴虐・横暴」とし、だから、「膺懲」するのだとして、自らの行為を正当化し、国民の戦意を煽ったのです。

そして、多くの国民が、このスローガンとそれに基づく軍事行動を支持し、侵略への挙国一致体制がつくられていきました。この「日本政府と日本国民」だけの閉じられた空間には、問題の――現実の根本にある自らの侵略行為への視線は、存在していませんでした。

私は、いまの日本の目前の状況を見ながら、このような歴史を思い起こしています。

いま、日本政府・マスメディアには、中国への敵対意識を煽る発言が溢れ、なぜ中国が「高市発言」に強く抗議しているのかを、中国の立場に立って知ろうとする姿勢は、ほぼ、存在していません。問題の発端―起点がこの「発言」にあることさえ忘れられ、いま日本は対中「挙国一致体制」の完成へと走っているように見えます。

世界から閉じられた――自ら閉じた偏狭な「日本空間」に自足し、今日に至る「日本―東アジアの歴史」からも、現在の世界の状況からもかけ離れた、自己中で独りよがりの「自己正当化」の主張だけが声高に発せられているのです。

 しかし、手をこまねいているわけにはいきません。この恐ろしい状況と、そのさらなる進展を、私たちは止めなければなりません。そうしなければ、私たちは再び、中国―アジアの人びとに対する加害者となり、ここ東アジアに住む私たちの暮らしも命も失われてしまいます。

私たちは、近代日本150年の歴史を内省的に総括し、「対中戦争準備」を阻止し、今度こそ、日本を、東アジアの平和を実現する側の国へと変えなければなりません。

それでは、次は、以上のような日本の危険極まりない状況に対する、私たち日本の市民・民衆の活動についてお話ししたいと思います。

 

二 日本における反戦運動の現状と課題

 

(1)「新たな戦争態勢構築」に抗する闘いの登場

 

戦争止めよう! 沖縄・西日本ネットワーク

 2010年代から始められた「新たな戦争態勢―対中戦争態勢」だが、その状況は全国的にはほとんど報道されず、それに対する全国的な闘い―運動もありませんでした。沖縄・奄美地方の軍事拠点化に対する抵抗は、ほぼ、各地での孤立した闘いを強いられる状況でした。やがて、その新たな軍事態勢は九州から西日本へと拡大され始めました。

 孤立した各地の闘いをつなげ、つながり、各地・各人が連帯した共同の闘いを行なうことによって、この新たな軍事態勢を崩し、戦争を止めようという試みの準備を、私たちは、ようやく、2023年の後半ころから少しずつ始めました。2024年に入ってからは、この共同の闘いのためのネットワークを作るために、沖縄・西日本各地での交流・連帯集会を始めました。

それは、4月の愛媛を皮切りに、8月に沖縄、9月に呉(広島県)、11月に大分で行なわれ、2025年2月に鹿児島で、ネットワーク結成集会を行ない、「戦争止めよう! 沖縄・西日本ネットワーク」を発足させました。そこでの結成宣言の最後で、私たちは、次のように決意しました。 

「知り、つながり、止める。」

平和を創り出すために、本日、私たちは新たな闘いに歩み出します。互いの情報を共有し、知恵を出し合い、つながり、連帯し、市民の共同の力で、「国家による戦争」を止めます。

そして2025年6月、沖縄・西日本各地から東京へ行き、「対政府交渉」や院内集会、市民連帯集会を行ないました。その後、10月には、大規模なミサイル弾薬庫の建設が始められた京都・祝園で、11月には、一棟目のミサイル弾薬庫完成間近の大分と、全国で最初に長射程ミサイルが配備される熊本で、12月には、巨大な総合軍事拠点の計画が進行中の広島・呉で、2026年5月には、大軍港であり、トマホークミサイルが配備される予定の福井県敦賀市で、日々活動を続ける現地の人びとと全国から駆け付けた人びととが連帯して大集会を行ないました。そして、今年10月には、三度目の「東京行動」を行ない、対政府交渉や市民連帯集会などを行なう予定です。

 

若い世代の新たな反戦運動始まる

今年2月の衆院選における高市政権の圧勝後、改憲と戦争準備に反対する国会前デモに、20代・30代の若い人たち、特に女性が多く参加するようになりました。選挙後に始められたこの国会前デモは回を重ねるごとに参加者が増え、4月19日の国会前行動とそれに連帯する全国各地のデモには総計5万人を超える人々が参加しました。

 この新たに登場した若い世代の人たちは、これまで運動を続けていた団体が呼びかけるデモに参加するだけでなく、自分たち自身でもデモや集会を主催し、行なっています。東京で始まったこのような新しい動きは、いま全国各地に広がっています。

2015年に、政府が、これまでの「専守防衛」政策を変更して、集団的自衛権を認める法律を制定しようとした時――つまり、米国が行なう戦争に日本も実戦的に参加できるようにしようとした時にも、大学生を中心とする若い人たちの反対運動が起こりましたが、今回の動きは、その参加人数の多さも、地域的な広がりも、当時の状況をはるかに超えるものと言えます。もちろん、アジアの他の国々に比べれば、その勢いや参加人数はまだまだですが、長い間、若い人たちによる顕著な反政府運動や反戦運動が存在しなかったここ日本においては、画期的な動きであると言えます。

 

(2)反戦運動を高め、深めていくための課題

 

 次に、いまこの日本に構築されている「中国への戦争態勢」を実際に崩し、新たな戦争を止めて行くための課題についてお話ししたいと思います。

 

① 軍事拠点化された地域の闘いと新たな若者の闘いの合流を!

 いま紹介した前者の闘いである、軍事拠点化が進行するそれぞれの地域を拠点にして、それら地域の人たちがつながり合う形でいま展開されている軍事拠点化阻止の闘い。首都圏で、2015年の集団的自衛権を認める安全保障関連法―「戦争法」反対運動以来、国会前を中心に行なわれ続けている反改憲・反戦の運動。そして、同じくいま紹介した後者の闘いである、若い世代の人たちを中心にして新たに展開され始めた反戦・反改憲・反高市政権の運動。

これらの動きが、もっともっと深く広く合流していくこと。そして、新たな戦争態勢を崩し、戦争を阻止する闘いを、日本全国を覆う大きなうねりにまで高めていくこと。先に紹介した、「戦争止めよう! 沖縄・西日本ネットワーク」による今年10月の東京行動も、そのような視座・目的の下で行なわれる予定です。

②「中国の脅威」を理由とする大軍拡―中国脅威論の克服と解体に向けて― 

冒頭で話しました「新たな軍事態勢」の構築について、政府・マスメディアは、「中国への抑止力」強化を目的とするもの、つまり、「中国の日本への攻撃を思い留まらせる」ためのものだとしています。多くの国民もその必要性を感じ、多額の予算を要するこの大軍拡に反対していません。戦争態勢の構築は、まさに、「中国の脅威」を理由・推進力として進められています。そうであるなら、この戦争準備を止めるためには、日本社会に蔓延する「中国脅威論」を克服・解体することが必要であり、必須です。

このような状況の一方、市民・国民の多くは、日々の生活の苦しさが増し、その維持に不安を抱え、社会保障・減税などの「生活の安全保障」を求めている状況があります。

そうであるなら、実は、いま、中国が日本を攻撃する理由もメリットもなく、逆に、日米による中国への攻撃的軍事態勢こそが東アジアでの戦争の危機を高めていることを多くの人に伝えることができれば、軍拡に対する国民の支持は減るはずです。

実際、相手に「脅威」を与える軍事演習は、中国軍が米国の近くで行なっているのではなく、日米NATOが中国のすぐ近くで行なっています。米中対立が言われますが、その軍事対峙線も、太平洋の真ん中ではなく、中国のすぐ近くの「中国の防衛ライン」――第一列島線と呼ばれるラインです。

 

大軍拡より「生活の安全」を――社会保障の充実を!

軍拡は増税や社会保障費の削減とセットで行なわれるものですから、日本の軍事費の増大など必要でなく、増大はむしろ戦争の危機を高めているという認識を広げていくことができれば、軍拡を止めて軍事費を削り、それを社会保障費などに回すことを求める人々が増えていくと思います。

以上のことから、戦争態勢の構築―大軍拡を止めて行くためには、「中国脅威論」を克服・解体する作業が急務だと思います。

 

ちなみに、私が所属している「ノーモア沖縄戦・えひめの会」では、2年余り前に、中国脅威論を克服するためのリーフレット『本当に「中国は攻撃して来る」のだろうか?』を発行し、その普及活動を行なっています。このリーフレットを多くの人に読んでもらうことによって、大軍拡を支持する世論を変えて大軍拡をストップさせ、戦争を止めたいと、行動しています。私たちはこの行動を、【戦争をさせない! 中国への戦争準備をストップ! リーフレット100万部配布プロジェクト】と銘打って行なっています。

このプロジェクトには、全国各地からの呼応があります。私たちの呼びかけに応えてくれた全国各地の人びとが、それぞれの地域の街頭で、あるいは、各戸配布の形で、配布活動を行なってくれています。一人で数千部もの配布活動を行なってくれている人もいます。現在、その数は13万部を超えています。100万部にはまだまだ遠いですが、いまも、呼びかけに応えてくれる新たな人々が登場しています。

 

③ グローバルサウスの人びとの闘いと連帯し得る質を持つ反戦運動へ

 

 最後に、もう一つ大事な課題があります。それは、かつて欧米日・帝国主義列強の侵略・植民地支配を受けたグローバルサウスの人びとと連帯し得る質を持つ反戦運動にしていくという課題です。

 

世界史の大転換期としての現在

 ご存知のように、数百年にわたって世界を支配して来た欧米日諸国は、いま、歴史的な没落過程に入り、帝国主義諸国による世界支配の体制は崩壊し始めています。第二次世界大戦後も世界の政治・経済を支配して来た(「先進国」という名の)西側・帝国主義諸国がその力を失っていく一方、中国・インド・インドネシア・ブラジルなどを中心にグローバルサウスの国ぐにが経済発展を遂げ、政治的・外交的にも国際社会における存在感や発言力を獲得して来ています。つまり、世界はいま、数百年来の歴史的大転換期にあります。

 

平和を求めるグローバルサウスの国ぐに

これらの国ぐには、「平和な国際環境と紛争の平和的解決」を追求することを原則とし、かつ、具体的に、ベトナム・イラク・リビア・パレスチナ等々に対する侵略戦争に反対して来ました。

米国を筆頭とする「西側中心国」の支持・支援のもと、2023年以降新たに進行している、イスラエルによるパレスチナへの攻撃・虐殺を止めるために精力的に動いているのも、中国を含むグローバルサウスの国ぐにです。

帝国主義・植民地主義に反対し、「平等・公正で平和な国際秩序」を求めるこの姿勢は、1955年に開催されたアジア・アフリカ会議における「平和十原則」や、その後の非同盟運動に一貫して存在し続けて来ているものです。

いま行なわれているベネズエラ・キューバ・イランなどに対する米国のなりふり構わぬ行動も、百年近くにわたって世界を支配して来た自国の没落過程に対する「あがき」と言えます。今後、その追い詰められた状況下で、さらに暴力的・軍事的・理不尽に行なわれるであろう米・西側の行動にどうやって歯止めをかけるかが、この大転換期を生きる私たちに課せられた重要な課題であると思います。 

いま東アジアで中国への戦争態勢を構築している国ぐには、まさに米国を中心とする、これら西側・中心国です。そして、これらの「戦争態勢・対中軍事包囲網」は、グローバルサウスの中心である中国の弱体化を図ることによって、自らの没落を防ぐためのものです。

したがって、この日本・西側による「中国への戦争態勢」構築に私たちが抵抗し、それを崩していく闘いは、いま、ベネズエラ・キューバやイランで米国の侵略に対して闘っている人びとと共通する闘いの性格を持つものとも言えます。

 言い換えれば、現代世界の支配構造を踏まえれば、日本における私たちの闘いは、日本国家等・西側帝国主義に反対し抵抗する闘いとして、グローバルサウスの人びとと連帯し得る性格を、客観的に持っているものと言えます。

 日本での反戦運動は、現在、このような認識や視座・姿勢を持つものにはなっていません。しかし私たちは、日本における私たちの闘いをこのような認識―視座をもって捉え返し、私たちの反戦の闘いを、このような視座の射程の下、まさにインターナショナルな闘争として行なっていかなければならないと思います。そしてそれは、人類史におけるこの歴史的大転換期に、ここ東アジアで生きる私たちの歴史的課題でもあります。 

 以上、今日のこの場が、私たちアジアに生きる民衆・ピーピルによる反戦のネットワーク――〈アジア反戦民衆ネットワーク〉の形成の契機にならんことを願いながら、私の発表を終えたいと思います。


高井弘之(たかい・ひろゆき)

「戦争止めよう! 沖縄・ 西日本ネットワーク」共同代表。「四国朝鮮学校の子どもたちの教育 への権利実現・市民基金」事務局スタッフ。

著書に『「中国への戦争態勢」は誰のための何のためのものかー東アジアでの戦争を止めるためにー』 『礼賛される「日本150年」とは、 実は、何か―日本ナショナリズムの解体と新たな列島社会の形成に向け て―』他。

愛媛県今治市在住。

 

 

Tuesday, June 30, 2026

沖縄人を襲った日本人 『JP通信』26年6月号から転載 A Japanese Assault on an Okinawan 

「日本カトリック正義と平和協議会」ニュースレター「JP通信」、26年6月号に掲載された記事を、許可を得て転載します。



沖縄人を襲った日本人

 

乗松聡子

 4月11日と12日、沖縄の米軍嘉手納飛行場で「アメリカフェスト」が開催された。嘉手納基地が「友情と協力の精神のもと」に門戸を開放し、航空機や兵器を展示して地元の人たちと交流しようという恒例のオープンハウス行事である。県外からも参加者が来る。

 軍事環境研究者の宮城秋乃さんはアメリカフェストの入口で、一人で抗議行動をしていた。「NO WAR IRAN」「米国・米軍は戦争やめろ」と書いたプラカードを掲げ、スピーカーで「米国はイラン攻撃をやめろ」と訴えた。通りがかる日本人は宮城さんに罵声や冷笑を浴びせたが、中には好意的な反応もあった。

事件が起こったのは2日目の午後だった。電動車椅子に乗った男性が「わー!」と声を上げながら、背後から突っ込んできた。追突した衝撃で宮城さんは倒され、足と左手全体を負傷させられた。誰も声をかけてくれず、宮城さんは自分で110番通報した。現在、怪我の治療中である。

 加害者は岐阜県の男性で、車椅子は那覇空港でレンタルしたそうだ。沖縄の作家の目取真俊氏はブログで書いた。「岐阜県から来た日本人(ヤマトゥンチュー)が、沖縄に米軍基地の負担を押しつけていることにやましさを感じることもなく、抗議している沖縄人(ウチナーンチュー)に暴力をふるう。これは単なる個人の問題ではない。」

 そう、これは構造の問題だ。日本は、米国という戦争帝国に奴隷のように仕え、米軍基地の大半を沖縄に押し付けながら、対イラン戦争をはじめとする世界中の侵略戦争に加担している。この男がやったことは、そのような日本人が、あらがう沖縄人を暴力で黙らせようとする、政治的意図を持ったテロ行為である。

 対イラン侵略戦争は、米国が、イラン南部の小学校にトマホークミサイルを撃ち込み、150人を超える子どもたちや教員を惨殺したことで始まった。宮城さんの行動は、侵略戦争をやるな、子どもを殺すなという、当たり前の抗議である。

それなのに、宮城さんの被害を報じた沖縄タイムスのXの投稿には、宮城さんが「前科者」で、「活動家」だから自業自得であるかのようなコメント、さらに、これに乗じて沖縄の平和運動を全否定するようなコメントが何百もついた。激しい被害者バッシングだ。

 このような政治的意図を持つ暴力事件はここのところ連続している。3月19日、朝鮮総連に右翼団体の男が斧を投げ込んだ。3月24日、中国大使館に現役の自衛官が刃物をもって侵入した。どちらも一歩間違えば大惨事になっていた可能性のあるテロ事件だ。

 宮城さんを襲った岐阜県の日本人は、電動車椅子という、本来は人を助けるべき器具を武器に転じさせた。これらはいずれも、米国に追随し、隣国を敵視し、琉球列島を要塞化し、戦争に突き進む高市政権を背景にした犯罪と見ることができる。

 これらの事件について、日本メディアの報道は甚だ不十分であり、暴力に加担しているとしか思えない。朝鮮総連の斧事件はほとんど報道さえされなかった。中国大使館の事件は、中国がこれを利用して日本をさらに非難する材料にしているかの如く報じられた。岐阜の男が宮城さんを襲った事件は現時点(4月27日)では、沖縄タイムスが報じただけのようだ。

 日本人がわざわざ沖縄にやってきて戦争に抗議する沖縄人に直接の危害を加えるという事件は前代未聞である。私を含め日本人はこれを自らの問題として向き合わなければいけない。いま、加害者の側に立つのか。被害者の側に立つのか。私たちは問われている。

(「JP通信」258号ー済州島ー2026年6月 11頁より 転載)


★JP通信にはいままで何度も私の記事を取り上げていただき、深く感謝しております。このブログに転載させていただいた記事のリンクをここに記しておきます。

「先住民族に対する『ジェノサイド』と教皇の『謝罪』」ー「日本カトリック正義と平和協議会」の『JP通信』10月号より

 戦後80年 被害国の「継承」に目を向けよう 『JP通信』10月号より



Thursday, May 07, 2026

Brian Berletic & Glenn Diesen: Iran War - A Gateway to War with China & Russia (Japanese Translation) ブライアン・バーレティック&グレン・ディーセン「イラン戦争―中国・ロシアとの戦争に通じる道」(日本語訳)

このサイトでも何度も紹介したノルウェーのグレン・ディーセン教授が、3月19日、軍事評論家・国際政治評論家のブライアン・バーレティック氏に話をきく対談は非常に重要と思い全訳しました。この動画の書き起こしをアップしていたSingju Post の記事をAI翻訳し、実際に動画を聞きながら翻訳を確認・修正していきました。(翻訳はアップ後修正する可能性があります)

冒頭の部分で、ディーセン教授がバーレティック氏に対して「自分が間違っていた。あなたが正しかった」と言ったのは、米国とイスラエルによるイラン本格攻撃が行われるか否かという段階において、ディーセンは「やらない」、バーレティックは「やる」と予想していたということです。これは、ジャッジ・ナポリターノの常連ゲストのラリー・ジョンソンとレイ・マクガバン(二人とも元CIA)がやはり「やる」「やらない」で対立していたほど、情報通の分析家の中でも意見が分かれていました。

この対談では、現在のイラン戦争やウクライナ戦争を個別の地域紛争ではなく、米国が単独覇権を維持するために「多極化」に戦争を仕掛けていると位置付けています。バーレティック氏は、米国外交政策は大統領個人ではなく軍産複合体・金融資本によって規定されており、トランプ政権もその例外ではなかったと指摘しています。ベネズエラ、キューバ、イラン、ロシア、中国への圧力は一体化した戦略であり、米国の最終目的は中国のエネルギー供給網や経済成長を阻止することであると。バーレティック氏はこれらは自分の想像ではなく、米国のシンクタンクに詳細に書かれていると指摘します。特に2009年の Brookings Institution の報告書『Which Path to Persia?』や RAND 研究所の『Extending Russia』を引きながら、代理戦争、制裁、エネルギー攻撃などが長期的計画として進められてきたと説明しています。

バーレティック氏は、湾岸アラブ諸国、ウクライナ、イスラエル、日本、韓国などを「政治的に捕われた国家」と位置づけ、米国の代理勢力として機能していると論じています。ディーセン教授はロシア・ウクライナ問題の専門家であり、彼のウクライナについてのコメントは注目に値すると思います。日本とソ連が和平に近づいたが結局実現できなかった経緯にも触れています。ディーセン教授のいるスカンジナビア諸国を含め、米国の属国は完全に「捕獲」された状態で、もはや自律性を取り戻すことはないのではないかという見方もしています。たくさんの分析家が「米国がイスラエルに引きずられている」という見方をする中、バーレティック氏は、そう見せること自体が米国の戦略なのだと一貫して論じています。

★太字は重要と思われる部分に訳者がつけました。

  

 

イラン戦争―中国・ロシアとの戦争に通じる道

2026年3月19日

グレン・ディーセンのYouTubeチャンネルより

GLENN DIESEN:
またお戻りいただきありがとうございます。本日は、元米海兵隊員であり、政治アナリスト、著述家、そして「New Atlas」のホストでもあるブライアン・バーレティック氏をお迎えしています。少し間が空きましたね。番組に戻ってきてくださって本当にありがとうございます。

BRIAN BERLETIC:
また呼んでいただき、本当にありがとうございます。

トランプの戦略と中東のエスカレーション

GLENN DIESEN:
私たちはしばしば少し立場が分かれていましたね。私はあなたよりもトランプに対してやや楽観的だったと思います。というのも、私はある程度、彼のレトリックを信じていたからです。なぜなら、それは単純に米国の利益にかなっているように見えたからです。つまり、多極的な勢力分布に適応することです。政治リアリストとして、私たちは通常、合理的な国家とは自国の安全保障を最適化するためにそうした行動を取るものだと考えます。

実際、もし米国が多極的な勢力分布の中でなお米国覇権の回復を試み続けるならば、米国は自らを消耗させることになるだろうと考えられます。他の大国によって集団的に均衡化され、大規模戦争を招くことになるでしょう。対照的に、もし米国が後退し、多数ある権力中心の一つになるならば、自らの力を回復し、「米国を再び偉大にする」機会を得ることができるはずです。また、巨大なユーラシア諸国同士が少なくともソフト・バランシングを行い、どこか一国が他よりも強大になりすぎないようにするとも言えるでしょう。そしてもちろん、米国はこうした戦争を回避することができる。社会もまた、そうした戦争にかなりうんざりしてきています。

ですから私はこの理由でトランプに楽観的でした。つまり、彼はこれ以上戦争を行わない、財政規律を回復すると繰り返し主張していたからです。そして実際、昨年12月に新しい国家安全保障戦略が発表されたとき、それはおおむねこうした考えを裏付けるものでした。つまり、もし米国が多極世界の至る所に存在できないのであれば、自国の本拠地、すなわち西半球と、主要な同等競争相手が存在する東アジアに集中すべきだということです。言い換えれば、欧州と中東におけるプレゼンスを縮小しなければならないということです。

しかし、(就任後)1年以上経った今でも状況は続いています。米国は依然として、兵站、兵器、情報、標的選定という点でウクライナ戦争の主要当事者です。そしてもちろん今や、トランプは中東戦争を極限までエスカレートさせています。これはもちろんイランであり、イラクのような国とは比較にもなりません。そして地域全体に火を放っています。

ですから、今何が起きているのか、特に中東について、あなたはどのように評価していますか。これは最初から必然だったのでしょうか。それともトランプは引きずり込まれたのでしょうか。米国の戦略をどう見ていますか。これは本質的に、「アメリカ・ファースト」が「覇権回復」へと変質したということなのでしょうか。それとも、この全体をどう捉えていますか。残念ながら、あなたが正しく、私は間違っていました。

米国外交政策の構造的性質

BRIAN BERLETIC:

もしそれで少しでもあなたの気が楽になるなら、私は自分の方が間違っていてほしいと心から願っていました。なぜなら、今まさに世界的危機が形を取りつつあり、それはあなたや私、私たちの家族、友人、共同体、あらゆる人々に影響を及ぼすことになるからです。そしてこれを見ている人が誰であれ、ほぼ確実に、彼らもまたこのすべての影響を感じ始めることになるでしょう。

残念ながら、私は正しかった。そして私は2024年選挙の何か月も前から、誰が当選しようと関係ないと警告していました。なぜなら、問題は米国システムの構造的性質にあるからです。それは巨大企業と金融資本の利益によって支配されています。彼らは利益と権力の絶え間ない拡大を前提として存在しています。それが企業としての彼らの本質であり、また彼らが掌握・支配している国家システムにおいて行っていることでもあります。そして彼らは何十年にもわたってそうしてきました。

私は常に、何年も前にこれを極めて詳細に書き記していた政策文書に立ち返っています。特に現在イランに対して進行しているこの紛争についてです。私はいつも、2009年のブルッキングス研究所の報告書『Which Path to Persia(ペルシャへのいかなる道か)』に言及しています。そして章ごと、言葉ごとに見れば、ブッシュ・ジュニア政権から現在のトランプ政権に至るまで、米国はそこに列挙されていたあらゆる選択肢を実行してきました。

そして、それは単独の選択肢を用いて対イランに対し成功するという話ではありませんでした。彼らは常に、それらを相互に組み合わせて用い、相乗効果を生み出し、イランを弱体化・空洞化させ、最終的にイランを打倒しなければならないと考えていました。それは米国が他国に対して行ってきたのと同じやり方です。

バイデン政権末期のシリアがそうでした。ちなみに、それは現在トランプ政権下で進行している戦争の舞台を意図的に整えたものでした。シリアが崩壊し、米国とイスラエルがシリアの統合防空システムを破壊していた瞬間、私は彼らが航空回廊を開いているのだと警告しました。それはまさに、あのブルッキングス報告書で求められていたものです。2009年の時点から、彼らはイランを直接攻撃するための航空回廊確保に執着していました。そしてそれが実行されると、まずイスラエルがダマスカスの領事館を攻撃しました。あれは一種の試験運転でした。その後ミサイルの応酬があり、そして2025年に、すべてが始まったのです。

そして繰り返しますが、2009年の同じ政策文書は、この戦争を挑発し、最初に始める手段としてイスラエルを利用すること、あらゆる準備を進めること、そしてイスラエルを引き金として使い、報復と戦争責任の大部分を引き受けさせることについて語っていました。

もう一度強調したいのですが、これはすべて2009年の話なのです。

そして今のトランプ政権、トランプ支持者、西側メディアが、その政策文書に書かれていたまさにその手法を実行しているのを見ることができます。トランプ大統領は、イランのエネルギー生産施設を攻撃した件についてイスラエルを非難しています。しかしこれは明らかに米国・イスラエル共同作戦です。それでも彼らは、政策文書に書かれていた通り、イスラエルに責任を負わせているのです。

ですから、米国という国家がどのように機能しているのか、あるいは企業金融資本の利益に乗っ取られた国家としてどのように機能しているのかという、その構造的・物質的現実を理解することによって、米国が何をしているのか、なぜそうしているのかについて、ほとんど無限の洞察を得ることができます。本質的にそれは、利益と権力のために拡大を続ける巨大な地政学的ウイルスなのです。だからこそ、多極世界を決して受け入れることができない。なぜなら、それは彼らの絶え間ない権力と利益拡大への欲求を制約することを意味するからです。そしてそれは、その本性に根本的に反しており、現在米国を動かしている勢力が支配を続ける限り不可能なのです。

ですから残念ながら、これはすべて避けられないことでした。だからこそ、人々は実際に数年前の私の動画に戻って、私がこれらすべてについて警告していたことを確認できるのです。そしてだからこそ、事態は今のような形で展開したのです。それは私が未来を予測できるからではありません。企業が米国の外交・内政を動かしているからです。彼らはこうした政策文書を使ってコンセンサスを形成します。そして政策文書は法律家たちによって法案へと変えられ、また戦略家たちによってペンタゴンやワシントンの戦争計画へと変えられるのです。そして企業メディアがその政策を大衆に売り込み、企業利益こそ米国の利益でもあるのだと人々に信じ込ませようとします。

そしてこれこそが、誰に投票しても何も終わらない理由です。結局のところ、これらの政治家たちは皆、巨大なロビー資金や選挙献金によって権力の座に就いたのであり、その大半は巨大企業や産業ブロック全体から来ているからです。

中国・ロシアへの踏み石としてのイラン

GLENN DIESEN:
ええ、まあ、これをより大きな文脈の中で見ることが重要だと思います。というのも、ご存じの通り、地政学とは地理が政治にどのような影響を与えるかということです。そして地政学において、少なくともマッキンダーの時代以来、主たる焦点は常にユーラシアにありました。そして常に焦点となってきたのは、三つの主要勢力、すなわちロシア、中国、そして南方に位置するイランでした。

そして、私たちは新しいゲームに入ったようにも見えます。なぜなら、あなたが言ったように、彼らは常に相乗効果を探しているからです。つまり、一方を弱体化させ、互いを引き離す。そして戦争計画を見れば、これらすべてを一体として捉えようとする試みがあることがわかります。

しかし、この新しい「グレート・ゲーム」において、19世紀や20世紀とは非常に異なるものが見られます。それは絶望感、リスクを取る姿勢、自己破壊すら辞さない姿勢、あらゆるルールを投げ捨てる意志です。実際、現在のエネルギー市場を見ればわかるように、完全な無秩序を受け入れている。そして世界経済を破壊する準備さえできている。これは新しいことのように感じられます。

しかし、あなたはイラン破壊の試みを、中国やロシアに向かうための、いわば踏み石、さらなる踏み石だと見ていますか。あなたが言ったように、シリアが倒された時点で、次はイランになることはかなり予測可能でした。つまり、あなた自身が言ったように、未来を予言する必要はなく、シンクタンクや、それを事実上運営している情報機関の文書を読めばよいわけです。

さらに、ウェズリー・クラーク将軍のような人物も、ほぼそのシナリオをそのまま描き出していました。彼は(米国が)打倒する予定の七つの国について語り、イランはその最終段階として位置づけられていました。ですから、これはもはや秘密ではありません。その構図は非常に明白です。あなたはイランを、中国やロシア、あるいはその両方へ向かうための踏み石だと見ていますか。

イラン包囲の青写真としての「アラブの春」

BRIAN BERLETIC:
両方です。実際、2011年のいわゆる「アラブの春」までさかのぼって見ればわかりますが、それは実際には何年も前から米国によって仕組まれていたものであり、それを証明する文書証拠も存在しています。「アラブの春」の全目的は、アラブ世界をイランに対する統一戦線へと再編し、イランを包囲・封じ込め、最終的に崩壊させることにありました。

そして最終目標は常に――2011年当時を思い返せばわかりますが――ジョン・マケインや、おそらくリンジー・グラハム、その周辺の人々が、繰り返し公然とこう語っていました。「アラブの春」は今日アラブ世界を倒しているが、次はイランを狙う。そして最終的な目的地はモスクワと北京だ、と。彼らはこれを非常に率直に語っていました。

そしてその時から現在に至るまで、共和党政権であれ民主党政権であれ関係なく、非常に意図的で協調された段階的措置が取られてきたことがわかります。

ロシアをウクライナに縛り付けたこと――これもまた2019年のRAND研究所の報告書『Extending Russia(ロシアを過度に消耗させる)』に戻ればわかりますが――その目的はロシアを弱体化させ、拘束することにありました。そしてその報告書を見れば、現在実際に標的にされているものすべてを、彼らが標的にすると書いていることがわかります。ロシアのエネルギー輸出、ロシアのエネルギー生産、ウクライナ内部での代理戦争への拘束、周辺地域全域で問題を引き起こすこと。しかし同時に、シリアへの追加武器供与のような選択肢も含まれていました。なぜならロシアは、シリアを安定化させようと必死だったからです。

そして最終的に、これらすべてが組み合わされることで、ロシアは弱体化し、注意をそらされました。彼らは選択を迫られ、ウクライナを優先事項と決定した。その結果、シリアは崩壊しました。しかしご覧の通り、シリアそれ自体が、イランを包囲・封じ込め、戦争を仕掛けるための踏み石だったのです。そしてもちろん、このすべては中国を狙ったものです。

中国台頭を阻止するための「閉じゆく時間窓」

BRIAN BERLETIC:
米国は、中国が台頭しつつあることを理解しています。そして中国が、米国を不可逆的に追い越すまで、おそらく5年から10年――長く見積もっても10年、現実的には5年前後――しか残されていないことも理解しています。そうなれば、米国はもはや中国の台頭を減速させたり阻止したりすることが不可能になります。

特にエネルギー自立という点においてです。ここ数年、中国が何をしてきたのかを見ればわかります。海上石油封鎖を回避するための陸上ルートを構築する「一帯一路」構想に加え、中国は以前から海上封鎖の可能性を認識し、それに備えてきました。そして国内では、石炭液化産業プロセスを急速に拡大してきました。つまり、石炭を、中東から依然として輸入している燃料の代替へと転換しているのです。またロシアとのパイプライン建設を進め、ロシアから膨大な量のエネルギーを中国へ輸入しており、さらに増やす計画です。加えて、原子力発電、そしてもちろん太陽光やその他再生可能エネルギーへの大規模投資も進めてきました。

中国は、こうしたあらゆるエネルギー源の導入において、地球上のどの国よりも圧倒的に先行しています。原子力でも、再生可能エネルギーでも同じです。中国は群を抜いて先頭に立っています。そしてそれは、彼らがエネルギー自立を達成しようとしているからです。おそらく2030年頃には、それを実現していたはずです。したがって米国には、中国がその最終段階に到達する前に、中国を妨害するための非常に小さく閉じゆく機会の窓しか残されていなかったのです。

形成されつつある世界的石油封鎖

だからこそ彼らはイランを攻撃したのです。そして実際に何が起きたかを見ることができます。彼らはイランを攻撃しただけではありません。その前にベネズエラ大統領を拉致し、現在は残るベネズエラ政府を人質状態に置いています。そしてベネズエラから中国へのエネルギー供給を止めたのです。

また――ニューヨーク・タイムズが報じている通り、そして以前から明白だったことですが――CIAは、ロシア領深部への長距離ドローン攻撃の背後にいます。ロシアのエネルギー生産施設を攻撃しているのです。そしてCIAはまた、海上ドローンを使って、ロシア産エネルギーを運ぶタンカーへの攻撃も行っています。

それに加え、米国は長年にわたり、ミャンマーやパキスタンにおける「一帯一路」インフラを妨害してきました。ミャンマーを横断して中国へ石油・天然ガスを輸送するパイプラインがありますが、それは米国支援武装勢力によって何度も攻撃されてきました。つまり、ご覧の通り、米国はすでに、本質的には中国に対する世界規模の海上石油封鎖を構築してきたのです。

そして長年にわたる彼らの計画を見れば、本来はマラッカ海峡とアジア太平洋地域でそれを行うつもりだったことがわかります。なぜなら、そうすれば中東から自国の代理勢力へはエネルギー輸出を維持し、世界的な代理ネットワークを機能させたまま、中国だけを選択的に締め上げることができたからです。

しかし、中国の軍事的台頭によって、それはもはや不可能になりました。人々は「中国軍はどこにいるのか? なぜイランを助けないのか?」と言います。しかし、中国軍はアジア太平洋地域にいるのです。だからこそ、米国はアジア太平洋地域で中国を締め上げることができないのです。

BRIAN BERLETIC:
そして、私やあなた、そして多くの人々が語ってきたこと――つまり、米国の軍産基盤と、多極主義、そして最終的には中国に対する世界戦争に必要な量の兵器を生産できないという問題――を踏まえ、彼らは決断したのです。

彼らには、イランを打倒し、同時にロシアへの圧力を維持し、さらにアジア太平洋地域で中国との大規模戦争を、代理戦争であれ直接戦争であれ遂行するだけの弾薬がないのです。

ですから私は率直に言って、彼らは今、一つの戦争で二つの問題を解決しようとしているのだと思います。すなわち、イランを不安定化させ転覆しようとすること、そして同時に、中東からの輸出を徐々に圧迫し、最終的には完全に遮断する地域的条件を作り出すことです。

人々は、「タンカーは通過している」「イランは中国向けタンカーを通している」と言っています。それは事実かもしれません。しかし、見ての通り、米国とイスラエルはイランのエネルギー生産施設を攻撃しており、それはイランが中国へ輸出できるエネルギー量に影響を与えることになります。

さらに、カタール、クウェート、サウジアラビアでもエネルギー生産施設への攻撃がありました。これらすべての国で生産停止が起きています。カタールはLNG生産を全面停止しましたが、それは中国向け輸出にも寄与していました。ですから、仮にイランが船舶通航を認めているため船が通れるとしても、何を運ぶのでしょうか。生産量はゼロか、あるいは50%にまで落ち込んでいるのです。

つまり、これはすでに、中国に対する世界的石油封鎖の形を取り始めているのです。そしてここは、中国がなお輸入を受けていた最後の地域でした。そして米国は、それを段階的に閉じつつあります。

しかも彼らは、それを「あたかも計画などなく、事態が制御不能に陥っているだけだ」というふうに装いながら進めています。そして偶然にも、中国が徐々に、しかし確実に締め上げられている?(偶然ではないでしょう)米国は戦争を継続し、さらに悪化させるために、地域へ追加の軍事資産を送り込んでいます。

なぜなら、もし彼らが「中国に対して世界的海上封鎖を実施する」と公然と言えば、それは国際化された戦争行為となるからです。そして彼らは、それを避けようとしているのです。

米国システムと中国の経済構造

GLENN DIESEN:
私はよく、中国の地経学――言うならば――は、19世紀初頭の「アメリカン・システム」と多くの共通点を持っていると指摘しています。つまり、米国が英国からの経済的独立を望んだとき、彼らは三つの柱の上に「アメリカン・システム」を築きました。

第一は製造業、つまり技術と産業です。第二は輸送の支配であり、それは当初は道路と港湾であり、後には鉄道となりました。そして第三が金融力――国営銀行です。この三本柱が、英国から独立した後の米国の独立維持を支える経済基盤を形成したのです。 (senate.gov)

中国は、ほぼ同じ道を歩んでいます。同じ三本柱を持っています。技術的優位と産業基盤。そして輸送回廊――本質的には世界を結ぶ「一帯一路」構想です。そしてさらに、通貨の国際化、新たな決済システム、開発銀行など、金融的な権力手段も持っています。

そして、米国が狙ってきたのはまさにこれだと思われます。つまり、中国の台頭を押し戻すことです。繰り返しますが、米国はこれについて非常に率直なので、陰謀論などではまったくありません。中国の技術発展を巻き戻し、サプライチェーンを寸断して工業力を弱め、今ベネズエラで見ているように、石油などのエネルギー源から切り離す。そして輸送回廊を遮断する。これもまた重要です。

トランプ支持派は、脱ドル化を試みるBRICS諸国を処罰する用意があると公然と語っています。これもまた、代替的な開発銀行を弱体化させるものです。ですから、全面的に見れば、まさにこうしたことが行われてきたのです。

しかし、それがうまくいかない最大の理由は、もはやどの国も単独では存在していないからです。これらユーラシア諸国は協力している。そして懸念されるのは、もし米国が経済戦争によって目的を達成できなければ、次は軍事的アプローチへ移行するだろうということです。つまり、支配を維持するための唯一の代替手段として全面戦争へ向かうということです。これほど巨大な戦争が非常に急速に拡大している今、その可能性を考えないわけにはいきません。

戦争の口実としての外交

GLENN DIESEN:
しかし、私は今、外交の可能性をあなたがどう見ているのかをぜひ聞きたいと思っていました。というのも、外交――さらには米国が平和について語る時でさえ――それはしばしば欺瞞的だと指摘されているからです。実際、見ての通り、交渉期間中にイランに対する奇襲攻撃が二度行われました。

しかしこれは、エスカレーション管理の問題でもあります。あなたが触れたように、世界最大のガス田であるサウス・パースを米国が攻撃しました。数時間前にトランプがTwitter、あるいはTruth Socialで、「我々はこんなことを望んでいなかった。エネルギー戦争など望んでいない。これはイスラエルのせいだ。一般消費者を苦しめるようなことはやめよう」と投稿していたのを見ました。

しかしその一方で、「もしイランが報復すれば、我々はすべてを焼き尽くす」とも言っている。

つまり、これがエスカレーション管理というものです。自分は少しだけエスカレートし、相手には同じことをするなと説得する。そして上下にエスカレーションを調整しながら、一方的に懲罰を加え、相手には報復させない。もしイランがこれを受け入れるなら、それで終わりだという気がします。

しかし、あなたはここにロシアとの関連も見ていますか。というのも、米国はロシアに対しても同じことをしているからです。あなたが言ったように、彼らは平和について語り続ける一方で、ロシア船舶への攻撃の背後におり、ロシア国内への攻撃の標的選定も続け、武器供与も続けています。もはやこの外交に何か意味はあるのでしょうか。それとも、エスカレーション支配のための純粋な欺瞞なのでしょうか。

BRIAN BERLETIC:
重要な質問です。そして答えは、米国には外交への関心などない、ということです。彼らが望んでいるのは地球規模での覇権です。そんなものを誰も受け入れません。すべての国が、それぞれの方法で抵抗しようとするでしょう。

そして米国が外交を使って行っていること――特にイランに対して外交を用いてきたやり方――は、継続的なアジェンダを、露骨に見えない形で前進させることです。彼らは、自分たちが理性的に振る舞おうとしているように見せたいのです。そして、これは単に不運な展開、不運な外交崩壊であり、その結果として軍事力に訴えざるを得なくなったのだ、と見せかけたい。

しかし実際には、彼らは戦争回避のために外交を用いているわけではまったくありません。いかなる形でも、いかなる意味でもそうではない。彼らは意図的に、それを戦争の口実として利用しているのです。

そしてまた、何度も同じ話をして恐縮ですが、2009年の『Path to Persia』報告書には、外交について丸々一章が割かれています。そしてその章を読めば、彼らは基本的にこう言っているのです。この選択肢こそ、イランに対する体制転換戦争を開始するための最善の方法だ、と。なぜなら、それによって「彼らは外交を望んでいたが、イラン自身がこの事態を招いた」と世界に信じ込ませることができるからです。ですから、これが彼らの行っているゲームなのです。

さらに言えば、もしこれら諸国の首都で誰かが、外交に関して米国の言葉を本気で信じているならば、それはこのゲームにおいて相手に騙されているということです。しかし究極的には、その目的は戦争回避ではなく、戦争の口実作りなのです。

だからこそ、ロシアはロシア自身のゲームをしているのだと思います。中国もまた、自分たち自身のゲームをしている。イランについては断言できませんが、ほぼ確実に、時間を稼ぐために独自のゲームをしていたのだと思います。彼らは皆、このことを十分理解していると思います。

だからこそロシアは、米国との外交交渉において、いかなる譲歩も一切してこなかったのです。本当に一つも譲歩していない。なぜなら、たとえ米国政府の誰もが「そんなことはない」と誓い約束したとしても、それが結局は「ミンスク3.0」になるだけだと知っているからです。

「防衛戦争」として売り込まれる戦争

GLENN DIESEN:
ええ、米国が侵攻する直前、Politico の報道では、ホワイトハウスかペンタゴンの関係者――少なくとも彼らが取材した人物――が、「まずイスラエルに攻撃させた方がよい」と述べていました。そうすれば、イランが報復した際に、米国はイスラエル支援に入ることができる――いわば「イスラエルの存在する権利を守る」という形にできるからです。

要するに、それを「防衛戦争」として売り込むことができる。つまり、ナラティブ管理も必要だということです。最終的には彼らはこの選択肢を採りませんでしたが、こちらの方が、もしかするとより管理しやすかったのかもしれません。

しかし、少し話題を移して、今イランで実際に起きていることの詳細に入りたいと思います。というのも、これは互いを消耗させることを目的とした戦争のように見えるからです。つまり、双方が相手に苦痛を与えようとしており、同時に自らもその苦痛を吸収できなければならない。

現時点で、双方の能力や、この――今は第三週目だと思いますが――ここまででどの程度能力が損耗しているのかについて、私たちは何を知っているのでしょうか。

米国の戦略――イランを消耗させることと、米国の限界

BRIAN BERLETIC:
はい、ほぼ三週間です。ほぼ丸三週間ですね。

そして、これこそが今米国が行っていることです。彼らは最初、非常に迅速かつ圧倒的な攻撃を試みました。おそらく、それによって連鎖反応が起き、すべてが崩壊することを期待していたのでしょう。しかし私は、彼らにプランBがなかったとは到底思えません。

彼らは当然知っていたはずです。「モザイク防衛」という概念は、西側諸国、とりわけ米国の政策文書の中で何十年にもわたり言及されてきました。ですから、イランの指揮統制システムがどれほど強靭で、どれほど分散化されているか、彼らは理解していたはずです。

実際、彼らはすでにこの戦争を遂行していたのです。少なくとも初期段階は。私は昨年イランに対して行われた暴力行為(6月の12日戦争のこと)を、現在進行している紛争と一体のものとして捉えています。これは一つの侵略戦争であり、単に再編成、 regroup、再武装のための短い休止を挟みながら、段階的に実施されているだけなのです。

ですから彼らは、それを知っていたはずです。そして今彼らがやろうとしているのは、イランを経済的に消耗させることです。彼らは今、イラン国民9300万人にとって不可欠なインフラを攻撃し始めています。イランは石油・ガス輸出に依存しています。そして政府歳入の半分はその輸出から来ています。

したがって、米国がそれを攻撃し、しかも当然ながらその責任をイスラエルに押しつけることで、9300万人のイラン国民の生活基盤そのものが脅かされているのです。これは単に政府や軍を標的にしているわけではありません。

しかし繰り返しますが、私は正直、これはホルムズ海峡を閉鎖することも目的としていると思います。現在アジア太平洋地域から中東へ向かっている海兵遠征部隊(Marine Expeditionary Unit)の役割の一つは、ホルムズ海峡を通過することを許された船舶に対する臨検・阻止行動に従事することだと思います。少なくとも米国は、その能力を現地で保持したいのだと思います。そして、それこそが海兵遠征部隊がその地域で米国に提供する能力の一つなのです。

ですから私は、彼らは戦争継続を望んでいると思います。しかし同時に、事態が制御不能へと螺旋状に進み、しかも非常にゆっくりと、あたかも自然な成り行きであるかのように、何らかの形で全輸出が閉ざされていくことを望んでいるのだと思います。

互いのエネルギー生産に対する「相互確証破壊」です。すでに起きています。すでに中国向け輸出量を減少させています。彼らはイラン政府を打倒したい。それはロシアと中国を孤立化させ、その後、同盟国やパートナーを失ったロシアと中国を個別に処理していくための前提条件なのです。

しかし同時に、これは中国を遮断することでもあると思います。ですから私たちは、その点を注意深く見続けなければなりません。

米国防空ミサイルの消耗

BRIAN BERLETIC:
米国が抱えている問題は、対ミサイル迎撃弾の保有量が非常に限られているということです。私たちは何年も前から、ウクライナにおけるロシアとの代理戦争との関連で、この問題について話してきました。

2022年にウクライナ紛争が激化する以前から、すでにパトリオット・ミサイル不足は起きていました。なぜなら、米国がサウジアラビアを通じて遂行していたイエメン代理戦争があったからです。サウジアラビアはパトリオット・ミサイルを使い果たしかけており、その時点ですでに米国は追加供給ができなくなっていました。彼らは近隣諸国から借りなければならなかったのです。つまり、その時点ですでにそういう状況だったのです。

そして今、それがどれほど悪化しているか想像してみてください。イエメン紛争は続いており、昨年の紛争、昨年イランに対して開始された侵略戦争、そして今年と続いています。彼らは現在、迎撃ミサイルを極めて低い水準まで消耗しています。

そして見ての通り、イランはミサイル発射のペース配分を始めています。毎日20発から30発程度です。彼らはミサイル切れではありません。依然として安定したペースで発射を続けており、しかもより多くが突破するようになっている。

これは何を意味するのでしょうか。(米国側の)防空用弾薬が尽きつつあり、防空網に穴が生じ始めているということです。

私たちは、THAADシステム用の極めて貴重で、ほとんど代替不能に近いレーダーをイランが破壊したのを見ました。確か、世界全体で13基程度しか存在せず、そのうち3〜5基が、今回の戦闘だけですでに破壊されたと思います。これは重大なことです。

ですから米国は、こうしたすべての問題と戦っているのです。大量の戦闘機を送り込んでいますが、海軍艦艇も、すでに整備限界に達しているか、まもなく達しようとしています。

USSフォードが、事実上クレタ島へ退避して修理を受けているのを見ています。そしてUSSフォードの損傷について語られている内容が、あの施設で修理可能だとは到底思えません。ほぼ確実に、修理のためには米国本土へ戻らなければならないでしょう。

つまり、彼らは現在そういう状態なのです。過剰に引き伸ばされている。彼らは多極主義に対する世界戦争を遂行したがっています。しかし、それを実行するための無限の資源は持っていない。

一方で、多極主義そのものは成長し、拡大し、強化され続けています。そしていずれ、米国は歴代の帝国と同じように、疲弊し、過剰拡張の果てに限界点へ到達することになるでしょう。

その時、彼らが何をするのか、私たちは見守るしかありません。彼らは核兵器を保有しています。これは、自らの限界に達した時の大英帝国には存在しなかったものです。

その限界点に達した時、米国は何をしようとするのでしょうか。もしイランが、自らの軍事能力を消耗し尽くした結果、本当に衰弱し崩壊し始めたなら、何が起きるのでしょうか。

私にはわかりません。極めて危険な状況です。なぜなら、最終的にこれはすべて、ロシアと中国を狙ったものだからです。そしてその両国は核保有国家です。ですから、この紛争が良い方向へ向かう道は存在しないのです。

希土類鉱物と米国の意図の役割

GLENN DIESEN:
現時点での米国の能力についてですが――あなたは破壊されているレーダー群について言及しました。そのうちいくつかは数億ドル規模のものであり、さらに重要なのは、それらを製造するために必要な資源です。例えば、それらの製造にはガリウムが必要です。そしてガリウム生産の98%あるいは99%は、たまたま中国で行われています。

つまり、もし米国がこの戦争を継続し、中国へ向かおうとするなら、実際には中国の助けが必要になるということです。そして問題はすでに見え始めていますが、もちろんこれはもっと広範な問題です。

米国内でも、多くの人々が、こうしたレアアース鉱物を持たないことの深刻さに目覚めつつあります。そして砲弾やミサイルを作るためにはアンチモンも必要ですが――これもまた中国です。そして中国側も、この問題に気づいたように見えます。彼らは米国を「非軍事化」したいと考えているのでしょう。そして戦争に利用可能な鉱物について上限や制限を設けています。なぜなら、米国の戦争機構が明らかに中国をも標的としているからです。

ですから、これらすべては米国の意図について何を物語っているのでしょうか。私は、それはかなり明白だと思います。特にRANDのようなシンクタンクの政策文書を読めば、誰にとっても明らかです。

しかし、あなたはこれらの意図が、実際の能力によってどの程度実現可能だと考えていますか。というのも、米国はおそらく、現在直面しているような困難をまったく想定していなかったのではないかと思うからです。

私は、バイデンからトランプに至るまで、「我々は世界最強の国だ」「世界最強の軍隊を持っている」「同時に全員を相手にできる」と豪語してきたこと――ちなみにこれはほとんどバイデンの直接引用ですが――そうした発言を見る限り、彼らは自らの能力を過大評価していたのではないかと思っています。

では、彼らが壁に突き当たった時、何が起きるのでしょうか。

過剰拡張、焦燥、そして中国との時間競争

BRIAN BERLETIC:
私は、彼らが実際に自らの能力を過大評価しているとは思いません。むしろ、どこに欠陥があるのかを理解しているのだと思います。そして、だからこそ今私たちが見ているような、明らかに非常に急いだプロセスが進行しているのだと思います。彼らはもはや、これを取り繕おうとすらしていません。

トランプ大統領のような人物が、「我々はキューバを取る」と言っています。誰がそんな話し方をするでしょうか。まるで映画の悪役です。現実世界の本物の指導者がそんな話し方をするのを、まず見ないでしょう。なぜなら、それはあまりにも露骨で、不適切で、あらゆる意味で違法かつ間違っていることが明白だからです。

しかし彼らは、自分たちが何をしているのかを隠そうとすらしていません。なぜなら、それこそ彼らが実際にやっていることだからです。彼らは国家を奪い取っているのです。

彼らは多極主義と戦争をしている。そして現在、多極主義に投資している世界中のすべての国々――その数は増え続けていますが――に対するメッセージはこうです。

「もしお前たちがこれを続けるなら、我々はベネズエラにしたことをお前たちにもする。我々はお前たちの大統領を拉致し、首都で数百人を殺し、政府を人質に取り、お前たちの足元から資源を根こそぎ奪い取る。そしてお前たちにはそれを止める術はない。」

そしてこれは、トランプ大統領、その政権の人々、西側メディアの人々が実際に語ってきたことです――「お前たちには止められない」と。これは公然たる世界的暴力団行為です。ほとんどマフィア的です。これこそが、彼らが世界に送ろうとしているメッセージなのです。

彼らはキューバを倒すことで、自分たちが「容易に倒せる相手」と考えている国々を見せしめにし、他の国々を再び従わせようとしているのです。

彼らは中国経済を締め上げ、中国の経済成長を弱体化させ、中国を再び従わせようとしている。あるいは少なくとも、自分たちの残り時間を少しでも延ばそうとしているのです。

なぜなら最終的に、中国はあと約5年で、あらゆる指標において不可逆的に米国を追い越すからです。そしてその時には、米国にはもはやそれを止めることも逆転させることもできなくなる。だからこそ、彼らはその時間との競争をしているのです。

そして彼らの視点からすれば――率直に言って、米国の企業金融エリート、さらには政治階級を見てください。彼らの誰かが、ブッシュ時代以降、自分たちの行為について責任を問われたことがありますか。

21世紀だけを見ても、ブッシュ・ジュニア政権から現在に至るまで――ありません。

このすべての代償を払っているのは誰でしょうか。中東で殺されている人々です。ちなみに、米兵たちもまた、このすべての中で命を落としています。そして燃料価格の上昇を見ている世界中の消費者たちです。さらに燃料に依存するあらゆる商品の価格上昇もあります。代償を払っているのは彼らなのです。

ワシントンではありません。ウォール街でもありません。彼らは代償を払っていない。

だから彼らは、この最後の賭け――地球規模の覇権を再確立しようとする最後の賭け――に、何の下振れリスクも見ていないのです。

そして彼らは、第二次世界大戦時と同じように、こう考えているのかもしれません。

「我々はユーラシアを、巨大な大陸規模戦争――あるいはそれを超える規模の戦争――で徹底的に破壊できる。そして我々自身はほとんど無傷で浮上する。なぜなら我々の間には二つの海があるからだ。第二次世界大戦と同じように、世界中が我々の戦争と代理戦争によって疲弊した後、我々は最後に勝ち残る。」

そして彼らは、そうすれば再び自らを立て直す機会があるかもしれないと考えているのです。中国に対して相対的に、より強い立場でこの危機を抜け出せるかもしれない、と。

それが彼らの唯一の希望なのです。

なぜなら、現在のままであれば、中国は不可避的に米国、そして西側集団全体を完全に追い越していくからです。彼らが何か劇的なことをしない限り、それを止める手段は他に存在しないのです。

エスカレーションの選択肢と、この戦争がどれほど長引きうるか

GLENN DIESEN:
では、この戦争はどれほど長く続きうると思いますか。というのも、トランプは「さらに強力な攻撃を始める」と述べていましたが、同時に、攻撃すべき軍事目標はそれほど多く残っていないことも認識しています。

ですから、もしエスカレーションを進めるなら、別の方法へ向かうことになります。もちろん民間人を標的にすることもできる。病院や重要インフラを攻撃し、人々に圧力をかけることです。また、すでに見ているように、ガス田や石油施設を攻撃して、国内にエネルギー危機や経済問題を引き起こすこともできる。

さらには原子力発電所を攻撃することも可能です。実際、ブーシェフル原発への攻撃がありました。そして「小規模な核攻撃」は、当然ながら実際の核攻撃へと発展する可能性もあります。

では、米国にとって、エスカレーションの梯子を上るとは今どういう意味を持つのでしょうか。そして、これはどれくらい続きうるのでしょうか。

BRIAN BERLETIC:
ええ、戦争開始当初、米国がイランに対する侵略戦争を始めるために投入していた資源量――それはおそらく二、三週間程度しか維持できないものでした。彼らはそのような極めて高強度の作戦を続けることはできましたが、限界に達する数日前、あるいは一週間ほど前には、すでに追加資源を投入し始めていました。

彼らはすでに追加の空母を送り込んでいましたし、戦闘機を米国本土から欧州へ飛ばし、さらにそこから中東地域へ投入していました。

ですから現在、おそらく彼らには、あと一〜二か月、あるいはそれ以上、この高強度の作戦を継続するだけの資源はあるのでしょう。

そしてもちろん、もし彼らがイランの能力をかなり劣化させたと感じつつも、なお政府を不安定化・打倒できない場合には、作戦テンポをかなり落とすこともできます。そしてその場合、ほぼ無期限に維持することも可能でしょう。特に、イラン防空網をそれほど気にせず、イラン上空の一部区域だけでも飛行できるのであれば、非常に長期間続けることができます。

繰り返しますが、彼らの限界は迎撃ミサイルの数と、イランが毎日継続して弾道ミサイルを発射できる能力です。

もし迎撃ミサイルが大幅に不足し、防空網に巨大な穴が生じ、さらにイランが地域全体にある米軍インフラ――つまりイスラエルを含む、実質的には地域のすぐそばに押し出された「沈まない米空母」のような存在――を本格的に解体し始めたなら、深刻な問題が発生し得ます。

もちろん米国は、自国資産を後方へ移動させ、遠距離から攻撃を行うことはできます。しかし、後方へ下がるたびに、航空機への整備負担、空中給油能力への負担など、あらゆる問題が増大します。ですから、多くのジレンマが存在しています。

あなたは非常に重要な点を指摘しました。米国はすでに民間インフラ、そして不可欠な経済インフラを攻撃しています。彼らは今後もそれを続けるでしょう。そして私はほぼ確実に、米国はイランがホルムズ海峡通航を認めているタンカーを止め始めると思います。ほぼ間違いなく、それらを拿捕し始めるでしょう。そして事態は制御不能にエスカレートし得ます。

私が最も懸念しているのは、米国がイスラエルを「究極のスケープゴート」として極めて露骨に利用していることです。

彼らはイスラエルを通じて何でも行うことができ、その上で、「これはイスラエルの行為であり、米国には止めることができなかった」と大衆の大部分を納得させることができる。そしてそれは核兵器にまで及びます。

イスラエルは核兵器を持っています。もし米国が何らかの理由でイランに核兵器を使いたければ、単にイスラエルにやらせればよい。そしてトランプ大統領はTruth Socialに座って、「私はやるなと言った。彼らが本当にやるとは知らなかった。そして彼らはやってしまった」と言うだけです。

繰り返しますが、2009年の『Which Path to Persia』報告書には、「Leave it to Bibi(ビビに任せろ)」というタイトルの章があります。それは、イランに対する体制転換作戦を推進するために、イスラエルを使い捨て可能な代理勢力として利用することについて書かれた章です。

ですから私は、これらはすべて現実的可能性だと思っています。だからこそ、この紛争はこれほど危険なのです。

しかし繰り返しますが、米国は今、非常に急いでいます。彼らは追い詰められている。追い詰められ、傷ついた帝国ほど危険な帝国はありません。

政治的一体性と戦争継続能力

GLENN DIESEN:
ええ、同感です。彼らは抵抗せずに退場するつもりはないでしょう。しかし、この戦争がどれほど続きうるのか、あるいはどちら側が先に崩れるのかという点について言えば――イランが崩れる可能性もあれば、米国が崩れる可能性もあります――それは単に軍事能力だけで測れるものではありません。

つまり、相手側の経済をどれだけ弱体化できるか、政治的一体性、社会的支持をどれだけ維持できるかも重要です。

例えばジョー・ケントの辞任ですが、私はこれは戦争支持を弱めるという点でかなり重要だと思いました。しかし、双方について、あなたはどう見ていますか。軍事能力以外――経済、政治、社会問題を含めて――どれほど持ちこたえられるのでしょうか。

BRIAN BERLETIC:
まずイラン側について言えば、イランは何十年にもわたり非常に粘り強く抵抗しました。

イラン・イラク戦争の八年間は、イラン国家にとって巨大な悲劇でした。そしてそれは再び、イラクを通じて米国によって押しつけられたものでした。それでもイランは生き延び、その後それを乗り越えることができた。

そしてそれは八年間です――双方で何十万人もの人々が死亡した、丸八年間の戦争です。イランの経済やエネルギー生産インフラには甚大な被害が与えられました。船舶も失いました。それでもイランは耐え抜いたのです。

さらにその後も、米国からの巨大な圧力に耐えてきました。なぜなら、これは1970年代後半以来、イランを消耗させ、打倒しようとする継続的プロセスだからです。つまり、イラン国民が、自分たちの上に据えられていた米国の傀儡政権を正当に打倒して以来ずっと続いているのです。

ですから彼らは非常に強靭です。しかし、限界は必ずあります。そしてその限界がどこなのか、私たちにはわかりません。

イランはすでに、この戦争の現在段階においても、驚異的な耐久力を示しています。しかし、あとどれほど続けられるのでしょうか。特に米国が経済インフラを本格的に解体し始めた場合です。

すでに水供給施設は攻撃されています。今後、エネルギー生産、大規模停電、発電施設、その他あらゆるインフラ、病院なども攻撃される可能性があります。

彼らはすでに女子学校を爆破し、その後嘘をつき、それをイランのせいにしました。それが意図的だったかどうかは別として、侵略戦争を行えば、そういうことが起きるのです。ですから、意図的だったかどうかにかかわらず、そういう事態は必然的に発生する。だからこそ、そもそも侵略戦争など始めてはならないのです。

したがって、それらすべてについて彼らには責任があります。そして今、彼らはイランに対してそういうことをしている。

では、それがいつイランを本当に崩壊させるのか。私にはわかりません。

米国の政治的一体性について言えば――これもまた、私が2024年選挙前から警告していたことです。反対勢力など存在しません。民主党も共和党も、その中間のすべての勢力も、ワシントンにいる者たちは皆ウォール街のために働いています。

そして米国民の前でどんな芝居を演じようとも、最終的には常にウォール街のために動くのです。彼らはずっとそうしてきました。だからこそ、ジョージ・W・ブッシュから現在に至るまで、あなたは彼らが一歩一歩、この戦争へ向かって進んでいくのを見ることができるのです。

一つの政権が、次の政権がイランに対する侵略戦争へさらに進めるよう、完璧に舞台を整える。そして次の政権がそれを引き継ぐ。今起きているのはその結果です。

ジョー・ケントの辞任については、私は非常に慎重に見るべきだと思います。なぜなら、彼が辞任した目的は、トランプ政権を批判することではなかったからです。彼はイスラエルを非難していたのです。

ですから、再び2009年の政策文書――「Leave it to Bibi(ビビに任せろ)」に戻ってください。イスラエルを使い捨ての代理勢力として利用し、イランに対する侵略戦争を遂行する、という話です。

この戦争が米国にとって悪い方向へ進む可能性はあります。現時点では誰にもわかりません。まだ判断するには早すぎます。

しかし、どちらに転んでも、世界経済を破壊していることだけは確実です。

ですから、もし可能なら、その責任を誰か別の相手になすりつけたいと思わないでしょうか。そして、そのすべてを他人に押しつけたうえで、自分自身は比較的「手が汚れていない」状態でこの危機を切り抜けたいと思わないでしょうか――あるいは少なくとも、一部の人々に「比較的無実だ」と信じ込ませたいと思わないでしょうか。

ですから、彼がやっているのはまさにそれです。

彼はこれを非難しイスラエルを責めている時でさえ、イランを「脅威」のように描いています。あるいは「イランは何年も米国人を殺してきた」と言っています。

しかし彼は、その米国人たちが、イランを包囲・封じ込め、その存在そのものを脅かすために、違法に地域へ侵攻していた人々だという事実には触れません。

もし立場が逆だったなら、米国人もまったく同じことをしていたでしょう。彼はそうしたことには一切触れない。

ですから彼は、体制側の人物として、ダメージコントロールとスケープゴート作りを行っているのです。この点は非常に注意深く見る必要があります。

そして米国の政治システムは、まさにそのために設計されています。つまり、問題を区分化し、ダメージコントロールを行い、スケープゴートを作り、人々を分断し、注意を逸らし、そしてアジェンダの継続性を維持するために設計されているのです。

それこそが、そのシステムの本質です。そして彼らは、それを実行することに非常に長けています。

イランの戦略――エネルギー・インフラへの攻撃

GLENN DIESEN:
適切な反対勢力が存在しないという点についてですが、私は――ええ、それもまた、この戦争から得られる教訓の一つだと思います。

トランプは、究極のポピュリストのように見えました。体制に挑戦する人物、自党内の政治エスタブリッシュメントにも、メディアにも挑み、「終わりなき戦争」に反対し、触れてはならないとされていたあらゆる「聖域」に切り込む人物に見えた。

しかし今では、結局のところ、誰に投票しようと本質的には変わらなかったのではないか、反対側が勝っていても全く同じ政策になっていたのではないか、という印象を受けます。

しかし、イランが今どのようにカードを切ろうとしていると見ていますか。

というのも、昨日――つまり米国、あるいはイスラエル、あるいは米国・イスラエルが――イランのサウス・パース・ガス田を攻撃しました。そして私たちが眠っている間に、イランがカタールのガス田の一部を攻撃し、さらにサウジアラビアも攻撃したのを見ました。

興味深いと思ったのは、彼らがサウジ西岸、つまり紅海側の製油所と港湾を攻撃したことです。つまり、こちら側のルートも遮断しようとしている。

ですからイランは、自分たちがどのような戦いの中にいるのかを理解し、エネルギーを主要な報復領域として認識しているように見えます。

そしてまた――決してあり得ない話ではないと思いますが――イエメンも参戦し、紅海を封鎖するために海峡封鎖を試みる可能性もあるでしょう。それは湾岸諸国全体を崩壊させる可能性もあります。

あるいは、イラン側も他の誰もと同じ現実認識を持っているとすれば、彼らは今後どのように動くと思いますか。

つまり、彼らは湾岸諸国に対して、事実上こうした最後通牒を突きつけるつもりなのでしょうか――「我々があなた方を完全に停止させるか、それともあなた方が米国から切り離されるかだ」と。

イランはここでどのようなゲームをしているのでしょうか。

BRIAN BERLETIC:
まあ、それについては断言できません。もしそれがイラン側の戦略なのだとしても、その戦略の問題は、これらアラブ諸国が本質的に政治的に捕えられた状態にあるということです。

彼らは、本質的にはウクライナと同じ状況にあります。ウクライナは、たとえ望んだとしても、もはや何もできない。米国の利益に完全に奉仕し、自国の犠牲の上に成り立つ、抜け出せない立場へ追い込まれているのです。そして今、まさに同じことがこれらアラブ諸国すべてに起きています。

彼らが、どうして本気で「米国が自分たちを守ってくれる」「米国は信頼できるパートナーだ」と信じられたのか、私には理解できません。

もちろん、そこまで騙されやすい人々がいる可能性はあります。しかし彼ら自身、自分たちが代理勢力であり、本質的には常に「虎に乗っている」状態であって、そこから優雅に降りる方法など存在しないことを知っていたはずです。

そして私は、彼らが今まさにその地点にいると思います。もしかすると降りたいと思っているかもしれない。しかし、どうやって降りるのでしょうか。本当に方法がないのです。

ですからイランは、可能な限り最大のコストを、米国と地域内のその代理勢力に課そうとしているのです。

しかし私は、イランがこれらアラブ諸国に「米国を追い出させよう」と考えているとは思いません。考えてみてください――彼らはいったいどうやってそれを実行するのでしょうか。

もし実際にそうなれば、もちろん素晴らしいニュースでしょう。それは地政学的発展における革命的出来事になります。しかし私は、それが起きるとは思えません。それは、ウクライナ人たちが立ち上がって、「もうこの代理戦争に加わりたくない」と言い出すのを期待するのと同じくらい現実味がない。

私は、彼らが上から下まで政治的に支配されている以上、このまま続いていくと思います。米国は、最後のインフラ一つに至るまで、最後の一人のアラブ人に至るまで、彼らを使い尽くしてイランとの戦争を遂行するでしょう。

そして実際、同じことをイスラエルに対しても行っています。

多くの人々は、これは逆の関係だと思っています。しかし現実には、イスラエルもまた毎日弾道ミサイル攻撃を受けています。そして今ではヒズボラからのロケット攻撃も受けている。さらに彼らはレバノンへ部隊を送り込んでいますが、南レバノン地上戦でヒズボラに対して前進できていません。

ですから、この地域のすべての国々は、米国への従属関係によって、今やこの戦争に閉じ込められているのです。

そして彼らに残された唯一の希望は、米国が最終的にイラン軍事能力を劣化させ、政府を打倒できることです。本当に、それしか希望がない。

私は、彼らの誰かが米国に対して、「もうこんなことはしたくない。どうか我々の国から出ていってくれ」と言うとは思えません。彼らにそんなことができるとは到底思えないのです。

多くのアラブ諸国では、国内治安機構そのものが米国やその他西側諸国によって構築され、その一部は今なお運営されています。ですから彼らが、どうやって米国排除を考え始めることができるのか、私にはわかりません。

「捕獲された国家」――代理勢力、消耗、そして多極化への道

GLENN DIESEN:
ええ、ウクライナ問題について言えば、私にはいつも驚きでした。というのも、古い情報の多くが、西側メディアの中でも実際にはかなりアクセス可能だったからです。ニューヨーク・タイムズからワシントン・ポストに至るまで、彼らは過去数年間に多くのことを確認してきました。そして今では、さらに多くのことを確認しています。

その一つは、(マイダン)クーデター直後の初日から、米国がウクライナ情報機関を掌握していたということです。これは確認されています。また、ウクライナの検事総長の証言から、政府に入る人物を誰にするかを選び、決定していたのは米国側だったこともわかっています。つまり、政治システムそのものを掌握していたのです。

さらに、彼らが独自の軍事勢力を構築したこともわかっています。つまり、極右グループが米国情報機関によって訓練・武装されていた。そしてそれはドンバスの反体制派と戦うためだけではなく、キーウがもし和平を考えようとした場合に拒否権を行使するためでもあった。

NGO資金停止の一時的混乱からもわかったことですが、ウクライナのNGOは、資金面で言えば、現在では米国のNGO――そして情報機関と連携する組織――によってほぼ代表されている。彼らがウクライナの「市民社会」を代表しているのです。また、ウクライナ・メディアの85〜90%が米国資金によって支えられていることもわかっています。

ですから、ええ、良い指摘です。社会そのものが捕獲されている。そして2019年に実際に見たように、ウクライナ国民が本当に投票できた時、73%が和平プラットフォームに投票した(ロシアとの和平をうったえたゼレンスキーに投票した)にもかかわらず、それがどれほど迅速に封じ込められたか。

米国が支援するNGOと、米国が訓練した右翼グループが「越えてはならない一線」を設定し、「あなたが選挙で掲げた政策、和平構想、あなたの綱領のすべてがレッドラインだ」と言った。そしてゼレンスキーは自らを翻した。つまり、これは捕獲国家なのです。

ですから、それは非常に重要な点です。しかし私は、今でも同じレトリックが続いていると感じます。「いや、我々はウクライナを助けなければならない」「決めるのはウクライナだ」「ウクライナが決めない限り、我々は何も合意しない」と。

しかし、ウクライナは何も決めていない。決定はワシントンやその他の場所で行われているのです。

しかし、ここでの私のポイントはこうです。もし湾岸諸国が米国から切り離されないなら、イランは彼らを破壊できるように見える、ということです。

つまり、民間人や都市住民を直接攻撃するという意味ではありません。しかし例えば海水淡水化プラントを止めてしまえば、水がなくなる。彼らの大半は、本質的には砂漠地帯に住んでいるわけです。

では、これは湾岸諸国の終わりなのでしょうか。それとも、それはイラン側にとってあまりに野心的すぎる見方なのでしょうか。

イランの耐久力と米国パワーの消耗

BRIAN BERLETIC:
これまでのところ、イランは「報復」という形を取っています。つまり、最初に自分たちからこうした行動を始めているわけではありません。自分たちに対して行われたことに応答しているのです。

しかしほぼ確実に、彼ら自身も理解しているはずです。つまり、自分たちに対して行われていることは、「イランが必ず報復する」と十分承知した上で行われているのだ、と。

そしてもちろん、米国はアラブ世界の誰のことも、さらにはイスラエルのことさえも気にしていません。彼らは地域全体のことなど気にしていないのです。

彼らは皆、代理勢力であり、使い捨て可能な存在なのです。ウクライナと同じように。

BRIAN BERLETIC:
米国がウクライナの人々のことを本気で気にしていると、本当に誰か信じているのでしょうか。あるいは、ウクライナそのものについて何か気にしていると。米国にとって重要なのは、ロシアに対する地政学的目標を推進する上での有用性だけです。そして今の場合は、イランに対する有用性です。

ですから、イラン、ロシア、中国は皆、非常に厳しい立場に置かれています。なぜなら、彼らは米国が最終的には使い捨て可能と見なしている代理勢力に囲まれているからです。

そして、彼らがその代理勢力にどれほど大きな損害を与えようとも、問題の根源は依然として地球の反対側にいる米国なのです。これは非常に大きな問題です。

しかし、もしそれら代理勢力を排除できる、あるいは深刻に弱体化させることができれば、それはある意味で、米国がそれら代理勢力を使って自分たちを脅かす能力を弱めることにもなります。

それらがより弱く、より破壊されればされるほど、米国が標的国に対してそれらを利用することは難しくなる。

しかしまた、この紛争の性質そのものも重要です。米国は現在、膨大な量の弾薬を消耗しています。対ミサイル迎撃弾だけではありません。長距離精密誘導兵器もです。

私が以前、「戦略的シークエンシング」について話していたのを覚えていると思います。米国はウクライナに対して、実際にはアジア太平洋地域で中国との戦争を挑発した際には決して使うつもりのなかった兵器を送っていた、と。

しかし今、イランに対して使っている兵器は、まさに彼らが中国との潜在的戦争のために温存していた種類の兵器なのです。

つまり彼らは、自らの在庫を消耗している。そして、その消耗した備蓄を補充する方法を持っていない。補充には何年も何年もかかります。

彼らはトマホーク巡航ミサイルやJASSMを、数年分の生産量に相当する量、たった数日間――この作戦の初期段階だけで――使い果たしてしまったのです。

ですから、ある意味では、イランが単に生き残り、このすべてを耐え抜き、米国の兵器在庫を消耗させ続けること自体が、今の米国を深刻に制約しているのです。

米国は今、世界規模の侵略、殺害、拉致の連続行動を行っています――世界的な犯罪的暴走状態にある。しかし彼らは、それを永遠に続けることはできない。

そしてイランが持ちこたえる時間が長ければ長いほど、米国はより消耗し、次の標的国へ進んでこの暴走の勢いを維持する能力を失っていくことになるのです。

BRIAN BERLETIC:
私は、これはバイデン政権末期に始まり、そしてトランプ政権下で一気に加速したのだと思います。そして繰り返しますが、これは常に、常に計画通りでした――イラン領事館への攻撃です。あれが、この全過程の始まりでした。

そして、この全過程が、イランと同時にロシアと中国の両方を狙ったものだと理解すれば、この事態がどれほど深刻な紛争へ発展したかも理解できるでしょう。

彼らは、これがこうした事態に至るとわかっていた。そして、それでも実行したのです。

ですから結局のところ、彼らは自らを消耗させている。そしてイランとの結果がどうなろうとも、その後ここから他国へ、他地域へと軍事的圧力を展開する能力を、自ら制限しているのです。

もしこの戦争に「せめてもの救い」があるとすれば、それでしょう。

最前線国家と、ウクライナから教訓を学べないこと

GLENN DIESEN:
ええ、それは確かに一つの明るい側面です。しかし彼らは軍事資源を消耗しているだけではありません。例えば韓国のような国々にも衝撃を与えています。自国の防空システムが引き抜かれ、イラン方面へ送られているのを目の当たりにしているわけですから。

つまり、ある時点で、東アジアや欧州の「代理勢力」や「最前線国家」は、湾岸諸国を見て、「次は自分たちかもしれない」と考えるようになるはずだと思うのです。

しかし、これもまた楽観的すぎる見方かもしれません。

ここスカンジナビアを見ると、これまで何十年もの間、中立あるいは半中立を維持し、少なくとも安全保障競争を慎重に管理してきた国々が、今では米軍基地を開放し、しかも非常に熱心に「最前線国家」の役割を受け入れています。しかも彼ら自身、トランプの予測不能な振る舞いに怯えきっているにもかかわらずです。

本来なら、彼らはウクライナや湾岸諸国を見て、「我々も帝国のために戦う次の最前線国家になるのか」と問い始めるべきなのです。

しかし、それはまだ起きていないように見えます。少なくとも今のところは。

GLENN DIESEN:
ええ、あなたの言う通り、もしこれがより長期間続くなら、これまで疑問視すること自体が許されてこなかった前提に対して、誰かが疑問を抱き始めるかもしれません。

最後に、締めくくる前に何かありますか。

政治的捕獲、多極主義、そして今後の道筋

BRIAN BERLETIC:
ええ、実は韓国についてですが――韓国は本来、そうした迎撃ミサイルを必要としていません。

いったい誰が、何の理由もなく韓国を突然攻撃するというのでしょうか。誰もいません。誰も韓国を攻撃しようなどとはしない。

朝鮮と韓国の関係は、時として改善へ向かっていました。そして、そのプロセスに割って入り、再び凍結させたのは米国でした。

また、韓国と中国は膨大な量のビジネスを行っています。そして中国が韓国に望んでいるのは、基本的にはそれだけです――韓国と商売をすることです。中国は韓国へ侵攻したいわけでも、ミサイルを撃ち込みたいわけでもありません。

彼らがそうしたミサイルを必要とする唯一の理由は、米国が戦争を挑発した場合です。そして、その挑発された戦争の結果として、韓国国内にミサイルが飛来することになる。なぜなら韓国が米軍基地を受け入れているからです。これはアラブ諸国とまったく同じです。

そして残念ながら、アラブ諸国であれ、ウクライナであれ、韓国、日本、最近ではフィリピン、あるいは北欧諸国であれ――これらはすべて政治的に「捕獲」されています。

政府上層部がすでに掌握されているのです。彼らは喜んでワシントンのために働いている。そして、自分たちはこのすべての結果から守られていると知っている。

彼らは芝居を演じるでしょう。まるで国民の最善の利益を守ろうとしているかのように見せかけるために。

もし人々がこうした構造を見抜き始めるなら――そして最終的には、それこそが必要になるのだと思います――それは、これらの国々の内部にいる人々が目を覚ますことから始まるでしょう。

自分たちの政治システムは、単に「壊れている」のではない。これは自己決定のためのシステムではなく、支配のためのシステムなのだ、と。そして次に、「では、それをどう変えるのか」を考えなければならない。

しかし同時に、多極主義そのものが、米国がそれを破壊できる速度を上回る形で成長し続けなければならない。

そして今私たちが見ているように、米国は侵略戦争を次々に行う中で、自らを深刻に消耗させています。一つの戦争の後にまた別の戦争、しかも同時並行で複数の戦争を行っている。

そしていずれ、転換点が訪れるでしょう。その時には、多極世界の構築速度が、米国による破壊速度を上回るようになる。

しかし、そのためには私たち全員が、人々を目覚めさせる努力をしなければならない。それが今起きていることなのです。

イランだけ、ウクライナだけ、あるいはベネズエラやキューバだけに、近視眼的に焦点を当ててはならない。

米国は、単極支配を維持するために、多極主義に対して世界規模で戦争を行っているのです。

ですから私たちは、その現実を理解し、それを暴露し、他の人々にも気づかせなければならない。そして、多極主義――世界における公正な勢力均衡――が、この乱暴で、明らかに制御不能になった単極世界秩序に打ち勝つために何ができるのかを考え始めなければならないのです。

歴史的パターン――覇権にとっての「平和」という脅威

GLENN DIESEN:
まあ、韓国も本来ならそのことを理解しているはずです。

第二次世界大戦後にさかのぼれば、1956年、ソ連と日本が和平に近づいた時期がありました。日ソ共同宣言が署名され、領土問題解決の可能性さえ見えていた。

そして興味深いのは、あなたが先ほど言った「関係が改善した場合に何が起きるか」という点です。実際、米国は「平和が起きるかもしれない」ということでパニックに陥ったのです。

なぜなら、もし1956年にソ連と日本が和平を結べば、それは覇権の基盤を弱めることになるからです。

というのも、覇権国家であるためには、同盟システムが必要です。そして緊張が存在しなければ、敵対勢力を封じ込めることはできず、代理勢力も忠誠を維持しなくなるからです。

ですから、常に一定の緊張状態を維持しておく必要があるのです。もちろん、管理された形でですが。

そうでなければ、日本は独自の自律性や独自の思考を持ち始めるでしょうし、ソ連に対する太平洋での封じ込めも同じようには機能しなくなる。

つまり、私たちはこれまで何度も同じ展開を見てきたのです。それなのに、再び同じものを見るたびに驚いてしまう。

本日はお時間をいただき、本当にありがとうございました。

BRIAN BERLETIC:
こちらこそ、お招きいただき本当にありがとうございました。

(翻訳以上)