Thursday, May 07, 2026

Brian Berletic & Glenn Diesen: Iran War - A Gateway to War with China & Russia (Japanese Translation) ブライアン・バーレティック&グレン・ディーセン「イラン戦争―中国・ロシアとの戦争に通じる道」(日本語訳)

このサイトでも何度も紹介したノルウェーのグレン・ディーセン教授が、3月19日、軍事評論家・国際政治評論家のブライアン・バーレティック氏に話をきく対談は非常に重要と思い全訳しました。この動画の書き起こしをアップしていたSingju Post の記事をAI翻訳し、実際に動画を聞きながら翻訳を確認・修正していきました。(翻訳はアップ後修正する可能性があります)

冒頭の部分で、ディーセン教授がバーレティック氏に対して「自分が間違っていた。あなたが正しかった」と言ったのは、米国とイスラエルによるイラン本格攻撃が行われるか否かという段階において、ディーセンは「やらない」、バーレティックは「やる」と予想していたということです。これは、ジャッジ・ナポリターノの常連ゲストのラリー・ジョンソンとレイ・マクガバン(二人とも元CIA)がやはり「やる」「やらない」で対立していたほど、情報通の分析家の中でも意見が分かれていました。

この対談では、現在のイラン戦争やウクライナ戦争を個別の地域紛争ではなく、米国が単独覇権を維持するために「多極化」に戦争を仕掛けていると位置付けています。バーレティック氏は、米国外交政策は大統領個人ではなく軍産複合体・金融資本によって規定されており、トランプ政権もその例外ではなかったと指摘しています。ベネズエラ、キューバ、イラン、ロシア、中国への圧力は一体化した戦略であり、米国の最終目的は中国のエネルギー供給網や経済成長を阻止することであると。バーレティック氏はこれらは自分の想像ではなく、米国のシンクタンクに詳細に書かれていると指摘します。特に2009年の Brookings Institution の報告書『Which Path to Persia?』や RAND 研究所の『Extending Russia』を引きながら、代理戦争、制裁、エネルギー攻撃などが長期的計画として進められてきたと説明しています。

バーレティック氏は、湾岸アラブ諸国、ウクライナ、イスラエル、日本、韓国などを「政治的に捕われた国家」と位置づけ、米国の代理勢力として機能していると論じています。ディーセン教授はロシア・ウクライナ問題の専門家であり、彼のウクライナについてのコメントは注目に値すると思います。日本とソ連が和平に近づいたが結局実現できなかった経緯にも触れています。ディーセン教授のいるスカンジナビア諸国を含め、米国の属国は完全に「捕獲」された状態で、もはや自律性を取り戻すことはないのではないかという見方もしています。たくさんの分析家が「米国がイスラエルに引きずられている」という見方をする中、バーレティック氏は、そう見せること自体が米国の戦略なのだと一貫して論じています。

★太字は重要と思われる部分に訳者がつけました。

  

 

イラン戦争―中国・ロシアとの戦争に通じる道

2026年3月19日

グレン・ディーセンのYouTubeチャンネルより

GLENN DIESEN:
またお戻りいただきありがとうございます。本日は、元米海兵隊員であり、政治アナリスト、著述家、そして「New Atlas」のホストでもあるブライアン・バーレティック氏をお迎えしています。少し間が空きましたね。番組に戻ってきてくださって本当にありがとうございます。

BRIAN BERLETIC:
また呼んでいただき、本当にありがとうございます。

トランプの戦略と中東のエスカレーション

GLENN DIESEN:
私たちはしばしば少し立場が分かれていましたね。私はあなたよりもトランプに対してやや楽観的だったと思います。というのも、私はある程度、彼のレトリックを信じていたからです。なぜなら、それは単純に米国の利益にかなっているように見えたからです。つまり、多極的な勢力分布に適応することです。政治リアリストとして、私たちは通常、合理的な国家とは自国の安全保障を最適化するためにそうした行動を取るものだと考えます。

実際、もし米国が多極的な勢力分布の中でなお米国覇権の回復を試み続けるならば、米国は自らを消耗させることになるだろうと考えられます。他の大国によって集団的に均衡化され、大規模戦争を招くことになるでしょう。対照的に、もし米国が後退し、多数ある権力中心の一つになるならば、自らの力を回復し、「米国を再び偉大にする」機会を得ることができるはずです。また、巨大なユーラシア諸国同士が少なくともソフト・バランシングを行い、どこか一国が他よりも強大になりすぎないようにするとも言えるでしょう。そしてもちろん、米国はこうした戦争を回避することができる。社会もまた、そうした戦争にかなりうんざりしてきています。

ですから私はこの理由でトランプに楽観的でした。つまり、彼はこれ以上戦争を行わない、財政規律を回復すると繰り返し主張していたからです。そして実際、昨年12月に新しい国家安全保障戦略が発表されたとき、それはおおむねこうした考えを裏付けるものでした。つまり、もし米国が多極世界の至る所に存在できないのであれば、自国の本拠地、すなわち西半球と、主要な同等競争相手が存在する東アジアに集中すべきだということです。言い換えれば、欧州と中東におけるプレゼンスを縮小しなければならないということです。

しかし、(就任後)1年以上経った今でも状況は続いています。米国は依然として、兵站、兵器、情報、標的選定という点でウクライナ戦争の主要当事者です。そしてもちろん今や、トランプは中東戦争を極限までエスカレートさせています。これはもちろんイランであり、イラクのような国とは比較にもなりません。そして地域全体に火を放っています。

ですから、今何が起きているのか、特に中東について、あなたはどのように評価していますか。これは最初から必然だったのでしょうか。それともトランプは引きずり込まれたのでしょうか。米国の戦略をどう見ていますか。これは本質的に、「アメリカ・ファースト」が「覇権回復」へと変質したということなのでしょうか。それとも、この全体をどう捉えていますか。残念ながら、あなたが正しく、私は間違っていました。

米国外交政策の構造的性質

BRIAN BERLETIC:

もしそれで少しでもあなたの気が楽になるなら、私は自分の方が間違っていてほしいと心から願っていました。なぜなら、今まさに世界的危機が形を取りつつあり、それはあなたや私、私たちの家族、友人、共同体、あらゆる人々に影響を及ぼすことになるからです。そしてこれを見ている人が誰であれ、ほぼ確実に、彼らもまたこのすべての影響を感じ始めることになるでしょう。

残念ながら、私は正しかった。そして私は2024年選挙の何か月も前から、誰が当選しようと関係ないと警告していました。なぜなら、問題は米国システムの構造的性質にあるからです。それは巨大企業と金融資本の利益によって支配されています。彼らは利益と権力の絶え間ない拡大を前提として存在しています。それが企業としての彼らの本質であり、また彼らが掌握・支配している国家システムにおいて行っていることでもあります。そして彼らは何十年にもわたってそうしてきました。

私は常に、何年も前にこれを極めて詳細に書き記していた政策文書に立ち返っています。特に現在イランに対して進行しているこの紛争についてです。私はいつも、2009年のブルッキングス研究所の報告書『Which Path to Persia(ペルシャへのいかなる道か)』に言及しています。そして章ごと、言葉ごとに見れば、ブッシュ・ジュニア政権から現在のトランプ政権に至るまで、米国はそこに列挙されていたあらゆる選択肢を実行してきました。

そして、それは単独の選択肢を用いて対イランに対し成功するという話ではありませんでした。彼らは常に、それらを相互に組み合わせて用い、相乗効果を生み出し、イランを弱体化・空洞化させ、最終的にイランを打倒しなければならないと考えていました。それは米国が他国に対して行ってきたのと同じやり方です。

バイデン政権末期のシリアがそうでした。ちなみに、それは現在トランプ政権下で進行している戦争の舞台を意図的に整えたものでした。シリアが崩壊し、米国とイスラエルがシリアの統合防空システムを破壊していた瞬間、私は彼らが航空回廊を開いているのだと警告しました。それはまさに、あのブルッキングス報告書で求められていたものです。2009年の時点から、彼らはイランを直接攻撃するための航空回廊確保に執着していました。そしてそれが実行されると、まずイスラエルがダマスカスの領事館を攻撃しました。あれは一種の試験運転でした。その後ミサイルの応酬があり、そして2025年に、すべてが始まったのです。

そして繰り返しますが、2009年の同じ政策文書は、この戦争を挑発し、最初に始める手段としてイスラエルを利用すること、あらゆる準備を進めること、そしてイスラエルを引き金として使い、報復と戦争責任の大部分を引き受けさせることについて語っていました。

もう一度強調したいのですが、これはすべて2009年の話なのです。

そして今のトランプ政権、トランプ支持者、西側メディアが、その政策文書に書かれていたまさにその手法を実行しているのを見ることができます。トランプ大統領は、イランのエネルギー生産施設を攻撃した件についてイスラエルを非難しています。しかしこれは明らかに米国・イスラエル共同作戦です。それでも彼らは、政策文書に書かれていた通り、イスラエルに責任を負わせているのです。

ですから、米国という国家がどのように機能しているのか、あるいは企業金融資本の利益に乗っ取られた国家としてどのように機能しているのかという、その構造的・物質的現実を理解することによって、米国が何をしているのか、なぜそうしているのかについて、ほとんど無限の洞察を得ることができます。本質的にそれは、利益と権力のために拡大を続ける巨大な地政学的ウイルスなのです。だからこそ、多極世界を決して受け入れることができない。なぜなら、それは彼らの絶え間ない権力と利益拡大への欲求を制約することを意味するからです。そしてそれは、その本性に根本的に反しており、現在米国を動かしている勢力が支配を続ける限り不可能なのです。

ですから残念ながら、これはすべて避けられないことでした。だからこそ、人々は実際に数年前の私の動画に戻って、私がこれらすべてについて警告していたことを確認できるのです。そしてだからこそ、事態は今のような形で展開したのです。それは私が未来を予測できるからではありません。企業が米国の外交・内政を動かしているからです。彼らはこうした政策文書を使ってコンセンサスを形成します。そして政策文書は法律家たちによって法案へと変えられ、また戦略家たちによってペンタゴンやワシントンの戦争計画へと変えられるのです。そして企業メディアがその政策を大衆に売り込み、企業利益こそ米国の利益でもあるのだと人々に信じ込ませようとします。

そしてこれこそが、誰に投票しても何も終わらない理由です。結局のところ、これらの政治家たちは皆、巨大なロビー資金や選挙献金によって権力の座に就いたのであり、その大半は巨大企業や産業ブロック全体から来ているからです。

中国・ロシアへの踏み石としてのイラン

GLENN DIESEN:
ええ、まあ、これをより大きな文脈の中で見ることが重要だと思います。というのも、ご存じの通り、地政学とは地理が政治にどのような影響を与えるかということです。そして地政学において、少なくともマッキンダーの時代以来、主たる焦点は常にユーラシアにありました。そして常に焦点となってきたのは、三つの主要勢力、すなわちロシア、中国、そして南方に位置するイランでした。

そして、私たちは新しいゲームに入ったようにも見えます。なぜなら、あなたが言ったように、彼らは常に相乗効果を探しているからです。つまり、一方を弱体化させ、互いを引き離す。そして戦争計画を見れば、これらすべてを一体として捉えようとする試みがあることがわかります。

しかし、この新しい「グレート・ゲーム」において、19世紀や20世紀とは非常に異なるものが見られます。それは絶望感、リスクを取る姿勢、自己破壊すら辞さない姿勢、あらゆるルールを投げ捨てる意志です。実際、現在のエネルギー市場を見ればわかるように、完全な無秩序を受け入れている。そして世界経済を破壊する準備さえできている。これは新しいことのように感じられます。

しかし、あなたはイラン破壊の試みを、中国やロシアに向かうための、いわば踏み石、さらなる踏み石だと見ていますか。あなたが言ったように、シリアが倒された時点で、次はイランになることはかなり予測可能でした。つまり、あなた自身が言ったように、未来を予言する必要はなく、シンクタンクや、それを事実上運営している情報機関の文書を読めばよいわけです。

さらに、ウェズリー・クラーク将軍のような人物も、ほぼそのシナリオをそのまま描き出していました。彼は(米国が)打倒する予定の七つの国について語り、イランはその最終段階として位置づけられていました。ですから、これはもはや秘密ではありません。その構図は非常に明白です。あなたはイランを、中国やロシア、あるいはその両方へ向かうための踏み石だと見ていますか。

イラン包囲の青写真としての「アラブの春」

BRIAN BERLETIC:
両方です。実際、2011年のいわゆる「アラブの春」までさかのぼって見ればわかりますが、それは実際には何年も前から米国によって仕組まれていたものであり、それを証明する文書証拠も存在しています。「アラブの春」の全目的は、アラブ世界をイランに対する統一戦線へと再編し、イランを包囲・封じ込め、最終的に崩壊させることにありました。

そして最終目標は常に――2011年当時を思い返せばわかりますが――ジョン・マケインや、おそらくリンジー・グラハム、その周辺の人々が、繰り返し公然とこう語っていました。「アラブの春」は今日アラブ世界を倒しているが、次はイランを狙う。そして最終的な目的地はモスクワと北京だ、と。彼らはこれを非常に率直に語っていました。

そしてその時から現在に至るまで、共和党政権であれ民主党政権であれ関係なく、非常に意図的で協調された段階的措置が取られてきたことがわかります。

ロシアをウクライナに縛り付けたこと――これもまた2019年のRAND研究所の報告書『Extending Russia(ロシアを過度に消耗させる)』に戻ればわかりますが――その目的はロシアを弱体化させ、拘束することにありました。そしてその報告書を見れば、現在実際に標的にされているものすべてを、彼らが標的にすると書いていることがわかります。ロシアのエネルギー輸出、ロシアのエネルギー生産、ウクライナ内部での代理戦争への拘束、周辺地域全域で問題を引き起こすこと。しかし同時に、シリアへの追加武器供与のような選択肢も含まれていました。なぜならロシアは、シリアを安定化させようと必死だったからです。

そして最終的に、これらすべてが組み合わされることで、ロシアは弱体化し、注意をそらされました。彼らは選択を迫られ、ウクライナを優先事項と決定した。その結果、シリアは崩壊しました。しかしご覧の通り、シリアそれ自体が、イランを包囲・封じ込め、戦争を仕掛けるための踏み石だったのです。そしてもちろん、このすべては中国を狙ったものです。

中国台頭を阻止するための「閉じゆく時間窓」

BRIAN BERLETIC:
米国は、中国が台頭しつつあることを理解しています。そして中国が、米国を不可逆的に追い越すまで、おそらく5年から10年――長く見積もっても10年、現実的には5年前後――しか残されていないことも理解しています。そうなれば、米国はもはや中国の台頭を減速させたり阻止したりすることが不可能になります。

特にエネルギー自立という点においてです。ここ数年、中国が何をしてきたのかを見ればわかります。海上石油封鎖を回避するための陸上ルートを構築する「一帯一路」構想に加え、中国は以前から海上封鎖の可能性を認識し、それに備えてきました。そして国内では、石炭液化産業プロセスを急速に拡大してきました。つまり、石炭を、中東から依然として輸入している燃料の代替へと転換しているのです。またロシアとのパイプライン建設を進め、ロシアから膨大な量のエネルギーを中国へ輸入しており、さらに増やす計画です。加えて、原子力発電、そしてもちろん太陽光やその他再生可能エネルギーへの大規模投資も進めてきました。

中国は、こうしたあらゆるエネルギー源の導入において、地球上のどの国よりも圧倒的に先行しています。原子力でも、再生可能エネルギーでも同じです。中国は群を抜いて先頭に立っています。そしてそれは、彼らがエネルギー自立を達成しようとしているからです。おそらく2030年頃には、それを実現していたはずです。したがって米国には、中国がその最終段階に到達する前に、中国を妨害するための非常に小さく閉じゆく機会の窓しか残されていなかったのです。

形成されつつある世界的石油封鎖

だからこそ彼らはイランを攻撃したのです。そして実際に何が起きたかを見ることができます。彼らはイランを攻撃しただけではありません。その前にベネズエラ大統領を拉致し、現在は残るベネズエラ政府を人質状態に置いています。そしてベネズエラから中国へのエネルギー供給を止めたのです。

また――ニューヨーク・タイムズが報じている通り、そして以前から明白だったことですが――CIAは、ロシア領深部への長距離ドローン攻撃の背後にいます。ロシアのエネルギー生産施設を攻撃しているのです。そしてCIAはまた、海上ドローンを使って、ロシア産エネルギーを運ぶタンカーへの攻撃も行っています。

それに加え、米国は長年にわたり、ミャンマーやパキスタンにおける「一帯一路」インフラを妨害してきました。ミャンマーを横断して中国へ石油・天然ガスを輸送するパイプラインがありますが、それは米国支援武装勢力によって何度も攻撃されてきました。つまり、ご覧の通り、米国はすでに、本質的には中国に対する世界規模の海上石油封鎖を構築してきたのです。

そして長年にわたる彼らの計画を見れば、本来はマラッカ海峡とアジア太平洋地域でそれを行うつもりだったことがわかります。なぜなら、そうすれば中東から自国の代理勢力へはエネルギー輸出を維持し、世界的な代理ネットワークを機能させたまま、中国だけを選択的に締め上げることができたからです。

しかし、中国の軍事的台頭によって、それはもはや不可能になりました。人々は「中国軍はどこにいるのか? なぜイランを助けないのか?」と言います。しかし、中国軍はアジア太平洋地域にいるのです。だからこそ、米国はアジア太平洋地域で中国を締め上げることができないのです。

BRIAN BERLETIC:
そして、私やあなた、そして多くの人々が語ってきたこと――つまり、米国の軍産基盤と、多極主義、そして最終的には中国に対する世界戦争に必要な量の兵器を生産できないという問題――を踏まえ、彼らは決断したのです。

彼らには、イランを打倒し、同時にロシアへの圧力を維持し、さらにアジア太平洋地域で中国との大規模戦争を、代理戦争であれ直接戦争であれ遂行するだけの弾薬がないのです。

ですから私は率直に言って、彼らは今、一つの戦争で二つの問題を解決しようとしているのだと思います。すなわち、イランを不安定化させ転覆しようとすること、そして同時に、中東からの輸出を徐々に圧迫し、最終的には完全に遮断する地域的条件を作り出すことです。

人々は、「タンカーは通過している」「イランは中国向けタンカーを通している」と言っています。それは事実かもしれません。しかし、見ての通り、米国とイスラエルはイランのエネルギー生産施設を攻撃しており、それはイランが中国へ輸出できるエネルギー量に影響を与えることになります。

さらに、カタール、クウェート、サウジアラビアでもエネルギー生産施設への攻撃がありました。これらすべての国で生産停止が起きています。カタールはLNG生産を全面停止しましたが、それは中国向け輸出にも寄与していました。ですから、仮にイランが船舶通航を認めているため船が通れるとしても、何を運ぶのでしょうか。生産量はゼロか、あるいは50%にまで落ち込んでいるのです。

つまり、これはすでに、中国に対する世界的石油封鎖の形を取り始めているのです。そしてここは、中国がなお輸入を受けていた最後の地域でした。そして米国は、それを段階的に閉じつつあります。

しかも彼らは、それを「あたかも計画などなく、事態が制御不能に陥っているだけだ」というふうに装いながら進めています。そして偶然にも、中国が徐々に、しかし確実に締め上げられている?(偶然ではないでしょう)米国は戦争を継続し、さらに悪化させるために、地域へ追加の軍事資産を送り込んでいます。

なぜなら、もし彼らが「中国に対して世界的海上封鎖を実施する」と公然と言えば、それは国際化された戦争行為となるからです。そして彼らは、それを避けようとしているのです。

米国システムと中国の経済構造

GLENN DIESEN:
私はよく、中国の地経学――言うならば――は、19世紀初頭の「アメリカン・システム」と多くの共通点を持っていると指摘しています。つまり、米国が英国からの経済的独立を望んだとき、彼らは三つの柱の上に「アメリカン・システム」を築きました。

第一は製造業、つまり技術と産業です。第二は輸送の支配であり、それは当初は道路と港湾であり、後には鉄道となりました。そして第三が金融力――国営銀行です。この三本柱が、英国から独立した後の米国の独立維持を支える経済基盤を形成したのです。 (senate.gov)

中国は、ほぼ同じ道を歩んでいます。同じ三本柱を持っています。技術的優位と産業基盤。そして輸送回廊――本質的には世界を結ぶ「一帯一路」構想です。そしてさらに、通貨の国際化、新たな決済システム、開発銀行など、金融的な権力手段も持っています。

そして、米国が狙ってきたのはまさにこれだと思われます。つまり、中国の台頭を押し戻すことです。繰り返しますが、米国はこれについて非常に率直なので、陰謀論などではまったくありません。中国の技術発展を巻き戻し、サプライチェーンを寸断して工業力を弱め、今ベネズエラで見ているように、石油などのエネルギー源から切り離す。そして輸送回廊を遮断する。これもまた重要です。

トランプ支持派は、脱ドル化を試みるBRICS諸国を処罰する用意があると公然と語っています。これもまた、代替的な開発銀行を弱体化させるものです。ですから、全面的に見れば、まさにこうしたことが行われてきたのです。

しかし、それがうまくいかない最大の理由は、もはやどの国も単独では存在していないからです。これらユーラシア諸国は協力している。そして懸念されるのは、もし米国が経済戦争によって目的を達成できなければ、次は軍事的アプローチへ移行するだろうということです。つまり、支配を維持するための唯一の代替手段として全面戦争へ向かうということです。これほど巨大な戦争が非常に急速に拡大している今、その可能性を考えないわけにはいきません。

戦争の口実としての外交

GLENN DIESEN:
しかし、私は今、外交の可能性をあなたがどう見ているのかをぜひ聞きたいと思っていました。というのも、外交――さらには米国が平和について語る時でさえ――それはしばしば欺瞞的だと指摘されているからです。実際、見ての通り、交渉期間中にイランに対する奇襲攻撃が二度行われました。

しかしこれは、エスカレーション管理の問題でもあります。あなたが触れたように、世界最大のガス田であるサウス・パースを米国が攻撃しました。数時間前にトランプがTwitter、あるいはTruth Socialで、「我々はこんなことを望んでいなかった。エネルギー戦争など望んでいない。これはイスラエルのせいだ。一般消費者を苦しめるようなことはやめよう」と投稿していたのを見ました。

しかしその一方で、「もしイランが報復すれば、我々はすべてを焼き尽くす」とも言っている。

つまり、これがエスカレーション管理というものです。自分は少しだけエスカレートし、相手には同じことをするなと説得する。そして上下にエスカレーションを調整しながら、一方的に懲罰を加え、相手には報復させない。もしイランがこれを受け入れるなら、それで終わりだという気がします。

しかし、あなたはここにロシアとの関連も見ていますか。というのも、米国はロシアに対しても同じことをしているからです。あなたが言ったように、彼らは平和について語り続ける一方で、ロシア船舶への攻撃の背後におり、ロシア国内への攻撃の標的選定も続け、武器供与も続けています。もはやこの外交に何か意味はあるのでしょうか。それとも、エスカレーション支配のための純粋な欺瞞なのでしょうか。

BRIAN BERLETIC:
重要な質問です。そして答えは、米国には外交への関心などない、ということです。彼らが望んでいるのは地球規模での覇権です。そんなものを誰も受け入れません。すべての国が、それぞれの方法で抵抗しようとするでしょう。

そして米国が外交を使って行っていること――特にイランに対して外交を用いてきたやり方――は、継続的なアジェンダを、露骨に見えない形で前進させることです。彼らは、自分たちが理性的に振る舞おうとしているように見せたいのです。そして、これは単に不運な展開、不運な外交崩壊であり、その結果として軍事力に訴えざるを得なくなったのだ、と見せかけたい。

しかし実際には、彼らは戦争回避のために外交を用いているわけではまったくありません。いかなる形でも、いかなる意味でもそうではない。彼らは意図的に、それを戦争の口実として利用しているのです。

そしてまた、何度も同じ話をして恐縮ですが、2009年の『Path to Persia』報告書には、外交について丸々一章が割かれています。そしてその章を読めば、彼らは基本的にこう言っているのです。この選択肢こそ、イランに対する体制転換戦争を開始するための最善の方法だ、と。なぜなら、それによって「彼らは外交を望んでいたが、イラン自身がこの事態を招いた」と世界に信じ込ませることができるからです。ですから、これが彼らの行っているゲームなのです。

さらに言えば、もしこれら諸国の首都で誰かが、外交に関して米国の言葉を本気で信じているならば、それはこのゲームにおいて相手に騙されているということです。しかし究極的には、その目的は戦争回避ではなく、戦争の口実作りなのです。

だからこそ、ロシアはロシア自身のゲームをしているのだと思います。中国もまた、自分たち自身のゲームをしている。イランについては断言できませんが、ほぼ確実に、時間を稼ぐために独自のゲームをしていたのだと思います。彼らは皆、このことを十分理解していると思います。

だからこそロシアは、米国との外交交渉において、いかなる譲歩も一切してこなかったのです。本当に一つも譲歩していない。なぜなら、たとえ米国政府の誰もが「そんなことはない」と誓い約束したとしても、それが結局は「ミンスク3.0」になるだけだと知っているからです。

「防衛戦争」として売り込まれる戦争

GLENN DIESEN:
ええ、米国が侵攻する直前、Politico の報道では、ホワイトハウスかペンタゴンの関係者――少なくとも彼らが取材した人物――が、「まずイスラエルに攻撃させた方がよい」と述べていました。そうすれば、イランが報復した際に、米国はイスラエル支援に入ることができる――いわば「イスラエルの存在する権利を守る」という形にできるからです。

要するに、それを「防衛戦争」として売り込むことができる。つまり、ナラティブ管理も必要だということです。最終的には彼らはこの選択肢を採りませんでしたが、こちらの方が、もしかするとより管理しやすかったのかもしれません。

しかし、少し話題を移して、今イランで実際に起きていることの詳細に入りたいと思います。というのも、これは互いを消耗させることを目的とした戦争のように見えるからです。つまり、双方が相手に苦痛を与えようとしており、同時に自らもその苦痛を吸収できなければならない。

現時点で、双方の能力や、この――今は第三週目だと思いますが――ここまででどの程度能力が損耗しているのかについて、私たちは何を知っているのでしょうか。

米国の戦略――イランを消耗させることと、米国の限界

BRIAN BERLETIC:
はい、ほぼ三週間です。ほぼ丸三週間ですね。

そして、これこそが今米国が行っていることです。彼らは最初、非常に迅速かつ圧倒的な攻撃を試みました。おそらく、それによって連鎖反応が起き、すべてが崩壊することを期待していたのでしょう。しかし私は、彼らにプランBがなかったとは到底思えません。

彼らは当然知っていたはずです。「モザイク防衛」という概念は、西側諸国、とりわけ米国の政策文書の中で何十年にもわたり言及されてきました。ですから、イランの指揮統制システムがどれほど強靭で、どれほど分散化されているか、彼らは理解していたはずです。

実際、彼らはすでにこの戦争を遂行していたのです。少なくとも初期段階は。私は昨年イランに対して行われた暴力行為(6月の12日戦争のこと)を、現在進行している紛争と一体のものとして捉えています。これは一つの侵略戦争であり、単に再編成、 regroup、再武装のための短い休止を挟みながら、段階的に実施されているだけなのです。

ですから彼らは、それを知っていたはずです。そして今彼らがやろうとしているのは、イランを経済的に消耗させることです。彼らは今、イラン国民9300万人にとって不可欠なインフラを攻撃し始めています。イランは石油・ガス輸出に依存しています。そして政府歳入の半分はその輸出から来ています。

したがって、米国がそれを攻撃し、しかも当然ながらその責任をイスラエルに押しつけることで、9300万人のイラン国民の生活基盤そのものが脅かされているのです。これは単に政府や軍を標的にしているわけではありません。

しかし繰り返しますが、私は正直、これはホルムズ海峡を閉鎖することも目的としていると思います。現在アジア太平洋地域から中東へ向かっている海兵遠征部隊(Marine Expeditionary Unit)の役割の一つは、ホルムズ海峡を通過することを許された船舶に対する臨検・阻止行動に従事することだと思います。少なくとも米国は、その能力を現地で保持したいのだと思います。そして、それこそが海兵遠征部隊がその地域で米国に提供する能力の一つなのです。

ですから私は、彼らは戦争継続を望んでいると思います。しかし同時に、事態が制御不能へと螺旋状に進み、しかも非常にゆっくりと、あたかも自然な成り行きであるかのように、何らかの形で全輸出が閉ざされていくことを望んでいるのだと思います。

互いのエネルギー生産に対する「相互確証破壊」です。すでに起きています。すでに中国向け輸出量を減少させています。彼らはイラン政府を打倒したい。それはロシアと中国を孤立化させ、その後、同盟国やパートナーを失ったロシアと中国を個別に処理していくための前提条件なのです。

しかし同時に、これは中国を遮断することでもあると思います。ですから私たちは、その点を注意深く見続けなければなりません。

米国防空ミサイルの消耗

BRIAN BERLETIC:
米国が抱えている問題は、対ミサイル迎撃弾の保有量が非常に限られているということです。私たちは何年も前から、ウクライナにおけるロシアとの代理戦争との関連で、この問題について話してきました。

2022年にウクライナ紛争が激化する以前から、すでにパトリオット・ミサイル不足は起きていました。なぜなら、米国がサウジアラビアを通じて遂行していたイエメン代理戦争があったからです。サウジアラビアはパトリオット・ミサイルを使い果たしかけており、その時点ですでに米国は追加供給ができなくなっていました。彼らは近隣諸国から借りなければならなかったのです。つまり、その時点ですでにそういう状況だったのです。

そして今、それがどれほど悪化しているか想像してみてください。イエメン紛争は続いており、昨年の紛争、昨年イランに対して開始された侵略戦争、そして今年と続いています。彼らは現在、迎撃ミサイルを極めて低い水準まで消耗しています。

そして見ての通り、イランはミサイル発射のペース配分を始めています。毎日20発から30発程度です。彼らはミサイル切れではありません。依然として安定したペースで発射を続けており、しかもより多くが突破するようになっている。

これは何を意味するのでしょうか。(米国側の)防空用弾薬が尽きつつあり、防空網に穴が生じ始めているということです。

私たちは、THAADシステム用の極めて貴重で、ほとんど代替不能に近いレーダーをイランが破壊したのを見ました。確か、世界全体で13基程度しか存在せず、そのうち3〜5基が、今回の戦闘だけですでに破壊されたと思います。これは重大なことです。

ですから米国は、こうしたすべての問題と戦っているのです。大量の戦闘機を送り込んでいますが、海軍艦艇も、すでに整備限界に達しているか、まもなく達しようとしています。

USSフォードが、事実上クレタ島へ退避して修理を受けているのを見ています。そしてUSSフォードの損傷について語られている内容が、あの施設で修理可能だとは到底思えません。ほぼ確実に、修理のためには米国本土へ戻らなければならないでしょう。

つまり、彼らは現在そういう状態なのです。過剰に引き伸ばされている。彼らは多極主義に対する世界戦争を遂行したがっています。しかし、それを実行するための無限の資源は持っていない。

一方で、多極主義そのものは成長し、拡大し、強化され続けています。そしていずれ、米国は歴代の帝国と同じように、疲弊し、過剰拡張の果てに限界点へ到達することになるでしょう。

その時、彼らが何をするのか、私たちは見守るしかありません。彼らは核兵器を保有しています。これは、自らの限界に達した時の大英帝国には存在しなかったものです。

その限界点に達した時、米国は何をしようとするのでしょうか。もしイランが、自らの軍事能力を消耗し尽くした結果、本当に衰弱し崩壊し始めたなら、何が起きるのでしょうか。

私にはわかりません。極めて危険な状況です。なぜなら、最終的にこれはすべて、ロシアと中国を狙ったものだからです。そしてその両国は核保有国家です。ですから、この紛争が良い方向へ向かう道は存在しないのです。

希土類鉱物と米国の意図の役割

GLENN DIESEN:
現時点での米国の能力についてですが――あなたは破壊されているレーダー群について言及しました。そのうちいくつかは数億ドル規模のものであり、さらに重要なのは、それらを製造するために必要な資源です。例えば、それらの製造にはガリウムが必要です。そしてガリウム生産の98%あるいは99%は、たまたま中国で行われています。

つまり、もし米国がこの戦争を継続し、中国へ向かおうとするなら、実際には中国の助けが必要になるということです。そして問題はすでに見え始めていますが、もちろんこれはもっと広範な問題です。

米国内でも、多くの人々が、こうしたレアアース鉱物を持たないことの深刻さに目覚めつつあります。そして砲弾やミサイルを作るためにはアンチモンも必要ですが――これもまた中国です。そして中国側も、この問題に気づいたように見えます。彼らは米国を「非軍事化」したいと考えているのでしょう。そして戦争に利用可能な鉱物について上限や制限を設けています。なぜなら、米国の戦争機構が明らかに中国をも標的としているからです。

ですから、これらすべては米国の意図について何を物語っているのでしょうか。私は、それはかなり明白だと思います。特にRANDのようなシンクタンクの政策文書を読めば、誰にとっても明らかです。

しかし、あなたはこれらの意図が、実際の能力によってどの程度実現可能だと考えていますか。というのも、米国はおそらく、現在直面しているような困難をまったく想定していなかったのではないかと思うからです。

私は、バイデンからトランプに至るまで、「我々は世界最強の国だ」「世界最強の軍隊を持っている」「同時に全員を相手にできる」と豪語してきたこと――ちなみにこれはほとんどバイデンの直接引用ですが――そうした発言を見る限り、彼らは自らの能力を過大評価していたのではないかと思っています。

では、彼らが壁に突き当たった時、何が起きるのでしょうか。

過剰拡張、焦燥、そして中国との時間競争

BRIAN BERLETIC:
私は、彼らが実際に自らの能力を過大評価しているとは思いません。むしろ、どこに欠陥があるのかを理解しているのだと思います。そして、だからこそ今私たちが見ているような、明らかに非常に急いだプロセスが進行しているのだと思います。彼らはもはや、これを取り繕おうとすらしていません。

トランプ大統領のような人物が、「我々はキューバを取る」と言っています。誰がそんな話し方をするでしょうか。まるで映画の悪役です。現実世界の本物の指導者がそんな話し方をするのを、まず見ないでしょう。なぜなら、それはあまりにも露骨で、不適切で、あらゆる意味で違法かつ間違っていることが明白だからです。

しかし彼らは、自分たちが何をしているのかを隠そうとすらしていません。なぜなら、それこそ彼らが実際にやっていることだからです。彼らは国家を奪い取っているのです。

彼らは多極主義と戦争をしている。そして現在、多極主義に投資している世界中のすべての国々――その数は増え続けていますが――に対するメッセージはこうです。

「もしお前たちがこれを続けるなら、我々はベネズエラにしたことをお前たちにもする。我々はお前たちの大統領を拉致し、首都で数百人を殺し、政府を人質に取り、お前たちの足元から資源を根こそぎ奪い取る。そしてお前たちにはそれを止める術はない。」

そしてこれは、トランプ大統領、その政権の人々、西側メディアの人々が実際に語ってきたことです――「お前たちには止められない」と。これは公然たる世界的暴力団行為です。ほとんどマフィア的です。これこそが、彼らが世界に送ろうとしているメッセージなのです。

彼らはキューバを倒すことで、自分たちが「容易に倒せる相手」と考えている国々を見せしめにし、他の国々を再び従わせようとしているのです。

彼らは中国経済を締め上げ、中国の経済成長を弱体化させ、中国を再び従わせようとしている。あるいは少なくとも、自分たちの残り時間を少しでも延ばそうとしているのです。

なぜなら最終的に、中国はあと約5年で、あらゆる指標において不可逆的に米国を追い越すからです。そしてその時には、米国にはもはやそれを止めることも逆転させることもできなくなる。だからこそ、彼らはその時間との競争をしているのです。

そして彼らの視点からすれば――率直に言って、米国の企業金融エリート、さらには政治階級を見てください。彼らの誰かが、ブッシュ時代以降、自分たちの行為について責任を問われたことがありますか。

21世紀だけを見ても、ブッシュ・ジュニア政権から現在に至るまで――ありません。

このすべての代償を払っているのは誰でしょうか。中東で殺されている人々です。ちなみに、米兵たちもまた、このすべての中で命を落としています。そして燃料価格の上昇を見ている世界中の消費者たちです。さらに燃料に依存するあらゆる商品の価格上昇もあります。代償を払っているのは彼らなのです。

ワシントンではありません。ウォール街でもありません。彼らは代償を払っていない。

だから彼らは、この最後の賭け――地球規模の覇権を再確立しようとする最後の賭け――に、何の下振れリスクも見ていないのです。

そして彼らは、第二次世界大戦時と同じように、こう考えているのかもしれません。

「我々はユーラシアを、巨大な大陸規模戦争――あるいはそれを超える規模の戦争――で徹底的に破壊できる。そして我々自身はほとんど無傷で浮上する。なぜなら我々の間には二つの海があるからだ。第二次世界大戦と同じように、世界中が我々の戦争と代理戦争によって疲弊した後、我々は最後に勝ち残る。」

そして彼らは、そうすれば再び自らを立て直す機会があるかもしれないと考えているのです。中国に対して相対的に、より強い立場でこの危機を抜け出せるかもしれない、と。

それが彼らの唯一の希望なのです。

なぜなら、現在のままであれば、中国は不可避的に米国、そして西側集団全体を完全に追い越していくからです。彼らが何か劇的なことをしない限り、それを止める手段は他に存在しないのです。

エスカレーションの選択肢と、この戦争がどれほど長引きうるか

GLENN DIESEN:
では、この戦争はどれほど長く続きうると思いますか。というのも、トランプは「さらに強力な攻撃を始める」と述べていましたが、同時に、攻撃すべき軍事目標はそれほど多く残っていないことも認識しています。

ですから、もしエスカレーションを進めるなら、別の方法へ向かうことになります。もちろん民間人を標的にすることもできる。病院や重要インフラを攻撃し、人々に圧力をかけることです。また、すでに見ているように、ガス田や石油施設を攻撃して、国内にエネルギー危機や経済問題を引き起こすこともできる。

さらには原子力発電所を攻撃することも可能です。実際、ブーシェフル原発への攻撃がありました。そして「小規模な核攻撃」は、当然ながら実際の核攻撃へと発展する可能性もあります。

では、米国にとって、エスカレーションの梯子を上るとは今どういう意味を持つのでしょうか。そして、これはどれくらい続きうるのでしょうか。

BRIAN BERLETIC:
ええ、戦争開始当初、米国がイランに対する侵略戦争を始めるために投入していた資源量――それはおそらく二、三週間程度しか維持できないものでした。彼らはそのような極めて高強度の作戦を続けることはできましたが、限界に達する数日前、あるいは一週間ほど前には、すでに追加資源を投入し始めていました。

彼らはすでに追加の空母を送り込んでいましたし、戦闘機を米国本土から欧州へ飛ばし、さらにそこから中東地域へ投入していました。

ですから現在、おそらく彼らには、あと一〜二か月、あるいはそれ以上、この高強度の作戦を継続するだけの資源はあるのでしょう。

そしてもちろん、もし彼らがイランの能力をかなり劣化させたと感じつつも、なお政府を不安定化・打倒できない場合には、作戦テンポをかなり落とすこともできます。そしてその場合、ほぼ無期限に維持することも可能でしょう。特に、イラン防空網をそれほど気にせず、イラン上空の一部区域だけでも飛行できるのであれば、非常に長期間続けることができます。

繰り返しますが、彼らの限界は迎撃ミサイルの数と、イランが毎日継続して弾道ミサイルを発射できる能力です。

もし迎撃ミサイルが大幅に不足し、防空網に巨大な穴が生じ、さらにイランが地域全体にある米軍インフラ――つまりイスラエルを含む、実質的には地域のすぐそばに押し出された「沈まない米空母」のような存在――を本格的に解体し始めたなら、深刻な問題が発生し得ます。

もちろん米国は、自国資産を後方へ移動させ、遠距離から攻撃を行うことはできます。しかし、後方へ下がるたびに、航空機への整備負担、空中給油能力への負担など、あらゆる問題が増大します。ですから、多くのジレンマが存在しています。

あなたは非常に重要な点を指摘しました。米国はすでに民間インフラ、そして不可欠な経済インフラを攻撃しています。彼らは今後もそれを続けるでしょう。そして私はほぼ確実に、米国はイランがホルムズ海峡通航を認めているタンカーを止め始めると思います。ほぼ間違いなく、それらを拿捕し始めるでしょう。そして事態は制御不能にエスカレートし得ます。

私が最も懸念しているのは、米国がイスラエルを「究極のスケープゴート」として極めて露骨に利用していることです。

彼らはイスラエルを通じて何でも行うことができ、その上で、「これはイスラエルの行為であり、米国には止めることができなかった」と大衆の大部分を納得させることができる。そしてそれは核兵器にまで及びます。

イスラエルは核兵器を持っています。もし米国が何らかの理由でイランに核兵器を使いたければ、単にイスラエルにやらせればよい。そしてトランプ大統領はTruth Socialに座って、「私はやるなと言った。彼らが本当にやるとは知らなかった。そして彼らはやってしまった」と言うだけです。

繰り返しますが、2009年の『Which Path to Persia』報告書には、「Leave it to Bibi(ビビに任せろ)」というタイトルの章があります。それは、イランに対する体制転換作戦を推進するために、イスラエルを使い捨て可能な代理勢力として利用することについて書かれた章です。

ですから私は、これらはすべて現実的可能性だと思っています。だからこそ、この紛争はこれほど危険なのです。

しかし繰り返しますが、米国は今、非常に急いでいます。彼らは追い詰められている。追い詰められ、傷ついた帝国ほど危険な帝国はありません。

政治的一体性と戦争継続能力

GLENN DIESEN:
ええ、同感です。彼らは抵抗せずに退場するつもりはないでしょう。しかし、この戦争がどれほど続きうるのか、あるいはどちら側が先に崩れるのかという点について言えば――イランが崩れる可能性もあれば、米国が崩れる可能性もあります――それは単に軍事能力だけで測れるものではありません。

つまり、相手側の経済をどれだけ弱体化できるか、政治的一体性、社会的支持をどれだけ維持できるかも重要です。

例えばジョー・ケントの辞任ですが、私はこれは戦争支持を弱めるという点でかなり重要だと思いました。しかし、双方について、あなたはどう見ていますか。軍事能力以外――経済、政治、社会問題を含めて――どれほど持ちこたえられるのでしょうか。

BRIAN BERLETIC:
まずイラン側について言えば、イランは何十年にもわたり非常に粘り強く抵抗しました。

イラン・イラク戦争の八年間は、イラン国家にとって巨大な悲劇でした。そしてそれは再び、イラクを通じて米国によって押しつけられたものでした。それでもイランは生き延び、その後それを乗り越えることができた。

そしてそれは八年間です――双方で何十万人もの人々が死亡した、丸八年間の戦争です。イランの経済やエネルギー生産インフラには甚大な被害が与えられました。船舶も失いました。それでもイランは耐え抜いたのです。

さらにその後も、米国からの巨大な圧力に耐えてきました。なぜなら、これは1970年代後半以来、イランを消耗させ、打倒しようとする継続的プロセスだからです。つまり、イラン国民が、自分たちの上に据えられていた米国の傀儡政権を正当に打倒して以来ずっと続いているのです。

ですから彼らは非常に強靭です。しかし、限界は必ずあります。そしてその限界がどこなのか、私たちにはわかりません。

イランはすでに、この戦争の現在段階においても、驚異的な耐久力を示しています。しかし、あとどれほど続けられるのでしょうか。特に米国が経済インフラを本格的に解体し始めた場合です。

すでに水供給施設は攻撃されています。今後、エネルギー生産、大規模停電、発電施設、その他あらゆるインフラ、病院なども攻撃される可能性があります。

彼らはすでに女子学校を爆破し、その後嘘をつき、それをイランのせいにしました。それが意図的だったかどうかは別として、侵略戦争を行えば、そういうことが起きるのです。ですから、意図的だったかどうかにかかわらず、そういう事態は必然的に発生する。だからこそ、そもそも侵略戦争など始めてはならないのです。

したがって、それらすべてについて彼らには責任があります。そして今、彼らはイランに対してそういうことをしている。

では、それがいつイランを本当に崩壊させるのか。私にはわかりません。

米国の政治的一体性について言えば――これもまた、私が2024年選挙前から警告していたことです。反対勢力など存在しません。民主党も共和党も、その中間のすべての勢力も、ワシントンにいる者たちは皆ウォール街のために働いています。

そして米国民の前でどんな芝居を演じようとも、最終的には常にウォール街のために動くのです。彼らはずっとそうしてきました。だからこそ、ジョージ・W・ブッシュから現在に至るまで、あなたは彼らが一歩一歩、この戦争へ向かって進んでいくのを見ることができるのです。

一つの政権が、次の政権がイランに対する侵略戦争へさらに進めるよう、完璧に舞台を整える。そして次の政権がそれを引き継ぐ。今起きているのはその結果です。

ジョー・ケントの辞任については、私は非常に慎重に見るべきだと思います。なぜなら、彼が辞任した目的は、トランプ政権を批判することではなかったからです。彼はイスラエルを非難していたのです。

ですから、再び2009年の政策文書――「Leave it to Bibi(ビビに任せろ)」に戻ってください。イスラエルを使い捨ての代理勢力として利用し、イランに対する侵略戦争を遂行する、という話です。

この戦争が米国にとって悪い方向へ進む可能性はあります。現時点では誰にもわかりません。まだ判断するには早すぎます。

しかし、どちらに転んでも、世界経済を破壊していることだけは確実です。

ですから、もし可能なら、その責任を誰か別の相手になすりつけたいと思わないでしょうか。そして、そのすべてを他人に押しつけたうえで、自分自身は比較的「手が汚れていない」状態でこの危機を切り抜けたいと思わないでしょうか――あるいは少なくとも、一部の人々に「比較的無実だ」と信じ込ませたいと思わないでしょうか。

ですから、彼がやっているのはまさにそれです。

彼はこれを非難しイスラエルを責めている時でさえ、イランを「脅威」のように描いています。あるいは「イランは何年も米国人を殺してきた」と言っています。

しかし彼は、その米国人たちが、イランを包囲・封じ込め、その存在そのものを脅かすために、違法に地域へ侵攻していた人々だという事実には触れません。

もし立場が逆だったなら、米国人もまったく同じことをしていたでしょう。彼はそうしたことには一切触れない。

ですから彼は、体制側の人物として、ダメージコントロールとスケープゴート作りを行っているのです。この点は非常に注意深く見る必要があります。

そして米国の政治システムは、まさにそのために設計されています。つまり、問題を区分化し、ダメージコントロールを行い、スケープゴートを作り、人々を分断し、注意を逸らし、そしてアジェンダの継続性を維持するために設計されているのです。

それこそが、そのシステムの本質です。そして彼らは、それを実行することに非常に長けています。

イランの戦略――エネルギー・インフラへの攻撃

GLENN DIESEN:
適切な反対勢力が存在しないという点についてですが、私は――ええ、それもまた、この戦争から得られる教訓の一つだと思います。

トランプは、究極のポピュリストのように見えました。体制に挑戦する人物、自党内の政治エスタブリッシュメントにも、メディアにも挑み、「終わりなき戦争」に反対し、触れてはならないとされていたあらゆる「聖域」に切り込む人物に見えた。

しかし今では、結局のところ、誰に投票しようと本質的には変わらなかったのではないか、反対側が勝っていても全く同じ政策になっていたのではないか、という印象を受けます。

しかし、イランが今どのようにカードを切ろうとしていると見ていますか。

というのも、昨日――つまり米国、あるいはイスラエル、あるいは米国・イスラエルが――イランのサウス・パース・ガス田を攻撃しました。そして私たちが眠っている間に、イランがカタールのガス田の一部を攻撃し、さらにサウジアラビアも攻撃したのを見ました。

興味深いと思ったのは、彼らがサウジ西岸、つまり紅海側の製油所と港湾を攻撃したことです。つまり、こちら側のルートも遮断しようとしている。

ですからイランは、自分たちがどのような戦いの中にいるのかを理解し、エネルギーを主要な報復領域として認識しているように見えます。

そしてまた――決してあり得ない話ではないと思いますが――イエメンも参戦し、紅海を封鎖するために海峡封鎖を試みる可能性もあるでしょう。それは湾岸諸国全体を崩壊させる可能性もあります。

あるいは、イラン側も他の誰もと同じ現実認識を持っているとすれば、彼らは今後どのように動くと思いますか。

つまり、彼らは湾岸諸国に対して、事実上こうした最後通牒を突きつけるつもりなのでしょうか――「我々があなた方を完全に停止させるか、それともあなた方が米国から切り離されるかだ」と。

イランはここでどのようなゲームをしているのでしょうか。

BRIAN BERLETIC:
まあ、それについては断言できません。もしそれがイラン側の戦略なのだとしても、その戦略の問題は、これらアラブ諸国が本質的に政治的に捕えられた状態にあるということです。

彼らは、本質的にはウクライナと同じ状況にあります。ウクライナは、たとえ望んだとしても、もはや何もできない。米国の利益に完全に奉仕し、自国の犠牲の上に成り立つ、抜け出せない立場へ追い込まれているのです。そして今、まさに同じことがこれらアラブ諸国すべてに起きています。

彼らが、どうして本気で「米国が自分たちを守ってくれる」「米国は信頼できるパートナーだ」と信じられたのか、私には理解できません。

もちろん、そこまで騙されやすい人々がいる可能性はあります。しかし彼ら自身、自分たちが代理勢力であり、本質的には常に「虎に乗っている」状態であって、そこから優雅に降りる方法など存在しないことを知っていたはずです。

そして私は、彼らが今まさにその地点にいると思います。もしかすると降りたいと思っているかもしれない。しかし、どうやって降りるのでしょうか。本当に方法がないのです。

ですからイランは、可能な限り最大のコストを、米国と地域内のその代理勢力に課そうとしているのです。

しかし私は、イランがこれらアラブ諸国に「米国を追い出させよう」と考えているとは思いません。考えてみてください――彼らはいったいどうやってそれを実行するのでしょうか。

もし実際にそうなれば、もちろん素晴らしいニュースでしょう。それは地政学的発展における革命的出来事になります。しかし私は、それが起きるとは思えません。それは、ウクライナ人たちが立ち上がって、「もうこの代理戦争に加わりたくない」と言い出すのを期待するのと同じくらい現実味がない。

私は、彼らが上から下まで政治的に支配されている以上、このまま続いていくと思います。米国は、最後のインフラ一つに至るまで、最後の一人のアラブ人に至るまで、彼らを使い尽くしてイランとの戦争を遂行するでしょう。

そして実際、同じことをイスラエルに対しても行っています。

多くの人々は、これは逆の関係だと思っています。しかし現実には、イスラエルもまた毎日弾道ミサイル攻撃を受けています。そして今ではヒズボラからのロケット攻撃も受けている。さらに彼らはレバノンへ部隊を送り込んでいますが、南レバノン地上戦でヒズボラに対して前進できていません。

ですから、この地域のすべての国々は、米国への従属関係によって、今やこの戦争に閉じ込められているのです。

そして彼らに残された唯一の希望は、米国が最終的にイラン軍事能力を劣化させ、政府を打倒できることです。本当に、それしか希望がない。

私は、彼らの誰かが米国に対して、「もうこんなことはしたくない。どうか我々の国から出ていってくれ」と言うとは思えません。彼らにそんなことができるとは到底思えないのです。

多くのアラブ諸国では、国内治安機構そのものが米国やその他西側諸国によって構築され、その一部は今なお運営されています。ですから彼らが、どうやって米国排除を考え始めることができるのか、私にはわかりません。

「捕獲された国家」――代理勢力、消耗、そして多極化への道

GLENN DIESEN:
ええ、ウクライナ問題について言えば、私にはいつも驚きでした。というのも、古い情報の多くが、西側メディアの中でも実際にはかなりアクセス可能だったからです。ニューヨーク・タイムズからワシントン・ポストに至るまで、彼らは過去数年間に多くのことを確認してきました。そして今では、さらに多くのことを確認しています。

その一つは、(マイダン)クーデター直後の初日から、米国がウクライナ情報機関を掌握していたということです。これは確認されています。また、ウクライナの検事総長の証言から、政府に入る人物を誰にするかを選び、決定していたのは米国側だったこともわかっています。つまり、政治システムそのものを掌握していたのです。

さらに、彼らが独自の軍事勢力を構築したこともわかっています。つまり、極右グループが米国情報機関によって訓練・武装されていた。そしてそれはドンバスの反体制派と戦うためだけではなく、キーウがもし和平を考えようとした場合に拒否権を行使するためでもあった。

NGO資金停止の一時的混乱からもわかったことですが、ウクライナのNGOは、資金面で言えば、現在では米国のNGO――そして情報機関と連携する組織――によってほぼ代表されている。彼らがウクライナの「市民社会」を代表しているのです。また、ウクライナ・メディアの85〜90%が米国資金によって支えられていることもわかっています。

ですから、ええ、良い指摘です。社会そのものが捕獲されている。そして2019年に実際に見たように、ウクライナ国民が本当に投票できた時、73%が和平プラットフォームに投票した(ロシアとの和平をうったえたゼレンスキーに投票した)にもかかわらず、それがどれほど迅速に封じ込められたか。

米国が支援するNGOと、米国が訓練した右翼グループが「越えてはならない一線」を設定し、「あなたが選挙で掲げた政策、和平構想、あなたの綱領のすべてがレッドラインだ」と言った。そしてゼレンスキーは自らを翻した。つまり、これは捕獲国家なのです。

ですから、それは非常に重要な点です。しかし私は、今でも同じレトリックが続いていると感じます。「いや、我々はウクライナを助けなければならない」「決めるのはウクライナだ」「ウクライナが決めない限り、我々は何も合意しない」と。

しかし、ウクライナは何も決めていない。決定はワシントンやその他の場所で行われているのです。

しかし、ここでの私のポイントはこうです。もし湾岸諸国が米国から切り離されないなら、イランは彼らを破壊できるように見える、ということです。

つまり、民間人や都市住民を直接攻撃するという意味ではありません。しかし例えば海水淡水化プラントを止めてしまえば、水がなくなる。彼らの大半は、本質的には砂漠地帯に住んでいるわけです。

では、これは湾岸諸国の終わりなのでしょうか。それとも、それはイラン側にとってあまりに野心的すぎる見方なのでしょうか。

イランの耐久力と米国パワーの消耗

BRIAN BERLETIC:
これまでのところ、イランは「報復」という形を取っています。つまり、最初に自分たちからこうした行動を始めているわけではありません。自分たちに対して行われたことに応答しているのです。

しかしほぼ確実に、彼ら自身も理解しているはずです。つまり、自分たちに対して行われていることは、「イランが必ず報復する」と十分承知した上で行われているのだ、と。

そしてもちろん、米国はアラブ世界の誰のことも、さらにはイスラエルのことさえも気にしていません。彼らは地域全体のことなど気にしていないのです。

彼らは皆、代理勢力であり、使い捨て可能な存在なのです。ウクライナと同じように。

BRIAN BERLETIC:
米国がウクライナの人々のことを本気で気にしていると、本当に誰か信じているのでしょうか。あるいは、ウクライナそのものについて何か気にしていると。米国にとって重要なのは、ロシアに対する地政学的目標を推進する上での有用性だけです。そして今の場合は、イランに対する有用性です。

ですから、イラン、ロシア、中国は皆、非常に厳しい立場に置かれています。なぜなら、彼らは米国が最終的には使い捨て可能と見なしている代理勢力に囲まれているからです。

そして、彼らがその代理勢力にどれほど大きな損害を与えようとも、問題の根源は依然として地球の反対側にいる米国なのです。これは非常に大きな問題です。

しかし、もしそれら代理勢力を排除できる、あるいは深刻に弱体化させることができれば、それはある意味で、米国がそれら代理勢力を使って自分たちを脅かす能力を弱めることにもなります。

それらがより弱く、より破壊されればされるほど、米国が標的国に対してそれらを利用することは難しくなる。

しかしまた、この紛争の性質そのものも重要です。米国は現在、膨大な量の弾薬を消耗しています。対ミサイル迎撃弾だけではありません。長距離精密誘導兵器もです。

私が以前、「戦略的シークエンシング」について話していたのを覚えていると思います。米国はウクライナに対して、実際にはアジア太平洋地域で中国との戦争を挑発した際には決して使うつもりのなかった兵器を送っていた、と。

しかし今、イランに対して使っている兵器は、まさに彼らが中国との潜在的戦争のために温存していた種類の兵器なのです。

つまり彼らは、自らの在庫を消耗している。そして、その消耗した備蓄を補充する方法を持っていない。補充には何年も何年もかかります。

彼らはトマホーク巡航ミサイルやJASSMを、数年分の生産量に相当する量、たった数日間――この作戦の初期段階だけで――使い果たしてしまったのです。

ですから、ある意味では、イランが単に生き残り、このすべてを耐え抜き、米国の兵器在庫を消耗させ続けること自体が、今の米国を深刻に制約しているのです。

米国は今、世界規模の侵略、殺害、拉致の連続行動を行っています――世界的な犯罪的暴走状態にある。しかし彼らは、それを永遠に続けることはできない。

そしてイランが持ちこたえる時間が長ければ長いほど、米国はより消耗し、次の標的国へ進んでこの暴走の勢いを維持する能力を失っていくことになるのです。

BRIAN BERLETIC:
私は、これはバイデン政権末期に始まり、そしてトランプ政権下で一気に加速したのだと思います。そして繰り返しますが、これは常に、常に計画通りでした――イラン領事館への攻撃です。あれが、この全過程の始まりでした。

そして、この全過程が、イランと同時にロシアと中国の両方を狙ったものだと理解すれば、この事態がどれほど深刻な紛争へ発展したかも理解できるでしょう。

彼らは、これがこうした事態に至るとわかっていた。そして、それでも実行したのです。

ですから結局のところ、彼らは自らを消耗させている。そしてイランとの結果がどうなろうとも、その後ここから他国へ、他地域へと軍事的圧力を展開する能力を、自ら制限しているのです。

もしこの戦争に「せめてもの救い」があるとすれば、それでしょう。

最前線国家と、ウクライナから教訓を学べないこと

GLENN DIESEN:
ええ、それは確かに一つの明るい側面です。しかし彼らは軍事資源を消耗しているだけではありません。例えば韓国のような国々にも衝撃を与えています。自国の防空システムが引き抜かれ、イラン方面へ送られているのを目の当たりにしているわけですから。

つまり、ある時点で、東アジアや欧州の「代理勢力」や「最前線国家」は、湾岸諸国を見て、「次は自分たちかもしれない」と考えるようになるはずだと思うのです。

しかし、これもまた楽観的すぎる見方かもしれません。

ここスカンジナビアを見ると、これまで何十年もの間、中立あるいは半中立を維持し、少なくとも安全保障競争を慎重に管理してきた国々が、今では米軍基地を開放し、しかも非常に熱心に「最前線国家」の役割を受け入れています。しかも彼ら自身、トランプの予測不能な振る舞いに怯えきっているにもかかわらずです。

本来なら、彼らはウクライナや湾岸諸国を見て、「我々も帝国のために戦う次の最前線国家になるのか」と問い始めるべきなのです。

しかし、それはまだ起きていないように見えます。少なくとも今のところは。

GLENN DIESEN:
ええ、あなたの言う通り、もしこれがより長期間続くなら、これまで疑問視すること自体が許されてこなかった前提に対して、誰かが疑問を抱き始めるかもしれません。

最後に、締めくくる前に何かありますか。

政治的捕獲、多極主義、そして今後の道筋

BRIAN BERLETIC:
ええ、実は韓国についてですが――韓国は本来、そうした迎撃ミサイルを必要としていません。

いったい誰が、何の理由もなく韓国を突然攻撃するというのでしょうか。誰もいません。誰も韓国を攻撃しようなどとはしない。

朝鮮と韓国の関係は、時として改善へ向かっていました。そして、そのプロセスに割って入り、再び凍結させたのは米国でした。

また、韓国と中国は膨大な量のビジネスを行っています。そして中国が韓国に望んでいるのは、基本的にはそれだけです――韓国と商売をすることです。中国は韓国へ侵攻したいわけでも、ミサイルを撃ち込みたいわけでもありません。

彼らがそうしたミサイルを必要とする唯一の理由は、米国が戦争を挑発した場合です。そして、その挑発された戦争の結果として、韓国国内にミサイルが飛来することになる。なぜなら韓国が米軍基地を受け入れているからです。これはアラブ諸国とまったく同じです。

そして残念ながら、アラブ諸国であれ、ウクライナであれ、韓国、日本、最近ではフィリピン、あるいは北欧諸国であれ――これらはすべて政治的に「捕獲」されています。

政府上層部がすでに掌握されているのです。彼らは喜んでワシントンのために働いている。そして、自分たちはこのすべての結果から守られていると知っている。

彼らは芝居を演じるでしょう。まるで国民の最善の利益を守ろうとしているかのように見せかけるために。

もし人々がこうした構造を見抜き始めるなら――そして最終的には、それこそが必要になるのだと思います――それは、これらの国々の内部にいる人々が目を覚ますことから始まるでしょう。

自分たちの政治システムは、単に「壊れている」のではない。これは自己決定のためのシステムではなく、支配のためのシステムなのだ、と。そして次に、「では、それをどう変えるのか」を考えなければならない。

しかし同時に、多極主義そのものが、米国がそれを破壊できる速度を上回る形で成長し続けなければならない。

そして今私たちが見ているように、米国は侵略戦争を次々に行う中で、自らを深刻に消耗させています。一つの戦争の後にまた別の戦争、しかも同時並行で複数の戦争を行っている。

そしていずれ、転換点が訪れるでしょう。その時には、多極世界の構築速度が、米国による破壊速度を上回るようになる。

しかし、そのためには私たち全員が、人々を目覚めさせる努力をしなければならない。それが今起きていることなのです。

イランだけ、ウクライナだけ、あるいはベネズエラやキューバだけに、近視眼的に焦点を当ててはならない。

米国は、単極支配を維持するために、多極主義に対して世界規模で戦争を行っているのです。

ですから私たちは、その現実を理解し、それを暴露し、他の人々にも気づかせなければならない。そして、多極主義――世界における公正な勢力均衡――が、この乱暴で、明らかに制御不能になった単極世界秩序に打ち勝つために何ができるのかを考え始めなければならないのです。

歴史的パターン――覇権にとっての「平和」という脅威

GLENN DIESEN:
まあ、韓国も本来ならそのことを理解しているはずです。

第二次世界大戦後にさかのぼれば、1956年、ソ連と日本が和平に近づいた時期がありました。日ソ共同宣言が署名され、領土問題解決の可能性さえ見えていた。

そして興味深いのは、あなたが先ほど言った「関係が改善した場合に何が起きるか」という点です。実際、米国は「平和が起きるかもしれない」ということでパニックに陥ったのです。

なぜなら、もし1956年にソ連と日本が和平を結べば、それは覇権の基盤を弱めることになるからです。

というのも、覇権国家であるためには、同盟システムが必要です。そして緊張が存在しなければ、敵対勢力を封じ込めることはできず、代理勢力も忠誠を維持しなくなるからです。

ですから、常に一定の緊張状態を維持しておく必要があるのです。もちろん、管理された形でですが。

そうでなければ、日本は独自の自律性や独自の思考を持ち始めるでしょうし、ソ連に対する太平洋での封じ込めも同じようには機能しなくなる。

つまり、私たちはこれまで何度も同じ展開を見てきたのです。それなのに、再び同じものを見るたびに驚いてしまう。

本日はお時間をいただき、本当にありがとうございました。

BRIAN BERLETIC:
こちらこそ、お招きいただき本当にありがとうございました。

(翻訳以上)


Wednesday, May 06, 2026

Satoko Oka Norimatsu: Can Japan Afford to Remain Isolated from China? 2月25日のスピーチ「中国と断絶したまま孤立する日本でいいのか」の英語版

On February 25, I delivered a 20-minute speech at a meeting in Tokyo organized by the “Association for Preventing a State Funeral for Former Prime Minister Abe.” My talk was titled “Can Japan Afford to Remain Isolated from China?” An English translation of the transcript follows. Special thanks to my friend Dennis Riches for his help with the translation.

これは2月28日の投稿「中国と断絶したまま孤立する日本でいいのか」の英語版です。 

An activist waving a flag that reads, “Japan-China Friendship — Let’s Get Along.”
Shinjuku, March 28, 2026. Photo by the author.

 

Can Japan Afford to Remain Isolated from China?

by Satoko Oka Norimatsu

Article 9 of the Constitution as an Apology

Hello, my name is Satoko Oka Norimatsu. I am deeply grateful to the Association for Preventing a State Funeral for Former Prime Minister Abe for inviting me here today. I have lived in Canada for a total of 30 years, beginning with my high school studies in the country. 

In the early 2000s, after having spent many years away from Japan, I became aware of an accelerating move  to revise the Constitution and transform Japan into a country capable of waging war. In response, I helped found the Vancouver Article 9 Society in 2005. For our inaugural commemorative lecture, we invited Kato Shuichi, who had previously taught at the University of British Columbia. I was particularly struck by his observation that Vancouver, facing the Pacific Ocean, is a place where East and West meet, making it an ideal location for activities dedicated to peace.

As part of the Society’s activities, we screened John Junkerman’s film Japan’s Peace Constitution across Canada. One of the people featured in the film was Chalmers Johnson, a former conservative consultant to the CIA. Invited to Okinawa by then-Governor Ota Masahide, he witnessed firsthand the damage caused by the U.S. military bases there, and afterward became a consistent critic of the American empire.

In the film, Johnson said that Article 9 of the Constitution itself represents an “apology” to the Asian countries invaded by Japan. At the same time, he warned that “abandoning Article 9 would mean abandoning this apology.”

Professor Kimijima Akihiko of Ritsumeikan University likewise argues, in his theory of “Article 9 as a hexahedron,” that Clause 2 of Article 9 contains a “punitive meaning” directed at Japan, which, as one of the Axis powers during World War II, invaded and dominated the entire Asia-Pacific region.

Immediately after the Japanese election on February 8, 2026, I saw reports that Chinese Defense Ministry spokesperson Jiang Bin criticized Prime Minister Takaichi for expressing her desire to amend the Constitution to explicitly recognize the Self-Defense Forces, stating that “Japan is once again walking down the wrong path of militarism.”

At first, I felt that, however understandable the concern, it was inappropriate for another country to interfere in Japan’s Constitution. However, when I reflected on the significance of Article 9 as both apology and punishment, I realized once again that Article 9, established as a reflection on Japan’s war of aggression, does not belong solely to Japan. Countries victimized by Japanese aggression, such as China, are also stakeholders in it.

Prime Minister Takaichi Refuses to Retract Her “Taiwan Remarks”

These concerns were raised because Prime Minister Takaichi has refused to retract remarks she made in the Diet on November 7 of last year, when she stated that a so-called “Taiwan emergency” could constitute an “existential crisis” that would provide a legal basis for the exercise of collective self-defense under the security legislation forcibly passed by the Abe administration.

Despite fierce backlash and criticism from China, which led to travel restrictions, a ban on Japanese seafood imports, and stricter export controls on dual-use goods, Prime Minister Takaichi has steadfastly refused to withdraw her remarks, and continues to do so today.

On the contrary, after dissolving the House of Representatives on January 23, she appeared on a television program with leaders of various political parties on January 26, the day before the election campaign officially began. There, she stated that in the event of a “Taiwan emergency,” both Japan and the United States would carry out rescue operations for their nationals in Taiwan, and went so far as to say: “If the U.S. military working together with Japan comes under attack and Japan simply runs away without doing anything, the Japan-U.S. alliance will collapse.” She made this openly defiant statement at a crucial moment just before the election.

Perhaps Prime Minister Takaichi understood that such remarks would work to her political advantage. Around 2010, the Obama administration announced its “pivot to Asia,” targeting a China whose economic and military power was rapidly growing. Japan, as a subordinate ally of the United States, revived the Senkaku Islands issue, which had previously been shelved. This led to the Self-Defense Forces’ “southwestward shift,” accelerating the construction of military fortifications stretching from Kagoshima through Okinawa toward Taiwan. At the same time, the Japanese government and media launched a large-scale anti-China campaign.

Opinion polls show that Japanese attitudes toward China remained relatively positive until around the mid-2000s. Since the 2010s, however, 80 to 90 percent of respondents have consistently reported negative views of China. Some surveys even indicate that 80 to 90 percent of Japanese people do not personally know any Chinese people. In other words, most Japanese people have come to dislike a country with which they have had no direct interaction. The influence of the media is likely significant.

The UNESCO Constitution states that “wars begin in the minds of men,” and preparations for war against China already seem well advanced within the Japanese public consciousness. Prime Minister Takaichi likely realized that taking a hardline stance against China would boost her popularity. The results of the February 8 election demonstrated exactly that.

Since Takaichi’s “Taiwan remarks,” I have spoken with many friends across China, as well as Chinese-origin friends in North America. Some are critical of the Chinese government, yet even they told me that it would not be an exaggeration to say that “1.4 billion Chinese people will never forgive Prime Minister Takaichi for suggesting intervention in Taiwan.”

The Election That Gave a Green Light to Takaichi’s “Taiwan Remarks”

In reality, however, the hardline stance toward China did not begin with Prime Minister Takaichi, nor was it initiated by Japan itself. Senior figures in the U.S. military, government, and intelligence community—including Admiral Davidson of Indo-Pacific Command—spread the narrative that a Taiwan crisis would occur by 2027. Japan has been absorbed into the United States’ hostile China policy. The same is true of other U.S. allies in the region, including the Republic of Korea, the Philippines, and Australia.

The U.S. National Security Strategy released at the end of last November, and the National Defense Strategy issued by the Department of Defense in January, both reflect this approach. They call for the “deterrence” of China through “burden-sharing” in collective defense, and Prime Minister Takaichi’s hardline stance is fully aligned with the Trump administration’s strategy. China, of course, sees this clearly.

This is only my personal interpretation, but it seems to me that China is deliberately framing this as a problem centered on Prime Minister Takaichi personally. In other words, China appears prepared to move beyond the issue if Takaichi either retracts her “Taiwan” remarks or resigns. I sense that China wishes to avoid direct confrontation with the United States, which stands behind Takaichi’s provocation, while also leaving open a possible path toward restoring Japan-China relations by defining this as “the Takaichi problem.”

As a Japanese voter, I had never engaged in strategic voting before. However, this time, for the sake of Japan-China relations, I voted for the leading opposition party—the only party with any realistic chance of unseating the Takaichi administration. I reluctantly cast my vote for the Chudo Party, hoping that a victory by the opposition might force Takaichi to resign, or at the very least compel her to take responsibility for her Taiwan remarks if the LDP lost significant seats.

The result was a crushing defeat for the opposition. For years it has been said that Japanese politics is shifting steadily to the right, but in this election left-wing parties weakened even further, with some now seemingly on the verge of collapse. Ironically, my strategic vote may have contributed to the accelerating decline of the left.

With Takaichi and the LDP achieving a landslide victory, Japanese voters effectively gave their approval to her “Taiwan” remarks. During the campaign, the media largely downplayed the significance of Japan-China relations, and it bears considerable responsibility for this outcome. I also believe that the deeply rooted anti-China sentiment within Japanese society played a major role. Our Chinese friends had hoped that Japanese citizens might follow the example of the people of the Republic of Korea, who forced the impeachment of President Yoon Seok-yeol after he declared martial law. After this election result, however, I feel unable even to face those Chinese friends who had placed their hopes in the Japanese public.

Thinking from the Perspective of the Victimized Countries

I am sometimes accused of being “pro-China” or “not Japanese enough” because of views like these. But if we are truly to stop or prevent war, the absolute minimum required is to understand the perspective of the other side. This is especially true in relation to countries that suffered under Japan’s wars of aggression and colonial rule, and where those wounds have still not healed. I believe it is essential to place ourselves, consciously and sincerely, in the position of those harmed by our own country.

Last year marked the 80th anniversary of the end of the war. Yet how many Japanese people reflected on that war from the perspective of the countries and peoples invaded by the Japanese Empire?

Japan’s war of aggression against China can be traced back to its invasion of Taiwan in 1874, which occurred as the Meiji government severed the Ryukyu Kingdom’s ties with Qing China and forcibly annexed it. Japan then seized Taiwan from China in the Sino-Japanese War of 1894–95. For Chinese people, any Japanese involvement in “Taiwan” inevitably raises alarms about the return of Japanese militarism and aggression.

Even my own family history reminds me that Japan’s war against China began long before what Japanese historiography calls the “Fifteen-Year War.” My grandfather came to China in 1896 and lived for thirty years in the Japanese settlement in Hankou before returning to Japan in 1927. He participated in propaganda campaigns that used newspapers to manipulate public opinion in China. He served as a spy for Japan.

Over the past two years, I have visited China five times, traveling to Shanghai, Nanjing, Xinjiang, Hong Kong, Shenyang, Fushun, Beipiao, Fuxin, Chengdu, Chongqing, Changde, Changjiao, Changsha, and Wuhan. I was deeply impressed by the extraordinary economic development, infrastructure, and multicultural societies I encountered in each of these places. But I also witnessed the scars left by Japan’s war of aggression.

The Nanjing Massacre is widely known, but during my travels I learned that in countless places whose names I had never even heard before, the Japanese occupation brought forced labour, massacres, sexual violence, and looting on a scale similar to what occurred in Nanjing. The more I traveled, the more ashamed I became, realizing that what I previously knew was only the tip of the iceberg.

If your own mother or daughter had been raped and brutally murdered, how many years would it take for you to forgive? I know that I never could. Japan committed countless unforgivable crimes, yet China chose to distinguish Japanese militarism from the Japanese people and forgave Japan without demanding reparations. But that forgiveness rested on Japan’s promise never again to interfere in Taiwan.

That is why, when a Japanese politician speaks of intervention in Taiwan, it is immediately understood in China as signaling the return of Japanese militarism and aggression. Yet today it is the Prime Minister herself making such statements in the Diet. Most Japanese people do not grasp the gravity of this situation, and the media downplays it further, insisting that Japan should simply strengthen ties with countries other than China. This ignorance helped produce the LDP’s victory under Takaichi.

Japan should reaffirm to China that it understands and respects China’s position that “Taiwan is an inalienable part of the territory of the People’s Republic of China,” as stated in the 1972 Japan-China Joint Communiqué, and should also reaffirm its commitment to the “One China” policy. These commitments were reiterated in four subsequent bilateral documents, including the 1978 Treaty of Peace and Friendship, the 1998 Japan-China Joint Declaration, and the 2008 Joint Communiqué.

Even if Prime Minister Takaichi is unlikely to reaffirm these commitments, another Japanese leader must do so. Otherwise, Japan will permanently lose China’s trust. Takaichi speaks of “keeping the door to dialogue open,” creating the impression that China is refusing dialogue. But who can sincerely believe appeals for dialogue when one side is simultaneously stepping on the other’s foot?

Should Japan Remain Subservient to the United States?

On January 26, Prime Minister Takaichi stated, “If the U.S. military is attacked in Taiwan and Japan does nothing, the Japan-U.S. alliance will collapse.” I believe this was an unusually candid statement that revealed her true priorities. For Takaichi, the Japan-U.S. military alliance—and the arms industry that profits from it—appear more important than either the lives of people in Japan or Japan-China relations.

Western countries generally view China as a threat in much the same way Japan does. Yet even so, cutting ties with one of the world’s largest economic powers cannot possibly serve Japan’s interests. Since the end of last year, leaders from countries such as France, the United Kingdom, Germany, Canada, and the Republic of Korea have all visited Beijing. Only Prime Minister Takaichi, convinced that relations with the United States alone are sufficient, has completely severed ties with China.

So I ask once again: Is it acceptable for Japan to remain subordinate to the United States? Is it acceptable for Japan to isolate itself by following hostile U.S. policies toward countries such as China, Russia, and DPRK?

Some people claim that Trump’s interference in countries such as Venezuela, Iran, and Cuba represents a revival of U.S. imperialism. But the United States has never ceased to be an empire since its founding. According to the Congressional Research Service, the United States has carried out approximately 500 military interventions abroad since its founding, half of them occurring after the Cold War.

Some reports estimate that since World War II, the United States has caused the deaths of 20 million people in 37 countries. The slaughter of Palestinians in Gaza and the West Bank continues, alongside the operation of 800 to 1,000 overseas military bases. No other country behaves on this scale.

Today, February 25, on my way here, I listened to President Trump’s State of the Union address. The United States appears poised to launch a war against Iran under the pretext of preventing it from obtaining nuclear weapons, even though Iran has no intention of acquiring them. This is exactly the same false narrative used to justify the Iraq War more than twenty years ago. Once again, Congress shows no intention of stopping it. Trump’s hostility toward Iran received bipartisan standing ovations during the speech.

After Japan’s defeat in 1945, Okinawa—effectively treated as a colony within Japan—was handed over to the United States, and Japan became the largest host of U.S. military forces in Asia. Naval facilities in Yokosuka, Sasebo, and Iwakuni, as well as Yokota and Kadena Air Bases, were originally Japanese military installations later inherited by the U.S. military. Far from becoming truly “peaceful” after the war, Japan was incorporated into the U.S. empire and has since participated in repeated wars of aggression. At times, it seems the very term “postwar” has lost its meaning.

There is also another, less visible form of warfare: sanctions. The United States and its Western allies currently impose economic sanctions on 40 countries, affecting one-third of the world’s population. A 2025 report in The Lancet estimated that sanctions imposed by the United States and the European Union caused approximately 560,000 deaths annually between 1971 and 2021—comparable to the death toll of war itself. Half of these deaths were children. Sanctions disproportionately harm the most vulnerable: women, children, the elderly, disabled people, and the sick. Japan, by joining the United States in imposing sanctions, is complicit in this suffering. Even now, we are participating in policies that kill people around the world.

Japan, Return to Asia

Last June, I was in Shanghai while the world was in turmoil over the Trump tariffs. A researcher friend there said to me, “Perhaps this will bring Japan back to Asia.”

What he meant was that Japan, which has oriented itself toward the West since the Meiji era, might finally reconsider that course in light of the Trump administration’s behaviour—imposing harsh tariffs even on its so-called allies and even speaking openly about annexing Canada. His hope was that Japan might reclaim its autonomy and return to Asia with the conviction that “Asia’s affairs should be decided by Asians.”

Yet the results of the recent election suggest that Japan continues to choose total dependence on the United States and continued alignment with the West.

Canada, where I live, is currently distancing itself from the United States and seeking to diversify its trade relationships. Polls show that more than 80 percent of Canadians are concerned about their country’s relationship with the United States. At the recent Davos Forum, Prime Minister Mark Carney attracted worldwide attention by declaring that the “rules-based international order” promoted by Western countries is no longer functioning. The United States has cut off oil supplies to Cuba, contributing to a humanitarian crisis, while Canada has offered assistance. Although this trend in Canada may change after the Trump administration, it remains a development worth watching carefully.

The United States, meanwhile, remains trapped in an outdated imperial mindset. At the recent Munich Security Conference, Secretary of State Marco Rubio openly called for preserving Western imperial dominance. He argued that Western powers had spent five centuries building vast empires, but that “godless communist revolutions” and “anti-colonial uprisings” had caused them to shrink for the first time since Columbus. Therefore, he argued, the United States and Europe must unite to preserve this “noble civilization.” I could hardly believe what I was hearing.

Across the world, countries of the Global South—now often called the Global Majority and represented by the BRICS nations—are increasingly united in rejecting the Western imperialism that has oppressed them for centuries. This is a natural decolonization movement: oppressed nations seeking sovereignty and self-determination. I found it astonishing that Rubio could say such things in the twenty-first century—and even more astonishing that he received a standing ovation. The obsession of the United States and Europe with maintaining global dominance by a handful of wealthy white nations is extraordinary.

This reminds me of the “Greater Asianism Speech” delivered by Sun Yat-sen in Kobe in 1924. Sun Yat-sen observed that Japan had acquired the material civilization of the West while still retaining the moral civilization of the East. He asked whether Japan would become a “guard dog” of Western hegemony or a “guardian” of the East’s noble way. “This,” he said, “is a question the Japanese people must seriously consider.”

After that historic speech, Imperial Japan accelerated its own path of domination, invading and occupying the Asia-Pacific region before collapsing in 1945. Since then, Japan has become a subordinate instrument of Western hegemony and remains so today.

Is this truly the path Japan should follow? I do not believe so.

Japan must return to Asia, where it belongs. To do so, the current puppet regime must be overturned. While there may be little immediate hope, I believe that building solidarity among ordinary people—between Japan, China, and the broader non-Western world, the Global Majority—may offer one possible path forward.


Satoko Oka Norimatsu is a writer based in Vancouver and Tokyo. She is the co-author, with Gavan McCormack, of Resistant Islands: Okinawa Confronts Japan and the United States (Bloomsbury, 2018). Satoko also writes regular columns for Ryukyu Shimpo and Choson Sinbo. She is co-founder of Article 9 Canada, Director of Peace Philosophy Centre, and a member of the International Network of Museums of Peace. 

See here for her detailed bio, and books and articles. 

Original Japanese version of this speech is here

Tuesday, May 05, 2026

『紙の爆弾』5月号より転載 【対談】乗松聡子X木村朗 米国イスラエル「イラン攻撃」の真実とフェイク Reprinted from the May Issue of *Kami no Bakudan* [Dialogue] Satoko Norimatsu & Akira Kimura: The Truth and Falsehoods Behind the U.S.-Israel “Attack on Iran”

米イスラエルによるイラン侵略戦争について、『紙の爆弾』が私のソーシャルメディアでの発信に注目してくれ、ISF『独立言論フォーラム』の編集長である木村朗さんとの対談を提案し、3月8日にズーム対談をしました。それを文字起こし・編集した記事が4月7日発売の『紙の爆弾』5月号に載りました。転載許可を得てここに転載します。2月28日の「イラン攻撃」が始まった直後の対談であり、その後事態は進展していますが、この戦争の背景と本質を理解するにあたって基本的なことを話したつもりです。このネット転載版には適宜、情報ソースのリンクも入れました。ぜひお読みください。

紙の爆弾」は公式サイトや書店などで好評発売中です。 

対談の動画(ISF独立言論フォーラムのYouTubeチャネルより)

【対談】

乗松聡子(ピース・フィロソフィー・センター代表)×

木村朗(ISF独立言論フォーラム編集長)

日本も「情報戦」の戦場だ

米国イスラエル「イラン攻撃」の真実とフェイク

 2026年2月末、アメリカとイスラエルのイラン首都への空爆を皮切りとした事態は、今に始まったものではない。その起源と真相について、ジャーナリストの乗松聡子氏と、オピニオンサイト「ISF独立言論フォーラム」(https://isfweb.org/)編集長で鹿児島大学名誉教授の木村朗氏が行なった対談をお届けする。動画はISF内で視聴可能で、あわせてご覧いただきたい。(構成・本誌編集部)

イラン戦争の起源

木村 アメリカによるイラン攻撃は、今年の2月28日に突然始まったように見られていますが、なぜ今なのか、どういう狙いがあって始めたのか。まずこの2点について教えてください。

乗松 まず、アメリカ・イスラエルとイランの戦争は、今始まったわけではありません。その狙いについて、ネタニヤフ首相は「40年間やりたかったことが、やっとトランプ大統領のもとで叶った」と言って喜んでいます。トランプが大統領のうちにイランへの攻撃を開始したいという思いがあったのではないかと思います。

 その上で、「なぜ今なのか?」を考えると、ネタニヤフは「40年間」と言いましたが、1979年のイラン・イスラム革命よりさらに遡り、1953年8月のイランにおける軍事クーデターにまで遡る必要があるでしょう。米英の言うことを聞かないモサッデク政権に対し、CIA(米中央情報局)が軍部にクーデターを起こさせ、失脚させた。そして親欧米のパフラヴィー2世派のファズロラ・ザヘディ将軍を首相に就けました。パフラヴィー2世下でモナーキー(王政)は強化され、圧政を敷いてイランを親米国家に変えた。これをひっくり返したのが1979年のイラン・イスラム革命でした。

 イランはこれで自己決定権を取り戻したものの、アメリカはそれを許さない。それで、翌1980年9月にイラン・イラク戦争が引き起こされたのです。9年間に及ぶこの戦争で、イラクのフセイン大統領は化学兵器を使用し、50万〜60万人ものイランの人々を虐殺しました。当時のフセイン政権に加担したのがアメリカであり、ドイツなどの欧州諸国でした。

木村 イラン・イラク戦争では、ラムズフェルド(後に米国防長官)がイラクに化学兵器を提供したといいます。

乗松 そうです。イランとアメリカの戦いはその頃から続いていて、それでもイランは他国の圧力にめげず、イスラム共和国を保ってきました。イスラエルのネタニヤフ首相にとってはこれが面白くありません。

 2007年、ウェズリー・クラークという元米陸軍将校が「デモクラシー・ナウ」のインタビューでこう語っています。2001年の9・11直後、イラクを攻撃するかしないかという時に、ペンタゴン(米国防総省)の高官から彼はメモを渡された。そのメモには「今後5年間のうちに7つの国と戦争を行なう」と書かれていた。イラク・シリア・レバノン・リビア・ソマリア・スーダン・イランです。実際にその後、これらの国で内戦・戦争が勃発しています。

 中でも最大の軍事大国がイランです。周辺国の一掃を目論むネタニヤフにとって、イランは最強の敵。そうそう簡単に攻め落とせません。だからトランプがアメリカの大統領である今のタイミングを選んだのではないでしょうか。

 ネタニヤフはイランを潰すことで、ユーフラテス川からナイル川までを自国の領土にする「大イスラエル構想」を実現したいのだと思います。

木村 他方、トランプ大統領が最高指導者ハーメネイー師暗殺を狙った、まさにイランの指導者たちが会合を行なう時刻と場所を諜報活動によって確定した時に、イラン攻撃を始めました。

乗松 これは政権転覆のための戦いです。「イランに核兵器を持たせてはいけない」などといった理由は「イラクの大量破壊兵器」の時と同じく西側メディアのでっち上げです。

 そもそもハーメネイー師はイラン国内に「核兵器を持つべき」という声が多い中で、反対派のトップであり、2003年にファトア(イスラム法学における法的な勧告・見解)で「イランは核兵器を造らない」と表明しました。彼がいたからこそ核保有は食い止められてきたのであり、全くつじつまが合いません。

木村 アメリカはほかに「イランに弾道ミサイルの開発を許さない」も攻撃理由としました。「イランがテロ国家を支援している」とも言い、「抵抗の枢軸」と呼ばれるハマス・ヒズボラ・フーシ派などへのイランの支援を絶つことも目的と主張しています。

乗松 西側が「テロ国家」と呼ぶ国は、パレスチナを支援する国とイコールです。イエメンのフーシ派もレバノンのヒズボラも、パレスチナを支援し連帯しているから西側に狙われるのです。


国連やIAEAをなぜ盲信するのか


木村 「核開発」については、昨年6月にもイスラエルがイランを攻撃し、その後アメリカが核施設を攻撃して、完全に破壊したと言っていました。それから半年後に、「イランが核開発を再開しており危険だ」という口実で、再び今回の攻撃を始めました。

乗松 米国家情報長官のトゥルシー・ギャバードが、昨年3月の上院公聴会でインテリジェンス・コミュニティの結論として「イランは核兵器を製造していない」と証言しています。ところがトランプはその分析は誤りだと、自国の情報機関の評価を否定しました。

木村 弾道ミサイルについても「アメリカに届くような長距離ミサイルを開発しない」とイランは言っており、仮に開発しても完成に十年かかるという専門家の指摘もあります。

乗松 NPT(核兵器不拡散条約)の枠組みで考えても、イスラエルが核兵器を持っていることが、なによりおかしなことです。対してイランはNPTに従い、平和的な核開発しかしないとしてIAEA(国際原子力機関)の査察も受け入れました。

 2015年にイランと米英仏独中露が合意したJCPOA(包括的共同作業計画)でも、核濃縮の濃度を制限すると約束しています。それをトランプは勝手に覆した。なぜか? 合意すればイランを攻撃する理由がなくなるからです。

木村 IAEAは昨年6月も、イランが核開発をしているかの報告を公開しました。IAEAがイラン攻撃にOKを出す役割を果たしています。

乗松 IAEAに査察させることによって、インテリジェンスを西側に漏らしているという疑惑もあります。木村 IAEAや国連など国際機関の見解を、政府もメディアも鵜呑みにする側面があり、日本は特にその傾向が強いですね。

乗松 イランは精一杯、IAEAの意向に合わせ協力してきました。今回攻撃を受けたのもアメリカとの協議の最中で、ディールは妥結寸前といわれていました。外交協議をしている間は、相手側がどこで誰と会っているなどといった情報も取りやすいのです。

 ただし、CIAが重要情報を入手したからハーメネイー師を空爆できたというのは違います。そもそもハーメネイー師は「自分は逃げも隠れもしない」と言っていて、空爆時も地下ではなく地上の執務室で側近らと会議をしていました。家族を逃がすこともしていません。一般市民に逃げ場がないのに、自分だけ特別扱いはできない、市民とともにあるという姿勢を貫きました。しかもあの時はラマダン期間で、彼は食事をせずに執務室にいたのです。

木村 空爆では彼の娘や孫をはじめ、軍部を中心とする40人以上の指導者も一挙に殺されたといわれます。これでアメリカはイランの体制転換ができると考えたでしょうが、今の状況はアメリカの思った通りにはいっていない。出口戦略なしに始めた戦争だという批判も政権内部から出ています。

乗松 逆にイランは昔から、イスラエルやアメリカに攻撃されることを想定していました。あらかじめハーメネイー師の後継者も決めていたから体制はそのまま続いているし、国民の多くも支持しています。ハーメネイー師を偲び、アメリカ帝国主義に絶対やられない意志を示すデモが、今にもイラン全土で起きているのです。


米国NEDの暗躍


木村 西側メディアはハーメネイー師の死を悼む人々の運動はほとんど報じずに、反体制派の集会やコメントばかりを流していますね。

乗松 ディアスポラ(海外在住の国民)を利用するのはCIAの常套手段です。香港であれば海外在住の香港系市民、イランであれば海外在住イラン人です。彼らを利用した工作に巨額の資金を投じ、人権団体やメディアすらつくります。香港がそうであったように、イランでも若者たちが、かなりそちら側に持っていかれます。

木村 乗松さんはウクライナ問題を題材に「『ファクトチェック』というフェイク」という記事を『歴史地理教育』2023年7月号(歴史教育者協議会)に寄稿されています。

乗松 いわゆる左派リベラルの人が「ファクトチェック」という時、「右派やトランプがフェイクニュースを流すからファクトチェックすべき」といった対立構造の中で語っています。しかし、実際の戦争においては、ファクトチェック自体がファクト(事実)を歪める道具になっています。

 たとえば、ウクライナ戦争は2022年に始まったわけではありません。NATO(北大西洋条約機構)の拡大や、2014年のマイダン・クーデターがありました。それを指摘すると「それはロシアのプロパガンダ」「嘘だ」とレッテルを貼られ、ファクトチェックの対象にされるのです。

木村 「ファクトチェック」を最初に始めたのは、トランプが「フェイク・メディア」と呼んだニューヨークタイムズやCNNでした。日本では朝日新聞やNHKが先駆けです。主流メディアは自分たちがファクトチェックする主体だと考えています。同時に権力・政府・国家がSNS規制を強めて情報の真偽を決め、国民の表現を抑制する動きも出てきています。

乗松 何が本当かを自分たちが決めるというのは、自分たちに都合のいい「真実」の押し付けです。スイスの元諜報員ジャック・ボー氏はウクライナ戦争について西側の情報を精査し、これはNATOの東方拡張が主な原因であると客観的に結論付けました。すると彼の銀行口座やクレジットカードがEUによって凍結された。西側権力は自国の市民をも制裁するわけです。元国際連合大量破壊兵器廃棄特別委員会(UNSCOM)主任査察官のスコット・リッター氏もアメリカの外交政策を批判して、FBIに家宅捜索されました。

 アメリカ人映像作家のゴンザーロ・リラ氏はウクライナ内部から発信を続けていましたが同国保安庁により何度も逮捕、2024年1月、とうとう殺されました。彼の死を西側メディアは全く取り上げず、米国は自国民である彼を保護しようとしませんでした。パレスチナに連帯する発信を続けるシリア系英国人ジャーナリストのリチャード・メドハースト氏も2024年8月、自国イギリスで逮捕されました。

 特に今年に入りイランで起きた市民デモの報じ方は酷かった。簡単に説明すると、まずイランで通貨が暴落しました。それに対し、市民が平和的なデモを始めました。ベッセント米財務長官はダボス会議で「イランの通貨危機は自分たちがやった。銃弾を一発も使わずに」などと自慢気に話しています。

 通貨が暴落すれば、イランの人たちは政治に不満を持つ。そうして起きたデモにCIAとイスラエルのモサドが武装暴徒を注入したのは、マイダン・クーデターと同じ手口です。武装暴徒は火炎放射器やモロトフカクテル(火炎瓶)などを使ってイランの警察部隊を殺し始め、警察側も強硬な手段に出ざるをえません。その最中に、送り込まれた暴徒が治安部隊や市民を殺めていきました。

 ところが西側メディアは政府の治安部隊が市民500人を殺したと報じ、その犠牲者の数をどんどん増やしていき、カナダのカーニー首相などは「死者は1万5千人」などと話していました。報道される死者の数がメディアによって全然違うし、どんどん増えていくのです。

 そうした中でもアメリカのミントプレス・ニュースというオルタナティブメディアの主宰者アラン・マクロード氏が、死者数報道の嘘を暴きました。イランのヒューマンライト・アクティビスト・ニュース・エージェンシー(HRANA)などの人権団体と称する団体が、何の検証もせずに死者数を膨れ上がらせたというわけです。

木村 こうした人権団体・市民団体がアメリカなどから資金を受けてプロパガンダを行なっていると指摘されます。

乗松 CIAの派生機関であるNED(全米民主主義基金)からの資金供与です。レーガン政権の時代につくられた機関で、他国の政権転覆をあからさまに画策すれば世論の支持が得られない。そこで「民主主義」「人権」の衣を着せて他国の政権転覆を誘導すると、関係者が実際に公言しています。

木村 情報が心理戦争、認知戦争の武器となって錯綜する中で、トランプも「イランの民衆よ立ち上がれ」などと言っていました。しかし、実際にいま追い込まれているのはアメリカやイスラエルの側ではないでしょうか。

乗松 元CIAのラリー・ジョンソン氏によれば、ドイツの米軍病院の気配がおかしいそうです。ドイツの米陸軍病院は、中東の戦争での怪我人が搬送される場所です。米軍の準機関紙「星条旗新聞」で、ドイツの米軍基地が献血を募っていると報じられています。

 つまり、米軍側も相当の死者と負傷者が出ている可能性があるわけです。

木村 実際の戦闘についても、イラン側は考え抜いた戦略の上で、最初は性能の劣るミサイルやドローンで米側に高価な迎撃ミサイルを使わせ、その後に超音速ミサイルを打ち込んで、大きな被害を与えているように見えます。

乗松 イランはアメリカやイスラエルがタッチできない地下にミサイル製造工場を持っていて、奥の手をまだ出していないといいます。

木村 イラン側はそう言っていますね。破壊されたのは地上のダミー兵器ばかりだとも伝えられています。

乗松 ガザのジェノサイドの構図とすごく似ています。ガザではハマスが2023年10月に蜂起し、イスラエルは即座に殲滅するとして、数週間で戦争は終わると言っていました。しかし、今もなお戦争は終わっていません。

 今回のイランもそうです。トランプは数日か数週間で終わらせると言いましたが、イランの地下軍事施設にタッチできないから民間爆撃を繰り返しています。

 また、空爆初日にアメリカが175人もの女子学生を殺害したのを、日本のメディアは「空爆された学校はもともと軍事施設で、アメリカ・イスラエル側は標的を間違えたのかもしれない」などと報じました。そんなわけがありません。

木村 一時はイラン側の誤射との情報も出されていました。しかも小学校への攻撃は、第一次攻撃で生徒を助けるために人々が集まっていたところに第二次攻撃したという情報もあります。

乗松 「ダブルタッピングアタック」という残酷な攻撃手法です。最初の空爆で負傷した人たちの救援部隊が到着すると再度、空爆を行なう。イスラエルがガザで同じことをしていました。その根底には白人至上主義から来る植民地主義とレイシズムがあります。


アメリカとイスラエルの本当の関係とは


木村 アメリカは今、「イスラエル・ファースト」で動いているのではないかという疑念を私は持っています。日本がアメリカの植民地だとすれば、アメリカはイスラエルの植民地ではないか。

乗松 国際政治・軍事評論家のブライアン・ベルレティック氏は、それには否定的で、アメリカは最初から世界覇権を目指しており、ロシアに対してはEU、中東ではイスラエル、アジアでは日本・韓国・フィリピン・オーストラリアというプロキシ(代理国)を使っていると分析しています。

 ただし、木村さんの見方もわかります。トランプは最初からミサイルが枯渇するのも、自国の兵士が犠牲になるのもわかっていたはずで、今のタイミングで戦争したくなかった可能性が確かにあります。昨年末にネタニヤフがトランプの別荘地マール・ア・ラーゴを訪れ、そこでイラン攻撃計画が決まったともいわれます。

木村 ネタニヤフは今年2月初めにも訪米していました。

乗松 それでも、やらざるを得なくなったとすれば、背後にエプスタイン問題があると私は思っています。この問題ではトランプを含め西側の多くの有力者たちが秘密を握られ〝人質〞にとられていたのですから。

 とはいえ、エプスタイン問題も道具にすぎず、イスラエルはこの問題がなくても、ほかの方法で戦争を始めていたでしょう。トランプが仕方なくイスラエルの言う通りにしているとの見方に一理あっても、それだけではないと思います。

木村 もともとアメリカは冷戦後の1992年に策定した世界覇権の指針「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」に沿って動いてきたといわれます。ただし、第一次トランプ政権では多少そこから外れ、トランプ大統領は任期中に大きな戦争をしなかった。

 しかし、第二次政権の今回、イランとの戦いが泥沼化して地上軍派遣ともなれば、多くの若い米兵が亡くなることになる。アメリカのさらなる凋落も招き、それはトランプが必ずしも望むものではないでしょう。この違いとは?

乗松 アメリカは戦後、朝鮮戦争・ベトナム戦争・イラク戦争と、次々と戦争を起こしてきましたが、それらの当時と今の世界の情勢は違います。なによりグローバル・マジョリティであるグローバルサウスが大変な力をつけました。怖いのは、イランが強いからこそ、核保有国であるイスラエルが逆切れして核兵器を使う可能性があることです。

木村 トランプのアメリカにそれを止めることができるのでしょうか? 私はできないと思います。

乗松 私もできないと思います。イスラエルが単独で決める可能性はあるでしょう。


米軍は同盟国を守らない


木村 次に、西側諸国の情勢です。スペインのサンチェス首相とイタリアのメローニ首相が明確にアメリカとイスラエルを批判し、スウェーデンやトルコも米軍に基地を使用させないと、アメリカと距離をとり始めています。

乗松 しかし、それでイスラエルを制裁しようとはならないわけです。彼らは非西側諸国であるロシア・中国・ベネズエラという国に対しては即座に制裁を行ないます。

 だけど、アメリカ・イスラエルに対してはできない。カナダのカーニー首相も今回の攻撃初日、「アメリカ・イスラエルを支持する」と言った後に変節して「国際法に一致していない」と言いだした。その一方で「カナダ軍の派兵の可能性は除外しない」とも言い、矛盾しています。国際法は守りたいが、アメリカやイスラエルに逆らいたくないのです。

木村 民衆レベルでは西側諸国の中でも米・イスラエルに反対するデモや集会が活発になっているようです。

乗松 市民についていえば、イランの攻撃を受けたバーレーンにもイラン支持の市民がいるのは、結局イランの攻撃対象が国内の米軍基地だからです。

木村 アメリカの中東における米軍基地が破壊されている。つまり、アメリカは自国の基地も守れなかった。米軍基地を置く国の安全も米軍は守れないことが明確になったともいえます。

乗松 これは日本にとっても、米軍が守ってくれるなどというのは嘘だという証明になります。

木村 米海軍のフリゲート艦が横須賀基地から出航し、イランへの最初の攻撃に加わったという情報を「しんぶん赤旗」が報じました。つまり、日本は米軍への「基地の自由使用」で間接的に最初からイラン攻撃に参加していたわけです。そして、米軍基地を置く国は真っ先に敵国から攻撃されることが明らかになりました。

乗松 その通りです。ただし、アメリカの戦争で日本の基地が使われたことは今回が初めてでもなく、珍しいことでもありません。横須賀や佐世保などは、米海軍の補給修繕のために欠かせない基地で、これらがあるからアメリカは中東の戦争で、わざわざ自国から兵器を運ばなくてもよいわけです。

木村 日本政府は、イランの報復攻撃に対して直ちにイランを批判しました。しかし、アメリカに対しても、イスラエルに対しても、「国際法違反かどうかの法的評価は今の段階ではできない」と高市早苗首相が発言した一方で、小泉進次郎防衛大臣は、アメリカとイスラエルを全般的に支持するのが日本政府の立場だと本音を口にしました。

乗松 現実は小泉氏の言う通りです。


自衛隊が参戦する日


木村 ただ、日本とイランはこれまで友好的な二国関係を保ってきました。

乗松 イランはこちらが申し訳ないと思うぐらい親日国です。彼らは日本がアメリカの同盟国だとわかっているけれども、日本はアメリカに人質をとられたかわいそうな国で、日本人は悪くない。憲法9条も持っている。そういう感覚なのでしょう。だから、自衛隊が攻撃に加われば、もう駄目です。

木村 しかし、その可能性が出てきています。日本国憲法が改定されていない今の段階で、集団的自衛権を行使する最初の事例に、イラン戦争がなるかもしれないという危惧を、私は抱いています。

乗松 いかに違憲・違法の安保法制とはいえ、この状況にどう適用するのでしょうか?

台湾問題では「存立危機事態」などと無理やりこじつけていますが、イランの戦争が日本の存立危機事態になり得るのか。自衛隊参戦の正当化は無理だと思いますよ。

木村 しかし、日本政府は以前からホルムズ海峡が封鎖された時には存立危機事態になりうると言ってきました。今後、実際に機雷を撒くようなことがあれば、自衛隊が攻撃に参加する可能性が高まる心配はあります。

乗松 それは、ありえません。イランが始めた戦争ではありません。イランはアメリカに攻撃されたから自衛権を行使して反撃しています。

 もう一つ重要なのは、先のベルレティック氏が指摘するように、アメリカの最終目標は中国です。ベネズエラもキューバもイランも、中国に石油を提供するなど繋がりが強い国です。中国の友好国で、叩きやすい国から叩くという流れにあると思います。

木村 最後に一言、日本人へのメッセージをお願いします。

乗松 私たちはいま、情報戦のただ中にいます。中国・ロシア・イラン・朝鮮など、アメリカが敵国とする国々の指導者を、デマも用いて悪魔化する。その国の人を被害者に位置づけるため、左派ほど弱い。人権や民主主義がない国の政権を転覆するのは仕方ないことだという気持ちにさせられている。この情報戦に、日本のメディアは右から左まで飲み込まれている。そのことを知ってほしいと思います。

 前述したファクトチェックというフェイクを含め、西側のデマを暴き事実を見る人が、日本語言論者にもっと必要です。

木村 外交でいえば、本来ならば日本は中立の立場で停戦や和平に向けて仲介する役割を果たすべきです。

乗松 今の状態が続くと、日本がイランから敵視される日も遠くないでしょう。ロシアもかつては日本に友好的でしたが、ウクライナ問題で西側のロシア敵視に賛同しすぎるために、敵対国のように見られるようになりました。高市政権のままでは、イランもそうなるのではと危惧します。

木村 自衛隊が海外に出て戦死者が出る悪夢を実現させてはなりません。


乗松 聡子(のりまつさとこ)

ピース・フィロソフィー・センター代表、バンクーバー9条の会共同代表。木村氏との共著『広島・長崎への原爆投下再考』(法律文化社)など著書多数。


Sunday, May 03, 2026

100団体が賛同した声明:特定の価値観を押し付け多様な見解を排除する「昭和100年」政府式典の実施と「国旗損壊罪」制定をしないでください One Hundred Peace Organizations in Japan Oppose the Government-Sponsored Commemoration of "Showa 100th Anniversary" and Criminalization of Damage to the National Flag

4月29日、「昭和100年記念式典」反対行動より。

事後になりましたが、ピース・フィロソフィー・センターも呼びかけ団体の一つとなった行動を報告します。

4月29日に日本武道館で行われた政府主催の「昭和100年記念式典」の中止と、今国会中に提出・成立が目論まれている「国旗損壊罪」に反対する緊急声明を発しました。

【呼びかけ団体】アジア女性資料センター、沖縄・安保・天皇制を問う4.28-29連続行動実行委員会、日本キリスト教協議会(NCC)靖国神社問題委員会、ピース・フィロソフィー・センター。

【賛同団体】(98団体)

7.4金子文子没100年 追悼の集い/主催者、ActNow!!Kagawa、ATTAC Japan(首都圏)、「G7広島サミットを問う市民のつどい」実行委員会、JCA-NET、Nikkei Vancouver for Justice (日系バンクーバー正義の会) 、she-sow(シーソー)、SOSHIREN女(わたし)のからだから、Stop! 辺野古埋め立てキャンペーン、アクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」(wam)、アジア連帯講座、アジェンダ・プロジェクト、あつまれ辺野古@関東、アナキズム図書室、NPO法人猪飼野セッパラム文庫、茨城不安定労働組合、岩手からアジアを考える会、認定NPO法人ウィメンズアクションネットワーク、海を囲む平和友好会、沖縄・一坪反戦地主会関東ブロック、沖縄・靖国合祀取消シタイ、沖縄を考える会・山形、学校事務職員労働組合神奈川、学校と地域をむすぶ板橋の会、カナダ9条の会、関西共同行動、関西単一労働組合、喫茶・オリーブガーデン・、君が代強制反対キリスト者のつどい大阪、救援連絡センター、教育と個人情報保護を考える会、教科書問題を考える市民ネットワース・ひろしま、軍拡NO!女たちの会・北海道、芸術を鑑賞する会@国分寺、研究所テオリア、国際人権活動日本委員会、「国旗等損壊罪」反対連絡会、在日朝鮮人作家を読む会、参戦と天皇制に反対する連続行動、市民の意見30の会・東京、市民のひろば・憲法の会、出版労働者連帯会議、女性と天皇制研究会、人権平和・浜松、信仰とセクシュアリティを考えるキリスト者の会(ECQA)、スペース21、設置理念に則ったピースおおさかを取り戻す会、全関東単一労働組合、全国学校事務労働組合連絡会議、戦時下の現在を考える講座、戦争・治安・改憲NO! 総行動実行委員会+α、戦争に協力しない!させない!練馬アクション、第九条の会ヒロシマ、大軍拡と基地強化にNO!アクション2025、千葉学校労働者合同組合、朝鮮女性と連帯する日本婦人連絡会、天皇制に問題あり!福岡連絡会、天皇制問題情報交換会、天皇制を考えるあいちネットワーク、都教委等を訴える会、都教委包囲・首都圏ネット、とめよう戦争 東部連絡会、日韓民衆連帯全国ネットワーク、日本キリスト教会 横浜桐畑教会 靖国神社問題委員、日本基督教団西中国教区靖国天皇制問題特別委員会、日本軍「慰安婦」問題解決ひろしまネットワーク、日本バプテスト連盟靖国神社問題特別委員会、日本福音ルーテル教会社会委員会、バスストップから基地ストップの会、破防法・組対法に反対する共同行動、反安保実行委員会、反戦・反差別 アジアの人々と共に行動する連絡会(NWAA)、反戦反天皇制労働者ネットワーク、『反天ジャーナル』編集委員会、ピープルズ・プラン研究所、「日の丸・君が代」ILO/ユネスコ勧告実施市民会議、「日の丸・君が代」強制反対意思表示の会、日の丸・君が代の法制化と強制に反対する神奈川の会、「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める被処分者の会、一般財団法人 広島YWCA、ふぇみん婦人民主クラブ、フォーラム労働・社会政策・ジェンダー、フフフBOOKS、フリーターユニオン福岡、平和を考え行動する会、ベルリン•女の会、まんなかタイムス、メディアネット・ちきゅう座、靖国国営化反対福音主義キリスト者のつどい、靖国・天皇制問題情報センター、「山谷」制作上映委員会、ユニオン東京合同、許すな!『日の丸・君が代』強制、止めよう!改憲・教育破壊 全国ネットワーク、予防訴訟をひきつぐ会、琉球弧の軍事化に抗する市民の会・みやぎ、連帯社、労働運動活動者評議会、労働者共闘

以下、声明文です。

【緊急共同声明】

特定の価値観を押し付け多様な見解を排除する「昭和100年」政府式典の実施と「国旗損壊罪」制定をしないでください

 2026年4月29日(「昭和の日」)、政府は、日本武道館において、「三権の長」などの列席のもとに、「昭和100年記念式典」を開催しようとしています。

 昨年11月に閣議決定された「昭和100年記念式典」に関する文書では、「昭和元年から起算して満100年を迎えることを記念し、激動と復興の昭和の時代を顧み、将来に思いを致す機会となるよう」、この式典を実施するとしています。

 私たちは、この式典が、昨年来すすめられてきた「昭和100年記念行事」の集大成であり、「昭和」という括りでこの100年を記念する歴史意識を社会的に作り出す国家儀式であることから、これに強く反対し、式典の中止を求めるものです。

 1926年から2026年に至る100年をひとつの時代としてとくに取り上げること自体、裕仁天皇の即位を、重要な歴史の切れ目として特別なものとするものであり、天皇の時間を「国民的」な時間とみなす意識を強めるものでしかありません。

 仮にその100年を語るにしても、それは単に「激動と復興」の時代などと一括できるようなものではないはずです。1945年までは、近代日本の植民地支配・侵略戦争がさらに拡大し、アジア太平洋戦争に至りました。敗戦後は天皇裕仁の戦争責任を問うことなく天皇制を延命させ、冷戦構造の一方に加担しながら、植民地主義・侵略責任への反省・謝罪や、被害当事者への補償などないままに、日米安保体制のもとで「経済成長」を進めてきました。そして天皇メッセージで米軍の占領(軍事基地化)を認めた沖縄・琉球弧などを前線基地として、一層の軍事化・戦争国家化を促進しています。「激動と復興」の内実はそういうことでしょう。反省こそすれ、記念式典を行なう正当性などありません。

 そしてまた、高市政権は、何らの「立法事実」すらないまま、2026年通常国会での「国旗損壊罪(日本国国章損壊罪)」の法案成立を目論んでいます。すでに参政党が同趣旨の刑法改正案を提出していますが、自民党は新法制定に向けたプロジェクトチームの設置を決め、4月中に法案をまとめることにしています。

 これは、モノとしての「国旗」に対する「器物損壊」ではなく、「国旗に対する侮辱」それ自体を処罰対象とするもので、つまりはナショナリズムや国家主義に対する批判の意思表示のための表現行為をも取り締まることを可能とする恐れが強いものであり、明白に違憲(表現の自由、思想の自由)立法です。

 「日の丸」は軍国主義、天皇制のシンボルです。1999年の「国旗国歌法」によって、「日の丸」が「国旗」として明文化されて以降、学校現場などを先頭として、その強制・同調圧力はますます強まってきました。「国旗損壊罪」制定はその集大成とも言うべきものです。

 私たちは、思想信条の自由と信教の自由が損なわれる重大な事態となることを危惧し、このような天皇制と国家主義の強化に反対し、「昭和100年」政府式典と、「国旗損壊罪」制定に反対する共同の意思を、ここに表明します。 

 2026年4月8日


私は都合がつかず行けなかったのですが、4月23日には、官邸前行動と、内閣申し入れ行動を行い、雨の中30人が駆け付けました。報告はこちら。

「昭和100年記念式典」やめろ「国旗損壊罪」反対の官邸前行動報告(2026.4.23)

そして4月29日の当日は、警察、機動隊に取り囲まれ、右翼にまとわりつかれながらも抗議デモを行ったとのことです。

私が「昭和100年」を記念することがなぜいけないかと思っているかは「反天ジャーナル」4月5日号に書きました。

高市政権が大日本帝国回帰をめざす「昭和100年」に反対する

この文の編集版が「人民新聞」5月5日号にも載ります。

日本ではいまだに天皇制タブー視があり、民主主義社会であるのに天皇制を自由に議論ができない空気があることから街頭に出る人たちも勇気が必要とされるようです。本来はそうであってはいけないことです。ピース・フィロソフィー・センターはこの声明の呼びかけ団体とならせていただき大変光栄でした。

当たり前のことを当たり前に訴えることを続けていきたいと思います。

Peace Philosophy Centre 乗松聡子

Saturday, May 02, 2026

沖縄を最前線とする戦争準備に反対する請願 Okinawan Civil Organizations Oppose Plans to Turn Okinawa Into the Front Line of War

 沖縄からのこの請願書を見て、「長射程ミサイルが配備されたことは新聞等ではある程度報道されていますが、請願書に書かれている他の内容のほとんどは報道されていないように見えます。」と、日本人の仲間が言っていました。その通りです。沖縄メディアを日頃追っていない人にとっては初耳ではないかという衝撃の情報がたくさん入っています。それだけ琉球弧における戦争準備は知られていない、知らされていない、だからこそ知り、声を上げる必要があります。きょう5月3日は憲法記念日、各地で平和憲法を守り戦争に反対する集会が開かれていますが、沖縄で進んでいる戦争準備阻止を最重点として声を上げてください!沖縄に基地を押し付けているのは日本なのですから。

沖縄を最前線とする戦争準備に反対する請願                

宛先 

高市早苗首相

小泉進次郎防衛大臣

村井勝沖縄防衛局長

自衛隊西部方面総監 

自衛隊第15旅団長 

航空自衛隊南西航空方面隊司令官 

海上自衛隊沖縄基地隊司令官

トランプ米大統領 

ヘグセス米戦争長官 

米太平洋海兵隊司令官・米海兵隊第3海兵遠征軍司令官    

米第18航空団司令官

在日米軍司令部

玉城デニー沖縄県知事

賛同団体:与那国の明るい未来を願うイソバの会、石垣島の平和と自然を守る市民連絡会、基地いらないチーム石垣、ミサイル基地いらない宮古島住民連絡会、ミサイル配備から命を守るうるま市民の会、 沖縄平和サポート、 沖縄平和市民連絡会、沖縄県平和委員会、ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会、沖縄・韓国民衆連帯、VFP(平和を求める退役軍人の会)琉球・沖縄支部、監視社会ならん!市民ネット沖縄、あつまれ辺野古 、 日中友好協会沖縄県支部、 沖縄・琉球弧の声を届ける会 、 琉球・パレスチナの平和を求める会、沖縄県統一連


 2026年度の防衛省予算(概算)は①南西諸島の軍事強化②長射程ミサイルの大量生産配備③ドローン・無人機の集中配備-を柱とし、高市政権の安保3文書の改悪により沖縄の軍事強化と戦争の危機が一気に高まりかねません。そのさなか沖縄の米軍ホワイトビーチを経由した米軍艦船がイランをトマホーク攻撃し、在沖海兵隊がイランに出撃しました。嘉手納空軍も派遣されました。政府は、在日米軍の出撃について、在日米軍基地からの派遣は「移動」だとして、「安保条約上も問題はない」と強弁しましたが、明らかに日米安保条約6条に違反し、在日米軍基地から戦地への出撃は事前協議の対象です。事前協議はこれまで一度も行われておらず、制度は機能していません。私たちは、米軍の沖縄基地からの自由出撃を断固、拒否します。

 4月1日、共同通信は、中国に届く長射程ミサイルの「敵基地攻撃 運用開始」と全国配信しました。3月28日沖縄タイムスは「与那国に対艦ミサイル、対空弾とセット配備」と報じました。既に宮古、石垣、沖縄島に自衛隊の地対艦・地対空ミサイルが配備され、与那国配備により島々の「ミサイル要塞化」が さらに増強されます 。ミサイル基地が有事に攻撃目標となるのは軍事の常識です。沖縄県民はミサイル基地と同居できません。私たちは島々のミサイル基地の撤去、与那国配備計画の撤回を強く要求します。

 玉城デニー知事、与那国、宮古、石垣、うるま、宜野湾、嘉手納など基地所在27市町村は「長射程ミサイル配備反対」を日米政府に申し入れています。玉城知事は「ミサイル基地は攻撃目標となるリスクが高まる」と政府に伝えています。石垣市議会も3月24日、「長射程ミサイル配備反対」の3度目の意見書を議決しました。「長射程ミサイル配備反対」は県民の総意です。

 高市首相は国会で「台湾有事は日本の存立危機事態」と答弁し、小泉防衛大臣とヘグセス米戦争長官は中国を名指しに「沖縄、南西諸島の日米同盟の抑止力・対処力強化」を確認しました。沖縄を「台湾有事の最前線」とする意図が明らかです。沖縄は「人間の住んでいる島」(阿波根昌鴻)です。沖縄の戦場化、県民の犠牲を当然視する首相、防衛大臣、米長官の発言は絶対に認められません。

 防衛省は2026年度に那覇の「陸自第15旅団を師団に格上げ」し、隊員を大幅増員、戦闘車を配備し、那覇基地に弾薬庫を計画しています。「師団」は「陸自の作戦部隊。独立して一正面の作戦を遂行」と防衛白書に記され、台湾有事に対処する作戦部隊にほかなりません。沖縄市の弾薬庫建設に190億円。米軍嘉手納弾薬庫も共用しミサイル弾薬を貯蔵。宮古島の「電子戦部隊配備」に続き、石垣島にも同部隊を配備、さらに電磁波で対空攻撃する「対空電子戦部隊」を26年度に与那国、27年度に那覇駐屯地にも配備する計画です。一方で自衛隊基地の地下化、那覇基地(那覇空港)では滑走路修復、遺体処理、血液製剤の準備や負傷日米兵員の戦傷医療 救護輸送訓練など継戦能力を維持する戦争準備が行われています。

 米軍も石垣島に無人ミサイル発射機、無人防衛システムを展開、与那国にも米軍ハイマース投入を計画し、嘉手納基地に無人機が常駐、F35戦闘機やオスプレイが嘉手納、普天間から島々を飛び交い、全県に拡大展開しています。嘉手納基地の米軍降下訓練も常態化しています。自衛隊・米軍強化とともに沖縄全域で日米実戦訓練が激化し、まさに「戦争前夜」のすさまじさです。

 戦争準備の一方で宮古、石垣、与那国の実現不可能な「全島住民避難」計画が既定方針のように進んでいます。米軍、自衛隊が集中し、軍事専門家が「攻撃リスクが大きい」と指摘する沖縄島は「屋内避難」です。日米は宮古、石垣、与那国を主戦場と想定し、戦闘の邪魔になる住民を全島疎開させる意図ではないか。「攻撃リスクが大きい」沖縄島住民の安全は捨て置き、沖縄全域で戦争態勢を進める考えではないか。

 陸自宮古司令の市民恫喝を防衛大臣が容認し、市民運動の制圧がまかり通る事態は絶対に認められません。地域行事への自衛隊の参加が公然化、戦争に県民、若者を動員する隊員募集の勧誘、宣撫活動を強化する一方で、戦争準備に反対する市民による憲法が保障する言論・表現・結社・集会の自由、請願権の行使を封じることは断じて許されません。

 那覇空港、石垣港、平良港が平時から有事に軍事使用する「特定利用空港・港湾」に指定、那覇空港周辺道路が「特定利用道路」に指定されました。さらに政府は島々の空港、港湾を利用指定する構えです。米軍、自衛隊基地だけでなく空港・港湾・道路が軍事使用されてしまいます。沖縄防衛局長は「勝連分屯地のミサイル発射機は基地を出てミサイルを発射する」と認めました。自衛隊、米軍基地だけでなく沖縄の島々全体が攻撃拠点となり攻撃目標となります。有事で避難に使う空港は、「有事に兵員・物資の輸送に使う。優先すべき対処措置等の内容あらかじめ確定することは困難」と防衛省は石垣市民に回答しました。空港港湾が攻撃目標となり、住民は避難の退路を断たれます。防衛省は沖縄・西日本ネットワークに「存立危機事態のみが認定されている場合に住民避難計画はない」と回答しました。有事下に自衛隊は戦闘に専念し、住民は島に取り残されるのか。日米「離島奪還」作戦の訓練は、住民が取り残された島に米軍、自衛隊が着上陸して武力制圧し、海、空からの火力支援集中砲火も訓練しています。沖縄県民の犠牲を当然視する無謀な戦争計画と訓練に断固として反対します。

 辺野古新基地建設が進む一方、「普天間基地を継続使用」の米公文書が報道されました。宜野湾市の真中にあって「世界一危険」と言われる普天間基地を「台湾有事」には米海兵隊と自衛隊の出撃拠点とすることを意味し、絶対に容認できません。辺野古新基地は完成のめどもなく膨大な国費と土砂を海に投入し、既設部分でオスプレイ使用など台湾有事の前線基地にもなりかねません。辺野古新基地工事の海で平和学習の船が転覆し2人の人命が失われたことに哀悼を表します。しかし反対運動や平和学習への誹謗中傷を受け入れるわけにはいきません。普天間辺野古「移設」反対は沖縄の民意です。普天間基地の即時無条件返還と辺野古新基地建設の即時中止等「建白書実現」を求め続けます。

 私たちは沖縄の島々の戦争準備を絶対に受け入れません。別表のとおり日米政府、米軍・自衛隊に対する要請、与那国・石垣・宮古住民からの要請を一刻も早く解決するよう関係機関に求めます。

 玉城デニー知事には「長射程ミサイルの沖縄配備に反対」、「空港・港湾・道路」の軍事・特定利用指定にも反対する姿勢を堅持するよう求めます。



別表

【日米政府、米軍・自衛隊への要請】

①沖縄の島々への米軍・自衛隊のミサイル配備・弾薬庫建設、嘉手納弾薬庫の自衛隊共用などあらゆる戦争準備の軍事強化を中止すること。

②台湾有事に対処する「日米共同作戦計画」を廃棄し、同計画に基づく日米実戦訓練を中止すること。「日米共同作戦計画」の内容を公表すること。

③陸自那覇の「旅団から師団」格上げを中止し、新たな自衛隊訓練施設の建設を断念すること。

④空港・港湾・道路を軍事使用する「特定利用指定」に反対する。那覇空港、石垣港、平良港の「特定利用指定」を解除すること。

⑤与那国、石垣、宮古の実行不可能な「全島住民避難計画」を中止すること。米軍、自衛隊が集中する沖縄島を「屋内避難」とする理由を説明すること。

⑥県知事、基地所在27市町村の軍転協が反対する「自衛隊長射程ミサイル沖縄配備」を断念すること。米軍ハイマース、無人ミサイル発射機、無人機を撤去すること。

⑦米軍の石垣展開を中止すること。与那国、宮古への米軍展開に反対すること。

⑧民意に反する「辺野古新基地建設」を中止すること。普天間基地は即時撤去し、同基地の継続使用、代替する那覇空港、下地島空港の使用に反対すること。

⑨イラン戦争、台湾有事ほか海外紛争への在沖米軍の出動に反対すること。日本政府は日米の事前協議制に基づき、あらかじめ「在日、在沖米軍の出撃拒否」を米国政府に通告すること。

⑩宮古前陸自隊長の恫喝発言と市民運動制圧に抗議し、厳正な処分を求めること。

【玉城デニー知事、沖縄県への要請】

①玉城デニー知事は「長射程ミサイルの沖縄配備に反対」、会長を務める沖縄県軍用地転用促進協議会も反対を堅持し、「空港・港湾・道路」の特定利用指定に反対するよう要求します。

②知事、沖縄県は在沖米軍の他国における戦争への出撃に反対し、日米の事前協議制に基づき在日、在沖米軍の出撃に反対するよう政府に要求すること。米軍、自衛隊が台湾有事に介入しないよう日米政府に申し入れるよう要求します。


【与那国からの要請】

 暮らし自体がいよいよ立ち行かなくなり、島の存亡がかかっている。百年を超える歴史ある自治を守り、暮らし続けられる島を次世代に引き継ぎたい。そのために、以下を要求します。

①米軍または米軍と共同する自衛隊の島利用は止めていただきたい。

②島の自治や暮らしの土台であるインフラを機能不全にしかねない、自衛隊のさらなる人員増や機能強化は止めていただきたい。

③去る3/2の住民説明会で明らかにされた比川集落の人口に比してあまりに大規模な自衛隊官舎建設計画は、集落の自治を壊しかねません。一旦白紙に戻し、当該の自治公民館や町役場などと協議することを求めます。


【石垣からの要請】

➀石垣島に長射程反撃能力ミサイルを配備しないこと、米軍を常駐させないこと

➁今年度配備予定の電子戦部隊についての住民説明会の開催。

③➁の住民説明会開催をせずに、また住民の理解が得られないまま電子戦部隊用宿舎建設についての土地取得・調査は行わないこと

④石垣港の緊急時以外の米・自衛隊艦船の利用の中止

⑤石垣空港の特定利用空港化中止、緊急時以外の米軍機の使用中止、及び日米共同、自衛隊の訓練に使用しないこと

⑥石垣港・石垣空港を利用するミサイル・弾薬類の搬入における住民への周知と安全の確保。安全の保障のない搬入、搬送は行わないこと

⑦駐屯地内で現在進行中の覆道射場、グランド等の工事の進捗状況や今年度の建設工事の内容を明らかにすること

⑧駐屯地グランドから県道87号に通じるゲートの設置は中止すること

⑨駐屯地内の汚水・排水について宮古駐屯地同様に「蒸発散式」で処理し、駐屯地外への排水は中止すること


【宮古からの要請】

①比嘉前隊長と防衛省に対して「誤った発言の撤回と恫喝行為に対して真摯に謝罪する」ことを求める

②電子戦部隊と車両がすでに配備され、宮古島駐屯地を住民との約束を反古にして拡張し施設建物を建設する予定が明らかになっているが、住民への説明が一切ない不誠実な対応を改め、住民説明会を行うこと

③この5月の陸上総隊演習において、宮古島では日米の共同訓練として「指揮所」訓練が行われると発表されていますが、これはまさに宮古島が戦場と化していることを想定した訓練であり、米軍の宮古島への上陸も、このような戦争実戦訓練も行わないこと。また、自衛隊の基地外での訓練は住民との約束違反であり、行わないこと

④宮古空港、下地島空港の特定利用空港指定に反対すること、平良港の特定利用港湾指定を取り消すこと、空港、港湾とも米軍、自衛隊共に一切の軍事利用を行わないこと、下地島空港について屋良覚書を遵守すること

⑤宮古空港、下地島空港、平良港を利用して火薬・弾薬類の搬入の際は、事前の住民への周知と交通警察などによる安全の確保をすること。安全の保障のない軍事物資の搬出入はおこなわないこと

⑥基地は攻撃の対象であり、抑止とならない。住民が島から出される原因となる基地は撤去せよ

(以上)

Wednesday, April 01, 2026

『朝鮮新報』より転載:東京大空襲からイラン爆撃へ、戦争犯罪の連関/乗松聡子 From the Tokyo Firebombing to the Bombing of Iran: The Lineage of War Crimes

  『朝鮮新報』連載「私のノート 太平洋から東海へ」8回目(26年3月26日)の乗松聡子の記事を転載します。(ハイパーリンクは自分でつけたもので、朝鮮新報版にはありません。)

〈私のノート 太平洋から東海へ 8〉東京大空襲からイラン爆撃へ、戦争犯罪の連関/乗松聡子

2026年03月26日

228日、墨田区の横網町公園内の東京都慰霊堂で開催された、「東京大空襲81年第20回朝鮮人犠牲者追悼会」に出席しました。194539日の深夜から10日未明にかけて、300機にもおよぶ米軍のB29が苛烈な焼夷弾爆撃を行い、約10万人が殺され、そのうちおよそ1万人が朝鮮人であったといわれています。

「日帝の植民地統治のもと、見知らぬ遠い異国の地へ連れ去られ、人間としての基本的な尊厳と権利さえ奪われたまま、奴隷労働を強いられていた罪なき朝鮮の人々が、米軍の大空襲によって無念の死を遂げなければなりませんでした。」朝鮮大学校の学生が代読した「朝鮮人強制連行被害者・遺族協会」のメッセージにあった言葉です。日本人は、二重、三重の被害を受けた朝鮮人被害についてこそ学び記憶すべきと思いました。

会場の横には、判明している187人の被害者の名前が一人一人筆で書かれ、展示されていました。「判明」とは言っても、創氏改名後とうかがわれる名前が多くありました。年齢が書き添えられており、10代、20代が目立ちます。朝大の民族管弦学部の学生がタンソで「アリラン」を演奏しました。繊細な音色が底冷えのする会場に響きわたりました。名前も奪われたまま、この地で焼かれた人々の悔しさと悲しさが伝わってくるようでした。

朝大生による「アリラン」の演奏は、犠牲者の悲しみを奏でるようだった(2月28日)

東京大空襲をはじめとする日本の都市空襲を指揮したのは、カーティス・ルメイ将軍でした。ルメイは、朝鮮戦争で平壌など朝鮮の主要都市を焼きつくした空爆にも関与しました。戦後、「もし我々が戦争に負けていたら、戦争犯罪人として裁かれていたであろう」と言ったといいます。当時ルメイの部下であったロバート・マクナマラ元国防長官が証言していま。このマクナマラこそ、何百万のベトナム人、ラオス人、カンボジア人を殺したベトナム戦争を指揮した人間でした。

自らの手が大量のアジア人の血にまみれていたことを知っていた米帝は、反省するどころか、今、イスラエルとともにイスラム教徒を大量虐殺しています。東京大空襲朝鮮人犠牲者の追悼式のその日、対イラン攻撃を、それも人道にもとる戦争犯罪でもって開始しました。イラン南部の女子小学校にミサイルを二度撃ち込み175人もの、おもに7歳から12歳の女の子たちを惨殺しました。

31日、ネタニヤフ首相は声明で「40年やりたかったイラン殲滅がやっとできる」と、喜びを隠しもしませんでした。これは長期にわたる計画だったのです。むろんイスラエルは西アジアにおける米帝のプロキシー(代理人)です。米国の支持があるからやれるのです。2001年の「911事件」直後、ウェズリー・クラーク元米国陸軍大将はペンタゴンの将官から国防長官室の機密メモを見せられました。そこには、「むこう5年で7つの戦争を行う」とありました。イラク、シリア、レバノン、リビア、ソマリア、スーダン、イランの7か国です。

その後実際にこれらの国々では米欧による軍事介入、政権転覆、内戦関与が起こりました。最後に残されたのが大国イランだったのです。いま戦火の中、イラン現地から日々レポートしているテヘラン大学のサイード・モハンマド・マランディ教授は、イランが攻撃される大きな理由として「パレスチナに連帯しているから」と強調します。米イはパレスチナを支持する勢力を一掃したいのです。

イランは、米国政権が言うような「差し迫る脅威」ではありませんでした。イランがIAEAの査察を受け入れ、濃縮に制限を設けると合意した「イラン核合意(JCPOA)」を破棄したのは第一次トランプ政権です。昨年3月にはガバード情報長官が、米国の情報機関の結論として、「イランは核兵器を作ろうとしていない」と証言しましたが、トランプ大統領は一蹴しました。政権に入る前はあれだけ対イラン戦争に反対していたガバードは今、悪魔に魂を売ったかのように支持に回りました

昨年6月米イがイランを攻撃した「12日戦争」のときも、今回も、「交渉」が進行中の攻撃開始でした。そもそも何の悪いこともしていないイランがどうして「交渉」しなければ存在を許されないのでしょうか。米国の「交渉」とは「言うことを聞かなければ破壊するぞ」という脅迫に過ぎません。イランに核兵器を持つことを禁止したアヤトラ・アリ・ハメネイ師を開戦日に殺害したことからも、目的が政権転覆であることは明らかです。

それなのに日本を含む西側メディアは、ハメネイ師殺害を喜ぶかのごとくの報道を展開しました。ハメネイ師はイランの政治的最高指導者であり、シーア派の宗教的指導者でした。元CIAの分析家ジョン・キリアク氏は、ハメネイ師を殺すことは「ローマ教皇を殺すことに匹敵する」と言っています。その通りかもしれませんが、そのような喩えを使わないと西側にはハメネイ師殺害の重大さがわからないのでしょうか。小学校爆撃も、「もし米国の学校がやられたら」と置き換えてみないとその犯罪の残忍さがわからないのでしょうか。

相手を劣等な民族や劣等な宗教と見なし、殺してもいいと言わんばかりの、帝国主義的レイシズムが根底にあると思います。だから爆撃で大量虐殺しても良心も痛まないのです。現在、米イは、ガザでやってきたのと同様に、イランで学校、病院といった民間施設を容赦なく破壊し民間人を殺しています。レバノンでもやっています。ラマダンの最後の金曜日に行われる、パレスチナに連帯する「クッズの日」デモに対しても攻撃し市民を殺しました。やられればやられるほどイラン民衆の結束は増し、米イ侵略に抵抗するために街頭を埋め尽くしています。

このような実態を日本を含む西側のメディアは報道せず、逆に、「イランが独裁国家で政権転覆に値する」という言説ばかり流してきました。これは、朝鮮、ロシア、中国など、米帝の言いなりにならず主権を守ろうとする国々に使う常套手段です。嘘を流して侵略戦争を正当化するのです。米国高官さえも認めています。318日に、ジョー・ケント国家テロ対策センター長はイラン戦争に抗議して辞任しました。辞任表明において「イスラエルの高官や米国の主要メディアが、イランとの戦争を促すために好戦的な感情を煽る誤情報キャンペーンを展開した」と告発しています。

かつて大日本帝国も、「大本営発表」で嘘をばらまきながら1945814日まで戦争を引き伸ばしました。81年前の出来事と、現在は確実に繋がっているのです。


プロフィール

ジャーナリスト。東京・武蔵野市出身。高2,高3をカナダ・ビクトリア市の国際学校で学び、日本の侵略戦争の歴史を初めて知る。97年カナダに移住、05年「バンクーバー9条の会」の創立に加わり、06年「ピース・フィロソフィー・センター(peacephilosophy.com)」設立。英語誌「アジア太平洋ジャーナル」エディター。2人の子と、3匹の猫の母。著書に『沖縄は孤立していない』(金曜日、18年)など。19年朝鮮民主主義人民共和国を初訪問。世界の脱植民地化の動きと共にありたいと思っている。

(本連載は、反帝国主義、脱植民地主義の視座から日本や朝鮮半島をめぐる諸問題や国際情勢に切り込むエッセーです)

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ウェブ版では https://chosonsinbo.com/jp/2026/03/26sk-30/

米イスラエルによるイラン侵略戦争についいては補完的な内容を書いた、こちらの記事と併せてお読みください。

「月刊イオ」3月号から転載:吹き荒れる米国の横暴と、抗う多極化勢力