10月9日(金)、ISF独立言論フォーラム主催・村山談話を継承し発展させる会協賛で、公開シンポジウム「イラン・ウクライナ危機と変容する世界秩序~日本はいかに対応すべきか」が開催されます。鳩山友紀夫元総理、ニコライ・スタニスラヴォヴィチ・ノズドリェフ駐日ロシア大使、ペイマン・セアダット駐日イラン大使の講演会に、孫崎享さんとともにコメンテーターとして参加させていただきます。
メールでの申込は、公開シンポ、お名前を記載の上、info@isfweb.orgまでメールしてください。
Peace Philosophy Centre, est. 2007, provides a space for dialogue and facilitates learning for creating a peaceful and sustainable world. ピース・フィロソフィー・センター(2007年設立)は平和で持続可能な世界を創るための対話と学びの場を提供します。피스필로소피센터(2007년 설립)는 평화롭고 지속 가능한 세계를 만들기 위한 대화와 배움의 장소를 제공합니다. 和平哲学中心(成立于2007年)致力于提供一个对话与学习的平台,以建设一个和平且可持续的世界。Follow X: @PeacePhilosophy ; Email: peacephilosophycentre@gmail.com
10月9日(金)、ISF独立言論フォーラム主催・村山談話を継承し発展させる会協賛で、公開シンポジウム「イラン・ウクライナ危機と変容する世界秩序~日本はいかに対応すべきか」が開催されます。鳩山友紀夫元総理、ニコライ・スタニスラヴォヴィチ・ノズドリェフ駐日ロシア大使、ペイマン・セアダット駐日イラン大使の講演会に、孫崎享さんとともにコメンテーターとして参加させていただきます。
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アンドリュー・ナポリターノ判事: ギルバート・ドクトロウさん、ようこそ。親愛なる友人よ、ご存じのように、私は先日ロシアで10日間を過ごし、その間、何度もあなたのことを考えました。一緒に行けたらよかったのですが。さて、鉄道駅で起きた出来事について、少し時間をかけて分析したいと思います。正確には、ポーランドとウクライナの国境近くの駅をロシア軍が攻撃した、その前後に起きたことです。ボリス・ジョンソンがそこを通過した直後で、デービッド・ペトレイアス将軍が通過する予定だった直前でした。全体をどう見ていますか。これは明らかに意図的だったでしょう。明らかに何かを伝えるためだった。誰に、何を伝えようとしたのでしょうか。
ギルバート・ドクトロウ: ええ、まったくそのとおりです。これはメッセージ的行為でした。もしロシア側が、ここに来ていた国際法に最もはなはだしく違反した者たちや、ウクライナ人をこの戦争に駆り立て、声援を送ってきた者たちを殺害したければ、それはできたはずです。ペトレイアスを殺すことも、ジョンソンを殺すこともできた。しかし、そうしませんでした。ご存じのとおり、クレムリンの指導部は非常に慎重です。敵を暗殺することには関心がない。敵を打ち負かすことに関心があるのです。だから彼らを殺さなかった。殺そうと思えば殺せることを示し、そのメッセージは広く伝わりました。
昨日、ベルギーの主要なフランス語紙の一つ『ル・ソワール』を読んでいたのですが、この件を比較的大きく取り上げていて、二つの点を指摘していました。一つは、これはメッセージだったということ。もう一つは、ロシアが現在、国境をどのように封鎖しようとしているかを示したということです。この二つ目については、あの駅への攻撃をめぐる米国やその他の西側諸国での議論では、あまり取り上げられていません。私は1、2カ月前、ロシア側はドローンを使った消耗戦から、ウクライナへの西側の補給をすべて遮断する「締めつけ」の戦略に転じつつあるようだ、と指摘しました。ロシア軍人の生命に大きな犠牲をもたらす大規模な地上攻勢を行わず、ウクライナを降伏に追い込むという戦略です。
そのことに気づいたあと、気になったのは、この締めつけ策の半分しかすぐには実行されなかったことです。実行されたのは、爆撃やドローン攻撃、ウクライナの黒海沿岸の港湾施設、そしてドナウ川を挟んでルーマニアの対岸にある、ドナウ川経由の積み替え貨物を受け入れる港の破壊でした。ウクライナへの西側の補給について、海路と河川ルートが遮断され、黒海では船舶が攻撃されていました。ウクライナの港に近づく船も攻撃されました。こうして、ウクライナに西側の弾薬を運び込む最大の補給路は、事実上断たれたのです。
しかし、陸路については、数週間にわたって何の動きも見られませんでした。ポーランド南部からウクライナ西部のリヴィウ地方へと続く陸路は、西側からの弾薬輸送の主要ルートでした。ウクライナ軍が西側の補給に大きく依存していることも忘れてはなりません。完全に依存しているわけではありません。短距離ドローンは自国で何千機も生産しており、戦場で常時使われ、かなりの効果を上げています。ロシア軍が側面から戦車を大量投入するのを妨げているからです。ただし、ウクライナ側が使ってきた兵器のうち、とりわけ大きな損害を与え、ミサイルの代わりとして非常に有効なのは、長距離の精密攻撃ドローンです。これらは英国から、破壊される前のキエフ近郊にあった米国企業所有の工場から、そして西側のほかの供給元から得ていました。完成したドローンや組み立て用部品がウクライナに届かなくなれば、戦争を長く続けることはできません。「長く」とは、数週間からせいぜい数カ月以上、という意味です。
ロシア国内に大きな被害をもたらすだけの数のドローンがなければ、数でも補給でも勝るロシアの地上軍に対して、ウクライナ側は抵抗を維持できません。ですから、著名な人物たちの命が危険にさらされたために新聞で報じられた今回の攻撃が、ロシアには国境ぎりぎり、800メートルの地点まで攻撃できるという実演でもあったのは、非常に興味深いことです。私の見た米国の新聞には書かれていませんでしたが、昨日の『ル・ソワール』には、国境近くの駅周辺でドローン攻撃が2回あり、一つは国境から2キロ、もう一つはわずか800メートルの地点だったとありました。そこでポーランド側が「ロシアはEUとNATOのすぐ東側を攻撃している」と警鐘を鳴らしたのです。確かに近くまで来ましたが、きわめて制御された形でした。
ナポリターノ判事: これは、ロシアの情報収集能力が驚くほど広範囲に及んでいることの表れでもあると思います。誰がどの列車にいつ乗っているかを知っていたわけです。あなたには意外ではないかもしれませんが、私には目を見張ることでした。どうやって知ったかはともかく、知っていたことが重要です。元CIA長官で四つ星の将軍であるペトレイアスは、ロシア側が知っていると分かっているべきでした。ジョンソンが何を知っているのかは分かりません。道化のように見えますが、実は聡明な人物かもしれない。情報活動について理解している可能性もあります。ロシアの情報機関が、誰がいつどこにいるかを把握していたことは、あなたには驚きでしたか。
ドクトロウ: まったく驚きではありません。ウクライナの高官同士の話し合いに深く入り込む必要はなかったと思います。誰がいつごろウクライナへ行き、いつごろ出発するかは公開情報から分かるでしょうし、列車の外観も分かります。時刻表を追うこともできます。もっとも、そのうち何人かは通常のワルシャワ発着の時刻表にはない特別列車を利用していました。それでもロシア側は、列車がどこにいるか、かなり正確に見当をつけられたでしょう。列車がどの駅に、どれくらい停車するかも分かっています。ですから、ウクライナの最上層にまで浸透している必要はなかったと思います。ロシア側は自分たちの能力を示したかっただけです。
考えてみてください。キエフの軍事情報機関のトップの執務室がどの窓なのか、どうして正確に分かったのでしょう。その窓を狙ってドローンを撃ち込み、室内に入れたのです。もちろん、こういうことは調べれば分かります。だから私はとくに驚いていません。むしろ驚きであり、少なくともここ1、2年、非常に残念だったのは、ロシア側がこの能力を使わなかったことです。プーチン大統領が、ゼレンスキーによって「パンドラの箱」が開かれた(ウクライナがロシアの民間流通施設を攻撃したこと)、これからは相応の対応を取る、と宣言するまで使わなかった。その発言以前、ロシアは、ウクライナに大きな打撃を与え、西側の支援者や外交目的で訪れる人々すべてを危険にさらせるだけの能力がありながら、それを発揮していませんでした。
ナポリターノ判事: 昨日のゼレンスキー大統領の発言をご覧ください。緊張緩和について語った、なかなか興味深い、意外な発言です。
ウォロディミル・ゼレンスキー大統領〈映像〉: 現在、重要インフラに対する攻撃の相互停止について、米国から有力な提案が出ています。これが緊張緩和の最初の一歩、すなわちロシアによるわが国の重要インフラへの攻撃と、それに対するわが国の報復攻撃を止める一歩となるのであれば、ウクライナは緊張緩和を支持する用意があります。ロシアの戦時経済に対するわが国の的確な反撃によって、ロシア側が圧力を感じていることが分かります。これまでのところ、ロシアが戦争の終結を真に望んでいる様子は見られません。しかし、米国のパートナーが、ロシアにはこの殲滅戦争を終わらせる真の用意があり、それが誠実で長期的なものであると確認できれば、ウクライナも緊張緩和に向けた措置を取ります。平和が必要です。エネルギー、食料の供給路、重要インフラ。これらすべてを攻撃停止に関する議論に含めなければなりません。選挙のためだけではなく、将来にわたって通用する、強力で公正な解決策が必要です。パートナーからの具体的な提案を待っています。
ナポリターノ判事: エネルギー、食料の供給路、重要インフラ。この三つともウクライナには不足しています。そして冬が来ます。
ドクトロウ: これを少し解きほぐしたいと思います。彼の発言の背景にはいくつかの問題があります。一つは、この件で米国からどの程度の支持を得られるか。もう一つは、トランプ氏がゼレンスキーに対して、ロシアの製油所への攻撃をやめるよう求めていることです。世界的な軽油の供給に悪影響を及ぼし、それが米国での軽油価格の大幅な上昇につながっているからです。いまや1ガロン6ドルを超えています。もっとも、皆あまり口にしませんが、ここブリュッセルをはじめEU各地では1ガロン12ドルです。米国が風邪をひくと、欧州では肺炎になるわけです。
しかし、話を戻しましょう。トランプは「世界の軽油価格に影響するから、やめてくれ」と言ったのです。ゼレンスキーがそれを口にしなかったことに気づきましたか。彼は「重要インフラ」と言いました。まるで、あらゆる重要インフラへの攻撃を全般的に緩和することが議題に上っているかのようです。トランプが提案したのはそういうことではありませんし、プーチンが一応同意したのもそういうことではありません。
では、なぜゼレンスキー大統領は、重要インフラへの攻撃の停戦、あるいは停止が何を意味するのかについて、これほど曖昧で不透明な説明をするのでしょうか。最大の理由は、ウクライナがひどく苦しんでいることです。ゼレンスキーの背後で大きな影響力を持つブダノフ(ウクライナの軍人で、2020年から軍事情報機関のトップを務め、2026年1月にゼレンスキー大統領の大統領府長官に就任したキリロ・ブダノフ)自身によれば、ロシアはキエフの倉庫施設の90%を破壊しました。市内の至るところで食料が不足しているのはそのためです。ロシアはまた、キエフの集合住宅を暖め、家庭で使う温水を供給する水道・暖房設備の大部分を破壊しました。しかし、迫る冬に向けて主な問題となるのは暖房です。
私の見るところ、ロシアの戦略は現在、二つの面で非常によく機能しています。一つは先ほど話した「締めつけ」です。海路と陸路による西側からウクライナへの弾薬の補給を遮断すること。もう一つは、とくに冬のキエフを人が住めない場所にしてしまうことです。キエフは小さな地方都市ではありません。大都市であり、住宅のかなりの部分は高層建築です。20階に住んでいたら、水や薪を運び、暖を取るために住居内で禁じられた火を起こそうとしても、1日に何度も階段を上り下りすることはできません。単に大変なのではなく、不可能です。これは1944年のベルリンとは違います。あのころのベルリンには、人口の大きな部分を収容するこのような高層住宅はありませんでした。住めなくなるのです。ブダノフらは郊外へ避難するよう人々に勧めてさえいますが、それも非現実的です。誰もが田舎に家を持っているわけではなく、親類の家に受け入れてもらえるわけでもありません。そうなると実質的には国外へ出るしかなく、西欧に大きな混乱を生みます。これはベルリンの工場を爆撃するのとは違いますが、極めて効果的です。戦争は早期に終わると思います。
ナポリターノ判事: 映像を一つ流したいと思います。今週初め、ニューデリーで(BRICSサミットで)のプーチン大統領の発言を聞いたときも、あなたのことを思い浮かべました。かなり驚くべき発言があり、そこに込められたメッセージを読み解いていただきたいのです。
ウラジーミル・プーチン大統領〈映像〉: 欧州全体で起きていることは、いわゆる西側による構造的な過ちの結果だと思います。NATOの東方拡大はわれわれには受け入れられないと、何度も言ってきました。しかし、ついにウクライナにまで到達した。これこそが、今日ウクライナで起きている悲劇の真の根本原因です。責任は西側のグローバリストのエリートたちにあります。いま彼らは、ウクライナ領内に軍隊をどう展開するか考えていると言っています。それはロシアとの戦争を意味します。私の理解では、欧州諸国の市民は何が起きているか分かっています。
ナポリターノ判事: 「ロシアとの戦争を意味する」。現在の、あるいは戦後のウクライナに、目的を問わず外国軍が駐留することを指しています。どう思われますか。
ドクトロウ: その発言には、私はそれほど興奮しませんでした。原則として、私が注意深く見ているのはロシアが何を「しているか」であって、何を「言っているか」ではありません。プーチン大統領を含め、ロシア側はこの3、4年間、いろいろなことを言ってきました。しかし、その(ロシアにとっての)「レッドライン」の数々は(西側によって)どんどん越えられてきてしまったのです。それによって、ロシアが抑止力を示す力は弱まりました。いまロシアはそれを逆転させつつあります。言葉はずっと厳しくなっており、あなたが示した例もまさにそれを表しています。言葉はさらに厳しくなりましたが、行動も強硬になりました。私が見ているのは、彼らの言葉だけではなく、現在の行動です。
彼が西欧について語ったことを細かく見てみましょう。もちろん、EU加盟27カ国の指導者たちの大多数は「愚か者を乗せた船」のようなものです。自らの破滅を招こうとしている。ロシアが本当に追い詰められたときの破壊力を、理解し始めてもいません。ただ、その中にも愚かではなく、しかも反対の意思を表明する勇気のある人が数人います。幸い、私の住む小さな国は、そうした一人であるデウェーフェル(ベルギー首相)が率いています。そういう意味では、欧州の全員が正気を失ったわけではありません。
プーチン大統領は(今回「西側」と言っているのは)間接的にエマニュエル・マクロンを指しているのだと思います。マクロンはこの「愚か者を乗せた船」の中でも最大の愚か者で、ウクライナへの軍隊派遣を公然と語っています。ただし、西側でウクライナを支持する人々はおおむね、戦闘が終わったあと、平和維持部隊として兵士を送ると言っています。当然、ロシア側はそれを一蹴しているので、実現するはずがありません。それが条件に入れば、和平条約も停戦も成立しないからです。
ナポリターノ判事: なるほど。ロシアで私が経験した興味深いことの一つに、ラブロフ外相との3時間にわたる夕食があります。食卓には私を含めて12人から15人ほどいました。
ナポリターノ判事: そこで外相は、私がそれまで彼から聞いたことのないほど明確な言葉で、ロシア側の認識を語りました。プーチン大統領とトランプ大統領は、アンカレッジで米国側の提案に基づいて合意し、握手を交わした。ロシア側は米国が合意を守ると期待していたのに、米国側はその後、合意から離れてしまった、というのです。ラブロフ外相によれば、その提案は、ウクライナを恒久的に中立化し、ウクライナ全土でロシア語とロシア正教会を認め、ドンバスとクリミアを恒久的にロシアに帰属させるというものでした。もともとは米国側の提案で、プーチン大統領は非公式の場でいったん拒否したそうです。その後、ラブロフ外相を含む側近たちが受け入れるよう説得しました。
こうしてロシア側は受け入れる用意をしてアンカレッジに赴きました。そして実際に受け入れ、ラブロフ外相の目の前で握手を交わしたのです。プーチン大統領は通訳を介してトランプ大統領に「ゼレンスキーはどうするのか」と尋ねました。トランプ大統領は「ゼレンスキーのことは心配するな。私の言うとおりにする」と答えました。ところがアンカレッジを離れると、何も起きなかったのです。ここで、あの夕食の席で私たちに非公式に話したことを、ラブロフ外相が公の場でも裏づける発言をしています。
セルゲイ・ラブロフ外相〈映像〉: これは本気で言っているのですが、もし米国が、アンカレッジでの重要な合意から後退していなければ、そして欧州が米国をそうした重要な約束から引き離していなければ、私たちはもう丸1年、戦争の影のない平和の中で暮らしていたはずです。今日、私たちがこのような状況にあるのは悲劇です。それは明白な事実です。ここからどういう結論を引き出すかはあなたたちで判断してください。
ナポリターノ判事: あなたの考えは?
ドクトロウ: これもロシア側の視点から見る必要があると思います。今回の選挙や、ドナルド・トランプが初めて当選した選挙よりもずっと前にさかのぼって、大統領をめぐる米国政治をロシア側が全般的にどう見ているか、ということです。彼らは「ディープステート」を注意深く観察しています。トランプの2期目が始まった当初から、彼らはトランプ本人の誠意を疑ってはいなかったと思います。私も、この件で仲介役を務めようとする彼の誠意は疑いません。実現すれば彼にとって手柄になるだけです。しかしロシア側は、彼にはやり遂げられない、ディープステートがそれを許さない、と強く確信していました。ディープステートとは誰か。もちろんCIAです。
ご存じのとおり、CIAはウクライナに大きな拠点を持っています。ウクライナがロシア国内に対してドローン攻撃を続けるうえで極めて重要な米国の情報提供を、トランプがスイッチ一つで止められるなどということは、CIAには受け入れられません。攻撃の対象はロシアの奥深くだけではありません。トランプがCIAを押し切れば、議会で途方もない騒ぎになるでしょう。彼がそんな騒動を起こして得することはありません。ですから、ロシア側から見れば、問題はトランプ一人だけではない。問題はディープステートです。トランプが約束を守れないというだけではありません。約束を守ることを許されていないのです。
ナポリターノ判事: では、米国政府を動かしているのは誰なのですか。ホワイトハウスにいる、あの単細胞の人ではないのですか。
ドクトロウ: とはいえ、ホワイトハウスのその単細胞には大きな発言力があります。最も破滅的な過ちのいくつか、つまりイラン戦争は、その単細胞(トランプ)が犯したという点では意見が一致するでしょう。ですから、害を及ぼせるところでは、彼の責任をきちんと認めましょう。しかし、彼には良い面もあります。私は、彼がこの戦争を終わらせ、何らかの合意に達したいと心から望んでいたと思います。それは本心だったと思います。ただ、CIAによって手を縛られているのです。就任して最初の数週間に、彼が(ウクライナに対する)インテリジェンス提供を停止できたのはどのくらいの期間でしたか。数日だけです。それで終わりでした。そのとき決定権を握っていたのが彼だとは思いません。
ナポリターノ判事:いやあ、ギルバート・ドクトロウさん、非常に興味深いお話でした。親愛なる友人よ、これからご旅行に出られるそうですね。道中どうぞお気をつけて。また来週お会いできるのを楽しみにしています。ありがとうございました。
ドクトロウ: ありがとうございました。
(翻訳以上)
このサイトでもよく紹介しているアンドリュー・ナポリターノ判事のYouTubeチャンネルに、ロシアを訪問したばかりのナポリターノ判事がセルゲイ・ラブロフ外相にインタビューした動画が、2本に分けてアップされました。これは、ロシア生まれの米国人政治学者ドミートリ・サイムズ氏が司会・制作にかかわる、ロシア第一チャンネルの番組「ボリシャーヤ・イグラー」(英語名 The Great Game)によるラブロフ外相へのインタビューです。ナポリターノ判事はサイムズ氏とともに聞き手を務めています。インタビューは9月8日にモスクワで行われ、ナポリターノ判事のYouTubeチャンネルには9月13日にアップされました。AI訳に乗松聡子が手を入れました。太字は乗松による強調です。ところどころにカッコで訳注をつけてあります。訳中のハイパーリンクも乗松が参考のために付したものです。
西側メディアではほとんど伝えられないロシア側の見解やウクライナ戦争の現状認識、今後の展望が明確に語られています。随所に表れているのは、ロシアへの挑発を続け、和平を阻んでいる英国、フランス、ドイツなどの欧州諸国に対する深い失望です。なかでも、メルツ首相の下で再び軍事大国化しようとし、ナチズムを想起させる方向へ進むドイツに強い懸念を示しています。第二次世界大戦で2700万人もの犠牲を払い、ナチス・ドイツを打倒したロシアにとって、それは当然の懸念ともいえるでしょう。
その一方で、米国が戦争当事国であるという矛盾を抱えながらも、ロシアとの和平を目指すトランプ政権との交渉を、ロシア側がまだ諦めていない様子がうかがえる点も興味深いです。米国独立戦争の時代にまでさかのぼり、ロシアと米国が協力してきた歴史を語るくだりからは、2025年8月のアンカレッジ会談で、妥協してでも米国の提案に合意したロシア側がいかに大きな期待を寄せていたか、そして、その後その期待が裏切られたことへの失望がいかに深かったかも垣間見えます。
ロシアの特別軍事作戦が始まって以来、西側諸国とそのメディアは「ロシア側の言い分を一切聞かない」と決めこみ、西側の一般市民はロシアの情報にアクセスすることさえ非常に難しくなりました。そんな中ロシアは、米国のインフルエンサーや、米国の主要メディアから排除されたジャーナリストたちに対して発信し、少しでも西側にその立場や声が届くような努力もしています。このインタビューはそのような努力の一環と見ていいと思います。私にはとても勉強になる内容でした。
以下、動画二つを埋め込み、日本語訳をパート1,2通して紹介します。@PeacePhilosophy
ドミートリ・サイムズ:
大臣、この度は「ザ・グレート・ゲーム」にご参加いただき、誠にありがとうございます。お時間を割いていただき、感謝申し上げます。ここで、私の同僚であるアンドリュー・ナポリターノ判事をご紹介いたします。彼は著名なアメリカのテレビ司会者であり、「ザ・グレート・ゲーム」にも定期的に出演されています。
セルゲイ・ラブロフ外相:
ご招待いただきありがとうございます。ナポリターノ判事、そして皆様とご一緒できて大変光栄です。ありがとうございました。
アンドリュー・ナポリターノ判事:
大臣、どうもありがとうございます。本日、このレセプション会場にお招きいただき、大変光栄に存じます。また、お話する機会をいただき、感謝申し上げます。先日、トランプ大統領の特使を務めるウィトコフ氏とクシュナー氏がモスクワを訪問し、ハイレベル協議を行いました。この重要な外交訪問において、両氏はロシア大統領と公式会談を行い、二国間の主要な問題について協議しました。この訪問の結果について、何かご意見はございますか?
セルゲイ・ラブロフ外相:
これらの交渉の始まりのかなり大きな部分がテレビで放送されました。大統領の言葉、ウィトコフ氏とクシュナー氏の返答。その後、この会話に参加した大統領補佐官のユーリー・ウシャコフ氏が詳細なコメントを提供しました。そして、我々の外交の伝統では、国民と共有することを決定した内容に限定しています。私は、彼らがモスクワに何を持ち込み、ウィトコフ氏とクシュナー氏がキエフに何を持ち帰ったのかについて、今まさに憶測を始めている人たちのようになりたくありません。ヴェルホヴナ・ラーダ(ウクライナ議会)のある女性議員は、彼らが持ち込んだものはウクライナがすでに拒否したものよりもはるかに悪いとすでに述べており、憶測が飛び交っています。
ですから、アメリカ側も今後の外交的措置については何も述べていません。しかし、フランス側はエリゼ宮殿(フランス政府)から、我々がそこにいたことをすでに表明しています。アメリカ側は、国家院(ロシアの下院)選挙後には、米国も参加する直接交渉が必ず再開されると述べています。私はこの件すべてをエリゼ宮殿の良心に委ねます。特に、エリゼ宮殿は電話やその他の会話の内容に関して、必ずしも倫理的とは言えない行動で何度も悪名高いからです。
しかし、議論された内容の本質は、そしてこれはトランプ大統領がホワイトハウスに戻ってすぐにウクライナ問題に関して示した立場にかかっていると断言できます。具体的には、まず第一に、ウクライナを北大西洋条約機構に引き込もうとすることなど忘れるべきだと述べました。プーチン大統領がこの問題はとっくに解決済みであり、かき立てる必要はないと明言しました。そして、米国の立場の第二の要素は、(ロシアが優勢である)戦場の現実を認識することです。さらに、これは領土の問題ではないことを強調しておきたいと思います。
ロシアはすでに領土を奪取しているから今の時点で停戦すべきと言う人がいますが、これは領土の問題ではないのです。現実について語る時、私たちは2014年2月のクーデター直後に「非人間」「怪物」「テロリスト」と呼ばれた人々(ドンバスのロシア系の人々のこと)について話しているのです。彼らは違法なクーデターの結果を拒否したため、国際人道法で断固として禁じられている軍隊、戦闘機、砲兵部隊使用の標的となり、人間として扱われませんでした。
そして、間もなく大統領に選出されたポロシェンコ氏は2014年に「我々の子供たち、真のウクライナ人の子供たちは清潔な学校や幼稚園に通うが、ドンバスに住む人々の子供たちは地下室で腐るだろう」と述べました。ヨーロッパ人は、領土をナチスに引き渡すためだけに1991年の国境を復活させようと呼びかけながら、どうやってこれらの(ドンバスのロシア系の)人々を政権の支配下に戻そうとしているのでしょうか?それとも、これらの人々が、自分たちの自由、文化、そしてロシア世界への帰属意識を守ろうとすることについて罰したいのでしょうか?
私はこの件について繰り返し述べてきましたが、トランプ大統領とそのチームが認識し、今後も認識し続けるであろう戦場の現実は、アラスカ(2025年8月15日アラスカ会談時)でも同様であったと申し上げたいと思います。これらの戦地の現実は、クリミア、ドネツク人民共和国、ルハンスク人民共和国、そしてもちろんザポリージャ州とヘルソン州で行われた住民投票で表明された人々の意見と結びついています。そして、アメリカ側が我々とのあらゆる接触、特にプーチン大統領との接触において、これらの現実を前提としているという事実は、当然ながら我々から肯定的な反応を引き出し、彼らとの対話を継続する意欲を生み出します。彼らはこれらの基本的な事柄を認識し、それらに関して協力しようとしており、私はこれが支持に値すると信じています。
アンドリュー・ナポリターノ判事:
あなたは今アラスカの会合について言及しました。多くの観察者は、ロシア当局者がアメリカと確固たる合意に達したと本気で考えていたと強く信じています。しかし、思いがけず、最終的には全くそうではなかったことが判明しました。そして、トランプ大統領が(イランとの)覚書に署名したにもかかわらず、わずか数時間後にそれを破ったことは周知の事実です。これは非常に重大な一連の出来事です。では、なぜロシアは米国を信頼しているのでしょうか?
セルゲイ・ラブロフ外相:
しかし、ここで明確にして誤解をなくしたいのです。私たちはこの状況について繰り返しコメントしてきました。アラスカについては私たちの提案ではありませんでした。これはウィトコフ氏がアンカレッジの数日前に持ち込んだ提案で、プーチン大統領はすでにこの状況についてコメントしています。要するに、彼の評価によれば、そこには複雑な側面があり、モスクワでこの提案が提示されたときには(プーチン大統領は)同意しなかったということです。しかし、アラスカに到着したとき、彼は「考えてみた。どんな合意にも何らかの妥協の要素が含まれていると私は信じている。私はこれを受け入れる責任を負い、私の国民は理解してくれるだろう」と言いました。
これは米国からの提案で、変更されていませんでした。もちろん、詳細はない提案でしたが、解決の原則はそこに示されていました。プーチン大統領はこれらの原則を一切変更せずに受け入れました。ですから、マルコ・ルビオ国務長官が6月のどこかで、「米国はウクライナを明確に支持しているため仲介者にはなれない」と言ったとき、私は少し驚きました。ところで、その後どうなったかというと、プーチン大統領とトランプ大統領がアンカレッジで行った記者会見について、記憶を呼び覚ますために詳しく読んでおくと、「素晴らしい成果」という言葉がそこで使われました。「理解」や「合意」といった言葉も使われました。トランプ大統領は、アンカレッジでの成果を「素晴らしい大きな前進」と表現しました。さらに、解決すべき問題はほぼ一つしか残っていないとも述べました。
つまり、我々は大きな突破口を開いたのです。これはほぼ原文通りです。今は全部は思い出せませんが。そしてもちろん、ヨーロッパの米国同盟国は恐怖に震えました。ご記憶の通り、彼らはワシントンに駆けつけ、アメリカ政権の指導部と交渉を始め、それから数ヶ月が経ちました。 6月にエヴィアンで開催されたG7サミットで、マクロン氏は誇らしげにこう述べた。「我々はアンカレッジを葬り去った。アメリカは今や我々と共にある。トランプも今や我々と共にある。我々は再び皆ロシアに反対している。」状況はこうだった。アンカレッジからエヴィアンでのG7サミット、そしてアンカラでのNATOサミットまでの間に何が起こったのか?我々は皆、報道機関が報じ、政治家が発表した出来事を追ってきた。しかし、ヨーロッパが、プーチン大統領に何の変更もなく受け入れられた提案を維持するのを阻止するという主要な任務を隠さなかったという事実は明らかだ。これはまさにヨーロッパが望んでいたことであることは明白だ。
ドミートリ・サイムズ:
このプロセスに関わっているアメリカの交渉担当者たちを詳しく見てみると、彼らはこの状況において真に効果的な和平仲介者であろうと真剣に願う、非常に真剣で献身的な人々の集まりであるように思えます。プーチン大統領自身もこのことについて語っています。私はジャレッド・クシュナー氏を少し知っています。彼とは非常に密接なかかわりをしたことがあります。特別検察官のミュラー氏は、かつてクシュナー氏と私それぞれに、私たちの関係や、ロシアの干渉が私たちを通じてどのように行われたとされるかについて尋問しました。私たちの証言は完全に一致しました。この経験から、クシュナー氏は道徳的に信頼できる人物だと確信していました。しかし、彼らをまともな人物だと考えているからこそ、彼らがアメリカ合衆国を代表していることを認識すべきだと私は思います。マルコ・ルビオ氏が述べたように、アメリカ合衆国はウクライナを支援しており、非常に積極的に支援しています。仲介者としてのアメリカ合衆国の役割と、ウクライナの支援者としてのアメリカ合衆国の役割は、どのように両立できるのでしょうか。
セルゲイ・ラブロフ外相:
まず、私はすでにトランプ政権に、西側諸国の中でも決定的な違いがあることを指摘しました。それは、現実を認識していること、そしてロシア連邦の正当な安全保障上の利益の観点から現実を認識していることです。彼らはウクライナのNATO加入など取引の一部とさえ考えていないことを念頭に置いています。また、何世紀にもわたってウクライナのこの地に住み、状況の力によってこの土地とともにウクライナ・ソビエト社会主義共和国の一部となった人々の望みの観点から現実を認識していることも認識しています。
そして、この認識は非常に価値があります。今話している人々が明白なことを受け入れているのであれば、明白なことを受け入れたくない他の西側諸国がどうなっているかは明らかです。私はドナルド・トランプ大統領の一期目のときにジャレッド・クシュナーと少し知り合いました。米国大統領がホワイトハウスで私を迎えてくれたとき、私たちは少し言葉を交わしました。彼はとても感じが良く、信頼できる人物という印象を受けました。私はトランプ大統領の2期目にスティーブ・ウィトコフ氏と話をしたことがあります。彼もまた、明らかに成果を上げたいと考えています。
同時に、イラン、パレスチナ、そして中東情勢全般において、それぞれ異なる分野で交渉にあたるウィトコフ氏とジャレッド・クシュナー氏が、ロシアとアメリカの関係全体を統括しているわけではないことは明らかです。そして、あなたが正しく指摘されたように、国務省は、大統領から受けた指示をロシア外務省が実行しているのと同様に、交渉プロセスからある程度距離を置いています。しかし、交渉に直接参加しているのは、我々の理解では、この2人の交渉担当者が政権内で占めている地位や立場を反映している人々です。
しかし、同時に、ロシアとアメリカの関係に関するあらゆる問題やその他の事柄を決定する人々は、交渉の成功に関心があるかどうかに関わらず、当然ながら自分たちの判断で行動します。しかし、例えば、議会と政権、アメリカ財務省、その他の関係機関は、バイデン氏、あるいはバイデン政権時代の議会が導入したすべての制裁を無条件で延長し続けています。トランプ大統領は、これはバイデン氏の戦争だ、私が大統領に選ばれていたらこんなことは起こらなかっただろう、と言います。しかし、ここで実際に何が起こっているのかを少し考慮する必要があります。
ジョー・バイデン氏によって、あるいはジョー・バイデン政権下で導入された制裁の延長に加えて、現政権はルクオイル(ロシアの民間石油会社)とロスネフチ(ロシアの国営石油会社)に対して新たな制裁をすでに課しています。そして、アメリカ財務長官のベッセント氏は、制裁強化の必要性についてかなり率直に語っています。一般的に、世界のエネルギー市場はアメリカの管理下に置かれる必要があると思っているようです。これらすべては、交渉中に伝えられている感情とはほとんど一致しません。しかし、それが現実なのでしょう。
そしていつものように、現実は一面的なものではありません。多面的なものです。 MAGA(Make America Great Again、アメリカを再び偉大に、アメリカ第一、アメリカの国益第一)というスローガンが今もなお存在し、ロシアとの関係にも表れているという事実。これは紛れもない事実です。アメリカ人は経済的利益を得ようとしています。確かに、経済的利益を得るためには、他の国々に対して行っているようなやり方でロシアを扱うことはできないと彼らは認識しています。そして、このことが最終的にどうなるかは、私にはまだ分かりません。
ドミートリ・サイムズ:
ヨーロッパ諸国について話すとき、モスクワでの交渉で得られた好調な勢いを彼らがどう活用するのかという疑問が生じます。ご存知のとおり、クシュナー氏とウィトコフ氏はキエフに到着するとすぐにゼレンスキー大統領と会談し、その後、イギリス、フランス、ドイツからのヨーロッパ代表が参加する会合が開かれました。
セルゲイ・ラブロフ外相:
私たちはそれを「茂みの中のピアノ」(偶然そこにあったように見せかけて、実はあらかじめ周到に準備されていたもの」という言い回し)と呼んでいます。
ドミートリ・サイムズ:
まさにその通りです。そして、彼らはきっとこのピアノを茂みから引きずり出して、ますます積極的かつ敵対的な役割を担わせようとしているのでしょう。ヨーロッパの立場をどう見ていますか?そして、アンカレッジの後と同じように、彼らが我々の努力をすべて台無しにしてしまうのではないかと恐れていませんか?
セルゲイ・ラブロフ外相:
アンカレッジは最初の事例ではありませんでした。ウクライナ情勢におけるヨーロッパの役割は、別途研究する価値があります。実際、過去500年間の地球の発展におけるヨーロッパの役割も同様です。この500年もの間、ヨーロッパ人は他者を犠牲にして生きてきました。これには奴隷制、植民地主義、搾取などが含まれます。しかし、2つの世界大戦がヨーロッパで、そしてヨーロッパ諸国の政策に関連して始まったことを忘れてはなりません。ナポレオン戦争も思い出すことができます。好戦的な国家の指導者が、ヒトラーと同じように、ヨーロッパ全体を自らの旗の下に集めてロシアを攻撃しました。そのため、ヨーロッパは世界史において地獄の産物と見なされることが多いのです。
ところで、ヨーロッパからの入植者がアメリカ大陸に航海したとき、私たちはこのことを人々に思い出させることはめったにありませんが、忘れてはなりません。エカチェリーナ2世がイギリスの植民地支配者に対する北米の入植者の支援において決定的な役割を果たした(米国独立戦争において英国への協力を拒んだ)という事実、そして私たちの関係のこうしたルーツを見れば、それを忘れてはならないことがわかるでしょう。
もちろん、冷戦の時期もありました。これらの関係は、大祖国戦争、第二次世界大戦の時期を含め、さまざまな形で発展しました。同盟については、最近のスピーチで繰り返し話していますが、最終的には非常に大きな役割を果たしました。多くの研究者が、(米国などによる)レンドリース援助と北極海輸送船団が、ソ連が戦争の最初の1年間を耐え抜く能力に非常に大きな貢献をしたと指摘しています。その後、一時停止、待機期間がありました。現在、一部の歴史家は、この待機期間を、同盟国であるイギリスとアメリカが、どちらが有利になるか、どちらが傾くかを理解しようとした試みだと解釈しています。
しかし、それでも、第二戦線の開設は、おそらく決定的な役割を果たさなかったかもしれませんが、それは戦友の絆でした。エルベ川での会合(第二次世界大戦末期の1945年4月25日、ドイツ東部を進撃していたソ連軍と米軍がエルベ川沿岸で合流した)の様子を実際のニュース映像で見るだけで、武器を手にナチズムと戦った人々のレベルでは、それが非常に誠実なものであったことが理解できる。そして、この精神、いわばエルベの精神は、アンカレッジの精神を不朽のものとするつもりはないが、アンカレッジではそれは精神ではなく、理解であった。
しかし、ヨーロッパに戻ると、ヨーロッパ人は建設的な役割を果たす機会が非常に多かった。彼らは今、「我々抜きでは交渉はしない」「我々は交渉のテーブルに着かなければならない」などと言っている。彼らは2013年12月、マイダンが沸騰し始めたときから交渉のテーブルに着いていた。ちなみに、ワシントンにいる一部のヨーロッパ人も、ビクトリア・ヌーランドが自ら過激派の訓練を監督し、彼らにクッキーかパイを配っていた。どちらだったかさえ覚えていない。
そして、フランス、ドイツ、ポーランドに代表されるヨーロッパ諸国が、ヤヌコビッチ大統領と権力掌握に必死な野党との間で交渉を開始しました。ご存知の通り、2014年2月21日、ヤヌコビッチ大統領と野党の間で合意が締結されました。この合意は実質的に欧州連合によって保証されており、早期選挙の実施に関するものでした。これはヤヌコビッチ大統領の譲歩でした。早期選挙までの期間、彼は行政権限のほとんどを放棄し、国は国民統一政府、つまり暫定的な国民統一政府によって統治されることになっていました。
翌朝、クーデターが発生しました。過激派は、ドイツ、フランス、ポーランド、そしてその他出席していた国々の署名をすべて無視し、行政庁舎を占拠し、西側諸国はそれをすべて受け入れました。そしてプーチン大統領が最近このことをよく思い出し、合意が署名の準備が整った時、オバマ大統領が彼に電話をかけ、「ウラジーミル、彼らは合意に達した。君がそこにあるものすべてを気に入っているわけではないことは理解している。ヤヌコビッチに署名を思いとどまらせないでくれ」と言った。するとプーチンは、「彼は独立した、普遍的に認められた国家元首だ。彼がその立場で署名するなら、私がこの件で彼を妨げる権利などあるだろうか?」と答えた。
しかし、この署名は2014年2月21日に行われた。そして2月22日にはクーデターがあった。そしてフランス、ドイツ、イギリスの代表は、もちろん2月22日の午後に政治家の声明を読んだ。ヤヌコビッチは逃亡したが、ハリコフに行った。彼はキエフにはいない。彼はハリコフで自分の党の大会に出席していた。人々はついに正しい選択をした、とフランス、ドイツ、イギリスは述べた。欧州諸国が保証した文書のインクが乾く前に、彼らには確かに2度目のチャンスが訪れた。1年後の2015年2月、ミンスクでのマラソン交渉の後、対応する合意が調整されたのだ。当時、メルケルとオランドの署名も、プーチンとポロシェンコの署名とともにそこにあった。
しかし数年前、メルケルは引退後、同じく引退したオランドとポロシェンコの3人は、告白した、いや、告白したというより、誇らしげに宣言した。「我々は何も履行するつもりはなかった。ウクライナに武器を大量に送り込むために、必死に時間を稼ぐ必要があったのだ」。これは欧州諸国にとってまた別のチャンスだ。3度目のチャンス、他にもエピソードはあったが、これらが最も印象的だった。
3度目のヨーロッパのチャンスは2022年4月で、イスタンブールのロシア交渉団は、プーチン大統領がアンカレッジで昨年提案したのと同様に、ウクライナ側の提案を受け入れ、本格的な和平条約を締結する準備が整った原則を受け入れた。これらすべてに仮署名がなされた。大統領は、この話題について対話相手と話し合う際にカメラの前でさえ、これを何度も証明してきた。しかしボリス・ジョンソンは最近(この合意を妨害したことを否定し)、「私は誰にも何も禁じていない。ただ、戦いたいならもちろん我々は君たちと共にいると言っただけだ。」と言った。それは嘘だ。我々は彼が何を言ったか知っている。そして今もヴェルホヴナ・ラダ(ウクライナ議会)の人民奉仕派を率いるダヴィド・アラハミアは、そうではないと認めた。
ボリス・ジョンソンは彼らに「何も署名するな」と言った。まあ、ヨーロッパにはおそらくトランプ政権と同じように賢明で責任ある立場を取る機会がその後もあっただろう。彼らが言うところの、この土地に住む人々やその人々の意見を含めた、現場の現状の真実を見るべきだ。いや、彼らはロシアが戦略的敗北を喫しなければならないと宣言するたびに、降りるのが非常に困難なフェンスを登り続けている。つい先日、カヤ・カラスか、あるいは欧州連合の他のコメンテーターが、我々は再び続ける必要があると述べた。もう少し付け加える必要がある。ウクライナは今や全員を打ち負かし、我々はウクライナの領土保全を侵害するものを決して認めない。この人たちにとってはそうだ。
そして、なぜこんなことになるのか?彼らが主張するように、ウクライナは「ヨーロッパの価値観を守っている」からだ。しかし、これは告白であり、自己暴露だ。もしそうなら、そして彼らはこれを1年以上も言い続けているのだが、彼らにとっての「ヨーロッパの価値観」とは、真のナチズム、人種差別、国籍に基づく差別、宗教に基づく差別の露骨な表れを意味するのだ。
国連憲章は、性別、人種、言語、宗教に関係なく、すべての人が人権を尊重する義務があると定めているが、(ウクライナで)ロシア語が禁止されている。イスラエルではロシア語は禁止されていない。アラビア語もペルシア語も禁止されていない。イランではヘブライ語は禁止されていない。イランではシナゴーグは機能しており、ユダヤ人コミュニティも存在する。しかし、ウクライナは、ただの言語ではなく、国連の公用語のひとつ(ロシア語)を禁止している唯一の国である。
そのため、ウクライナの商店ではロシア語を話す客へのサービスを拒否している。学校では、こうした言語の使用をすべて禁止している。ロシア語の授業はすべて禁止され、ウクライナ人が所有するものも含め、ロシア語のメディアもすべて禁止された。そして、正統派ウクライナ正教会も法的に禁止された。そして、これらは「ヨーロッパの価値観」らしい。
また、どうやら「ヨーロッパの価値観」には、テレビやソーシャルメディアで毎日大量に目にする映像も含まれているようです。それは、地域徴兵センター(TCC)が市民を家畜のように路上で捕まえ、10人の屈強な男たちが若い男を掴んで押し込み、引きずり出して軍服を着せ、機関銃を与え、最前線に放り出す様子です。つまり、これが「ヨーロッパの価値観」なのです。
ですから、ヨーロッパが「われわれも交渉に加わらなければならない」と言っても、こちらとしては、「あなた方にはこれまで何度も建設的な役割を果たす機会があったのに、そのすべてを台無しにしてきた」と言わざるを得ません。今後、ヨーロッパが再び何らかの役割を任され、信頼を取り戻したいのであれば、今度は何をしようとしているのかを、まず十分に説明しなければなりません。しかし、それは容易ではないでしょう。
(つづく)
アンドリュー・ナポリターノ判事:
外相、今日の西側に住む非常に多くの人々にとってさえ、そして真に中立的な観察者にとってはなおさら、ロシアが特別軍事作戦の過程でこの紛争に軍事的に勝利することは、完全に、そしてまったく明白になっています。そして率直に言って、それはかなり早いうちに起こることが明らかです。この現実を踏まえて、お尋ねします。今後の実際の計画はどのようなものでしょうか。この問題に対処するため、実際にはどのような戦略が立てられているのでしょうか。ロシアが軍事的勝利を収めた後、ウクライナはどうなるのでしょうか。
セルゲイ・ラブロフ外相:
これは先ほどの質問に対する私の回答の続きです。何世紀にもわたってこれらの土地で暮らしてきたロシア文化圏の人々を再び文字どおりの強制収容所に引き渡すため、1991年の国境への復帰を要求している、理性を失っているとしか言いようのない人々がいます。そうした少数の人々とは別に、時折、現実主義の兆候が見られる別の集団もあります。現在では、フィンランド大統領やイタリア首相を含む一部の人々が、緊急に停戦する必要があると語り始めていますが、この背後にも時間を稼ぎたいという願望があります。誰もがそのことを完全に理解していますし、ゼレンスキーもそれを隠そうともせず、「パトリオット・システム用のミサイルと、さらに多くの防空装備が緊急に必要だ。われわれの国家を救わなければならない」などと言っています。
しかし、彼らは皆、停止を呼びかけているものの、大多数は「いったん止めよう。しかし、我々はロシアの現在の支配地域について何も承認しない」と言っています。また一部は、「状況を直ちに凍結し、ウクライナの残存部分にワシントン条約(NATO条約のこと)第5条に相当する保証を与え、キエフの支配下に残る領域に国際安定化部隊を配備する必要がある」と言っています。われわれはすでにこれに回答しています。軍服を着た者や軍事施設はすべて、われわれにとって正当な攻撃目標となること、また、法的には加盟させないまま、実質的にNATO加盟を再現するようないかなる選択肢もあり得ないことを述べました。
しかし、最も重要なことは、1991年の国境しか認めず、今すぐ敵対行為を終わらせることを主張する人々も、キエフ政権を使ってわれわれに対して仕掛けられた戦争への対応として、われわれが特別軍事作戦を開始した後、ウクライナ南東部で実際に起きたことを承認する含みを持たせながら敵対行為の終結を主張する人々も、双方とも、現在キエフを支配している政権を存続させることを論じている点です。それは、私がすでに挙げたこの政権特有の性格、すなわちナチズムの台頭、攻撃的なロシア嫌悪、基本的人権の組織的な侵害が継続することを意味します。
具体的には、自らの言語を使う権利と、宗教を自由に選択するという基本的権利の侵害について述べています。軍事段階が何らかの形で終結した後も、こうした「欧州の価値観」がすべて固定化されることになります。彼らは選挙について話していました。すでに選挙実施を示唆していましたが、今では誰もが「いや、それは行うべきではない」と言っています。ちなみに、米国人から選挙への反対意見を聞くとすれば、そもそも奇妙なことです。米国では必ず2年ごとに選挙を行います。米国人もここでは現実主義を示していますが、欧州は、自分たちから見ても公然とロシア嫌いで、攻撃的かつ率直に言ってネオナチ的な政権を維持する決意であるように見えます。それが欧州の計画です。ロシア国民がそのような結果を受け入れる方法を見いだせるとは、私には到底思えません。
アンドリュー・ナポリターノ判事:
では、25年後に同じようなことが再び起こらないと、ロシア人が確信できるようにするにはどうすればよいのでしょうか。西ウクライナの領域に住む人々がNATOを招き入れることなく、NATOを退けられるようにするには、どうすればよいのでしょう。
セルゲイ・ラブロフ外相:
ロシアには緩衝地帯が必要だということも、多くの人が論じています。我々はウクライナそのものが緩衝地帯なのだと言っているんです。現代のウクライナがどのように形成されたのかについては、大統領も私も繰り返し述べてきました。ソ連指導部の意思によって西部地域がソ連に編入されましたが、そこには何世紀にもわたり、非常に強い民族主義思想を持つさまざまな欧州の民族の人々も暮らしていました。そこで、その急進主義を何とか弱めるため、いわばその急進主義を薄めようとして、ロシアの土地、具体的にはロシア古来の領土を、これらの新しい西部の土地に付け加えることにしたのです。それは、これらの地域を統合することによって当時直面していた政治的緊張を効果的に中和できるのではないかと考え、均衡を変化させるために意図的かつ計算の上で行われた試みでした。そして、この全体がウクライナ・ソビエト社会主義共和国と呼ばれました。
確かに、このウクライナ・ソビエト社会主義共和国はもはや現代世界には存在しませんが、それが常にかなり人工的な構築物であり、主権国家として存在したのは、最終的に地図から消えるまでのわずか数十年間にすぎなかったことを忘れてはなりません。それは一つの国家の枠内に存在し、その国家は、ソ連に暮らすすべての民族の権利を保障し、もちろん自国の安全も保障していました。
ハリネズミと震える雌ジカを組み合わせたような、この奇妙で不自然な結合体が最終的に(ウクライナとして)独立すると、根深い根本的な矛盾、具体的には西側志向の住民とウクライナ南東部に暮らすロシア語話者共同体との間の顕著な文明的分断が、ソ連崩壊の直後から驚くべき速さで表面化し、噴き出し始めました。それは、ほとんど必然的に、関係するすべての人々にとって現実の、そして持続的な悩みの種となる不安定な状況でした。
そして、これらの矛盾は、当初から欧州によって大きく増幅されました。私は2004年のマイダン(オレンジ革命)をよく覚えています。それは試みではなく、実際に起きたことです。米国人と欧州人は大統領選挙の第2回投票の結果(ヴィクトル・ヤヌコビッチが勝利)を承認せず、ウクライナ憲法裁判所に、憲法に規定されていないにもかかわらず第3回投票を実施せよとの判断を出させました。彼らは第3回投票を実施し、自分たちが必要とする人物(ヴィクトル・ユシチェンコのこと)を当選させました。その当時、投票前から欧州連合より公然と、「ウクライナ人はロシアと西側のどちらにつくのか決断する義務がある」との要求が出始めていました。ロシアとの関係を完全に断ち切ろうとしないすべての人々を欧州の価値観と対立させる、この硬直した二者択一の考え方は、残念ながら、非常に長い間、彼らの政治言説に深く根を下ろしてきました。
われわれはすでに、ここで多くのことを論じました。しかし、われわれがかつて世界政治における正当な存在として承認したウクライナは、今日では、もはや同じ資格を備えた形では存在していないという否定できない事実が残ります。それはわれわれが直視しなければならない、厳然たる客観的事実です。状況の現実は完全に変わりました。
ウクライナ・ソビエト社会主義共和国は存在しません。われわれが現在のウクライナの独立を承認したのは、1990年に採択された独立宣言に基づいています。それはウクライナ議会であるヴェルホヴナ・ラーダによって正式に採択されました。その歴史的宣言では、ウクライナ国家が非核、中立、そして厳格な非同盟国家であり、将来にわたってそうあり続けることが厳粛に宣言されました。現在、この三つの重大な誓約は、関係当事者によってことごとく無視されています。
ゼレンスキーは2022年初頭の時点で、「振り返れば、核兵器をすべて放棄したことは、われわれにとって重大で高くつく過ちだった」と公言しました。多くの政治家が、「厳密に言えばソ連時代に発展した知識と技術の両方が利用できるのだから、それを使ってこの地位に戻ってはどうか」と本気でほのめかし始めました。NATOについては、もはや話す気にさえなりません。彼らは皆、NATOと欧州連合への加盟が自分たちの安全を保障すると宣言しています。欧州連合は今や、NATOとまったく同様の軍事ブロックです。ここでは、われわれがウクライナを国際関係の独立した主体として承認することを可能にした、ウクライナ国家の宣言された基盤を示すすべての特徴が失われています。
ドミートリ・サイムズ:
欧州の言動を見ると、奇妙な印象を受けます。一方では、ロシアはあえてエスカレートしない、核兵器を使用しない、自分たちの領域への報復攻撃を恐れるだろうと言っています。他方では、ロシアが攻撃するかもしれない、おそらく攻撃するだろうと彼らが言う2029年から2030年に向けて、準備しており、欧州では非常に急速な軍事化が進んでいます。
起きているのは、数十億、数兆ドル規模の軍備計画への資金投入だけではありません。彼らは、ウクライナでいかなる和平合意が成立しようとも、それとはまったく無関係にこの軍事化を続けるという印象を与えています。この状況を見て、あなたに質問があります。彼らは本当にそれほどわれわれを恐れているのでしょうか。それとも、ロシアの脅威を口実にして軍産複合体を強化し、ロシアに対する大規模攻撃を準備しているのでしょうか。
セルゲイ・ラブロフ外相:
私は率直に言って、これらの軍国主義勢力は単に自分たちの狭い利益のために動いているのだと思います。考えてみてください。問題が蓄積し、先鋭化し、深刻化しているにもかかわらず、軍事上の必要へ向けて大規模な資金の再配分が行われています。これには、NATO諸国全体でGDPの5%に到達するという確約や、ウクライナに直ちにさらに900億ドルを提供し、その翌年にもさらに900億ドルを拠出すると約束しなければならないと、さまざまな政党が議会に執拗に要求していることが含まれます。権力者たちが定めている長期的な優先順位について、まったく疑問を抱かずにはいられません。軍産複合体は大喜びです。莫大な利益を上げています。
さらに、メルツ自身が公にこう述べています。「そうだ、国民の状況が著しく悪化していることは理解している。しかし、ウクライナのため、この欧州の価値観のために、われわれはそうする義務がある」。そして、ザクセン・アンハルト州で「ドイツのための選択肢」が圧勝した選挙結果に彼らが現在どのように反応しているのか、また、この政党がナチズムを復活させていると、どのように非難しようとしているのかを見てください。この政党が民族主義的であることには、もちろん疑いはありません。しかし、この政党は単に、すべての国との正常な対話を支持しています。
もちろん懸念されるのは北極圏の軍事化に向かう路線です。最近、米国、ノルウェー、他の誰かさん(英国と思われる)が、ロシア連邦との戦争を公然と想定したシナリオで北極圏において演習を行いました。その背後には何があるのでしょうか。彼らがロシアを攻撃しようとしているとは思いません。また、われわれが欧州への侵略を準備しているという話は、まったく馬鹿げています。一方では「ロシアは負けている。だから、あらゆる方法でウクライナを支援しなければならない。支援を増やせばウクライナは勝つ」と言います。他方では、彼らの目には負けているはずのこのロシアが、欧州への攻撃を準備していると言うのです。政治家の観点から見ても、このような妄想的なことを口にするのは、まったく真面目な態度ではありません。
しかし大統領は何度も繰り返しました。われわれは誰を攻撃することも計画していません。それは愚かで、馬鹿げています。国家レベルの思考が完全に欠如しています。しかし、このような話が、あなた方が攻撃を準備していることを意味するのであれば、断言しますが、その戦争はまったく異なるものとなり、非常に短期間で終わるでしょう。
しかし、別の可能性もあります。第一次世界大戦の引き金となった出来事、すなわちサラエボでのフランツ・フェルディナント大公暗殺を繰り返すことです。理論的には、彼らは確かに同様のことを仕組むことができます。欧州人は複雑な陰謀と大胆な冒険を好み、また彼らには狡猾さが備わっていることを考えれば、その可能性を排除することはできません。あるいは、1933年のドイツの国会議事堂放火事件のようなことです。
彼らが今度はライプツィヒでのドローン事件(2026年8月、ドイツ東部のライプツィヒ/ハレ空港で、爆発物を搭載したドローンが発見された事件)を(ロシアのせいと)でっち上げ、何一つ証拠を示すことなく世界的なヒステリーを引き起こしたように、同様のことが起こる可能性を私は排除しません。同じように、2022年4月、ブチャで突然、どこからともなく現れたかのように、道路沿いに整然と並べられた数十体の遺体が示された状況について、われわれが繰り返し提起してきた非常に具体的な質問に対して、いまだに明確で満足できる回答は得られていません。その地で実際に何が起きたのか、多くの疑問が未解決のまま残されています。
今日に至るまで、国連事務総長からも、人権高等弁務官からも、ちなみに米国人を含む西側の対話相手からも、次の質問への回答を得られません。「皆さんの能力を使って、偶然にも非常に都合よくその場所に居合わせたBBCの撮影班が映した遺体が、誰のものだったのか、その人々の名簿を入手できないのですか」。誰もわれわれに何の回答も示しません。また、われわれが聞かされているところでは、親族もあまりそれを望んでおらず、親族については何も聞こえてきません。数十人が大量に殺害されたとすれば、それは戦争犯罪です。その場合、親族による何らかの団体が名乗り出ないということはあり得ません。しかし、ここでは、言われているように完全な沈黙があります。したがって、私は挑発行為が行われた可能性を排除しません。
ドミートリ・サイムズ:
欧州諸国の政府を見ると、世論調査の結果とは大きく異なっているという印象を受けます。欧州の世論は、欧州のエリート、グローバリストのエリートよりも、はるかに平和志向です。そこで私には、そもそもこのようなグローバリストのエリートと合意に達することが可能なのか、という疑問が生じます。
あなたは最近、この紛争では、少なくとも現段階では、決定的な役割を果たすのは外交ではなく、われわれによる武力の行使、やむを得ない武力の行使であると述べました。ウクライナ側が、西側から供与されたか、西側の支援によって製造され、西側によって誘導されるミサイルやドローンでわれわれの領域を攻撃している一方、われわれはウクライナ領内だけを攻撃しているという状況を、今後どのように続けられるとお考えですか。この状況はいつまで続けられるのでしょうか。欧州を攻撃せずに済ませることはできるのでしょうか。
セルゲイ・ラブロフ外相:
あなたの番組に出演する人々も、戦闘行動と外交というこの問題について論評しています。両者を並行して同時に進められない理由はないと思います。結局のところ、歴史上、そのような事例は存在しました。
われわれは2022年4月にウクライナ側の提案を受け入れる用意を整え、その文書にイニシャル署名し、本格的な条約の作成が始まるのを待っていました。その後、われわれは欺かれました。(プーチン)大統領は、それ以降についてこう述べました。「マクロンがウラジーミルに電話をかけ、調印に向けた雰囲気を改善する善意の意思表示を何らかの形で行うため、軍を撤退させ、一定の休止期間を設けるよう求めた。」そして、この欺瞞が現実になった後(欧州から合意を妨害された後)、プーチン大統領はこう述べました。「われわれは今後も常に交渉に開かれている。しかし交渉期間中も、軍事的手段による課題の解決を停止しない」。この方針は現在も維持されています。
われわれは復活祭と戦勝記念日に、2日間または3日間の停戦を提案しました。米国側の要請により、今回(ウィットコフとクシュナーがキエフを訪問したとき)は3日間の停戦が発表されました。米国の交渉担当者がキエフに移動できるよう、われわれは武力行使を控えました。
しかし、ロシア領内奥深くの平和的な民間施設に対するこれらのテロ行為へのわれわれの反撃も、すでにかなり長い間続いていることを強調しなければなりません。そして率直に言えば、ウクライナ側にとって、それに耐えることははるかに、あえて言えば著しく苦痛なものとなっています。われわれは、こうした行動を報復なしに終わらせないと決意しており、われわれの反撃がもたらす結果は、ウクライナ側にもますます明らかになっています。彼らもそのことを話しています。
ちなみに、このことは、西側がこの紛争のまさに現段階で停戦を呼びかけるようになった際の、突然で明白な切迫感も説明しています。しかし、交渉を提案する人々が、われわれに空疎な最後通牒を突きつけようとしているのではなく、実際に根本的な問題に取り組むという誠実な意図を持っていると十分に確信できるのであれば、われわれは有意義な交渉への参加を決して拒否しません。米国の交渉担当者であるウィトコフとクシュナーは、第一に不公平で、第二に実行不可能な要求を突きつけるのではなく、問題そのものに取り組んでいます。欧州が行っているのは、まさにその反対です。
アンドリュー・ナポリターノ判事:
あなたは最近、警告を発しました。ドイツ当局が最近、新たな戦争の可能性について語り始めたと述べました。これは非常に憂慮すべき動きです。なぜそのように述べたのですか。
セルゲイ・ラブロフ外相:
何よりもまず、ドイツのフリードリヒ・メルツ首相が、演説のたびに、「ロシアは欧州にとって最大の脅威であり、われわれはこの脅威との戦争に備えなければならない」という確信を持っており、その確信は日ごとに強まっていると言う機会を、決して逃さないからです。そして、これは私が何度引用しても飽きることがありませんが、彼の考えでは、「ドイツは、再び欧州大陸最大の軍事大国にならなければならない」と言っています。それは、われわれの地域の将来に不可欠なものとして慎重に検討しなければならない変化です。
それはまさに、第一次世界大戦前夜、そして第二次世界大戦前夜に、ドイツが自国を最大の軍事大国と考えていたのと同じです。これはフロイド的な失言ではありません。彼らは本当にそう信じているのです。彼らはナチズムに忠実に仕え、戦争犯罪に加わった自分たちの祖先を称賛しています。今も彼らを称賛し、彼らが正しいことをしていたと信じています。
彼らがゼレンスキーをあれほど支援しているのも、理由のないことではありません。ゼレンスキーは今、オーストリア、ルーマニア、その他の欧州の墓から、ニュルンベルク裁判によって永久に絶対的な違法行為と認定された行為を理由に有罪とされたウクライナ人のナチ犯罪者の遺骨を掘り出し、ウクライナに再埋葬しています。キエフで最も神聖な場所であるキエフ・ペチェールシク大修道院に、彼は「英雄の城塞」を創設すると宣言しました。
バンデラをはじめ、自らを永遠に汚し、ウクライナ国民の一員であること自体まで深く汚したさまざまな犯罪者が、今では英雄として称賛されています。暗い遺産を残したそのような人物が今日称賛されているのは、実に憂慮すべき現実です。ゼレンスキーは、欧州から運ばれてくる遺骨を納めた棺の前にひざまずいています。欧州は喜んでそのような霊廟づくりを支援しています。この人物が何を行っているのか、それが欧州の価値観とどのような関係にあるのかを、彼に説明しようとしないからです。
したがって、私はその可能性を排除しません。メルツのような人物が、実際に祖先の「偉業」をもう一度繰り返そうとする可能性を、私は決して排除しません。これは真剣に考える必要のあることです。
アンドリュー・ナポリターノ判事:
ノルウェーに拿捕されたロシア船についてお尋ねします。私の理解では、その船が何らかの非難されるべき活動に関与していたという申立ては一切なく、ノルウェーの裁判所が、特定の船舶に対してではなくロシア全体に対するウクライナ企業ナフトガスの請求を認めることにしたというだけであり、国際法の重大な違反でした。ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官は、これを海賊行為と呼びました。これはまったく正確な表現だと思います。
われわれはこれにどう対処するのでしょうか。外相、もちろん船のことは残念ですし、乗組員のことはさらに心配です。しかし、私が懸念しているのは、西側による侵略、欧州によるロシアへの侵略が、ますます拡大していることです。そして、われわれが厳しく対応しないたびに、彼らの処罰されないという感覚が強まります。大統領は、必要であれば、われわれには彼らを倒す用意があると言いました。その用意はありますか。あるとすれば、どのように対応するのでしょうか。
セルゲイ・ラブロフ外相:
大統領がそう述べたことは間違いありません。これは単なる比喩表現ではなく、明確な立場です。
問題の船舶は、1920年のスヴァールバル条約を完全に順守してスヴァールバルで行われていた科学活動と観光活動以外のいかなるものとも、まったく関係がありません。この一件は、もちろん、第一にノルウェーの法の女神テミス、すなわち司法にとっての恥であり、同時にノルウェー国家にとっての恥でもあります。
ナフトガスが、まずウクライナの司法機関で、そして確かその他の機関でも、クリミアの住民投票の結果を誰も承認すべきではない、クリミアはウクライナ領であり、したがってロシアが行ったことはすべて違法であると主張したからです。「われわれはこれこれの額の資産、設備、資金、投資を失った。したがって、尊敬する国際社会の皆さん、どこであれ、どのような方法であれ、そこにあるものを何でも略奪し、クーデターへの反応として、またクリミア住民をテロリストと決めつけて武装勢力が差し向けられたことへの反応として、クリミアの人々が意思を表明した結果起きたことへの補償として、われわれに引き渡してほしい」というわけです。
これはノルウェーにとっての恥です。私はすでにそう述べましたし、ここであまり具体的な詳細に立ち入ることは本当に望みません。しかし、ノルウェー当局者と現在のノルウェーの政治家は、この状況全体が完全な恥であることを十分に理解しています。彼らはわれわれと頻繁に連絡を取っていますが、率直に言って、自分たちがどうすればよいのか分かっていません。
しかし、いわゆる「影の船団」の船舶を拿捕しようとする攻撃的な試みに始まるこの傾向は、非常に危険なものになっています。これは関係するすべての人々にとって非常に憂慮すべき動きです。彼らはそこで、どのように行動するのでしょうか。例えば、あるアフリカの国の国旗を掲げ、ロシアの利益のために石油を輸送しているタンカーを拿捕します。特定の国を名指しするのはやめておきましょう。それから彼らは、「この国旗は偽物だ」と言います。
そして、そのタンカーを拿捕するとすぐに、タンカーが掲げている国旗の国に駐在する彼らの大使が、その国の外務省または大統領府に行って、こう言うのです。「いいですか、われわれはあなた方への援助計画を持っている。今日、今すぐにこの船への旗国承認を取り消し、その国旗は偽物だと言わなければ、援助を打ち切る」。これが、西側がここで用いている手法のすべてです。しかし、私は詳細に立ち入ることができませんし、そうする権利もありません。
しかし、大統領は「それまでだ」と述べました。英国の挑発行為についてはどうなのか、という質問に答えた際にも、大統領は「それは軍事機密だ」と答えました。
アンドリュー・ナポリターノ判事:
11月に中国で3人の大統領による会談が実現する現実的な可能性があるという、ワシントンでの発言についてお尋ねします。もちろん、ロシア大統領、米国大統領、そして習近平氏のことです。これは米国の願望なのでしょうか。それとも、それが実現する現実的な可能性があるのでしょうか。
セルゲイ・ラブロフ外相:
これは米国の願望でも、中国の願望でも、ロシアの願望でもありません。言ってみれば、単なる政治的経験則です。世界の三大国の指導者、すなわち中国について言えば何よりも経済大国、ロシアと米国について言えば軍事大国の指導者が、同じ時に同じ場所に集まるのです。「AとBを結びつけて考える」ことのできない政治分析者には、何の価値もないでしょう。私には、それだけのことだと思われます。
そして、そのような機会が提供された場合、プーチン大統領が断らないことに、私は何の疑いも持っていません。これは深圳で行われます。中国側の主催者が日程を編成します。日程が許し、そのような申し出がなされるなら、その可能性を私は排除しません。大統領がそのような機会を断らないことは、ほぼ確実だとさえ思っています。
アンドリュー・ナポリターノ判事:
特別軍事作戦は、あとどれくらい続くと思いますか。
セルゲイ・ラブロフ外相:
大統領はつい最近、この質問に答えました。戦争は予測を立てるのにあまり適した事柄ではない、と述べました。しかし、われわれが前進しており、日々進撃していることは事実です。そして、多くのことは、ウクライナ・レジームのマスターたちがどれほど理性的な助言をするかによります。
これまでのところ、理性的な助言はまったく聞こえてきません。聞こえてくるのは、民間人を路上で強制的に捕らえ、待機している車に押し込み、前線へ、死地へと直接送り、さらに多くのウクライナ人をこの燃え盛る炉に投げ込めという、容赦のない要求、絶え間ない呼びかけ、執拗な要求だけです。
そして、ウクライナはほかにも非常に多くの破壊的行為を強いられています。かつて国民経済と呼ばれていたものが今や悲惨な、まさに壊滅的な状態に陥り、日々積み重なる終わりのない、悲劇的で深刻な圧力の重みで崩壊しつつある状況に耐えることまで強いられています。
ドミートリ・サイムズ:
外相、この対談に応じていただき、どうもありがとうございました。私たちにとって、これはいつも非常に興味深く、有益です。そしてもちろん、あなたは現在、「統一ロシア」の政党名簿の筆頭に立っています。選挙での幸運をお祈りします。もちろん、選挙に参加するすべての政党には、それぞれの幸運を得る権利があります。しかし、「統一ロシア」にとって、この過程におけるあなたの役割は特に有益なものになると思います。ありがとうございました。
セルゲイ・ラブロフ外相:
温かいお言葉をありがとうございます。
(翻訳以上)
香港の「民主活動家」黄之鋒(ジョシュア・ウォン)が香港高等法院で「共謀」を認めたことを受けて、フォローしているジャーナリストたちのよくまとまっている投稿を翻訳して紹介する。
ジェームズ・ウッド: 中国在住の英国系オーストラリア人 🇨🇳|地政学アナリスト|著述家|中国を中心に発信。https://x.com/commiepommie/status/2095064558138425709
黄之鋒(ジョシュア・ウォン)は今日、香港高等法院に出廷し、自らの言葉で共謀を認めた
アンジェロ・ジュリアーノ:1995年から香港在住。地政学、金融アナリスト。https://x.com/angeloinchina/status/2095427525098820055
香港――西側メディアが聞きたがらなかったこと值此中国人民抗日战争暨世界反法西斯战争胜利81周年之际,我们缅怀日本侵略战争的受害者,并重申日本宪法第九条所确立的和平承诺:日本永不再发动战争。
중국 인민 항일 전쟁 승리 81주년과 세계 반파시스트 전쟁 승리 81주년을 맞아, 우리는 일본의 침략 전쟁 희생자들을 추모하고 일본 헌법 제9조에 명시된 평화 약속, 즉 일본은 다시는 전쟁을 일으키지 않겠다는 약속을 재확인합니다.
中国人民抗日戦争および世界反ファシズム戦争の勝利81周年にあたり、我々は日本の侵略戦争の被害者を追悼し、日本国憲法第9条に定められた平和の約束、すなわち「日本は二度と戦争を起こさない」という約束を改めて確認する。
On the occasion of the 81st anniversary of the victory of the Chinese People's War of Resistance Against Japanese Aggression and the World Anti-Fascist War, we remember the victims of Japan's war of aggression and reaffirm the peace commitment established in Article 9 of the Japanese Constitution: Japan will never wage war again.
| 26年6月3日、瀋陽の9.18歴史博物館にて |
「私はウクライナ侵攻の時に目が覚めたんですね。第2次世界大戦以降、そうしたことはヨーロッパで起きないと。国連もできたしという考えが広くあったと思います。他の地域はともかくとしてですね。そうした大きな戦争がヨーロッパでは起きないと。それが私としては打ち砕かれた感じがして」
赤根氏の発言からは、1990年代に旧ユーゴスラビアのクロアチア、ボスニア、コソボなどで起き、ボスニアとコソボにはNATOも介入した血みどろの紛争が、すっかり抜け落ちている。また「他の地域はともかくとして」という言い方はどうなのだろうか。「ともかく」と言われた地域の人たちが聞いたらどう思うかと思いが至らないか。国連設立以降、欧州以外で起き、米国など西側諸国が遂行または介入した朝鮮戦争、ベトナム戦争、イラク・アフガン戦争、パレスチナ戦争などでは赤根氏の目は覚めなかったということだ。
赤根氏の西側バイアス、欧州の旧社会主義国やグローバルサウスの国々への軽視を感じざるを得ない。ノートン氏がここで指摘するICC自体の西側バイアスにも通じるように見える。逆に、西側が30年の挑発と威嚇を繰り返した上で起きたのに西側ではロシアが一方的な「悪」とされている戦争によってのみ「目が覚めた」のか。ロシアのプーチン大統領とマリア・リボア=ベロワ大統領全権代表(子どもの権利担当)の、ウクライナの子どもの「占領地域からの違法な追放・移送」容疑についても、ロシア側の、戦闘地域で危険に晒されていた子どもたちを安全な場所に避難させ保護した人道的措置であり、可能な場合には親や保護者の同意を得ていたという主張に対しどこまでの検討を加えたのか、十分な証拠はあったのかなど疑問が残る。
グローバル・サウスの多くの国々は、国際刑事裁判所(ICC)を西側に有利な偏向をもつ新植民地主義的機関だとして非難してきた。その指導部は欧州出身者によって占められており、2016年の時点では、同裁判所で裁判にかけられたのはアフリカ人だけだった。
めずらしく意見が一致する点として、米国もまた、国際刑事裁判所(ICC)の設立当初からこれに反対してきた。米国はICCの加盟国ではなく、ワシントンは同裁判所の最高幹部に制裁を科し、裁判官や検察官を逮捕すると脅したことさえある。
実際、同裁判所が2002年にオランダで発足した際、米国は「ハーグ侵攻法」として知られる法律を成立させた。この法律によりワシントンは、ICCで裁判にかけられている者が米国市民であるか、米国の「国家安全保障」上の利益にとって重要だと判断された場合、その者を解放するために米軍を派遣すると威嚇している。
ところが、21年にわたるICCの歴史を通じて同裁判所を容赦なく攻撃してきたワシントンは、突如として180度転換し、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領を逮捕しようとするICCを公然と支持するようになった。
3月17日、ICC所長でポーランド出身のピョートル・ホフマンスキは、NATOとロシアの間のウクライナでの代理戦争で行われたとされる残虐行為をめぐり、プーチンに対する逮捕状を発付した。
ICCの逮捕状が発付されたのは、100万人以上の死者をもたらし、国連のコフィ・アナン事務総長でさえ違法であり国連憲章に違反していると述べた米国のイラク侵攻開始から、ほぼちょうど20年後のことだった。
イラクで犯された戦争犯罪について責任を問われた米国当局者は一人もいない。しかし今、ICCはロシアに狙いを定めている。
ロシアはICCの締約国ではない。ウクライナも正式な加盟国ではない。
モスクワは、この「刑事訴追は明らかに違法」であり、西側諸国に支配された同裁判所のロシアに対する「明白な敵意」の表れだと述べた。
米国はICCの加盟国ではないにもかかわらず、ジョー・バイデン大統領は同裁判所の逮捕状を強く支持した。
米国のアントニー・ブリンケン国務長官は、欧州連合と連携し、ICC加盟国に逮捕状を履行してプーチンを逮捕するよう圧力をかけている。
これはブリンケンにとってかなりの方針転換である。2021年3月、イスラエルがパレスチナ被占領地で犯した戦争犯罪について同裁判所が捜査していた際、米国外交の最高責任者であるブリンケンはICCを激しく非難する声明を発表したからである。
ブリンケンは声を荒らげた。
ICCにはこの問題について管轄権がない。イスラエルはICCの締約国ではなく、同裁判所の管轄権に同意してもいない。ICCがイスラエル人に対して管轄権を行使しようとしていることに、われわれは重大な懸念を抱いている。パレスチナ人は主権国家としての要件を満たしておらず、したがって、国家としてICCの加盟資格を得ることも、国家として参加することも、ICCに管轄権を委ねることもできない。
イスラエルや米国と同様、ロシアもICC加盟国ではない。ところが、加盟国ではないイスラエルの戦争犯罪を同裁判所が捜査することはできないと主張してからわずか2年後、ブリンケンは突如として、ICCは加盟国ではないウクライナのために、加盟国ではないロシアに対して措置を講じなければならないと強く主張している。
ブリンケンの前任者は、ICCの最高幹部に制裁を科すところまで踏み込んだ。
ドナルド・トランプ大統領の在任中だった2020年、ICCは、米国、NATO、およびその同盟者であるアフガニスタン政府がアフガニスタンで犯した戦争犯罪について捜査を開始した。
これに対し、元CIA長官から国務長官に転じたマイク・ポンペオは、同裁判所を非難する怒りに満ちた演説を行った。
「われわれは、ICCが米国人に対して管轄権を行使しようとするいかなる試みにも反対する。米国人を捜査または訴追しようとする、同裁判所の不適切かつ不当な試みを容認しない」と、同年3月に宣言した。
ポンペオはICCを「恥さらし」であり、「自らが露骨に政治的な機関であることをさらけ出している、“いわゆる”裁判所」だと激しく非難した。そして、「われわれはその権限濫用を暴き、これに立ち向かっている」と主張した。
米国外交の最高責任者はICC最高幹部の家族まで脅し、「われわれは、この党派的な捜査の責任者とその家族を特定したい」と言い放った。
その後、同年9月、米国務省は同裁判所のファトゥ・ベンスーダ主任検察官と同僚らに制裁を科した。
BREAKING: In shocking attack on #ICC @secpompeo threatens collective punishment against named staff of the court and their FAMILIES for court's ongoing investigation into #Afghanistan crimes that implicate US https://t.co/OsCTrC5YJs
— Sarah Leah Whitson (@sarahleah1) March 17, 2020
(法律家でアクティビストのセイラ・リア・ウィットソン氏の投稿の翻訳:「衝撃的な国際刑事裁判所(ICC)への攻撃だ。ポンペオ米国務長官は、米国の関与が疑われるアフガニスタンでの犯罪についてICCが進めている捜査をめぐり、名指しした裁判所職員とその家族に対する集団的制裁を課すと脅している」)
2021年初頭にバイデン政権が発足すると、米国によるこれらのICC制裁は解除された。しかしワシントンは、その後も同裁判所への攻撃と妨害を続けた。
米国の国営メディア「ボイス・オブ・アメリカ」はブリンケンの発言を引用し、ワシントンは引き続き「アフガニスタンおよびパレスチナ情勢に関するICCの行動に強く反対」し、米国やイスラエルのような「非締約国の人員に対して管轄権を行使しようとする」ICCの試みに異議を唱えると強調した。
つまりバイデン政権は、米国とNATOがアフガニスタンで犯した戦争犯罪、およびイスラエルがパレスチナ被占領地で犯した戦争犯罪を捜査しようとするICCの試みに強く反対したのである。
しかし、ICCがプーチンを追及するようになった今、ワシントンの政治階級は歓喜している。
一方、国防総省の軍指導部は、より慎重である。
ICCがプーチンに対する逮捕状を発付するわずか1週間前の3月初旬、『ニューヨーク・タイムズ』は次のように報じた。「国防総省は、ウクライナでのロシアによる残虐行為に関する証拠を米国が国際刑事裁判所と共有するのを阻止している、と当局者らは述べた。軍指導部は、それが米国人の訴追に道を開きかねない先例となることを懸念している」
Breaking News: The Pentagon is blocking the U.S. from sharing evidence on Russian atrocities in Ukraine with the International Criminal Court, officials said. Military leaders fear setting a precedent that might pave the way for it to prosecute Americans. https://t.co/xnHCjkkZnK
— The New York Times (@nytimes) March 8, 2023
(ニューヨーク・タイムズの投稿の翻訳:「【速報】米国防総省が、ウクライナでロシアが行った残虐行為に関する証拠を米国が国際刑事裁判所(ICC)と共有することを阻んでいると、当局者らが明らかにした。米軍首脳部は、それによって将来、米国人がICCに訴追される道を開くような前例が作られることを懸念している」)
国際刑事裁判所には21年の歴史しかないが、グローバル・サウス、特にアフリカに対する著しい偏向を明確に示してきた。
『ロサンゼルス・タイムズ』は2016年、その一方的な姿勢を明確に示す記事を掲載した。「地球上で最も重大な犯罪を理由に同裁判所で裁かれたのはアフリカ人だけである」
Only Africans have been tried at the court for the worst crimes on Earth https://t.co/lxy2AEejbX
— Los Angeles Times (@latimes) October 24, 2016
同年、カナダの国営メディアCBCは、「国際刑事裁判所、人種差別との非難を受けアフリカ諸国の大量脱退に直面」と報じた。
CBCは、「ICCが現在捜査している10件のうち9件がアフリカに関するもの」であることを認めた。
ブルンジ、ガンビア、南アフリカはICCを人種差別的な機関だと非難し、脱退すると表明した。
ガンビアの情報相は、ICCは「実のところ、有色人種、特にアフリカ人を訴追し、辱めるための国際白人裁判所(International Caucasian Court)である」と述べた。
2016年、ガンビアは実際に同裁判所から脱退した。
南アフリカも脱退したが、のちに同国の高等裁判所が脱退を無効にした。
2017年、アフリカ連合は加盟国にICCからの脱退を呼びかけた。
それ以来、アフリカの知識人はICCを新植民地主義的な機関だとして継続的に非難してきた。
How colonialism's legacy continues to plague the International Criminal Court https://t.co/wuV2K1tzTG
— The Conversation Africa (@TC_Africa) July 16, 2020
(投稿されている記事の題の翻訳:「植民地主義の遺産を今なお引きずる国際刑事裁判所」)
ガンビア出身のICC検察官ファトゥ・ベンスーダは、米国とNATOがアフガニスタンで犯した戦争犯罪、およびイスラエルがパレスチナ被占領地で犯した戦争犯罪について捜査を開始し、同裁判所の評判を変えようとしたように見えた。
トランプ政権は制裁と脅迫で応酬した。イスラエルの極右首相ベンヤミン・ネタニヤフは、ICCを「反ユダヤ主義」だと根拠なく非難することで応じた。
しかしベンスーダの取り組みは、いかに限定的なものであったにせよ、2021年に彼女の9年間の任期が終了すると頓挫した。
後任には、英国人弁護士で現ICC検察官のカリム・アハマド・カーンが就いた。
カーンは、英国保守党の元国会議員で右派政治家のイムラン・アハマド・カーンの兄である(イムランは小児性犯罪で有罪判決を受けている)。
カリム・カーンはICCを引き継ぐとほぼ直ちに、米国とNATOがアフガニスタンで犯した戦争犯罪、およびイスラエルがパレスチナ被占領地で犯した戦争犯罪についての捜査を打ち切った。
ロイター通信の記事によると、アフガニスタンの人権活動家ホリア・モサディクは、カーンの決定について、「アフガニスタン政府軍、米軍、NATO軍による犯罪の何千人もの被害者に対する侮辱」であると言って批判した。
This story should be a huge scandal:
— Ben Norton (@BenjaminNorton) October 6, 2021
The new International Criminal Court prosecutor, @KarimKhanQC, quietly dropped the investigation into US war crimes committed in Afghanistan, supposedly "due to lack of resources"
More impunity for US war criminalshttps://t.co/KFXR7RUDOv
(ベン・ノートンの投稿の翻訳:「これは大スキャンダルになるべき話だ。国際刑事裁判所(ICC)の新たな主任検察官、カリム・カーン(@KarimKhanQC)は、アフガニスタンで行われた米国の戦争犯罪に対する捜査を、「捜査に充てる人員や資金が不足している」という名目で、ひっそりと打ち切った。米国の戦争犯罪者は、またしても処罰を免れることになった」)
カーンは2021年、ICCは資源不足に苦しんでいるため、代わりに「同裁判所の管轄権に属する犯罪の規模と性質」に重点を置くと主張した。
しかし、正式な加盟国ではないウクライナで行われたとされる残虐行為をめぐり、加盟国ではないロシアの大統領に逮捕状を発付したことは、「同裁判所の管轄権に属する犯罪」に重点を置くというカーンの表明した方針と明らかに矛盾している。
イスラエルのメディアは、ICC加盟国ではないイスラエルが、カーンを主任検察官に選出するよう同裁判所の締約国に圧力をかけるため「舞台裏で懸命に働きかけた」ことを明らかにした。
It keeps getting better: Now the report says Israel “worked hard behind the scenes” to get #KarimKhan elected to #ICC pic.twitter.com/rdSF3vaK59
— Noa Landau נעה לנדאו (@noa_landau) February 12, 2021
(イスラエルのジャーナリスト、ノア・ランダウ氏の投稿の翻訳:
「イスラエルの公共放送によると、イスラエルは国際刑事裁判所(ICC)の加盟国に働きかけ、カリム・カーンを主任検察官に選出させた。」
「次から次へと驚くべき話が出てくる。今度は、その報道によると、イスラエルはカリム・カーンを国際刑事裁判所(ICC)の主任検察官に選出させるため、『水面下で懸命に働きかけた』という。」)
2022年、『タイムズ・オブ・イスラエル』はカーンを称賛し、「新たなICC検察官は今日まで、イスラエル・パレスチナに関して公の声明を一度も発表せず、公の行動も一切とっていない」と書いた。
さらに同紙は興奮気味に、「多くのイスラエル当局者は、ベンスーダが9年の任期を超えて在職し続けていたなら、すでに行動を起こし、おそらく逮捕状さえ発付していただろうと考えている」と付け加えた。
ワシントンの国際刑事裁判所に対する敵対的姿勢は、同裁判所が2002年に正式に発足する以前にまで遡る。
任期満了のわずか3週間前にあたる2000年の最終日、ビル・クリントン米大統領はICCの基礎となるローマ規程に署名した。しかし、後継のジョージ・W・ブッシュ大統領はのちに同条約への署名を撤回した。
その後、ブッシュ政権は新設されたICCに対する政治戦争を展開した。
ブッシュ政権の国務省を率いた人物の一人である筋金入りのネオコン、ジョン・ボルトンは、米国のICC離脱を、自身の「公職人生で最も幸福な瞬間」と呼んだ。(ボルトンは、化学兵器禁止機関のホセ・ブスタニ事務局長の家族に対しても、「われわれは、あなたの子どもたちがどこに住んでいるか知っている」と脅迫した。)
親西側的な偏向で悪名高い、億万長者の寡頭富豪から資金提供を受けるロビー団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」でさえ、2002年7月、「普遍的正義の原則は依然としてワシントンによる深刻な脅威にさらされている」と警告した。しかもこれは、米国政府が悪名高い「ハーグ侵攻法」を成立させる前のことだった。
ブッシュに続き、オバマ、トランプ、バイデン各大統領もローマ規程への再署名を拒否してきた。したがって、米国はICCの加盟国ではない。
トランプがボルトンを国家安全保障担当大統領補佐官に任命すると、このネオコン強硬派は2018年、こう明言した。「われわれはICCに一切協力しない。ICCには加盟しない。ICCが自然消滅するに任せる。結局のところ、実質的に、ICCはわれわれにとってすでに死んでいる」
ボルトンはICCの裁判官や検察官を逮捕するとさえ脅し、こう宣言した。「われわれはICCの裁判官や検察官の米国入国を禁止し、米国の金融システム内にある彼らの資金に制裁を科し、米国の刑事司法制度で彼らを訴追する。米国人に対するICCの捜査に協力するいかなる企業または国家に対しても、同様の措置をとる」
US threatens to arrest ICC judges if they pursue Americans for Afghan war crimes https://t.co/ljCNvPgjWV pic.twitter.com/k7Dc0Q4Ldb
— FRANCE 24 (@FRANCE24) September 10, 2018
(フランス24の投稿の翻訳:「 米国、アフガニスタンでの戦争犯罪をめぐり米国人を訴追すればICC判事を逮捕すると脅迫」)
ICC加盟国はわずか123カ国である。(国連は世界に193カ国があると認めているため、ICC締約国は3分の2未満であり、それらの国々の人口を合わせても世界人口の半分に満たない。)
締約国ではない主要国には、米国、イスラエル、ウクライナ、ロシア、中国、インド、パキスタン、インドネシア、エチオピア、キューバ、ベトナム、トルコ、サウジアラビア、カタールがある。
| 国際刑事裁判所(ICC)を設立したローマ規程の署名国 |
一般に混同されているが、ICCは国連の機関ではなく、国連の正式な司法機関である国際司法裁判所(ICJ)とは別の独立した裁判所である。
ICCが2002年に設立されたのに対し、ICJは1945年に発足した。両者がともにオランダのハーグに置かれていることが、混同にさらに拍車をかけている。
ICJが国家間の紛争を裁くのに対し、ICCは個人を対象とする。
しかし、国連の構造に根本的な問題があるため、ICJの能力は非常に限定されてきた。安全保障理事会の常任理事国が拒否権を行使し、同裁判所の判決の履行を阻止できるのである。
米国はまさにこれを行い、ICJを事実上無力化してきた。
1984年、ニカラグアは、米国によるコントラ支援をめぐり、米国をハーグの法廷に提訴した。コントラとは、同国の革命的なサンディニスタ政権を暴力によって打倒しようと、民間人に対するテロを組織的に行った極右の暗殺部隊である。
「ニカラグア対アメリカ合衆国」事件で、ICJは、コントラのテロリストを支援し、ニカラグアの港湾に機雷を敷設したことにより、ワシントンが国際法に違反したとの判断を下した。
国際司法裁判所(ICJ)は、米国に対しニカラグアへの賠償金の支払いを命じた。しかし、ワシントンはこれを拒否し、判決が履行されるのを阻止するために国連安全保障理事会で拒否権を行使した。
少し時間が経ちましたが、6月14日に、ジャーナリスト望月衣塑子さんの「オッカ君チャネル」に呼んでいただいたときの映像を紹介します。かなり評判が良かったようで、有難いことです。
乗松聡子さんに聞く!!カナダから見た米中日関係/高市政権を周辺国はどう見るか/ウクライナと代理戦争の正体/誹謗中傷動画とサナエトークン