このサイトでもよく紹介しているアンドリュー・ナポリターノ判事のYouTubeチャンネルに、ロシアを訪問したばかりのナポリターノ判事がセルゲイ・ラブロフ外相にインタビューした動画が、2本に分けてアップされました。これは、ロシア生まれの米国人政治学者ドミートリ・サイムズ氏が司会・制作にかかわる、ロシア第一チャンネルの番組「ボリシャーヤ・イグラー」(英語名 The Great Game)によるラブロフ外相へのインタビューです。ナポリターノ判事はサイムズ氏とともに聞き手を務めています。インタビューは9月8日にモスクワで行われ、ナポリターノ判事のYouTubeチャンネルには9月13日にアップされました。AI訳に乗松聡子が手を入れました。太字は乗松による強調です。訳中のハイパーリンクも乗松が参考のために付したものです。
西側メディアではほとんど伝えられないロシア側の見解やウクライナ戦争の現状認識、今後の展望が明確に語られています。随所に表れているのは、ロシアへの挑発を続け、和平を阻んでいる英国、フランス、ドイツなどの欧州諸国に対する深い失望です。なかでも、メルツ首相の下で再び軍事大国化しようとし、ナチズムを想起させる方向へ進むドイツに強い懸念を示しています。第二次世界大戦で2700万人もの犠牲を払い、ナチス・ドイツを打倒したロシアにとって、それは当然の懸念ともいえるでしょう。
その一方で、米国が戦争当事国であるという矛盾を抱えながらも、ロシアとの和平を目指すトランプ政権との交渉を、ロシア側がまだ諦めていない様子がうかがえる点も興味深いです。米国独立戦争の時代にまでさかのぼり、ロシアと米国が協力してきた歴史を語るくだりからは、2025年8月のアンカレッジ会談で、妥協してでも米国の提案に合意したロシア側がいかに大きな期待を寄せていたか、そして、その後その期待が裏切られたことへの失望がいかに深かったかも垣間見えます。
ロシアの特別軍事作戦が始まって以来、西側諸国とそのメディアは「ロシア側の言い分を一切聞かない」と決めこみ、西側の一般市民はロシアの情報にアクセスすることさえ非常に難しくなりました。そんな中ロシアは、米国のインフルエンサーや、米国の主要メディアから排除されたジャーナリストたちに対して発信し、少しでも西側にその立場や声が届くような努力もしています。このインタビューはそのような努力の一環と見ていいと思います。私にはとても勉強になる内容でした。
以下、動画二つを埋め込み、日本語訳をパート1,2通して紹介します。@PeacePhilosophy
ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相へのインタビュー パート1
ドミートリ・サイムズ:
大臣、この度は「ザ・グレート・ゲーム」にご参加いただき、誠にありがとうございます。お時間を割いていただき、感謝申し上げます。ここで、私の同僚であるアンドリュー・ナポリターノ判事をご紹介いたします。彼は著名なアメリカのテレビ司会者であり、「ザ・グレート・ゲーム」にも定期的に出演されています。
セルゲイ・ラブロフ外相:
ご招待いただきありがとうございます。ナポリターノ判事、そして皆様とご一緒できて大変光栄です。ありがとうございました。
アンドリュー・ナポリターノ判事:
大臣、どうもありがとうございます。本日、このレセプション会場にお招きいただき、大変光栄に存じます。また、お話する機会をいただき、感謝申し上げます。先日、トランプ大統領の特使を務めるウィトコフ氏とクシュナー氏がモスクワを訪問し、ハイレベル協議を行いました。この重要な外交訪問において、両氏はロシア大統領と公式会談を行い、二国間の主要な問題について協議しました。この訪問の結果について、何かご意見はございますか?
セルゲイ・ラブロフ外相:
これらの交渉の始まりのかなり大きな部分がテレビで放送されました。大統領の言葉、ウィトコフ氏とクシュナー氏の返答。その後、この会話に参加した大統領補佐官のユーリー・ウシャコフ氏が詳細なコメントを提供しました。そして、我々の外交の伝統では、国民と共有することを決定した内容に限定しています。私は、彼らがモスクワに何を持ち込み、ウィトコフ氏とクシュナー氏がキエフに何を持ち帰ったのかについて、今まさに憶測を始めている人たちのようになりたくありません。ヴェルホヴナ・ラーダ(ウクライナ議会)のある女性議員は、彼らが持ち込んだものはウクライナがすでに拒否したものよりもはるかに悪いとすでに述べており、憶測が飛び交っています。
ですから、アメリカ側も今後の外交的措置については何も述べていません。しかし、フランス側はエリゼ宮殿(フランス政府)から、我々がそこにいたことをすでに表明しています。アメリカ側は、国家院(ロシアの下院)選挙後には、米国も参加する直接交渉が必ず再開されると述べています。私はこの件すべてをエリゼ宮殿の良心に委ねます。特に、エリゼ宮殿は電話やその他の会話の内容に関して、必ずしも倫理的とは言えない行動で何度も悪名高いからです。
しかし、議論された内容の本質は、そしてこれはトランプ大統領がホワイトハウスに戻ってすぐにウクライナ問題に関して示した立場にかかっていると断言できます。具体的には、まず第一に、ウクライナを北大西洋条約機構に引き込もうとすることなど忘れるべきだと述べました。プーチン大統領がこの問題はとっくに解決済みであり、かき立てる必要はないと明言しました。そして、米国の立場の第二の要素は、(ロシアが優勢である)戦場の現実を認識することです。さらに、これは領土の問題ではないことを強調しておきたいと思います。
ロシアはすでに領土を奪取しているから今の時点で停戦すべきと言う人がいますが、これは領土の問題ではないのです。現実について語る時、私たちは2014年2月のクーデター直後に「非人間」「怪物」「テロリスト」と呼ばれた人々(ドンバスのロシア系の人々のこと)について話しているのです。彼らは違法なクーデターの結果を拒否したため、国際人道法で断固として禁じられている軍隊、戦闘機、砲兵部隊使用の標的となり、人間として扱われませんでした。
そして、間もなく大統領に選出されたポロシェンコ氏は2014年に「我々の子供たち、真のウクライナ人の子供たちは清潔な学校や幼稚園に通うが、ドンバスに住む人々の子供たちは地下室で腐るだろう」と述べました。ヨーロッパ人は、領土をナチスに引き渡すためだけに1991年の国境を復活させようと呼びかけながら、どうやってこれらの(ドンバスのロシア系の)人々を政権の支配下に戻そうとしているのでしょうか?それとも、これらの人々が、自分たちの自由、文化、そしてロシア世界への帰属意識を守ろうとすることについて罰したいのでしょうか?
私はこの件について繰り返し述べてきましたが、トランプ大統領とそのチームが認識し、今後も認識し続けるであろう戦場の現実は、アラスカ(2025年8月15日アラスカ会談時)でも同様であったと申し上げたいと思います。これらの戦地の現実は、クリミア、ドネツク人民共和国、ルハンスク人民共和国、そしてもちろんザポリージャ州とヘルソン州で行われた住民投票で表明された人々の意見と結びついています。そして、アメリカ側が我々とのあらゆる接触、特にプーチン大統領との接触において、これらの現実を前提としているという事実は、当然ながら我々から肯定的な反応を引き出し、彼らとの対話を継続する意欲を生み出します。彼らはこれらの基本的な事柄を認識し、それらに関して協力しようとしており、私はこれが支持に値すると信じています。
アンドリュー・ナポリターノ判事:
あなたは今アラスカの会合について言及しました。多くの観察者は、ロシア当局者がアメリカと確固たる合意に達したと本気で考えていたと強く信じています。しかし、思いがけず、最終的には全くそうではなかったことが判明しました。そして、トランプ大統領が(イランとの)覚書に署名したにもかかわらず、わずか数時間後にそれを破ったことは周知の事実です。これは非常に重大な一連の出来事です。では、なぜロシアは米国を信頼しているのでしょうか?
セルゲイ・ラブロフ外相:
しかし、ここで明確にして誤解をなくしたいのです。私たちはこの状況について繰り返しコメントしてきました。アラスカについては私たちの提案ではありませんでした。これはウィトコフ氏がアンカレッジの数日前に持ち込んだ提案で、プーチン大統領はすでにこの状況についてコメントしています。要するに、彼の評価によれば、そこには複雑な側面があり、モスクワでこの提案が提示されたときには(プーチン大統領は)同意しなかったということです。しかし、アラスカに到着したとき、彼は「考えてみた。どんな合意にも何らかの妥協の要素が含まれていると私は信じている。私はこれを受け入れる責任を負い、私の国民は理解してくれるだろう」と言いました。
これは米国からの提案で、変更されていませんでした。もちろん、詳細はない提案でしたが、解決の原則はそこに示されていました。プーチン大統領はこれらの原則を一切変更せずに受け入れました。ですから、マルコ・ルビオ国務長官が6月のどこかで、「米国はウクライナを明確に支持しているため仲介者にはなれない」と言ったとき、私は少し驚きました。ところで、その後どうなったかというと、プーチン大統領とトランプ大統領がアンカレッジで行った記者会見について、記憶を呼び覚ますために詳しく読んでおくと、「素晴らしい成果」という言葉がそこで使われました。「理解」や「合意」といった言葉も使われました。トランプ大統領は、アンカレッジでの成果を「素晴らしい大きな前進」と表現しました。さらに、解決すべき問題はほぼ一つしか残っていないとも述べました。
つまり、我々は大きな突破口を開いたのです。これはほぼ原文通りです。今は全部は思い出せませんが。そしてもちろん、ヨーロッパの米国同盟国は恐怖に震えました。ご記憶の通り、彼らはワシントンに駆けつけ、アメリカ政権の指導部と交渉を始め、それから数ヶ月が経ちました。 6月にエヴィアンで開催されたG7サミットで、マクロン氏は誇らしげにこう述べた。「我々はアンカレッジを葬り去った。アメリカは今や我々と共にある。トランプも今や我々と共にある。我々は再び皆ロシアに反対している。」状況はこうだった。アンカレッジからエヴィアンでのG7サミット、そしてアンカラでのNATOサミットまでの間に何が起こったのか?我々は皆、報道機関が報じ、政治家が発表した出来事を追ってきた。しかし、ヨーロッパが、プーチン大統領に何の変更もなく受け入れられた提案を維持するのを阻止するという主要な任務を隠さなかったという事実は明らかだ。これはまさにヨーロッパが望んでいたことであることは明白だ。
ドミートリ・サイムズ:
このプロセスに関わっているアメリカの交渉担当者たちを詳しく見てみると、彼らはこの状況において真に効果的な和平仲介者であろうと真剣に願う、非常に真剣で献身的な人々の集まりであるように思えます。プーチン大統領自身もこのことについて語っています。私はジャレッド・クシュナー氏を少し知っています。彼とは非常に密接なかかわりをしたことがあります。特別検察官のミュラー氏は、かつてクシュナー氏と私それぞれに、私たちの関係や、ロシアの干渉が私たちを通じてどのように行われたとされるかについて尋問しました。私たちの証言は完全に一致しました。この経験から、クシュナー氏は道徳的に信頼できる人物だと確信していました。しかし、彼らをまともな人物だと考えているからこそ、彼らがアメリカ合衆国を代表していることを認識すべきだと私は思います。マルコ・ルビオ氏が述べたように、アメリカ合衆国はウクライナを支援しており、非常に積極的に支援しています。仲介者としてのアメリカ合衆国の役割と、ウクライナの支援者としてのアメリカ合衆国の役割は、どのように両立できるのでしょうか。
セルゲイ・ラブロフ外相:
まず、私はすでにトランプ政権に、西側諸国の中でも決定的な違いがあることを指摘しました。それは、現実を認識していること、そしてロシア連邦の正当な安全保障上の利益の観点から現実を認識していることです。彼らはウクライナのNATO加入など取引の一部とさえ考えていないことを念頭に置いています。また、何世紀にもわたってウクライナのこの地に住み、状況の力によってこの土地とともにウクライナ・ソビエト社会主義共和国の一部となった人々の望みの観点から現実を認識していることも認識しています。
そして、この認識は非常に価値があります。今話している人々が明白なことを受け入れているのであれば、明白なことを受け入れたくない他の西側諸国がどうなっているかは明らかです。私はドナルド・トランプ大統領の一期目のときにジャレッド・クシュナーと少し知り合いました。米国大統領がホワイトハウスで私を迎えてくれたとき、私たちは少し言葉を交わしました。彼はとても感じが良く、信頼できる人物という印象を受けました。私はトランプ大統領の2期目にスティーブ・ウィトコフ氏と話をしたことがあります。彼もまた、明らかに成果を上げたいと考えています。
同時に、イラン、パレスチナ、そして中東情勢全般において、それぞれ異なる分野で交渉にあたるウィトコフ氏とジャレッド・クシュナー氏が、ロシアとアメリカの関係全体を統括しているわけではないことは明らかです。そして、あなたが正しく指摘されたように、国務省は、大統領から受けた指示をロシア外務省が実行しているのと同様に、交渉プロセスからある程度距離を置いています。しかし、交渉に直接参加しているのは、我々の理解では、この2人の交渉担当者が政権内で占めている地位や立場を反映している人々です。
しかし、同時に、ロシアとアメリカの関係に関するあらゆる問題やその他の事柄を決定する人々は、交渉の成功に関心があるかどうかに関わらず、当然ながら自分たちの判断で行動します。しかし、例えば、議会と政権、アメリカ財務省、その他の関係機関は、バイデン氏、あるいはバイデン政権時代の議会が導入したすべての制裁を無条件で延長し続けています。トランプ大統領は、これはバイデン氏の戦争だ、私が大統領に選ばれていたらこんなことは起こらなかっただろう、と言います。しかし、ここで実際に何が起こっているのかを少し考慮する必要があります。
ジョー・バイデン氏によって、あるいはジョー・バイデン政権下で導入された制裁の延長に加えて、現政権はルクオイル(ロシアの民間石油会社)とロスネフチ(ロシアの国営石油会社)に対して新たな制裁をすでに課しています。そして、アメリカ財務長官のベッセント氏は、制裁強化の必要性についてかなり率直に語っています。一般的に、世界のエネルギー市場はアメリカの管理下に置かれる必要があると思っているようです。これらすべては、交渉中に伝えられている感情とはほとんど一致しません。しかし、それが現実なのでしょう。
そしていつものように、現実は一面的なものではありません。多面的なものです。 MAGA(Make America Great Again、アメリカを再び偉大に、アメリカ第一、アメリカの国益第一)というスローガンが今もなお存在し、ロシアとの関係にも表れているという事実。これは紛れもない事実です。アメリカ人は経済的利益を得ようとしています。確かに、経済的利益を得るためには、他の国々に対して行っているようなやり方でロシアを扱うことはできないと彼らは認識しています。そして、このことが最終的にどうなるかは、私にはまだ分かりません。
ドミートリ・サイムズ:
ヨーロッパ諸国について話すとき、モスクワでの交渉で得られた好調な勢いを彼らがどう活用するのかという疑問が生じます。ご存知のとおり、クシュナー氏とウィトコフ氏はキエフに到着するとすぐにゼレンスキー大統領と会談し、その後、イギリス、フランス、ドイツからのヨーロッパ代表が参加する会合が開かれました。
セルゲイ・ラブロフ外相:
私たちはそれを「茂みの中のピアノ」(偶然そこにあったように見せかけて、実はあらかじめ周到に準備されていたもの」という言い回し)と呼んでいます。
ドミートリ・サイムズ:
まさにその通りです。そして、彼らはきっとこのピアノを茂みから引きずり出して、ますます積極的かつ敵対的な役割を担わせようとしているのでしょう。ヨーロッパの立場をどう見ていますか?そして、アンカレッジの後と同じように、彼らが我々の努力をすべて台無しにしてしまうのではないかと恐れていませんか?
セルゲイ・ラブロフ外相:
アンカレッジは最初の事例ではありませんでした。ウクライナ情勢におけるヨーロッパの役割は、別途研究する価値があります。実際、過去500年間の地球の発展におけるヨーロッパの役割も同様です。この500年もの間、ヨーロッパ人は他者を犠牲にして生きてきました。これには奴隷制、植民地主義、搾取などが含まれます。しかし、2つの世界大戦がヨーロッパで、そしてヨーロッパ諸国の政策に関連して始まったことを忘れてはなりません。ナポレオン戦争も思い出すことができます。好戦的な国家の指導者が、ヒトラーと同じように、ヨーロッパ全体を自らの旗の下に集めてロシアを攻撃しました。そのため、ヨーロッパは世界史において地獄の産物と見なされることが多いのです。
ところで、ヨーロッパからの入植者がアメリカ大陸に航海したとき、私たちはこのことを人々に思い出させることはめったにありませんが、忘れてはなりません。エカチェリーナ2世がイギリスの植民地支配者に対する北米の入植者の支援において決定的な役割を果たした(米国独立戦争において英国への協力を拒んだ)という事実、そして私たちの関係のこうしたルーツを見れば、それを忘れてはならないことがわかるでしょう。
もちろん、冷戦の時期もありました。これらの関係は、大祖国戦争、第二次世界大戦の時期を含め、さまざまな形で発展しました。同盟については、最近のスピーチで繰り返し話していますが、最終的には非常に大きな役割を果たしました。多くの研究者が、(米国などによる)レンドリース援助と北極海輸送船団が、ソ連が戦争の最初の1年間を耐え抜く能力に非常に大きな貢献をしたと指摘しています。その後、一時停止、待機期間がありました。現在、一部の歴史家は、この待機期間を、同盟国であるイギリスとアメリカが、どちらが有利になるか、どちらが傾くかを理解しようとした試みだと解釈しています。
しかし、それでも、第二戦線の開設は、おそらく決定的な役割を果たさなかったかもしれませんが、それは戦友の絆でした。エルベ川での会合(第二次世界大戦末期の1945年4月25日、ドイツ東部を進撃していたソ連軍と米軍がエルベ川沿岸で合流した)の様子を実際のニュース映像で見るだけで、武器を手にナチズムと戦った人々のレベルでは、それが非常に誠実なものであったことが理解できる。そして、この精神、いわばエルベの精神は、アンカレッジの精神を不朽のものとするつもりはないが、アンカレッジではそれは精神ではなく、理解であった。
しかし、ヨーロッパに戻ると、ヨーロッパ人は建設的な役割を果たす機会が非常に多かった。彼らは今、「我々抜きでは交渉はしない」「我々は交渉のテーブルに着かなければならない」などと言っている。彼らは2013年12月、マイダンが沸騰し始めたときから交渉のテーブルに着いていた。ちなみに、ワシントンにいる一部のヨーロッパ人も、ビクトリア・ヌーランドが自ら過激派の訓練を監督し、彼らにクッキーかパイを配っていた。どちらだったかさえ覚えていない。
そして、フランス、ドイツ、ポーランドに代表されるヨーロッパ諸国が、ヤヌコビッチ大統領と権力掌握に必死な野党との間で交渉を開始しました。ご存知の通り、2014年2月21日、ヤヌコビッチ大統領と野党の間で合意が締結されました。この合意は実質的に欧州連合によって保証されており、早期選挙の実施に関するものでした。これはヤヌコビッチ大統領の譲歩でした。早期選挙までの期間、彼は行政権限のほとんどを放棄し、国は国民統一政府、つまり暫定的な国民統一政府によって統治されることになっていました。
翌朝、クーデターが発生しました。過激派は、ドイツ、フランス、ポーランド、そしてその他出席していた国々の署名をすべて無視し、行政庁舎を占拠し、西側諸国はそれをすべて受け入れました。そしてプーチン大統領が最近このことをよく思い出し、合意が署名の準備が整った時、オバマ大統領が彼に電話をかけ、「ウラジーミル、彼らは合意に達した。君がそこにあるものすべてを気に入っているわけではないことは理解している。ヤヌコビッチに署名を思いとどまらせないでくれ」と言った。するとプーチンは、「彼は独立した、普遍的に認められた国家元首だ。彼がその立場で署名するなら、私がこの件で彼を妨げる権利などあるだろうか?」と答えた。
しかし、この署名は2014年2月21日に行われた。そして2月22日にはクーデターがあった。そしてフランス、ドイツ、イギリスの代表は、もちろん2月22日の午後に政治家の声明を読んだ。ヤヌコビッチは逃亡したが、ハリコフに行った。彼はキエフにはいない。彼はハリコフで自分の党の大会に出席していた。人々はついに正しい選択をした、とフランス、ドイツ、イギリスは述べた。欧州諸国が保証した文書のインクが乾く前に、彼らには確かに2度目のチャンスが訪れた。1年後の2015年2月、ミンスクでのマラソン交渉の後、対応する合意が調整されたのだ。当時、メルケルとオランドの署名も、プーチンとポロシェンコの署名とともにそこにあった。
しかし数年前、メルケルは引退後、同じく引退したオランドとポロシェンコの3人は、告白した、いや、告白したというより、誇らしげに宣言した。「我々は何も履行するつもりはなかった。ウクライナに武器を大量に送り込むために、必死に時間を稼ぐ必要があったのだ」。これは欧州諸国にとってまた別のチャンスだ。3度目のチャンス、他にもエピソードはあったが、これらが最も印象的だった。
3度目のヨーロッパのチャンスは2022年4月で、イスタンブールのロシア交渉団は、プーチン大統領がアンカレッジで昨年提案したのと同様に、ウクライナ側の提案を受け入れ、本格的な和平条約を締結する準備が整った原則を受け入れた。これらすべてに仮署名がなされた。大統領は、この話題について対話相手と話し合う際にカメラの前でさえ、これを何度も証明してきた。しかしボリス・ジョンソンは最近(この合意を妨害したことを否定し)、「私は誰にも何も禁じていない。ただ、戦いたいならもちろん我々は君たちと共にいると言っただけだ。」と言った。それは嘘だ。我々は彼が何を言ったか知っている。そして今もヴェルホヴナ・ラダ(ウクライナ議会)の人民奉仕派を率いるダヴィド・アラハミアは、そうではないと認めた。
ボリス・ジョンソンは彼らに「何も署名するな」と言った。まあ、ヨーロッパにはおそらくトランプ政権と同じように賢明で責任ある立場を取る機会がその後もあっただろう。彼らが言うところの、この土地に住む人々やその人々の意見を含めた、現場の現状の真実を見るべきだ。いや、彼らはロシアが戦略的敗北を喫しなければならないと宣言するたびに、降りるのが非常に困難なフェンスを登り続けている。つい先日、カヤ・カラスか、あるいは欧州連合の他のコメンテーターが、我々は再び続ける必要があると述べた。もう少し付け加える必要がある。ウクライナは今や全員を打ち負かし、我々はウクライナの領土保全を侵害するものを決して認めない。この人たちにとってはそうだ。
そして、なぜこんなことになるのか?彼らが主張するように、ウクライナは「ヨーロッパの価値観を守っている」からだ。しかし、これは告白であり、自己暴露だ。もしそうなら、そして彼らはこれを1年以上も言い続けているのだが、彼らにとっての「ヨーロッパの価値観」とは、真のナチズム、人種差別、国籍に基づく差別、宗教に基づく差別の露骨な表れを意味するのだ。
国連憲章は、性別、人種、言語、宗教に関係なく、すべての人が人権を尊重する義務があると定めているが、(ウクライナで)ロシア語が禁止されている。イスラエルではロシア語は禁止されていない。アラビア語もペルシア語も禁止されていない。イランではヘブライ語は禁止されていない。イランではシナゴーグは機能しており、ユダヤ人コミュニティも存在する。しかし、ウクライナは、ただの言語ではなく、国連の公用語のひとつ(ロシア語)を禁止している唯一の国である。
そのため、ウクライナの商店ではロシア語を話す客へのサービスを拒否している。学校では、こうした言語の使用をすべて禁止している。ロシア語の授業はすべて禁止され、ウクライナ人が所有するものも含め、ロシア語のメディアもすべて禁止された。そして、正統派ウクライナ正教会も法的に禁止された。そして、これらは「ヨーロッパの価値観」らしい。
また、どうやら「ヨーロッパの価値観」には、テレビやソーシャルメディアで毎日大量に目にする映像も含まれているようです。それは、地域徴兵センター(TCC)が市民を家畜のように路上で捕まえ、10人の屈強な男たちが若い男を掴んで押し込み、引きずり出して軍服を着せ、機関銃を与え、最前線に放り出す様子です。つまり、これが「ヨーロッパの価値観」なのです。
ですから、ヨーロッパが「われわれも交渉に加わらなければならない」と言っても、こちらとしては、「あなた方にはこれまで何度も建設的な役割を果たす機会があったのに、そのすべてを台無しにしてきた」と言わざるを得ません。今後、ヨーロッパが再び何らかの役割を任され、信頼を取り戻したいのであれば、今度は何をしようとしているのかを、まず十分に説明しなければなりません。しかし、それは容易ではないでしょう。
(つづく)
ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相インタビュー パート2
アンドリュー・ナポリターノ判事:
外相、今日の西側に住む非常に多くの人々にとってさえ、そして真に中立的な観察者にとってはなおさら、ロシアが特別軍事作戦の過程でこの紛争に軍事的に勝利することは、完全に、そしてまったく明白になっています。そして率直に言って、それはかなり早いうちに起こることが明らかです。この現実を踏まえて、お尋ねします。今後の実際の計画はどのようなものでしょうか。この問題に対処するため、実際にはどのような戦略が立てられているのでしょうか。ロシアが軍事的勝利を収めた後、ウクライナはどうなるのでしょうか。
セルゲイ・ラブロフ外相:
これは先ほどの質問に対する私の回答の続きです。何世紀にもわたってこれらの土地で暮らしてきたロシア文化圏の人々を再び文字どおりの強制収容所に引き渡すため、1991年の国境への復帰を要求している、理性を失っているとしか言いようのない人々がいます。そうした少数の人々とは別に、時折、現実主義の兆候が見られる別の集団もあります。現在では、フィンランド大統領やイタリア首相を含む一部の人々が、緊急に停戦する必要があると語り始めていますが、この背後にも時間を稼ぎたいという願望があります。誰もがそのことを完全に理解していますし、ゼレンスキーもそれを隠そうともせず、「パトリオット・システム用のミサイルと、さらに多くの防空装備が緊急に必要だ。われわれの国家を救わなければならない」などと言っています。
しかし、彼らは皆、停止を呼びかけているものの、大多数は「いったん止めよう。しかし、我々はロシアの現在の支配地域について何も承認しない」と言っています。また一部は、「状況を直ちに凍結し、ウクライナの残存部分にワシントン条約(NATO条約のこと)第5条に相当する保証を与え、キエフの支配下に残る領域に国際安定化部隊を配備する必要がある」と言っています。われわれはすでにこれに回答しています。軍服を着た者や軍事施設はすべて、われわれにとって正当な攻撃目標となること、また、法的には加盟させないまま、実質的にNATO加盟を再現するようないかなる選択肢もあり得ないことを述べました。
しかし、最も重要なことは、1991年の国境しか認めず、今すぐ敵対行為を終わらせることを主張する人々も、キエフ政権を使ってわれわれに対して仕掛けられた戦争への対応として、われわれが特別軍事作戦を開始した後、ウクライナ南東部で実際に起きたことを承認する含みを持たせながら敵対行為の終結を主張する人々も、双方とも、現在キエフを支配している政権を存続させることを論じている点です。それは、私がすでに挙げたこの政権特有の性格、すなわちナチズムの台頭、攻撃的なロシア嫌悪、基本的人権の組織的な侵害が継続することを意味します。
具体的には、自らの言語を使う権利と、宗教を自由に選択するという基本的権利の侵害について述べています。軍事段階が何らかの形で終結した後も、こうした「欧州の価値観」がすべて固定化されることになります。彼らは選挙について話していました。すでに選挙実施を示唆していましたが、今では誰もが「いや、それは行うべきではない」と言っています。ちなみに、米国人から選挙への反対意見を聞くとすれば、そもそも奇妙なことです。米国では必ず2年ごとに選挙を行います。米国人もここでは現実主義を示していますが、欧州は、自分たちから見ても公然とロシア嫌いで、攻撃的かつ率直に言ってネオナチ的な政権を維持する決意であるように見えます。それが欧州の計画です。ロシア国民がそのような結果を受け入れる方法を見いだせるとは、私には到底思えません。
アンドリュー・ナポリターノ判事:
では、25年後に同じようなことが再び起こらないと、ロシア人が確信できるようにするにはどうすればよいのでしょうか。西ウクライナの領域に住む人々がNATOを招き入れることなく、NATOを退けられるようにするには、どうすればよいのでしょう。
セルゲイ・ラブロフ外相:
ロシアには緩衝地帯が必要だということも、多くの人が論じています。我々はウクライナそのものが緩衝地帯なのだと言っているんです。現代のウクライナがどのように形成されたのかについては、大統領も私も繰り返し述べてきました。ソ連指導部の意思によって西部地域がソ連に編入されましたが、そこには何世紀にもわたり、非常に強い民族主義思想を持つさまざまな欧州の民族の人々も暮らしていました。そこで、その急進主義を何とか弱めるため、いわばその急進主義を薄めようとして、ロシアの土地、具体的にはロシア古来の領土を、これらの新しい西部の土地に付け加えることにしたのです。それは、これらの地域を統合することによって当時直面していた政治的緊張を効果的に中和できるのではないかと考え、均衡を変化させるために意図的かつ計算の上で行われた試みでした。そして、この全体がウクライナ・ソビエト社会主義共和国と呼ばれました。
確かに、このウクライナ・ソビエト社会主義共和国はもはや現代世界には存在しませんが、それが常にかなり人工的な構築物であり、主権国家として存在したのは、最終的に地図から消えるまでのわずか数十年間にすぎなかったことを忘れてはなりません。それは一つの国家の枠内に存在し、その国家は、ソ連に暮らすすべての民族の権利を保障し、もちろん自国の安全も保障していました。
ハリネズミと震える雌ジカを組み合わせたような、この奇妙で不自然な結合体が最終的に(ウクライナとして)独立すると、根深い根本的な矛盾、具体的には西側志向の住民とウクライナ南東部に暮らすロシア語話者共同体との間の顕著な文明的分断が、ソ連崩壊の直後から驚くべき速さで表面化し、噴き出し始めました。それは、ほとんど必然的に、関係するすべての人々にとって現実の、そして持続的な悩みの種となる不安定な状況でした。
そして、これらの矛盾は、当初から欧州によって大きく増幅されました。私は2004年のマイダン(オレンジ革命)をよく覚えています。それは試みではなく、実際に起きたことです。米国人と欧州人は大統領選挙の第2回投票の結果(ヴィクトル・ヤヌコビッチが勝利)を承認せず、ウクライナ憲法裁判所に、憲法に規定されていないにもかかわらず第3回投票を実施せよとの判断を出させました。彼らは第3回投票を実施し、自分たちが必要とする人物(ヴィクトル・ユシチェンコのこと)を当選させました。その当時、投票前から欧州連合より公然と、「ウクライナ人はロシアと西側のどちらにつくのか決断する義務がある」との要求が出始めていました。ロシアとの関係を完全に断ち切ろうとしないすべての人々を欧州の価値観と対立させる、この硬直した二者択一の考え方は、残念ながら、非常に長い間、彼らの政治言説に深く根を下ろしてきました。
われわれはすでに、ここで多くのことを論じました。しかし、われわれがかつて世界政治における正当な存在として承認したウクライナは、今日では、もはや同じ資格を備えた形では存在していないという否定できない事実が残ります。それはわれわれが直視しなければならない、厳然たる客観的事実です。状況の現実は完全に変わりました。
ウクライナ・ソビエト社会主義共和国は存在しません。われわれが現在のウクライナの独立を承認したのは、1990年に採択された独立宣言に基づいています。それはウクライナ議会であるヴェルホヴナ・ラーダによって正式に採択されました。その歴史的宣言では、ウクライナ国家が非核、中立、そして厳格な非同盟国家であり、将来にわたってそうあり続けることが厳粛に宣言されました。現在、この三つの重大な誓約は、関係当事者によってことごとく無視されています。
ゼレンスキーは2022年初頭の時点で、「振り返れば、核兵器をすべて放棄したことは、われわれにとって重大で高くつく過ちだった」と公言しました。多くの政治家が、「厳密に言えばソ連時代に発展した知識と技術の両方が利用できるのだから、それを使ってこの地位に戻ってはどうか」と本気でほのめかし始めました。NATOについては、もはや話す気にさえなりません。彼らは皆、NATOと欧州連合への加盟が自分たちの安全を保障すると宣言しています。欧州連合は今や、NATOとまったく同様の軍事ブロックです。ここでは、われわれがウクライナを国際関係の独立した主体として承認することを可能にした、ウクライナ国家の宣言された基盤を示すすべての特徴が失われています。
ドミートリ・サイムズ:
欧州の言動を見ると、奇妙な印象を受けます。一方では、ロシアはあえてエスカレートしない、核兵器を使用しない、自分たちの領域への報復攻撃を恐れるだろうと言っています。他方では、ロシアが攻撃するかもしれない、おそらく攻撃するだろうと彼らが言う2029年から2030年に向けて、準備しており、欧州では非常に急速な軍事化が進んでいます。
起きているのは、数十億、数兆ドル規模の軍備計画への資金投入だけではありません。彼らは、ウクライナでいかなる和平合意が成立しようとも、それとはまったく無関係にこの軍事化を続けるという印象を与えています。この状況を見て、あなたに質問があります。彼らは本当にそれほどわれわれを恐れているのでしょうか。それとも、ロシアの脅威を口実にして軍産複合体を強化し、ロシアに対する大規模攻撃を準備しているのでしょうか。
セルゲイ・ラブロフ外相:
私は率直に言って、これらの軍国主義勢力は単に自分たちの狭い利益のために動いているのだと思います。考えてみてください。問題が蓄積し、先鋭化し、深刻化しているにもかかわらず、軍事上の必要へ向けて大規模な資金の再配分が行われています。これには、NATO諸国全体でGDPの5%に到達するという確約や、ウクライナに直ちにさらに900億ドルを提供し、その翌年にもさらに900億ドルを拠出すると約束しなければならないと、さまざまな政党が議会に執拗に要求していることが含まれます。権力者たちが定めている長期的な優先順位について、まったく疑問を抱かずにはいられません。軍産複合体は大喜びです。莫大な利益を上げています。
さらに、メルツ自身が公にこう述べています。「そうだ、国民の状況が著しく悪化していることは理解している。しかし、ウクライナのため、この欧州の価値観のために、われわれはそうする義務がある」。そして、ザクセン・アンハルト州で「ドイツのための選択肢」が圧勝した選挙結果に彼らが現在どのように反応しているのか、また、この政党がナチズムを復活させていると、どのように非難しようとしているのかを見てください。この政党が民族主義的であることには、もちろん疑いはありません。しかし、この政党は単に、すべての国との正常な対話を支持しています。
もちろん懸念されるのは北極圏の軍事化に向かう路線です。最近、米国、ノルウェー、他の誰かさん(英国と思われる)が、ロシア連邦との戦争を公然と想定したシナリオで北極圏において演習を行いました。その背後には何があるのでしょうか。彼らがロシアを攻撃しようとしているとは思いません。また、われわれが欧州への侵略を準備しているという話は、まったく馬鹿げています。一方では「ロシアは負けている。だから、あらゆる方法でウクライナを支援しなければならない。支援を増やせばウクライナは勝つ」と言います。他方では、彼らの目には負けているはずのこのロシアが、欧州への攻撃を準備していると言うのです。政治家の観点から見ても、このような妄想的なことを口にするのは、まったく真面目な態度ではありません。
しかし大統領は何度も繰り返しました。われわれは誰を攻撃することも計画していません。それは愚かで、馬鹿げています。国家レベルの思考が完全に欠如しています。しかし、このような話が、あなた方が攻撃を準備していることを意味するのであれば、断言しますが、その戦争はまったく異なるものとなり、非常に短期間で終わるでしょう。
しかし、別の可能性もあります。第一次世界大戦の引き金となった出来事、すなわちサラエボでのフランツ・フェルディナント大公暗殺を繰り返すことです。理論的には、彼らは確かに同様のことを仕組むことができます。欧州人は複雑な陰謀と大胆な冒険を好み、また彼らには狡猾さが備わっていることを考えれば、その可能性を排除することはできません。あるいは、1933年のドイツの国会議事堂放火事件のようなことです。
彼らが今度はライプツィヒでのドローン事件(2026年8月、ドイツ東部のライプツィヒ/ハレ空港で、爆発物を搭載したドローンが発見された事件)を(ロシアのせいと)でっち上げ、何一つ証拠を示すことなく世界的なヒステリーを引き起こしたように、同様のことが起こる可能性を私は排除しません。同じように、2022年4月、ブチャで突然、どこからともなく現れたかのように、道路沿いに整然と並べられた数十体の遺体が示された状況について、われわれが繰り返し提起してきた非常に具体的な質問に対して、いまだに明確で満足できる回答は得られていません。その地で実際に何が起きたのか、多くの疑問が未解決のまま残されています。
今日に至るまで、国連事務総長からも、人権高等弁務官からも、ちなみに米国人を含む西側の対話相手からも、次の質問への回答を得られません。「皆さんの能力を使って、偶然にも非常に都合よくその場所に居合わせたBBCの撮影班が映した遺体が、誰のものだったのか、その人々の名簿を入手できないのですか」。誰もわれわれに何の回答も示しません。また、われわれが聞かされているところでは、親族もあまりそれを望んでおらず、親族については何も聞こえてきません。数十人が大量に殺害されたとすれば、それは戦争犯罪です。その場合、親族による何らかの団体が名乗り出ないということはあり得ません。しかし、ここでは、言われているように完全な沈黙があります。したがって、私は挑発行為が行われた可能性を排除しません。
ドミートリ・サイムズ:
欧州諸国の政府を見ると、世論調査の結果とは大きく異なっているという印象を受けます。欧州の世論は、欧州のエリート、グローバリストのエリートよりも、はるかに平和志向です。そこで私には、そもそもこのようなグローバリストのエリートと合意に達することが可能なのか、という疑問が生じます。
あなたは最近、この紛争では、少なくとも現段階では、決定的な役割を果たすのは外交ではなく、われわれによる武力の行使、やむを得ない武力の行使であると述べました。ウクライナ側が、西側から供与されたか、西側の支援によって製造され、西側によって誘導されるミサイルやドローンでわれわれの領域を攻撃している一方、われわれはウクライナ領内だけを攻撃しているという状況を、今後どのように続けられるとお考えですか。この状況はいつまで続けられるのでしょうか。欧州を攻撃せずに済ませることはできるのでしょうか。
セルゲイ・ラブロフ外相:
あなたの番組に出演する人々も、戦闘行動と外交というこの問題について論評しています。両者を並行して同時に進められない理由はないと思います。結局のところ、歴史上、そのような事例は存在しました。
われわれは2022年4月にウクライナ側の提案を受け入れる用意を整え、その文書にイニシャル署名し、本格的な条約の作成が始まるのを待っていました。その後、われわれは欺かれました。(プーチン)大統領は、それ以降についてこう述べました。「マクロンがウラジーミルに電話をかけ、調印に向けた雰囲気を改善する善意の意思表示を何らかの形で行うため、軍を撤退させ、一定の休止期間を設けるよう求めた。」そして、この欺瞞が現実になった後(欧州から合意を妨害された後)、プーチン大統領はこう述べました。「われわれは今後も常に交渉に開かれている。しかし交渉期間中も、軍事的手段による課題の解決を停止しない」。この方針は現在も維持されています。
われわれは復活祭と戦勝記念日に、2日間または3日間の停戦を提案しました。米国側の要請により、今回(ウィットコフとクシュナーがキエフを訪問したとき)は3日間の停戦が発表されました。米国の交渉担当者がキエフに移動できるよう、われわれは武力行使を控えました。
しかし、ロシア領内奥深くの平和的な民間施設に対するこれらのテロ行為へのわれわれの反撃も、すでにかなり長い間続いていることを強調しなければなりません。そして率直に言えば、ウクライナ側にとって、それに耐えることははるかに、あえて言えば著しく苦痛なものとなっています。われわれは、こうした行動を報復なしに終わらせないと決意しており、われわれの反撃がもたらす結果は、ウクライナ側にもますます明らかになっています。彼らもそのことを話しています。
ちなみに、このことは、西側がこの紛争のまさに現段階で停戦を呼びかけるようになった際の、突然で明白な切迫感も説明しています。しかし、交渉を提案する人々が、われわれに空疎な最後通牒を突きつけようとしているのではなく、実際に根本的な問題に取り組むという誠実な意図を持っていると十分に確信できるのであれば、われわれは有意義な交渉への参加を決して拒否しません。米国の交渉担当者であるウィトコフとクシュナーは、第一に不公平で、第二に実行不可能な要求を突きつけるのではなく、問題そのものに取り組んでいます。欧州が行っているのは、まさにその反対です。
アンドリュー・ナポリターノ判事:
あなたは最近、警告を発しました。ドイツ当局が最近、新たな戦争の可能性について語り始めたと述べました。これは非常に憂慮すべき動きです。なぜそのように述べたのですか。
セルゲイ・ラブロフ外相:
何よりもまず、ドイツのフリードリヒ・メルツ首相が、演説のたびに、「ロシアは欧州にとって最大の脅威であり、われわれはこの脅威との戦争に備えなければならない」という確信を持っており、その確信は日ごとに強まっていると言う機会を、決して逃さないからです。そして、これは私が何度引用しても飽きることがありませんが、彼の考えでは、「ドイツは、再び欧州大陸最大の軍事大国にならなければならない」と言っています。それは、われわれの地域の将来に不可欠なものとして慎重に検討しなければならない変化です。
それはまさに、第一次世界大戦前夜、そして第二次世界大戦前夜に、ドイツが自国を最大の軍事大国と考えていたのと同じです。これはフロイド的な失言ではありません。彼らは本当にそう信じているのです。彼らはナチズムに忠実に仕え、戦争犯罪に加わった自分たちの祖先を称賛しています。今も彼らを称賛し、彼らが正しいことをしていたと信じています。
彼らがゼレンスキーをあれほど支援しているのも、理由のないことではありません。ゼレンスキーは今、オーストリア、ルーマニア、その他の欧州の墓から、ニュルンベルク裁判によって永久に絶対的な違法行為と認定された行為を理由に有罪とされたウクライナ人のナチ犯罪者の遺骨を掘り出し、ウクライナに再埋葬しています。キエフで最も神聖な場所であるキエフ・ペチェールシク大修道院に、彼は「英雄の城塞」を創設すると宣言しました。
バンデラをはじめ、自らを永遠に汚し、ウクライナ国民の一員であること自体まで深く汚したさまざまな犯罪者が、今では英雄として称賛されています。暗い遺産を残したそのような人物が今日称賛されているのは、実に憂慮すべき現実です。ゼレンスキーは、欧州から運ばれてくる遺骨を納めた棺の前にひざまずいています。欧州は喜んでそのような霊廟づくりを支援しています。この人物が何を行っているのか、それが欧州の価値観とどのような関係にあるのかを、彼に説明しようとしないからです。
したがって、私はその可能性を排除しません。メルツのような人物が、実際に祖先の「偉業」をもう一度繰り返そうとする可能性を、私は決して排除しません。これは真剣に考える必要のあることです。
アンドリュー・ナポリターノ判事:
ノルウェーに拿捕されたロシア船についてお尋ねします。私の理解では、その船が何らかの非難されるべき活動に関与していたという申立ては一切なく、ノルウェーの裁判所が、特定の船舶に対してではなくロシア全体に対するウクライナ企業ナフトガスの請求を認めることにしたというだけであり、国際法の重大な違反でした。ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官は、これを海賊行為と呼びました。これはまったく正確な表現だと思います。
われわれはこれにどう対処するのでしょうか。外相、もちろん船のことは残念ですし、乗組員のことはさらに心配です。しかし、私が懸念しているのは、西側による侵略、欧州によるロシアへの侵略が、ますます拡大していることです。そして、われわれが厳しく対応しないたびに、彼らの処罰されないという感覚が強まります。大統領は、必要であれば、われわれには彼らを倒す用意があると言いました。その用意はありますか。あるとすれば、どのように対応するのでしょうか。
セルゲイ・ラブロフ外相:
大統領がそう述べたことは間違いありません。これは単なる比喩表現ではなく、明確な立場です。
問題の船舶は、1920年のスヴァールバル条約を完全に順守してスヴァールバルで行われていた科学活動と観光活動以外のいかなるものとも、まったく関係がありません。この一件は、もちろん、第一にノルウェーの法の女神テミス、すなわち司法にとっての恥であり、同時にノルウェー国家にとっての恥でもあります。
ナフトガスが、まずウクライナの司法機関で、そして確かその他の機関でも、クリミアの住民投票の結果を誰も承認すべきではない、クリミアはウクライナ領であり、したがってロシアが行ったことはすべて違法であると主張したからです。「われわれはこれこれの額の資産、設備、資金、投資を失った。したがって、尊敬する国際社会の皆さん、どこであれ、どのような方法であれ、そこにあるものを何でも略奪し、クーデターへの反応として、またクリミア住民をテロリストと決めつけて武装勢力が差し向けられたことへの反応として、クリミアの人々が意思を表明した結果起きたことへの補償として、われわれに引き渡してほしい」というわけです。
これはノルウェーにとっての恥です。私はすでにそう述べましたし、ここであまり具体的な詳細に立ち入ることは本当に望みません。しかし、ノルウェー当局者と現在のノルウェーの政治家は、この状況全体が完全な恥であることを十分に理解しています。彼らはわれわれと頻繁に連絡を取っていますが、率直に言って、自分たちがどうすればよいのか分かっていません。
しかし、いわゆる「影の船団」の船舶を拿捕しようとする攻撃的な試みに始まるこの傾向は、非常に危険なものになっています。これは関係するすべての人々にとって非常に憂慮すべき動きです。彼らはそこで、どのように行動するのでしょうか。例えば、あるアフリカの国の国旗を掲げ、ロシアの利益のために石油を輸送しているタンカーを拿捕します。特定の国を名指しするのはやめておきましょう。それから彼らは、「この国旗は偽物だ」と言います。
そして、そのタンカーを拿捕するとすぐに、タンカーが掲げている国旗の国に駐在する彼らの大使が、その国の外務省または大統領府に行って、こう言うのです。「いいですか、われわれはあなた方への援助計画を持っている。今日、今すぐにこの船への旗国承認を取り消し、その国旗は偽物だと言わなければ、援助を打ち切る」。これが、西側がここで用いている手法のすべてです。しかし、私は詳細に立ち入ることができませんし、そうする権利もありません。
しかし、大統領は「それまでだ」と述べました。英国の挑発行為についてはどうなのか、という質問に答えた際にも、大統領は「それは軍事機密だ」と答えました。
アンドリュー・ナポリターノ判事:
11月に中国で3人の大統領による会談が実現する現実的な可能性があるという、ワシントンでの発言についてお尋ねします。もちろん、ロシア大統領、米国大統領、そして習近平氏のことです。これは米国の願望なのでしょうか。それとも、それが実現する現実的な可能性があるのでしょうか。
セルゲイ・ラブロフ外相:
これは米国の願望でも、中国の願望でも、ロシアの願望でもありません。言ってみれば、単なる政治的経験則です。世界の三大国の指導者、すなわち中国について言えば何よりも経済大国、ロシアと米国について言えば軍事大国の指導者が、同じ時に同じ場所に集まるのです。「AとBを結びつけて考える」ことのできない政治分析者には、何の価値もないでしょう。私には、それだけのことだと思われます。
そして、そのような機会が提供された場合、プーチン大統領が断らないことに、私は何の疑いも持っていません。これは深圳で行われます。中国側の主催者が日程を編成します。日程が許し、そのような申し出がなされるなら、その可能性を私は排除しません。大統領がそのような機会を断らないことは、ほぼ確実だとさえ思っています。
アンドリュー・ナポリターノ判事:
特別軍事作戦は、あとどれくらい続くと思いますか。
セルゲイ・ラブロフ外相:
大統領はつい最近、この質問に答えました。戦争は予測を立てるのにあまり適した事柄ではない、と述べました。しかし、われわれが前進しており、日々進撃していることは事実です。そして、多くのことは、ウクライナ・レジームのマスターたちがどれほど理性的な助言をするかによります。
これまでのところ、理性的な助言はまったく聞こえてきません。聞こえてくるのは、民間人を路上で強制的に捕らえ、待機している車に押し込み、前線へ、死地へと直接送り、さらに多くのウクライナ人をこの燃え盛る炉に投げ込めという、容赦のない要求、絶え間ない呼びかけ、執拗な要求だけです。
そして、ウクライナはほかにも非常に多くの破壊的行為を強いられています。かつて国民経済と呼ばれていたものが今や悲惨な、まさに壊滅的な状態に陥り、日々積み重なる終わりのない、悲劇的で深刻な圧力の重みで崩壊しつつある状況に耐えることまで強いられています。
ドミートリ・サイムズ:
外相、この対談に応じていただき、どうもありがとうございました。私たちにとって、これはいつも非常に興味深く、有益です。そしてもちろん、あなたは現在、「統一ロシア」の政党名簿の筆頭に立っています。選挙での幸運をお祈りします。もちろん、選挙に参加するすべての政党には、それぞれの幸運を得る権利があります。しかし、「統一ロシア」にとって、この過程におけるあなたの役割は特に有益なものになると思います。ありがとうございました。
セルゲイ・ラブロフ外相:
温かいお言葉をありがとうございます。
(翻訳以上)