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Tuesday, August 30, 2022

解放出版社新刊『私の沖縄問題』(2022年7月)Watashi no Okinawa mondai: a new publication by Kaiho Shuppansha

部落解放・人権研究所の機関誌、月刊『ヒューマンライツ』のお誘いで「私の沖縄問題」という寄稿シリーズの一環として1月号に「社会運動の性暴力に声をあげる」という記事を寄稿させていただきました。今回、このシリーズが本になったということでここに紹介させていただきます。

「沖縄問題」という表現には、沖縄に問題があるわけではないので、問題があると思いますが、この出版の趣旨は解放出版社HPによると「過去半世紀にわたって沖縄に押しつけられた問題は、本土の問題である。本土が変わらない限り問題は解決しない。沖縄に押しつけてきた問題とはなにか、戦争と差別に反対をし、平和と人権を守るため被害、加害の両側から考える。」ということのようです。筆者の顔ぶれ(下記)を見ると、琉球・沖縄にルーツを持つ人もたくさんいて、一読者としてもひとつひとつを大切に読んで受けとめたい文集であると感じます。@PeacePhilosophy 乗松聡子


 発刊にあたり 谷口真由美

「誰を危険にさらすのか」という残酷な問い 明 真南斗
言葉の危機 沖縄の最前線とわたしたち 斉加尚代
私の沖縄問題 日本の問題として 岸 政彦
沖縄の「外部」から来た記録者として 藤井誠二
沖縄の内部にある溝 仲村清司
沖縄と対峙するための流儀 打越正行
日本にとって沖縄とは何か 基地問題から民主主義、人権、自由の問題へ 元山仁士郎
学校の役割 珊瑚舎スコーレ夜間中学校「海プロジェクト」から考える 星野人史
「牢屋」が語る沖縄の過去・現在・未来 高橋年男
人権は生活の中に 沖縄で暮らして 早坂佳之
チィーム緑ヶ丘1207の取り組みについて 知念涼子
マイノリティの自分、重なる沖縄 徳森りま
「県民投票」というボールはどこにいったのか 金城 馨
琉球新報の「ファクトチェック報道」から思うこと 島 洋子
闘いの先頭に立ち続ける女性たち 糸数慶子
未来への課題 植民地からの脱却と、自決権の獲得 金城 實
「借金コンクリート」 知念 歩
いまなお続く戦後処理 普久原朝充
普天間の子どもたちの言葉 森 雅寛
子どもの移動に考える沖縄問題 平良斗星
本土出身者として沖縄に向き合う 阿部 藹
平和行進のない沖縄 慶田城七瀬
沖縄が日本の「異世界」になった日 大城尚子
在沖ヤマトンチューという身体性と沖縄のハンセン病問題 辻 央
とにかく反骨精神だけは失わずにいたいです 下地久美子
宜野湾市「男女平等及び多様性尊重条例案」の否決 砂川秀樹
ともに生きる世界をつくること 平野智之
沖縄戦に動員された朝鮮人 沖本富貴子
沖縄と子どもの貧困 金城隆一
さまざまな視点を知り得る場所 書店としての役割 森本浩平
安全な水を求めて理不尽さに声をあげる 尾川えりか
「JIWA-JIWA」の設立と活動に込めた思い 任意団体JIWA-JIWA
社会運動における性暴力に声をあげる 乗松聡子
私たちは何故「遺骨土砂問題」について考えるべきなのか? 西尾慧吾

おわりに 谷川雅彦

Thursday, August 11, 2022

Canada joins U.S. in militarizing the Pacific 米国の太平洋軍事化に参加するカナダ

 ここ一ヶ月ほど、身辺にコロナ旋風が吹き荒れて、まったくブログを更新できない日々が続いていました。7月は、尊敬するカナダの地元の仲間、ビクトリア大学名誉教授ジョン・プライス氏と共著で以下の3部作の記事を、カナダの媒体 Georgia Straight に出しました(同時にCanadian Dimension にも掲載)。リンクを記しておきます。

Here are three-part articles that I published with John Price, Professor Emeritus of the University of Victoria, on Georgia Straight and Canadian Dimension

John Price and Satoko Oka Norimatsu: Canada joins U.S. in militarizing the Pacific

ジョン・プライス&サトコ・オカ・ノリマツ「米国の太平洋軍事化に参加するカナダ」

Part 1: Canadian Armed Forces exacerbate Pacific tensions 太平洋の緊張を高めるカナダ軍

https://www.straight.com/news/john-price-and-satoko-oka-norimatsu-canada-joins-us-in-militarizing-pacific-first-of-a-three

Part 2: Canadian Armed Forces impinge on Okinawa 沖縄を侵害するカナダ軍

https://www.straight.com/news/john-price-and-satoko-oka-norimatsu-canadian-armed-forces-impinge-on-okinawa

Part 3: Pacific Peace Network challenges RIMPAC リムパックに挑む太平洋平和ネットワーク

https://www.straight.com/news/john-price-and-satoko-oka-norimatsu-pacific-peace-network-challenges-rimpac


塩川港で辺野古埋め立てのための土砂搬出を阻止しようとする人々
Protesters trying to stop the transportation of earth and gravel for the Henoko base construction, at Shiokawa Port. (Feb 3, 2020) 


Saturday, June 18, 2022

#FreeAssange ジャーナリストたちよ、見て見ぬふりをするな!ジュリアン・アサンジの身柄引き渡し問題は世界中のすべてのジャーナリストの死活問題だ。Caitlin Johnstone: Assange Is Doing His Most Important Work Yet (Japanese Translation)

多くのメディア、報道の自由や人権を守ろうとする団体が声を上げたにもかかわらず、多くの署名運動や街頭デモが行われたにもかかわらず、6月17日、英国で収監されている、「ウィキリークス」の創設者、ジュリアン・アサンジの米国への引き渡しを英国政府が承認してしまった。

ジュリアン・アサンジと同じオーストラリアのジャーナリストとしてのケイトリン・ジョンストンの怒りと使命感に満ちた声を日本語で届ける(Deepl訳を調整した訳)。ジャーナリストがジャーナリストとしての仕事をしただけで、米国にいるわけでもない、オーストラリア人のジャーナリストが、米国の法律に触れたと言いがかりをつけられ(それもスパイ扱い!)、米国に身柄引き渡しを要求され、それに抵抗もできない米国の属国、英国とオーストラリア。西側が標榜する自由や民主主義を根底から完全にくつがえす事件である。ジュリアン・アサンジを解放するための闘いはまた政治から司法に戻った。このようなことを許してしまったら、世の中のすべてのジャーナリストは権力、とくに最大の権力である米国の批判ができなくなってしまう。すでに御用ジャーナリストと化した多くのジャーナリストたちは自分たちとは関係ないとスルーするのかもしれないが、ジャーナリストとしての誇りをかけらでも持っている者たちはこのことを他人事とはできない。学者、評論家、教育者、ブロガー、YouTuber、すべての発信者にもあてはまる責任だ。(前文 乗松聡子 @PeacePhilosophy)



Assange Is Doing His Most Important Work Yet

アサンジは今こそ一番大事な仕事をしている

ケイトリン・ジョンストン

プリティ・パテル英内務大臣は、ウィキリークスの創設者ジュリアン・アサンジをスパイ活動法の下で裁くために米国に引き渡すことを許可した。この事件は、世界のどこにいても、米帝国に関する不都合な真実を報告する出版社やジャーナリストを起訴するための法的先例を作ろうとするものである。

アサンジの弁護団は、CIAが彼をスパイし、彼の暗殺を企てたという事実を含む論証で、この判決を上訴すると報じられている。

「控訴はおそらく(14日間の控訴)期限の数日前に行われ、控訴の内容には我々が以前に裁判所に持ち込むことができなかった新しい情報が含まれるでしょう。それは、ジュリアンの弁護士たちがどのようにスパイされていたかとか、CIA内部でジュリアンを誘拐し殺害する計画があったといった情報でしょう」と、アサンジの弟ガブリエル・シプトンは金曜日にロイター通信に語った。

そして、アサンジには本当に感謝しなければいけない。米国が身柄引き渡しさせようとするあらゆる手段に対してアサンジは抵抗した。2012年にエクアドル大使館で政治亡命を果たし、2019年に英国警察に無理やり引きずり出されたときから、ベルマーシュ刑務所での収監中に法廷で米国検察と歯向かい合ったときまで、その闘い私たち全員に恩恵をもたらした。

アサンジが身柄引き渡しに対して抵抗する闘いはなぜ私たちに恩恵をもたらしたのか?真実に対して帝国がしかける戦争が私たちの種全体に害を及ぼすから?それだけではない。スパイ活動法の下で公正な裁判を受けられないから?それだけでもない。屈服して服従することを拒否したアサンジが、この米国という帝国にあますところなく脚光を浴びせ、その本当の姿を私たちは目の当たりにすることができたからである。

ワシントン(米国政府)、ロンドン(英国政府)、キャンベラ(オーストラリア政府)は、真実を語ったジャーナリストを投獄するために共謀している。第1に、積極的に身柄引き渡しを試みた。第2に、その試みを忠実にお膳立てした。第3に、オーストラリア市民であるジャーナリストを監禁し、ジャーナリストがジャーナリストの仕事をしたという理由で迫害することを黙認しているのだ。アサンジは、屈服することを拒否し、敢えてこの者たちからの追及を受けることによって、一般大衆がほとんど知らされていない厳しい現実を暴露したのである。

ロンドンとキャンベラが、自国の主流メディアが引き渡しを非難し、西側諸国の主要な人権と報道の自由の監視団体がすべてアサンジを自由の身にするべきだと言っているのに、ワシントンの思惑に従順に従っているという事実は、これらが独立した主権国家ではなく、米国政府を中心とする単一の地球規模の帝国のメンバー国家であるということを示している。アサンジが立ち上がって彼らと戦ったからこそ、この現実にもっと注目が集まっている。

アサンジは、立ち上がってこの者ら(米英豪の政府)と戦うことによって、西側世界のいわゆる自由民主主義国が、報道の自由を支持し、人権を擁護しているという嘘をも暴露した。米国、英国、オーストラリアは、専制政治や独裁政治に反対すると言いながら、世界の報道の自由を支持すると言いながら、また、政府主導の偽情報の危険性を声高に叫びながら、真実を暴露したジャーナリストの身柄を引き渡そうと、結託しているのだ。

アサンジが踏ん張ってこれら権力と戦ったからこそ、ジョー・バイデンのような米国大統領共が「自由な報道は人民の敵だということは決してない。最高の状態で、あなた方は真実の守護者なのだ」などと言うときのうさん臭さがわかるのだ。

アサンジが踏ん張って戦ったからこそ、ボリス・ジョンソンのようなイギリスの首相共が、「メディアは自由に重要な事実を公にするべきだ 」などと言うとき、嘘っぱちだということがわかるのである。

アサンジが踏ん張って戦ったからこそ、アンソニー・アルバニージーのようなオーストラリアの首相共が 「我々は法律で報道の自由を守り、全てのオーストラリア人が声を上げられるようにする必要がある」とか、「ジャーナリストがすべき仕事をしただけで起訴したりしてはいけない 」などと言ったときに、聞いている方は自分たちが騙されて操作されていることに気づくことができるのだ。

アサンジが立ち上がって戦ったからこそ、アントニー・ブリンケンのような米国の国務長官共が「世界報道の自由の日に、米国は報道の自由、世界中のジャーナリストの安全、そしてオンラインとオフラインの情報へのアクセスを擁護し続ける。自由で独立した報道機関は、国民が情報にアクセスすることを保証する。知識は力である」とかいうようなおべんちゃらを売り込むことが大変になる。

アサンジが踏ん張って戦ったからこそ、プリティ・パテルのような英国内務大臣共が、「ジャーナリストの安全は我々の民主主義の基本である」 などと言うとき、単なる詐欺師だということがわかるようになる。

戦争犯罪を暴露した外国人ジャーナリストの身柄引き渡しをすることほど独裁的なことはない。アメリカ、イギリス、オーストラリアがこの目的のために結託していることは、これらの国が支配と統制にしか興味のないたったひとつの帝国の一員であり、人権に関するすべてのポーズが純粋な見せかけであることを物語っている。アサンジは権力の素顔を暴露し続けているのである。

アサンジが2010年にリーク情報を発表してから何年も経つとはいえ、アサンジは今こそ最も重要な仕事をしていると言えるであろう。「ウィキリークス」による情報は非常に重要だったし今もその重要性は変わらないが、「ジャーナリストが真実を伝えた」ことを理由に身柄引き渡しがされるという事実ほど、我々の前に帝国の堕落ぶりを突きつけるものはないであろう。

アサンジは、他にもっと簡単で楽な選択肢があったのかもしれないが、それでも足を踏ん張って「ノー」と言うことで、このように帝国の本性を暴くことができたのである。たとえそれが困難であっても。たとえそれが恐怖に満ちたことであったとしても。たとえそれが、監禁され、沈黙させられ、中傷され、憎まれ、敵対者に反撃できず、普通の生活ができず、子どもを抱くこともできず、顔に太陽の光を感じることさえできないことを意味したとしても。

彼の生き様そのものが、いま痛烈に必要とされているすべての領域に光を投げかけているのです。私たちは、この人に多大な借りがある。いま私たちにできることは、彼を解放するために全力を尽くすことではないか。

(原文中のリンクは省略しています。原文参照

Monday, May 30, 2022

必読!米帝国の心理作戦・情報操作について10項目のまとめ(ケイトリン・ジョンストン) Caitlin Johnstone: Ten Times Empire Managers Showed Us That They Want To Control Our Thoughts

ケイトリン・ジョンストンのジャーナルより翻訳です。

Ten Times Empire Managers Showed Us That They Want To Control Our Thoughts

帝国の運営者が我々の思考を操っている10の証拠


私たちの社会で最も見落とされ、過小評価されている点は、絶大な権力を持つ人々が、私たちが世界について考える思考を操作するために絶えず働いているという事実である。プロパガンダ、心理作戦、パーセプション・マネジメント、パブリック・リレーションズと呼ぼうが何と呼ぼうが、これは常に起こっている本当のことであり、私たち全員に対して行われている。

それらは結果として私たちの世界観全体を作り上げてしまう。

このことは、ニュースやトレンド、アイデアを検証する際に一番注目すべきことだが、ほとんど誰も語らない。これは、大規模な心理操作が成功しているからだ。プロパガンダは、それが起こっていることに気づかない場合にのみ機能する。

念のために言うが、私はここで根拠のない奇抜な陰謀論の話をしているのではない。陰謀の事実について話しているのです。私たちが権力者たちによってプロパガンダを植え付けられていることは、十分な知識を持った誠実な人が異議を唱えるようなことでもなく、長年にわたり広範囲に記述され、文書化されてきた事実である。

 

それ以上に、西洋と世界の他の多くの地域を支配する米国を中心とした帝国の支配者たちは、私たちにプロパガンダを植え付け、それを強化しようとしていることは隠そうともしていない。その者たちは行動で示してきているし、ときにはもろに言葉ではっきり言っていここで紹介する例はたくさんある中の数例だ。

1. モッキンバード作戦

まず、最もよく知られた例から見ていこう。1977年、カール・バーンスタインは「CIAとメディア」と題する記事を発表し、CIAがその「モッキンバード作戦」と呼ばれるプログラムの中で、米国の最も影響力のある報道機関に秘密裏に潜入し、自らスパイと見なす400人以上の記者を抱えていたことを報じた。

これは大きなスキャンダルとなった。当然のことだ。報道機関の仕事はそもそも、世界で起きていることを正直に報道することであり、スパイや戦争屋の思惑に合わせて国民の認識を操作することではない。

しかし、事態はそこから悪化するのみであった。

2. 情報工作員は、今や公然とメディアで活動している

今日、CIAの協力はまさに公然と行われており、人々はプロパガンダをあまりにも植え付けられ過ぎていて、これをスキャンダラスなことと認識することさえできない。ニューヨーク・タイムズのような絶大な影響力を持つ媒体は、CIAの偽情報を無批判に伝え、それをケーブルニュースに登場する評論家が事実として垂れ流している。ワシントン・ポストは、標準的なジャーナリズムのプロトコルに従って、米国の情報機関について報道する際に、ポスト紙の唯一の所有者[訳者注:ワシントン・ポストはアマゾンのジェフ・ベソスが買収した]がCIAの仕事を受注してきた事実を一貫して開示することを拒否してきた。マスメディアは現在、情報機関の出身者おおっぴらに雇用している。ジョン・ブレナン、ジェームズ・クラッパー、チャック・ローゼンバーグ、マイケル・ヘイデン、フランク・フィグリウッツィ、フラン・タウンゼント、スティーブン・ホール、サマンサ・ビノグラード、アンドリュー・マッケイブ、ジョシュ・キャンベル、アシャ・ランガッパ、フィル・マッド、ジェームズ・ガリアーノ、ジェレミー・バッシュ、スーザン・ヘネシー、ネッド・プライス、リック・フランコナ、マイケル・モレル、ジョン・マグロクリン、ジョン・サイファー、トーマス・ボッセルト、クリント・ワッツ、ジェイムズ・ベイカー、マイク・ベイカー、ダニエル・ホフマン、デイビッド・プライス、エブリン・ファーカス、マイク・ロジャーズ、マルコム・ナンスなど。NBCのケン・ディラニアンといった既知のCIAスパイ、アンダーソン・クーパーといったCIAインターン、タッカー・カールソンといったCIAに入ろうとしていた者も同様である。

モッキンバード作戦は、CIAがメディアに対して何かをすることだった。しかし今、私たちが目撃しているのは、CIAが公然とメディアとして行動している姿だ。CIAと報道機関の間にある意味のある分離は、いや、分離の見せかけさえも、取り払われたのである。 

3. リチャード・ステンゲルの外交問題評議会におけるプロパガンダについての発言

元米国務省職員でタイム誌編集者のリチャード・ステンゲルは、最高に影響力のあるシンクタンク「外交問題評議会」(CFR)が2018年に開催したイベントで、国内外のオーディエンスに対するプロパガンダの利用を全面的に支持すると表明した。

「基本的にどの国も、独自の物語ストーリーを作っている 」と、ステンゲルは語った。「国務省での私の昔の仕事は、冗談で"チーフ・プロパガンディスト"と言われるような仕事だった。私はプロパガンダに反対しているのではない。どの国でもやっていることだし、自国民に対してやらなければならないことなんです。そして、それが必ずしもひどいことだとは思いません。」

興味深いことに、その数年前、オバマ政権下の米国務省にいたとき、ステンゲルは実際に「プロパガンダ」という言葉の正確な意味について彼自身の定義を示したが、それは彼がCFRの聴衆に聞かせたほど無害なものではなかった。

「プロパガンダとは、聴衆に影響を与えるために、虚偽または誤解を招くとわかっている情報を意図的に広めることである」と、ステンゲルは2014年に書いている

この2つは、帝国の運営者[ステンゲルのこと]が同時に持つべき非常に注目すべき見方であり、特に現大統領の大統領移行チームを務めたばかりの人物はなおさらである。 

4. 米国当局は、プーチンに対する情報戦に勝つために、ロシアに関する偽情報を流していると報道機関に伝えている。

 先月NBCニュースは、バイデン政権がプーチンに対する情報戦を展開するために、ウクライナにおけるロシアの計画について「信頼度が低い」あるいは「確かな証拠よりも分析に基づく」、あるいは単なる虚偽の「情報」を急速に押し出しているという複数の匿名の米政府関係者についての報道流した

報告書によれば、この目的のためにアメリカ政府は、「差し迫った化学兵器攻撃」、「侵攻を正当化するためにドンバスで偽旗攻撃を組織するロシアの計画」、「プーチン大統領の側近が誤った情報を伝えている」、「中国からの武器供給を求めるロシア」など、意図的に偽または証拠の乏しい主張を流布してきたという。

つまり、彼らは嘘をついたのだ。彼らは崇高な理由のために嘘をついたと主張するかもしれないが、彼らは嘘をついたのだ。彼らは真実であると信じる理由がない情報を故意に流し、その嘘は西側世界で最も影響力のあるすべてのメディアによって増幅された。

マスメディアが「偽情報」の危険性について国民に警告する報道をし続けている間にこのようなことが起こっていたことは皮肉なことであったがそれに気づく人はほとんどいなかった。

5. シリコンバレーの代表者たちに、反対意見を阻止するために国民の思想を操作することが仕事だと伝える上院議員たち

2017年、Google、Facebook、Twitterの代表者が上院司法委員会に呼び出され、「情報の反乱を鎮める」必要があると言われ、自分たちのプラットフォームで「不和を煽ることを防ぐ」ことを表明する基本方針を考えるように指示された

「私達は皆、ソーシャルメディアの戦場で、すぐに暴力的な対立につながり、私達を簡単に"分断国家アメリカ"に変えてしまう情報の反乱を鎮めるために、今行動しなければなりません」。シンクタンカーで元 FBI 捜査官の クリント・ワッツ は、ハイテク大企業にそう伝え、さらに 「SNSのユーザーに降りかかる偽の情報砲撃を止めるには、偽を配信する媒体を沈黙させるしか方法がない - 銃を使わせなければ砲撃も終わる。」 と付け加えている。

独占的な億万長者企業が立法機関からの要求を拒否することなどできない。大規模な独占禁止法違反事件などを起こされることで企業側に不利となるからだ。このことは、2017年の公聴会でダイアン・ファインスタイン上院議員が、それらの企業がオンラインで許可されていない情報の拡散を抑えることができなければ、介入するぞと脅したことからも、明白である。

「あなたたちがこの問題をどうにかしないといけない。さもなければ我々が行う」と、ファインスタインはこれらのIT企業に対して言った

6. 国土安全保障省の "偽情報統制委員会"

 国土安全保障省の「情報操作委員会」(Disinformation Governance Board)は、批判者たちから「政府が運営する”真実省”」という決して不当とは言えないレッテルを貼られ、大いに議論を呼んだが、国民の反発を考慮して見直しを行うまで運営を「一時停止」することになった。その見直しは、よりによって腐敗した帝国沼地の怪物、マイケルチェルトフジェイミー・ゴレリックが率いることになる。

どんな政府機関も、国民のために情報と偽情報を選別する権限を自らに与えることなどできない。なぜなら政府機関は公平で全知全能の神ではなく、絶対的な現実を客観的に判断する者として国民に奉仕することを委ねることなど無理だからだ。政府は、まさにあらゆる権威主義政権がそうするように、また、何が真実かとは関係なく、自分たちの利益になるような方法で情報、誤報、偽情報を区別してしまうことは間違いない。

その見直しがどうなろうとも、現在の名称のままか、それとも今より注意深く偽装された他の言い方に変わるにせよ、この委員会の使命は継続するのであろう。帝国が情報をさらにもっと強く制御したい欲望が強すぎて、この機会をこのまま見逃してしまうはずなどないのである。

7. 2012年スミス・ムント近代化法

 2012年12月、米国議会は2013年NDAAの一部としてスミス・ムント法の改正を可決した。これによって、政府が米国市民にプロパガンダを植え付けることを防ぐために設けられていた制限がなくなったとの批判が出ていた。

この法改正は、ジャーナリストのマイケル・ヘイスティングスによるBuzzFeed Newsの記事で初めて取り上げられた。彼は翌年、重大な記事に取り組んでいる最中に、かなり謎めいた車の事故で死亡することになる。

国防総省の職員は匿名でヘイスティングスに、「これでアメリカ人を[プロパガンダから]守れなくなる」と語っている。「[政府から]情報を発信しようとする人たちに対する監視の目がなくなる。チェック機能がなくなるということだ。情報が正確なのか、部分的に正確なのか、それとも全くの嘘なのか、誰にもわからなくなる。」

ヘイスティングス氏の報告書は、ネット上で論争を巻き起こし、後に「2012年スミス・ムント近代化法」として知られることになるこの法律に対する彼の分析に同意する者もいれば、彼の懸念には根拠がないと言う者もいた。いずれにせよ、その後10年間に起こったすべてのことを考えると、当時のアメリカ人が国内プロパガンダの劇的なエスカレーションを心配したことは正しかったということになる。

8. レーガンの心理作戦


故ロバート・パリー氏は、レーガン政権が行った大規模な心理操作についてConsortium Newsに多くの記事書いたが、それはパリー氏が当時行ったイラン・コントラ事件に関する幅広い調査と直接関連している。

パリーは、レーガンとそのネオコンのチンピラたちが、ベトナム戦争に続くアメリカの介入主義に対する国民の戦争疲れと不信感を打ち消すことに執着し、政権がラテンアメリカで展開しようとしている堕落した計画への同意をさらに得ようとしていることを説明した。ホワイトハウスが公の場では「パブリック・ディプロマシー」、私的な場では「パーセプション・マネジメント」と呼ぶこの同意製造の目的の中心にいたのは、ウォルター・レイモンド・ジュニアという特に悪そうな名前のスパイであった。

パリーは「『パーセプション・マネジメント』の勝利」と題する論文で、次のように書いている。

レイモンドはイラン・コントラ事件についての宣誓証言で、このプロパガンダ構造の必要性をこう説明した。"我々は思想戦に効果的に対処するように構成されていなかった"。

この欠点の理由の一つは、連邦法が納税者の資金を国内宣伝や議会議員に圧力をかける草の根ロビー活動に使うことを禁じていたことである。もちろん、大統領とそのチームは公の場で主張するための膨大な資源を持っていたが、伝統と法律により、演説や証言、議員への一対一の説得に限られていた。

しかし、状況は一変する。1983年1月13日付のメモで、NSCのクラーク顧問は、この大義を推進するために、政府以外の資金が必要であることを予見していたのである。「民間資金を獲得するためのシナリオを練る」とクラーク顧問は書いている。(その5日後、レーガン大統領はメディア王ルパート・マードック氏を大統領執務室に迎え、プライベートな会談を行ったことが、レーガン図書館の記録に残っている(レーガン図書館には、ルパート・マードック氏に関する記録も残っている)。

政権幹部が裕福な支援者に接触するにつれ、国内のプロパガンダに対する境界線はすぐに越えられた。この作戦は海外の視聴者だけでなく、アメリカの世論、報道機関、ニカラグアのコントラへの資金提供に反対する議会民主党議員も標的にしていた。

9. カナダ軍の指導者たちが、コロナ規制を利用して、民間人に対する心理作戦のテクニックを試す機会として利用した。 

昨年、「オタワ・シチズン」紙は、カナダ軍がコロナの発生を口実に、パンデミック規制の遵守を保証するためと称して、自国の民間人に実際の軍事的心理作戦技術をテストしたことを報告した。

その一部を抜粋する。

  • 「カナダ軍の指導者たちは、パンデミックを、無防備な国民にプロパガンダ技術を試すまたとない機会と見ていた、と新しく発表されたカナダ軍の報告書は結論付けている。」
  • 「カナダ統合作戦司令部(CJOCとして知られている)によって考案された計画は、アフガニスタン戦争で採用された[と同様のプロパガンダ技術に頼っていた。この作戦は情報の「形成」と「利用」を要求した。CJOCは、コロナウイルスの大流行時にカナダ人による市民的不服従を阻止し、大流行に関する政府のメッセージを強化するために、この情報作戦計画が必要であると主張した。」
  • 「CJOCの計画とは関係ないが、カナダ軍の情報将校が監督する別の取り組みでは、オンタリオ州のSNSアカウントから情報を選び取った。平和的なブラック・ライブズ・マター(BLM)の集会やBLMの指導者についてのデータもまとめられている。」
  • 「これは本当に我々全員にとって学習の機会であり、情報操作を我々の(CAF-DND[カナダ軍およびカナダ国防省])ルーチンに取り込み始めるチャンスです "と少将は述べている。」
  • 「さらにもう一つの見直しは、カナダ軍広報部門とその活動を中心としたものであった。昨年、この支部は、軍の広報担当者がカナダ人の態度や行動を変えるためにプロパガンダを使用したり、一般のSNSアカウントから情報を収集・分析したりすることを認めるという、物議をかもす計画を開始した。」
  • 「この計画では、職員が従来の政府の国民とのコミュニケーション方法から、情報戦とカナダ人への影響力戦術を用いたより積極的な戦略へと移行することになる。」
つまり、帝国の管理者は国民に対して大規模な心理作戦を採用するだけでなく、それをテストし、そこから学んでいるのだ。

10. ウクライナの「独立系」メディアに資金提供する米国政府


 最後に、ウクライナに送られた悪名高い400億ドルの代理戦争パッケージには、"ロシアの偽情報やプロパガンダ物語に対抗し、ロシアの人権侵害に対する説明責任を促進し、活動家、ジャーナリスト、独立メディアを支援して表現の自由を守る" ために割り当てられた資金があるという事実もある。

つまり情報戦だ。アメリカ政府は、この戦争に対する国民の認識を操作するための情報戦に資金を提供し、それを活動家、ジャーナリズム、独立系メディアと称することによって、その情報操作を隠蔽しているのだ。

西側の主要な報道機関が、ウクライナから発信される最も突拍子もない話でさえ、一片の証拠もなく無批判に報じていることを考えると、この政府出資のプロパガンダも西側世界に広がることが予想される。

(翻訳以上。Deepl翻訳を調整したもの。アップ後修正する可能性有)

ケイトリン・ジョンストンのサイトより


関連投稿(今回の項目4,6に該当)

ケイトリン・ジョンストン:米国政府高官たちが、ロシアについて公衆に文字通り嘘をついていることを認める

「自由」を謳う米国の政府が「真実省」をつくり情報統制する日が来るとは! ー ケイトリン・ジョンストン:「ああ、事態はますます悪化する」

Friday, May 06, 2022

#FreeAssange ジュリアン・アサンジ氏の米国への引き渡しを拒否するよう、プリティ・パテル英国内務大臣に要請するための署名をお願いします#FreeAssange: Sign to urge UK Home Secretary Priti Patel to reject Julian Assange’s extradition to the United States!

 Reporter Without Borders「国境なき記者団」による、「ウィキリークス」創設者のジュリアン・アサンジ氏の米国への引き渡しを阻止するための署名を紹介する。アサンジ氏のパートナーのステラ氏がここで訴えるように、いまアサンジ氏の件は司法から政治の手に渡った。英国市民および世界の市民が声を上げれば変えられる可能性のある最後のチャンスである。アサンジ氏は、米国の戦争犯罪を暴くという、ジャーナリストであれば当然のことをしただけである。米国が自国の勝手な法律で外国人ジャーナリストを裁くことも拘束することも引き渡しを要求することもできないはずだ。オーストラリア人のアサンジ氏がどうして米国の法律で裁かれ、身柄引き渡しをされ最高175年もの刑に服さなければいけないのか。ジャーナリストであれば、いやジャーナリストでなくともあらゆる発信をする人間と無縁とはいえない前代未聞の事件である。その多くが「ウィキリークス」の文書を活用したであろう世界中の多くの報道機関、ジャーナリスト、出版業界、学界はいま彼に背を向けているのではないか。このような報道弾圧を米国に許してはならない。

声明文の和訳を以下に紹介する(Deepl 訳を調整したもの。アップ後修正する可能性があります。)。署名はこのページの右側でしてください。URLは

https://rsf.org/en/petition/freeassange-sign-urge-uk-home-secretary-priti-patel-reject-julian-assange%E2%80%99s-extradition


#FreeAssange ジュリアン・アサンジ氏の米国への引き渡しを拒否するよう、プリティ・パテル英国内務大臣に要請するための署名をお願いします

4月20日、ウェストミンスター治安裁判所が今回署名した命令で、ウィキリークスの発行人ジュリアン・アサンジ氏に対する10年以上にわたる訴訟は憂慮すべき次の段階に進んだことが確認された。英国の裁判所での2年以上に及ぶ引き渡し手続きを経て、アサンジ氏の運命は再び内務大臣--2019年に米国の引き渡し要求を許可するという政治的決断を下したまさにその官庁--の政治的決断に委ねられることになったのだ。

アサンジ氏の弁護団には、4週間の陳情期間が許されている。ということは、5月18日以降、プリティ・パテル内務大臣はいつでも引き渡し命令を承認することも拒否することもできるということだ。「国境なき記者団(RSF)」は、この重要な4週間の間に、内務大臣に引き渡し要請を拒否するよう求めるこの請願書に署名するよう、世界中の#FreeAssange(アサンジを自由に)支持者たちに呼びかける。

米国に引き渡された場合、アサンジ氏は、2010年にウィキリークスが数十万件の軍事・外交機密文書をリークし、戦争犯罪や人権侵害を暴露し、世界中で大規模な公益報道を行ったことに関連して、18の罪で最大175年の懲役刑を受ける可能性がある。RSFは、アサンジがジャーナリズムへのこの重要な貢献をしたことにより、ターゲットにされたと確信している。

アサンジ氏の身柄引き渡しと起訴は、世界中のジャーナリズムと報道の自由にとって危険な前例となる。彼は、諜報活動取締法の下で起訴された最初の出版人となるでしょう。同じ先例が、あらゆるジャーナリスト、出版社、流出した機密情報を扱うあらゆる情報源に適用される可能性があり、国際的に明確な抑制効果を生むことになる。

アサンジ氏に対する訴訟は米国政府によって提起されたが、英国政府もアサンジ氏に対する扱いにおいてジャーナリズムと報道の自由を守ることに失敗しており、ロンドンの警備の厳しいベルマーシュ刑務所に3年以上再拘束され、世界的にメディアの自由を促進し保護するという英国の表明とは全く対照的である。

一方、アサンジ氏は、特に2021年10月の高等法院の審議中にベルマーシュ刑務所で発症した軽い脳卒中を受けて、長期間の拘束で精神的・身体的健康が高い危険にさらされたままだ。彼の精神的健康に対する深刻なリスクは、たとえ米国政府が彼の治療に関する外交的保証を尊重したとしても、米国への引き渡しという条件下で著しく悪化することになるだろう。簡単に言えば、米国に引き渡された場合、アサンジ氏の生命は危険にさらされる。

アサンジ氏に対する訴訟が開始されてから10年以上が経過した今こそ、英国政府は、米国へのアサンジ氏の引き渡しを拒否し、これ以上遅滞なく#FreeAssangeのために行動することによって、ジャーナリズムと報道の自由を守るべき時である。

9万人以上の#FreeAssange支持者が、2020年以来、米国のアサンジ氏引き渡し要求に対し英国が応じないよう求める前の請願書に署名した。内務大臣が行動を起こすまで4週間しかない[訳者注:5月18日まで]、この数字を上回るように協力してください。

緊急の課題として、プリティ・パテル内務大臣に引き渡し要請を拒否し、#FreeAssangeを実現するよう[訳者注:アサンジ氏が自由になるよう]求めるこの請願書に5月18日までに、署名してください!

(翻訳 以上)

署名するには、このページに行って、右側に、サインフォームがあります。署名してください。


Saturday, April 30, 2022

「自由」を謳う米国の政府が「真実省」をつくり情報統制する日が来るとは! ー ケイトリン・ジョンストン:「ああ、事態はますます悪化する」Caitlin Johnston: Oh God It's Going To Get SO Much Worse (Japanese Translation)

米国政府によるあからさまな情報統制はもう制御不能となっているようだ。憲法修正第一条で「議会は、宗教の確立に関する法律、またはその自由な行使を禁止する法律、言論もしくは報道の自由、または人民が平和的に集会し、不満の解消を求めて政府に請願する権利を制限する法律を制定してはならない」と謳う誇り高き「自由の国」米国で、「真実」を政府が管理し、シリコンバレーの大手が、発言していい人といけない人を定め、帝国の論理に反対する人を次々と検閲する日が来るとは。ただただ絶句するしかないが、ケイトリン・ジョンストン氏の4月30日の鋭い指摘を日本語訳してお届けする(いつもながら翻訳ソフト「ディープル」の翻訳に少々手を加えたもの)。

「ああ、事態はますます悪化する」

Oh God It's Going To Get SO Much Worse


右派はここ数日、政敵[リベラル側]がアメリカでやっていることに反応して、オーウェルの『1984』を持ち出して騒いでいるが、今回ばかりはかなり正当な理由があるようだ。国土安全保障省は「偽情報統制委員会」を密かに設立し、この機関の計画については、すでに設立された後に一般市民に知らせた。

当然ながら、政府が「真実省」を作ったと批判されているこの偽情報統制委員会は、ロシアから発信される偽情報や、米国とメキシコの国境に関する誤解を招くメッセージと戦うために存在するとされている。しかし、この委員会が設立されたとき、ロシアという切り口に重点が置かれていたことは確かだろう。

ホワイトハウスのジェン・サキ報道官は、彼女が得意とする「ホワイトハウスについて私に質問するなんて、あなたって本当におかしな馬鹿ね」という態度で、この奇妙な新しい国土安全保障省の組織が具体的にどのような機能を果たすのか、その権限はどのようなものになるのかなどとの、危機感を表明する質問を退けた。

 「理事会の目的は、様々な地域社会で偽情報や誤報が全国を駆け巡るのを防ぐことにあるようです。」「そのような取り組みに誰が反対するかわかりません。」とサキは言った

「その取組に誰が反対するのか」という質問に対する答えは、もちろん 「両耳の間にある灰色の物質が機能している人なら誰でも」である[注:脳が機能している人、という意味]。政府機関は、国民のために情報と偽情報を選別する権限を自らに課すことはできない。なぜなら、政府機関は、絶対的な現実を客観的に判断する者として公衆に奉仕することを任せられるような、公平で全知全能の神ではないからである。政府機関は、絶対的な現実の客観的な裁定者として国民に奉仕することを任せられる、公平で全知全能の神ではないからだ。彼らは、何が真実かとは関係なく、自分たちの利益になるような方法で情報、誤報、偽情報を区別することになることは確実で、まさにどの権威主義的政権が行うことと同じだ。

自国の政府が何を偽情報とみなすかを決定する権限を持っていることよりも、ロシアの偽情報のほうが怖いとか思う人がマジにいるのだろうか?

この重要な点は、偽情報統制委員会の運営を任命された人物のまったく催眠術のようなばかばかしさのせいで、少し見失われてしまったようだ。フルブライト奨学金の一環としてウクライナ政府のコミュニケーション・アドバイザーとしてキエフで働いてきたニーナ・ヤンコヴィッチは、手間をかけて育てられた沼地の生き物であり、彼女の悪質な「ロシアアゲート」扇動は、それが何なのであれ、専門家やソーシャルメディアのユーザーから幅広く批判されている。

 この人の恥ずかしい漫画的キャラのせいで、最近、国土安全保障省にとんでもない「真実省」があることよりも、国土安全保障省の真実省がおかしなリベラルに運営されていることを論じる解説が多くなっている。

これは木を見て森を見ずだと私は思う。「偽情報統制委員会」が仮に、ビールを一緒に飲みたくなるようなまともな男によって運営されるのなら、よいとでも?特に、この部門のイデオロギー的傾向が選挙のたびに行ったり来たりし、誰が大統領になるかにかかわらず、常にアメリカ帝国のナラティブ支配のために行動することがわかっていても?私はそうは思わない。

目下の真の問題は、この新しい機関が、政府の検閲とシリコンバレーの検閲の間の狭まり続けるギャップを埋める役割を果たすことはほぼ間違いないという事実である。昨年、ホワイトハウスが、検閲に値するコロナ関連の誤報を流していると判断したアカウントについて、SNS各社に助言していたという呆れる事実が発覚したが、今回の国土安全保障省による情報操作委員会の設立は、よりはるかにショッキングで恐ろしい展開だ。

ウイルスについては、政府、メディア、シリコンバレーの機関が協力して誤報を検閲し、「公式発表」に公衆の支持を集めるようなことをやってもいいと人々は容認してしまった。支配的な権力体制はこれを受けて、戦争や他国の政府についても即同じことをやっていいと思ったようだ。このことについてもっと我々は考えたほうがいい。

マジにすごい速攻だった。ウイルスに関する大規模な情報統制キャンペーンについては、たくさんの人々が死んだパンデミックを収束させたかったから大衆は受け入れたが、そこから速攻で、ロシアとウクライナに関する大規模な情報統制キャンペーンに移行した。息つく暇もなくといった感じで。世界の出来事に対する人々の理解が公然と操作されている。今私たちが目の当たりにしているのは、核兵器による全滅で全ての人が死ぬことになりかねないとんでもない戦争について、政治的異論を封じる大胆な検閲が行われているのを目の当たりにしている。そして、バイデン政権の330億ドルという途方もないウクライナ対策費用の一部は、「独立メディア」(「戦争プロパガンダ」と読もう)への資金提供に充てられている

私たちはこのことをもっと問題視すべきだ。西側の主流機関がこぞって、第二次世界大戦レベルの検閲とプロパガンダを 実施することを簡単に、当然のこととして受け入れたことがいかに異常なことであるかを。それも、我々の政府が公式に参加してさえいない、遠くで起きている戦争について。

ロシアがウクライナに侵攻するとすぐに、何の公的議論もなくそれは始まった。すでに下地はできていて、誰もがそうなることに同意していたかのようだ。アメリカが地球を一極支配し続けるための奇妙な情報戦に勝つために、プロパガンダや検閲を受けることを望むかどうかについて、公衆には何の発言権もなかった。ただ、そうなってしまったのだ。

なぜそうしなければならないかという理由は国民に与えられず、そうすべきかどうかという国民的議論もなかった。これは意図的なものでした。プロパガンダが機能するのは、それが自分に起きていることに気づいていないときだけだからだ。

「情報というものは重要すぎて民衆の手に委ねることなどできない」という選択がされたのだ。真実に基づく社会ではなく、プロパガンダに基づく社会であることが定められた。何の議論も行われず、討論も許されなかった。 

そして、今の状況は大変深刻だが、これからもっともっと悪くなりそうな勢いである。シリコンバレーを統轄する政府ではすでに「偽情報」規制が敷かれ、アメリカとウクライナの代理戦争は日に日にエスカレートし、ソロモン諸島台湾の両方をめぐり、中国に対する攻撃は激化している。今の時点で、帝国的のナラティブ管理が激しいと思うなら、世界覇権を確保するためのアメリカ帝国の闘争が本当に始まるまで待つといい。

みなさんはこれで本当にいいのですか?この問題は、我々の個人としての生活や社会としての方向性に直接影響を及ぼす問題なのだから、私たちは自分たちの立ち位置をしっかり決める必要がある。アメリカがロシアに対する情報戦に勝つために、私たちはどれだけの犠牲を払ってもいいと思っていますか

真実に基づいた社会になるという希望を完全に捨て、世界中に拡大する帝国のためにプロパガンダ戦争に勝つことにコミットするのか。この問いは、人間が生き物として突きつけられている最も重大な決定なのだ。だからこそ、私たちには選択肢が与えられていないのだ。ただ押し付けられただけなのだ。

ナラティブを支配するものが世界を支配する。我々の許可もなしに我々が情報を制御する権利を奪い、我々が当分の間、プロパガンダに基づく文明になるということを勝手に決めることによって、我々は神聖なものを奪われたのだ。誰も奪う権利がないものを。

現在の世界の状況を見ると、指導者たちが自分たちの仕事をしっかりやっているようにはとても見えない。現状を見る限り、指導者たちがより多くの権力を与えられるべきだと思うようなことは全くない。実際は、指導者たちから権力をはぎとり民衆に権力をもっと与えるべきだと思われるような状況ばかりである。それにもかかわらず、我々は真逆の道を進んでいる。

(以上)

Thursday, April 14, 2022

ベンジャミン・ノートン:NATOは、平和ではなく、ロシアを血祭りに上げるために「ウクライナ人が死に続ける」ことを望んでいると認める Benjamin Norton: NATO admits it wants 'Ukrainians to keep dying' to bleed Russia, not peace (Japanese translation)

 Al Mayadeen 英語版に4月8日に掲載されたジャーナリストのベンジャミン・ノートン氏による記事の日本語版です。

NATO admits it wants 'Ukrainians to keep dying' to bleed Russia, not peace

NATOは、平和ではなく、ロシアを血祭りに上げるために「ウクライナ人が死に続ける」ことを望んでいると認める

NATOはウクライナ人を、ロシアとの帝国的代理戦争における単なる大砲の餌としか見ていない。

米国主導のNATO軍事同盟は、ロシアを血祭りに上げ、西側の地政学的利益を進めるために、最後のウクライナ人まで戦うことを望んでいることを明らかにした。

衝撃的なほど露骨な告白として、ワシントン・ポスト紙は、NATO加盟国の中には、ロシアが政治的利益を得るのを防ぐために、「ウクライナ人が戦い続け、死に続ける」ことを望んでいる国があることを認めた。

4月5日のウクライナとロシアの和平交渉に関する報道で、ワシントン・ポスト紙は、NATOが、キエフがモスクワの要求の一部に屈することを恐れていることを明らかにした。

ワシントン・ポスト紙は明確にこう書いている。「NATOの一部にとって、キエフや他のヨーロッパ諸国にとって早すぎる、あるいは高すぎるコストで和平を実現するよりも、ウクライナ人が戦い続け、死んでいく方がいいのだ。」

匿名の西側外交官は、「NATOの一部が和平を勝ち取るために妥協することには限界がある」と強調し、ロシアが安全保障上の懸念を抱くのを防ぐことができるなら、むしろウクライナでの戦争を長引かせたいとしている。

同紙は、NATO加盟国は「ロシアのウラジーミル・プーチン大統領に勝利に見えるようなものを与えたくない」と必死であり、そのためにはウクライナ人を肉弾戦に追い込むことも厭わない、と述べている。

ジェイク・サリバン米国国家安全保障顧問は、ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領の政権はワシントンと緊密に連携しており、ホワイトハウスと「ほぼ毎日」連絡を取り合っていると指摘した。誰が本当の責任者なのかが明らかになった。

同紙は同様に、米軍がヨーロッパに10万人以上の部隊を展開していることも明らかにした。

ワシントン・ポストはアメリカ政府と密接な関係にある。この新聞は、2000億ドルの富豪、ジェフ・ベゾス(史上最も裕福な人間の一人)が所有している。

ベゾスは巨大企業アマゾンの創業者兼執行会長でもあり、CIA国防総省NSAFBIICEなど米国政府機関と数百億ドル規模の契約を結んでいる。

もしワシントンポストが、ホワイトハウス高官の言葉を引用してNATOに関するこの情報を公開しているなら、明らかにワシントンのハンドラーから許可を得ている。

この報道は、NATOがウクライナ人を帝国の対ロシア代理戦争における単なる大砲の餌としか見ていないことを半公式に確認するものである。

実際、西側諸国の高官の中には、このことを公然と述べている者もいる。

元国務省高官で右翼の戦争タカ派のエリオット・A・コーエンは、『アトランティック』誌の記事で、「米国とNATOの同盟国はロシアとの代理戦争に従事している」と自慢げに語った。

彼は誇らしげにこう言った。「彼らはロシア兵を殺す目的で、何千もの弾薬を供給し、うまくいけば他の多くのこと、例えば情報の共有も行っている」さらに、「多ければ多いほど、速ければ速いほどいい」。

国務省のベテランは、「ウクライナに入る武器の流れは洪水である必要がある」と宣言した。

これこそNATO加盟国が行っていることだーロシアの隣国に武器を溢れるほどに与えること。

米国とEUはロシアとの和平交渉を支援する代わりに、積極的に戦争をエスカレートさせ、ウクライナに数万個の対戦車ミサイル、数千個の対空ミサイル、数百個のカミカゼドローン、戦車や装甲車など、数十億ドル相当の武器を送り込んでいるのだ。

言及されないのは、米国とヨーロッパの軍需企業がいかにこの戦争で大きな利益を得てきたかということだ。2月24日にロシアがウクライナに軍を派遣した後、西側諸国が軍事費の大幅増を約束したため、民間軍事企業の株価が急騰した。

ジョー・バイデン政権は2月下旬に3億5000万ドルの兵器を直ちに提供し、3月にはウクライナに136億ドルの追加支援を約束した。そのうち65億ドルを軍事支援である

NATOの外相は4月6日と7日にブリュッセルの軍事同盟本部で会合を開き、ウクライナでの戦争をさらにエスカレートさせることを約束した。

西側の政治家たちは、日本、韓国、グルジア、フィンランド、スウェーデン、オーストラリア、ニュージーランドなど、NATO以外の加盟国数カ国の代表と一緒に参加した。

ウクライナのドミトロ・クレバ外相は、この会議のためにブリュッセルを訪れ、NATOが平和ではなくさらなる戦争を望んでいるということに疑いはないということを確認した。

「私は今日、3つの最も重要な事柄、すなわち武器、武器、武器について話し合うためにここに来た」とクレバ氏は要約した。

NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長も同様に、「侵攻後、同盟国はさらなる軍事支援、軍備の増強に踏み切った。今日の会議では、同盟国はもっとやるべきだ、もっと装備を提供する準備ができている、緊急性を認識し認識している、という明確なメッセージが示された」と宣言した。

ストルテンベルグは、ウクライナに対するNATOの直接的な軍事支援は2014年にまでさかのぼり、ロシアが侵攻するずっと前の過去8年間に、何万人ものウクライナ兵がNATOによって訓練されたと自慢している

NATOは、ロシアの弱体化と不安定化を期待して、ウクライナ人が命を犠牲にし続けることを、明らかに好んでいる。

一方、これ以上の戦争ではなく、平和が解決策であるべきだと考えるウクライナ人は、悲惨な結末に直面している。

ロシアとの和平交渉に参加していたウクライナ人交渉官、デニス・キレーエフが殺害された。ネオナチなどの極右過激派に影響されていることで有名なウクライナ治安局(SBU)が殺害したと伝えられている。

このような極端な暴力や戦争挑発はすべて、「防衛的」同盟であるはずのNATOの主張と真っ向から対立するものだ。

現実には、NATOは民主主義はおろか、防衛に専念したこともない。1949年に軍事同盟を設立したメンバーの中には、ポルトガルのファシスト独裁政権も含まれていた。

第一次冷戦時代、NATOは悪名高いグラディオ作戦で、かつてのナチスの協力者とファシストを支援した。NATOの支援により、極右過激派は左翼を抑圧するためにヨーロッパでテロ攻撃を行い、特にイタリアの悪名高い「鉛の時代」の間はそうだった。

第一次冷戦が終わると、NATOはロシア国境への拡張を続け、1990年のドイツ再統一後、軍事同盟は「1インチも東に移動しない」という米英仏の約束を繰り返し破ってきた

1990年代の空爆で、もはや国として存在しない旧ユーゴスラビアを破壊し、切り刻んだ。

そして、NATOは2001年に米国が開始したアフガニスタン戦争を支援し、2021年まで共同軍事占領を維持した。

2011年、NATOはアフリカで最も繁栄した国であったリビアに戦争を仕掛けた。欧米の軍事作戦は、リビアの国家を粉々にした。そしてまもなく、化石燃料を扱う外国企業群が、リビアに埋蔵される大量の石油を略奪した。

2022年の今日も、リビアには統一された中央政府が存在しない。しかし、サハラ砂漠以南のアフリカ難民のための野外奴隷市場は存在する。

リビア、アフガニスタン、旧ユーゴスラビアの廃墟は、NATOが本当に世界に何を提供しているのかを示している。

そして、アメリカ主導の軍事同盟は今、ワシントンとウォール街の利益を促進するために、ウクライナを犠牲にする用意があるのだ。


ベンジャミン・ノートン:地政学と米国の外交政策を専門とする独立ジャーナリスト。



Thursday, April 07, 2022

ケイトリン・ジョンストン:米国政府高官たちが、ロシアについて公衆に文字通り嘘をついていることを認める Caitlin Johnston: US Officials Admit They’re Literally Just Lying To The Public About Russia (Japanese Translation)

ケイトリン・ジョンストン氏の4月7日の記事を見て驚いた。氏が言うように、NBCは、4月6日の報道で、米国政府がロシアに勝つために、嘘を使って公衆を騙す戦略を用いていることを暴露し、それに怒るどころか喜んでいるのである!ロシアを倒せるのなら喜んで騙されましょうという公衆の受容があるからこんなリークができるのだ、とジョンストン氏は見ている。いったいどこまで行くのかという、市民社会の変容である。以下、翻訳です。(アップ後修正することがあります)



US Officials Admit They’re Literally Just Lying To The Public About Russia 

https://caitlinjohnstone.com/2022/04/07/us-officials-admit-theyre-literally-just-lying-to-the-public-about-russia/

米国政府高官たちが、ロシアについて公衆に文字通り嘘をついていることを認める

NBC Newsの最新の報道は、複数の匿名の米政府高官を引用してこう伝えた。「これまでとは異なり、米国はロシアとの情報戦を戦うために、たとえその機密情報が確かでない場合でもその情報を使っている」と。

この高官たちによると、バイデン政権は、プーチンとの情報戦を戦うために、ウクライナにおけるロシアの計画について、「信頼度が低い」「確かな証拠よりも分析に基づく」、あるいは単なる虚偽の「機密情報」をどんどん押し出してきた。

この報道によれば、この目的のためにアメリカ政府は誤った、あるいは根拠の乏しい主張を意図的に流布したとのとのことである。それらは、「差し迫った化学兵器攻撃」、「侵攻を正当化するためにドンバスで偽旗攻撃を組織するロシアの計画」、「側近プーチン大統領に誤った情報を与えている」、「ロシアが中国からの武器供給を求めている」などだ。

(以下NBCから抜粋。強調はケイトリン・ジョンストンによる)
「ロシアがウクライナで化学兵器を使用する準備をしている可能性を示唆する兆候があると、米国当局が発表した」というのは注目を集める主張であり、世界中でトップニュースになった。 

ジョー・バイデン大統領も後に同じことを公言した。しかし、3人の米政府関係者は今週、NBCニュースに、「ロシアがウクライナに化学兵器を持ち込んだという証拠はない」と語った。彼らは、米国が情報を公開したのは、ロシアが禁止されている化学兵器を使用するのを阻止するためだと述べた。 

これは、ロシアに対する情報戦の一環として機密解除された情報を展開することで、バイデン政権が最近の前例を破った一連の例の一つである。情報が確固たるものではなくても、政権はこのようなことを行ってきたと、当局者たちは述べている。ロシアのプーチン大統領に揺さぶりをかけるためにである。

 要するに、嘘をついたということである。彼らは崇高な理由のために嘘をついたと言うかもしれないが、嘘は嘘だ。彼らは、真実であると信じる理由がない情報を故意に流し、その嘘は西側世界の最も影響力のあるすべてのメディアによって増幅されたのだ。

以下は、バイデン政権が「情報戦」の一環として偽のナラティブを発表したもう一つの例である。

同様に、ロシアが中国に軍事的援助の可能性を求めたという告発も、確たる証拠を欠いていると、1人の欧州当局者と2人の米国当局者が述べている。

米政府高官は、「中国がロシアへの武器供与を検討しているという兆候はない」と述べた。バイデン政権は、中国がそうしないよう、警告としてそれを出したという。

先週、アメリカ帝国が主張した、「プーチンは、側近が真実を話すことを恐れているために惑わされている」という件について、NBCは、この評価が「決定的ではなかった - 確固たる証拠に基づくというより、分析に基づくものだ」と報告している。

実は、ニューヨーク・タイムズがニュース速報を装ってこのアホらしいCIAのプレスリリースを無批判に発表したとき、私はそれを揶揄してこうツイートした: 

(訳者注:ケイトリンの上のツイートの訳:「ニュース速報:英語圏で最も影響力のある新聞が、CIAのプレスリリースを『ニュース速報』として日常的に流している。) 

2月に国務省のネッド・プライス報道官がアレックス・ジョーンズ(訳者注:陰謀論が多いと言われているラジオパーソナリティ)風に、「ロシアが侵略を正当化するために危機管理俳優を使った『偽旗』ビデオを公開しようとしている」と誤って主張したことにも我々はツッコミを入れた。

NBCの報道で取り上げられた他の米国政府の嘘は、それほどかわいらしいものではなかった。

別の情報開示では、米当局者は、ウクライナにミグ戦闘機を提供しなかった理由の1つとして、ロシアがこの動きをエスカレーションと見なすという機密情報があったとしている。

それは事実だが、バイデン政権が実際に提供したスティンガーミサイルについても同様である、と2人の米政府高官は語った。これらの高官がさらに付け加えたのは、政権がこのミグに関する情報を開示したのは、ミグをウクライナに提供してはいけないという議論を高めるためだったということだ。

つまりバイデン政権は、ウクライナに武器を送ることが、核保有国であるロシアから挑発的なエスカレーションと受け取られることを知っていながら、とにかく武器を送り、そしてそのことについて嘘をついたのです。なんとクールなことか!

このNBCの報道は、我々が何ヶ月も前から聞いていた噂を裏付けるものだ。戦争のプロであるマックス・ブートは、2月に外交問題評議会のシンクタンクを通じて、バイデン政権は「情報作戦の新時代」を切り開いたと語った。元MI6チーフのジョン・ソーズは2月、シンクタンク「アトランティック・カウンシル」に、バイデン政権の「機密情報」発表は実際の情報よりも全体的な雰囲気に基づいており、情報を伝えるというよりも操作するように作られていると語った。 

ちなみに言っておくが、NBCは、報道の自由の助けを借り、権力者の嘘を勇敢に暴いている米国政府内の内部告発者による重大なリークを公表しただけではない。この記事の著者の一人は、2014年にLA Timesに寄稿しながら文字通りのCIAのスパイとして働いていたことが明らかになったケン・ディラニアンである。ディラニアンの名前を署名欄に見かけたら、米帝の運営者が読ませたいものをそのまま読んでいると考えて間違いないだろう。

では、なぜ今になってこんなことを言うのだろう?アメリカ政府は、最も有名な国際紛争について継続的に嘘をついていることを認めることによって、国民の信頼を失うことを心配しないのだろうか?また、NBCの情報筋が主張するように、これが「プーチンの頭の中を探る」ための「情報戦」であるならば、主要な報道機関を通じてオープンに報道することは完全に目的を逸脱しているのではないだろうか?

まあ、これらの疑問に対する答えが、本当に不気味なところなのだが。この件に関する皆さんの意見や解釈は大歓迎だが、私が考える限り、アメリカ政府がこの話を公開する唯一の理由は、一般大衆に知ってもらいたいからだと思う。そして、一般大衆に知らせたいと思うもっともらしい理由は、一般大衆が嘘をつくことに同意すると、確信しているからだと思う。

私が言いたいことをよりよく理解してもらうために、この報告のテレビ放映版を見ることを勧める。ディラニアンとNBCのキャスターであるアリソン・モリスが、バイデン政権がプーチンの心をかき乱すためにこうした心理戦の戦術を用いることが、いかに見事で素晴らしいかを熱弁しているのだ。

   

洗脳されたNBCの視聴者がこのセグメントを見たときに受け取るメッセージは、「これってすごくない?私たちの大統領がプーチンを倒すために3Dチェスのようなクールな動きを見せていて、そして私たちはその一端を担っている!」ということだ。

アメリカ帝国がインターネット検閲プロパガンダシリコンバレーのアルゴリズム操作ジャーナリストへの迫害の常態化などを通じて、地球の覇権支配を強化するためにナラティブ統制を強化してきたことが明らかになって久しい。私たちは今、帝国的なナラティブ統制の新たな段階に来ているのかもしれない。帝国は、自分たちによかれと思って進んで嘘をつかれる公衆の合意を、白昼堂々作り上げることができる。

ジュリアン・アサンジに対する中傷キャンペーンがもたらしたものは、主流のリベラル派が、政府が秘密を持つ権利を擁護するように訓練されてしまったことだ。それと同様に、私たちが今見ているのは、主流のリベラル派が、政府が自分たちに嘘をつく権利を守るように訓練されてしまっている、ナラティブ統制の進展の新段階なのである。

アメリカは一極覇権を確保するために必死でロシアと中国に対する冷戦攻撃を強化している。核武装した敵に対しては、もっとあからさまな方法で攻撃できないため、冷戦工作では伝統的に心理戦が大きな役割を担っている。だから、今こそアメリカの二大政党の「思想家」たちが、自分たちの政府の心理戦争工作を熱狂的に応援する時であることは間違いないだろう。

このNBCの報道について、主流のリベラル派が何を言っているのか、インターネットで何気なく見てみると、実際にこのようなことが起こっていることがわかる。リベラル派の界隈では、世界で最も強力な政府が、世界で最も強力なメディア機関を使って、戦略的利益のために公衆に嘘をつくことを広く受け入れているように見える。もしこのようなことが受容され続けるのなら、帝国の運営者たちにとってこんなに都合のいいことはないであろう。

(以上)

元記事はここです。

Monday, April 04, 2022

ジョー・ローリア:「ブチャの虐殺に数々の疑問」Joe Lauria: Questions Abound About Bucha Massacre (Japanese translation)

コンソーシアムニュースの編集長を務めるベテランジャーナリスト、ジョー・ローリア氏による記事を紹介します。(翻訳はアップ後修正することがあります)

Questions Abound About Bucha Massacre

https://consortiumnews.com/2022/04/04/questions-abound-about-bucha-massacre/

ブチャの虐殺に数々の疑問

西側諸国は、ウクライナの町ブチャでの虐殺の責任が誰にあるのかを即断し、ロシアに対するより厳しい制裁を要求しているが、断定するのは早すぎる。とジョー・ローリアは言う。

ジョー・ローリア

コンソーシアム・ニュース特別寄稿

ウクライナの首都から北へ63キロの町ブチャで大虐殺があったというニュースが日曜日に流れた後、数時間のうちに判決は出た ー ロシア軍は無差別に何百人もの罪のない市民を虐殺し、その死体を通りに散乱させたまま町から撤退したという判決が。

西側諸国は自国で持つ司法制度とは異なり、戦争となると、調査や証拠の必要性を省き、政治的動機に基づいて有罪を宣告する。ロシアは有罪だ。一件落着。

しかし裁判もまだ開かれていないのに、判決はすでに出されている。例えば、フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、ロシアの石炭と石油をヨーロッパで禁輸措置とするよう求めている。「戦争犯罪の非常に明確な兆候がある 」と、彼は月曜日のフランス・インターラジオで言った。「ブチャで起きたことで、新たな制裁と非常に明確な措置が必要とされており、ヨーロッパのパートナー諸国、特にドイツと協調していく」と述べた。

他には、この事件をうけて、米国がロシアと戦争せよという危険な呼びかけが高まっている。 

「これはジェノサイドだ」とウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領はCBSの「フェイス・ザ・ネイション」で語った。「ロシア人の母親たちはこれを見るべきだ。どんなろくでなしを育ててしまったのか、見てほしい。殺人者、略奪者、虐殺者たちを育てたのだ」とテレグラムで付け加えた。

ロシアは、この大虐殺との関係を断固として否定している。


どこから始めるか

もし、本格的な調査が行われるとしたら、調査官が最初に着手するのは、精密な事件の時系列を作ることだろう。

ロシア国防省によると、先週水曜日、ロシア軍は全てブチャを離れた。

これは木曜日、ブチャ市議会の公式Facebookページのビデオで、笑顔のアナトリー・フェドルーク(Anatolii Fedoruk)ブチャ市長が確認していた。 動画に添えられた翻訳投稿にはこうある。

「3月31日、ブチャの解放の日。これはブチャ市長のアナトリー・フェドルークが発表したものです。この日は、ウクライナ軍によるロシア占領軍からの解放の日として、ブチャとブチャのコミュニティ全体の輝かしい歴史に刻まれるでしょう。」

ロシア軍はすべていなくなったのに、大虐殺があったという話は出てこない。にこやかなフェドルークは、ブチャの歴史の中で「輝かしい日」だと言っているが、もしフェドルークの周りに何百人もの民間人の死体が散乱していたら、とてもそうは思えないだろう。

「ロシア国防省は、キエフ州ブチャでの民間人殺害の疑いに関するキエフ政権の非難を否定した。ブチャでの犯罪の証拠が現れたのは、ウクライナ治安維持局とウクライナメディアの代表が町に到着してから4日目のことである。ロシア軍は3月30日にブチャから完全に撤退し、ブチャがロシア軍の支配下にあった間、『一人の地元住民も負傷しなかった』」とロシア国防省はテレグラムへの投稿で述べている。


次に何が起こったのか?

では、金曜日と土曜日には何が起こったのだろうか。スタンドポイント・ゼロのジェイソン・マイケル・マッキャンの記事で指摘されているように、ニューヨーク・タイムズ紙は土曜日にブチャにいたが、大虐殺を報じていない。その代わりに、タイムズ紙は、撤退が完了したと市長が言った2日後の土曜日に、撤退が完了したといい、「目撃者、ウクライナ当局者、衛星画像、軍事アナリストによれば、ロシア軍は兵士の死体と燃えた車両を残していった」と述べた。

タイムズ紙は、記者が6人の民間人の遺体を発見したと述べている。「彼らがどのような状況で死亡したかは不明だが、頭を撃たれた一人の男のそばには、ロシア軍の配給品の廃棄された包装が落ちていた」と同紙は述べている。そして、ゼレンスキーの顧問の以下の言葉を引用している。

「『兵士に射殺された、手を縛られた状態の人々の遺体が通りに転がっている 』と、この顧問のミハイロ・ポドリヤック氏はツイッターで述べた。『この人たちは軍隊に所属していなかった。武器も持っていない。彼らは何の脅威も与えていなかった』。ポドリヤック氏は、Agence France-Presseが撮影した、道端に3人の遺体、うち1人は手を後ろに縛られているように見える現場の画像を添付した。ニューヨーク・タイムズ紙は、ポドリヤック氏が主張している、これらの人々が処刑されたということを、独立した方法で検証することはできなかった。」


土曜日の時点ではまだこの惨事の全容は明らかになっておらず、市長でさえその2日前の時点で気づいていなかった可能性はある。しかし、写真によると、現在多くの遺体が町の通りに野ざらしになっており、おそらく見逃すことは困難だったであろう。

ブチャでは、タイムズ紙はネオナチのアゾフ大隊と近い関係にあり、その兵士たちが同紙の写真に写っている。マッキャンは、その記事の中で、アゾフが殺害に関与している可能性を示唆している。

「4月2日(土)、国内外のメディアに大虐殺が取り上げられる数時間前に、非常に興味深いことが起こる。米国とEUが資金を提供するゴルシェニン研究所のオンライン[ウクライナ語]サイト『レフトバンク』は次のように発表した。

『特殊部隊は、ウクライナ軍によって解放されたキエフ地方のブチャ市で掃討作戦を開始した。街から破壊工作員やロシア軍の共犯者は一掃されつつあると』。

ロシア軍はもう完全に撤退しているので、これはどう考えても報復にしか聞こえない。国家機関が『破壊工作員』や『ロシア軍の共犯者』を探すために市内をくまなく回っているのだろう。前日(金曜日)には、町議会当局を代表するエカテリーナ・ウクレンチヴァが、ブチャ・ライブのテレグラムページの情報ビデオに登場し、軍服を着てウクライナの旗の前に座り、『街の浄化を』宣言したばかりだ。彼女は、アゾフ大隊の到着は解放が完了したことを意味せず(しかし、解放は完了しており、ロシア軍は完全に撤退していた)、『完全な掃討』を行わなければならないと住民に告げた。」

ウクレンチヴァがこれを話していたのは、町長が、町が解放されたと言った翌日のことである。  

日曜日の朝までに、世界は何百人もの人々が虐殺されたことを知った。アントニー・ブリンケン米国務長官は次のように述べた。「我々は、ブチャとウクライナ全土におけるクレムリン軍による明らかな残虐行為を強く非難する。我々は、あらゆる手段を用いて説明責任を追及し、責任者の責任を追及するために情報を文書化し、共有している。」ジョー・バイデン大統領は月曜日、「戦争犯罪」裁判を要求した。「この男は残忍だ。ブチャで起きていることは言語道断であり、誰もがそれを見ている。戦争犯罪だと思う。」と言った。

ブチャの事件はこの戦争の正念場だ。公平な調査が必要であり、おそらく国連にしかできないであろう。アゾフ大隊がロシアの協力者に報復したのか、それともロシア側が虐殺を行ったのか。米国が直接ロシアと戦うというような無責任な声があることもあり、性急な判断は危険である。しかし、実際性急な判断が下されてしまっている。


ジョー・ローリアは、コンソーシアム・ニュースの編集長。The Wall Street Journal、Boston Globe、その他The Montreal GazetteやThe Star of Johannesburgなど多数の新聞社の元国連特派員。ロンドン・タイムズ紙の調査記者、ブルームバーグ・ニュースの金融担当記者を務める。19歳のときにニューヨーク・タイムズ紙のストリンガーとしてプロとしての仕事を始めた。 連絡先は、joelauria@consortiumnews.com。Twitterでは、@unjoe。  

Sunday, April 03, 2022

ケイトリン・ジョンストン:「アメリカ帝国の最終目標はロシアではなく中国」Caitlin Johnstone: The US Empire’s Ultimate Target Is Not Russia But China (Japanese Translation)

オーストラリアの気鋭のジャーナリスト、ケイトリン・ジョンストン氏をフォローするようになって数年が経ちます。彼女は毎日のように鋭い長編の分析記事を出し、帝国主義、新自由主義批判を展開し、メインストリームメディア外で活躍するクリティカルなジャーナリストたちの中でも尊敬を集めている存在です。このブログで翻訳紹介は初めて。有能な翻訳プログラムのおかげで、あまり時間をかけずに海外の優秀な記事を紹介できる時代になりました。今回も Deepl 翻訳に手を加えたものです。日本語で特に発信すべきと思った彼女の最新の投稿を約しました。(翻訳はアップ後修正するときがあります)


Caitlin Johnstone さんのサイト


アメリカ帝国の最終目標はロシアではなく中国

The US Empire’s Ultimate Target Is Not Russia But China

https://caitlinjohnstone.com/2022/03/31/the-us-empires-ultimate-target-is-not-russia-but-china/

国防総省は最新の国家防衛戦略(NDS)を発表した。これは4年ごとに作成される報告書で、米国の戦争マシンの計画、姿勢、展開、重点分野について、国民と政府に幅広い概要を提供するものである。

今年、モスクワとアメリカの同盟国との間で行われた瀬戸際外交の結果、2022年のNDSではロシアが敵のナンバーワンとして取り上げられると思うかもしれないが、それは間違いである。米国「国防」省は、この地位を長年にわたって与えてきた同じ国のために確保しているのだ。中国である。

AntiwarのDave DeCampは次のように書いている

NDSの全文はまだ機密扱いだが、国防総省はこの文書に関するファクトシートを発表し、「中華人民共和国(PRC)を最も重大な戦略的競合相手とし、国防総省のペース配分上の課題として、抑止力を維持・強化するために緊急に行動する」と述べている。

このファクトシートでは、国防総省の4つの優先事項の概要が示されている。

  1. 中国がもたらすマルチドメインな脅威の増大に対応した国土の防衛
  2. 米国、同盟国、パートナーに対する戦略的攻撃の抑止
  3. 侵略を抑止しつつ、必要に応じて紛争に勝利する準備をする。インド太平洋における中国の課題、次に欧州におけるロシアの課題を優先する。
  4. 弾力性のある統合軍と防衛エコシステムの構築

「国防総省は、中国が焦点である一方で、ロシアはウクライナへの侵攻によって『深刻な脅威』をもたらしていると言っている」とデキャンプは書いており、帝国がモスクワを、次席レベルの敵と見なしていることを示している(訳者注:本命は中国)。

中国の王毅外相との会談を前に、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は、アメリカ中央集権帝国が実際に抱えているモスクワとの問題を明確に示すような発言をした

「我々は、あなた方と、そして我々を支持する国々と一緒に、多極化した、公正で民主的な世界秩序に向かって進んでいく」と、ラブロフは水曜日に中国政府に対して言った。

この5、6年間、ロシアについてヒステリックに叫ばれてきた本当の理由は、ここにある。問題はロシアのハッカーについてではありません。クレムリンのおしっこテープのことでもない。トランプタワーの件でもない。アフガニスタンでのGRUの懸賞金についてでもない。マナフォート、フリン、バノン、パパドプロス、その他毎週のようにロシアゲートで挙げられた名前でもない。実際のところウクライナについてでさえもない。これらはすべて、多極化した世界の出現を防ぐために、ロシアと中国との最終決戦への支持を取り付けるために、アメリカの情報カルテルによって操作された、ナラティブを形成するための構成概念であった。

アメリカ政府は、ソビエト連邦の崩壊以来、世界に対する帝国的な意図に挑戦しうる、いかなる勢力の台頭も阻止する政策をとってきた。冷戦時代(第一次)、ヘンリー・キッシンジャーなどの帝国管理者が推進した戦略は、中国をソ連から引き離すために、必要に迫られて中国に接近することだった。このとき、中国とアメリカの経済的つながりが、両国の特定の人物に巨額の利益と富の流入をもたらし、中国が経済大国としてアメリカを上回る軌道上に乗るようになった。

ソ連が崩壊すると、中国との友好関係を維持する必要性も同時になくなり、その後数十年間は北京とより敵対的な関係へと急転換した

アメリカ帝国の最大の戦略的失敗として歴史に残るかもしれないが、帝国の経営者は、ポスト・ソビエトのロシアを帝国の下僕国家として獲得し、中国という新しい敵のナンバーワンに対して(ロシアを)武器化できると予測したのだ。しかし、実際は全く逆のことが起こった。

ヒラリー・クリントン元国務長官は、昨年のブルームバーグ新経済フォーラムで、「ロシアは国境問題や中国の台頭により、西側へ歩み寄り、欧州、英国、米国と積極的に関与するようになると何年も聞いていた」と語った。しかし、そんなことは起こらなかった。

「それは起こっていません」とクリントンは言った。「その代わりに、我々が見たのは、プーチンが中国をさらに抱きしめるための組織的な試みです。」

アメリカ帝国は、モスクワが自ら帝国の王座の下にひれ伏すだろうと予想していたので、友好を築き、友好を勝ち取ろうとする真の努力は費やされなかった。NATOは拡大を続け、帝国は世界征服のゲームにおいてますます攻撃的好戦的になっていった。この誤りは、世界支配のために二つの別々の大国と同時に戦わなければならないという、戦略家にとって究極の悪夢を招いた。帝国の設計者は、モスクワがワシントンを恐れるよりも北京を恐れるようになると誤って予測したため、専門家が長年にわたって指摘してきた中国の経済力とロシアの軍事力の連携は、ますます親密になるばかりであった。

そして今、ロシアと中国の高官が多極化する世界について公然と話し合っている一方で、中国の評論家は、ウクライナ侵攻をめぐって北京をモスクワに敵対させるという米帝の見え透いた策略についてジョークを飛ばしているのである。

帝国の壮大なチェス盤では、ロシアはクイーンの駒だが、中国はキングである。チェスで相手の最強の駒を倒すとチェックメイトが容易になるように、アメリカ帝国は中国の核超大国の友人を倒そうとするのが得策であり、Consortium News編集長のJoe Lauriaが最近言ったように、「最終的にモスクワにエリツィンのような傀儡政権を取り戻す」のである。

基本的に、現代の主要な国際的ニュースの中で我々が見ているのは、一極支配は何としても維持しなければならないという信念を持ってきた帝国に対し、多極化する世界が台頭し、真っ向から衝突しているということなのである。その帝国は、一度起こったらたちまち進行し、核兵器も使われるであろう第三次大戦をちらつかせることになろうとも、あらゆる代償を払ってでも一極支配を維持しようとしている帝国だ。

これは、米国の覇権主義者のヘイルメリーパス(訳者注:一か八かの賭け)である。支配のチャンスを永遠に失ってしまう前に、支配を確保するための最後の手段なのだ。私が日頃読んでいる多くの反帝国主義の識者は、この努力は失敗すると確信しているようだが、私個人としては、その予測は少し時期尚早かもしれないと思っている。チェスの駒の動きを見ていると、確かに計画があるように見えるし、成功するチャンスがあると信じていなければ、その計画を指揮することはないと思う。

一つはっきりしているのは、帝国が中国の台頭を止めるには、全世界にとって非常に破壊的で実存的に危険な作戦を取るしかないということです。今の状況が異常だと思うなら、帝国の照準器が北京に移動するのを待てばいいだけだ。

★★




Thursday, March 31, 2022

ダイアナ・ジョンストン:ワシントンにとって、戦争は決して終わらない。DIANA JOHNSTONE: For Washington, War Never Ends (Japanese translation)

米国出身、パリに住むジャーナリストのダイアナ・ジョンストン氏の2月23日の記事に続き、3月16日の記事からも学び、考えさせられることが大変多かったので翻訳を載せます。(翻訳はアップ後修正することがあります)。この戦争と、暴力の、一刻も早い終結を願って。

Diana Johnstone: For Washington, War Never Ends

https://consortiumnews.com/2022/03/16/diana-johnstone-for-washington-war-never-ends/

DIANA JOHNSTONE: ワシントンにとって、戦争は決して終わらない。

2022年3月16日

北大西洋条約機構(NATO)の結成とドイツの再軍備は、米国にとってヨーロッパでの戦争が完全に終わったわけではないことを確認させた。今もそうだ。

ダイアナ・ジョンストン著

パリにて

コンソーシアム・ニュース特別寄稿


延々と続く。1914年から1918年の「戦争を終わらせるための戦争」は、第二次世界大戦として知られる1939年から1945年の戦争につながった。そして、この戦争も終わることがない。主にワシントンにとって、この戦争は「良い戦争」であり、「アメリカの世紀」を作った戦争であったからだ。

ウクライナの紛争は、私たちがすでに第三次世界大戦と呼んでいるものを引き起こす火種になるかもしれない。

しかし、これは新しい戦争ではない。第二次世界大戦と呼ばれる戦争の延長線上にある古い戦争であり、参加したすべての人々にとって同じ戦争ではなかった。

ロシアの戦争とアメリカの戦争は、まったく、まったく違うものだった。


ロシアの第二次世界大戦

ロシア人にとって、戦争は大きな苦しみと悲しみと破壊の体験だった。ナチスのソ連侵攻は、スラブ人蔑視と「ユダヤ人ボリシェヴィキ」に対する憎悪という人種差別思想によって推進され、まったく無慈悲なものであった。推定2700万人が死亡し、その約3分の2が民間人であった。圧倒的な損失と苦しみにもかかわらず、赤軍はヨーロッパの大部分を征服していたナチスの流れを変えることに成功した。

このドイツの侵略者を国土から追い出す巨大な戦いは、ロシア人にとって「大祖国戦争」と呼ばれ、民族の誇りを育み、自分たちが経験したことを慰めるのに役立った。しかし、勝利の誇りはともかく、戦争の悲惨さは平和を希求する真の心を呼び覚ました。


アメリカの第二次世界大戦

アメリカの第二次世界大戦は、(第一次世界大戦と同じように)どこか別の場所で起こった。これは非常に大きな違いである。この戦争によって、アメリカは地球上で最も豊かで強力な国家として台頭することができた。アメリカ人は、戦争を防ぐため(「ミュンヘン」)にも、戦争を終わらせるため(「無条件降伏」がアメリカ流)にも、決して妥協してはならないと教えられた。正義の強硬さは、悪との戦いにおける善の態度としてふさわしいものであった。

戦争経済によって、アメリカは不況から脱却した。軍事ケインズ主義が繁栄への鍵として浮上した。軍産複合体が誕生した。ペンタゴンの契約をすべての議会選挙区に提供し、ウォール街の投資家に利益を保証し続けるために、新たな敵が必要となった。共産主義の恐怖、それはまさにファシズムを生み出したのと同じ恐怖であったが、それが功を奏した。


冷戦:第二次世界大戦の続き

つまり、1945年以降、ロシアにとって第二次世界大戦は終わったのである。アメリカにとっては、そうではなかった。冷戦と呼ばれるものは、ワシントンの指導者たちによって自発的に継続されたものである。冷戦は、ロシアの防衛的な「鉄のカーテン」が、ヨーロッパの他の地域にとって軍事的な脅威となるという理論によって継続された。

終戦後、スターリンの安全保障上の最大の関心事は、このような侵略が再び起こらないようにすることだった。西側の解釈とは異なり、モスクワがベルリンでの勝利のために占領した東欧諸国を現在も支配しているのは、共産主義のイデオロギーというより、西側からの再侵略の障害となる緩衝地帯を作ろうという決意からであった。

スターリンは、東西のヤルタ協定を尊重し、ギリシャの共産主義者の生死をかけた闘いを支援することはなかった。モスクワは、西ヨーロッパにおける規模の大きい共産主義政党の指導者たちに、革命を避け、ブルジョア民主主義のルールに従って行動するよう注意を促した。ソ連の占領は、残忍であることもあったが、断固として防衛的であった。ソ連の平和運動への支援は、完全に本物であった。

北大西洋条約機構(NATO)の設立とドイツの再軍備は、アメリカにとってヨーロッパでの戦争が完全に終わったわけではないことを確認させた。占領下のドイツにおける米国の「脱ナチス化」は、米国の再軍備やスパイ活動に役立つドイツ人(ウェルナー・フォン・ブラウンからラインハルト・ゲーレンまで)の組織的な頭脳流出を伴うものであった。


アメリカのイデオロギー的勝利

冷戦の間、アメリカは科学と産業を駆使して巨大な兵器庫を建設し、朝鮮半島やベトナムに勝利をもたらすことなく、壊滅的な打撃を与えた。しかし、軍事的な敗北は、アメリカのイデオロギー的な勝利を打ち消すことはなかった。

アメリカ帝国主義の最大の勝利は、自己正当化するイメージとイデオロギーを、主にヨーロッパに広めたことである。アメリカのエンターテインメント産業の支配は、快楽主義と道徳的二元論という特殊な融合を世界中に、特に若者の間に広めた。ハリウッドは、第二次世界大戦はノルマンディー上陸作戦で米軍とその同盟国によって本質的に勝利したと西洋に信じ込ませた。

アメリカは、善のための最終的な力であると同時に、生きていて楽しい唯一の場所であることを売りにした。ロシア人は無骨で不吉な存在だった。

ソ連でも、多くの人がアメリカの自己美化の魅力に免疫がなかった。冷戦はすべて大きな誤解であり、我々が親切にすれば、西側諸国も親切にしてくれるだろうと考える人もいたようだ。ゴルバチョフもこの楽観主義に染まっていた。

元駐モスクワ米国大使のジャック・マトロックは、1980年代のロシアのエリート層には、ソ連という重荷からロシアを解放したいという思いが蔓延していたと回想している。ソ連の自壊を成し遂げたのは大衆ではなく指導者であり、ロシアは後継国家として、アルコール漬けのエリツィン大統領の下でソ連の核兵器と国連の拒否権を持ち、1990年代には米国の圧倒的な影響力を持つに至ったのである。


新生NATO

過去3世紀にわたるロシアの近代化は、ロシアの進歩を先進国である西欧の模倣に求める「西欧主義者」と、ロシアの物質的後進性を、おそらく伝統的村落の単純な民主主義に基づくある種の精神的優位性によって補うと考える「スラブ愛好者」の間で論争を巻き起こしている。

ロシアでは、マルクス主義は西洋化する概念であった。しかし、公式のマルクス主義は、「資本主義」西側、特にアメリカに対する賞賛を消し去ることはできなかった。ゴルバチョフは、ある種の社会民主主義を生きる「ヨーロッパ共通の家」を夢想していた。1990年代、ロシアは西側の一部であることだけを求めた。

次に起こったことは、冷戦を正当化する「共産主義の恐怖」全体が誤りであったことを証明するものであった。口実に過ぎなかったのである。軍事的ケインズ主義や、経済的・思想的覇権を維持するためのアメリカの特別な戦争を永続させるために作られた偽りであった。

ソ連はもう存在しない。ソ連の共産主義はもうないのだ。ソ連圏もワルシャワ条約も存在しない。NATOにはもう存在意義がなかった。

しかし、1999年、NATOは50周年を祝うかのようにユーゴスラビアを空爆し、防衛的な軍事同盟から攻撃的な軍事同盟へと変貌を遂げた。ユーゴスラビアは、NATOにもワルシャワ条約にも属さない非同盟国であった。NATOにもワルシャワ条約にも属さず、他国を脅かすこともない。安保理の承認も自衛の正当化もないNATOの侵略は、国際法に違反していた。

同じ頃、NATOはロシアの指導者たちとの不文律ながら熱心な外交的約束を破り、ポーランド、ハンガリー、チェコ共和国を新加盟国として迎え入れた。5年後の2004年、NATOはルーマニア、ブルガリア、スロバキア、スロベニア、バルト三国を加盟させた。一方、NATO加盟国はアフガニスタンでの戦争に引きずり込まれ、最初で唯一の「NATO加盟国の防衛」、すなわち米国を防衛することになったのである。


プーチンを理解すること-あるいはしないこと

(挿入:プーチンの有名な2007年のミュンヘン演説

一方、プーチンは、元KGBで東ドイツに駐在していたこともあり、西側への理解もあり、エリツィンの後継者に選ばれていた。プーチンは、エリツィンがアメリカ仕込みの経済ショック療法を受け入れたことで生じた混乱からロシアを救い出した。

プーチンは、最もひどいぼったくりに歯止めをかけ、没落したオリガルヒの怒りを買った。自分たちの違法行為を使って自分たちが迫害の犠牲者であると西側諸国を説得した(例:馬鹿げたマグニツキー法)。

2007年2月11日、ロシアの西洋かぶれプーチンは、西側の権力の中心であるミュンヘン安全保障会議に行き、西側に理解されるよう求めた。その気になれば、理解するのは簡単だ。プーチンは、米国が押し付けている「一極集中世界」に異議を唱え、"一部の者だけでなく、すべての者の安全と繁栄を確保する公正で民主的な世界秩序の構築において協力できる、責任ある独立したパートナーと交流したい "というロシアの希望を強調したのである。

西側諸国の主要なパートナーの反応は、憤慨と拒絶であり、15年にわたるメディアキャンペーンでプーチンをある種の悪魔のような存在として描いてきた。

実際、この演説以来、欧米メディアのプーチンとロシアに対する侮辱はとどまるところを知らない。そして、この侮蔑的な扱いの中に、第二次世界大戦の2つのバージョンを見ることができる。2014年、米英軍によるDデイ上陸作戦から70周年を記念して、世界の首脳がノルマンディーに集結した。

実は、その1944年ノルマンディー侵攻時、ドイツ軍が主に東部戦線に集中し、赤軍に敗北していたにもかかわらず、侵攻は困難に陥ったのである。モスクワは、ドイツ軍をノルマンディー戦線から引き離すために、まさに特別作戦を開始したのである。それにもかかわらず、連合軍の進撃は、ベルリンへの道のりで赤軍に追いつくことはできなかった。

しかし、ハリウッドのおかげで、西側ではD-Dayを第二次世界大戦の決定的な作戦と考える人が多い。この出来事を称えるために、ウラジーミル・プーチンはそこにいたし、ドイツのアンゲラ・メルケル首相もいた。

そして翌年、モスクワで行われた第二次世界大戦終結70周年を祝う豪華な戦勝パレードに、世界の指導者が招待された。しかし、米英独の首脳は不参加を表明した。

これは、ロシアと、ロシアによるナチス・ドイツの敗北への決定的な貢献(国防軍の80%を破壊した)を軽蔑する西側諸国の果てしない一連のジェスチャーと一貫性があった。 2019年9月19日、欧州議会は「ヨーロッパの未来にとってヨーロッパの追憶の重要性」に関する決議を採択し、ソ連とナチス・ドイツが第二次世界大戦を招いたと、共同で非難した。

ウラジーミル・プーチンは、終戦75周年を記念して『The National Interest』に掲載された「第二次世界大戦の教訓」という長文の英文記事で、この無礼な侮辱に反論している。プーチンは、戦争の原因と、ナチスによる872日間のレニングラード(現サンクトペテルブルク)包囲という殺人的な状況に陥った人々の生活への深い影響について慎重に分析し、回答している。その中にはプーチンの両親も含まれており、両親の2歳の息子は、80万人の犠牲者のうちの一人だったのだ。

ロシアにおける第二次世界大戦の意味を西側諸国が理解しようとしないことについて、プーチンが深く憤慨しているのは明らかだ。「記憶を冒涜し、侮辱することは卑しいことだ」とプーチンは書いている。「第二次世界大戦の終結75周年を記念する宣言が、ソ連を除く反ヒトラー連合に参加したすべての国々に言及する場合のように、意地悪は意図的、偽善的、かなり意図的なものになり得るのだ」。

そしてこの間、NATOは東方への拡張を続け、陸と海の境界線での大規模な戦争演習で、ますます公然とロシアを標的にするようになったのである。


米国のウクライナ掌握作戦

ロシア包囲網は、2014年の米国によるウクライナ掌握で質的な飛躍を遂げた。西側メディアはこの複雑な出来事を民衆の蜂起と言い換えたが、民衆の蜂起は独自の目的を持った勢力に乗っ取られることがあり、この事件もそうであった。選挙で選ばれた大統領ヴィクトール・ヤヌコヴィッチは、欧州の指導者たちとの合意で早期選挙に合意した翌日、暴力によって倒されたのである

数十億ドルの資金と極右過激派による銃撃殺人事件によって、ビクトリア・ヌーランド米国務次官補(「EUなんてくそくらえ」)が公然と指示した政権交代が行われ、キエフの指導者は主にワシントンにより、NATOへの加盟を熱望するような者が選ばれたのだ。

年末までに、「民主的なウクライナ」の政府は、大部分が米国が承認した外国人の手中にあった。新財務大臣はウクライナ系のアメリカ人、ナタリア・ジャレスコで、国務省に勤めた後、民間企業に転身した背景を持つ者であった。経済相はリトアニア人のアイヴァラス・アルボマヴィチュスで、バスケットボールの元チャンピオンである。保健相には、グルジアの元保健・労働大臣、サンドロ・クヴィタチヴィリが就任した。

その後、失脚した元グルジア大統領ミヘイル・サアカシビリが、問題のオデッサ港の責任者として召集された。そして、ジョー・バイデン副大統領は、息子のハンター・バイデンがウクライナのガス会社ブリスマで利益を生む地位を得たため、キエフ内閣の改造に直接関与することになったのである。

このような反ロシア的な政権交代は、ロシア系住民の多い南東部では抵抗運動を呼び起こした。オデッサで40人以上の抵抗者たちが焼き殺された8日後、ルガンスク州とドネツク州がクーデターに抵抗し、分離独立に動いた。

(挿入:2014年5月2日のオデッサ労働組合会館における出来事の映像

その後、米国が設置したキエフ政権はこれらの地域に対する戦争を開始し、8年間続き、何千人もの市民が犠牲になった。

そして、住民投票によってクリミアはロシアに返還された。クリミアの平和的返還は、ロシアの主要な海軍基地であるセバストポリをNATOの脅威から守るために不可欠であったことは明らかである。1954年にフルシチョフがウクライナに移管した際、クリミアの住民はその移管を認めていなかったから、この返還は無血で、民主的な投票によって達成された。これは、1999年にNATOが空爆によってセルビアからコソボを切り離したのとは対照的である。

しかし、米国と西側諸国の多くにとっては、コソボで起きたことは人道的な行為と映り、クリミアで起こったことは許しがたい侵略行為であったのである。


大統領府が用意したNATOへの裏口

ロシアは、NATOの拡大がウクライナを包含してはならないと警告し続けた。欧米の指導者たちは、ウクライナがどのような同盟を選んでも加盟する「権利」を主張する一方で、すぐには実現しないとも言い、揺れ動いていた。フランスやドイツなどのNATO加盟国が拒否権を発動する可能性は常にあった。

しかし、その一方で、2021年9月1日、ウクライナはホワイトハウスによってワシントンの特別な地政学的ペットとして採用された。NATO加盟は、遅ればせながら形式的なものになった。ホワイトハウスが発表した「米・ウクライナ戦略的パートナーシップに関する共同声明」は、「ウクライナの成功は、民主主義と独裁主義の間の世界的な闘争の中心である」- つまり、自由世界対共産主義に代わる、ワシントンの現在の自己正当化イデオロギー二元論である-と発表している。

さらに、ロシアに対する恒久的な詭弁を披瀝した。

「21世紀には、国家が力によって国境を画定することは許されない。ロシアはウクライナでこの基本原則を破った。主権国家は、自ら決断し、自ら同盟を選択する権利を有する。米国はウクライナに寄り添い、ロシアの侵略の責任を追及する努力を続けていく。ウクライナの主権と領土の一体性に対するアメリカの支持は揺るぎない。」

声明はまた、キエフのドンバスに対する戦争を 「ロシアの侵略 」であると明確に述べている。そして、このように妥協のない主張をしている。「米国は、ロシアによるクリミア併合と称するものを認めず、今後も認めない...」。(太字は筆者)。この後、ウクライナの軍事力強化への約束が続く。ドンバスやクリミアを取り戻すことを視野に入れたものであることは明らかだ。

2014年以降、米英は密かにウクライナをNATOの補助機関として、心理的・軍事的にロシアに敵対するように変貌させた。私たちにはどのように見えたとしても、ロシアの指導者たちには、これはますますロシアへの全面的な軍事攻撃、バルバロッサ作戦の再来に向けた準備にしか見えなくなっていた。「プーチンを理解」しようとした私たちの多くが、ロシアの侵攻を予見できなかったのは、それがロシアの利益になるとは思えなかったからだ。私たちは今でもそう思っている。しかし、彼らは紛争を避けられないと見て、その瞬間を選んだのだ。


曖昧な呼応

プーチンは、2022年2月のロシアのウクライナでの「作戦」を、ルガンスクとドネツクでのジェノサイドを止めるために必要であると正当化したのである。これは、米国が推進するR2P、保護責任論、とりわけコソボでの「ジェノサイド」を防ぐためとされる米国とNATOによるユーゴスラビアへの空爆と呼応するものだった。現実には、法的にも、特に人的にも、ドンバスの状況は当時のコソボのそれよりもはるかに悲惨な状況にある。しかし、欧米ではドンバスとコソボを比較しようとすると、「誤った同等性」あるいは「what-about-ism」として糾弾される。

しかし、コソボ戦争は、ロシアのドンバス侵攻とのアナロジーを大きく超えたものだった-大義なのである。

何よりも、コソボ戦争は、NATOがもはや防衛的な同盟ではないことを明らかにした。むしろNATOは、米国の指揮下で、自ら選んだ国を爆撃し、侵略し、破壊することを承認できる攻撃的な軍隊になっていたのである。大量虐殺の危険性、人権侵害、「自国民を殺す」と脅す指導者など、口実はいつでも作ることができた。どんな大げさな嘘でもいいのだ。NATOがその触手を伸ばしている以上、誰も安全ではない。リビアは2番目の例となった。

プーチンが発表した「非ナチ化」という目標も、西側諸国ではピンと来るかもしれない。しかし、どちらかといえば、「ナチス」が東西で全く同じ意味を持つわけではないことを物語っている。西側諸国、ドイツやアメリカでは、「ナチ」は主に反ユダヤ主義を意味するようになった。ナチスの人種差別は、ユダヤ人、ロマ人、そしておそらく同性愛者にも適用される。

しかし、ウクライナのナチスにとって、人種差別はロシア人に適用される。ウクライナの治安部隊に組み込まれ、アメリカ人とイギリス人によって武装・訓練されたアゾフ大隊の人種差別は、ナチスのそれと同じだ。ロシア人は混血で、中世のモンゴルの征服によって部分的に「アジア人」であり、一方ウクライナ人は純白のヨーロッパ人であるというのだ。

これらの狂信者の中には、自分たちの使命はロシアを破壊することだと公言している者もいる。アフガニスタンなどでは、アメリカはイスラムの狂信者を支援し、コソボでは暴力団を支援した。彼らが自分たちの味方としてスラブ人と戦うのなら、彼らがどういう考えの持ち主かなどはどうでもいいことなのである。

(ジャーナリスト Dan Cohen 氏の3月15日ツイッターより:ウクライナ24TV局で、ナチスを賛美しロシア人を殺すと公言しているクリップ


相反する戦争の目的

ロシアの指導者にとって、彼らの軍事「作戦」は、彼らが恐れる西側諸国の侵略を阻止するためのものである。彼らはまだウクライナの中立を交渉したいのだ。戦略家ズビグニュー・ブレジンスキーが、ロシアをアフガニスタンの罠に誘い込んだ(彼らに「彼らのベトナム」を与えた)と自慢していたアメリカにとって、これは彼らの終わりなき戦争における心理的勝利である。西側諸国はかつてないほど団結してプーチンを憎んでいる。プロパガンダと検閲は、世界大戦のレベルをも凌駕している。ロシアはこの「作戦」を早く終わらせたいに違いない。様々な意味で彼らにとってコストがかかるからだ。アメリカはこの戦争を防ぐすべての試みを拒絶し、戦争を誘発するためにあらゆることを行い、その継続からできる限りの利益を引き出すだろう。

今日、ヴォロディミル・ゼレンスキーは、米国議会に、ウクライナにもっと軍事援助を与えるよう懇願した。その援助は戦争を継続させるだろう。アンソニー・ブリンケン氏がNPRに語ったところによると、米国は「ロシアが国を近代化するために、また、主要産業である防衛や航空宇宙、ハイテク部門、エネルギー探査を近代化するために必要な技術を持たせない」ことで対応しているそうだ。

アメリカの戦争の目的は、ウクライナを救うことではなく、ロシアを破滅させることである。それには時間がかかる。

危険なのは、ロシアがこの戦争を終わらせることができず、アメリカが戦争を継続させるためにあらゆる手段を講じることだ。


Diana Johnstone ダイアナ・ジョンストンは、1989年から1996年まで欧州議会の緑の党の報道官を務めた。最新作『Circle in the Darkness: Memoirs of a World Watcher[闇の中の円環:一人の国際情勢評論家による回顧録]』 (Clarity Press, 2020)では、ドイツの緑の党が平和政党から戦争政党に変貌するにあたっての数々の重要なエピソードが語られている。その他の著書には『Fools’ Crusade: Yugoslavia, NATO and Western Delusions [愚か者の十字軍 ユーゴスラビア、NATO、西側諸国の妄想]』(Pluto/Monthly Review) がある。また、父親であるポール・H・ジョンストンとの共著で、『From MAD to Madness: Inside Pentagon Nuclear War Planning [MADから狂気へ ペンタゴンの核戦争計画の内幕]』 (Clarity Press)がある。連絡先: diana.johnstone@wanadoo.fr


Wednesday, March 30, 2022

この戦争の本質を捉えるために:元豪陸軍将校のキャメロン・レッキー氏「西側諸国の方向転換が必要」 Former Australian Army Officer Cameron Leckie: "A Major Change in Direction is Required in the West."

オーストラリアで定評のあるネットメディア Pearls and Irritations (元駐日オーストラリア大使でビジネスマン、評論家でもあるジョン・メナデュー氏が2013年に創立)に3月30日に掲載されたキャメロン・レッキー氏(元オーストラリア陸軍将校、いまは博士課程在籍)の評論「ウクライナ-西から東への決定的なパワーバランスの移行」の日本語版を掲載します。西側(米国)中心主義の報道ばかりに囲まれているとなかなか見えてこないかもしれない、この戦争について冷静で俯瞰的な見方をしている記事かと思いました。

「真実は戦争の最初の犠牲者であると言われて久しい。今回の紛争が例外であると考えるのは賢明ではないだろう。したがって、この戦争に関するメディアの報道と分析には、あらゆる側面から健全な懐疑の目を向けなければならない。」

は私も3月17日の琉球新報の記事で強調したことです。だんだん西側からもこのような発言をする人が増えてきていると感じています。(乗松聡子)

The Ukraine – a decisive transfer of the balance of power from west to east

Mar 30, 2022

https://johnmenadue.com/cameron-leckie-a-decisive-transfer-of-the-balance-power-from-west-to-east/?fbclid=IwAR2-zlLeYAvufP0p8UscsLEFl20RsvI0fRuh5CgnpWiz7WMZFhNFeJ9LnmY

ウクライナ-西から東への決定的なパワーバランスの移行

キャメロン・レッキー著

2022年3月30日

2022年の露・ウクライナは、ロシアと欧米諸国との代理戦争でもある。パワーバランスが西側から東側に決定的に移行することを覚悟しなければならない。戦闘の大部分は、西側ジャーナリストがほとんどいないドンバスで起きている。

オーストラリアや西欧諸国では、現在進行中のロシア・ウクライナ戦争に関する議論や報道のほとんどが、明らかに陳腐なものである。極めて複雑な状況を単純化して、プーチンとロシアは悪で、ウクライナは善であると要約できるような物語を作り出すことが特徴である。

このような極端な単純化は、戦争の原因、戦争の性質、その広い意味合い、そして何よりも、どうすれば最小限の死傷者数とウクライナのインフラへの被害で戦争を終結させることができるかを理解する上でも役立たない。

戦争そのものを報道する代わりに、紛争に関する人間味のある報道が圧倒的に多いのは、そのためである。ウクライナ兵の勇敢な活躍やロシアによる戦争犯罪の疑惑とともに、家族がバラバラになったという悲痛な例は、重要ではあるが、事件の経過を正確に描くというよりは、感情的な反応を引き起こす傾向がある。

その理由のひとつは、戦闘の大部分を占めるドンバスやマリウポリ周辺に、欧米の主流記者がほとんどいないことにある。その結果、ウクライナ側からの主張(多くは未検証で検証不能)、前述の人情話、あるいは主要都市とその周辺でのミサイル攻撃の影響によって空白が埋められることになる。真実は戦争の最初の犠牲者であると言われて久しい。今回の紛争が例外であると考えるのは賢明ではないだろう。したがって、この戦争に関するメディアの報道と分析には、あらゆる側面から健全な懐疑の目を向けなければならない。

ロシア軍が終結し、ウクライナが実際に勝利しているのではないかという説が有力になっているようだ。このシナリオは、ロシアに負けてほしいという願望や、報道・分析の圧倒的な親ウクライナ偏重、ロシアの目的と戦略に対する誤解に影響された希望的観測である可能性が高い。

ロシア軍は「労力の節約」作戦を展開している。ウクライナの主要都市を守る守備隊を事実上固定し、ドンバスの軍隊を支援できないようにしているのだ。一方、ロシアはウクライナの軍事インフラ(補給、整備、指揮統制施設、防空、大砲、装甲車などの兵器システム)を、空爆、巡航ミサイル、ロケット弾、従来の大砲を組み合わせて、ウクライナ全土で徐々に破壊しつつある。ドンバスには、ウクライナで最も優れた訓練を受け、装備された約6万人の部隊が駐留している。弾薬、燃料、配給品の供給が減り続けていること、空と地上での戦闘力におけるロシアの優位性、これまでの戦闘の影響などが重なり、この部隊が現時点で局所的な戦術レベルの作戦以外に何かできる可能性は低いように思われる。

戦争の初期段階における処理の無能さが指摘されているが、ペンタゴンは、ロシア軍は侵攻に割り当てられた初期の戦闘力の90%近くをまだ保持していると評価している。ロシア軍はマリウポルの占領を完了しようとしており、ドンバスのウクライナ軍が完全に包囲され、その後、破壊されるか降伏を強いられるのは時間の問題であろう。今後、数週間、数ヶ月の戦闘が続くかもしれないが、外部からの介入(直接の軍事介入を繰り返し否定してきたNATOなど)がない限り、ロシアがその軍事目的を達成するであろう兆候がある。

しかし、ロシアとウクライナの直接的な対立は、この対立の一つのレベルに過ぎない。ウクライナは、実はもっと大きな紛争における不幸な駒なのだ。長年ロシアを分析してきたギルバート・ドクトロウが指摘するように、これは「米国とロシア連邦の本格的な代理戦争であり、米国の世界覇権を終わらせるか永続させるかに関わるもの」なのである。ウクライナでの戦争は遅かれ早かれ終わるだろうが、この代理戦争の世界規模での意味は、より大きな期間、より大きな影響を及ぼすことになる。

ロシアの侵攻に対する西側の対応は、ウクライナへの軍事援助を大幅に増やし(これは戦争の結果を変えそうにない)、ロシアに対して前例のない規模と性質の経済(および文化)制裁を実施することであった。

このアプローチは複数の理由からうまくいきそうにない。その第一の理由は、前回の記事で述べたように、「アメリカやヨーロッパが実施できる制裁で、ロシアよりもそれらの国々に大きな影響を与えず、西側諸国の間にさらなる分裂をもたらさないものは存在しない」ということである。

今回の制裁はロシア経済に破壊的でマイナスの影響を与えるだろうが、ロシアが世界経済にとってあまりにも重要であるという単純な事実から、壊滅的な打撃を与えることはないだろう。制裁の最初のショックは、ロシアの金融システムの崩壊を引き起こすことはなかったし、銀行の経営破綻を引き起こすこともなかった。ルーブルはすでに対米ドルでいくらか値を戻し、ロシアは(今のところ)国債の返済を済ませている。

ロシアは孤立しているとは言い難い。国連総会で過半数の国がロシアに反対票を投じたが、それ以上に重要なのは、ロシアに制裁を加えていない国である。欧米諸国以外では、世界第2位と第6位の経済大国である中国とインドを含め、ロシアを制裁している国はほぼ皆無である。

ロシアには、エネルギー、鉱物、農産物の買い手がたくさんいる。ロシアの「非友好国リスト」に載っていない国々は、インドとのルピー・ルーブル原油メカニズムやパキスタンとの天然ガス・穀物取引ですでに証明されているように、輸出のための優遇措置を受けることができる。

欧米企業のロシアからの撤退の影響は、短中期的には混乱をもたらすが、長期的にはロシアの輸入代替政策の拡大や他国からの商品調達によって対処することになるであろう。すでにロシアでは中国製携帯電話の販売が2倍以上に増え、中国の金融会社である銀聯がVISAやマスターカードに取って代わっているとの報告もある。制裁政策の効果は、1億4千万人の市場を中国やインドの企業に永久に譲り渡すことになるのかもしれない。

戦争が始まる前、アメリカやヨーロッパを含む多くの国々は、エネルギーコストの高騰を主因とするインフレの危機に直面していた。その状況は、現在でははるかに悪化している。ヨーロッパはすでにエネルギー不足に陥っている。ロシアのエネルギーを代替する試みは、時間がかかり困難である。セルビア大統領は、このような状況を次のように表現している。

「自滅するわけにはいかない。石油・ガスの領域でロシアに制裁を加えれば、自滅することになる。戦いに突入する前に自分の足を撃ってしまうようなものだ。」

特に欧州に対する制裁政策の正味の効果は、当面、原材料(エネルギー、基礎鉱物、肥料など)の構造的な価格上昇と不安定なサプライチェーンであると思われる。生活水準は低下し、欧州全域で生じている生活コストへの抗議は、大規模な国内政治危機へと発展する可能性が高い。

中央銀行の資産凍結という前例のない制裁措置は、欧米の金融システムに対する信頼も損ねることになる。各国は米ドルと取引するリスクを最小限に抑えようとするため、脱ドル化の流れは今後急速に加速するだろう。

欧米列強の影響力は世界的に低下している。UAEとサウジアラビアの首脳はバイデン大統領からの呼び出しを拒否しているが、これは数年前でも考えられなかったことである。最近、英国のインドへの代表団がキャンセルされ、インドと中国がロシアに対して西側の路線に「従おう」としないことも、重要な指標となっている。

西側諸国は、制裁がロシアに与える影響を過大評価し、その影響を十分に考えず、その結果に対する備えもなく、自分たちの行動を覆す実行可能な手段もないことは明らかであるように思われる。一方、世界の大多数の国は、ロシアとの貿易を継続し、その関係を維持するだろう。それは、そうすることが自国の利益になるという単純な理由からだ。

キショア・マフブバニは、「アジアの21世紀になる」と予言した。2022年2月24日以前は、西から東へのパワーバランスの移行は、10年単位の時間枠で起こる長期的なプロセスとして進行していた。しかし、ロシアのウクライナ侵攻に対する欧米の対応は、このプロセスを急速に加速させている--オウンゴールである。2022年が決定的な転換点となる可能性は十分にある。残念ながら、西側諸国政府とその迎合的なメディアは、自分たちの行動が何を引き起こしたのか、まだピンときていないようだ。賢明な利己主義者は、オーストラリアを含む西側諸国が、悪い状況を最大限の努力で活用するために、大きな方向転換が必要であることを示唆している。

(おわり)


キャメロン・レッキーは24年間、オーストラリア陸軍の将校として勤務していた。農業エンジニアで、現在は博士課程に在籍している。

元記事はここです。

「NATOが問題なのである。NATOを解決策とするのは間違い。」ウクライナをNATOに加入させようとしたカナダの責任(イブ・エングラー記事の日本語訳)Yves Engler: NATO IS A PROBLEM, NOT THE SOLUTION (Japanese Translation)

 PopularResistance.orgに掲載されたカナダの作家・活動家のイブ・エングラー氏による記事を Rachel Clark 氏による翻訳で紹介します。RachelさんのFBよりエングラー氏の紹介を引用します。

Yves Engler
イヴ・エングラーはモントリオールを拠点とする活動家で、最新作『Stand on Guard For Whom?』, A People's History of the Canadian Military(カナダ軍の民衆史)』など12冊の本を出版。イヴの両親はバンクーバーの労働組合活動家であり、国際連帯、フェミニスト、反人種差別、平和などの進歩的運動に参加する左翼的な環境だった。彼はデモ行進のほか、ホッケーの選手としても育った。B.C.ジュニアリーグでプレーする前は、モントリオールのヒューロン・ホケラガで元NHLのスター、マイク・リベイロと幼い頃からチームメイトだった。

NATO IS A PROBLEM, NOT THE SOLUTION

https://popularresistance.org/nato-is-a-problem-not-the-solution/?fbclid=IwAR2zg2RFQzPUY3I5umyoL6aUlkmbSKCYee9VOjXpjnEwwtYjbqtyv4wmnqU

ロシアの犯罪的な侵略を許すわけではないが、NATOの東方拡大がその可能性を高めた。異なる状況下で戦争が起こらなかったかどうかは分からないが、ロシアによるウクライナへの暴力が1ヶ月続いた後、両国の交渉担当者は、平和協定の一環としてNATOへの加盟を拒否することで合意したと報じられている。

ロシアは長い間、NATOの東方拡大、特にウクライナの事実上の同盟への編入に反対してきた。特にウクライナの事実上の同盟加入には長い間異を唱えており、不法な侵略に至るまでの数ヶ月間、NATOが自国の領土を包囲することに繰り返し異を唱えていた。

先週、EUの外交政策の責任者であるジョセップ・ボレルは、NATOをウクライナに拡大しようとする動きが誤りであったことまで認めた。ボレルはフランスのテレビ局TF1に対し、「私たちは多くの間違いを犯し、ロシアが西側と和解する可能性を失ってしまったことを認める用意がある」と述べた。「例えば、ウクライナとグルジアをNATOの一員にするという約束などだ。南アフリカのシリル・ラマフォサ大統領、中国の習近平国家主席、ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領は、いずれもNATOの好戦性を現在の戦争を引き起こした中心的な要因として挙げている。

カナダの議会やメディアは長年にわたり、ロシアがNATOの拡大に反対していることを指摘してきた。2004年のナショナル・ポスト紙は、北米が資金援助したウクライナのオレンジ革命について、モスクワが同盟への加盟に反対する理由を説明している。「ロシアにとって、ウクライナがNATOに加盟し、黒海の港や北部の空港を西側の軍艦や戦闘機の避難所にするならば、それは心臓に短剣を突き刺すようなものだ」と国際問題記者のマシュー・フィッシャーは書いている。

NATOへの加盟は、ウクライナの軍事政策、さらには外交政策を同盟に従属させることを意味する。他のほとんどのヨーロッパのNATO加盟国と同様に、ウクライナもまた、米国の攻撃的な兵器システムを受け入れる可能性が高い。

それにもかかわらず、カナダはNATOの拡大を強力に推進し、1999年に16カ国だった同盟を現在では30カ国まで拡大させている。ソ連がドイツの再統一を受け入れるなら、NATOは一歩も東へ拡大しないと約束したにもかかわらず、ジャン・クレティアン首相は1993年の就任と同時に新規加盟を推し進めた。1990年代初頭、ウクライナがNATOの「平和のためのパートナーシップ」と「北大西洋協力会議」に加盟すると、カナダは同国を「軍事訓練・協力プログラム(MTCP)」に追加した。「カナダのウクライナへの関与」のページによると、1993年以来、「ウクライナはMTCPの下で訓練と資金提供を受けた最大の国」である。

1996年までにクレティアン首相は、ウクライナのNATO加盟を公然と要求していた。しかし、ウクライナ人とその政治家たちは、この問題に対してやや両義的であった。2004年、カナダと米国は、NATOへの加盟を強く支持する人物を政権に就かせることに成功した。オレンジ革命で大統領になったヴィクトル・ユシチェンコは、その1カ月後、NATO首脳会議の傍らでジョージ・W・ブッシュ大統領に会った。2005年2月の会談で、ブッシュ大統領はウクライナのNATO加盟を支持することを宣言した。カナダのポール・マーティン首相もNATOとの関係深化を支持すると表明した。その後1年間、NATOはウクライナのNATO加盟に向けて歩み始め、ユシチェンコ大統領はNATOへの完全加盟を推し進めることになる。

しかし、ほどなくして、ウクライナの有権者がNATOの拡大主義者に打撃を与えた。2006年の議会選挙でヴィクトル・ヤヌコヴィッチ率いる地域政党が最多得票を獲得し、2008年初頭にはNATOをめぐる論争で議会が6週間にわたって事実上閉鎖された。この時点の世論調査では、ほとんどのウクライナ人がNATOへの加盟を拒否していた。2011年、米国国家安全保障会議の元ソ連専門家F・スティーブン・ララビーは、ウクライナ人の4分の1がかろうじて同盟への加盟を希望していると報告した。ウクライナ人は一般的に、NATOを保護というより脅威とみなしていた。

それでもスティーブン・ハーパー首相は、ジョージ・W・ブッシュと一緒になってこの問題を押し進めることを止めはしなかった。2008年4月のNATO首脳会議に向けて、ハーパー首相はウクライナのNATO加盟に「強い支持」を表明した。「私はNATOのパートナーに、ウクライナを同盟への完全加盟に向けて前進させ続けることに同意するよう呼びかける」とハーパーは宣言した。しかし、ドイツとフランスはウクライナの加盟に強く反対した。彼らはロシアの反応を懸念し、北米が支配する同盟が欧州中心の安全保障構想をさらに弱体化させることを懸念していた。

2010年の大統領選挙でヤヌコビッチ氏が勝利すると、NATOへの加盟は一時停止された。2010年6月、ウクライナ議会はNATO加盟を断念することを決議した。しかし、アメリカとカナダは2014年2月にヤヌコビッチ追放を支援した。ヴィクトリア・ヌーランド米国務次官補とジェフリー・パイアット駐ウクライナ米大使が違憲のクーデター後の政府を率いるために選んだ人物、アルセニー・ヤツェニウクは、ウクライナをNATO加盟への道に導くよう議会に求めると発表した。2014年12月、議会はウクライナの非同盟の地位を放棄し、NATOへの加盟を求めた。

それ以来カナダは、ヤヌコビッチ退陣の余波で大きく崩壊したウクライナ軍をNATOに加盟させるために、多大な資源を投入してきた。元国防相のハルジット・サジャンは、「ウクライナ軍がNATOに加盟できるよう、7年間にわたり200人のカナダ人指導官が”ユニファイアー作戦”を通じて『ウクライナ軍を近代化』することに取り組んできた」と指摘している。2017年の国防常任委員会の報告書「危機と武力紛争におけるカナダのウクライナ支援」は、「ウクライナは...NATO加盟国と完全な軍事相互運用性を達成するつもりだ」とし、カナダが「積極的に支援に従事している」と指摘した。1月30日付のラ・プレス紙は、「カナダの訓練により、ウクライナ軍はNATOとの共同演習を行うことができる 」と報じた。この記事は、リュック・フレデリック・ジルベール中佐の発言を次のように引用した。「我々は、彼らがNATO軍と相互運用できるような状況に持っていくために働いている。ソ連型に基づいた軍隊をNATO型に変えていく、それが我々の目指すところだ。」

ウクライナの同盟加盟の可能性を支援するため、カナダは国防改革に関するNATO・ウクライナ合同作業部会を支援し、カナダは2019年からキエフのNATOコンタクト・ポイント(連絡窓口)大使館の役割を分担している。

2020年6月、NATOはウクライナに「Enhanced Opportunity Partner (機会拡張パートナー)ステータス」を提示した。英国政府の報告書「ウクライナへの軍事支援2014-2021」によると、「このステータスは、相互運用性を高めるために、NATOの演習、訓練、情報および状況認識の交換への優先的なアクセスをウクライナに提供するものである。2020年9月、ウクライナは英国、米国、カナダ軍による”ジョイント・エンデバー”演習を主催し」、それは、「ウクライナの新しい強化された地位の下で行われた最初の演習であった。」とある。

その後も大規模な演習がいくつも組まれ、2022年には数万人規模の部隊が参加する演習も計画されていた。

ウクライナのNATO化の進展に呼応して、モスクワはより好戦的になった。2021年4月には5万人のロシア軍を国境沿いに集結させてウクライナを脅かし、11月末にはロシアは再び数万人の軍隊を隣国近くに駐留させた。モスクワはウクライナをNATOに編入させないという保証を要求したが、これは正式に拒否された。

ウクライナ人をロシアを弱体化させるための大砲の餌と見なし、カナダの外務大臣はそれを強気に出た。1月中旬、メラニー・ジョリー外相は「カナダの立場に変わりはない...我々はウクライナがNATOに加盟できると信じている」と繰り返した。

ロシアの侵攻は国際法違反だが、カナダはウクライナにNATO加盟を求めるべきではなかった。今、オタワは、カナダはウクライナの同盟への加盟に反対し、(オーストリアやフィンランドと同様に)中立を保つことを支持すると明確に表明すべきだ。

平和を願うカナダ人は、カナダをNATOから脱退させるための努力を倍加させるべきだ。たとえ同盟の東方拡大がロシアの犯罪的侵略を促進する上で小さな役割しか果たしていなかったたとしても、過去20年間にリビア、アフガニスタン、ユーゴスラビアを攻撃した同盟に反対するもう一つの理由として追加できるのである。

先週、ボリビアのエボ・モラレス前大統領はこう述べた。「NATOは世界平和と安全保障にとって危険だ。だから我々は、ラテンアメリカだけでなく、すべての大陸の社会運動と合意を結び、NATOを廃絶させなければならない。NATOに対して何もしなければ、人類にとって永遠の脅威となるだろう。」

(以上)