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Sunday, September 27, 2026

ISF公開シンポジウム「イラン・ウクライナ危機と変容する世界秩序~日本はいかに対応すべきか」ISF Public Symposium: “The Crises in Iran and Ukraine and the Changing World Order: How Should Japan Respond?”

10月15日追記:シンポは成功裏に終わりました。報告と動画集はこちらをご覧ください。

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10月9日(金)、ISF独立言論フォーラム主催・村山談話を継承し発展させる会協賛で、公開シンポジウム「イラン・ウクライナ危機と変容する世界秩序~日本はいかに対応すべきか」が開催されます。鳩山友紀夫元総理、ニコライ・スタニスラヴォヴィチ・ノズドリェフ駐日ロシア大使、ペイマン・セアダット駐日イラン大使の講演会に、孫崎享さんとともにコメンテーターとして参加させていただきます。

申し込みフォームはこちらをクリックしてください。

メールでの申込は、公開シンポ、お名前を記載の上、info@isfweb.orgまでメールしてください。



Wednesday, September 02, 2026

ICC赤根所長応援は日本人ナショナリズム発揚の場となっていないか―ICCの政治的、歴史的文脈を提供するベン・ノートン記事を紹介 Has Support for ICC President Akane Become a Vehicle for Promoting Japanese Nationalism? Introducing an Article by Ben Norton That Provides Political and Historical Context

国際刑事裁判所(ICC)が日本のメディアで大きな話題になっているが、ジャーナリスト、ベン・ノートン氏の2023年3月29日の記事「米国はかつて国際刑事裁判所への軍事侵攻をちらつかせた。今やプーチンを標的にするICCを歓迎」の翻訳を紹介したい。当時も訳したい!と思いながら流れてしまった記事だった。ICCも公平とは言えないこと、米国がICCの構成員を制裁するのは初めてではないこと、ICCの管轄権行使に長年反対し、ICC関係者への制裁まで行ってきた米国がプーチン大統領への逮捕状を歓迎した二重基準など、昨今のニュースに歴史的、政治的文脈を提供できる貴重な記事と思う。

8月18日、「トランプ政権がICC(国際刑事裁判所)の赤根智子所長らに制裁を科す」というニュースが、日本で大きく報じられた。もちろん「法の支配」を標ぼうする国際組織に対し一国の政権が恣意的な制裁を加えるのは間違っている。ただ、私が違和感を感じるのは、どうして日本のメディアが、にわかにこの件について大騒ぎしているかということである。答えは明らかだ。現在の所長がたまたま日本人だからである。メディアで多用されている赤根智子所長「ら」という表現に象徴されている。ICCは8月19日に声明を出し、「国際刑事裁判所(ICC)は、米国政府が、同裁判所の所長である赤根智子判事(日本)および検察局の上級法廷弁護士アブドゥライ・セイ氏(セネガル)を新たな制裁対象に指定すると発表したことに、強い遺憾の意を表する」と言っている。アブドゥライ・セイ氏というちゃんと名前のある弁護士も今回制裁対象になった。制裁されているもう一人の人を「ら」で済ませることができてしまうところに、日本人のナショナリズムが見え隠れする。

この記事でも指摘されているようにICCはアフリカ諸国など主に非白人国あるいは非西側国の人間ばかりに逮捕状を出してきた経緯があり、「インターナショナル・コロニアル・コート」(国際植民地主義裁判所)とか「インターナショナル・コケージアン・コート」(国際白人裁判所)といった批判を受けてきた。セネガル人の弁護士の存在を無視するのは日本のメディアや世論にも日本人偏重だけでなく西側偏重、白人偏重の傾向があるのではないかと思ってしまう。これが、ワールドカップで日本が勝ったとか、そもそもナショナリズムが前提のプラットフォームでの話だったら敢えて言うこともないが、ICCのような国際組織の構成員に起こったことをその国籍によって扱いを変えるというのは理にかなったこととは言えない。

高市首相がこの件について「残念」「深刻」だという表明にとどまっていることで「弱腰だ」といった批判があるようだ。私は高市首相を支持していないが、ここで日本政府が、日本国籍者だからといってICCの特定の構成員の制裁について米国政府と直談判することを求めるのは、ある意味で、自国の都合でICC構成員に制裁する米国と同じ土俵に立った考え方である。日本政府がICC締約国として、アフガニスタンでの米軍・CIA要員らの戦争犯罪容疑の捜査や、ガザをめぐるネタニヤフ首相らへの逮捕状に関与したことなどを理由に制裁されている、現在13人のすべてのICC関連被制裁対象者について米国に抗議するというのなら筋が通っていると言えようが、日本のメディアや世論はもっぱら「赤根所長」コールばかりである。この記事にもあるように、締約国ではない米国がICC構成員に制裁を課すのは初めてのことではないが、過去のケースについて日本メディアや世論は今回のように盛り上がらなかった。

残念なのは、赤根氏自身がこの日本の自国中心的な赤根氏応援に乗っかっているように見えることだ。8月26日の「報道ステーション」で大越キャスターが赤根氏にインタビューしていたが、赤根氏は、日本のNGOが始めた赤根氏制裁の撤回を求める署名を毎日見ていると言い、「これこそ日本人だな、とつくづく思う」と言っていた。赤根氏もこの件を日本人賛美につなげている。このような文脈で「日本人」という概念が使われるとき、日本のいわゆる「日本人」ではない市民たちがどのような疎外感を味わうかなど思いも至らないのであろう。ちなみに9月3日の時点で14万筆近く集まっているこの署名は「赤根所長」のみを対象とし、他に制裁されているICCの関係者は含まれていない。赤根氏はこういうときこそ「日本人だからではなく、ICCの締約国としてすべての制裁対象者を応援してほしい」と伝えることができたのではないか。

また、赤根氏は、ロシアのウクライナ侵攻を受けて「目が覚めた」と言っており、「第二次大戦後、ヨーロッパではこういうこと(戦争は)起きないという考えがあった」と言っていたことにも驚いた。

「私はウクライナ侵攻の時に目が覚めたんですね。第2次世界大戦以降、そうしたことはヨーロッパで起きないと。国連もできたしという考えが広くあったと思います。他の地域はともかくとしてですね。そうした大きな戦争がヨーロッパでは起きないと。それが私としては打ち砕かれた感じがして」

赤根氏の発言からは、1990年代に旧ユーゴスラビアのクロアチア、ボスニア、コソボなどで起き、ボスニアとコソボにはNATOも介入した血みどろの紛争が、すっかり抜け落ちている。また「他の地域はともかくとして」という言い方はどうなのだろうか。「ともかく」と言われた地域の人たちが聞いたらどう思うかと思いが至らないか。国連設立以降、欧州以外で起き、米国など西側諸国が遂行または介入した朝鮮戦争、ベトナム戦争、イラク・アフガン戦争、パレスチナ戦争などでは赤根氏の目は覚めなかったということだ。

赤根氏の西側バイアス、欧州の旧社会主義国やグローバルサウスの国々への軽視を感じざるを得ない。ノートン氏がここで指摘するICC自体の西側バイアスにも通じるように見える。逆に、西側が30年の挑発と威嚇を繰り返した上で起きたのに西側ではロシアが一方的な「悪」とされている戦争によってのみ「目が覚めた」のか。ロシアのプーチン大統領とマリア・リボア=ベロワ大統領全権代表(子どもの権利担当)の、ウクライナの子どもの「占領地域からの違法な追放・移送」容疑についても、ロシア側の、戦闘地域で危険に晒されていた子どもたちを安全な場所に避難させ保護した人道的措置であり、可能な場合には親や保護者の同意を得ていたという主張に対しどこまでの検討を加えたのか、十分な証拠はあったのかなど疑問が残る。

ベン・ノートン氏は、2025年3月にフィリピンのドゥテルテ前大統領が、麻薬対策における自国民殺害の容疑でフィリピン当局に逮捕されICCに引き渡されたことを受けて、「ICCは西側帝国が標的とした者しか逮捕しない」と断言している。ドゥテルテ氏が米国の言いなりにはならず、中国と良好な関係を築いていて敵視されていたとノートン氏は解説する。2025年にネタニヤフ首相に逮捕状を出したのは西側偏重のICCが名誉挽回するチャンスだったが逮捕には至っておらずネタニヤフ政権下でイスラエル軍はパレスチナやレバノンでの市民虐殺をやりたい放題続けている。米国のバックアップがあってのことだ。

日本の人は日本人バンザイ的な赤根氏応援ではなく、あらためて西側帝国主義に対して無力であるどころか助長しているようなICCの限界と矛盾を冷静に認知し、高市首相の「弱腰」だけでなく、米国に追随し事実上米帝国の一部となっていることを問題視するべきではないか。ナショナリズムを発揮するのなら、日本人スゴイではなく、戦争犯罪を繰り返す帝国に加担することを辞め、日本の独立と主権を取り戻し、アジアの平和的一員となることを目指すのはどうか。

★★★

長い前文になりました。以下、ベン・ノートン氏記事の翻訳です。AI訳に私が手を加えました。 乗松聡子 @PeacePhilosophy 

米国はかつて国際刑事裁判所への軍事侵攻をちらつかせた。今やプーチンを標的にするICCを歓迎


ベン・ノートン 

2023年3月29日

 

グローバル・サウスの多くの国々は、国際刑事裁判所(ICC)を西側に有利な偏向をもつ新植民地主義的機関だとして非難してきた。その指導部は欧州出身者によって占められており、2016年の時点では、同裁判所で裁判にかけられたのはアフリカ人だけだった。

めずらしく意見が一致する点として、米国もまた、国際刑事裁判所(ICC)の設立当初からこれに反対してきた。米国はICCの加盟国ではなく、ワシントンは同裁判所の最高幹部に制裁を科し、裁判官や検察官を逮捕すると脅したことさえある。

実際、同裁判所が2002年にオランダで発足した際、米国は「ハーグ侵攻法」として知られる法律を成立させた。この法律によりワシントンは、ICCで裁判にかけられている者が米国市民であるか、米国の「国家安全保障」上の利益にとって重要だと判断された場合、その者を解放するために米軍を派遣すると威嚇している。

ところが、21年にわたるICCの歴史を通じて同裁判所を容赦なく攻撃してきたワシントンは、突如として180度転換し、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領を逮捕しようとするICCを公然と支持するようになった。

3月17日、ICC所長でポーランド出身のピョートル・ホフマンスキは、NATOとロシアの間のウクライナでの代理戦争で行われたとされる残虐行為をめぐり、プーチンに対する逮捕状を発付した。

ICCの逮捕状が発付されたのは、100万人以上の死者をもたらし、国連のコフィ・アナン事務総長でさえ違法であり国連憲章に違反していると述べた米国のイラク侵攻開始から、ほぼちょうど20年後のことだった。

イラクで犯された戦争犯罪について責任を問われた米国当局者は一人もいない。しかし今、ICCはロシアに狙いを定めている。

ロシアはICCの締約国ではない。ウクライナも正式な加盟国ではない。

モスクワは、この「刑事訴追は明らかに違法」であり、西側諸国に支配された同裁判所のロシアに対する「明白な敵意」の表れだと述べた。

米国はICCの加盟国ではないにもかかわらず、ジョー・バイデン大統領は同裁判所の逮捕状を強く支持した。

米国のアントニー・ブリンケン国務長官は、欧州連合と連携し、ICC加盟国に逮捕状を履行してプーチンを逮捕するよう圧力をかけている。

これはブリンケンにとってかなりの方針転換である。2021年3月、イスラエルがパレスチナ被占領地で犯した戦争犯罪について同裁判所が捜査していた際、米国外交の最高責任者であるブリンケンはICCを激しく非難する声明を発表したからである。

ブリンケンは声を荒らげた。

ICCにはこの問題について管轄権がない。イスラエルはICCの締約国ではなく、同裁判所の管轄権に同意してもいない。ICCがイスラエル人に対して管轄権を行使しようとしていることに、われわれは重大な懸念を抱いている。パレスチナ人は主権国家としての要件を満たしておらず、したがって、国家としてICCの加盟資格を得ることも、国家として参加することも、ICCに管轄権を委ねることもできない。

イスラエルや米国と同様、ロシアもICC加盟国ではない。ところが、加盟国ではないイスラエルの戦争犯罪を同裁判所が捜査することはできないと主張してからわずか2年後、ブリンケンは突如として、ICCは加盟国ではないウクライナのために、加盟国ではないロシアに対して措置を講じなければならないと強く主張している。

米国、ICCに制裁を科し、当局者の家族を脅す

ブリンケンの前任者は、ICCの最高幹部に制裁を科すところまで踏み込んだ。

ドナルド・トランプ大統領の在任中だった2020年、ICCは、米国、NATO、およびその同盟者であるアフガニスタン政府がアフガニスタンで犯した戦争犯罪について捜査を開始した。

これに対し、元CIA長官から国務長官に転じたマイク・ポンペオは、同裁判所を非難する怒りに満ちた演説を行った。

「われわれは、ICCが米国人に対して管轄権を行使しようとするいかなる試みにも反対する。米国人を捜査または訴追しようとする、同裁判所の不適切かつ不当な試みを容認しない」と、同年3月に宣言した。

ポンペオはICCを「恥さらし」であり、「自らが露骨に政治的な機関であることをさらけ出している、“いわゆる”裁判所」だと激しく非難した。そして、「われわれはその権限濫用を暴き、これに立ち向かっている」と主張した。

米国外交の最高責任者はICC最高幹部の家族まで脅し、「われわれは、この党派的な捜査の責任者とその家族を特定したい」と言い放った。

その後、同年9月、米国務省は同裁判所のファトゥ・ベンスーダ主任検察官と同僚らに制裁を科した。

(法律家でアクティビストのセイラ・リア・ウィットソン氏の投稿の翻訳:「衝撃的な国際刑事裁判所(ICC)への攻撃だ。ポンペオ米国務長官は、米国の関与が疑われるアフガニスタンでの犯罪についてICCが進めている捜査をめぐり、名指しした裁判所職員とその家族に対する集団的制裁を課すと脅している」)

2021年初頭にバイデン政権が発足すると、米国によるこれらのICC制裁は解除された。しかしワシントンは、その後も同裁判所への攻撃と妨害を続けた。

米国の国営メディア「ボイス・オブ・アメリカ」はブリンケンの発言を引用し、ワシントンは引き続き「アフガニスタンおよびパレスチナ情勢に関するICCの行動に強く反対」し、米国やイスラエルのような「非締約国の人員に対して管轄権を行使しようとする」ICCの試みに異議を唱えると強調した。

つまりバイデン政権は、米国とNATOがアフガニスタンで犯した戦争犯罪、およびイスラエルがパレスチナ被占領地で犯した戦争犯罪を捜査しようとするICCの試みに強く反対したのである。

しかし、ICCがプーチンを追及するようになった今、ワシントンの政治階級は歓喜している。

一方、国防総省の軍指導部は、より慎重である。

ICCがプーチンに対する逮捕状を発付するわずか1週間前の3月初旬、『ニューヨーク・タイムズ』は次のように報じた。「国防総省は、ウクライナでのロシアによる残虐行為に関する証拠を米国が国際刑事裁判所と共有するのを阻止している、と当局者らは述べた。軍指導部は、それが米国人の訴追に道を開きかねない先例となることを懸念している」

(ニューヨーク・タイムズの投稿の翻訳:「【速報】米国防総省が、ウクライナでロシアが行った残虐行為に関する証拠を米国が国際刑事裁判所(ICC)と共有することを阻んでいると、当局者らが明らかにした。米軍首脳部は、それによって将来、米国人がICCに訴追される道を開くような前例が作られることを懸念している」)

ICCがグローバル・サウス、特にアフリカに対して偏った姿勢を取ってきたことは、十分な根拠をもって指摘されている

国際刑事裁判所には21年の歴史しかないが、グローバル・サウス、特にアフリカに対する著しい偏向を明確に示してきた。

『ロサンゼルス・タイムズ』は2016年、その一方的な姿勢を明確に示す記事を掲載した。「地球上で最も重大な犯罪を理由に同裁判所で裁かれたのはアフリカ人だけである」

同年、カナダの国営メディアCBCは、「国際刑事裁判所、人種差別との非難を受けアフリカ諸国の大量脱退に直面」と報じた。

CBCは、「ICCが現在捜査している10件のうち9件がアフリカに関するもの」であることを認めた。

ブルンジ、ガンビア、南アフリカはICCを人種差別的な機関だと非難し、脱退すると表明した。

ガンビアの情報相は、ICCは「実のところ、有色人種、特にアフリカ人を訴追し、辱めるための国際白人裁判所(International Caucasian Court)である」と述べた。

2016年、ガンビアは実際に同裁判所から脱退した。

南アフリカも脱退したが、のちに同国の高等裁判所が脱退を無効にした。

2017年、アフリカ連合は加盟国にICCからの脱退を呼びかけた。

それ以来、アフリカの知識人はICCを新植民地主義的な機関だとして継続的に非難してきた。

(投稿されている記事の題の翻訳:「植民地主義の遺産を今なお引きずる国際刑事裁判所」) 

ガンビア出身のICC検察官ファトゥ・ベンスーダは、米国とNATOがアフガニスタンで犯した戦争犯罪、およびイスラエルがパレスチナ被占領地で犯した戦争犯罪について捜査を開始し、同裁判所の評判を変えようとしたように見えた。

トランプ政権は制裁と脅迫で応酬した。イスラエルの極右首相ベンヤミン・ネタニヤフは、ICCを「反ユダヤ主義」だと根拠なく非難することで応じた。

しかしベンスーダの取り組みは、いかに限定的なものであったにせよ、2021年に彼女の9年間の任期が終了すると頓挫した。

後任には、英国人弁護士で現ICC検察官のカリム・アハマド・カーンが就いた。

カーンは、英国保守党の元国会議員で右派政治家のイムラン・アハマド・カーンの兄である(イムランは小児性犯罪で有罪判決を受けている)。

カリム・カーンはICCを引き継ぐとほぼ直ちに、米国とNATOがアフガニスタンで犯した戦争犯罪、およびイスラエルがパレスチナ被占領地で犯した戦争犯罪についての捜査を打ち切った。

ロイター通信の記事によると、アフガニスタンの人権活動家ホリア・モサディクは、カーンの決定について、「アフガニスタン政府軍、米軍、NATO軍による犯罪の何千人もの被害者に対する侮辱」であると言って批判した。

(ベン・ノートンの投稿の翻訳:「これは大スキャンダルになるべき話だ。国際刑事裁判所(ICC)の新たな主任検察官、カリム・カーン(@KarimKhanQC)は、アフガニスタンで行われた米国の戦争犯罪に対する捜査を、「捜査に充てる人員や資金が不足している」という名目で、ひっそりと打ち切った。米国の戦争犯罪者は、またしても処罰を免れることになった」)

カーンは2021年、ICCは資源不足に苦しんでいるため、代わりに「同裁判所の管轄権に属する犯罪の規模と性質」に重点を置くと主張した。

しかし、正式な加盟国ではないウクライナで行われたとされる残虐行為をめぐり、加盟国ではないロシアの大統領に逮捕状を発付したことは、「同裁判所の管轄権に属する犯罪」に重点を置くというカーンの表明した方針と明らかに矛盾している。

イスラエルのメディアは、ICC加盟国ではないイスラエルが、カーンを主任検察官に選出するよう同裁判所の締約国に圧力をかけるため「舞台裏で懸命に働きかけた」ことを明らかにした。

(イスラエルのジャーナリスト、ノア・ランダウ氏の投稿の翻訳:

「イスラエルの公共放送によると、イスラエルは国際刑事裁判所(ICC)の加盟国に働きかけ、カリム・カーンを主任検察官に選出させた。」

「次から次へと驚くべき話が出てくる。今度は、その報道によると、イスラエルはカリム・カーンを国際刑事裁判所(ICC)の主任検察官に選出させるため、『水面下で懸命に働きかけた』という。」)

2022年、『タイムズ・オブ・イスラエル』はカーンを称賛し、「新たなICC検察官は今日まで、イスラエル・パレスチナに関して公の声明を一度も発表せず、公の行動も一切とっていない」と書いた。

さらに同紙は興奮気味に、「多くのイスラエル当局者は、ベンスーダが9年の任期を超えて在職し続けていたなら、すでに行動を起こし、おそらく逮捕状さえ発付していただろうと考えている」と付け加えた。

ICCは国連機関ではない――ICJは国連機関である

ワシントンの国際刑事裁判所に対する敵対的姿勢は、同裁判所が2002年に正式に発足する以前にまで遡る。

任期満了のわずか3週間前にあたる2000年の最終日、ビル・クリントン米大統領はICCの基礎となるローマ規程に署名した。しかし、後継のジョージ・W・ブッシュ大統領はのちに同条約への署名を撤回した。

その後、ブッシュ政権は新設されたICCに対する政治戦争を展開した。

ブッシュ政権の国務省を率いた人物の一人である筋金入りのネオコン、ジョン・ボルトンは、米国のICC離脱を、自身の「公職人生で最も幸福な瞬間」と呼んだ。(ボルトンは、化学兵器禁止機関のホセ・ブスタニ事務局長の家族に対しても、「われわれは、あなたの子どもたちがどこに住んでいるか知っている」と脅迫した。)

親西側的な偏向で悪名高い、億万長者の寡頭富豪から資金提供を受けるロビー団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」でさえ、2002年7月、「普遍的正義の原則は依然としてワシントンによる深刻な脅威にさらされている」と警告した。しかもこれは、米国政府が悪名高い「ハーグ侵攻法」を成立させる前のことだった。

ブッシュに続き、オバマ、トランプ、バイデン各大統領もローマ規程への再署名を拒否してきた。したがって、米国はICCの加盟国ではない。

トランプがボルトンを国家安全保障担当大統領補佐官に任命すると、このネオコン強硬派は2018年、こう明言した。「われわれはICCに一切協力しない。ICCには加盟しない。ICCが自然消滅するに任せる。結局のところ、実質的に、ICCはわれわれにとってすでに死んでいる」

ボルトンはICCの裁判官や検察官を逮捕するとさえ脅し、こう宣言した。「われわれはICCの裁判官や検察官の米国入国を禁止し、米国の金融システム内にある彼らの資金に制裁を科し、米国の刑事司法制度で彼らを訴追する。米国人に対するICCの捜査に協力するいかなる企業または国家に対しても、同様の措置をとる」

(フランス24の投稿の翻訳:「 米国、アフガニスタンでの戦争犯罪をめぐり米国人を訴追すればICC判事を逮捕すると脅迫」)

ICC加盟国はわずか123カ国である。(国連は世界に193カ国があると認めているため、ICC締約国は3分の2未満であり、それらの国々の人口を合わせても世界人口の半分に満たない。)

締約国ではない主要国には、米国、イスラエル、ウクライナ、ロシア、中国、インド、パキスタン、インドネシア、エチオピア、キューバ、ベトナム、トルコ、サウジアラビア、カタールがある。

国際刑事裁判所(ICC)を設立したローマ規程の署名国


一般に混同されているが、ICCは国連の機関ではなく、国連の正式な司法機関である国際司法裁判所(ICJ)とは別の独立した裁判所である。

ICCが2002年に設立されたのに対し、ICJは1945年に発足した。両者がともにオランダのハーグに置かれていることが、混同にさらに拍車をかけている。

ICJが国家間の紛争を裁くのに対し、ICCは個人を対象とする。

しかし、国連の構造に根本的な問題があるため、ICJの能力は非常に限定されてきた。安全保障理事会の常任理事国が拒否権を行使し、同裁判所の判決の履行を阻止できるのである。

米国はまさにこれを行い、ICJを事実上無力化してきた。

1984年、ニカラグアは、米国によるコントラ支援をめぐり、米国をハーグの法廷に提訴した。コントラとは、同国の革命的なサンディニスタ政権を暴力によって打倒しようと、民間人に対するテロを組織的に行った極右の暗殺部隊である。

「ニカラグア対アメリカ合衆国」事件で、ICJは、コントラのテロリストを支援し、ニカラグアの港湾に機雷を敷設したことにより、ワシントンが国際法に違反したとの判断を下した。

国際司法裁判所(ICJ)は、米国に対しニカラグアへの賠償金の支払いを命じた。しかし、ワシントンはこれを拒否し、判決が履行されるのを阻止するために国連安全保障理事会で拒否権を行使した。


(ベン・ノートン氏の23年3月9日の記事の翻訳はここまで)

Tuesday, September 01, 2026

オッカ君チャネルより「乗松聡子さんに聞く!!カナダから見た米中日関係/高市政権を周辺国はどう見るか/ウクライナと代理戦争の正体/誹謗中傷動画とサナエトークン」Satoko Oka Norimatsu Appears on Isoko Mochizuki’s YouTube Channel

少し時間が経ちましたが、6月14日に、ジャーナリスト望月衣塑子さんの「オッカ君チャネル」に呼んでいただいたときの映像を紹介します。かなり評判が良かったようで、有難いことです。

乗松聡子さんに聞く!!カナダから見た米中日関係/高市政権を周辺国はどう見るか/ウクライナと代理戦争の正体/誹謗中傷動画とサナエトークン

Tuesday, July 21, 2026

神奈川新聞 「日本人は歴史を知る必要ある」 乗松聡子 Kanagawa Shimbun's Interview with Satoko Oka Norimatsu: Japanese People Need to Learn History

神奈川新聞のサイト

神奈川新聞から取材を受け、7月17日に掲載してもらいました。


時代の正体 高市政権考

嫌中感情「日本人は歴史を知る必要ある」 平和教育団体・乗松聡子代表

https://www.kanaloco.jp/member/node/1289703

 高市早苗首相の「台湾有事」発言を契機に悪化した日中関係に改善の兆しが見られず、日本で嫌中感情が広がっている。沖縄や東アジアの平和を巡る問題に詳しい平和教育団体「ピース・フィロソフィー・センター」代表の乗松聡子さんは、日本の中国に対する感情的な反応を懸念し、「日本人は歴史を知る必要がある」と訴える。話を聞いた。(構成・柏尾 安希子)


 日本では、高市首相の「台湾有事」発言後、中国を嫌う空気が強まっている。背景には、長年の中国敵視報道がある。政府とメディアの責任が大きいだろう。

 始まりは米国のオバマ大統領の時代、2011年ごろだ。米国の軍事、外交の中心を中国を含むアジア太平洋に移す戦略「アジア・ピボット」が打ち出され、以来、日本が自分の頭で考えて嫌うというより、米国の言いなりのように敵視をエスカレートさせてきた。

 今回、高市首相は政策を大きく転換したわけではない。それ以前から敵視は着々と進んでいた。だが、「有事」の際に台湾に自衛隊を派遣する可能性を明言したことで、高市首相は一線を越えてしまった。

 歴史を知らなければ、この重大さは分からないだろう。日本人の歴史認識は、あまりにも偏り、欠如している。

 ■

 6月に、「満州事変」といわれる日本の満州侵攻(1931年)が始まった瀋陽と、関東軍防疫給水部(731部隊)の所在地だったハルビンを訪問した。歴史を学ぶ目的で、ハルビンでは731部隊について展示する「侵華日軍第七三一部隊罪証陳列館」に、瀋陽では、日本が南満州鉄道の線路を爆破した「柳条湖事件」の現場近くに立つ「九・一八歴史博物館」などに行った。

 旅を通して、日本は国土の3倍ほどある「満州」を植民地支配したのだと実感した。中国で「偽満州国」と呼ばれる日本の傀儡(かいらい)国を植民地だったと言う人は、日本ではあまりいない。

 だが、例えば朝鮮の独立運動は朝鮮内で弾圧され、満州にもその拠点が広がった。ハルビンの警察署跡の記念館では、拷問の器具や、拷問で殺害された人について展示され、抗日運動をしていた人たちが731部隊の人体実験の犠牲者「マルタ」にされたと知った。植民地支配をしていたから、こうした抗日運動の弾圧も行われたのだ。

 訪れた博物館では、日本で言う「満蒙(まんもう)開拓」を「移民侵略」、同化教育は「奴隷化教育」と表現していた。実態を見れば、まさにその通りだ。

 ■

 中国は、アヘン戦争(1840~42年)や、日清戦争(94~95年)以来、欧米列強や日本に虫食いのように領土と主権を切り崩されていった。

 私の祖父は日清戦争後の96年に中国に渡り、漢口の日本租界で新聞社を経営していた。中国語の新聞も発行して親日的な世論づくりを目指したほか、諜報(ちょうほう)活動も行ったようだ。だが抗日運動が盛り上がり、1927年に帰国した。そのように、満州事変前から中国への侵略は始まっていた。

 そして台湾は、日本による侵略の足がかりとされていた。1874年、明治政府は71年に起きた宮古島島民遭難事件を口実に台湾へ出兵し、清との冊封関係を維持していた琉球を日本に組み込む糸口とした。また、日清戦争では、台湾が日本に奪われた。

 そうした歴史があり、中国は「また日本が攻めてくる」「やはり台湾か」となる。中国の人々にとって、台湾に日本の軍が来るということは、歴史的トラウマがよみがえる出来事なのだ。

 ■

 1945年に日本が第2次世界大戦に敗れた後、72年の日中共同声明で、中国は日本に対する戦争賠償を求めなかった。日本側は、過去に日本が戦争を通じて中国国民に重大な損害を与えたことについての責任を痛感し、深く反省すると表明した。中国側は、「日本の軍国主義が侵略戦争を引き起こしたのであり、日本人民もまた軍国主義の犠牲者であった」という立場を示した。

 そして当時の田中角栄首相らは、自民党内の親台的なタカ派が抵抗する中、「台湾は中華人民共和国の不可分の領土」であることを「理解し尊重する」と約束し、国交を正常化した。

 72年の日中共同声明と78年の日中平和友好条約、98年の日中共同宣言、2008年の「戦略的互恵関係」の包括的推進に関する日中共同声明という「日中基本4文書」を通して、日本の台湾に対する立場は一貫している。

 靖国神社参拝などで中国との関係を悪化させた安倍晋三元首相も、18年に訪中し、4文書を再確認した。だが高市首相は、そういうことさえ、全くやる気がない。

 今年2月の衆院選では、「台湾有事」発言をした高市首相の自民党が圧勝した。中国は、「日本の軍国主義が悪く市民は悪くない」と言ったように、日本の有権者に期待していたと思うが、衆院選の結果を受けて「新軍国主義」という言葉を強調し始めた。

 小泉進次郎防衛相は、「新軍国主義」は「事実ではない」と発言した。だが、改憲や、安保3文書改定、敵基地攻撃能力保有、長射程ミサイル配備、非核三原則の見直し検討、殺傷能力のある武器輸出解禁、防衛費増額―。あまりにも分かりやすい軍国主義化ではないか。

 ■

 3月に自衛官が中国大使館に侵入した。日本側は、自衛官が「大使に日本への強硬発言を控えてほしいと伝えたかった。受け入れられなければ自決しようと思った」と話しているとし、中国側と言い分が違う。

 だが本人が何を言っていようが、どうでもいい。ファクトとして刃物を持って侵入したのであれば、それだけで重大だ。しかしこの件について、日本はまだ謝罪せず、高市首相は何も発言していない。

 今後、日中関係はどうしたらいいか。高市政権下では関係の改善は無理ではないか。日中関係は、ますます悪くなっている。

 ただ、中国による対日措置は段階的に進められているように見える。渡航自粛や水産品輸入の再停止に加え、軍民両用品の輸出規制も徐々に強化している。現時点では、全面的な経済制裁には踏み込まず、日本の出方を待っているようだ。

 やはり、リセットが必要だ。中国にとっては、日本の軍国主義の台頭だけは許せないという意識が大きいだろうが、高市首相さえ台湾発言を是正すれば、発言があった昨年11月7日以前の日中関係にリセットする意向があるのではないだろうか。

 安倍元首相のように、日中基本4文書を再確認することが必要だ。中国にとって大事なのは勝つことではなく安定だ。やはり、戦争は避けたいだろう。

 6月に辞任した米国のトゥルシー・ギャバード前国家情報長官は、3月18日に「年次脅威評価」を発表し、「中国指導部が現時点で2027年に台湾侵攻を実行する計画を立てているわけではなく、また統一達成のための固定されたタイムラインも持っていない」と評価した。

 それまでCIA長官や米軍関係者は27年までの「台湾有事」を予想し、日本のメディアも散々あおっていた。それを翻した形だが、日本のメディアはあまり報道しなかった。

 だから、「台湾有事」に対する恐怖だけが今も残り、既成事実化している。この状況では、結局日本だけが暴走したことになってしまうだろう。

(以上)



Thursday, July 09, 2026

覇権にしがみつく米国、日本の責任 朝鮮戦争停戦73周年によせて The U.S. Obsession with Hegemony and Japan's Role: On the 73rd Anniversary of the Korean War Armistice

2026年7月7日 日本と朝鮮を結ぶ全国ネットワーク・東アジア市民連帯共催「朝鮮戦争73年 戦争終結を求める集会-アメリカの横暴を許すなー」(於連合会館)での講演の記録です。時間制限のため削った箇所もここでは戻してあります。当日使ったパワーポイントから写真や画像を挿入しています。

朝鮮新報の報道:米国の横暴を許すな/東京で朝鮮戦争終結を求める集会

★この投稿を転載・使用したい場合はかならず乗松聡子の許可を取ってください。peacephilosophycentre@gmail.com にメールください。この投稿のURL拡散は歓迎です。 https://peacephilosophy.blogspot.com/2026/07/us-obsession-with-hegemony-and-japans.html


覇権にしがみつく米国、日本の責任


朝鮮戦争停戦73周年によせて


乗松聡子

盧溝橋より

 きょうは7月7日です。日本では「盧溝橋事件」の日として記憶される、日本の中国に対する侵略戦争が本格化した日です。中国では、1931年の満州侵略「9.18事変」と、南京大虐殺を記憶する12月13日、抗日戦争勝利と世界ファシズム勝利を記念する9月3日と並ぶ、抗日戦争を記憶する日です。朝鮮と中国が、日本と米国の帝国主義に対して共に戦ってきた歴史を振り返るという意味で、7月7日に、朝鮮戦争休戦協定の73周年の集会を行うことは意義のあることと思います。

盧溝橋事件 北京 ファシズムの東方主戦場

 私は6月1日から6日、北京、瀋陽、ハルビンに行きました。ハルビンは初めてでした。高校2年のとき、森村誠一の「悪魔の飽食」で731部隊について知ったときの衝撃はいまでも鮮明に覚えています。でもやはり現地に行けばこそわかることがあります。それは現地で使う言葉、現地の目線です。盧溝橋の近くにある中国人民抗日戦争紀念館に行きました。

中国人民抗日戦争紀念館

 現地では、「1937年、日本軍国主義は七七事変を意図的に引き起こし、中国に対する全面戦争を開始した。中国軍民は日本侵略者に対して頑強に抵抗した。中国は全民族的抗戦の段階に入り、同時に世界反ファシズム戦争の東方主戦場を切り開いた。中国共産党は国共合作を基礎とする抗日民族統一戦線の正式な形成を推進した。敵後戦場、つまり共産党系の部隊が占領地域後方で展開した遊撃戦・ゲリラ戦の戦場と、正面戦場、つまり国民党軍が日本軍と正面から戦った戦場、は、協力し合って戦った」という趣旨の記述がありました。 

 この記述ひとつからも学ぶことは多いです。世界反ファシズム戦争の西はナチス、東は大日本帝国の主戦場であったというとらえ方は、戦争というと被害者史観になってしまう日本人が知っておくべき構図と思います。

瀋陽 918記念館 でっちあげた偽満州国 

9.18歴史博物館
瀋陽では、「9.18歴史博物館」に行きました。中国では「9・18事変」、日本では「満州事変」とか「柳条湖事件」とかいわれる、関東軍が行った南満州鉄道の爆破を中国軍のせいであると偽り、東北軍駐屯地の北大営への進攻を開始した、日本の満州本格的侵略、翌年には偽満州国という傀儡国家建設につながった出来事でした。この博物館は「9.18を中華民族の屈辱の日として決して忘れない」という信念で建てられています。 

 こういう記述がありました。「日本が中国東北を占領した後、傀儡政権である偽満州国を樹立するとともに、政治・軍事・経済・文化などにわたる巨大な植民地統治機構を築き上げ、東北人民に対して14年にわたる植民地支配を行った。植民地統治の期間中、日本の侵略者は東北人民を恣意的に虐待・虐殺・奴隷化し、東北の抗日勢力を苛烈に弾圧した。」

拷問器具
 「偽満州国をでっちあげる」と言い切っています。拷問器具も展示されていました。ありとあらゆる方法で抵抗を弾圧したと。ソウルの、西大門刑務所歴史館や、伊藤博文をハルビンで暗殺した安重根が収監されていた旅順日露監獄旧跡博物館を思い出しました。1905年から植民地支配していた朝鮮に加え、日本は現在の日本の3倍以上の面積がある東北地方を植民地支配し、抗う者を監禁、拷問、虐殺していたのです。 

 アヘン栽培、アヘン販売で住民に「毒害」を与えたとありました。日本では「強制同化」とか「同化教育」という言葉が使われますが、中国では「奴隷化教育」と言い切っています。「満蒙開拓」などではなく「移民侵略」「武装移民」と言い切っています。これを見るとまさしく日本は、パレスチナに「侵略移民」していたイスラエルと同じなのだということがわかります。やられた側からの言葉は大事なのです。

ともに日帝と闘った中国人と朝鮮人

 日本の侵略と植民地支配に対し、東北の人々は武装抵抗を行いました。東北各地で結成された抗日遊撃隊は、その後、東北人民革命軍、さらに東北抗日聯軍へと発展していきました。この展示からも、それらの部隊の多くは朝鮮人だったことがわかります。展示には、後に朝鮮民主主義人民共和国の指導者となった金日成、崔庸健、崔賢、金策らの名前も見ることができました。

 このようなジオラマがありました。説明にはこうありました。「『討伐隊』への待ち伏せ攻撃:1933年3月、梁成龍、金日成の指揮のもと、汪清遊撃隊は小汪清へ進攻してきた『討伐隊』300余名を待ち伏せ攻撃した。二日間にわたる激戦の末、敵20余名を殺傷し、日本軍と偽満州国軍の進攻を撃退した。」 

 露営の様子の等身大のジオラマがありました。東北抗日聯軍がマイナス30-40度にもなる極寒の森林で長期間ゲリラ戦を続けたことを表しています。このような過酷な状況の下、中国人と朝鮮人は共に日帝に抵抗し続けました。現在の朝鮮民主主義人民共和国、中華人民共和国はともに日帝に打ち勝った抵抗者たちが作った国です。朝鮮人や中国人が日本に向きあうとき、かたときもこの植民地支配の屈辱と、勝利・独立までの苦難を忘れることはないでしょう。問題は日本人の大半がこれを全くといっていいほどわかっていないことです。特に一番わかっているべき政治家がわかっていない。

東北抗日聯軍の露営のジオラマ

ハルビン 「731部隊」と「安重根」はつながっている

ハルビン駅にある安重根義士記念館
 ハルビンで見学した、「侵華日軍第731部隊罪証陳列館」と「安重根義士記念館」もその抵抗の歴史と直結しています。安重根は、1909年ハルビン駅で伊藤博文を暗殺しましたがまさしくその暗殺の現場、駅舎の中に記念館が組み込まれており、伊藤が立っていた場所と安重根が立っていたスポットに立つこともできます。窓の外にはすぐ電車の行きかう線路が見えます。私と友人はそこで、ちょうど見学しに来ていたハルビン地元の男性と会い、彼は伊藤スポットに立って銃撃を受けている写真を撮ってほしいと、ユーモラスなポーズをしました。

被害者を記憶する
 731部隊陳列館の展示です。いわゆる「マルタ」という実験台にされた中国人、朝鮮人、ロシア人には、抗日闘争に関わっていたことで関東憲兵隊、警察署、保安局、特務機関などに逮捕され、731部隊に送りこまれた人たちがいました。「特移扱(特別移送扱い)」と言われました。その人たちは「逮捕、尋問、拷問、移送、収監、実験、解剖、死体焼却」というあらゆる残虐行為を受けました。多くは「生物実験室、病理解剖室、野外実験場で亡くなり、一部は731部隊の撤退直前に集団虐殺」されたといいます。 

 「マルタ」にされた被害者は3千人かそれ以上といわれています。被害者の名前が刻まれた壁があり、そこに花をそえました。名前のない空のスレートも多数ありました。名前がわかっていない人々の存在を思い起こさせるためでしょう。

 安重根は歴史に名を残した独立運動家で専用の記念館が建っていますが、この、731部隊で「マルタ」とされた人たちも安重根と同様に日本の植民地支配に抗い、自由と独立のために戦っていたのです。この人たちの存在こそ記憶しなければいけません。「特別移送」展示コーナーは、このように電光掲示板で、1から3000の数字を繰り返し掲示していました。 

朝鮮戦争 日帝がまいた種

 日帝による朝鮮植民地支配と、中国東北の植民地支配は直結した歴史でした。それは朝鮮戦争につながります。ブルース・カミングス教授は、『朝鮮戦争論』で、「朝鮮戦争のはじまりは、日本軍が中国の東北部を侵略し、満州国という傀儡国家を作り上げた1931-32年であった」と言っています(62頁)。朝鮮人や中国人のゲリラを追跡し、殺害していた朝鮮人協力者の中には、陸軍士官学校出の金錫源など、のちに朝鮮戦争で韓国軍を指揮した人物がいました。

 韓国軍の上層部は多くが日本人のもとで軍務に服した経験がある者たちでした。朝鮮戦争は、日本に抗った者たちと日本に協力した者たちの闘いという側面もあったのです。もちろん、朝鮮戦争の起源については、解放後分断された1945年だった、南北に政府ができた1948年だった、と見方は様々ありますが、私は日本人の責任を問う立場として、日本による朝鮮、そして満州の植民地支配をその歴史的起点としてとらえる視点を重視しています。

平壌にある祖国解放戦争勝利記念館
 2019年、朝鮮民主主義人民共和国を訪ねました。やはり「現地での名前」には学ぶものがありました。朝鮮戦争のことは「祖国解放戦争」といいます。ちなみに韓国では「韓国戦争」といいます。平壌の「祖国解放戦争勝利記念館」に、在日朝鮮人の友人二人と、いまは沖縄県議になっている沖縄の友人と一緒に行きました。このスローガンは「米帝侵略者達を消滅させよ」とあります。

 朝鮮大学校の李柄輝教授は、「歴史の文脈で見れば、朝鮮戦争は米帝国主義時代の終焉の起点であった」と言っています。「冷戦」後、米国は、一強支配を維持しその覇権にしがみつくためにロシア、イラン、中国、朝鮮といった多極化世界に侵略戦争や経済制裁、内政干渉を仕掛けてきました。イランが米帝国の侵略戦争に負けずに主権を保った2026年はこの歴史文脈の中での画期的な出来事です。

朝鮮戦争と細菌戦

 祖国解放戦争勝利記念館に戻ります。館内の展示は撮影できませんでしたが、朝鮮戦争で米国が細菌戦を行ったという展示がありました。敗戦後、石井四郎ら731部隊の研究データが米国側に渡され、その見返りとして731部隊関係者の多くが東京裁判で訴追されなかったことは、現在では広く知られています。その研究成果が朝鮮戦争で生かされ、米国が細菌戦を行ったといわれています。

 朝鮮戦争中に撃墜され捕虜となった米軍爆撃機の搭乗員らは、詳細な証言を残しています。森村誠一『悪魔の飽食 第三部』では、「容器や弾体、信管などは米国で製造して朝鮮に持ち込まれたが、細菌そのものは東京のある工場で製造され、釜山と大邱の細菌兵器庫に運ばれた」といった証言も紹介されています。国際科学委員会による現地調査で細菌戦があったという結論が出ており、物証も提示されていますが、米国政府は一貫して否定しており、学界でも議論の対象になっています。

 当時、米国は日本人や朝鮮人を同等の人間とは思っていませんでした。広島と長崎に米国が落とした原爆の下には、日本人と朝鮮人がいました。植民地支配の故に原爆被害をうけ、その後の治療や救済においても差別された朝鮮人にとっては三重の被害でした。原爆投下も人体実験だったといわれており、それを証拠に、米国は原爆傷害調査委員会(ABCC)、今の放射線影響研究所というのを作り、被爆者やその二世のデータを集めるだけで治療さえしませんでした。

命のダブルスタンダード

「学び舎」の「ともに学ぶ人間の歴史」(2020)より

 朝鮮戦争で米軍は日本に落とした4倍もの爆弾を朝鮮に落とし、もう標的がないと言われるほど朝鮮のあらゆる都市を焼き尽くしました。民族同士が殺し合ったこの戦争で、朝鮮、韓国、合わせて約400万人もが命を奪われたと言われます。米軍を中心とするいわゆる「国連軍」も5万以上、中国人民志願軍も20万かそれ以上戦死したと言われます。朝鮮の分断はそのまま、離散した家族は会えないままです。こんな悲劇があるでしょうか。「忘れられたジェノサイド」と言われます。 

 日本人も米国人も、ここまで残酷な戦争をどうして語らないのでしょうか。広島・長崎の原爆、空襲、シベリア抑留など日本人の苦労、日本人の失われた命はいまだに語り継がれているのに。終わっていないからですか?日本に責任があるからですか?日本の教科書にはいまだに「朝鮮特需」で戦後復興が加速したと書いてあります。植民地支配した上、朝鮮人6人に1人もが亡くなった戦争の上に大儲けした、ここまで恥ずかしいことはないのではないでしょうか。もう「特需」なんて言葉を使うべきではないです。

 この命のダブルスタンダードはいまも同じと思います。今年2月28日、米国とイスラエルがイランに侵略戦争をしかけ、トマホークミサイルを撃ち込まれた学校では160人以上の子どもたちが惨殺されました。そのイランが連帯しているパレスチナ・ガザでは4年にわたり、そして今は南レバノンでも、ジェノサイドがインターネットで白昼堂々中継されています。

 それなのに日本のTVをつけると「我々の石油はどうなるか」しか関心がないのです。朝鮮戦争のときと同じなのです。米国はベトナムでは枯葉剤を使い、大量のベトナム人を殺し、多世代にわたる被害をもたらしました。ベトナム戦争からも日本は金儲けしました。 

 米国は731部隊の系譜をひきついで、国際法に反する非人道的兵器を使い続けています。イラン・イラク戦争では米国はイラクを支援し、イラクは西ドイツなどの技術や設備に支えられ化学兵器をイランで使い、100万に及ぶといわれる人々が影響を受け、いまも何万も後遺症に苦しむ人たちがいます。

米国は非人道兵器を現在に引き継ぐ

 ウクライナ戦争においても、米国はウクライナ中に40か所ものバイオラブ、生物兵器研究施設を張り巡らせ危険な細菌の研究をしていました。生物研究所の存在は、22年2月のロシアの特別軍事作戦開始直後、同年3月8日の米国の上院公聴会で、ビクトリア・ヌーランド国務省政治担当国務次官もしぶしぶと認めていました。3月12日には、ロシアの国連大使が国連安全保障理事会で詳細な報告をしました。

 西側諸国からことごとく偽情報だと言われました。日本ではよく知られる国連事務次長・軍縮担当上級代表の中満泉氏も「国連は把握していない」と言いました。このように国連が西側の味方につくことはよくあることです。西側メディアもフェイクだ、ロシアの誤情報だと一蹴し、ご丁寧に「ファクトチェック」と称する記事まで出していました。 

 6月12日、月末に辞任を控えていたトゥルシ・ギャバード国家情報長官は、米国は30か国120か所の生物研究所に資金を出していると発表しました。長官は「
ギャバード長官の6月12日投稿
これらの米国政府の資金提供を受けた生物研究所の多くでは、現在または過去に、危険で感染力の極めて強い病原体を用いた研究が行われており、その中には危険な機能獲得研究(
Gain-of-Function Research)が含まれる場合もあった。しかし、それらの研究の実態はほとんど明らかにされず、十分な監視や検証も行われていなかった。」と言いました。 

 公開された文書によると、ウクライナには40以上の研究所があり、以下の細菌の研究をしていたところがあったようです。 

炭疽菌(Anthrax) 野兎病(Tularemia) 結核(Tuberculosis) 豚熱(Swine Fever) ニューカッスル病(Newcastle Disease) 中東呼吸器症候群(MERS) 重症急性呼吸器症候群(SARS) マールブルグ病(Marburg) エボラ出血熱(Ebola) ラッサ熱(Lassa) ペスト(The Plague) リケッチア症(Rickettsia) など(etc.)                      

 ロシア側は入念に調べて告発しているのに、西側が嘘だ嘘だと叫んでいる構図が朝鮮戦争における細菌戦と同じです。 

 RTは2023年にBiological Warfare Department「生物兵器部門」 というドキュメンタリーを出しました。内容は深刻です。ロシアの特別軍事作戦開始後、ウクライナが撤退した後の生物研究所を調べたところ、ウクライナ人を実験台にしてウィルスの実験をしていたことを示唆する書類が出てきました。米国人ジャーナリストのジェフリー・シルバーマンが、人々がどんどん謎の死をとげていたジョージア国内の米国の生物研究所について告発したら大変な中傷キャンペーンにさらされ暴力も受け、社会から抹殺されたといいます。2010年代、ウクライナ各地でアフリカ豚熱、コレラ、ボツリヌス症、新型肺炎などの不自然な発生や流行が報告されました。

 ウクライナの生物研究所はペンタゴンの管理下にありました。ギリアド・サイエンシズなど、米国の大きなバイオ医薬品会社やメリーランド州にあるフォート・デトリックという米国陸軍医学研究所も関与しています。このフォート・デトリックこそ、731部隊の石井四郎ら幹部を戦犯訴追しないという引き換えに731の研究データを統合・活用した場所です。ナチスドイツで人体実験にかかわった研究者もここで再活用されています。

 731部隊のマルタとされた人の中にはロシア人がいました。歴史が一周して、いままた、スラブ人が実験台にされているのです。

ウクライナ戦争 ロシアの弱体化のため

 ウクライナ戦争は、22年2月のロシア特別軍事作戦開始から数えたら4年半続いています。2014年のマイダン・クーデターでは市民のデモに米国がネオナチを投入して暴徒化させ、政権転覆させ、以来米国が事実上ウクライナを傀儡国化しました。そこから数えたら12年半です。

 ウクライナの傀儡政府は西側の支援を受け、東部ドンバスのロシア系住民、ロシア語話者、ロシア正教会を弾圧しました。14年と15年の「ミンスク合意」も、ドイツのメルケル元首相やフランスのオランド元大統領など西側の当事者たちが証言したように、これはウクライナが再武装するための時間稼ぎだった、最初から守る気などなかったことがわかっています。

 ソ連崩壊後米国と西側諸国は一貫してロシアを協力相手ではなく、弱体化して解体する対象とみなしてきました。冷戦終結時の約束に反してNATOはロシアの目と鼻の先まで拡大しました。2019年、RAND研究所が発表した「Extending Russia」という報告書にあるように、ロシアに経済的、政治的、軍事的に負担を負わせ、疲弊させるように仕向けているのです。

 現在、ウクライナによるロシア本土への長距離ドローン攻撃が激化しています。石油精製所、石油備蓄基地、ガス、発電施設などの大規模攻撃に加え、ロシアの民間人に対するテロ攻撃が頻発しています。西側メディアにはほとんど報道されません。毎日のようにウクライナからドローン攻撃があり、6か月の赤ちゃんが殺されたり、ベラルーシから観光で来たスポーツチームのバスに攻撃があり保護者の一人が殺されたりしています。2024年の8月から25年の5月まで行われたクルスクの闘いでは、現地の子どもたちやお年寄りが残虐な方法で殺されたり女性がレイプされたりした戦争犯罪が報告されています。 

 これらも西側のメディアはフェイクと片付けます。米国および西側はウクライナを支配してロシア攻撃のプロキシー(代理人)として使うために、過激なナチス思想を持つ指導者や部隊を支援してきました。このような人間たちがロシア系の民間人に対し拉致、拘束、拷問、虐殺、性暴力をやってきていることは記録されています。 

ウクライナ ナチスの歴史を洗浄

 つい先日、5月25日、ウクライナのゼレンスキー体制は、ルクセンブルクに埋葬されていたアンドリー・メルニクをキエフの国立軍人墓地に「再埋葬」する国家式典を行いました。メルニクは、第二次世界大戦中、ナチス・ドイツと協力関係にありホロコーストに加担したウクライナ民族主義者組織(OUN)のメルニク派(OUN-M)の指導者でした。 

 翌26日、ゼレンスキー氏は、ウクライナ特殊作戦部隊のひとつに、「UPAの英雄たち」という名誉称号を授与しました。UPAはウクライナ民族主義者組織のステパン・バンデラ派(OUN-B)の武装組織、「ウクライナ蜂起軍」で、1943-45年の「ヴォルィーニと東ガリシア大虐殺」で6万から10万に及ぶポーランド人を虐殺したと言われています。一連の出来事はゼレンスキー体制がナチスを肯定する歴史の書き換えを着々と進めている動きです。

 これは別に新しい動きでもありません。私の住むカナダでも23年9月、ゼレンスキー大統領がカナダ下院に招待されたとき、来賓として来ていた、98歳の退役軍人、ヤロスラフ・フンカ氏に下院議員が総立ちでスタンディングオベーションをしました。フンカ氏は、ナチスドイツの武装親衛隊(Waffen SS)第14ガリツィア師団の一員だったのです。これは世界中のメディアに流れカナダは大恥をかきました。しかしこれは私から見たら、ロシアの特別軍事作戦開始後、欧米における、ロシアを敵視するあまりナチスを肯定するような歴史修正の動きが加速している現象の一つに過ぎなかったと思います。 

目を背ける西側 参戦した日本


 ウクライナのロシア民間人の攻撃に、西側は目をつぶっています。5月22日、ルガンスクのスタロビリスクの教員養成学校の学生寮がドローン攻撃を受け、21人が死亡、40人以上が負傷しました。まだ20歳にもならないようなあどけない学生たちです。
この事件はロシア全土に強い怒りを噴出させました。 

 ロシア当局は、外国報道機関の記者による現地報道を可能にするため安全を確保して大型バスを手配しました。BBCとCNNは取材拒否しました。5月27日、ロシアのザハロア外務省報道官は、「日本の記者は全員行かなかった」と強い批判をしました。これが東京からのお達しなのか、忖度なのか知りませんが、全員拒否というのは、組織的としか思えません。日本記者たちはロシア外務省の定例記者会見にさえ来ないようです。報道ビザを出してもらっておいて毎日何をやっているのでしょうか? 

NSATU副司令官のウルフ・ホイスラー少将が、日本人幕僚に対して訓示を行う
 この二日後の29日、小泉防衛大臣は、「NATO対ウクライナ安全保障支援・訓練組織(NSATU)」本部への4名の自衛官派遣を公表しました。小泉氏は「ウクライナの「最新の戦い方」などを学び、日本の新しい守り方を構築する上で、4名の自衛官が担う役割は非常に重要です。よろしくお願いします!」と言っています。NSATUは、ドイツにあります。ウクライナへの軍事装備品の提供や修理、同国軍兵士の訓練を調整するために設立された北大西洋条約機構(NATO)の主要な司令部組織です。 

 自衛官派遣は、25日に出国報告があり、29日に発表しています。22日にスタロビリスクの若者21人が惨殺されたことと、現地取材が抑圧されたことはこの、日本のウクライナ戦争への正式の参加ともとれる出来事と無関係ではないと思います。 

 日本のメディアも、このような虐殺事件を受けても、ウクライナのドローン技術が向上しているとか、喜んでいるような報道をしています。人間じゃないと、思います。考えてもみてください。ウクライナはルガンスクのロシア編入を認めていません。ウクライナにとっては、自国の市民を殺したのです。このことを西側メディアは一切言いません。 

 もちろんこれも、2014年からやっていることで何も新しいことではありません。ルガンスクの市民がロシア編入を選ぶのも理解できると思いませんか。7月3日にもザポリージャの市場で買い物をしていた市民に対しての攻撃があり、5人が死亡、18人が負傷しました。4-6月の3か月で422人の市民が、ウクライナのテロ攻撃により死んでいるといいいます。ここも住民投票でロシアが編入した地域ですが、ウクライナにとっては国内です。もちろんウクライナのバックには米英仏独、バルト三国ら西側諸国がいます。これはNATOによるロシア系市民へのテロ攻撃です。 

朝鮮は歴史の正しい側にいる

 ウクライナ戦争は必要もない戦争でした。挑発に挑発を重ねてこの戦争を招いたのは米国であり、英国はじめ欧州諸国はこの戦争を絶対終わらせまいとしています。歴史、言語、文化、宗教的にも近い、兄弟姉妹のような民族で、共存してきたロシアとウクライナが殺し合う結果を招いたのです。朝鮮戦争を思い出します。 

 クルスクの防衛戦に朝鮮は、ロシアとの「包括的戦略パートナーシップ条約」の下で派兵し、何百という戦死者が出たと言われています。この兵士たちの親御さんたちにとってみれば、祖国から6千キロ以上も離れた地で自分の息子は何のために死んだのかという問いの答えを今でも探しているかもしれません。

 しかし少なくとも一つ言えることは、朝鮮兵はこの戦争の正義の側で戦ったということです。進んでNATO側に協力する、恥ずかしい日本とは正反対です。そのような意味で私は朝鮮を誇りに思います。 

ロシア・デイのノズドリェフ大使挨拶
ロシア・デイの大使の言葉

 6月12日は「ロシア・デイ」でした。ソ連の崩壊直前である1990年6月12日に、ロシア最高会議が国家主権宣言を採択したことに由来します。前日の11日にロシア大使館で開催された祝賀行事に招待され参加しました。ここでの、ニコライ・スタニスラヴォヴィチ・ノズドリェフ大使の挨拶は現在の世界の状況を的確にまとめていました(太字は筆者)。

「今日、世界はこの数十年間で最大の構造的変革に直面しています。少数の特定の国家のために機能していた垂直的階層モデルから、より複雑で分散的かつ公平な多極的構造へ移行するプロセスが進行しているのです。こうした変化は、根本的かつ不可逆的なものです。」 

「ロシアは、グローバル・サウスやグローバル・イースト、私たちがグローバル・マジョリティと呼ぶ国々と共に、このプロセスの最前線に立っています。」 

「私たちは共に、新植民地主義や外圧、ダブルスタンダードに反対を唱え、平等、相互尊重、内政不干渉、国際法規範の遵守に基づく新たな国際関係のモデルを推進しています。」 

大使はこう踏み込みました。 

「他の国々を支配することに慣れた『黄金の十億人』は、もはや取り戻すことのできない、失われつつある覇権を、あらゆる手段を尽くして維持しようとしています。」 

「彼らは『ルールに基づく世界秩序』や『自由で開かれた世界秩序』といった建前の下に、自らの世界観を他の国々にも押し付けようとしています。」 

「西側のエリートたちはこうした政策への反発に直面すると、紛争を挑発して、ヨーロッパ、中東、アジア太平洋地域の国々をこうした紛争に次々と新たに引きずり込もうとするのです。」 

もう何も付け加えることはありません。私は大使のようにお上品ではないのですが、ノズドリェフ大使の言葉を一言でまとめると、こういうことです。「いま米国をはじめとする西側帝国は、失いつつある世界覇権にしがみつき、多極化を阻止し、覇権を維持するために世界中で逆ギレ戦争を仕掛けている」。

 今年だけでも対ベネズエラ、キューバ、イランに対する政権転覆の試みや経済封鎖、侵略戦争、そして継続しているガザと南レバノンのジェノサイドは全部、米国の覇権維持のための逆ギレ戦争の流れです。 

情報のダブルスタンダード

ロシアが「何のいわれもなく」(Unprovoked)帝国的野望でウクライナを侵略したという西側の語りに4年間浸されてきた人たちは、ロシア大使の言葉など信じられるかと思う人がいるかもしれません。「プーチンのプロパガンダだ」とか、すぐ言う人たちがいます。私は2022年のロシアの特別軍事作戦開始直後に、「ロシア悪魔視に疑問」という記事を琉球新報に書いて大炎上しました。しかし私の記事を批判した人たちは記事の内容を批判しませんでした。批判は私が「スプートニク」というロシアの媒体を引用したことに集中していました。 

NHKの23年2月20日報道より
 これには理由があるでしょう。私の記事の内容は正しかったからです。内容を批判できないから私のソースを中傷するのです。私が「スプートニク」を引用した部分は、ウクライナからロシアに避難を希望している人が260万人以上いるという情報でした。私は、西側プロパガンダにいつも晒され、西側の言うことは信じるが非西側の言うことは嘘と決めつけるようなマインドセットを「西側脳」と呼んでいます。きっと私の記事を読んだ「西側脳」の人たちは、加害国だと思っているロシアに避難したいというウクライナ人などいるわけはないと思ったのでしょう。 

 しかし23年2月中旬に国連高等難民弁務官がウクライナから近隣諸国への避難民の数のデータを発表し、807万人の避難民のうち一番多いのはロシアに避難した285万人であると報告しました。3人に一人の行先はロシアということになります。それをNHKが特に疑問を持つ風でもなく報道していました。

西側脳には迎合しない

 西側脳の人たちを説得するために西側のソースを主に使って説明するというのは、多くのアナリストたちがやっていることで、私も、ウクライナ戦争について書いた記事では極力、西側の情報を使うことを試みました。しかし私は、今はそれも「迎合」だと思っています。どうして、西側の情報しか信じないと決め込んでいる人たちに妥協する必要があるのでしょうか。

 西側の人たちは、非西側の人たちを説得するために非西側のソースを使って文章を書いたりする必要などないのです。どうして片方だけが迎合を強いられるのでしょうか。この情報のダブルスタンダードに抗う必要があります。もう西側の下駄を無理してはいて歩く必要はないのです。

 中東という言葉がありました。いま、西アジアと呼ぶ人が増えています。中東は、欧州から見た、近東、中東、極東という、帝国主義的な呼び方です。私たち東アジア人はここにいるのに、西側から見て自分たちを極東と言う必要もないのです。自分たちは自分たちの立ち位置で自分たちの声を自分たちの媒体で発するのです。これこそ脱植民地化であり、自己決定権の発動です。

 どうしてグローバルサウス側の声は信じてもらえないのか。真面目に受け止めてもらえないのか。嘘だとか、独裁者のプロパガンダだと決めつけられるのか。でもそれはグローバルサウス側の問題ではなく、西側の問題です。

覚悟と自信

 少なくともロシア・デイの祝賀パーティにいた人たちは違いました。長年日露友好に務めてきた日本人も多く、私が確認できただけでも、中国大使館、朝鮮総連、イラン大使館、ベラルーシ大使館、モンゴル大使館、バングラデッシュ大使館の人たちがいました。逆に、米国、英国、フランス、ドイツ、カナダなどの西側諸国は私が見たかぎりでは不在でした。 

 見回して、ここはロシア大使が言ったように、グローバルサウス、グローバルイースト、言い換えればグローバルマジョリティの祭典なのだということがわかりました。西側諸国の一員である、それも米国の従属国である日本の一角で、グローバルサウスが結集してロシア大使の反帝国主義のメッセージに一同うなずいている。このようなシーンに感動しました。 

ペイマン・セアダット駐日イラン大使と
 なかでも現地でイラン大使に会えて会話ができたのは感動でした。私は伝えました。イランはいま、西側帝国の侵略を受けても国を守り、主権を守っている。それをとても誇りに思うと。私はカナダに拠点のある日本人だが、朝鮮や沖縄、日本の媒体に記事を書いているというと、大使はいつでも取材に来てくださいと言ってくれました。しかし「カナダはダメですよ」と言われました。イランはイスラエルを支持する西側諸国には心底失望しているのでしょう。

 ロシア大使やイラン大使の顔にみなぎっていたのは、覚悟と自信でした。会場には連帯感がただよっていました。それは、そこで会ってお話した朝鮮総連の徐忠彦副議長の高揚したお顔からも感じ取れました。副議長は、6月8-9日の、中朝会談では「朝鮮半島、という言葉さえ出てこなかった」と評価していました。私は一瞬その意味がわからなかったのですが、「朝鮮半島」問題というときだいたい核問題を意味するので、それが出てこなかったということは、朝鮮は核兵器を保有する主権国家であるという大前提に基づいて話が進んだという意味だと理解しました。

「非核」の武器化

 しかし中朝会談について日本を含む西側のメディアの関心は「核問題」に集中しました。習近平主席が「非核化」を語らなかったということで日本メディアは非難の合唱でした。日本の主要な新聞の中朝会談についての社説を一通り見ました。 

朝日新聞「中国が当面の米国への対抗や北朝鮮への影響力の確保といった短期的な利害のため、北朝鮮の核開発に目をつぶることは許されない。」

東京新聞「核の保有を黙認するな」「中国にも地域の安全保障のために大国の責任を果たすよう求め続ける必要がある。」

産経新聞「非核化置き去り許されぬ」(中国が「覇権主義や軍国主義の復活を企てる策動に反対」と表明した件について)「鏡を見てから物を言ったらどうか。」

毎日新聞「脅威を高める中国の黙認」「日本は米韓両国と連携し、大国として責任ある行動を取るよう中国に求めていくべきだ。」

読売新聞「北の核開発を不問に付すのか」「米朝の仲介を担う準備があると見せつける狙いもあったようだ。」

日経新聞「中国は北朝鮮に非核化を求め続けよ」「北朝鮮の核保有を放置するかのような姿勢は断じて受け入れられない。」

中国新聞「長く北朝鮮の後ろ盾だった中国も核は持たせない基本姿勢だった。それを後退させ、容認もしくは黙認に転換するなど決して許されまい。」

 日本のメディアは、日本に原爆を落とした、世界一の核の脅威である米国に一度でもこんな言葉遣いをしたことがあるでしょうか。朝鮮の主権を認めず、「中国の後ろ盾」がなければ存立できないかのような存在と見なし、その中国に、朝鮮の核兵器をなんとかしろと迫る。ここには、日本人が、大日本帝国の時から持っており変わらない、二国への植民地主義がまざまざと現れています。 

 朝鮮や中国のこととなると日本や米国のメディアは右から左まで全部同じです。自分たちの戦争責任や、戦争と同様残酷な制裁の責任、自分たちの核の威嚇を棚に上げて「非核」を迫るのです。本来は平和を目指す概念である「核兵器反対」「唯一の被爆国」といった概念まで武器化し、中国、朝鮮、ロシアに対して振りかざすのです。核のダブルスタンダードです。

 中朝会談についての「アル・ジャジーラ」の6月9日の分析番組では、地政学アナリストのアイナー・タンゲン氏が司会者から「中国は(朝鮮の核を)なんとかできないのか。朝鮮の貿易は8割、9割が中国相手だ。圧力をかけられるのでは」と聞かれたときこう答えました。「あなたの考え方自体が西側の植民地主義的だ。朝鮮は独立した主権国家だ。どうして中国が何とかしなければいけないのか。思いだしてもみなさい。トランプ大統領は金正恩総書記と何度もやり取りして結局失敗した。どうして米国の失敗のしり拭いを中国がしなければいけないのか。」 

 その通りと思いました。中朝はたしかに経済規模に差がありますが、二つの主権国家がリスペクトを持って相互協力関係を進展させたのです。どうして西側諸国はその当たり前の外交が理解できないのでしょう。ロシアと朝鮮のパートナーシップについてもそうです。西側諸国はNATOだのQUADだのAUKUSだの、好戦的な軍事同盟を組んで朝鮮、ロシアや中国を脅しています。どうして自己の生存のために、非西側諸国が同盟を組んではいけないのでしょうか。

帝国のツール:ダブルスタンダード、制裁

 これまで西側での命のダブルスタンダード、情報のダブルスタンダード、核のダブルスタンダードについて述べてきました。ダブルスタンダードとは何でしょうか。帝国主義のツールです。フェアじゃない、平等じゃない、西側諸国と同じことを非西側諸国がやってはいけないのです。

医学誌 Lancet 25年8月
 平和的な発展もしてはいけない。経済大国になってはいけない。独自の通貨を使ってはいけない。どんなに威嚇されても、強い軍隊を持ってはいけない。自国を破壊されないための核も持ってはいけない。同盟国を持ってはいけない。抵抗してもいけない。自国の資源を自分で管理してはいけない。いけない、いけないづくしです。西側帝国の言うことを聞き、自国の主権と資源を差し出す、「奴隷化」を求められるのです。

 中国、ロシア、イランは奴隷化を拒否しました。朝鮮も奴隷化を拒否しています。拒否すると激しい制裁を加えられます。制裁は戦争と同じくらい人を殺すとの調査結果が昨年英国の医学誌から出ました。制裁で毎年50万人以上が死んでいます。人の命の糧を奪うからです。災害にあうとライフラインといいますね。水、食料、電気、ガス、医療。これらを災害でもないのに奪うのが制裁です。当然弱い者、つまり子ども、老人、女性、病人、障がい者から殺されていきます。 

 6月24日、ベネズエラで壊滅的な地震がありました。天災ですが人災でもあります。ベネズエラ系ジャーナリスト、アニャ・パランピル氏が言っていました。人を救うための重機が制裁のせいで、圧倒的に足りないのです。そのためにどれぐらいの救えた命が奪われていったか。米国とその同盟国は40か国、地球の人口の3分の1に違法な一方的な制裁を加えてきました。日本も加担しています。制裁がどんなに非人道的か、西側諸国の人たちは知らんぷりです。死ぬのはグローバルサウスの人々で自分たちではないからいいのでしょうか?

sanctionskill のサイトより。黄色で塗ってある国々が、米国と追随する西側諸国から違法な制裁を課されている国々。

国内制裁?

 沖縄は日本国の中で制裁されてきました。19世紀末、琉球王国が武力で強制併合され、皇民化教育、つまり奴隷化教育が徹底され、アジア太平洋戦争においては皇国を守るために「捨て石」の戦場にされ、12万以上といわれる沖縄人が殺されました。

 その後27年間米軍の軍政下におかれ、日本に戻された後も米軍基地とそれにともなう事件、事故、環境汚染を押し付け、いままた中国と朝鮮の「脅威」の名のもとに島々を自衛隊、つまり日本の軍隊と米国軍の基地および訓練場にしています。これが植民地主義です。

 国内制裁といえば、朝鮮学校の高校無償化、自治体補助金、幼保無償化排除もそうです。どれも、本来は、保護者の経済社会ステータスに依らずに子どもたち教育の機会を平等に提供するための政策であったにもかかわらず、結果として在日朝鮮人が民族教育の機会を制限されています。

7月4日に朝鮮大学校で開催された「朝鮮学校の法的地位をあらためて考える」というシンポジウムで朝鮮大学校の金陽順助教は、「ある集団を、その文化的属性を廃絶することによって破壊することを狙った行為」である「文化的ジェノサイド」であると言っています。実際にジェノサイドが多く起こった植民地支配の時代から、解放後も続いている植民地主義の流れの中で見ると、「ジェノサイド」と言い切っていいと私は思います。

最終目的は中国

 「台湾有事」など嘘です。米国は2021年以来、中国の中央政府が台湾に武力行使をするのではないかという噂を流し続け、「中国脅威論」を修復不可能なまでに定着させました。今年3月になって、「年次脅威評価書」という文書で「中国指導部が現時点で2027年に台湾侵攻を実行する計画を立てているわけではなく、また統一達成のための固定されたタイムラインも持っていない」と評価しました。5年間、自分たちが流した流言飛語のせいでどれだけの軍拡が進んだと思っているのでしょうか。

 私の見方では、これは米国の戦略に沿っています。昨年11月の国家安全保障戦略では、南北アメリカは米国の影響圏として重視する一方、東アジアや欧州では「負担共有(burden sharing)」や「負担移転(burden shifting)」の考え方を打ち出し、同盟国により大きな軍事的役割を担わせようとしています。これはプロキシー(代理勢力)を活用する戦略と映ります。すなわち、対ロシアでは欧州諸国が中心的な役割を担い、西アジアではイランへの対応をイスラエルが担い、対中国では日本、韓国、フィリピン、オーストラリアなどのプロキシー国を前面に立たせるという構図です。高市首相は昨年11月、中国のレッドラインである台湾に自衛隊を派兵する可能性を匂わせ、中国の激しい批判にもかかわらず強硬姿勢を変えていません。これも米国のプロキシーとしての役割を忠実に担っているのです。

ブライアン・バーレティック氏の投稿より

 国際政治軍事アナリストのブライアン・バーレティック氏は、一連の米国の戦争は多極化そのものへの戦争であり、最終目的は中国であると言っています。ジャーナリストのペペ・エスコバール氏は、米国は、BRICSや上海協力機構による「ユーラシア経済統合」を阻もうとしていると、表現しています。イラン戦争はたんなる地域戦争ではなく、これは中国のエネルギー輸入経路を絶つという目的があるとの分析です。

 米国のベネズエラ攻撃ですでにベネズエラから中国への石油の輸出は昨年までに比べ4分の1になっています。OPECによると、イラン戦争で、イランから、またペルシャ湾岸諸国からのエネルギー生産20%ほどダウンしています。これは回復に1年ほどかかると言われています。原油輸入の半分を西アジアに頼っている中国には多大な影響があります。

 もちろん日本もです。日本は原油の輸入先の90-95%を西アジアに頼っていましたが、イラン戦争開始後、戦争で減った分を備蓄と、米国からの輸入を増やすことで補いました。米国から原油を持ってくるのは非常にコストがかかります。これを見て思い出したのが、22年9月にノルドストリームパイプラインが爆破され、ロシアからの安価なガスに頼っていた欧州経済は米国から高いLNGを買わざるを得なくなり経済全体が打撃を受けたことです。

 バーレティック氏は、いま同じことを米国はアジアに対してやろうとしていると言っています。ホルムズ海峡の次は、東アジアにとっての物流・エネルギー供給のチョークポイントであるマラッカ海峡だと。今年2月、米国はインドネシアに包括的な上空通過許可を求めました。

インドネシアは、南シナ海をめぐる紛争にインドネシアが巻き込まれる恐れがあることと、中立外交に影響することから慎重な姿勢を見せています。

 外国がその国の領空を無制限に利用させろなどと、米国はここでも主権侵害的な圧力をかけています。インドネシアは25年初頭にBRICSの正式メンバーとなりました。人口が3億に達そうとしている世界最大のイスラム教国がBRICSに入ったことは西側にとっては衝撃だったでしょう。米国がマラッカ海峡への食指を伸ばすためにインドネシアに圧力をかけている可能性はあるのではないかと思います。

日本は、覇権にしがみつく米国にしがみつくのをやめよ

 中国はこのような米国のエネルギー封鎖のリスクを想定し、長年にわたって備えを進めてきました。その代表例が、再生可能エネルギーへの巨額の投資であり、海上輸送への依存を減らすことも意識した一帯一路構想です。習近平主席は、訪中したトランプ大統領に、「トゥキディデスの罠」に陥ってはならないと語りました。しかしきょうここまで述べてきたように、既存の覇権国である米国および西側諸国による新興国・多極化勢力への世界規模の戦争はすでに進行中ではないかと思っています。これが世界の破滅をもたらさないようにしなければいけないのです。帝国をストップしなければいけない。日本は、覇権にしがみつく米国にしがみついたままでいいのでしょうか。脱亜入欧をやめて、名誉白人国家という不名誉な立場を捨てて、アジアに戻りませんか。

 そのためには、きょうこの話の出発点に戻りますが、日本は帝国時代の戦争責任、植民地責任、朝鮮戦争に対する責任、沖縄に対する責任に向き合わないといけません。日米安保条約、地位協定を見直して日米平和条約に書き換えることは可能なのです。朝鮮とはまだ植民地支配の清算さえできていません。ロシアともまだ第二次大戦の平和条約締結さえできていません。これらはすべて米国による支配と分断が背景にある「未解決の問題」です。米国との距離を取り、自主的に隣国と向き合うことによっておのずと解決への道が開けていきます。朝鮮戦争の終結を阻止するのではなく促進する力になれます。そのためには西側脳の脱洗脳が必要です。きょうのような催しや、私の話がその一端を担うことを願っています。(終)


★講演はこの集会の一環でした。沖縄国際大学の前泊博盛さんと一緒でした。

 


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