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Thursday, January 29, 2026

西側連合のイラン攻撃を許すな!通貨暴落も米国が仕掛けたものだと、ベッセント財務長官が認めた(グレン・ディーセン&ジェフリー・サックス)Scott Bessent Admitted that the U.S. Manipulated Iran's Currency (Glenn Diesen & Jeffrey Sachs, January 28 Japanese Translation)

グレン・ディーセンのYouTubeチャネルより

1月28日(木)、差し迫るように思える西側(イスラエル・米・欧州)の対イラン攻撃いついて、グレン・ディーセン教授がジェフリー・サックス教授と対談した。日本語訳をお届けする。この戦争は昨年の「12日戦争」の延長、ひいては、1979イランイスラム革命以来のイスラエルと西側の「悲願」であったイラン政権転覆の試みである。あいかわらず西側は、イランの「独裁」、「腐敗」、「人権侵害」を口実に、政権転覆されても仕方がないといったナラティブを流しイラン破壊を正当化しようといている。スコット・ベッセント財務長官が、ダボス会議にて、イラン「抗議デモ」のきっかけなとなった「通貨暴落」でさえ、米国の仕業だったということを認めている。それを祝うようにせせら笑うベッセント。邪悪な帝国のレイシズムを隠そうともしない。それを西側メディアは報じもせず、イランを倒せと大宣伝している。サックスは、今からでも戦争を止められる、止めるために全力を尽くさないといけないと言っている。

翻訳は冗長な部分は取り除き要点がよくわかるよう整えている。ハイパーリンク、太字は乗松聡子がつけた。文脈がわかるようにトランプやベッセントの発言の内容を挿入した。

グレン・ディーセン:

本日は、トランプが現在イランに対して行っている脅しについて議論するため、ジェフリー・サックス教授をお迎えしています。

いまテヘラン側から見たら、この地域における米国の大規模な軍事力の集積が見えてきます。英国、ドイツ、スペイン、イタリアの輸送機が中東に向かっているようにも見えます。そして意図という点では、攻撃は避けられないように思われます。イスラエルがそれを望み、ワシントンもそれを望んでいる。政権転覆について語っています。そしてソーシャルメディア上で、トランプは次のように書いています。引用します。「巨大な艦隊がイランに向かっている。大きな力と熱意、そして目的意識をもって急速に移動している。」さらに、時間が残されていないとも書いています。


(トランプのSNS投稿の日本語訳:

大規模な艦隊(アルマダ)がイランへ向かっている。非常に速く、強大な力と熱意、そして明確な目的をもって進んでいる。偉大な空母「エイブラハム・リンカーン」を旗艦とするこの艦隊は、ベネズエラに送られたものよりも大規模だ。ベネズエラの場合と同様に、必要とあらば、迅速かつ暴力的にその任務を遂行する用意があり、意思も能力も備えている。
イランが速やかに「交渉の席に着き」、公正で公平な合意――核兵器は一切認めない――すべての当事者にとって良い合意を交渉することを望む。時間は刻一刻と失われており、まさに一刻を争う状況だ。
私は以前にも一度イランにこう告げた――「取引をせよ!」。彼らはそうしなかった。その結果が「ミッドナイト・ハンマー作戦」であり、イランに対する大規模な破壊だった。次の攻撃ははるかに深刻なものになる! 二度とそのような事態を起こさせるな。
この件にご注意いただき、感謝する。

ドナルド・J・トランプ大統領)

これらの脅しをどう見ますか。

ジェフリー・サックス:
明らかだと思います。イスラエルにとって、これは30年にわたるイラン政府転覆の試みです。米国は基本的にイスラエルの言うことを実行します。したがって、イスラエルは絶えず米国をイランとの戦争に引きずり込もうとしてきました。昨年夏にもそれを行いました(注:米国がイランを攻撃した昨年6月のいわゆる「12日戦争」)。目標は政権転覆、つまり打倒でした。しかしそれはうまくいきませんでした。

その後、米国は経済的手段を用いてきました。米国の財務長官スコット・ベッセントが「経済的ステートクラフト」と呼んだものです。

しかし彼は、イラン経済を破壊するために米国が意図的に講じた措置を明確に説明しました。再び、その狙いは政権転覆でした。それもうまくいきませんでした。そこで今、空母打撃群がイラン攻撃に向かっています。つまり、攻撃は差し迫っています。

ここでの目的は、最初から交渉ではありませんでした。交渉の機会があるたびに、イスラエルは「交渉するな」と大騒ぎしてきました。もちろん、10年前にイランと核合意が成立しました。包括的共同作業計画、いわゆるJCPOAです。これは2015年7月20日、国連安全保障理事会決議2231によって実際に承認されました。しかしトランプは第1期政権でこれを破棄しました。

つまり、イスラエルには交渉による解決を望む意思は一切なかったのです。そして米国がイスラエルの指示に従う以上、米国がイランと真剣な交渉を行う用意があったことは一度もありません。トランプはそれを昨年夏にも再び示しました。米国の支援を受けてイスラエルがイランを爆撃したのは、2025年6月12日と13日でしたが、それは米国とイランの交渉が予定されていた2日前でした。

したがって、これはイランの交渉の問題だという考え方は虚偽です。これはハイブリッド戦争によって遂行されている政権転覆作戦です。つまり、サイバー戦を試み、街頭の不安を煽り、経済を圧殺し、爆撃し、暗殺を行う。あらゆる手段を用いて、この政権を転覆させようとしているのです。

そしてトランプはトランプらしく、こうしたことを公然と発信します。「我々の言うことを聞かなければ、これはベネズエラと同じだ」。彼はこう言っています。「この艦隊は、必要であれば迅速かつ暴力をもって任務を遂行する用意があり、能力もある。」これは完全なる恫喝行為です。

人々は理解すべきです。国連憲章の下で――トランプの副首席補佐官はこれを「形式的なもの」と呼びましたが――それは国際法です。ホワイトハウスのギャングにとってではなく、人類のためのものです。憲章第2条第4項はこう定めています。「すべての加盟国は、他国の領土保全または政治的独立に対する武力による威嚇または武力行使、あるいは国連の目的と両立しないいかなる方法による行為も慎まなければならない」と。

これが、今まさに起きている状況です。

グレン、我々はこれをベネズエラで既に経験しました。露骨で、甚だしい脅しがあり、その後に侵攻が行われ、大統領とファーストレディが拉致され、さらに米国がベネズエラを支配していると主張しました。タンカーから石油を奪い、それを米国に送ることまで行い、ドナルド・トランプはその金は自分のものだと宣言しました。

このような厚かましさと無法状態が、今の世界の一部なのです。しかしイランは、世界にとってはるかに危険な事態です。それでも私は、ヨーロッパの国がこれに対して一言でも異を唱えるのを待ち続けています。「それは良くない考えではないか」「戦争をすべきではないのではないか」「国連憲章を守るべきではないか」と。

ヨーロッパへの問いはこうです。米国がヨーロッパを攻撃しそうになった時だけ声を上げるのか(注:トランプの主張するグリーンランド領有に意義をとなえた欧州指導者たちを皮肉っている)。それとも、ヨーロッパには何らかの原則があるのか。数日のうちに、それが明らかになるでしょう。

グレン・ディーセン

最初のイラン攻撃の際、「イスラエルは我々の汚れ仕事をしている」と述べたメルツ首相は、今や「イラン政権の命運は尽きている。数週間かもしれないが、この政権には統治の正統性がまったくない」と発言しています。つまり、ヨーロッパ諸国は完全にこれに乗っかっているのです。

しかしトランプはまた、今こそイランが取引をする時だ、さもなければ強く叩く、とも言いました。彼はどの取引を指しているのでしょうか。核合意のことでしょうか。しかし、これは非常に不誠実に見えます。なぜなら、彼らはすでに目標が政権転覆であることを公然と述べているからです。政権転覆では、統一された反対勢力を作ることなどできません。つまり、我々が目にしているのはイランの破壊です。

ジェフリー・サックス:
米国は交渉による取引に関心はまったくありません。なぜなら、交渉による合意は10年以上前から可能だったにもかかわらず、成立するたびに米国がそれを破棄してきたからです。そして、合意破棄を最も強く主張してきたのはイスラエルでした。トランプはイスラエルのために働いている以上、交渉の意図などまったくありません。彼らは政府を転覆させようとしているのです。

メルツは恥を知るべきです。しかし、これもまた典型的です。その発言はこれまで見ていませんでしたが、ヨーロッパのごろつきぶりは驚くことではありません。ただ、いつも失望させられます。原則に立ち返ろうとするのは、ヨーロッパ自身の狭い利害が危機にさらされた時だけのようです。そうなると突然、「米国がグリーンランドを口実にデンマークを攻撃するのはおかしい。それは乱用だ」と言い出す。しかし、イラン政府を転覆させることは問題ない。

いま、ニューヨーク・タイムズやワシントン・ポスト、そしてヨーロッパのメディアで自由に流れているプロパガンダについて、少し時間を割く価値があります。経済崩壊はイラン政権の腐敗と失政の結果であり、統治に適していない、というものです。まさにメルツ首相があなたに読んでくれた発言のとおりです。

人々は、これがゲームの一部であることを理解すべきです。そしてそのゲームは、きわめて下品です。しかし、少し注意を向ければ完全に理解可能なものでもあります。

米国の財務長官スコット・ベッセントは、ダボスでこれを非常に明確に、ほとんど漫画のような形で説明しました

スコット・ベッセント氏のダボス会議での発言。ディーセンとサックスが話題にしているのは冒頭の1分強の部分

グレン、許されるなら、彼の言葉をそのまま読ませてください。過去1年間に何が起きてきたのか、人々に理解してもらうためです。

彼はインタビュアーからこう尋ねられます。「制裁について何か言いたいことはありますか。あなたが取り組んできた別の問題ですが、イランに関して何を計画しており、どのような影響を与えるつもりですか?」

これに対し、ベッセントはこう答えます。

「そうですね、財務省の制裁があります。昨年3月に私がニューヨーク経済クラブで行った演説を見ればわかりますが、そのとき私は、イランの通貨は崩壊寸前だと述べました。もし自分がイラン市民なら、資金を国外に移すだろうと。トランプ大統領は財務省とOFAC部門、すなわち外国資産管理局に対し、イランに最大限の圧力をかけるよう命じました。そしてそれは成功しました。12月には経済が崩壊しました。主要銀行が破綻し、中央銀行は紙幣を刷り始めました。ドル不足が起き、輸入ができなくなりました。これが人々が街頭に出た理由です。これが経済的ステートクラフトです。銃弾を一発も撃たずに、物事は非常に前向きに進んでいます。」

これは驚くべき発言です。あまりに驚くべきなので、ニューヨーク・タイムズは報じる勇気がなかった。ワシントン・ポストも報じる勇気がなかった。なぜなら、ベッセントが説明しているのは、米国が金融手段を用いて政府を倒し、人々を街頭に引き出し、大規模な不安を引き起こしたという事実だからです。そして「物事は非常に前向きに進んでいる」とベッセント氏は言うのです。

その下劣さはあまりにも衝撃的で、主流メディアは触れようともしません。しかし彼らは毎日のように、失政、腐敗、経済崩壊、人々の苦しみについての記事を流します。その苦しみが、米国の財務長官自身が説明した「米国のゲーム」であることには触れません。

私は最近、人々と話しましたが、米国の行動のために石油代金が支払われないのです。支払いは届かず、誰もが制裁と脅威の下にあります。世界中の銀行が取引処理を拒否しています。これが米国によるドルの武器化です。目的は混乱を生み、銀行破綻を起こし、通貨を崩壊させ、人々を街頭に引き出すことです。ベッセントが言うとおり、「これが人々が街頭に出た理由」なのです。彼は因果関係を明示し、それを喜んでいます。「非常に前向きに進んでいる」。

もしこれが、人々が安全だと考える世界の姿なら、残念ながら、それが完全な破滅と惨事への道であることを思い知るでしょう。これはあらゆる原則に反する、純粋なギャング行為です。

なぜメルツが、あるいはヨーロッパがこのギャング行為の一員なのか、私にはまったく理解できません。彼らはJCPOAの交渉当事者でもあり、米国がそれを破壊するのを見ていました。真実を知っているのに、真実を語らないのです。

グレン・ディーセン:
まさに圧倒的なプロパガンダです。あらゆる証拠が目の前にあり、ベッセント自身が「こうしてイランを不安定化させ、経済問題を引き起こし、人々を街頭に追い出した」と語っている。マイク・ポンペオは「暴徒の中にはモサドの工作員がいる」と言っています。イスラエルのニュースを見れば、暴動を煽るために武器を送り込んでいることを説明しています。

私はイランで何が起きているかについて討論に参加しましたが、これが完全に西側の介入なしに起きた純粋に自発的な運動だと言わなかっただけで、「イラン人の苦しみに無関心だ」「政権擁護者だ」と非難されました。つまり、本当にイラン人のことを思うなら、イランを爆撃すべきだという理屈です。これがどれほど倒錯しているか。これはすべての戦争で同じです。シリア人のことを思うならアサドを打倒せよ、ウクライナ人のことを思うなら戦争を永遠に続けよ、というわけです。あまりにも卑劣です。

ジェフリー・サックス:
そのとおりです。しかし興味深いのは、もし本当にイラン人のことを思うなら、ベッセント自身の言葉に耳を傾けるべきだという点です。彼は、イラン人を苦しめることが目的だと言っています。それほどまでに苦しめ、人々を街頭に溢れ出させる。そして暴力が起きると――多くは偽旗で、扇動者やモサドによって煽られたものですが――ベッセントは「非常に前向きに進んでいる」と言うのです。

ちなみに、彼は最後の一文を言い終えたとき、小さくニヤリと笑っていました。その笑みを抑えることができなかったのです。下劣さを一層際立たせる仕草でした。

人々はベッセントが誰なのかを理解すべきです。彼は米国の財務長官です。普通なら、マクロ経済や財政政策、税制に詳しい人物だと思うでしょう。しかし違います。彼はヘッジファンド運営者で、ジョージ・ソロスと共に英国ポンドを破壊したことで名を上げた1992年のことです。通貨を破壊できる、というのが彼の特技なのです。

これほどまでに下劣で露骨であるがゆえに、やはり報道する価値がないとされているのでしょう。

グレン・ディーセン:
財務長官が経済的ヒットマンなら、心配すべきです。とりわけトランプがハンドルを握っている状況では。では、この戦争が拡大する可能性について伺いたいと思います。米国側の狙いも、イラン側の発信も、これは以前の戦争とはまったく異なり、事実上「ゼロか100か」になるという印象を与えています。この戦争は地域内に封じ込められる可能性はどの程度あると思いますか。

なぜなら、イランはすでに「この戦争に参加する者は誰であれ、報復の対象になる」と言っているからです。そして一方で、サウジアラビアは「自国の空域は使用させない」と述べています。つまり、彼らはこの事態を深刻に受け止めている。

ジェフリー・サックス:
私は軍事の専門家ではありませんが、把握している限りで、いくつかのことが分かっています。第一に、イランはイスラエルの防空網を突破できるということです。イランはそれが可能な極超音速ミサイルを持っていることを示しました。最初は極めて重要な標的を狙いませんでした。しかし、生存を賭けた戦争になれば、重要な標的を狙うでしょう。

第二に、(昨年6月の)イラン核施設への攻撃は、戦争を終わらせるどころか、イランの核保有への道(それをイランが望むとすれば)を妨害することすらできなかったということです。現在保有している濃縮ウランを原爆用レベルまで引き上げるのに必要な追加濃縮量は、さほど多くありません。したがって、これが存亡を賭けた闘いになれば、イランは疑いなく核兵器開発に突き進むことができるでしょう。

イランは核兵器を望んでいないと、検証できる形で述べてきました。IAEAの監視を受け入れ、濃縮に厳しい制限を設けると。しかし、それを10年前にトランプが破棄したのです。

状況がイランにとって深刻になれば、他国がイランを支援する可能性があります。イランは大国です。イスラエルは暗殺、モサドによる攻撃、爆撃、斬首攻撃を試みましたが、うまくいきませんでしたし、今後もうまくいくとは思えません。

これは大規模な戦争への前奏曲になりかねません。これは米国の裏庭にあるベネズエラとは違います。世界で最も爆発性の高い地域での戦争となり、周囲には核武装国が存在し、利害関係も重大です。完全に無謀で、世界的破滅を招きかねません。だからこそ、今すぐ阻止されるべきなのです。

そして繰り返しになりますが、この件についてのドイツの見解を聞いて、私はあらためて失望しています。

もしこの世界に、もはや「このような爆発性の高い地域で、国連体制のあらゆる原則に完全に反する戦争を仕掛けてはならない」と言える国が存在しないのであれば、全面的な破局に至る可能性はきわめて高いと言わざるをえません。

国連安全保障理事会は直ちに招集され、継続的に会合を開き、世界で唯一の責任を果たすべきです。すなわち、米国、そして米国大統領に対し、こう明確に言うことです。「このような脅しをしてはならない。ましてや攻撃など許されない」。脅しそのものが、国連憲章に対する重大な違反です。

グレン・ディーセン:
もはや阻止できないのではないかという不安があります。これだけの戦力が集結しており、トランプによれば回避策は「取引」だけですが、それは事実上存在しません。

ジェフリー・サックス:
トランプは、強固な反対の壁に直面すると引き下がることがあります。実際、彼はしばしばそうします。今のところ、その壁に直面していません。しかし、引き金が引かれる瞬間まで、そしてその後であっても、反対の壁を築こうとする努力をやめるべきではありません。

ヨーロッパには、人類に対する最低限の責任感を持つ人物がどこかにいるはずです。世界には、この戦争を望まない国が多くあります。私は、サウジアラビアは戦争を望んでいないと確信しています。カタールも望んでいません。アラブ首長国連邦も、トルコも望んでいません。彼らは、本当にイスラエルが作り出した新たな地域戦争に巻き込まれ、全面的な大惨事へと発展することを望んでいるでしょうか。私はそうは思いません。それを望んでいるのは、イスラエルと、その属国である米国だけです。

(翻訳以上)

こちらとあわせて読んでください。

暴かれる実態:イラン抗議を煽るCIA支援NGOの数々(アラン・マクラウド) 

米国のイラン敵視の歴史:ジェフリー・サックス


Tuesday, January 06, 2026

「三度目のチャンスはない」米国のベネズエラ攻撃を受けての国連安全保障理事会向けブリーフィング:ジェフリー・サックス "There Would Be No Third Chance." Briefing by Jeffrey Sachs to the UN Security Council Regarding US Aggression Against Venezuela

1月5日の国連安全保障理事会で、米国によるベネズエラ攻撃について話し合いがもたれた。ここでコロンビア大学のジェフリー・サックス教授がブリーフィングを行った。以下がその動画と、テクストの翻訳である。原文も下に置いた。(注:AI訳に手を加えたものである。翻訳はアップ後変更することがある。太線強調は翻訳者によるもの)

1947-89年まで70件以上の政権転覆を行ってきた米国。89年以降も、イラク、リビア、シリア、ホンジュラス、ウクライナ、そして今回のベネズエラなど、気に入らない政府、言うことをきかない政府の政権転覆作戦は続いている。今米国によるベネズエラ攻撃、大統領拉致を受けて、問われてのは生きた国際法として国連憲章を守るのか、完全に形骸化することを許すのかと、サックス教授は究極の問いを突き付けている。彼が言うように、三度目のチャンスは、ないからだ。@PeacePhilosophy 乗松聡子

 


議長閣下、
ならびに安全保障理事会の各位。

本日、理事会で問われているのは、ベネズエラ政府の性格ではありません。

問題は、いかなる加盟国であれ、武力、威圧、あるいは経済的締め付けによって、ベネズエラの政治的将来を決定したり、その内政を支配したりする権利を持つのかどうか、という点です。

この問いは、いかなる国家に対しても、その領土保全または政治的独立に対する武力による威嚇または武力行使を禁じている、国連憲章第2条第4項に直接関わるものです。

理事会は、この禁止規定を維持するのか、それとも放棄するのかを決断しなければなりません。

これを放棄すれば、きわめて深刻な結果をもたらすことになります。

背景および文脈

1947年以降、米国の対外政策は、他国における政権転覆を実現するため、武力、秘密工作、政治的操作を繰り返し用いてきました。これは、綿密に記録された歴史的事実です。政治学者リンジー・オルークは、2018年の著書『Covert Regime Change』において、1947年から1989年までの間だけでも、米国による政権転覆作戦の試みが70件に及んだことを記録しています。

こうした慣行は、冷戦の終結とともに終わったわけではありません。1989年以降も、安全保障理事会の承認を得ずに行われた主要な米国の政権転覆作戦には、特に重大なものとして、2003年のイラク、2011年のリビア、2011年以降のシリア、2009年のホンジュラス、2014年のウクライナ、そして2002年以降のベネズエラが含まれます。

用いられてきた手法は、すでに確立されており、十分に記録されています。そこには、全面戦争、秘密情報活動、騒乱の扇動、武装集団への支援、マスメディアおよびソーシャルメディアの操作、軍および文民当局者への買収、特定人物を標的とした暗殺、偽旗作戦、そして民間人の生活を崩壊させることを目的とした経済戦争が含まれます。

これらの措置は国連憲章の下で違法であり、通常、継続的な暴力、致死的な紛争、政治的不安定、そして民間人に深刻な苦痛をもたらします。

ベネズエラのケース

ベネズエラに関する最近の米国の行動の記録も明白です。

2002年4月、米国はベネズエラ政府に対するクーデター未遂を把握し、これを承認していました。

2010年代には、米国は反政府デモに積極的に関与する市民社会団体に資金を提供しました。とりわけ2014年が顕著です。政府がこれらの抗議行動を取り締まると、米国は一連の制裁措置を講じました。2015年には、バラク・オバマ大統領が、ベネズエラを「米国の国家安全保障および外交政策に対する異例かつ並外れた脅威」であると宣言しました。

2017年には、国連総会の会期に合わせて行われたラテンアメリカ諸国指導者との夕食会の場で、トランプ大統領は、政権を転覆させるために米国がベネズエラに侵攻するという選択肢について、公然と議論しました。

2017年から2020年にかけて、米国は国営石油会社に対して広範な制裁を課しました。その結果、原油生産は2016年から2020年の間に75%減少し、一人当たり実質GDP(購買力平価ベース)は62%低下しました。

国連総会は、このような一方的な強制措置に対し、繰り返し圧倒的多数で反対の決議を行ってきました。国際法の下で、この種の制裁を課す権限を有するのは、安全保障理事会のみです。

2019年1月23日、米国は一方的にフアン・グアイド氏を「暫定大統領」として承認し、同年1月28日には、海外に保有されていた約70億ドルのベネズエラ国家資産を凍結し、その一部についてグアイド氏に管理権限を与えました。

これらの行為は、20年以上にわたって継続してきた米国の政権転覆の取り組みの一環を成しています。

最近の米国による世界的エスカレーション

過去1年間に、米国は7か国で爆撃作戦を実施しましたが、そのいずれも安全保障理事会の承認を受けておらず、また、憲章に基づく合法的な自衛行為として行われたものでもありません。標的となった国には、イラン、イラク、ナイジェリア、ソマリア、シリア、イエメン、そして今回のベネズエラが含まれます。

過去1か月の間に、トランプ大統領は、コロンビア、デンマーク、イラン、メキシコ、ナイジェリア、そして言うまでもなくベネズエラを含む、少なくとも6つの国連加盟国に対して、直接的な脅迫を行いました。これらの脅迫は、本声明の別紙1に要約されています。

本日、何が問われているのか

理事会の構成員は、ニコラス・マドゥロを裁くために招集されているのではありません。

また、最近の米国による攻撃や、現在進行中のベネズエラに対する海上封鎖が、自由をもたらすのか、それとも従属をもたらすのかを評価するために招集されているのでもありません。

理事会の構成員は、国際法、そしてとりわけ国連憲章を擁護するために招集されているのです。

国際関係におけるリアリズム学派は、ジョン・ミアシャイマーによって最も卓越した形で定式化されており、国際的無政府状態を「大国政治の悲劇」として正確に描写しています。この意味で、リアリズムは地政学の記述ではありますが、平和のための解決策ではありません。その結論自体が、国際的無政府状態は悲劇に至る、というものです。

第一次世界大戦後、その悲劇を国際法の適用によって終わらせるため、国際連盟が創設されました。しかし、1930年代に世界の主要国は国際法を擁護することに失敗し、その結果、再び世界大戦へと至りました。

国連は、その大惨事を受けて、人類が国際的無政府状態の上に国際法を据えようとした、第二の大きな試みとして誕生しました。憲章の言葉を借りれば、国連は、「われらの一生の間に二度も人類に言い知れぬ悲しみをもたらした戦争の惨禍から、将来の世代を救う」ために創設されたのです。

私たちは核時代に生きています。同じ失敗を繰り返すことは許されません。人類は滅亡するでしょう。三度目の機会は存在しません。

安全保障理事会に求められる措置

憲章に基づく責務を果たすために、安全保障理事会は、直ちに以下の行動を確認すべきです。

  1. 米国は、ベネズエラに対する、公然たるものおよび水面下での、あらゆる武力による威嚇または武力行使を、直ちに停止し、差し控えるべきです。
  2. 米国は、安全保障理事会の承認なしに実施されている海上封鎖およびそれに関連するすべての強制的軍事措置を終了すべきです。
  3. 米国は、ベネズエラ国内およびその周辺に配置されている軍事力を、直ちに撤退させるべきです。これには、威圧を目的として前方展開されている情報、海軍、空軍、その他の資産が含まれます。
  4. ベネズエラは、国連憲章および世界人権宣言によって保障されている人権を遵守すべきです。
  5. 事務総長は、直ちに特使を任命し、当該特使に、関係するベネズエラおよび国際的な利害関係者と関与し、国連憲章に合致した勧告を14日以内に安全保障理事会へ報告する権限を付与すべきであり、安全保障理事会は本件を緊急かつ継続的に扱うべきです。
  6. すべての加盟国は、憲章を厳格に遵守し、安全保障理事会の権限外で行われる一方的な脅迫、強制措置、または武力行動を控えるべきです。

結びに

議長閣下、
ならびに理事会の各位。

平和と人類の生存は、国連憲章が国際法の生きた文書として存続するのか、それとも形骸化することを許されるのかにかかっています。

それが、本日この理事会の前にある選択です。

ありがとうございました。


Mr. President,
Distinguished Members of the Security Council,

The issue before the Council today is not the character of the government of Venezuela.

The issue is whether any Member State—by force, coercion, or economic strangulation—has the right to determine Venezuela’s political future or to exercise control over its affairs.

This question goes directly to Article 2(4) of the United Nations Charter, which prohibits the threat or use of force against the territorial integrity or political independence of any state.

The Council must decide whether that prohibition is to be upheld or abandoned.

Abandoning it would carry consequences of the gravest kind.

Background and context

Since 1947,United States foreign policy has repeatedly employed force, covert action, and political manipulation to bring about regime change in other countries. This is a matter of carefully documented historical record. In her book Covert Regime Change (2018), political scientist Lindsey O’Rourke documents 70 attempted US regime-change operations between 1947 and 1989 alone.

These practices did not end with the Cold War. Since 1989, major United States regime-change operations undertaken without authorization by the Security Council have included, among the most consequential: Iraq (2003), Libya (2011), Syria (from 2011), Honduras (2009), Ukraine (2014), and Venezuela (from 2002 onward).

The methods employed are well established and well documented. They include open warfare; covert intelligence operations; instigation of unrest; support for armed groups; manipulation of mass and social media; bribery of military and civilian officials; targeted assassinations; false-flag operations; and economic warfare aimed at collapsing civilian life.

These measures are illegal under the UN Charter, and they typically result is ongoing violence, lethal conflict, political instability, and deep suffering of the civilian population.

The case of Venezuela

The recent United States record with respect to Venezuela is clear.

In April 2002, the United States knew of and approved an attempted coup against the Venezuelan government.

In the 2010s, the United States funded civil society groups actively engaged in anti-government protests, notably in 2014. When the government cracked down on the protests, the US followed with a series of sanctions. In 2015, President Barrack Obama declared Venezuela to be “an unusual and extraordinary threat to the national security and foreign policy of the United States.”

In 2017, at a dinner with Latin American leaders on the margins of the UN General Assembly, President Trump openly discussed the option of the US invading Venezuela to overthrow the government.

During 2017 to 2020, the US imposed sweeping sanctions on the state oil company. Oil production fell by 75 percent from 2016 to 2020, and real GDP per capita (PPP) declined by 62 percent.

The UN General Assembly has repeatedly voted overwhelmingly against such unilateral coercive measures. Under international law, only the Security Council has the authority to impose such sanctions.

On 23 January 2019, the United States unilaterally recognized Juan Guaidó as “interim president” of Venezuela and on 28 January 2019 froze approximately $7 billion of Venezuelan sovereign assets held abroad and gave Guaidó authority over certain assets.

These actions form part of a continuous United States regime-change effort spanning more than two decades.

Recent United States global escalation

In the past year, the United States has carried out bombing operations in seven countries, none of which were authorized by the Security Council and none of which were undertaken in lawful self-defense under the Charter. The targeted countries include Iran, Iraq, Nigeria, Somalia, Syria, Yemen, and now Venezuela.

In the past month, President Trump has issued direct threats against at least six UN member states, including Colombia, Denmark, Iran, Mexico, Nigeria and of course Venezuela. These threats are summarized in Annex I to this statement.

What is at stake today

Members of the Council are not called upon to judge Nicolás Maduro.

They are not called upon to assess whether the recent United States attack and ongoing naval quarantine of Venezuela result in freedom or in subjugation.

Members of the Council are called upon to defend international law, and specifically the United Nations Charter.

The realist school of international relations, articulated most brilliantly by John Mearsheimer, accurately describes the condition of international anarchy as “the tragedy of great power politics.” Realism is therefore a description of geopolitics, not a solution for peace. Its own conclusion is that international anarchy leads to tragedy.

In the aftermath of World War I, the League of Nations was created to end the tragedy through the application of international law. Yet the world’s leading nations failed to defend international law in the 1930s, leading to renewed global war.

The United Nations emerged from that catastrophe as humanity’s second great effort to place international law above anarchy. In the words of the Charter, the UN was created “to save succeeding generations from the scourge of war, which twice in our lifetime has brought untold sorrow to mankind.”

Given that we are in the nuclear age, failure cannot be repeated. Humanity would perish. There would be no third chance.

Measures required of the Security Council

To fulfill its responsibilities under the Charter, the Security Council should immediately affirm the following actions:
 

  1. The United States shall immediately cease and desist from all explicit and implicit threats or use of force against Venezuela.

  2. The United States shall terminate its naval quarantine and all related coercive military measures undertaken in the absence of authorization by the Security Council.

  3. The United States shall immediately withdraw its military forces from within and along the perimeter of Venezuela, including intelligence, naval, air, and other forward-deployed assets positioned for coercive purposes.

  4. Venezuela shall adhere to the UN Charter and to the human rights protected in the Universal Declaration of Human Rights.

  5. The Secretary-General shall immediately appoint a Special Envoy, mandated to engage relevant Venezuelan and international stakeholders and to report back to the Security Council within fourteen days with recommendations consistent with the Charter of the United Nations, and the Security Council shall remain urgently seized of this matter.

  6. All Member States shall refrain from unilateral threats, coercive measures, or armed actions undertaken outside the authority of the Security Council, in strict conformity with the Charter.

In Closing

Mr. President, Distinguished Members,

Peace and the survival of humanity depend on whether the United Nations Charter remains a living instrument of international law or is allowed to wither into irrelevance.

That is the choice before this Council today.

Thank you.

Monday, April 21, 2025

ジェフリー・サックス教授最新記事「アジアの米軍基地を閉鎖せよ」Jeffrey Sachs: Close the US Military Bases in Asia

このサイトでも何度も紹介している、コロンビア大学のジェフリー・サックス教授が「アジアにおける米軍基地を閉鎖せよ」という記事を、Other News というインターネットニュース媒体に発表しました。ここに翻訳を紹介します。(AI翻訳に手を入れたものです。翻訳はアップ後修正することがあります。引用等するときはこの翻訳に頼らず、原文を参照した上で引用してください)@PeacePhilosophy 

Other News のサイトより

Close the US Military Bases in Asia

https://www.other-news.info/close-the-us-military-bases-in-asia/

アジアにおける米軍基地を閉鎖せよ

ジェフリー・D・サックス

超大国にとって最善の戦略は、お互いの領域に踏み込まないことです。

ドナルド・トランプ大統領は再び、アジアにある米軍基地がアメリカにとってあまりにも高コストだと大声で不満を述べています。日韓との新たな関税交渉の一環として、トランプ氏は米軍駐留費の負担を日本と韓国に求めています。ですが、はるかに良い提案があります。基地を閉鎖し、米兵をアメリカ本国へ戻すことです。

トランプ氏は、アメリカが日本に5万人、韓国に3万人近くの兵士を駐留させていることが、両国に対する大きな奉仕であると示唆しています。しかし、これらの国々は、自国の防衛にアメリカを必要としていません。両国とも裕福な国であり、確実に自らを守る力を持っています。さらに重要なことは、東北アジアの平和は、米軍の駐留よりも、外交によって、はるかに効果的かつ低コストで実現できるという点です。

アメリカは、中国から日本を守らなければならないかのように振る舞っています。本当にそうでしょうか。過去1000年の間、そのうち約150年を除いて中国は地域の覇権国でしたが、中国が日本を侵略しようとした回数は何回でしょうか? 答えは「ゼロ」です。中国が日本を侵略しようとしたことは一度もありません。

異論があるかもしれません。1274年と1281年の二度の試み(訳者注:「元寇」のこと)はどうかと。しかし、これは事実として、モンゴルが1271年から1368年まで中国を支配していた時期に、遠征艦隊を日本に派遣したものです。両度とも、台風(日本では「神風」として知られる)と日本の沿岸防衛によって撃退されました。

一方で、日本は中国を攻撃または征服しようとした試みを何度も行っています。1592年、日本の傲慢で気まぐれな軍事指導者・豊臣秀吉は明朝中国を征服する目的で朝鮮に侵攻しましたが、1598年に彼自身が亡くなり、朝鮮すら完全に征服することはできませんでした。1894年から95年にかけては日清戦争で日本が勝利し、台湾を植民地としました。1931年には日本が中国東北部(満州)に侵攻し、満州国を建国しました。そして1937年には中国に再侵攻し、アジア太平洋地域における第二次世界大戦の発端となりました。

今日、日本が中国を侵略するなどとは誰も考えていませんし、同様に、中国が日本を侵略するという合理的な理由も、歴史的な前例もまったく存在しません。日本は中国から守ってもらうために米軍基地を必要としてはいないのです。

同じことは、中国と大韓民国(韓国)の関係にも当てはまります。過去1000年の間に、中国が朝鮮半島に侵略したこともありません。一度の例外を除いては。それは1950年末、アメリカが中国を脅かしたときのことです。中国は、朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)を支援するために朝鮮戦争に参戦しました。当時、マッカーサー将軍は無謀にも中国への原爆攻撃を提案していました。さらに、台湾に拠点を置く中国国民党の軍に中国本土への侵攻を支援する提案も行いました。幸いなことに、トルーマン大統領はこの提案を拒否しました。

確かに、韓国は朝鮮に対する抑止力を必要としています。しかし、それはアメリカの軍隊ではなく、中国、日本、ロシア、朝鮮、韓国を含む地域安全保障体制によって、はるかに効果的かつ説得力を持って実現できるはずです。実際には、米軍の存在が北朝鮮の核兵器開発や軍拡をあおってきたのであり、それを減らすことには寄与していません。

実のところ、東アジアにおける米軍基地は、日本や韓国を守るためではなく、アメリカの軍事力を投射するための拠点なのです。だからこそ、なおさら撤去すべきなのです。アメリカはこれらの基地が防衛目的であると主張していますが、中国や朝鮮から見れば、それは理解可能な脅威と映ります。たとえば、アメリカによる「斬首攻撃」の可能性を示唆したり、誤解や挑発が発生した場合の中国や朝鮮の反応時間を極端に短縮したりするのです。ロシアがウクライナでのNATOの存在を激しく非難したのも、まさに同じ理由によるものでした。NATOはアメリカが支援する政権転覆の作戦にしばしば介入し、ロシアの近くにミサイルシステムを配備してきました。実際、ロシアの懸念通り、NATOはウクライナ戦争に深く関与し、兵器、戦略、情報、さらにはロシア深部へのミサイル攻撃のプログラミングや追跡にまで関与しています。

ところで、トランプ氏は現在、パナマの小さな港湾施設2か所が香港企業の所有であることに執着し、「中国がアメリカの安全を脅かしている」(!)と主張して、それらの施設をアメリカ企業に売却させようとしています。一方で、アメリカは中国の国際海上輸送路の周辺に、日本、韓国、グアム、フィリピン、インド洋に至るまで巨大な米軍基地を展開しています。

超大国にとって最善の戦略は、お互いの勢力圏に干渉しないことです。控え目に言っても、中国やロシアが西半球に軍事基地を設けるべきではありません。1962年にソ連がキューバに核兵器を配備しようとしたとき、世界は核による壊滅の瀬戸際まで行きました(その詳細については、マーティン・シャーウィンの名著『ギャンブリング・ウィズ・アルマゲドン』をご参照ください)。現在のところ、中国もロシアも、自国の近隣に米軍基地があるという挑発に直面しながらも、西半球に軍事拠点を設けようとはしていません。

トランプ氏は財政の節約を模索しています。それは良いことです。なにしろ、米連邦政府は年間2兆ドル(GDPの6%以上)もの財政赤字を抱えているのですから。海外の米軍基地を閉鎖することは、その第一歩として非常に有効です。

トランプ氏は二期目の冒頭で、その方向性を示唆していましたが、共和党の議会議員たちは軍事費の削減ではなく、増額を主張しています。アメリカは約80か国に750か所の海外基地を有しており、これらを今すぐにでも閉鎖し、財政を節約し、外交に立ち返る時がとうに来ているのです。駐留国に、自国やアメリカにとって有益でもないものの費用を負担させることは、時間、外交資源、予算の大きな浪費となります。

アメリカは中国、ロシア、その他の大国に対して、こうした基本的な合意を提案すべきです。「あなた方が我々の近隣に軍事基地を置かないなら、我々もあなた方の近隣に基地を置かない」と。主要国間におけるこのような基本的な相互主義は、今後10年で数兆ドル規模の軍事費削減を実現し、さらには「終末時計」を核戦争によるアルマゲドンまで89秒という現状から大きく後退させることができるでしょう。


※この記事は筆者本人によって「Other News」に寄稿されたものです。

※ジェフリー・D・サックス教授は、コロンビア大学教授兼持続可能な開発センター所長であり、2002年から2016年までは同大学のアース・インスティテュートの所長を務めました。また、国連の「持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)」の会長であり、「国連ブロードバンド委員会」の委員でもあります。これまでに3名の国連事務総長の顧問を務め、現在はアントニオ・グテーレス事務総長の下でSDG(持続可能な開発目標)の推進者として活動しています。主な著書に『A New Foreign Policy: Beyond American Exceptionalism』(2020)、『Building the New American Economy』(2017)、『The Age of Sustainable Development』(2015、潘基文と共著)などがあります。 

(翻訳以上)

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Monday, April 14, 2025

ジェフリー・サックス「シリア戦争はオバマによるアサド打倒命令から始まった政権転覆作戦だった」Jeffrey Sachs: CIA Operation Timber Sycamore Created Syrian Crisis (Japanese Translation)

 25年4月12日、トルコの「アンタルヤ外交フォーラム」(4月11日-13日開催)におけるジェフリー・サックス氏のシリア戦争についての発言が拡散されています。大変本質をついた指摘と思いここに日本語訳を紹介します。ガザにおけるイスラエルのジェノサイドを批判している人たちも、シリアのこととなると「独裁者アサドから反政府勢力が市民を救った」という西側メディアの物語通りに考えてしまいがちかもしれません。しかしこれが中東における、米帝国がイスラエルと結託して行ってきている政権転覆戦争の一部であるということを、サックス氏はエビデンスにもとづきながら指摘しています。(サックス氏が第一次トランプ政権の間、2018年にMSNBCに登場しシリア戦争へのCIAの関与を語っている動画もここで見られます。)

AI訳にサイト運営者が目を通し修正しました。強調は当サイト運営者によるものです。翻訳はアップ後修正することがあります。動画最後のQ&Aは割愛しています。

動画はこちら:

 

司会者:

これからジェフに質問します。
アメリカ合衆国は、シリアについて中立の立場をとっているのでしょうか?私の理解では、そうではありません。なぜなら、アメリカはシリア問題における最も重要なカード、すなわち制裁を握っているからです。たとえヨーロッパ諸国が制裁を緩和したいと望んだとしても、最終的に承認するかどうかを決定するのはアメリカなのです。彼らは中立的立場をとっているのではありません。シリアが4か月経った今でも制裁に苦しみ、私たちがあらゆる柔軟性を求めている現在の政府が、国民に日々の食料すら提供できないという事実は、我々が中立の立場にないことを意味しています。アメリカ合衆国のシリアにおける大戦略とは何でしょうか?また、現在のトランプ政権による展開は、あなたにはどのように見えますか?

ジェフ・サックス:
この戦争全体がどこから始まったのかを私たちが理解することは重要だと思います。
この戦争はバッシャール・アル=アサドから始まったのではありません。ワシントンから始まったのです。

2011年にアサドを打倒するという決定がなされました。実際には、それはエルサレムから来たのです。これは、25年以上にわたって続いてきたイスラエル政府の願望でした。

ネタニヤフの考えは、「中東をイスラエルの姿に作り変える。イスラエルに反対するあらゆる政府を打倒する」というものです。彼はその目的において、仲間を得ました。それがCIAとアメリカ合衆国政府なのです。

このシリア戦争はアサドの抑圧から始まったのではありません。アサドの独裁からでもありません。この戦争は、アサドを打倒するというオバマ大統領による大統領命令から始まったのです。

2011年の春に始まったこの計画には名前があります。それは「ティンバー・シカモア作戦」でした。アメリカはこの地域の他の国々と共に、反政府戦闘員、特にジハード主義者たちを訓練しました。その中には、最近政権を掌握した者たちも含まれており、政権を打倒させようとしたのです。

その結果、カオスが生じました。シリアでは14年にわたる戦争の中で、60万人が死亡しました。この戦争の結果とは、2011年当時CIAが望んでいたものであり、それはアメリカに武装されたジハード主義グループがシリアで政権を取るというものでした。

私がこの点をはっきりさせたい理由は、私たちがこの地域において真の外交、すなわちCIAの作戦ではない公的な外交に基づいた外交を行わない限り、平和は訪れないということを理解してほしいからです。

そしてまた、イスラエルが中東全体の軍事化をやめない限り、私たちに平和は訪れません。
なぜなら、シリア戦争はイスラエルが促進してきた6つの戦争のうちの一つにすぎないからです。それは、レバノン、イラク、シリア、リビア、ソマリア、スーダンです。

実際、私たちは2001年にウェズリー・クラーク(元陸軍大将、欧州連合軍最高司令官)からこのリストを受け取りました。彼はペンタゴンで「5年で7つの戦争を行う」という計画書を手渡されました。ネタニヤフにとって大きな不満である唯一まだ実現していない戦争とは、アメリカによるイランとの戦争です。そしてイスラエルはいまでもそれを引き起こそうとしています。

シリア戦争は中東全体の悲劇の一部でした。私たちはガザ、ヨルダン川西岸、レバノン、シリア、イラク、スーダン、南スーダン、そしてリビアにおいて悲劇を目の当たりにしています。私はこれらすべてをアメリカ合衆国政府とその同盟国イスラエルの責任に帰しています。

これらの戦争のどれもが起こる必要はありませんでした。これらはすべて「敢えてしかけた戦争」でした。これらはすべて、「どの政権がどの国を支配するかアメリカが決定する」という政権転覆作戦の発想から来ているのです。

私たちは、アメリカのような外部の帝国勢力がこの地域に条件を押し付けている限り、平和を得ることはできません。

この地域に平和が訪れる唯一の方法とは、この地域自身が自らの未来を決定することであり、外部勢力によって決められることではないのです。

そして、イスラエルはこれらの戦争を単独で行うことは決してできません。
これらはアメリカの戦争です。

アメリカは資金を提供しています。軍事的支援を提供しています。海軍の支援を提供しています。情報活動を提供しています。弾薬も提供しています。イスラエルは、アメリカの支援なしでは1日たりとも戦うことはできません。

イスラエルは、アメリカ合衆国による完全な作戦上の共犯なしには、ガザでのジェノサイドを遂行することなどできません。私が言っているのは、政治的な共犯ではありません。
私は、直接的かつ日々行われている作戦レベルの共犯のことを言っています。

これは終わらせなければなりません。この地域は、100年間分断され続けています。最初はイギリス帝国によって、次にアメリカ帝国によってです。

そしてそれは、今日に至るまで続いています。
私たちは、すぐ隣で現在進行中のジェノサイドを目の当たりにしています。今この瞬間、今朝に至るまでです。

人々が無差別に、堂々と殺されています。
それは、アメリカ合衆国がそのための手段を提供しているからです。

これが、現在シリアで起きていることなのです。
アメリカは中立なのでしょうか?とんでもありません。
アメリカは、主要な当事者なのです。

それに、私はよく知っています。
2012年、国連事務総長の潘基文氏が、元事務総長のコフィ・アナン氏をシリア和平特使に任命したことを、私は直接知っています。

私はコフィ・アナンを心から尊敬しています。私は潘基文も尊敬しています。私は彼ら二人のために働いてきました。

コフィは、2012年に和平合意を取りまとめました。彼は、シリアにおいて和平を整えたのです。

それがなぜ実現しなかったのか、お分かりですか?
全ての関係者が和平に同意していたのに、アメリカ合衆国が反対したからです。

アメリカ合衆国はこう言いました。
「バッシャール・アル=アサドが即座に辞任しない限り、和平はない」と。

他の当事者たちは言いました。
「いや、それを一方的に決めることはできません。もしかするとプロセスが必要かもしれませんし、合意された選挙があるかもしれません。2年、あるいは3年のプロセスになるかもしれません」と。

アメリカはこう言いました。
「いや、アサドはあらゆる合意の初日に去らなければならない。そうでなければ、我々はそれを拒否する」と。

その結果、コフィ・アナン氏は交渉によって和平合意をまとめた後、その職を辞任しました。

そしてそれ以降、50万人が命を落としました私たちは、このような犯罪行為を常態化させるべきではありません。

この地域は、過去30年間ずっと戦争状態にあります。いや、実際には六日戦争(1967年の第三次中東戦争)以来、少なくとも57年間にわたって続いていると言うべきでしょう。

なぜなら、国際法に対する誠実な説明責任がなく、誠実な外交が存在してこなかったからです。全てが軍事化一辺倒だったのです。

そして、私たちはすぐにでもこの地域に平和をもたらすことができます。

私の考えでは、必要なのはただ一つ。
アメリカ合衆国が、パレスチナを国連の194番目の加盟国として認めることへの拒否権を撤回することです。

その一点が満たされれば、この地域全体が関係を正常化し、地域全体にわたる戦争は終わるでしょう。

しかし、イスラエルはアメリカの政策を支配してきました。イスラエルは「ノー」と言います。イスラエルは「大イスラエル」を望んでいます。イスラエルは、シリアをイスラエルにしたいのです。レバノンをイスラエルにしたいのです。ヨルダン川西岸をイスラエルにしたいのです。東エルサレムをイスラエルにしたいのです。ガザをイスラエルにしたいのです。

これを阻止しないかぎり私たちは平和を得ることはできません。

ですから、「アメリカは中立なのか?」と問うならば、答えは「もちろん違います」です。

アメリカはこの全戦争の主要な推進者であり、過去14年間ずっとそうだったのです。

(日本語訳 以上)

この後の投稿もセットで読んでください。

シリア人ジャーナリスト、ケボーク・アルマシアン「シリアの新指導者は米国の手先であった」


Thursday, April 10, 2025

米国のイラン敵視の歴史:ジェフリー・サックス The U.S. threatens war against Iran: Jeffrey Sachs with Judge Andrew Napolitano

前回に続き、アンドリュー・ナポリターノ判事の、Judging Freedom にようこそ。2025年4月8日火曜日(米国時間)、コロンビア大学のジェフリー・サックス教授を迎えた対談の訳を紹介します(一部省略、簡素化しています)。今回は米国がイスラエルのために行おうとしている対イラン戦争についての歴史的観点も含めたコメントをしています。トランプ関税については4月9日の「(中国以外)90日間停止」のニュースが入る前のコメントと承知ください。

ナポリターノ:
アメリカがイエメンのような無力な国を爆撃することに、軍事的・政治的・地政学的な利益があるのか、お尋ねしたいと思います。

そして今朝、アメリカ合衆国大統領自身が投稿した動画を目にしました。30人から40人ほどの男性たちが輪、あるいは楕円形の列を作り、ラマダンの断食明けの行事を始めようとしている場面です。何が起きたかは、検閲の都合でお見せできませんが、その瞬間、ピート・ヘグセスによる爆撃が彼ら全員を粉砕しました。この「投稿」「自慢」「殺戮」に、いったい何の意味があるのでしょうか?

サックス:
明らかに、そこに得られるものは何もありません。あるのは、アメリカが中東で繰り広げている高額で、残酷で違法な、そして永続的な戦争を、イスラエルのために延命させることだけです。

この戦争は、北アフリカ(リビア)、東アフリカ(スーダン、ソマリア)から、東地中海(ガザ、西岸地区、レバノン、シリア、イエメン)へと広がっており、今週ワシントンを訪問したネタニヤフの意図としては、さらにイランへと拡大しようとしています。

これは20年以上にわたって続く地域戦争です。そしてそれは、イスラエルがパレスチナ人に対して支配の政策をとっており、平和が存在しないために続いているのです。その結果、パレスチナ人への支持が地域全体に広まり、軍事的支援も含まれるようになっています。

ネタニヤフの方針は、これまでにも話してきましたが、交渉もしない、妥協もしない。ただ「粉砕する」のみです。標的となるのは、パレスチナ人だけではありません。リビア人、ソマリア人、スーダン人、レバノン人、イラク人、シリア人、そしてイエメン人――パレスチナの大義を支持する可能性のあるすべての人々です。

彼らにテロリストのレッテルを貼るのは簡単です。何と呼ぼうと自由ですが、実際にテロを行っているのはイスラエルであり、今まさにガザやパレスチナで行われているのは「ジェノサイド(大量虐殺)」です。これは、妥協しない反対勢力があるから起きているのではなく、イスラエルが「大イスラエル」の支配を絶対的に求めているからなのです。

これは、宗教的な欲望と世俗的な野望が入り混じったもので、ネタニヤフが率いる過激で極端な政権の思想であり、彼はこのビジョンを30年前から持ち続けてきました。

そして、我々アメリカはその共犯者です。トランプ大統領は、ネタニヤフ訪問の際に再びゴーサインを出しました。そのネタニヤフは、国際刑事裁判所(ICC)によって戦争犯罪および人道に対する罪で逮捕状が出されている人物です。

ここ数日でも、援助職員たちがイスラエルによって故意に殺害されるという残虐な事件が起きています。誰もそれを止められません。

ですから、「何の利益があるのか?」と問われれば、こう言うかもしれません――「フーシ派が我々を攻撃しているではないか」と。しかし彼らは、パレスチナの大義を守るために戦っているのです。ハマスもそうです。彼らが攻撃しているのは、同じくパレスチナの大義を守るためです。

問題の核心はここにあります。イスラエルは、「パレスチナの大義など存在しない」と言っているのです。「我々はあの者らを粉砕する。殺す。破壊する。民族浄化を行う。何十万人もの入植者を送り込み、ヨルダン川西岸を植民地化する。」と。

もちろん、そんなやり方で平和が訪れるはずがありません。でも、それが本当にアメリカの国益なのでしょうか?

永遠に続く戦争?国家を破綻させ、国際的に孤立させ、世界中との関係を絶ち、人々にこの状況が何であるかを見抜かせる――すなわち、現在進行中の抑圧と戦争犯罪への共犯であるという現実を。

これは非常に悲しいことです。なぜなら、戦争は政治的な問題を解決することはできません。ただ多くの人々を殺すだけで、根本的な政治的課題は解決できないのです。

ナポリターノ:

ダグラス・マクレガー大佐は、指摘しています。トランプ大統領がイランに突きつけた要求は以下の通りです。

A. 核施設の解体――これは、彼自身のCIAやDIA、他の諜報機関によって「存在しない」と報告されているものです。

B. 弾道ミサイルやその他の攻撃的兵器の解体。

こうした要求は、イランを主権国家ではない、ある種シリアのような状態にまで追い込むもので、「交渉の余地がない要求(non-starters)」です。

ですから私は思うのです。これらの要求は本当に目的なのか? それとも、ネタニヤフが熱望している戦争を始めるための単なる口実なのか?

サックス:
理解しておくべきなのは、この30年間のアメリカ外交政策の傲慢さです。相手と交渉などしない――爆撃し、脅し、アメリカの覇権が常に勝つと信じ込む。

イランの場合には、核計画を終結させ、その見返りに制裁を解除するという合意がありました。それが、2016年にアメリカを含む複数の国々によって締結された「包括的共同行動計画(JCPOA)」です。

ところが、ドナルド・トランプが2017年に大統領に就任すると、彼はこのJCPOAを即座に破棄しました――ちなみにそれはイスラエルの強い要請によるものでした。イスラエルはJCPOAによる非核化に関心があったわけではなく、イランを「7番目の戦争相手」にすることに関心があったのです。これは、我々が何度も議論してきたリストに載っていた国の一つです。イスラエルは、アメリカがイランを爆撃し、名目上は破壊することを望んでいます。

これは、朝鮮民主主義共和国(朝鮮)と起きたことともよく似ています。1990年代後半、クリントン大統領は朝鮮との間で非核化のための合意を交わしました。しかしアメリカは自らの義務を果たさず、朝鮮も合意の条項に違反しました。そうした状況で本来取るべき対応は、合意に立ち返り、それを再確認し、強化することです。

ところが、次に政権を取ったジョージ・W・ブッシュ大統領は、現代アメリカ史において最も破壊的な外交官の一人、ジョン・ボルトンを任命しました。ボルトンはこう言ったのです。「強硬路線をとれ。朝鮮を脅し、言うことを聞かせろ。」

さて、結局我々は何を得たのでしょうか?核を保有する朝鮮です。核兵器の備蓄と運搬能力は増え続けています――それは、我々が交渉による道を拒んだからです。

そして今、同じことが再び起ころうとしています。トランプはこう言うかもしれません――「そうだ、交渉しよう。ただし、我々の条件を受け入れなければ破壊する」と。そんなセリフは何度も聞いてきました。これがアメリカ式のやり方であり、何度も何度も失敗してきた方法です。

なぜかアメリカの指導者たちは、「相手を徹底的に軽蔑し、侮辱することが成果を生む」と信じているようです。しかし、これはまったくの逆です。私たちが日常生活で他者と良好な関係を築こうとする際にとるべき態度とは正反対です。隣人が気難しい人であったとしても、そんなふるまいは逆効果です。真の合意に達するには真逆のアプローチが必要なのです。

何が起きるかは誰にも分かりませんが、非常に高い確率で交渉は不信感の中で崩壊するでしょう。そしてその先に何が起こるかは、もはや神のみぞ知る状況です。戦争か? 核武装したイランか? それすら分かりません。

しかし合意に達するためには、両者の間に「信頼を築く」ことが不可欠です。核開発計画を終了させる、あるいはすでにほぼ終結している場合にはそれを最終的に完了させることが、双方にとって利益であると確認できること。そして見返りとして、脅迫・制裁・軍事攻撃のリスクを終わらせること――特に、アメリカに戦争を強く要求し続ける、おぞましいイスラエル・ロビーの影響下では、そうした努力が必要です。

そして私が「アメリカ」と言うとき、それはアメリカ市民のことを言っているのではありません。ワシントンにいる傲慢な連中のことです。彼らは「脅しと爆弾こそが唯一の解決策」だと信じており、1990年代初頭以来、30年以上にわたる終わりなき戦争を我々にもたらしました。信じがたいことですが、それが今なお続いているのです。

ナポリターノ:

さて、こちらが昨日の大統領の様子です。ネタニヤフ首相と昼食を共にした直後の発言です。この映像では彼の隣に首相が座っているのですが、画面には映っていません。とはいえ、トランプのイランに関する発言には、ネタニヤフの眉が思わずピクリと動いたであろう一節が含まれています。

記者:
「あなたの指導のもとで、アメリカはイランの核計画を軍事的に破壊し、この脅威を除去する準備ができているのですか?」

トランプ:
「もしイランとの協議がうまくいかなければ、イランは重大な危機に陥ると思います。言いたくないけれど、本当に重大な危機です。なぜなら、イランは核兵器を持ってはならないからです。これは複雑な話じゃありません。イランは核兵器を持ってはならない。それだけの話です。持ってはならない。
現在、核兵器を持つべきでない国が他にもありますが、それについても今後交渉によって解決できると思います。しかし、イランは核兵器を持ってはならない。そして、もし交渉がうまくいった場合、むしろイランにとっては非常に厳しい日になるでしょう。」

トランプはイランについて語っていますが、そのすぐ隣に座っているのは、違法に核兵器を保有している国の指導者です。

サックス:

実はアメリカは1950年代後半、イスラエルが核兵器を保有するのを防ごうとしました。アイゼンハワー大統領、そしてその後のケネディ大統領も反対していました。しかしイスラエルは巧妙に立ち回り、多くの非公式な工作、非難、否定を通じて、その制止をかいくぐったのです(ここでは詳細には触れませんが)。

いずれにせよ、イスラエルは明白に核保有国であり、アメリカの軍隊を自国のために投入することを全くためらいません。そして、これまでも不当な理由でアメリカを戦争に次々と引き込んできました。今また、それをイラン相手にやろうとしているのです。

トランプ大統領の言うとおり、それほど複雑な話ではありません。実際、彼が初めて大統領に就任した2017年1月20日の時点で、すでに合意(JCPOA)は存在していたのです。

もしかすると、彼はそれがオバマ政権下で交渉された合意だったというだけで受け入れられなかったのかもしれません。あるいは、イスラエル・ロビーの影響を受けたのかもしれません。あるいは彼のいつもの強硬姿勢――「相手が合意したなら、その合意は悪いに違いない」という考えに従ったのかもしれません。

「もっと圧力をかけて合意を崩壊させれば、さらに多くの要求を通せる。あるいは少なくとも自分にとってはそう思える」と。

でも合意はすでに存在していたのです。そして彼の言うとおり、合意は可能です。ただし、「イランを破壊するぞ」と脅すことは、その合意に至るための効果的な手段ではありません。しかし、合意は可能です。なぜなら、すでに「実例」が存在していたからです。

ナポリターノ:

では、アメリカの情報機関がイランをイスラエルへの脅威と見なしているかどうか、私たちは知っているでしょうか? イランがイスラエルにとっての脅威というよりも、むしろイスラエルのほうがイランにとっての脅威である――そう考える方が現実的ではないでしょうか?

サックス:

「脅威か否か」という単純な二元論ではありません。我々が他国をどう見なすか、どう接するかの問題なのです。もし我々が他国を爆撃で脅し、合意を破棄し、交渉した協定を自ら無効にしてしまえば——

ここで、ぜひ振り返っていただきたい歴史があります。1953年、アメリカはイランの民主主義を打倒しました。MI6とCIAの共同によるクーデターで、当時のイラン首相モハンマド・モサッデクを排除したのです。

モサッデクは選挙で選ばれた人気のある非常に聡明な首相でした。彼は、「地下にある石油は、イラン国民のものであって、イギリスやアメリカのものではない」と信じていたのです。勇気ある人でした。

その結果、1953年に政権転覆し、警察国家を敷きました。イランの人たちは怒りました。革命が1979年に起き、人質事件が起こり、レーガン大統領の就任と同時に人質が解放されたとき、アメリカは何をしたでしょうか?

アメリカはイラクを武装させました。サダム・フセイン――あの「親しい友人」であり、のちに我々が打倒した人物――に武器を供給し、イラン人を何十万人と殺させ、民間人に甚大な被害をもたらしました。イラクに武器・装備・資金を与え、イランを壊滅させる手助けをしました。

クーデター、政権転覆、警察国家。すでに何度も繰り返されてきた歴史です。そしてその後になって、「なんて酷い国だ、敵だ、脅威だ」と言うのです。

もし2016年の合意を順守していたならば――もし、イランがバイデン政権下で何度も、ほとんど絶え間なく差し出してきた「平和のシグナル」を真剣に受け止め、応じていたならば(政権はそれらをすべて無視するか、退けましたが)、今のような状況とは違ったはずです。

ワシントンの固定観念に凝り固まった人々の頭では、戦争と脅迫と爆撃と政権転覆以外に平和をもたらす手段があるということが理解できないのです。

ナポリターノ:

あなたは経済的観点から、私は法律および憲法の観点から、厳しく大統領の関税政策を批判しました。その違法かつ憲法違反で、経済的にも誤った関税政策が、今日の地政学にどのような影響を及ぼしているのでしょうか?

サックス:
まず第一に、世界中の人々は、たった3日間で時価総額10兆ドルが吹き飛んだことにまったく呆れています。新たな経済不況への突入や、ここ数十年で最も深刻な経済的な不確実性の高まりにも、誰もが不安を感じています。

中国は「いいえ、トランプ氏。我々はあなたの脅しには屈しません」と言いました。それに対してトランプ大統領は、「では関税率をさらに50%上乗せして、100%を超えさせる」と言い放ちました。

そして、ちょうど私たちがこの会話を始める直前、もし私が見た見出しが正しければ、アメリカ政府は実際にその方向に進もうとしているとのことです。詳細な報道を見ていないので確証はありませんが、たった3日で、世界経済の秩序は大統領令ひとつでひっくり返されました。
その文面はこう始まっています――「アメリカ合衆国大統領としての権限により、私は非常事態を宣言する…」

これは、民主主義国家としてのアメリカのあるべき姿ではありません。これは民主主義の劣化であり、逸脱です。私たちの国がこのようなやり方で運営されていること自体が、恥ずべきことです。そしてその影響は、全世界に及んでいます。

いま世界中の国々が、必死に対応しようとしています。中には「どうすればご満足いただけますか、閣下」と、ひざまずくような姿勢をとる国もあります。ホワイトハウスはそれを喜んでいるに違いありません。

しかし、他の国々はこう考えています。「これはまったく受け入れがたい。一人の人間が独断で、数十年かけて築かれた秩序を破壊するなど許されない」と。

多くの国々が今こう自問しています。「我々の貿易相手国は誰なのか?来週、何が起こるのか?関税が適用されたら、我々はどうすればよいのか?」

私は、非常に多くの国々が急速に「我々はもっと相互に協力しなければならない」という結論に達していると思います。アメリカが、彼らの市民の生活の基盤を破壊しつつあるからです。

欧州委員会のフォン・デア・ライエン委員長と、中国の首相の間で通話が行われ、「これ以上トランプ氏の決定が世界経済に壊滅的な影響を与える前に、今すぐ安定のための交渉しなければならない」と確認されました。

ですから中国とEUは、成熟した対応で、これ以上の悪化を防ごうとしていると私は願っています。

前回申し上げたように、インドと中国は冷静でバランスの取れた関係を維持するための措置を講じています。中国・韓国・日本も同様です。ASEAN――東南アジアの10か国――も、域内統合をより強化するための会合を重ねています。7億人を抱えるこの地域が、中国との統合をさらに深めなければならないという認識を持つようになったのです。

トランプは、議会での審議も、法にもとづく投票もなく、アメリカのビジネス界や世論の支持もなく、たった一人で「大統領令」で世界全体を危機に陥れました。

この危機は、多くの国々を「防衛的連携」へと駆り立てることでしょう。他国にとって、アメリカはもはや重大な経済的脅威となっているのです。

(以上)

当サイトの過去のジェフリー・サックス関連投稿:

ジェフリー・D・サックス「CIAはいかに世界を不安定化させるか」(Common Dreams 寄稿)Jeffrey D. Sachs: How the CIA Destabilizes the World (Japanese Translation)

「ヨーロッパはNATOではない:独自の外交政策が必要」ジェフリー・サックス、欧州議会で熱弁 Jeffery Sachs: Europe is Not NATO and Needs its Own Foreign Policy


Thursday, March 06, 2025

「ヨーロッパはNATOではない:独自の外交政策が必要」ジェフリー・サックス、欧州議会で熱弁 Jeffery Sachs: Europe is Not NATO and Needs its Own Foreign Policy

コロンビア大学のジェフリー・サックス教授はいま西側でのもっとも良心的であり理性的な有識者の一人である。2月19日欧州議会で講演し、欧州諸国やソ連、ロシアの経済アドバイザーを務めた経験を踏まえ、第二次大戦後、欧州がNATOという米国主導の軍事同盟と一体化して独自の外交を失ってしまった経緯に警鐘を鳴らし、米国とは距離を取って独自にロシアと、戦争ではなく外交を築くことを強く訴えた。各国の外交官が戦争司令官に成り果てた姿を憂い、ロシアとの外交を復活させることを提唱した。講演録が記事として出た Consortium News からAI翻訳の力を借りて日本語訳を紹介する。(翻訳はアップ後変更する可能性があります) 
これを読めばウクライナ戦争への理解も深まるでしょう。@PeacePhilosophy 


この講演の一部に日本語字幕がついて拡散された映像がこちらです。


以下、全文の翻訳です。

Jeffrey Sachs: The Geopolitics of Peace

ジェフリー・サックス:「平和の地政学」

原文:https://consortiumnews.com/2025/02/27/jeffrey-sachs-the-geopolitics-of-peace/

著者は、ヨーロッパの議員たちに対して、戦後のアメリカの操作的な外交政策を説明し、ウクライナに関する神話を打ち破り、独立したヨーロッパの外交政策を求めて訴えている。

これは、2025年2月19日に欧州議会で行われたジェフリー・サックス教授の講演「平和の地政学」の編集済み記録である。本イベントは、元国連事務次長で現BSW欧州議会議員のミヒャエル・フォン・デア・シューレンブルク氏が主催した。本記録は明瞭化のために編集され、注釈が付けられている。

ジェフリー・D・サックス

序論

皆さん、この場に集い、一緒に考える機会をいただきありがとうございます。現在は非常に複雑で、急速に変化し、そして極めて危険な時代です。だからこそ、私たちは明確な思考を持つことが必要です。特に私は皆さんとの対話に関心があるので、できる限り簡潔かつ明確にお話ししたいと思います。

私は東ヨーロッパ、旧ソ連、ロシア、ウクライナで起こった出来事を、ここ36年間にわたって間近で見てきました。1989年にはポーランド政府の顧問を務め、1990年から1991年にかけてはゴルバチョフ大統領の経済チームの、1991年から1993年にはエリツィン大統領の経済チームの、そして1993年から1994年にはウクライナのクチマ大統領の経済チームの顧問を務めました。

また、エストニアの通貨導入を支援し、旧ユーゴスラビア諸国、特にスロベニアにも関わりました。マイダン革命後、新政府から招かれてキーウを訪れ、マイダン広場を案内されながら、数多くのことを直接学びました。

私は30年以上にわたりロシアの指導者とも交流を続けてきました。また、アメリカの政治指導層についても間近で見てきました。例えば、前財務長官のジャネット・イエレン氏は、52年前に私のマクロ経済学の素晴らしい教師でした。私たちは半世紀にわたる友人関係にあります。

私はこれらの人々を直接知っています。こう話すのは、私の見解が二次的な情報やイデオロギーに基づくものではなく、私自身が目にし、経験してきたことに基づいているからです。ヨーロッパで起こった出来事について、ウクライナ危機だけでなく、1999年のセルビア、イラクやシリアを含む中東の戦争、スーダン、ソマリア、リビアを含むアフリカの戦争といった文脈も含めてお話ししたいと思います。これらは、極めて誤ったアメリカの政策の結果です。私の話は驚くべき内容かもしれませんが、私はこれらの出来事について経験と知識を持って語っています。

アメリカの外交政策

これらの戦争は、アメリカが主導し、引き起こしてきたものです。そして、これは過去30年以上にわたって続いてきました。特に1990年から1991年の時期、そしてソ連崩壊を経て、アメリカは「世界を支配できる」と考えるようになり、他国の意見やレッドライン(越えてはならない一線)、安全保障上の懸念、国際的な義務、あるいは国連の枠組みを考慮する必要がないとする姿勢を取りました。このことを率直に言わざるを得ませんが、ぜひ理解していただきたいと思います。

私は1991年に、ゴルバチョフへの財政支援を得ようと必死に努力しました。私は彼を現代における最も偉大な政治家の一人と考えています。(この取り組みは、ハーバード大学ケネディスクールのグレアム・アリソン教授が主導し、ゴルバチョフの経済顧問であるグリゴリー・ヤブリンスキーと共に進められ、その成果は『Window of Opportunity: The Grand Bargain for Democracy in the Soviet Union』(Pantheon Books, 1991)として出版された。)

最近、国家安全保障会議(NSC)の議事録を読んだところ、1991年6月3日に私の提案について議論された内容が記録されていました。それを初めて読んで、ホワイトハウスが私の提案を完全に却下し、ソ連の財政安定化や改革支援のための財政援助を求める私の訴えを、まるで笑い飛ばすかのように退けたことを知りました。そのメモには、アメリカ政府が「最小限の支援で破滅を防ぐが、それ以上のことはしない」と決定したことが記録されています。

リチャード・ダーマン(当時、米国行政管理予算局〈OMB〉)は、次のように述べています。

「米国の利益を定義する際には、ある程度マキャベリズム的である必要がある。我々が他の問題で協力を望む政権を宥和させるために必要な最低限の支援とは何か? つまり、物事を前進させるための最低限の条件とは何か? 私は、ソ連の崩壊について心配する必要はないと考えている。これが我々の内部的な理解であるならば、あとは公に発表すればよい。」

さらにダーマンはこう付け加えています。

「私は真剣であるように見せたいが、自分たちを欺くつもりはない。我々には、すでに優れたPR戦略のための材料が十分に揃っている。」 (強調は原文より。)*)

彼らは、それがアメリカの仕事ではないと判断しました。むしろその逆です。(詳しくは、私の論文「ネオコンは1990年代初頭にどのようにして覇権を平和よりも優先させたのか」を参照。)

1991年にソビエト連邦が崩壊すると、この見解はさらに誇張されました。そして、具体的な事例を挙げることもできるが、その見方は、「我々(アメリカ)が主導する」というものでした。[ディック]・チェイニー、[ポール]・ウォルフォウィッツ、そして多くのよく知られた名前の人物たちは、文字通り「これはもはやアメリカの世界であり、我々は好きなようにやる」と信じていました。我々は旧ソ連の残滓を整理し、ソ連時代の同盟国を一掃する。イラクやシリアのような国々は消えるだろう、という考えだったのです。

そして、私たちはこの外交政策を基本的に33年間経験してきました。ヨーロッパはその代償を大きく支払ってきました。というのも、この期間中、ヨーロッパには私が把握できる限り、独自の外交政策が存在しなかったからです。発言力もなく、団結もなく、明確さもなく、ヨーロッパの利益もなく、ただアメリカへの忠誠だけがありました。

時折、意見の相違が生じることがあり、それはとても素晴らしい瞬間だったと思います。最後に重要な意見の相違があったのは、2003年のイラク戦争直前でした。このときフランスとドイツは、アメリカが国連安全保障理事会を無視して戦争を始めることを支持しないと表明しました。この戦争は、ネタニヤフと彼のアメリカ国防総省内の仲間たちによって直接仕組まれたものでした。(詳しくはデニス・フリッツの著書『Deadly Betrayal: The Truth about why the United States Invaded Iraq』(OR Books、2024年)を参照。)

これは因果関係や相互作用があったと言っているのではないのです。私は、この戦争がイスラエルのために行われたと言っているのです。ポール・ウォルフォウィッツとダグラス・フェイスが、[イスラエルの指導者]ベンヤミン・ネタニヤフと協力して進めた戦争でした。

そして、それがヨーロッパが最後に声を上げたときでした。当時、私はヨーロッパの指導者たちと話をしたが、彼らは非常に明確な立場をとっており、理不尽な戦争への反対を表明する彼らの姿勢を聞くのは実に素晴らしいことだった。しかし、それ以降、特に2008年以降、ヨーロッパは完全に声を失った。1991年以降、2008年に至るまでに起こったことは、アメリカが「一極体制(ユニポーラリティ)」とは、NATOがブリュッセルからウラジオストクまで一歩ずつ拡大していくことだと決定した、ということでした。

NATO拡大

NATOの東方拡大には終わりがなかった。これこそがアメリカの一極世界です。子供の頃に「リスク」というボードゲームで遊んだことがある人なら、アメリカの考え方がわかるでしょう。つまり、盤上のあらゆる場所に自分の駒を置くことが目的なのです。アメリカ軍基地が存在しない場所は、基本的に敵と見なされます。アメリカの政治的な言葉の中では、中立という言葉は汚れた言葉なのです。

中立という言葉は、アメリカの思考においておそらく最も忌み嫌われる言葉です。もし敵なら、それははっきりしています。しかし、中立である場合は「陰で反対を目論む者」と見なされる。なぜなら、本当はアメリカに反対しているが、それを表向きは隠しているだけだと思われるからです。表面上は中立を装っているにすぎないと。これがまさにアメリカの考え方であり、この決定は1994年に正式に下されました。クリントン大統領がNATOの東方拡大を承認したのです。

思い出してほしい。1990年2月7日、ハンス=ディートリッヒ・ゲンシャーとジェームズ・ベイカー三世がゴルバチョフと会談した。ゲンシャーはその後の記者会見で「NATOは東方へ拡大しない」と明言していました。

ドイツと米国はワルシャワ条約機構の解体を利用しないと約束しました。この約束は、法的・外交的な文脈でなされたものであり、単なる口約束ではないことを理解してほしいです。これらの約束は、第二次世界大戦の終結に向けた交渉の核心であり、ドイツ再統一への道を開くものだったのです。

NATOが東へ一歩たりとも拡大しないという理解が成立していました。(これは口頭での合意ではあったが、ゴルバチョフは米国とドイツに対し、NATOを東方へ拡大しないという米独の誓約の重要性を強調していた。)そして、それは明確であり、無数の文書に記録されています。ジョージ・ワシントン大学の国家安全保障アーカイブを調べれば、何十もの文書を見ることができます。「What Gorbachev Heard About NATO」というウェブサイトを見てください。いま米国がこの約束について語ることはすべて嘘ですが、アーカイブには明確な証拠が残っています。(主要な文書の多くはここここにある。)

それで、1994年にクリントンがNATOをウクライナまで拡大する決定を下しました。これは米国の長期的な計画であり、特定の政権に依存するものではないです。これは30年以上前に始まった米国政府のプロジェクトなのです。1997年、ズビグニュー・ブレジンスキーは『大いなるチェス盤(The Grand Chessboard)』を執筆し、NATOの東方拡大について述べました。

この本は単なるブレジンスキー氏の思索の産物ではありません。この種の本が出版される仕組みとして、これはすでに米国政府が下した決定を公に説明するためのものだったのです。この本では、ヨーロッパの東方拡大とNATOの東方拡大が同時に進行し、結びついた出来事として描かれています。そして、その本には、「ヨーロッパとNATOが東方に拡大する中でロシアはどうするのか?」という問いを扱ったよくわかる章があります。

私はズビグ・ブレジンスキーを個人的に知っていました。彼は私にとても親切だった。私はポーランドに助言をしており、彼も大いに助けてくれました。彼は非常に賢い人物だったが、それでも1997年にはすべてにおいて、間違っていました。

1997年、彼はロシアがNATOとヨーロッパの東方拡大を受け入れる以外に選択肢がない理由について詳細に記しました。

(以下は、『大いなるチェス盤』118ページにおけるブレジンスキーの記述です:)

「ロシアにとって唯一の現実的な地政学的選択肢――それは、ロシアに現実的な国際的役割を与え、また、自国の変革と社会的近代化の機会を最大限に高めることができる選択肢――はヨーロッパである。そして、それは単なるヨーロッパではなく、拡大するEUとNATOによる大西洋をまたぐヨーロッパである。そのようなヨーロッパは、第三章で述べたように、形成されつつあり、またアメリカとも緊密な関係を維持し続ける可能性が高い。ロシアが危険な地政学的孤立を回避しようとするならば、まさにこのヨーロッパと関係を築かねばならないのである。」

実際、彼はヨーロッパの東方拡大について述べており、それは単なるヨーロッパではなく、NATOの拡大でもあるとしています。これはアメリカの計画であり、プロジェクトなのです。そして、ブレジンスキー氏はロシアが決して中国と同盟を結ばないと説明しています。それは考えられないことだと。そして、ロシアは決してイランとも同盟を結ばないと述べています。

ブレジンスキー氏によれば、ロシアにはヨーロッパ以外の選択肢はありません。そのため、ヨーロッパが東へ拡大していく以上、ロシアにはそれを阻止する手立てがないというのです。これがまた、あるアメリカの戦略家の主張です。なぜアメリカが常に戦争を続けているのか、不思議ではないでしょうか? アメリカという国の特徴の一つは、常に「相手が何をするか分かっている」と考えていることですが、実際にはいつも間違えているということです。そして、その理由の一つは、アメリカの戦略家が用いる非協力ゲーム理論にあります。この理論では、相手側と実際に対話することなく、相手の戦略を「知っている」ことになっているのです。これは実に便利で、時間の節約になります。なぜなら、外交を行う必要すらないからです。

黒海戦略

このプロジェクトは1994年に本格的に始動し、おそらく昨日までの約30年間、一貫した政府方針として継続されてきました。(ここで言及しているのは、2025年2月12日のトランプ・プーチン電話会談と、それに続く一連の声明のことです。)

これは30年にわたるプロジェクトです。ウクライナとジョージアがその鍵を握っていました。なぜでしょうか? それは、アメリカがすべての戦略をイギリスから学んだからです。

アメリカは、いわば「英国帝国の後継者」になろうとしているのです。そして、イギリス帝国が1853年にパーマストン卿(正式には、パーマストン子爵)とナポレオン3世と共に理解していたこと、それは「黒海でロシアを包囲し、東地中海へのアクセスを断つこと」でした。

現在目の当たりにしているのは、21世紀においてアメリカが同じことを実行しようとしている様子なのです。アメリカの構想は、ウクライナ、ルーマニア、ブルガリア、トルコ、ジョージアをNATOに加盟させ、黒海を封鎖することでロシアの国際的な地位を奪い、ロシアを単なる地域大国にまで弱体化させることでした。ブレジンスキー氏は、この地政学的戦略について明確に述べています。

パーマストンの後、そしてブレジンスキーの前に、1904年にはハルフォード・マッキンダーがいました。彼はこう述べています。「東ヨーロッパを支配する者はハートランドを支配する。ハートランドを支配する者は世界島を支配する。世界島を支配する者は世界を支配する。」(1919年、マッキンダーは『民主主義の理想と現実(Democratic Ideals and Reality)』を執筆し、1904年の著作『歴史の地理的枢軸(The Geographical Pivot of History)』を発展させました。)

私は歴代の大統領やその側近たちを知っていました。クリントン、ブッシュ・ジュニア、オバマ、トランプ、バイデンと続く中で、大きく変わったことはありません。むしろ、一歩ずつ悪化していったように思います。

私の考えでは、バイデンが最悪でした。その理由の一つは、彼がここ数年、まともな判断ができる精神状態ではなかったからかもしれません。これは皮肉ではなく、真剣にそう思っています。アメリカの政治システムは「イメージのシステム」です。それは毎日メディア操作を行うシステムであり、広報戦略によって成り立つシステムなのです。

大統領がほとんど機能していなくても、2年間政権を維持し、再選を目指すことができるのです。唯一の問題は、90分間ひとりで演説の舞台に立たなければならなかったことでした。そして、それがすべての終わりとなりました。もしその「手違い」がなかったら、彼は午後4時以降に眠っていようと、再選に向けたキャンペーンを続けていたでしょう。これが現実なのです。誰もがそれを受け入れています。私が今言っていることは不作法とされるでしょう。なぜなら、私たちはこの世界でほとんど何事についても真実を語ることがないからです。

このプロジェクトは1990年代から続いてきました。1999年にベオグラードを78日間連続で爆撃したのも、このプロジェクトの一環でした。「国境は神聖なものだ」と言われますよね? ただし、コソボを除いては。国境は神聖なものですが、それはアメリカが変更しない限りの話です。スーダンを分断したのも、同様のアメリカのプロジェクトでした。南スーダンの反乱について考えてみてください。それは単に南スーダンの人々が反乱を起こしたから起きたのでしょうか? それとも、私がCIAの作戦マニュアルをお見せしたほうがいいでしょうか?

大人として、この問題の本質を理解しましょう。軍事作戦には莫大な費用がかかります。装備、訓練、基地、情報収集、資金が必要です。そして、それらの支援は大国から提供されるのであり、単なる地域の反乱から生じるものではありません。南スーダンがスーダンを部族間の戦争で打ち破ったわけではないのです。スーダンの分断は、アメリカのプロジェクトでした。私はナイロビに頻繁に訪れましたが、そこでアメリカの軍関係者や上院議員、あるいはスーダンの内政に「深い関心」を持つ人々に何度も出会いました。あの戦争もまた、アメリカが単独で覇権を握ろうとするゲームの一部だったのです。

アメリカの外交政策とNATOの拡大

そして、ご存じのように、NATOの拡大は1999年にハンガリー、ポーランド、チェコ共和国の加盟から始まりました。ロシアはこの動きに非常に不満を抱いていましたが、これらの国々はまだロシアの国境から遠く離れていました。ロシアは抗議しましたが、もちろん何の効果もありませんでした。

その後、ジョージ・ブッシュ・ジュニアが大統領に就任しました。そして、9.11が発生した際、プーチン大統領はアメリカへの全面的な支援を約束しました。しかし、その直後、2001年9月20日頃、アメリカは「5年間で7つの戦争を実行する」と決定したのです。

この件については、ウェズリー・クラーク将軍の発言を映像で確認することができます。(2011年の*Democracy Now!*のインタビューで、クラーク将軍は、国防総省の高官から「我々は7つの国の政府を攻撃し、破壊する予定だ。まずイラクから始め、その後シリア、レバノン、リビア、ソマリア、スーダン、そしてイランへと進む」と告げられたと語っています。)

クラーク将軍は1999年にNATOの最高司令官を務めていました。そして、2001年9月20日頃にペンタゴンを訪れた際、アメリカが「選択的に行う7つの戦争」について記されたメモを渡されました。実際のところ、これらはネタニヤフの戦争だったのです。

アメリカ政府の計画は、一部は旧ソ連の同盟国を一掃すること、そして一部はハマスやヒズボラの支援者を排除することを目的としていました。ネタニヤフ氏の構想は過去も現在も一貫しており、「1948年以前のパレスチナ全域には、一つの国家しか存在しない」というものです。そう、その国家はイスラエルです。イスラエルがヨルダン川から地中海までの全領土を支配するのです。

そして、もし誰かが異議を唱えれば、その人物や政権を打倒する。もっと正確に言えば、それを行うのはイスラエルではなく、イスラエルの「友人」であるアメリカです。これが今朝までのアメリカの外交方針でした。今後どうなるかはまだ分かりません。唯一の変化は、もしかするとイスラエルではなく、アメリカが「ガザを所有する」可能性がある、ということです。(これはトランプ大統領の発言によるものです。)

ネタニヤフ氏のこの構想は少なくとも25年以上前から存在しています。その起源は、1996年にネタニヤフ氏と彼のアメリカの政治チームが作成した 「Clean Break(クリーン・ブレイク)」 という文書にまで遡ります。この文書の目的は、二国家解決の構想を終わらせることでした。この文書はオンラインでも確認できます。

(1996年、ネタニヤフとそのアメリカ人顧問団は、高度戦略政治研究所(Institute for Advanced Strategic and Political Studies)とともに、「クリーン・ブレイク:王国を守るための新戦略(Clean Break: A New Strategy for Securing the Realm)」という文書を発表した。この新たな「クリーン・ブレイク」戦略は、「土地と引き換えに平和を得る」という枠組みをイスラエルが拒否することを求めるものであった。

これは、地域の平和と引き換えに1967年に占領したパレスチナの土地から撤退するという考え方を否定するものであり、むしろ、イスラエルが中東の地図を自らの望む形に作り変え、「平和のための平和」を確保するまで、占領政策を継続することを提唱するものであった。すなわち、この地域の地図を塗り替えるという構想は、イスラエルの支配に反対する政権を打倒することを含意していたのである。)

したがって、これらは長期的なアメリカのプロジェクトです。「これはクリントンのせいなのか? ブッシュなのか? オバマなのか?」と問うのは誤りです。アメリカ政治を日々の出来事や年ごとの変化として捉えるのは退屈な見方に過ぎません。アメリカ政治とは、そのようなものではないのです。

1999年のNATO拡大の後、次の拡大は2004年に行われ、さらに7か国が加盟しました。バルト三国、ルーマニア、ブルガリア、スロベニア、スロバキアです。この時点で、ロシアは非常に強い不満を抱いていました。このNATO拡大の第二波は、ドイツ再統一の際に合意された戦後秩序を完全に覆すものでした。要するに、これはロシアとの協力的な取り決めに対するアメリカの根本的な裏切り、あるいは欺瞞だったのです。

周知のとおり、先週ミュンヘン安全保障会議(MSC)が開催されたばかりですが、プーチン大統領は2007年のMSCにおいて「いい加減にやめてください!」と発言しました。しかし、当然のことながら、アメリカはそれに耳を傾けることはありませんでした。

2008年、アメリカは長年の計画であったウクライナとジョージアのNATO加盟を、ヨーロッパに強引に押し付けました。これは長期的なプロジェクトです。私は2008年春、ニューヨーク市で行われた外交問題評議会(Council on Foreign Relations)の会合で、サーカシビリ氏の演説を聞きました。

彼は、「ジョージアはヨーロッパの中心に位置しており、したがってNATOに加盟する」と語りました。私はその場を退出し、妻に電話をかけ、「この男は正気ではない。彼は自国を滅ぼすつもりだ」と伝えました。

その1か月後、ロシアとジョージアの間で戦争が勃発し、ジョージアは敗北しました。最近のトビリシでの出来事もまた、ジョージアにとって決して良いものではありません。欧州議会議員(MEP)が現地に赴き、抗議活動を煽ることは、ジョージアを救うどころか、むしろ完全に破壊へと導くものです。

2008年には、よく知られているように、元CIA長官であり当時アメリカの駐ロシア大使であったウィリアム・バーンズ氏が、長文の外交公電を国務長官のコンドリーザ・ライス氏に送っています。その公電は「Nyet means Nyet(ノーはノーを意味する)」という有名なタイトルが付けられていました。バーンズ氏のメッセージは、「NATO拡大に反対しているのはプーチン大統領だけではなく、ロシアの政治階級全体である」というものでした。

この公電の存在が明らかになったのは、ジュリアン・アサンジ氏のおかげです。現在、アメリカ政府や主要新聞は、この件について国民に一切知らせていません。したがって、私たちはアサンジ氏に感謝しなければなりません。この公電の詳細を読むことができるのは、彼の尽力があったからです。

ご存じのとおり、ヴィクトル・ヤヌコーヴィチ氏は2010年にウクライナの中立政策を掲げて大統領に当選しました。当時、ロシアにはウクライナに対する領土的な関心や野心は一切ありませんでした。私はその時期、断続的に現地に滞在していたので、よく知っています。

2010年にロシアが交渉していたのは、セヴァストポリ海軍基地の2042年までの25年間のリース契約でした。それだけのことです。クリミアやドンバスに関するロシア側の要求は一切なく、そうした話は全く存在していませんでした。「プーチンがロシア帝国を再建しようとしている」という考えは、子どもじみたプロパガンダに過ぎません。失礼ですが、そのような話を信じるのは浅はかです。

日々の出来事や長年の歴史を知る人なら、このような主張がいかに幼稚なものであるか分かるはずです。しかし、なぜかこうした幼稚な主張のほうが、大人の議論よりも広まりやすいのです。2014年のウクライナでのクーデター以前には、ロシアによる領土的な要求は一切ありませんでした。しかし、アメリカはヤヌコーヴィチ氏が中立を支持し、NATO拡大に反対していることを理由に、彼を打倒する決定を下しました。これは「政権転覆作戦(Regime Change Operation)」と呼ばれるものです。

1947年以降、アメリカは約100回にわたり、政権転覆作戦を実行してきました。その多くは、ここにいる欧州議会議員の皆さんの国々を含め、世界各地で行われています。

(政治学者リンジー・オルークは、1947年から1989年の間にアメリカが実行した64件の秘密裏の政権転覆作戦を記録し、「政権転覆作戦、とりわけ秘密裏に実施されたものは、影響を受けた地域において長期的な不安定化、内戦、人道的危機を引き起こすことが多い」と結論づけている。詳しくは、オルークの2018年の著書『Covert Regime Change: America’s Secret Cold War』を参照のこと。

1989年以降についても、CIAがシリア、リビア、ウクライナ、ベネズエラをはじめとする多くの国々で活動していたことを示す十分な証拠が存在している。)

それがCIAの本業です。そのことをぜひ知っておいてください。これは非常に特殊な外交政策の形です。アメリカ政府では、相手側が気に入らなければ交渉するのではなく、秘密裏に政権を転覆させようとします。それがうまくいかなければ、公然と転覆を試みます。そして、常に「我々のせいではない」と主張します。「相手が侵略者であり、敵である」と言うのです。

彼らは「ヒトラーだ」とされます。このレトリックは2~3年ごとに繰り返されます。サダム・フセインであれ、バッシャール・アル=アサド(シリアの元大統領)であれ、プーチンであれ、非常に便利な言い方なのです。アメリカ国民に示される唯一の外交政策の説明は、「我々は1938年のミュンヘンと同じ状況に直面している。我々は相手と交渉することはできない。彼らは邪悪で妥協の余地のない敵だ」というものです。

これが、政府や大手メディアから常に聞かされる唯一の外交政策のモデルです。そして、大手メディアはそれを完全に繰り返します。なぜなら、メディアは完全にアメリカ政府の支配下にあるからです。

マイダン革命とその後

2014年、アメリカはヤヌコーヴィチ政権を打倒するために積極的に動きました。コロンビア大学の同僚であるヴィクトリア・ヌーランド氏と、アメリカの駐ウクライナ大使ジェフリー・パイアット氏の電話が傍受されたことは、誰もが知っています。これ以上の証拠はありません。ロシアがこの通話を傍受し、インターネット上に公開しました。

興味深いことに、この件に関与した人物たちは、その後バイデン政権下で昇進しました。これが「仕事」なのです。マイダン革命が発生した直後、私は連絡を受けました。「サックス教授、新しいウクライナ首相が経済危機について話をしたがっています」と。そのため、私はキエフへ飛び、マイダン広場を案内されました。そして、アメリカがマイダン周辺にいたすべての人々のために資金を提供し、「自発的な」尊厳の革命を支援したことを聞かされました。

皆さん、どうか冷静に考えてみてください。マイダン革命のとき、なぜ突然ウクライナ国内に無数の新しいメディアが登場したのでしょうか? これらの組織はどこから生まれたのでしょうか? これほど多くのバスはどこから来たのでしょうか? そして、なぜあれほど多くの人々が一斉に集結できたのでしょうか? 冗談ではありません。これは計画された活動だったのです。そして、それは秘密でも何でもありません。ただし、欧米の市民にとっては知らされていないだけです。それ以外の世界の人々は、このことをよく理解しています。

クーデターの後、ミンスク合意、特に「ミンスク2」が締結されました。これは、イタリアにおけるドイツ系住民のための南チロル自治をモデルとしたものでした。また、ベルギーもミンスク2をよく理解できるはずです。なぜなら、この合意は東ウクライナのロシア語話者に対する自治と言語権を保障するものだったからです。ミンスク2は国連安全保障理事会において全会一致で支持されました。(ミンスク2は、2015年2月17日に採択された国連安保理決議2202により正式に承認されました。)

しかし、アメリカとウクライナは、この合意を履行しないことにしました。さらに、ノルマンディー・プロセスの保証国であったドイツとフランスも、それを放置しました。ミンスク2の無視は、アメリカの単独行動主義のさらなる表れであり、ヨーロッパはいつものように、完全に無力な補助的役割を演じるに過ぎませんでした。たとえ、ヨーロッパがこの合意の保証国であったとしても。

トランプ氏は2016年の大統領選に勝利し、その後ウクライナへの武器供給を拡大しました。ドンバスでは、ウクライナ軍の砲撃によって何千人もの命が失われました。しかし、ミンスク2合意が履行されることはありませんでした。

そして2021年、バイデン氏が大統領に就任しました。私はより良い展開を期待しましたが、再び深く失望しました。私はかつて民主党の党員でしたが、今ではどの党にも属していません。なぜなら、どちらの党も結局は同じだからです。民主党は次第に完全な好戦派へと変わり、党内には平和を求める声が一つもなくなりました。これは、ほとんどの欧州議会議員についても同じことが言えます。

2021年末、プーチン大統領はアメリカとの関係において、最後の協議の機会を提案しました。彼は、ヨーロッパ向けとアメリカ向けの2つの安全保障協定案を示し、そのうちロシア・アメリカ間の草案を2021年12月15日に正式に提示しました。

その後、私はホワイトハウスの国家安全保障担当補佐官であるジェイク・サリバン氏と1時間の電話会談を行いました。そして、「ジェイク、戦争を回避してほしい。戦争は避けられる。アメリカが『NATOはウクライナに拡大しない』と言えば、それだけで戦争は防げる」と懇願しました。彼は私にこう答えました。「ああ、NATOはウクライナに拡大しない。心配することはない。」

私は「ジェイク、公にそれを発表してください」と言いました。

彼は「いやいや、それは公には言えない」と答えました。

私は「ジェイク、実際には起こらないことで戦争をするつもりなのですか?」と尋ねました。

彼は「心配するな、ジェフ。戦争にはならない」と言いました。

彼らは決して賢い人々ではありません。率直に言わせてもらえば、彼らは本当に賢くないのです。彼らは自分たちの間でしか話をせず、誰とも対話をしません。彼らがしているのは、ゲーム理論のシミュレーションです。非協力ゲーム理論では、相手と交渉せずに独自の戦略を決めます。これが非協力ゲーム理論の本質です。これは交渉理論でも平和構築理論でもありません。ただの一方的な非協力的戦略なのです。もし正式なゲーム理論を理解していれば、これが何を意味するのかがわかるでしょう。

彼らが使う理論は、このようなものです。この種のゲーム理論は、元々RAND(ランド)研究所で実用化されました。そして、今でも彼らはこれを続けています。2019年にはRAND研究所が「ロシアを拡張させる:有利な立場からの競争(Extending Russia: Competing from Advantageous Ground)」という論文を発表しました。

驚くべきことに、この論文(公開文書)は、アメリカがロシアをどのように挑発し、敵対し、弱体化させるべきかを論じています。それが文字通りの戦略なのです。我々はロシアを挑発し、分裂させ、政権交代を起こさせ、もしかすると国内の不安や経済危機を引き起こすことを狙っているのです。

これが、ヨーロッパの皆さんが「同盟国」と呼ぶ存在です。私は、そんな冷たい現実の中で、サリバン氏との苛立たしい電話をしていました。その日はスキーを楽しもうとしていたのですが、外の寒さに凍えながら話していました。

「戦争にはならないよ、ジェフ。」

その後、何が起こったかは周知のとおりです。バイデン政権はNATO拡大について交渉することを拒否しました。NATOの最も愚かな考えは、1949年のNATO条約第10条に基づく「オープンドア・ポリシー」です。これは、加盟国の政府が承認すれば、NATOはどこへでも拡大できるというものです。隣国、例えばロシアの意向は一切考慮されません。

私はメキシコやカナダの人々には「そんなことを考えもするな」と助言するでしょう。もしそんなことがあったらトランプがカナダを占領したいと思うかもしれない。カナダ政府が中国に対して「オンタリオに軍事基地を作りませんか?」と持ちかけることも可能かもしれない。しかし、私はそれを勧めません。アメリカは「オープンドアだから、それはカナダと中国の問題であって、我々には関係ない」とでも言うでしょうか? そんなはずはありません。アメリカは即座にカナダに侵攻するでしょう。

しかし、ヨーロッパの政治家、欧州議会、NATO、欧州委員会の大人たちは、「ロシアにはNATO拡大について発言権がない」という馬鹿げた決まり文句を繰り返しています。これは全くのナンセンスです。地政学の初歩以前の話であり、何も考えていないに等しいのです。

そして、ウクライナ戦争は2022年2月に激化しました。それは、バイデン政権がNATO拡大について真剣な交渉を行うことを拒否したからです。

ウクライナ戦争と核軍備管理

プーチン大統領の戦争における意図は何だったのでしょうか? その意図をお伝えします。それは、ゼレンスキー大統領に中立政策を受け入れさせる目的でした。この動きは、侵攻開始から数日以内に始まりました。この基本的な点を理解するべきです。ロシアが数万の軍隊でウクライナを征服しようとしたというプロパガンダを信じるべきではありません。

皆さん、基本的なことを理解してください。ロシアの侵攻の目的は、NATOをウクライナに進出させないことでした。では、NATOとは一体何でしょうか? それは、アメリカの軍事力そのものです。アメリカのミサイル、CIAの展開、その他すべてを含んでいます。ロシアの目的は、アメリカを自国の国境から遠ざけることでした。

なぜロシアはこれほどまでに関心を持つのでしょうか? 仮に中国やロシアがリオ・グランデやカナダとの国境に軍事基地を設置しようとしたらどうなるでしょうか? アメリカは激怒するだけでなく、10分以内に戦争が勃発するでしょう。1962年にソ連がキューバでこれを試みたとき、世界は核戦争の瀬戸際に立たされました。

この問題をさらに深刻化させたのは、アメリカが2002年に一方的に「弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約」を破棄し、それによって核軍備管理の枠組みによる相対的な安定を崩壊させたことです。

この点を理解することは極めて重要です。核軍備管理の枠組みは、大部分が「先制攻撃(指導部殲滅攻撃)」を抑止することを目的としています。そして、ABM条約はその安定性を維持する上で不可欠な要素でした。

しかし、アメリカは2002年に一方的にABM条約を脱退しました。この決定にロシアは激しく反発しました。私がこれまで説明してきたNATOの拡大は、アメリカが核軍備管理の枠組みを破壊する中で進行してきたのです。

2010年以降、アメリカはポーランドにイージス弾道ミサイル迎撃システムを配備し、後にルーマニアにも導入しました。当然のことながら、ロシアはこれを快く思っていません。

2021年12月から2022年1月にかけての交渉で議題となっていた問題の一つは、アメリカがウクライナにミサイルシステムを配備する権利を主張するかどうかでした。元CIA分析官のレイ・マクガバン氏によれば、2022年1月にブリンケン国務長官はラブロフ外相に対し、「アメリカはウクライナにミサイルシステムを配備する権利を留保する」と伝えたそうです。

皆さん、これが皆さんの「同盟国」なのです。そして今、アメリカは中距離ミサイルシステムをドイツに配備しようとしています。覚えておくべきことは、アメリカが2019年にINF(中距離核戦力)条約を破棄したことです。現在、核軍備管理の枠組みは事実上存在していません。(アメリカは2019年2月2日から6か月間の停止期間を経て、同年8月2日にINF条約から正式に離脱しました。)

ロシアの侵攻から数日後、ゼレンスキー大統領が「ウクライナは中立化に応じる用意がある」と発言したとき、和平合意は手の届くところにありました。私はこの交渉の詳細をよく知っています。なぜなら、主要な交渉担当者や仲介者と詳細に話をしただけでなく、他の公的な発言からも多くを学んだからです。

2022年3月に交渉が開始された直後、プーチン大統領が承認し、ラブロフ外相が提示した文書が両者の間でやり取りされました。この交渉はトルコの仲介者によって進められていました。私は2022年春にアンカラへ飛び、仲介者から直接、詳細な経緯を聞きました。

結論はこうです。ウクライナは和平合意に極めて近づいていましたが、一方的に交渉を放棄したのです。

ウクライナ戦争の終結

ウクライナが交渉から手を引いた理由は何か。それはアメリカがそうするように指示したからであり、イギリスもそれに拍車をかけたからである。ボリス・ジョンソン元英首相(BoJo)が2022年4月初旬にキーウを訪れ、同じ主張をウクライナに伝えた。

キア・スターマー英首相はさらに悪く、より好戦的である。それは想像を絶することだが、事実である。ボリス・ジョンソンは、「この戦争で争われているのは、ウクライナではなく、西側の覇権そのものだ」と説明している。これはインターネットで確認できる。

ミヒャエル・フォン・デア・シューレンベルクと私は2022年春にバチカンで専門家グループと会合を持ち、戦争の継続からは何も良いことが生まれないことを説明する文書を作成した。(バチカンでの会議は、「2025年のヨベル記念:時代の兆しに希望を」というフラテルナル・エコノミー・セッションであった。)

私たちのグループは、ウクライナが直ちに交渉を開始すべきだと強く主張した。なぜなら、交渉を遅らせることは、大量の死者を出し、核戦争のリスクを高め、さらには戦争そのものに敗北する可能性を高めるからである。しかし、この主張は全く受け入れられなかった。

当時私たちが書いた内容について、今でも一言も変えたいとは思わない。あの文書には何一つ間違いはなかった。アメリカがウクライナに交渉をやめるよう説得して以来、おそらく100万人のウクライナ人が死亡または重傷を負っている。

しかし、アメリカの上院議員たちは信じがたいほど冷酷でシニカルである。彼らは、この戦争を「アメリカの資金の素晴らしい使い道」だと言っている。なぜなら、アメリカ人は死んでいないからである。これは完全な代理戦争である。

ニューヨーク州近郊のコネチカット州選出のリチャード・ブルメンタール上院議員は、これを公然と発言した。ミット・ロムニー上院議員も同じことを言った。「アメリカにとって最高の投資だ。なぜなら、アメリカ人は死なないからだ。」これは現実離れした発言である。

そして昨日に至るまでに、アメリカのウクライナ・プロジェクトは完全に失敗した。

このプロジェクトの根本的な狙いは、「ロシアが屈服する」というものであった。ズビグニュー・ブレジンスキーが1997年に論じたように、アメリカ側は「ロシアには抵抗する力がない」と確信していた。アメリカは、自分たちが優位に立っていると信じていた。

「アメリカが虚勢を張れば勝てる。ロシアは本気で戦おうとはしない。ロシアは本格的に動員しない。我々がロシアをSWIFT(国際金融取引ネットワーク)から排除すれば、ロシア経済は崩壊する。制裁でロシアをひざまずかせる。HIMARSが彼らを打ち負かす。ATACMSやF-16で止めを刺せる。」

正直に言って、私はこのような話を50年以上も聞き続けてきた。アメリカの国家安全保障関係者は、何十年にもわたり、ナンセンスなことを言い続けてきた。

私はウクライナ側に何度も訴えた。「中立を維持してください。アメリカの言うことを聞いてはいけません。」

私は、ヘンリー・キッシンジャーの有名な格言を繰り返した。「アメリカの敵であることは危険だ。しかし、アメリカの友人であることは致命的だ。」これはヨーロッパにも当てはまる。もう一度言う。「アメリカの敵であることは危険だ。しかし、アメリカの友人であることは致命的だ。」

トランプ政権について

最後に、ドナルド・トランプ大統領について少し話をして締めくくりたいと思います。トランプ氏は、バイデン政権の「負け戦」を引き継ぎたくはありません。だからこそ、トランプ氏とプーチン大統領は戦争を終わらせることで合意する可能性が高いのです。

たとえヨーロッパが引き続き好戦的な姿勢を取ろうとしても、それは関係ありません。戦争は終わるのです。ですから、その考えを捨ててください。どうか同僚にも伝えてください。「もう終わりだ」と。戦争が終わるのは、トランプ氏が負け戦を抱え込みたくないからです。今行われている交渉によって救われるのは、まずウクライナであり、次にヨーロッパなのです。

ここ最近、株式市場が上昇しているのは、交渉と和平の可能性という「とんでもないニュース」のせいです。この和平交渉の可能性が、ここ欧州議会では強い拒否反応をもって受け止められていることは知っています。しかし、これは皆さんにとって最も喜ばしいニュースなのです。

私はいくつかのヨーロッパの指導者に働きかけてきました。「キーウへ行くのではなく、モスクワへ行きなさい」と伝えてきました。相手と交渉をしてください。皆さんは欧州連合(EU)です。4億5000万人の人口と20兆ドル規模の経済を持っています。それにふさわしい行動を取るべきです。

欧州連合はロシアの主要な貿易相手であるべきなのです。ヨーロッパとロシアの経済は相互補完的であり、双方にとって有益な貿易関係を築く絶好の条件が揃っています。

ところで、もし誰かが「アメリカがノルドストリームを爆破した件」について議論したいのであれば、私も喜んでお話しします。

トランプ政権は本質的に帝国主義的です。トランプ氏は、大国が世界を支配するものだと明確に信じています。アメリカは容赦なく冷酷であり、そしてそれはヨーロッパに対しても変わりません。ワシントンにすがるようなことはしないでください。それは何の助けにもならず、むしろアメリカの冷酷さを助長するだけでしょう。その代わりに、真のヨーロッパ外交を確立すべきです。

私は、これから平和の新時代に入ると言っているわけではありません。しかし、今は明らかに異なる政治の時代に入っています。それは、大国間政治への回帰です。ヨーロッパには独自の外交政策が必要であり、「ロシア恐怖症(ルソフォビア)」だけを基盤とした外交政策では不十分です。

ヨーロッパには、現実的な外交政策が必要です。ロシアの立場を理解し、ヨーロッパ自身の立場を理解し、アメリカとは何なのか、アメリカが何を目指しているのかを理解した上で、ヨーロッパがアメリカの支配下に置かれるのを防ぐような外交が必要なのです。トランプ政権下のアメリカがグリーンランドに軍隊を派遣することは、決してありえない話ではありません。冗談ではなく、トランプ氏自身も冗談で言っているわけではないでしょう。

ヨーロッパには本物の外交政策が必要です。「トランプ氏と交渉して、妥協点を見つける」という程度の外交では不十分です。それがどういう結果をもたらすか知りたければ、あとで私に電話してください。

どうか、ヨーロッパ独自の外交政策を持ってください。皆さんはこれからも長い間、ロシアと共に生きていくことになります。だからこそ、ロシアと交渉してください。ヨーロッパとロシアの双方にとって、現実的な安全保障問題が存在しています。しかし、大げさな言葉やロシア恐怖症に基づく政策は、ヨーロッパの安全保障にも、ウクライナの安全保障にも、何の役にも立っていません。

皆さんが賛同し、今では先頭に立って推進しているこのアメリカの覇権的行動が、約100万人のウクライナ人の犠牲を生む結果となったのです。

中東と中国について

アメリカは30年前に完全にネタニヤフ氏に外交政策を委ねました。イスラエル・ロビーがアメリカの政治を支配していることに疑いの余地はありません。これがどのように機能しているのか、私は何時間でも説明できます。それは非常に危険な状況です。私は、トランプ氏がネタニヤフ氏の影響によって政権を崩壊させないこと、そしてさらに悪いことに、パレスチナの人々を壊滅させないことを願っています。私の考えでは、ネタニヤフ氏は戦争犯罪人であり、国際刑事裁判所(ICC)によって正式に起訴された人物です。

ヨーロッパが中東との国境に平和をもたらす唯一の方法は、二国家解決です。しかし、それを阻んでいる唯一の障害は、国連安全保障理事会におけるアメリカの拒否権です。この拒否権は、イスラエル・ロビーの圧力によるものです。もしEUが影響力を持ちたいのであれば、アメリカに拒否権を撤回するよう求めるべきです。この点では、EUは世界の約160か国と足並みを揃えることができます。パレスチナ国家の承認に反対しているのは、基本的にアメリカ、イスラエル、ミクロネシア、ナウル、パラオ、パプアニューギニア、アルゼンチン、パラグアイだけです。(国連はパレスチナを正式な加盟国として迎えることで中東紛争を終わらせることができます。詳細は私のこの記事をご覧ください。)

中東は、EUが大きな地政学的影響力を発揮できる地域です。しかし、ヨーロッパはイラン核合意(JCPOA)やイラン問題について沈黙し、さらにヨーロッパの約半分の国が、イスラエルの戦争犯罪や二国家解決の阻害についても沈黙してしまっています。

ネタニヤフ氏の最大の夢は、アメリカとイランの戦争です。そして、彼はその夢を諦めていません。アメリカとイランの戦争が勃発する可能性は決してゼロではありません。しかし、ヨーロッパが独自の外交政策を持てば、それを防ぐことができます。私は、トランプ氏がアメリカ政治に対するネタニヤフ氏の支配を終わらせることを願っています。たとえそれが叶わなかったとしても、EUは世界の他の国々と協力し、中東に平和をもたらすことができます。

最後に、中国について言及しておきます。中国は敵ではありません。中国は単に成功を収めた国です。それゆえに、アメリカは中国を敵視しているのです。なぜなら、中国の経済規模は(国際的な価格基準で測ると)アメリカを上回っているからです。アメリカは現実を受け入れようとしません。しかし、ヨーロッパはそうすべきではありません。繰り返しますが、中国は敵ではなく、脅威でもありません。それどころか、貿易や地球環境の保全において、ヨーロッパにとって自然なパートナーなのです。

以上です。ありがとうございました。


質問と回答セクション

聴衆の質問: ヨーロッパは軍事支出を増やすべきでしょうか?

ジェフリー・サックス: 私は、ヨーロッパがGDPの2~3%を統一されたヨーロッパの安全保障構造に投資し、それをヨーロッパ内部およびヨーロッパの技術に活用することには反対しません。ただし、アメリカがヨーロッパの技術の使い道を決めるような状況にはすべきではありません。

例えば、オランダは極端紫外線リソグラフィ(EUV)を用いた最先端の半導体製造装置を唯一生産しています。その企業はASMLですが、アメリカがASMLのすべての政策を決定しているのが現状です。もし私がヨーロッパの立場なら、安全保障や技術をすべてアメリカに委ねることはしないでしょう。

私は、ヨーロッパ独自の安全保障体制を持つことを提案します。そうすれば、独自の外交政策の枠組みを持つことも可能になるからです。ヨーロッパは、アメリカとは異なる多くの価値観を持っています。

例えば、ヨーロッパは気候変動対策を重視しています。一方、我々の大統領はこの問題について完全にどうかしています。ヨーロッパは、社会民主主義の理念や、道徳的な価値観を大切にしています。

ヨーロッパは多国間主義を支持し、国連憲章を尊重しています。しかし、アメリカはこれらの価値を一切重視していません。最近、アメリカの国務長官マルコ・ルビオは、南アフリカへの訪問を中止しました。その理由は、議題に平等と持続可能性が含まれていたからです。これは、アングロサクソン的なリバタリアニズムの極端な姿を示しています。アメリカには、「平等主義」という言葉がほとんど存在しませんし、「持続可能性」も重要視されていません。

現在、国連には193の加盟国がありますが、そのうち191か国は持続可能な開発目標(SDGs)の計画を国連のハイレベル政治フォーラム(HLPF)に提出しています。しかし、たった3か国だけ提出していません。それが、ハイチ、ミャンマー、そしてアメリカ合衆国です。バイデン政権の財務省でさえ、「持続可能な開発目標(SDGs)」という言葉を使用することを許されていませんでした。このような状況だからこそ、ヨーロッパは独自の外交政策を持つべきなのです。

私は毎年2つのレポートを発表しています。ひとつは世界幸福度報告(World Happiness Report)です。2024年の報告では、上位10か国のうち8か国がヨーロッパの国々でした。ヨーロッパは世界で最も高い生活の質を誇る地域なのです。アメリカの順位は23位でした。

もうひとつは持続可能な開発報告(Sustainable Development Report)です。2024年の報告では、持続可能な開発のランキングで上位20か国のうち19か国がヨーロッパの国々でした。アメリカの順位は46位でした。

ヨーロッパは、この生活の質を守るために、独自の外交政策を持つべきです。私はかつてから欧州安全保障協力機構(OSCE)の大ファンであり、今でもOSCEこそがヨーロッパの安全保障のための適切な枠組みであると信じています。これは本当に機能する可能性があるのです。

聴衆の質問: ヨーロッパはロシアとどのように外交的に関与すべきでしょうか?

ジェフリー・サックス: ヨーロッパがロシアと直接交渉すべき極めて重要な問題が数多くあります。そのため、コスタ大統領やヨーロッパの指導者に対し、プーチン大統領との直接対話を開始するよう強く促したいと思います。なぜなら、ヨーロッパの安全保障が交渉の俎上にあるからです。

私はロシアの指導者たちを、何人もよく知っています。彼らは優れた交渉者です。そして、皆さんは彼らと交渉すべきです。しっかりと交渉すべきなのです。

私はロシア側にいくつかの質問を投げかけるべきだと考えます。この戦争を恒久的に終わらせるためには、どのような安全保障の保証が必要なのか? バルト諸国に対する安全保障の保証はどうなるのか? 交渉のプロセスの一環として、自分たちの懸念を相手側に直接問いかけることが重要です。

私はラブロフ外相を30年来知っています。彼は極めて優れた外交官です。彼と対話してください。彼と交渉してください。彼の考えを聞いてください。そして、皆さんの考えも交渉の場に提示してください。

最も重要なのは、大声での非難をやめ、好戦的な姿勢を捨て、ロシア側と対話することです。そして、アメリカとの交渉の場に入れてもらおうと必死になる必要はありません。皆さんはアメリカと同席する必要はありません。皆さんはヨーロッパなのです。ヨーロッパとして、ロシアと対話すべきなのです。外交政策を誰にも委ねてはなりません。アメリカにも、ウクライナにも、イスラエルにもです。ヨーロッパとしての外交政策を維持してください。それが基本的な考え方です。

聴衆の質問: ポーランド、ハンガリー、チェコ共和国などの国々はNATO加盟を望みました。ウクライナもそうです。なぜ彼らが加盟することを認めるべきではないのですか?

ジェフリー・サックス: NATO加盟は、ハンガリー、ポーランド、チェコ共和国、あるいはウクライナが独自に決定できる選択ではありません。NATOはアメリカ主導の軍事同盟です。1991年当時も現在も、ヨーロッパが直面している課題は、いかにして平和を確保するかということです。

もし私が1991年に決定権を持っていたなら、ワルシャワ条約機構が解体された時点でNATOも解体していたでしょう。そして、ソ連が崩壊した時点では、なおさらそうしていたはずです。

仮に国々がNATO加盟を求めてきたとしても、私は当時のアメリカ国防長官ウィリアム・ペリーや、外交の重鎮ジョージ・ケナン、そして最後の駐ソ連アメリカ大使ジャック・マトロックらが1990年代に語っていたことを伝えたでしょう。彼らは皆、こう言っていました。

「あなた方の気持ちは理解する。しかし、NATOを拡大するのは良い考えではない。それは容易にロシアとの新たな冷戦を引き起こす可能性があるからだ。」

この点について詳細に記録した非常に優れた新刊があります。ハーバード大学出版局から刊行されたジョナサン・ハスラムの**『Hubris(傲慢)』**という本です。この本は、NATO拡大の歴史を詳細に記録し、アメリカがいかに傲慢で、ロシアの「レッドライン」について議論しようともせず、交渉もせず、約束を守ることもなかったかを説明しています。

聴衆の質問: この敗戦の長期的な影響は何でしょうか?

ジェフリー・サックス: 私たちは今、人類史上最大の技術革新の時代に生きています。現在可能になっていることは本当に驚くべきことです。例えば、化学の専門知識をほとんど持たない人物が、AIとディープニューラルネットワークにおいて卓越した才能を発揮し、その結果としてノーベル化学賞を受賞しました。デミス・ハサビスです。彼と彼のチームであるDeepMindは、AIを活用して長年生化学者たちを悩ませてきたタンパク質の折りたたみ問題を解決する方法を見出しました。

つまり、もし私たちが知恵と資源、そしてエネルギーを正しい方向に向けることができれば、気候安全のために世界のエネルギーシステムを変革することができます。生物多様性を保護することも可能です。すべての子どもたちに質の高い教育を提供することもできます。今、私たちは実に多くの素晴らしいことを実現できるのです。では、成功に必要なものは何でしょうか? 私の考えでは、最も重要なのは平和です。

そして私が基本的に伝えたいことは、根本的に避けられない対立など存在しないということです。私が研究してきたあらゆる紛争は、ただの誤りに過ぎません。私たちは生存圏を求めて戦っているわけではありません。この考えは、本来マルサスに由来し、後にナチスの思想として広まったものですが、常に間違っていたのです。これは根本的な知的誤解でした。

人類は長年にわたり、「この地球上には全員が生き延びるだけの資源がない」という恐れから、人種間の戦争や国家の存亡をかけた戦争を繰り広げてきました。しかし、経済学者として断言できます。私たちの地球には、すべての人の持続可能な発展を支えるのに十分な資源があります。十分にあるのです。

私たちは中国と対立しているわけではありません。ロシアとも対立していません。もし私たちが冷静になり、長期的な視点を持つことができれば、その未来は非常に明るいものになるでしょう。つまり、私たちが自滅しなければの話です。これが私の主張です。もし私たちが平和を築くことができれば、将来の展望は非常に良いものとなるのです。

聴衆の質問: この紛争を解決する方法として、ウクライナのフィンランド化を進めるべきだと思いますか?

ジェフリー・サックス: 素晴らしい質問です。フィンランド化について一つの側面をお話しします。フィンランド化によって、フィンランドは世界幸福度報告で何年も連続して1位になりました。フィンランドは豊かで、成功し、幸福で、安全な国です。私が話しているのは、NATO加盟前のフィンランドについてです。

つまり、「フィンランド化」はフィンランドにとって素晴らしいものでした。スウェーデン、フィンランド、オーストリアが中立だったとき、それは賢明な選択でした。ウクライナが中立だったときも、それは賢明でした。もし二つの超大国があるならば、それらを少し距離を取らせるのが得策です。もしアメリカに少しでも分別があったなら、これらの国々をアメリカ軍とロシアの間の中立地帯として維持したはずです。しかし、アメリカにはそのような分別はほとんどありませんでした。

ジェフリー・D・サックスはコロンビア大学の大学教授であり、持続可能な開発センターの所長を務めている。2002年から2016年までアース・インスティテュートを指揮し、現在は国連持続可能な開発ソリューションネットワークの会長および国連ブロードバンド委員会の委員を務めている。

(翻訳以上)


参考記事:ジェフリー・D・サックス「CIAはいかに世界を不安定化させるか」



Wednesday, April 24, 2024

ジェフリー・D・サックス「CIAはいかに世界を不安定化させるか」(Common Dreams 寄稿)Jeffrey D. Sachs: How the CIA Destabilizes the World (Japanese Translation)

Jeffrey D. Sachs サイトより
メインストリームの経済学者であるコロンビア大学のジェフリー・サックス教授は米国の帝国主義と軍産複合体に真正面から批判の声を上げていることで、これらの権力の下僕と化したメインストリームメディアから疎まれるようになっています。サックス氏はいま学界から市民活動まで幅広い分野で西側プロパガンダと闘っています。戦争と制裁でグローバルサウス諸国を攻撃・搾取を続ける米国および西側諸国の「ルールに基づく秩序」ならず「マイルールに基づく秩序」を正し、公正で平和な世界を作ろうと声を上げている、貴重な論客だと思います。彼がプログレッシブなネットメディア『コモン・ドリームズ』に寄稿したCIAについての記事は核心をついていると思い、ここに翻訳を紹介します。Deepl訳を調整しました。翻訳はアップ後修正することがあります。文中のハイパーリンクは翻訳では省略してあるので原文をご覧ください。@PeacePhilosophy 

How the CIA Destabilizes the World

https://www.commondreams.org/opinion/cia-destablizes-the-world?fbclid=IwAR2-dJ8ygNnfCvLp4z6ftKWKUjgHkmq7vVlKZEB3XhJ4NgPwCO876tUKOx4


CIAはいかに世界を不安定化させるか

ジェフリー・D・サックス

2024年2月12日

チャーチ委員会が暴露した犯罪の結果、CIAの悪質な作戦の数々が歴史に幕を下ろすか、少なくともCIAが法の支配下に置かれ、公的な説明責任を果たすようになっていたならよかったのだが......。しかし、実際はそうならなかった。


CIAには3つの基本的な問題がある:その目的、方法、説明責任のなさである。CIAの作戦目的は、国際法や米国法に関係なく、CIAや大統領がその時々の米国の利益になると定義したものである。その方法は秘密主義で偽りだらけである。その説明責任のなさは、CIAと大統領が国民の監視なしに外交政策を運営することを意味する。議会はないがしろにされ、余興でしかない。

近年CIA長官を務めた、マイク・ポンペオはCIA時代のことをこう語っている: 「私はCIA長官だった。私たちは嘘をつき、ごまかし、盗んだ。それらを教えるための訓練コースもあった。アメリカの実験の栄光を思い起こさせる。」

CIAは、戦略サービス局(OSS)の後継組織として1947年に設立された。OSSは第二次世界大戦中、諜報活動と破壊工作という2つの異なる役割を担っていた。CIAはその2つの役割を引き継いだ。一方では、CIAはアメリカ政府に情報を提供する。もう一方では、CIAは「敵」、つまり大統領やCIAが敵と定義した相手を、暗殺、クーデター、騒乱の演出、反乱分子の武装化など、幅広い手段を使って転覆させることだった。

世界の安定と米国の法の支配に壊滅的な打撃を与えたのは、後者の役割である。CIAは今日もその役割を追求し続けている。事実上、CIAはアメリカの秘密軍隊であり、何の説明責任も果たさずに世界中に騒乱を引き起こすことができる。

ドワイト・アイゼンハワー大統領が、アフリカの新興勢力であるザイール(現コンゴ民主共和国)のパトリス・ルムンバを「敵」だと決めつけると、CIAは1961年に彼の暗殺を謀り、アフリカの民主化への希望を損なわせた。CIAによって暗殺されたアフリカの大統領は、ルムンバが最後とはとてもいえないだろう。

CIAはその77年の歴史の中で、1975年に一度だけ重大な公的責任を問われたことがある。この年、アイダホ州選出の上院議員フランク・チャーチが上院の調査を主導し、暗殺、クーデター、不安定化、監視、メンゲレ式の拷問や医学的「実験」など、CIAの衝撃的な暴挙を暴露した。

チャーチ委員会によるCIAの衝撃的な不正行為の暴露は、最近、ジェームズ・リゼン調査報道記者による素晴らしい本『The Last Honest Man』(最後の正直者): CIA、FBI、マフィア、ケネディ家―そして民主主義を守るための一人の上院議員の戦い』に記録されている。

このたった一つの、議会による政府監視が機能したケースは、珍しい出来事が重なったために起こった。

チャーチ委員会の前年、ウォーターゲート事件はリチャード・ニクソンを失脚させ、ホワイトハウスを弱体化させた。ニクソンの後継者であったジェラルド・フォードは、選挙で選ばれたわけでもなく、元下院議員であり、議会の監督権限に反対することに消極的であった。上院アーヴィン委員会が調査したウォーターゲート事件も上院に権限を与え、行政府の権力乱用に対する上院の監視の価値を実証した。重要なのは、CIAを改革しようとしていたウィリアム・コルビー長官が、CIAを新たに率いていたことである。また、同じくチャーチ委員会によって暴露された広範な違法行為の当事者であるJ・エドガー・フーバーFBI長官も、1972年に死去していた。

1974年12月、調査報道記者のシーモア・ハーシュは、その当時も今もCIA内部に情報源を持つ偉大な記者で あるが、米国の反戦運動に対するCIAの違法な諜報活動について発表した。当時の上院院内総務マイク・マンスフィールドは、個性的な指導者で知られていたが、チャーチをCIAの調査官に任命した。チャーチ自身、勇敢で、正直で、知的で、 独立心が強く、そして勇敢な上院議員であった。これらは米国の政界には慢性的に不足していた資質であった。

チャーチ委員会が暴いた犯罪の結果、CIAの不正な作戦が歴史から消え去り、少なくともCIAが法の支配下に置かれ、公的な説明責任を果たすようになっていたならどんなによかったことだろう。しかし、そうはならなかった。CIAは、海外破壊工作を含め、米国の外交政策において卓越した役割を維持することで、最後に笑い、いや、世界を泣かせたのである。

1975年以来、CIAはアフガニスタンでイスラム聖戦主義者を支援する秘密作戦を実行し、アルカイダを生み出しながらアフガニスタンを完全に破壊した。バルカン半島ではセルビアに対して、コーカサス地方ではロシアに対して、中央アジアでは中国に対して、CIAが支援する聖戦主義者を使った秘密作戦を展開してきた。2010年代、CIAはシリアのバシール・アル=アサドを打倒するための破壊的な作戦を実行した。CIAは少なくとも20年間、ウクライナで拡大する大惨事の扇動に深く関与してきた。2014年2月には、ウクライナのヴィクトル・ヤヌコビッチ大統領を暴力的に転覆させ、現在ウクライナを巻き込んでいる壊滅的な戦争を引き起こした。

これらの作戦について、何がわかっているのだろうか。内部告発者、少数の勇敢な調査記者、一握りの勇敢な学者、そして一部の外国政府が、アメリカ政府から厳しい報復を受ける可能性があることを承知で、進んで話してくれたり、話すことができた部分だけである。アメリカ政府自身による説明責任はほとんどなく、議会による意味のある監視や 制限も課せられていない。それどころか、政府はこれまで以上に秘密主義を強め、機密情報の暴露に対して、たとえその情報が政府自身による違法行為を示すものであったとしても、いやとりわけそういう時にこそ、強硬な法的措置を取るようになっている。

時折、元米政府高官がポロリと秘密を漏らすことがある。例えば、ズビグニュー・ブレジンスキーが、アフガニスタン政府を不安定化させるためにイスラム聖戦士を訓練するようジミー・カーターを誘導し、ソ連をアフガニスタンへ侵攻させる目的でCIAに命じたことを暴露したように。

シリアの場合、私たちは2016年と2017年に『ニューヨーク・タイムズ』紙に掲載されたいくつかの記事から、バラク・オバマ大統領の命令による、シリアを不安定化させアサドを打倒するためのCIAの破壊工作を知った。ここにあるのは、明らかに国際法違反の、ひどく誤ったCIAの作戦であり、それが10年にわたる騒乱、エスカレートする地域戦争、数十万人の死者、数百万人の避難民をもたらしたにもかかわらず、ホワイトハウスや議会はこのCIA主導の大惨事を一度も正直に認めていない。

ウクライナの場合、ヤヌコビッチを失脚させ、ウクライナを10年にわたる流血の渦に巻き込んだ暴力的なクーデターにおいて、米国が秘密裏に大きな役割を果たしたことは分かっているが、今日に至るまでその詳細は分かっていない。ロシアは、当時米国務次官補だったヴィクトリア・ヌーランド(現国務次官補)と駐ウクライナ大使のジェフリー・パイアット(現国務次官補)がクーデター後の政府について謀議した通話を傍受し、公開することで、世界にこのクーデターへの手がかりを提供した。クーデター後、CIAは米国が支援したクーデター後の政権の特殊作戦部隊を秘密裏に訓練した。ウクライナにおけるCIAの秘密工作について、アメリカ政府は口を閉ざしている。

現在はフリーの記者であるシーモア・ハーシュが言うように、CIAの工作員がノルド・ストリーム・パイプラインの破壊を実行したと信じる十分な理由がある。ハーシュが『ニューヨーク・タイムズ』紙に在籍していた1975年当時、同紙はまだ政府の責任を追及しようとしていたのだが、今や『タイムズ』紙はハーシュの証言を調べようともしない。

CIAに公的責任を問うことは、もちろん険しい道のりである。大統領も議会もやろうとすらしない。主流メディアはCIAを調査せず、代わりに「匿名の高官」と公式の隠蔽工作を引用することを好む。主流メディアは怠惰なのか、隷属させられているのか、軍産複合体からの広告収入減を恐れているのか、脅されているのか、無知なのか、あるいは上記のすべてなのか、無知なのか、そのすべてなのか。そんなことはわからない。

わずかな希望の光がある。1975年当時、CIAは改革者によって率いられていた。今日、CIAを率いているのは米国の外交官として長年活躍してきたウィリアム・バーンズだ。バーンズはウクライナについての真実を知っている。2008年当時駐ロシア大使を務め、NATO拡大をウクライナにまで押し進める重大な誤りについてワシントンに電報を打ったからだ。バーンズの地位と外交実績を考えれば、おそらく彼は緊急に必要とされる説明責任を支持するだろう。

CIAの作戦の誤りに起因する継続的な混乱は、驚くべきものである。アフガニスタン、ハイチ、シリア、ベネズエラ、コソボ、ウクライナ、さらにはそれ以外の国でも、CIAの破壊工作によって不必要な人命の損失、不安定化、破壊が今日まで続いている。主流メディア、学術機関、議会は、これらの作戦を可能な限り調査し、民主的な説明責任を果たすために文書の公開を要求すべきなのだ。

来年はチャーチ委員会の公聴会から50周年にあたる。50年経った今、チャーチ委員会自身の先例にならい、その経験をを教訓とし、いまこそ目隠しを外し、米国主導の騒乱の真実を暴き、米国の外交政策が透明性を持ち、説明責任を果たし、国内外を問わず法の支配に服し、仮想敵国を破壊するのではなく世界平和を目指す、新たな時代を始める時である。


ジェフリー・D・サックス

ジェフリー・D・サックスは、2002年から2016年まで地球研究所の所長を務めたコロンビア大学の大学教授兼「持続可能な開発センター」所長。「国連持続可能な開発ソリューション・ネットワーク」会長、国連ブロードバンド開発委員会委員。これまでに3人の国連事務総長の顧問を務め、現在はアントニオ・グテーレス事務総長の下でSDGsアドボケート(SDGs提唱者)を務めている。近著に『A New Foreign Policy: Beyond American Exceptionalism [新しい外交政策:米国例外主義を超えて]』(2020)。その他の著書には 『 Smart, Fair, and Sustainable[賢く、フェアで、持続可能]』(2017年)、潘基文との共著『The Age of Sustainable Development[持続可能な開発の時代]』(2015年)など。