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Resistant Islands: Okinawa Confronts Japan and the United States by Gavan McCormack and Satoko Oka Norimatsu (Rowman & Littlefield, 2012)Jeff Kingston's book review in The Japan TimesClick HERE for articles on the issue of US military bases in Okinawa on this blog.Click HERE for the list of PPC's director Satoko Oka Norimatsu's article on Japan Focus.Follow Twitter ツイッターは@PeacePhilosophy and Facebook ★ このサイトの沖縄米軍基地問題についての記事はこちらをクリック子どもたちを放射能から守る全国ネットワーク西岡由香によるマンガ「放射能Q&A」 ★セイピース・プロジェクト・リーフレット「低線量内部被ばくから子どもを守るために」★当サイトは311以来原発問題について独自の記事、翻訳記事を発表しております。左サイドバーの記事集をご覧ください。★投稿内に断りがない限り、当サイトの記事の転載希望は info@peacephilosophy.com までご連絡ください。

Sunday, May 19, 2013

比屋根照夫氏による『沖縄の〈怒〉 日米への抵抗』書評(琉球新報)

5月20日琉球新報に掲載された、琉球大学名誉教授比屋根照夫氏による書評を紹介します。


Monday, May 13, 2013

歴史誤認識に満ちた「主権回復の日」式典 (沖縄タイムス記事)

2013年5月9日『沖縄タイムス』に掲載された拙稿を許可を得てここに転載いたします。 字が読みづらい場合、画面をクリックして、画像を拡大するなどしてご覧ください。@PeacePhilosophy

Sunday, May 12, 2013

長崎「平和宣言」起草委員会:過半数から出た改憲への懸念を「ひとつの」意見と見なした市長



2009年8月9日長崎の式典(撮影 乗松聡子)

平和のための漫画を描き続けている西岡由香さんは、長崎平和宣言起草委員会の一員。西岡さんより、5月11日に開かれた、2013年第一回目の起草委員会の様子の報告がとどきました。下記ご覧ください。日本の現状についてのたくさんの賢明な意見が出ています。

関連報道: 長崎新聞「平和宣言文の起草委初会合」
http://www.nagasaki-np.co.jp/news/kennaitopix/2013/05/12092724010345.shtml

報道にもあるように田上市長は出席者12人のうち8人から出た憲法改変への反対を、「一つの候補として検討していくことになる」と、「一つ」扱いしている。これは事実上の「国防軍」容認発言であろう。長崎の平和宣言文は、核兵器はいけないとしながらも戦争は容認というスタンスを世界に示すのであろうか。福島で高汚染地の子どもたちが放置されている状態に目をつぶりながら訴える「反核」とは一体何なのか。そして、世界一の核兵器大国との軍事同盟を容認しながら核兵器に反対するという矛盾にどう向き合うつもりなのか。これらは長崎に限らず、日本の「反核兵器」コミュニティ全体が対峙しなければいけない問題ではないだろうか。@PeacePhilosophy

【起草委員会報告】

今年第一回目の起草委員会、15人の委員のうち3人が欠席で、12名参加でしたが、ほとんどの方が口にされたのは、先日の「NPT再検討会議準備委員会」で「核兵器の非人道的影響に関する共同声明」に日本政府が署名を拒否したことへの批判でした。田上市長は「理解できない」。他にも「正気に返ってほしい」、「被爆者、被ばく者を踏みにじる出来事が続いている」という声も。

憲法改正への危機感を語られたのは8人。「96条を改正し、敷居を低くしているが狙いは9条。また、改正案前文からは過去の戦争へのスタンスがすっぽり抜け落ちている。簡単に歴史を
忘れて良いのか?」「最近のニューヨーク・タイムズは3度にわたって“ナショナリスト安倍”と批判記事を載せている。内容は「戦争讃美」「慰安婦問題」への反省がなく、中韓激怒は当然、アメリカも快く思っていない、という内容」「憲法改正は長崎市の平和憲章とも反する」「9条が変われば非核3原則もなくなるおそれがある」など。

特に、被爆者の谷口すみてるさんは、マイクを握って開口一番「日本は、昔は5年おきに戦争をやってきた。それに歯止めをかけたのが9条。いま、憲法を変えるべきではない」「原爆の内部被爆は発表されなかった。福島も、内部被ばくは発表されない。どういうことなのか?原爆投下から68年、今まで以上に大きな声で訴えなければ」と、時おり咳こまれながら話されました。去年まで、短い発言だったのですが、今年は長い時間マイクを握られて、その一語一語からもどかしい思いがほとばしるようでした。

原発の再稼働反対、などについての発言ももちろんあったのですが、戦前のようなキナくさい空気への警鐘が多かった気がします。「在留外国人への批判は、かつては表だって言えなかったが、いまは偏狭なナショナリズムがあふれている。まわりを皆、敵のように見る風潮に対して、それはやめるべきだ、と言うことも必要なのでは」「未来の人たちに対して我々はどんな責任を取れば良いのか?」「日本政府に文句を言っているが、そういう政府を選んでいるのも私たち自身、内から変えていくことも大事」「北朝鮮を糾弾するだけでは解決にならない」などなど。

一昨年は原発事故、去年は核兵器の非人道性、今年は憲法やナショナリズム、原発事故から2年しかたっていないのに、社会の動きが目まぐるしくて、洗った洗濯物が乾かないうちに、次の洗濯物に埋もれそうな感じです。3.11以降、この国では時間の速さが変わってしまったかのようです。

西岡由香

Friday, May 10, 2013

NYT記事:原発の汚染水こそ目下の危機 Flow of Tainted Water Is Latest Crisis at Japan Nuclear Plant


 福島第一原発での「地下貯水タンク」の放射能漏れが報道され、しだいにこれがタンクとは名ばかりのビニールプール、あるいは液体を溜めることさえできないゴミ処分場も同然のものだったことが明らかになった。日本の報道はここでストップしてしまったように見え、今はトーンダウンしている。しかし、そもそもなぜこのような状況になってしまったのか、汚染水の増加が止まらないのはなぜか、ビニールプールに放射能汚染水を入れるのは誰が決めたことだったのか?
 ここに紹介するニューヨーク・タイムズの記事には、密室で隠れて事を進める東電と政府の泥縄式のやり方が、次から次へと失敗を招いている、憂うべき現状が見えている。
(前文・翻訳:酒井泰幸)

原発の汚染水こそ目下の危機 Flow of Tainted Water Is Latest Crisis at Japan Nuclear Plant
 世界で2番目に深刻な核災害となった3連メルトダウンから2年後、福島第一原子力発電所は新しい危機に直面している。高い放射能をもった廃水があふれ出し、作業者たちはこれを収拾しようと格闘している。

 破壊された原発の原子炉建屋に、地下水が毎分 284リットル近くも流入している。重要な冷却システムが水没しないように、流入した地下水を汲み出しているが、それは高濃度に汚染されている。絶え間なく流れ続ける放射性廃水を封じ込めるために作業者の一団は苦闘しており、頼みの綱は17ヘクタールの駐車場や芝生に立ち並んだ、銀色や灰色の大きな貯蔵タンクである。ここにはオリンピック競泳プール112杯分に相当する汚染水が溜まっている。

 しかしこのタンクをもってしても、原発にあるストロンチウムを含んだ大量の汚染水を対策するには足りない。このことが、2011年の核災害の規模の大きさを象徴するとともに、批判者たちの目には、この原発を運営する企業と規制監督官庁の場当たり的な意志決定の象徴と映る。この問題の深刻さから、原発を運営する東京電力は敷地の南端にある小さな森林を伐採し、あと何百ものタンクを設置する場所を作ろうと計画している。あふれ出る汚染水に対処するために建設された地下貯水槽からの漏洩が、ここ数週間で明らかになったため、タンクの増設は急務となった。

「食べていようが眠っていようが仕事していようが、汚染水は分単位で増え続けている。常に追われているように感じるが、一歩先を行くように最善を尽くしている」と東電の広報担当オオノ・マサユキ部長は語った。

 東電がなんとか一歩先を行っている間にも、貯蔵場所が間もなく無くなるという脅威は長引き、それは東電自身も非常事態と呼ぶ状況へと発展し、溜まった大量の汚染水は、いまにも海岸の原発から太平洋に漏れ出る不安をかき立てる。

 この困難な状況と、別の補助冷却システムが止まった29時間の停電をはじめとする一連のお粗末な事故は、ある由々しき事実を際立たせた。メルトダウンから2年がたっても、惨事の火蓋を切ったのと同様の大きな地震と津波に対して、この現場は脆弱なままだということだ。

 事故直後の絶望的な数ヶ月に比べれば、溶融した炉心を安定的に冷却するため奮闘した作業者のおかげもあって、炉心の温度は下がり福島原発の危険は下がったことは言うまでもない。

 しかしこの原発の安全システムや対策工事は仮設のままであり、まだ事故の危険を抱えていると多くの専門家は警告する。

 壊れた炉心に注水する応急の循環冷却装置は、ポンプ、フィルター、それに4キロメートルにわたって原発敷地をはい回るパイプが、迷路のように繋がったものである。 また使用済み核燃料を保管するプールは壊れた原子炉建屋の5階に宙ぶらりんになったままで、東電は燃料棒を安全な場所に移そうと苦闘している。

 新たに組織された監視機関である原子力規制委員会の委員長で、長年にわたり原子力を推進してきた田中俊一氏が、貯水槽からの漏洩を公表した後で、「事故の再発を防げない恐れがある」と記者に語ったことを見ても、この状況は憂慮すべきものだと言える。

 メルトダウン前に発電所を操業していた会社に事故処理を任せることによって、日本の指導者は、関係者だけが支配する事故前の既成事実へと逆戻りする道を開いてしまったと、ますます多くの政府官僚や顧問が指摘するようになった。

 チェルノブイリ以後最悪の原子力災害の事故処理が、非常に複雑な作業であることを認める多くの科学者でさえ、この汚染水危機は、東電が一貫した方針もないまま次から次へと発生する問題に当てもなく対処していることが、またしても露呈しただけではないかと恐れている。

 「東電には明らかに毎日が綱渡りで 、明日のことを考える時間はなく、まして来年のことなど言わずもがなだ」と、原発事故処理のロードマップを策定した委員の一人である原子力専門家のイノウエ・タダシ氏は語った。

 しかし不安材料は東電だけにとどまらない。事故前のどの監督官庁よりも厳しく日本の原子力産業を監視している原子力規制委員会は今、たった9人の監査官で3千人以上もいる福島の作業者を監督している。

 また政府が事故処理を監督するために作った独立の委員会は、原子力の推進を担当している経産省や、東芝や日立のような原子炉メーカーをはじめとする産業関係者でいっぱいである。福島原発がどうして汚染水で溢れかえることになったのかという話は、原子力安全にかかわる意志決定を産業関係者任せにする危険が今も続いていることへの警鐘だと、批判者たちは語っている。

 東電と政府が2011年末に福島原発の廃炉について現在の計画を立てたとき、すでに地下水の問題は指摘されていた。福島原発は近くの山脈から海へと流れる地下水の通り道に位置しているのだ。しかし批判者たちによれば、意志決定者たちは汚染水を浄化して処分するまでのあいだ貯蔵しておくことができると決め付け、この問題にあまりにも低い優先順位しか与えなかった。

 政府の事故処理計画立案に関わった人々によると、外部の専門家なら汚染水の問題を予測したかもしれないが、事故処理の専門知識が豊富な専門家や企業を招き入れる要請を東電と政府は門前払いし、馴れ合いの原子力産業だけで原発を支配する方を取った。

 廃炉計画の策定に関わった原子力規制専門家によれば、水が原子炉やタービン建屋に侵入するのを防ぐため地下20メートルに達するコンクリートの遮水壁を建設する提案も東電は拒否し、経産省はこの問題で圧力をかけることはなかった。

 そのかわり東電は、プラスチックシートと粘土で防水した地下貯水槽を大急ぎで建設するなど、その場しのぎの計画修正を行い、結局は水漏れを起こしてしまった。

 この監督官庁が政府の事故処理監視委員会の一員に加えられたのは、漏洩が見つかった後のことだった。

 しかし最大の問題は、ストロンチウムを始めとする62種類の放射性微粒子を除去できる強力な新しい濾過システムが設置されれば、いずれ汚染水を海に廃棄することができると、東電など監視委員会の委員たちは最初からずっと信じているように見えるということだったと、批判者たちは語る。

 この廃棄計画が頓挫したのは、専門家なら予測できた問題だった。トリチウムに対する大衆の抗議である。トリチウムは比較的弱い放射性同位体で、これを水から除去することはできない。

 トリチウムは人体に取り込むと有害で、通常運転中の原発から定常的に環境へ放出されているが、福島の汚染水には健全な原発が平均的に放出する量の約100倍のトリチウムが含まれていることを、東電さえも認めている。

 「我々は燃料棒と溶融した炉心のことに気を取られ、汚染水の問題を軽視していた」と、東電の当初の事故処理計画の策定に関与した政府機関である、日本原子力委員会の委員長代理、鈴木達治郎は語った。「原子力産業の外部の人間なら汚染水問題を予見できたかもしれない。」

 東電は、増加する地下水の問題への対処を誤ったという批判に耳を貸さず、安全に流入を食い止める唯一の方法は、損傷した原子炉建屋の亀裂を塞ぐことだと主張している。このためには、強い放射能に汚染された建屋に立ち入り、深さ1メートル以上の猛毒の水に浸かって作業する必要があるので、亀裂を塞ぐことができる会社は世界中どこにも無いと、東電は主張する。

 「この原発を運転しているのは我が社であり、他の誰よりも良く知っている」と東電広報担当のオオノ氏は語った。そして彼は涙を見せ「我が社が起こしたこの惨状を修復することだけが、社会での信用を回復する唯一の方法だ」と付け加えた。

 今のところ、ゴールは遙か彼方にあるように見える。2011年に東電が放射能汚染水を太平洋に投棄したとき、東電がこれを公表しなかったことも影を落としているが、トリチウム汚染水を海に廃棄する計画に対する大衆の抗議の激しさに、安倍晋三首相は先月、「安全ではない放出はしない」と語って、この問題に自ら介入せざるを得なかった。

 そうしている間にも、原発敷地内に溜まっている汚染水の量は増え続けていく。

 「これを海に捨てる前に国民の承認が必要だということに、なぜ東電は気付かないのだろうか」と、東京大学の政策専門家である諸葛宗男は語った。彼は事故処理を行う専門の会社を設立することを呼びかけた。「この全てが、東電が陥っている問題の深さを、まさに証明している。」


(東京からの報告をイノウエ・マキコが、ワシントンからの報告をマシュー・L・ウォルドが執筆した。)

Tuesday, May 07, 2013

『沖縄の〈怒〉-日米への抵抗』の書評: 『沖縄タイムス』、『月刊ふれいざー』

『沖縄の〈怒〉-日米への抵抗』の書評が『沖縄タイムス』(評論家 天木直人氏によるもの)と、カナダ西海岸の日本語月刊誌『ふれいざー』(黄圭Hwang Kay 氏によるもの)に出ましたので紹介します。@PeacePhilosophy

 
 

Monday, April 29, 2013

10ミリシーベルトでも危険-ICRPは放射線被ばくの発がんリスクを10分の1に過小評価している-(松崎道幸医師)

福島の原発事故による放射線被ばくリスクについてこのサイトにも何度も登場いただいている松崎道幸医師による投稿を紹介します。 リンク歓迎。拡散希望。転載については当ページのURLを明記した上でこの投稿のコメント欄にURLとともに報告ください。
連絡先: info@peacephilosophy.com

PDFリンクはここをクリック。



 

 





 

 
 

「主権回復の日」式典、反対したのは沖縄だけではない:国会議員は半数以下、都道府県知事も半数近くが出席せず。「予定外」の時代錯誤的「万歳」。

記録のために記しておこう。

ほとんどの報道では、4月28日の政府による「主権回復」式典の写真は、檀上に座る天皇夫妻の横でスピーチを読み上げる安倍首相のものが多いが、29日朝刊の「琉球新報」の第一面には、二人を前にしほぼ満場が「万歳」の姿勢をしている写真が掲載されていた。

この「万歳」の行為はほとんど報道されていないが、最初に知ったのは海外報道、トムトン・ロイターズによる記事だった。Stanley White 記者はこう書いている。

"Giving added weight to the ceremony was the presence of Emperor Akihito, 79, and Empress Michiko. Participants, mostly men in dark suits, threw their hands up into the air and cried “banzai!” or long life, to send the royal couple off." 訳:「式典により重みを加えたものは天皇明仁(79歳)と皇后美智子であった。ダークスーツに身を包んだほとんどが男性である参加者たちは、空中に両手を挙げ「バンザイ!」(長命を)と叫び、ロイヤル・カップルを見送った。」

日本政府の式典ではいまだにこんなことをやっているのかと驚いた。そうしたら日本経済新聞の29日記事「政府式典で予定外の『陛下万歳』唱和 公明代表が苦言」を読んで、ああこれは予定外だったのか、と知った。この記事では、「政府の主権回復式典が終了して天皇、皇后両陛下が退席される際、出席者が『天皇陛下万歳』と発声し、国会議員や政府関係者が予定外の唱和をする場面があった。公明党の山口那津男代表は式典後、党本部で記者団に『憲法に国民主権がはっきりと規定されている中で日本の独立が認められた日だ。その意義を十分に踏まえた行動だったか問われる』と疑問を呈した。」とある。

この「万歳」シーンの写真は冒頭にも書いたように琉球新報の紙面で見ただけであったが、ネット上に同様のものがあったのでここに置いておく。



しかしこの安倍首相(左端)の嬉しそうな「万歳」ポーズの完璧さと会場のほとんどの同調を見たらこれは予定外とはとても思えない。最初から誰かが言いだすことが計画されていたのではないかと疑ってしまう。

しかしこのシーンが新憲法下における日本の占領解除を記念する儀式かと思うと首を傾げざるを得ない。公明党山口代表の懸念はまっとうなものである。案の定、安倍首相はその演説(全文がここにある)において日本国憲法の三本の柱のうちの、主権在民(天皇でも国家でもなく)と戦争放棄については全く触れていない。人権への言及も十分とは言えない。戦争への反省も全くない。まるである日、日本にエイリアンのような侵略があって7年間不当な占領を受けた挙句やっと解放されたと言わんばかりの演説であった。そもそもどうして占領される事態を招いたかとの責任感覚もゼロである。上の写真を見ると正直言って戦前への逆戻りの場面にしか見えない。いや、安倍首相が目指すのはまさしくそれなのだから、彼の思い通りの式典が行えたということなのだろう。

しかしこれは国民に支持されていたものなのか。サンフランシスコ平和条約で切り捨てられた沖縄の反対(沖縄タイムスの世論調査では7割が式典に反対)は無論であるが、日本本土の支持を得ていたかも甚だ疑問が残る。私は報道されている式典の参加人数や沖縄の新聞で報道された都道府県知事の参加状況などから単純計算をして以下のようにツイートしたら4年間やってきた中で最大のリツイート数を受けて驚いたのでここにもコピーしておく。

(ここから)
主権回復式典約390人が出席したという。都道府県は全部知事や代理を出しているのでそれを引くと約340人。国会議員は700人以上いることを鑑みると国会議員の半数以上はボイコットしているということである。要するに、これは国を真っ二つに切り裂いた政治的イベントであったということだ。

そんなことメディアは全く言わない。日本本土のメディアはほとんどが沖縄県知事の欠席と副知事の代理出席を報じているが、知事を出した都道府県が26しかなかったことに触れていない。反対しているのは沖縄だけのような印象を与え、この問題をまた「沖縄問題」として演出している。

国会議員は半数以上がボイコットし都道府県も半数近くが知事を出さないことで対応した「主権回復の日」。安倍政権はこの式典をやることで却って「主権回復の日」は国民的合意でもなんでもないことを証明してしまったのだ。これは沖縄問題だけじゃなくて全国の問題なんだという明確な意思表示があったのだ。
(ここまで。@PeacePhilosophy のツイートより)

沖縄への「配慮」とされた首相の言葉についてはこうツイートした。

主権回復式典 首相「希望と決意の日に」 NHKニュースwww3.nhk.or.jp/news/html/2013





@PeacePhilosophy

参考資料:照屋寛徳衆議院議員が3月26日に提出した
「いわゆる4.28「主権回復の日」政府式典に関する質問主意書」質問と答弁
http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a183039.htm

追記:琉球新報4月29日26面の記事「響く『天皇陛下、万歳』」によると

(引用開始)
・・・厳かな雰囲気に包まれた式典が終わり、天皇皇后両陛下が退席しようとする中、突然、不規則発言が響いた。
「天皇陛下、万歳!」
一人の出席者が大声を上げると、臨席した国会議員らの約3分の1が一斉に「万歳」と続き、式次第になかった万歳三唱が会場にこだました。
(引用終わり)

とのことである。




ワシントン・ポスト社説:歴史に向き合えない安倍晋三 Shinzo Abe’s inability to face history

安倍政権の行き過ぎた右傾化、事実とかけ離れた歴史認識への批判の声は米国の保守派からも出てきている。その典型がこのワシントンポストの社説であろう。(これも参照:ニューヨークタイムズ社説

Shinzo Abe’s inability to face history

http://www.washingtonpost.com/opinions/shinzo-abes-inability-to-face-istory/2013/04/26/90f5549c-ae87-11e2-a986-eec837b1888b_story.html


WP社説:歴史に向き合えない安倍晋三

論説委員会、2013年 4月 27日

5年前に不手際から手放した日本の首相の座に、安倍晋三が昨年の秋に返り咲いたその瞬間から、ひとつの疑問が涌き起こっていた。日本が前進するために、彼は国家主義、とりわけ歴史修正主義の衝動を抑えられるだろうか?

 今週になるまで、その疑問に対する答えは肯定的であるように見えていた。安倍氏は瀕死の日本経済を改革するため勇気ある措置を講じた。彼はコメ農家のような党内の強力な利益集団をものともせず、日本の経済成長に拍車をかける可能性をもつアメリカや他の太平洋諸国との自由貿易交渉に加わった。彼は慎重な言葉で防衛費増額への正当な欲求を表明した。

 しかし今週になって彼は、この全ての前進を危険にさらすような動きに出た。前世紀の朝鮮半島の植民地支配に対して1995年に日本が表明した公式な謝罪を見直したいかどうかを国会で質問されて、安倍氏は「侵略という定義は学界的にも国際的にも定まっていない。国と国の関係でどちらから見るかで違う」と答弁した。

 中韓両国政府の要人たちは憤激をもって応じ、それは理解できるものだった。確かに、歴史は常に再解釈され続けている。しかし事実というものはあるのである。日本は朝鮮半島を占領した。日本は満州に続いて中国全土を占領した。日本はマレー半島に侵攻した。日本は侵略を行ったのだ。ドイツが歴史と率直に向きあってヨーロッパでの地位を確立してから何十年もたつというのに、どうして日本にはいまだに事実を認められない人々がいるのだろうか?

 確かに韓国や、それ以上に中国は、時折国内の政治目的のために反日感情を煽ることはある。中国は自国の歴史を歪曲し、日本と異なり多くの場合は対立する解釈を議論・研究することが許されていない。しかし、これらはいずれも、安倍氏が今週陥ったような自滅的な修正主義の釈明にはならない。

 日本にはもっと理にかなってはいても、やはり韓国と中国が反対しているような目標があるが、歴史に向き合うことができないとそれらに対しても偏見を持たれてしまう。中国と北朝鮮の防衛費と強気な行動を考えれば、安倍氏には自衛隊の近代化を支持する正当な理由がある。第二次世界大戦後に米国占領軍によって押し付けられた日本の「自衛」憲法で、日本が同盟国を十分な力で助けることができるのかどうかを彼が問うのはもっともである。しかし、彼が戦前帝国へのノスタルジーを抱いているように見えるとき、多くの有権者がまだ疑問視している国内の改革を実行する彼の能力と、疑い深い近隣諸国を安心させる能力は、失墜する。

 (翻訳 酒井泰幸)

ここでもう二つ米国記事を紹介しておく。

ウォール・ストリート・ジャーナル(英語版、日本語版)
Japanese Prime Minister Stokes Wartime Passions
http://online.wsj.com/article/SB10001424127887324743704578444273613265696.html
安倍首相、近隣諸国の神経を逆なで−戦時期の「侵略」を疑問視
http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887324289404578445770654912536.html

クリスチャン・サイエンス・モニター
Is Japan's Shinzo Abe finally acting on his true nationalist colors?
(日本の安倍晋三はとうとう国粋主義の本性にしたがって行動しているのか?)
http://www.csmonitor.com/World/Asia-Pacific/2013/0425/Is-Japan-s-Shinzo-Abe-finally-acting-on-his-true-nationalist-colors

Friday, April 26, 2013

NYT社説:無用な日本の国家主義 Japan’s Unnecessary Nationalism

ニューヨークタイムズの4月24日付の社説は、168人の議員団による靖国神社参拝を以下のように批判した。

Japan's Unnecessary Nationalism

社説:無用な日本の国家主義

論説委員会 
2013423

 昨年12月に日本の首相の座を継承して以来、安倍晋三と彼が属する保守的な自民党は、日本経済の活性化や、2011年の地震と津波の被害からの復興、北朝鮮のような近隣諸国とのこじれた関係の調整を始めとする、込み入った問題が山積した課題リストを曲芸のようにこなしている。外国で物議をかもすのは逆効果なのだが、まさにそれは安倍氏と国家主義者の議員仲間たちがしてきたことなのだ。

 23日に、多くは下級の保守系議員からなる168人の議員団が東京都心にある靖国神社に参拝した。ここには日本の戦没者がまつられ、第二次大戦後に戦犯として処刑された者も何人か含まれている。今回は国会議員による集団参拝としては近年で最大のものだった。安倍氏は参拝を見送り供物を奉納したが、副総理ら閣僚三人が週末に参拝したと、日本のマスコミは報じた。安倍氏には第二次大戦中の日本の行為を擁護した前歴がある。

 20世紀日本の帝国拡大と軍国主義に苦しめられた中国と韓国にとって、これがどれほど根深くデリケートな問題であるかを、安倍氏と彼の取り巻きは良く知っており、その後の反応は予想できるものだった。22日に、韓国は外務大臣の訪日をとりやめ、中国は公然と日本を非難した。23日には東シナ海の紛争中の島々で中国と日本の船団が集結し、緊張はさらに高まった。

 日中両国は領土問題の平和的解決に取り組む必要がある。しかし、北朝鮮の核開発問題を解決するために各国が協力して取り組む必要がある時に、日本が中国と韓国の敵意を煽るのは特に無謀なことであるように見える。

 歴史的な傷を悪化させるのではなく、長く停滞している経済の改善と、アジアと世界での指導的民主国家としての役割強化に重点を置いて、日本の将来を構想することに、安倍氏は集中すべきである。

(翻訳 酒井泰幸)

(4月27日追記)
日本のメディアによるこの社説についての報道:

しんぶん赤旗 靖国参拝「不要な国粋主義」 NY・タイムズ紙が社説
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-04-26/2013042601_07_1.html

テレ朝 靖国参拝「不必要な国粋主義」米メディアが懸念
http://news.tv-asahi.co.jp/news_international/articles/000004264.html

Wednesday, April 24, 2013

照屋寛徳議員の4.28式典欠席通知-「我が国の完全な主権回復」は嘘だ!

沖縄選出の照屋寛徳(てるや・かんとく)衆議院議員が4月28日の「主権回復の日」の式典への安倍首相からの招待状へ以下のように返答した。これを『沖縄タイムス』の記者、知念清張氏から見せてもらったとき、照屋議員の手書きの返信が胸に迫りくるものがあり、議員の許可を得てここに公表する。



画面では読みにくいかもしれないのでここに書き写しておく。

サンフランシスコ講和条約により、沖縄はアメリカの施政権下に売り渡され、苦難を強いられ、人間としての尊厳を奪われた。「我が国の完全な主権回復」は、嘘だ。沖縄にとって「屈辱の日」だ。

式典に抗議し、中止を要求する。

この日(3月28日)知念さんに取材を受けたときにこの招待状を見せてもらい、安倍首相が4月28日を「我が国の完全な主権回復及び国際社会復帰六十年の節目」と呼んでいることを知りショックを受けた。安倍氏は3月7日にこの式典を行う意向を発表したと同時に沖縄から激しい怒りの声が上がったにもかかわらず、敢えて「主権回復」という言葉に「完全な」という形容を添えてこの招待状を出したのである。これは沖縄に対する確信犯的な宣戦布告としか思えないと思い、同じ日に琉球新報のコラムを書いた。

コラム「南風」 68年目の宣戦布告

@PeacePhilosophy