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Monday, January 16, 2023

CIAの宿敵シャルル・ド・ゴールの孫が、欧米のウクライナ政策を非難する:ジェレミー・クズマロフ(日本語訳)Grandson of Charles de Gaulle, an Old CIA Nemesis, Condemns West’s Policy in Ukraine: Jeremy Kuzmarov (Japanese Translation)

 See HERE for Dennis Riches' full English translation of the interview with Pierre de Gaulle. 

レイチェル・クラークさんの訳による記事を紹介します。クラークさんのフェースブックに掲載された記事を、彼女と、著者のクズマロフさんに許可をもらって転載します。(注:訳はアップ後微修正することがあります)

著者:ジェレミー・クズマロフ 訳者:レイチェル・クラーク

媒体:コバート・アクション・マガジン

タイトル:

「CIAの宿敵シャルル・ド・ゴールの孫が、欧米のウクライナ政策を非難する」

原題:

Grandson of Charles de Gaulle, an Old CIA Nemesis, Condemns West’s Policy in Ukraine


訳者イントロ:

NATO諸国の足並みが、必ずしも揃っていないこと、特にフランスには独自の外交路線が存在することを物語る記事が出ました。筆者の許可を頂いて、以下に拙訳を投稿します:

Pierre de Gaulle [Source: rt.com]


ジェレミー・クズマロフ著 - 2023年1月11日
〜 米国とNATOが紛争を引き起こし、欧州の人々を苦しめていると言う 〜
フランスのシャルル・ド・ゴール元大統領の孫であるピエール・ド・ゴールは、米国がウクライナ紛争を煽り、ロシアに対して事前に計画された経済戦争を仕掛けて、ヨーロッパ人を苦しめていると述べている。
企業コンサルタントで銀行経営者のピエール氏は12月26日、「仏露対話協会」に対し、こう語った。「私はウクライナ危機におけるこの知的不誠実に反旗を翻し、抗議する。なぜなら、戦争の引き金は米国とNATOにあるのだから。米国は軍事的にエスカレートし続け、ウクライナの人々だけでなく、ヨーロッパの人々も苦しめている」 と。
ピエールはこう続けた。「制裁の規模と数からして、これらはすべてかなり前から計画されていたことだ。これは経済戦争であり、米国はその恩恵に浴している。米国は国内価格の4倍から7倍の値段でガスをヨーロッパに売っているのだ。」
ピエールによれば、「フランスの世論は、今日の米国人の悪巧みが何であるかを理解し始めている。米国はウクライナ危機を利用して、嘘をつき、......ヨーロッパを不安定にさせることに成功した。米国は、いわばヨーロッパをロシアから切り離し、ヨーロッパ人をロシア人に対抗させたのだ。なぜそんなことを? なぜなら、ロシアと同盟関係にあるヨーロッパは、政治的にも経済的にも、文化的にも社会的にも強いブロックになり得るからだ。ベトナム戦争とそれに続く経済危機以来、米国人は常に力、狡猾さ、その他の不正な手段によって、経済的・政治的影響力の喪失を埋め合わせようとしてきた。それは不可避ではあるが。特に、米国人は、ドルが唯一の...世界交換通貨としての地位を失うのを遅らせようとしている。そしてこの政策は続いている。」
〜 CIAのターゲット 〜
シャルル・ド・ゴールは、第二次世界大戦中のナチス占領に対するフランスのレジスタンスの英雄で、その後1959年から1969年までフランス大統領を務めた。
ベトナム戦争に反対し、米軍兵士をフランス軍基地から追い出すなど、ジョンソン政権を怒らせたドゴールの殺害計画に、CIAが1965年に関与していたことが、機密指定を解除された文書によって明らかになった。
ドゴールは、1966年にNATOから軍を撤退させ、ソ連との交渉を開始、モスクワを何度も訪問し、貿易協定を結ぶなど、対ソ政策も先進的であった。
1961年に暗殺に失敗した後、アルジェリア支配を放棄したドゴールを憎む右派の軍人たちがCIAに接近し、ドゴールが登場するレセプションに出席する老兵たちの中に毒入り指輪をつけた工作員を潜り込ませるという暗殺計画を練り上げた。ドゴールが握手を求めると、彼が倒れ、暗殺者は群衆の中を悠然と歩き去るというものであった。(訳者註:結局ドゴールは暗殺ではなく、心臓発作で1970年に自宅で亡くなりました。享年79歳)
〜 祖父シャルルの志を継ぐ 〜
ピエール・ドゴールは、6月のロシア連邦の建国記念日にパリのロシア大使館でスピーチ を行った。彼の祖父は、ロシアがヨーロッパの安定に貢献する友好国として不可欠な存在であると見ていた、とピエールは言及した。「祖父はこういった。『ナポレオンがアレクサンドル1世を攻撃したことは、彼の最大の過ちであった。彼の自由意志でやったことで、我々の利益、我々の伝統、我々の才能に反していた。我々の退廃はナポレオンとロシアとの戦争から始まったのだ』」。
ロシアとフランスの国民が「長年の友情とナチスに対して流された血によって」結ばれていることを強調し、ピエールは、「ロシアとの良好な関係を維持することがフランスの利益であることをもう一度はっきりと確認し、我々の大陸の連合と安全、そして全世界のバランス、進歩、平和に役立つために協力しなければならないと言うためにここに来た」と述べた。
ピエールの考えでは、「ロシア国民全体に向けられた押収と差別の組織的かつ盲目的な政策」[制裁のこと]は 『スキャンダラス 』であった。フランスのエリートたちは、米国とNATOに味方し、ドンバスのロシア語を話す人々に対するウクライナ政府の 『無謀で』、『非難すべき政策(差別、略奪、禁輸、爆撃を伴う)』によって、彼の祖父の遺産を裏切った」のである。
ピエールによれば、「西側諸国は、ゼレンスキーとそのオリガルヒ、ネオナチ軍団が戦争のスパイラルに陥ることを許し、その盲目さがウクライナ国民に深刻な結果をもたらしているのである。しかし、間違えてはいけない。米国は何がしたいのか。それは、新たな東西対立を引き起こすことではなく、自分たちの指図、経済、システムを押し付けるために、ヨーロッパを弱め、分裂させることである。」
さらにピエールは、米国も西欧も、1991年の困難な移行とそれに続く再建の後、ロシアが彼らの一極集中の世界に適合しないこと、またロシアが西欧のモデルに従って、独自の方法で自らを変革すべきことを決して受け入れなかったと指摘した。そのため、プーチン大統領は当初から独裁者と見なされていたが、彼はロシアにとって偉大なリーダーなのだ、と述べた。
彼はこう続けた。「米国は、世界の国際貿易の決済において支配的な通貨であるドルの役割が失われることも、決して受け入れなかった。」
ピエールの言葉は、米国の耳にも、フランスのエリートの耳にも異端である。しかし、進歩的な運動が受け入れるべき、素晴らしく現実的なビジョンを提示している。
ピエールは最後に、祖父がロシアを愛していたことに触れて演説を終えた。「歴史の中で最も困難な時であっても、ロシアと強固な共有関係を築き、それを維持することが不可欠であることを常に支持し、擁護してきた。ドゴール将軍の言葉をもう一度引用する。『フランスでは、ロシアを敵だと思ったことは一度もない。私は、仏露友好の発展に賛成である。そして、ソビエト・ロシアと戦うような人々に武器を送ったことはないし、これからも送ることはないだろう』」。

著者:
ジェレミー・クズマロフ: コバートアクション誌の編集長。
米国の外交政策に関する4冊の著書がある:
「オバマの終わらない戦争」(Clarity Press、2019年)、
ジョン・マーシアーノとの共著「ロシア人がまたやってくる」(The Russians Are Coming, Again)(Monthly Review Press、2018年)など。

(翻訳以上)

参考資料

Sunday, January 08, 2023

国会請願署名・オンライン署名に参加してください「辺野古新基地建設の断念を求めます」 Stop the new US Marine Corps base in Henoko, Okinawa with your signature!

Please sign the online petition to stop construction of the new US Marine Corps base in Henoko, Okinawa. 

2023年もピース・フィロソフィーセンターをよろしくお願いします。不定期になりますが重要な情報や記事をアップしていこうと思います。

沖縄・辺野古に、自衛隊も使うであろう海兵隊新基地の建設強行が続いていますが、「辺野古基地を造らせないオール沖縄会議」が行っている国会請願署名・オンライン署名を紹介します。この画像をクリックして指示にしたがってください。国会請願署名は日本に住所のある人が対象ですが、オンライン署名には海外に住む人も署名できます。


この署名に寄せるメッセージを依頼されたので私はこのようなメッセージを送りました。

アジア太平洋戦争で、米国は大日本帝国を倒すだけでは収まらず80年近く経った今も日本と朝鮮半島の南側を軍事占領したままです。今、日本による沖縄の植民地支配を利用して、中国と朝鮮に対する敵視政策を強化し、東アジアを再び戦禍に陥れようとしています。その戦略の中枢にある琉球弧全体の基地化を許すことはできません。日本人の愚かな対米従属の犠牲は日本人自身が担うべきであって沖縄人ではありません。辺野古基地反対。

乗松聡子 Satoko Oka Norimatsu 

ピース・フィロソフィーセンター代表/「平和のための博物館国際ネットワーク」(INMP)共同コーディネーター/「アジア太平洋ジャーナル:ジャパンフォーカス」エディター/バンクーバー9条の会・カナダ9条の会運営メンバー/「ダーバン+20:反レイシズムはあたりまえキャンペーン」実行委員

Friday, December 30, 2022

「銃を後ろに向けろ!敵と味方を間違えるな」 ~高知「草の家」と槇村浩との出会い~ :「草の家だより」寄稿転載 My article from the Dec 24 2022 edition of the quarterly newsletter of Grassroots House, a peace museum in Kochi

高知の平和資料館「草の家」への訪問については12月14日の投稿

高知の平和資料館「草の家」による声明 「大軍拡ではなく、今こそ平和外交を!!」

で触れました。「草の家」が年4回発行するニュースレター「草の家だより」の12月24日号に寄稿した記事をここに転載します(写真はブログ運営者が付け加えたものです)。



 「銃を後ろに向けろ!敵と味方を間違えるな」

~高知「草の家」と槇村浩との出会い~

乗松聡子

9月の高知の旅は忘れられない。「草の家」で働いていた山根和代さん、金英丸さんはどちらも心から尊敬する平和のための仲間であり、二人が愛したこの場所に早く行きたかった。現地では、岡村正弘館長はじめ皆さんが歓迎してくださった。館長の高知空襲体験談は、カナダに戻った後に冊子『僕が見た高知大空襲』(写真→)で読み、涙が止まらなかった。

 9月15日、雨降る中、副館長の岡村啓佐さんの案内で「高知平和と自由民権ツアー」(と私が勝手に名付けている)に連れていってもらった。海軍航空隊の遺跡である「南国市の掩体群」を見たときは驚いた。18年に済州島に行ったときに旧日本海軍のアルドゥル飛行場跡で見た格納庫群とそっくりだったからだ。(写真↘)

 アルドゥル飛行場は「南京大虐殺」に先駆けて行われた空爆の起点とされた。現地の人々は毎年12月13日(1937年の南京城陥落の日)に格納庫前で南京大虐殺の追悼集会を行っている。植民地支配下、朝鮮人を動員し建設した飛行場を使い日本軍が行った行為であるのに、現地の人は寒空の下「南京」を記憶している。今年は85周年の重要な節目だ。

南国市「前浜掩体群」の一つ(5号掩体)

 高知の人たちも戦争の教訓を忘れないためにこの物々しい掩体群を保存しているということに感銘を受けた。南国市の説明板には、地元住民の他に「高知刑務所の受刑者、朝鮮半島から強制的に連れて来られた朝鮮の人々」などが動員されたと記されていた。

 ツアーで圧巻だったのは「日中不再戦の碑」である(末尾↓に写真)。添え石には「日本は日清戦争以来、中国に対し侵略行為を続け、特に1931年の『満州事変』以後、15年間に及ぶ戦争は人道をおかす三光作戦などによって1千万余の中国人民を殺傷した。この碑は日中国交回復20周年にあたり侵略戦争に対する反省の証として、またゆるぎない友好と平和の礎とするため建立された」とある。

槇村浩「間島パルチザンの歌」碑

その近くにはまさしくその戦争を批判して弾圧されたプロレタリア詩人槇村浩の「間島パルチザン」詩碑(写真→)があり、「天皇制特高警察の野蛮な拷問がもとで1938年わずか26歳で病没した」との説明が!私は衝撃と感動を覚えた。これらは高知市立の城西公園にある。翌日訪問した市立の「自由民権記念館」も日本の侵略戦争を明記していた。戦争の本質を歪曲することなく継承している地である。

「日中不再戦の碑」の写真をさっそく南京の友人に送ったらとても喜んでいた。今年は記念すべき日中国交正常化50年であるのに、日本を含む西側諸国では今、一方的な中国敵視報道が荒れ狂っている。「戦争は人の心の中で生まれる」とあるユネスコ憲章に照らし合わせれば、すでに戦争状態にあると言っても過言ではない。「加害」「被害」「抵抗」「創造」をモットーに平和を発信する「草の家」の存在意義はこれから高まるばかりであろう。

「銃を後ろに向けろ!敵と味方を間違えるな」-槇村浩が1932年4月に投獄される直前、高知の朝倉にあった歩兵第四十四聯隊に撒いた反戦ビラの見出しにはドキっとした(草の家ブックレット⑬『槇村浩に会いに・・・』に収録されている2002年の西森茂夫館長の講演より)。(写真→)まさしく今求められている反戦のメッセージはこれである!と思った。

私が「草の家」で講演させていただいたときに触れた、ウクライナ戦争についての西側メディアのロシア敵視一辺倒の問題にも通じるメッセージである。政府とメディアに繰り返し憎むように教えられた対象よりも、その憎しみを植え付けているのは誰かということを冷徹に見抜く力が今、市民に求められている。戦争の教訓を活かし、戦争を防ぐために。

(転載以上)

日中不再戦の碑


「草の家」のHPはここ、ブログはここにあります。高知に行くときはぜひ訪れてみてください。

槇村浩「間島パルチザンの歌」は、ここで読めるようです。


新年もよろしくお願いします。 @PeacePhilosophy 



Sunday, December 25, 2022

「ダーバン+20:反レイシズムはあたりまえキャンペーン」主催「徴用工問題」を考える連続講演会 第一回 高橋哲哉「終わりなき歴史責任とは何か」January 15 Lecture By Takahashi Tetsuya: What is Endless Historical Responsibility? Part I of the Lecture Series on the Issue of Japanese Wartime Forced Mobilization of Koreans

 Peace Philosophy Centre も協力団体となっているオンライン講演会のお知らせです。ふるってご参加ください。参加申し込みリンクはここです。


釜山日本領事館そばの公園にあった強制徴用労働者像(2019年7月23日撮影)


ダーバン+20:反レイシズムはあたりまえキャンペーン

「徴用工問題」を考える連続講演会


 解決が求められながら日韓間の懸案問題として混迷が続く「徴用工問題」とは何なのか。解決を妨げているのは何なのか。その根本にさかのぼって考えるため、3回連続の講演会を開催します。

 第1回は、植民地支配責任を世界史的視野に立って考えます。植民地支配とその責任を問う視点を提示したダーバン宣言(2001年)の意義と限界を踏まえ、その後の20年間に旧植民地宗主国が示してきた謝罪と和解のための努力を振り返ります。私たちは、終わらない過去にどのように向き合い、どのように「克服」していく必要があるのか、高橋哲哉さんに問題提起してもらいます。

 第2回は、植民地支配責任を国際法的視点から考えます。国際人権法を基軸に、植民地主義の現在をどのように解析するか、阿部浩己さんに問題提起してもらいます。

 第3回は徴用工問題に焦点をあて、解決のために何が必要かを考えます。

 ****

1回 2023115日(日)13001540


「終わりなき歴史責任とは何か」

 

講演:高橋哲哉さん(東京大学名誉教授)


 イントロダクション:矢野秀喜さん(強制動員問題解決と過去清算のための共同行動事務局)


 ◆場所:オンライン(Zoomミーティング)

◆参加申し込みはこちらをクリックしてください

 ※参加を申し込んだ方には当日参加用のZoomリンクをお送りします。

 ※当日参加できなかった場合も、後日、期間限定で視聴可能です(参加申込者に限る)。

◆参加費: 無料(カンパ歓迎)

 ※カンパ振込先:

多摩信用金庫(金融機関コード1360)京王八王子支店(店番号042)
  口座番号0417868
  ダーバン+20あたりまえキャンペーン 代表前田朗(まえだ あきら)

 

****今後の予定****

2回 2023326日(日)

「国際法の視点から植民地支配責任を考える(仮)」

 講演:阿部浩己さん(明治学院大学教授)

 

3回 20235月頃(準備中)

 徴用工問題の解決に向けて何が必要かを考えます。


主催:ダーバン+20:反レイシズムはあたりまえキャンペーン

https://durbanplus20japan.blogspot.com/

協力:アクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」(wam)、強制動員問題解決と過去清算のための共同行動、市民外交センター、人種差別撤廃NGOネットワーク(ERDネット)、Peace Philosophy Centre、ヒューライツ大阪

 

★「ダーバン+20:反レイシズムはあたりまえキャンペーン」紹介

私たちは、2001年のダーバン会議(人種主義、人種差別、外国人排斥および関連のある不寛容に反対する世界会議)から20年目となる2021年に、

ダーバン反差別世界会議とは何だったのか?

植民地主義をいかに乗り越えるか?

ブラック・ライヴズ・マターBLMは何を求めているか?

新型コロナはマイノリティを直撃していないか?

ダーバン宣言20周年を私たちはどう迎えるか?

レイシズムを克服するために何が必要か?

という問いを掲げて、「ダーバン+20」キャンペーンを立ち上げ、ダーバン宣言と行動計画を基礎に、次の10年に向けた反差別と人権運動を呼びかけました。

2023年もこの問いに向き合い、皆さんと対話を続けます。

https://durbanplus20japan.blogspot.com/p/about.html


 

Sunday, December 18, 2022

日本カトリック正義と平和協議会ニュースレター『JP通信』より転載:先住民族に対する「ジェノサイド」と、教皇の「謝罪」Reprinted from Japan Catholic Council for Justice and Peace newsletter JP Tsushin: Genocide Against Indigenous Peoples and Pope Francis' "Apology"

日本カトリック正義と平和協議会ニュースレター『JP通信』236号(2022年10月号)からの転載の許可をいただき、拙文をここに掲載いたします。「日本カトリック正義と平和協議会」については、公式サイトhttps://www.jccjp.org/をご覧ください。『JP通信』は年6回、年間購読料は1800円とのことです。お申し込みはこちらまで→https://www.jccjp.org/jptsuushin

(ネットに転載にあたり、出典や参考にした資料の中からハイパーリンクを本文中につけています。教皇カナダ訪問についてはリンク先に加え、これらの資料やソーシャルメディアを参考にしました。)


表紙写真 2021年6月、カムループス寄宿学校跡で母親が作ったジングルドレス(フリンジ風のジングル=音の鳴るものがついているダンス装束)を着て、約215人の子どもたちを追悼するケヒウィン・クリー族のアイヤナ・ウォッチメーカーさん(写真提供は母親のシャノン・ハンブリーさん)。


先住民族に対する「ジェノサイド」と、教皇の「謝罪」

 

乗松聡子(ピース・フィロソフィー・センター代表)

 

植民地支配を認めた教皇教書

 カナダに住んで通算25年になる。多くの人はこの国を、「多様性を重んじる自然豊かな国」と見ている。私もそうであった。しかしこれは植民者の見方であって、この地にもともといた先住民族にとっては、北米大陸の国境は自分たちが引いたものではない。大陸の形が亀に似ていることから「タートル・アイランド」と呼ばれ、命と土地の源泉の物語として口承されてきた。欧州の入植者たちにより米国やカナダが作られる遥か前から先住民族はいた。この大陸に人が住み着いたのは1万5千年ほど前だと言われる。2017年にカナダが建国150周年を記念し全国的に祝賀行事が開催されたときも「ゼロの数が2つ足りない」と抗議する声もあった。欧州人の入植が始まった15世紀末に北米には200万から1千万ぐらいの人口があり、62語族、400言語以上の言葉が使われていたという。もともと「多様性」を誇る大陸だったのだ。カナダや米国を「若い国」と言う人がいるが、それは、欧州人入植以前の人間と文明の存在をなかったことにしている植民地主義的視点である。

 この姿勢にまさしくお墨付きを与えたのが、大航海時代、キリスト教世界では国家に勝る権威を有していたローマ教皇が発布した「発見の法理」であった。教皇ニコラオ五世による1455年の教書 (Romanus Pontifex) は、ポルトガルに対し「キリストの敵」である異教徒の土地の征服と、永遠の奴隷化を認めている。クリストファー・コロンブスが北米(当時はインドと認識していた)を「発見」した1492年には、コロンブスを派遣したスペインと、ポルトガルの勢力争いが起こっていた。同年に、教皇アレクサンドロ六世が就任する。教皇は1493年の教書 (Inter Caetera) によって大西洋に「教皇子午線」を引き、西側(南北アメリカ)はスペイン、東側(アフリカ)はポルトガルに権限を割譲した。先住民族のキリスト教への改宗を名目としながらも、征服と支配がその本当の目的であった。キリスト教でない地は野蛮人の地であり「無主の地」と見なされ、「発見」した者が支配してよいという「植民・殖民による植民地主義」はここから我も我もと広がり、現在のカナダや米国の起源となるフランスやイギリスの北米への侵略も展開する。

 「発見の法理」問題はさきのフランシスコ教皇カナダ訪問(7月2429日)の焦点の一つであった。5世紀以上前の教皇教書がなぜ現代に注目を浴びるのか。1823年米国で、二人の人物が同じ土地の所有権をめぐって法廷で争った「ジョンソン対マッキントッシュ」事件があった。一人は「先住民族から取得した」、もう一人は「米国連邦政府から取得した」と主張したこの裁判で米国最高裁は、連邦政府から取得した側に所有権を認める判決をした。その根拠として、上記の「発見の法理」教皇教書が使われたのである。欧州人が「発見」し、征服したことにより先住民族の土地の所有権は消失したと見なされた。この判決は「今日に至るまでのすべての先住民法と先住民政策の基盤」となったと言われるほど大きな影響力を持ち、カナダでもその後の先住民族の土地所有権をめぐる裁判で準拠され続けた。

先住民族にとって15世紀末の教皇教書を現在の教皇が撤回することを望む声は高い。後述する寄宿学校制度に対するカナダ政府の補償の一環であった「真実と和解委員会」最終報告書(2015年)における「94の行動要求」にも、宗教各派が「発見の法理(Doctrine of Discovery)や無主の地(terra nullius)のような、先住民族の土地と人々に対するヨーロッパの主権を正当化するために使われた概念を否定するよう」という項目がある(49項目)

 

寄宿学校制度の残虐

「インディアン・レジデンシャル・スクール」と呼ばれた先住民寄宿学校制度は、政府が出資し、教会が運営した、先住民族の子どもたちをキリスト教に改宗させ伝統的な信仰や文化を奪う強制同化施設であった。最初の学校は1831年にできて、ピーク時の1930年には全国に80校存在し、最後の閉校は1996年だった。通算で139校の学校に、合計約15万人の先住民族の子どもたちが送られた。寄宿学校の約60%はカトリック教会、約25%は英国国教会、他は長老派教会、カナダ合同教会などによって運営された。1867年に連邦化したカナダ初の首相ジョン・A・マクドナルドは、「インディアン問題」を解決するために連邦政府として全国に寄宿学校を拡大させる制度を1883に導入した。マクドナルドは当時議会で、学校が先住民居留区にあると「野蛮人である両親と暮らし、野蛮人に囲まれ」、その子どもは「単に読み書きのできる野蛮人にすぎない」から、「白人の習慣や思考様式を身につけられるような集中的な職業訓練学校に入れる」必要性を語っている。

寄宿学校生活は孤独と恐怖の日々であった。家に警察が来て、行くことを拒むと両親を投獄すると脅された。親は心配でも子どもに良かれと願って服を新調し送り出したが、学校に着くとまず、身ぐるみ剥がされシャワーを浴びせられた。伝統的な長い髪を切られた。名前ではなく番号で呼ばれる。母語は禁止され、母語を話したら舌に針を刺されたことも。身体拘束や殴打などの体罰は横行した。電気椅子を使った学校もあった。兄弟姉妹同士が交流もできない。友だちを作ることも許されない。家にほとんど帰れない。脱走して捕まると全員の前でパンツを降ろされ鞭打ちされた。成功しても家にたどり着けず溺死、凍死する例も。いつもお腹が空いていた。聖体拝礼用のウェファーを盗んで殴り殺された子も。狭いところに押し込められているので結核インフルエンザなどの病気が発生したらたちまち広まる。いつのまにかいなくなって戻ってこなかった子たち。「学校」とは名ばかりで、男子は農場や大工仕事、女子は掃除、炊事、洗濯、針仕事などの労働をさせられた。何よりもの屈辱が性暴力であった。消灯時間の後近づいてくる足音が怖い。誰かが連れ去られる。次は自分の番だろうか。加害者は神父や修道女であった。男女問わずターゲットにされた。神父に妊娠させられ、生まれた赤ちゃんは焼却場で焼かれたという話も。暴力の中で生きることを強いられた子どもたちはお互いに対しても暴力を振るうようになり、指導者たちは止めるどころか扇動した。

以上が、私が聞いたり読んだりしてきた体験談の一端である。これらの体験を読むときの内臓が掻き出されるような嫌悪感は、大日本帝国による強制動員や「731部隊」のような戦争犯罪の証言を読むときと似ている。人間が同じ人間に対して、ましてや神の名の下に、どうしてこのようなことができたのだろうか。

寄宿学校生活が終わっても心身の傷は生涯残る。悪夢を見たり、夜中に叫んで起きたり、苦しみをアルコールや薬物で紛らわせ、依存症となる。世代間トラウマとして子や孫の代まで影響する。自分たちが劣った存在だと教え込まれた経験から、自尊心を持ちにくい。愛や優しさを知らずに大人になった体験者は自らの子どもの愛し方、親密な人間関係の作り方がわからない。大事な人に暴力を振るってしまう。自らの命を絶つ。先住民族の子どもは未成年者人口全体の約7%であるが、児童養護制度にいる子どもの半数以上を占める。先住民族の子どもの約4割は貧困状態にある(非先住民は8%)。先住民族の女性で凶悪犯罪の被害者になる率は非先住民女性の3倍である服役中の女性の42%、男性の28%が先住民である。先住民族の放送局を聞いていると失踪・殺害事件や、警察などの権力組織による差別や暴力のニュースが流れない日はない。カナダの植民地主義は過去の話ではなく現在進行形なのである。

 

償いの歩み

寄宿学校体験者にとって奪われた人生は戻ってこない。この罪をどうやって償うのか。カナダ社会は重い歩みを続けている。1990年代から、被害者、家族、先住民族社会が政府と教会に責任を問う運動が高まり、政府も「先住民族に関する王立委員会」報告書(1996)で寄宿学校の被害を明らかにした。政府を相手どってカナダ史上最大の集団訴訟が起こされた結果、2006年に政府からの総計19億ドル(約1900億円)の「先住民族寄宿学校和解協定」が成立した。2008年には当時のスティーブン・ハーパー首相(保守党)が国会で先住民族の代表者たちを前に謝罪した。協定の一環として、2010 年から全国7 箇所で「真実と和解委員会」(Truth and Reconciliation Commission)が開催され、約7千人の体験者に聞き取りを行い、全てのカナダ人がこの歴史を学ぶことができるような催しが持たれた(写真1)。先述した2015年の最終報告書には、カナダが先住民族に行ったことは「土地の接収、精神的指導者の迫害、言語の禁止、文化的慣習の違法化、移動の制限、家族の崩壊によって政治・社会制度を破壊し、文化的価値を次世代に受け継がせないことを目的」とした、「文化的ジェノサイド」であったと結論づけた。その後ジャスティン・トルドー政権下では、1980年以来1200件の発生を警察が認めていた(4千件という推計もある)「先住民族女性および性的少数者の失踪・殺害事件」について2千人に聞き取りをした全国調査が行われ、2019年に出た最終報告書では、先住民女性が白人女性に比べ失踪したり殺害されたりする率が16倍にも及ぶことを指摘、先住民族が構造的暴力に晒され続ける有様を「ジェノサイド」と断定した。「ジェノサイド」という用語についてはメディアで議論が沸騰したが、当事者からは「やっとその通りの名前がついた」との声が上がった。

写真1 「真実と和解委員会」の席上で、
キリスト教関係者がサバイバーに謝罪する
(2013年9月、バンクーバー)
私は2013年9月、上記「真実と和解委員会」のバンクーバー大会に参加し、体験者たちの経験を生で聞く機会があった。中でも一番印象に残ったのは、キリスト教会関係者が寄宿学校体験者と一緒に円になって座り、謝罪を伝える会合が繰り返し持たれたことだった。そこでは、体験者から「許すという気持ちにはなれない」、「神もカトリック教会も憎い!」という声もあった。その時知ったことは、寄宿学校を運営した各教会の中で、カトリック教会のみがまだ謝罪をしていないということだった。それもあって、2015年の「真実と和解委員会」行動要求58項目として、ローマ教皇への謝罪の要求が掲げられた。「私たちは、ローマ教皇に対し、ファースト・ネーションズ、イヌイット、メイティーの子どもたちがカトリック教会の運営する寄宿学校で精神的、文化的、感情的、身体的、性的虐待を受けたことについて、生存者とその家族、コミュニティに対して謝罪を表明するよう要請します。その謝罪は、(中略)この報告書の発行から1年以内に行われ、カナダの地でローマ教皇によって行われることを要求するものです。」この謝罪の求めに対しカトリック教会の反応は非常に鈍いものであったが、今年教皇カナダ訪問がようやく実現した。

写真2 表紙写真(2021年、カムループス寄宿学校前に立つアイヤナ・
ウォッチメーカーさん)のジングルドレスの柄のクローズアップ
その背景には昨年5月の「墓標なき墓」発見の衝撃がある。西部ブリティッシュコロンビア州のカムループスという場所の寄宿学校跡地に、地中レーダー技術によって、おおよそ215人の埋葬跡が確認されたとの発表は、カナダ全体を揺るがす大事件となった(写真2)。その後も全国で次々と百人単位での発見が続き、現在、通算2千人以上(推定)の「墓標なき墓」が確認されている。先述の和解協定締結時には約8万人の寄宿学校体験者が生存していたと言われているが、これによって、声を上げることもできず死んでいった子どもたちの存在が脚光を浴びることになる。「真実と和解委員会」は4100人以上という死亡数を把握していたが、委員会を率いた一人であるマレー・シンクレア元判事は、政府の真相究明努力の不十分さを指摘し、実際には1万5千人かそれ以上ではないかという推測をしている。もしそうであれば寄宿学校に行った子たちの10人に1人は殺されたということになる。入ったら生きて帰れないかもしれない場所は「学校」とは言えない。ナチスの「ホロコースト」を彷彿とさせる「ジェノサイド」の現場であったのだ。

 

教皇フランシスコ「懺悔の巡礼」が残した課題

今春、約200人の先住民族の派遣団がバチカンを訪れ、フランシスコ教皇に面会して体験を直接話し、4月1日に教皇は派遣団の前で、「多くのカトリック信者、特に教育的責任のある人々」による虐待について「恥と悲しみ」を感じ、「これらカトリック教会の構成員たちの嘆かわしい行為」に対して「神の赦しを求め」、「心の底から、申し訳なく思います。」と述べた。教皇自らの口から謝罪の言葉があったことを評価する声も多かった一方、教会の「構成員」の責任に触れつつ、教会自体の組織的責任を認める謝罪ではなかったことについては不満の声があった。それだけに、夏の教皇カナダ訪問では、より踏み込んだ謝罪に対する期待が高まった。

 7月24日、教皇の言葉による「懺悔の巡礼」が始まった。高齢で健康問題も抱える教皇は、このカナダの旅だけは実現させたいとの強い意思があったと言われている。アルバータ州のエドモントン空港では、トルドー首相と女王代理のメアリー・サイモン総督(カナダ初の先住民族の総督)が出迎えた。翌日、マスクワシスというクリー族の地で、地元の寄宿学校跡を訪れ、祈りを捧げた後、駆けつけた何百人もの寄宿学校の被害者たちを前に謝罪文を読み上げた。会場は、教皇が本当にカナダに来たことに対する興奮と感謝に満ちていたが、実際の謝罪の内容はバチカンで行ったものと大差なかった。「文化の破壊と強制された同化」政策に「教会の構成員と宗教団体が加担した」こと、「これだけ多くのキリスト教徒が先住民の人々に対して犯した嘆かわしい悪事」に対する謝罪はあったが、教会自体の責任には触れなかった。「発見の法理」への言及もなかった。何より、多くの体験者にとっては被害の核心であった「性的虐待」に触れなかったことについては失望の声があった。

先述の、「真実と和解委員会」を率いたマレー・シンクレア氏は教皇の言葉を「歴史的な謝罪」と認めつつも、「大きな穴があった」と批判した。委員会は教皇に対し、2010年に当時のベネディクト教皇が、アイルランドで長年聖職者から性暴力を受けていた子どもたちに対し「教会の名の下に」謝罪したような、教会の責任を認める謝罪を求めていた。カトリック教会はカナダ政府の同化政策に単に「加担」していたのではない。シンクレア氏は、「教会がカナダ政府に対して、先住民族の文化や伝統的な慣習、信仰を破壊するために、より積極的かつ大胆に活動するよう求めた明確な例」がいくつもあると指摘し、「キリスト教至上主義の名の下に、子供たちを家族や文化から引き離そうとする組織的な取り組みだった」との声明を発表した。

 教皇は残りの日程の中で、これらの批判に応答するような発言を行った。ケベックでは寄宿学校における性暴力を糾弾したり、虐待における「地元のカトリック教会」の役割を非難したりした。帰りの飛行機の中では報道陣の質問に答え、カナダ滞在中には口にしなかった「発見の法理」についても「このような植民地主義的考え方は清算しなければいけない」といった趣旨の発言をした。先住民のジャーナリストから「ジェノサイド」について聞かれ、「私が表現した内容はジェノサイドである」と認める発言もしている。

教皇訪問中、被害者を24時間体制でサポートする「寄宿学校クライシスホットライン」には普段の2倍以上の電話があったという。「懺悔」のための旅であったとはいえ、当事者には辛い体験のフラッシュバックが起こるのだ。私の知人には怒りと悲しみで寝込んでしまっていた人もいた。一方、当事者の中には、これを機会に自分の中で、過去に区切りをつけたいと感じた人もいたようだ。さまざまな反応があった中、多くの人が共有していたのは、「言葉は一つの出発点に過ぎず、これからの行動を注視する」という思いである。バチカンはカナダの寄宿学校についての未公開文書を大量に保管していると見られており、率直な公開が求められている。「和解協定」時にカナダのカトリック教会は2500万ドル(約25億円)を寄宿学校被害者に支払う約束をしたのに結局400万ドルほどしか資金を作ることができていない。バチカンの博物館に多数ある先住民族の収蔵品の返還問題もある。象徴的には意義深かったフランシスコ教皇カナダ訪問であるが、逆に未解決の課題を浮き彫りにした。

最後に、7月25日の教皇謝罪スピーチの直後に、シピコさんという民族服をまとった女性が躍り出て、クリー語で涙ながらに抗議した言葉を引用したい。この予定外の行動はSNSで大拡散、主要メディアでも取り上げられ、「自分の気持ちを代弁してくれた」との声が次々にあがった。女性不在だったことでも批判されたこの「謝罪」の儀式に一石を投じた場面であった。 

「あなたはここに話し言葉の法を与えられます。私たち、大いなるスピリットの娘たち、そして部族の主権者たちは、大いなる法ではない、いかなる法律、いかなる条約にも強制されることはない。我々は我々の領土で首長を任命した。それに従って統治するのだ・・・あなたは部下の男たちとともに帰りなさい!そして過去の過ちを正しなさい。この土地は植民者と教会が来るまでは清純で純粋だった。“発見の法理”を撤回しなさい!」


(転載以上)


以下、カナダ公共放送局CBCのYouTube より。教皇に訴えるシピコさんの様子や、事後にCBCがシピコさんに行ったインタビュー、先住民族の人々のリアクション等が見られる。

Cree singer reveals message behind powerful Pope performance/CBC 


過去の参考記事



Thursday, December 15, 2022

米国の退役軍人たちからの呼びかけ:この戦争を終わらせるために、ウクライナでの「休日休戦」、停戦と交渉を求める U.S. Soldiers Call for a Holiday Truce in Ukraine, Ceasefire and Negotiations to End the War

英語での沖縄関心グループのMLで、ダグラス・ラミスさんが教えてくれた。「ベテランズ・フォー・ピース」による「ホリデイ・トゥルース」(Holiday Truce)の呼びかけを。内容に賛同し、日本語訳とともに紹介します。(訳はDeepl 訳を修正したもの)

According to Wikipedia, "Soldiers from both sides (the British and the Germans) exchange cheerful conversation (An artist's impression from The Illustrated London News of 9 January 1915: "British and German Soldiers Arm-in-Arm Exchanging Headgear: A Christmas Truce between Opposing Trenches")."


原文は See English original: 

U.S. Soldiers Call for a Holiday Truce in Ukraine, Ceasefire and Negotiations to End the War 

(peaceandplanetnews.orgより)

米国の退役軍人たちからの呼びかけ:この戦争を終わらせるために、ウクライナでの「休日休戦」、停戦と交渉を求める

2022年12月

ベテランズ・フォー・ピースのメンバーたち

北半球へ冬が到来し、10ヶ月目に入ったウクライナ戦争が心配になります。包囲された市民の苦しみと何百万人もの難民の運命に対する懸念、ヨーロッパのエネルギー危機と軍事化に対する懸念、戦争に関連するアフリカにおける食糧不足に対する懸念、そして文明を終わらせる核戦争の可能性に対する懸念です。これらの複合災害を前にして、世界の人々は、ロシア、ウクライナ、米国、NATOが勝者のいない長い戦争に突入する用意があるように見えることに直面しています。

ベテランズ・フォー・ピースはこうした懸念を共有しています。2015年の時点で、私たちはウクライナのロシアとの国境からすべてのNATO軍を撤退させるよう求めていました。多くのオブザーバーと同様に、私たちもこの不必要で完全に回避可能だった戦争が起こることを予見していました。ロシアがウクライナに侵攻した2022年2月24日、私たちは「Diplomacy Not War(戦争ではなく外交を)」という緊急の呼びかけを行いました。ベテランズ・フォー・ピースは「Peace In Ukraine Coalition(ウクライナ平和連合)」の一員であり、手遅れになる前に戦争を終わらせるために停戦と外交を呼びかけています。

いま、年末休暇の時期を迎え、第一次世界大戦中の1914年、ドイツとイギリスの兵士が塹壕から出てきて共に祝ったという有名な「クリスマス休戦」を思い起こし、ウクライナでの一時休戦を求める宗教指導者やその他の人々の声に、私たちは参加します。

戦争の惨禍を経験した退役軍人として、私たちは、この血なまぐさい戦争で何万人もの死傷者を出している双方の若い兵士たちに大きな共感を覚えます。私たちは、生き残った人たちが心に傷を負い、一生を棒に振ることになることを十分すぎるほど知っています。私たちは、「もうたくさんだ」「戦争は解決策ではない」と訴えます。

私たちは、ウクライナの戦争を終わらせるために、緊急で誠実な外交を望んでいるのであって、これ以上米国の武器や顧問を送ることや、終わりのない戦争を望んでいるのではありません。そして、核戦争は絶対に避けなければなりません。何十億ドルものお金を、兵器メーカーや戦争で儲ける人たちのためではなく、気候変動や雇用、医療、住宅のために使ってほしいのです。

ベトナム、アフガニスタン、イラクでの戦争に抵抗した兵士として、私たちは、良心的兵役拒否者、徴兵拒否者、脱走兵、そして殺人に参加することを拒否するすべての人を含む、あらゆる立場の戦争抵抗者を支援します。私たちは、特に米軍関係者に、訓練、武装、顧問、あるいはこの戦争や他の帝国の戦争に従事することに参加することを拒否するよう促します。私たちはさらに、米国政府に対し、すべての戦争を終結させ、世界中の多くの国にいる私たちの軍隊を撤退させるよう要求します。

今こそ引き返す時です。武器を捨てなさい。外交と平和を受け入れなさい。ウクライナのために。ロシア、ヨーロッパ、アメリカのために。世界のすべての人々のために。休日の休戦は、平和への第一歩になるかもしれません。

もうたくさんだ - 解決策は戦争ではない!

今すぐ停戦を - 交渉しなさい、エスカレートするな!

殺すことを拒否する兵士を支援しよう!

(以下署名者リストは英語のまま。)

Signed,


Enya Anderson, VFP National Board
Ellen Barfield, Past Vice President, VFP National Board; Co-founder, Baltimore VFP
Medea Benjamin, VFP Advisory Board, CODEPINK Women for Peace
Marjorie Cohn, VFP Advisory Board; Past President, National  Lawyer’s Guild
Gerry Condon, Past President, VFP National Board
Paul Cox, VFP National Board
Michael Dempsey, VFP National Board; President, Monterey, CA, VFP
Jim Driscoll, VFP Climate Crisis and Militarism Project
Mike Ferner, Past President, VFP National Board
Mark Foreman, Past Treasurer, VFP National Board
Gerald Hassett, Vice President, New York City VFP
Matthew Hoh, VFP Advisory Board
Helen Jaccard, Manager, VFP Golden Rule Project
Eric Johansson, Past President, San Francisco VFP
Tarak Kauff, Past Member, VFP National Board
Bob Keilbach, Secretary, New York City VFP
Kathy Kelly, VFP Advisory Board; Board President, World Beyond War
Barry Ladendorf, Past President, VFP National Board
Gene Marx, Past Secretary, VFP National Board
Ray McGovern, VFP Advisory Board; co-founder, Veteran Intelligence Professionals for Sanity
Maj. (ret’d) Ken Mayers, USMCR; VFP National Board
Nick Mottern, VFP National Board; Co-coordinator, BanKillerDrones
Barry Riesch, Past President, VFP National Board
Doug Rawlings, Co-founder, VFP; Past Vice President, VFP National Board
Denny Riley, USAF, Our war in Vietnam
Susan Schnall, President, VFP National Board
Joshua Shurley, Secretary, VFP National Board
Alice Slater, VFP Nuclear Abolition Working Group
Rick Staggenborg, President, Mid-Valley Oregon VFP
David Swanson, VFP Advisory Board, World Beyond War
Mike Tork, Treasurer, VFP National Board
Michael Wong, Vice President, San Francisco VFP
Col. (Ret) Ann Wright, VFP Advisory Board; Veteran 
Intelligence Professionals for Sanity

Wednesday, December 14, 2022

高知の平和資料館「草の家」による声明 「大軍拡ではなく、今こそ平和外交を!!」 Anti-war statement by "Grassroots House," a museum for peace in Kochi

 See English translation below. 

「草の家」の入り口

「草の家」で説明する、高知空襲体験者の岡村正弘館長。
1989年創立の、高知市内にある平和のための資料館「平和資料館 草の家」を今年9月に訪れました。「加害」「被害」「抵抗」「創造」をモットーとし、高知空襲の記憶を伝え、大日本帝国の侵略戦争と植民地支配の歴史に向き合い、地元出身の反戦プロレタリア詩人の槇村浩(まきむら・こう)など、戦時下で戦争に抗った人たちの遺志を継承する、市民が支える市民のための地元に根ざした資料館と感じました。

日本政府は中国敵視にもとづき軍拡をエスカレートさせています。これに対して「草の家」がこのたび声明を出しましたので、ここに紹介します。深く賛同する内容です。


2022年12月12日


大軍拡ではなく、今こそ平和外交を!!

暮らしと平和を破壊する「戦争国家づくり」に断固反対します


平和資料館・草の家


政府が今週にも改定するとしている「国家安全保障戦略」など「安保3文書」の骨子案が明らかとなりました。「敵基地攻撃能力」の明記、先制攻撃を可能とするミサイル導入などが列挙されており、恒久平和主義に基づく戦後国家のあり方を根底から覆し、安全保障の基本としてきた「専守防衛」をも180度転換した「軍事国家」像そのものです。集団的自衛権の行使容認、安保法制、防衛装備庁の設置など安倍政権以来、推進してきた「戦争する国づくり」への到達を示す恐るべき内容となっています。

これらは米国のインド太平洋戦略の一環に組み込まれたものであり、イラク戦争などへの対応とは異なり、米軍指揮下に日本が「敵国」に先制攻撃を行い、戦端を開く可能性を多分に有しています。日本列島に自ら「戦火をよびこむ」危険極まりない愚挙、暴挙、亡国への舵取りであり断じで許すことはできません。しかもこのような戦後政治の最大の政策転換ともいうべき重要事項が与党合意と閣議決定のみでの強行は断じて許されません。

自公政権は、「反撃能力」(「敵基地攻撃能力」)の体制を保持するために「防衛力を抜本的に強化」するとして軍事費を今後5年間に2倍に増額させ、GDP比2%(11兆円規模)にまで引き上げることを指示しました。

軍備の増強とは裏腹に20年間「賃金の上がらない国」にしておいて、コロナ禍、円安による急速な物価高騰下、今や市民生活は崩壊しつつあります。この上に軍事費倍増を実施すればどうなるか、増税に跳ね返り暮らしは破壊されます。今、「抜本的に強化」が必要なのは軍備増強ではなく民力涵養への財政出動です。

軍事費の倍増が実施されれば、日本は米国、中国に次ぐ世界第三位の軍事大国となります。

自国の軍備増強は他国の軍備増強となり、際限のない軍拡競争を招き「安全保障のジレンマ」に陥り、一握りの軍需資本家を富ませるだけの不毛の競争をエスカレートさせ、国民が犠牲者となることは第一次世界大戦以来の歴史が幾度も証明しています。

今回も「日本の安全を守るため」と説明していますが、それ自体がペテンであることを私たちは透察しなければなりません。軍拡も戦争も「平和」を装って始まります。先の戦争も「東洋平和のために」「自存自衛」のためと称して開始し、2,000万人以上の東アジアの人々の命を奪い日本国民も310万人が犠牲となりました。平和が軍拡や戦争で守られたことはありません。平和は、平和でしか守れないという事を訴えたいと思います。

 敗戦の絶望と慟哭から日本を救い羅針盤となったのは日本国憲法です。今こそ諸国民の公正と信義に信頼して、軍事力ではなく外交力・対話力を強めることが最も賢明な選択であり、日本と世界の最大の安全保障となることを確信し、暮らしと平和を破壊する「戦争国家づくり」に断固反対します。

(声明以上)

高知市内の公園にある「日中不再戦の碑」。

添石にはこうある。
「日本は日清戦争以来、中国に対し侵略行為を続け、特に1931年の『満州事変』以後、15年間に及ぶ戦争は人道をおかす三光作戦などによって1千万余の中国人民を殺傷した。この碑は日中国交回復20周年にあたり侵略戦争に対する反省の証として、またゆるぎない友好と平和の礎とするため建立された。」


Peace Diplomacy Now, Not Gigantic Military Expansion!

We are firmly opposed to the creation of a "war state" that destroys our lives and peace!

Peace Museum "Grassroots House"

December 12, 2021

(A Deepl translation with modifications)


The draft outlines of the three security documents, including the "National Security Strategy," which the government plans to revise this week, have been revealed. The document includes a list of items such as the specification of an "enemy base attack capability" and the introduction of missiles capable of preemptive strikes, which are the very image of a "military state" that has fundamentally overturned the postwar state based on the principle of perpetual pacifism and a 180-degree shift from the "exclusive defense" that has been the basis of national security. It is a horrifying manifestation of the "war-making nation" that has been promoted since the Abe administration, including the approval of the exercise of the right of collective self-defense, the Security Law, and the establishment of the Defense Equipment Agency.

These are part of the U.S. Indo-Pacific strategy, and unlike the response to the Iraq War, etc., there is a strong possibility that Japan, under the command of the U.S. military, will launch a preemptive attack on an "enemy nation" and open the front lines of war. This is an extremely dangerous and foolish act of inviting the flames of war into the Japanese archipelago, an outrageous act, and an attempt to steer Japan toward collapse, and it is unforgivable. Furthermore, it is absolutely unforgivable that such an important matter, which should be regarded as the biggest policy shift in postwar politics, should be forced through only a ruling party agreement and a cabinet decision.

The LDP/Komeito government has ordered a doubling of military spending over the next five years to 2% of GDP (on the order of 11 trillion yen) in order to "fundamentally strengthen defense capabilities" in order to maintain a system of "counterattack capability" (i.e., "enemy base attack capability").

Despite the military buildup, in the country where wages have not risen for 20 years, civilian life is now collapsing under the rapid rise in prices due to the Corona disaster and the weaker yen. If military spending is doubled on top of this, tax hikes will rebound to destroy people's livelihoods. What is needed now is not a military buildup but a mobilization of public finances to cultivate civilian power.

If the doubling of military spending is implemented, Japan will become the world's third largest military power after the U.S. and China.

The history of Japan since World War I has proven time and again that the military buildup of one country leads to the military buildup of other countries, which in turn leads to an endless arms race, a "security dilemma," escalating a sterile competition that only enriches a handful of military capitalists, and common people become the victims.

This time, too, the government explains that it is "to protect Japan's security," but we must see through this deception. Both military expansion and wars start under the guise of "peace. The last war was started under the guise of "peace in the East" and "self-defense," and it killed more than 20 million people in East Asian neighbour countries and 3.1 million in Japan too. Peace has never been protected by military expansion or war. We emphasize that peace can only be protected by peace.

 It is the Constitution of Japan that saved Japan from the despair and lamentation of defeat and served as a compass. We are convinced that the wisest choice now is to trust in the fairness and faith of the people of the world and to strengthen, not military power, but diplomatic and dialogue power, which will be the greatest security for Japan and the world, and we firmly oppose the creation of a "war state" that destroys our lives and peace.