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Tuesday, June 19, 2012

絶対に許してはいけない:政府はSPEEDI予測を隠し、陰で活用し、結果をまた隠し、住民を放射線にさらした。

(7月3日追記。2日の共同の報道「拡散予測330枚未公表 原子力機構『内部検討用』」によると、WSPEEDIの予測図330枚が未公表のままになっていたと日本原子力研究開発機構が発表したということだが、当ブログ史上最多の10万強のアクセスがあった下記投稿に、この報道で隠されている真実の一端がある。NHKは4月初めにWSPEEDIを入手していた。情報隠ぺいがあったとしたらメディアも共犯であったことは確かである。

もう一度必見。Peace Philosophy Centre 2011年5月16日投稿:
 4月中旬、NHKに一瞬映った 「WSPEEDI」 3月15日被ばく予測マップ→5月18日NHKから返信、4月4日のニュースと確認 )

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6月18日、このような報道が流れた(共同)。
米国の放射線情報、避難に使わず 政府が福島原発事故直後
http://www.47news.jp/CN/201206/CN2012061801002364.html
 東京電力福島第1原発事故直後、米軍機を使って測定した原発周辺の放射線分布地図を米国側から提供されたにもかかわらず、日本政府はこの地図を公表せず住民の避難に生かしていなかったことが18日、分かった。/ 放射線分布地図は米エネルギー省が軍用機で原発の半径45キロ圏を昨年3月17~19日にかけ測定。第1原発の北西方向約25キロにわたり、放射線量が1時間当たり125マイクロシーベルト以上の地域が広がっていることが確認された。8時間で一般の人の年間被ばく線量限度に達する高い数値。/ 米国は測定結果を昨年3月23日(日本時間)に公表した。
米エネ省が3月22日から航空モニタリング検査発表をしていたのはネット世界では多くが知っていた。23日に政府が限定的なSPEEDIを発表しはじめたのもUSが発表したから仕方なくしたのだろうと思っていた。今になってなんだ、と思う。(米国エネルギー省ウェブサイト「福島地域からの放射線モニタリングデータ」
http://energy.gov/articles/us-department-energy-releases-radiation-monitoring-data-fukushima

日本はSPEEDI情報を日本市民よりも先に文科省が外務省を通じて米軍に提供していたという報告を思い出してほしい。
拡散予測、米軍に提供 事故直後に文科省(共同)
http://www.47news.jp/CN/201201/CN2012011601002390.html
東京電力福島第1原発事故直後の昨年3月14日、放射性物質の拡散状況を予測する緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)による試算結果を、文部科学省が外務省を通じて米軍に提供していたことが16日、分かった。  SPEEDIを運用する原子力安全委員会が拡散の試算結果を公表したのは3月23日。公表の遅れによって住民避難に生かせず、無用な被ばくを招いたと批判されているが、事故後の早い段階で米軍や米政府には試算内容が伝わっていた。
 そのときの当サイトの投稿。

「日本政府は米軍の安全を日本市民の安全より優先させた」 http://peacephilosophy.blogspot.ca/2012/01/tomodachi-information-control-operation.html

徹底的に記録する。こういうのもあった(東京)。
SPEEDI 住民に公表前、測定活用 浪江の高線量地把握 2012年6月12日 朝刊  
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012061202000090.html
福島第一原発事故が発生した四日後の昨年三月十五日、文部科学省が緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)による予測結果を基に、原発の北西約二十キロの福島県浪江町に職員を派遣し、実際に高い放射線量を測定していたことが十一日、分かった。  SPEEDIによる放射性物質の拡散予測が事故後初めて公表されたのは昨年三月二十三日で、住民避難に役立てられなかった予測を、政府は公表前から活用していたことになる。  政府の住民軽視の姿勢があらためて浮き彫りになった。  文科省によると、同十五日夕に福島県入りした同省職員から測定地点の指示を求められ、文科省はSPEEDIの試算結果を基に場所を指定。同日午後九時前、毎時三三〇マイクロシーベルトと高い数値を実際に測定し、翌十六日未明に公表した。  同省は原発から一ベクレルが放出したと仮定し、風向きなどの気象条件から、どの方角に放射性物質が拡散しているか把握する試算を同十一日夕に開始。同十五日は、原発から南向きに流れていた風が昼ごろから夕方にかけて時計回りに回転し、北西向きに変化していたことが判明しており、この予測を基に職員に測定地点を指示したという。

上記を踏まえた上でこの呆れる平野文相の発言を読んでほしい。(時事)。
「反省すべきは反省」=米放射線測定データ未活用-文科相  
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2012061900247
東京電力福島第1原発事故の直後に、米国が実施した航空機モニタリング(放射線測定)のデータを、提供を受けた文部科学省と経済産業省原子力安全・保安院が住民避難などに活用しなかった問題について、平野博文文科相は19日の閣議後会見で、「政府という観点で活用していなかったのは大変残念。反省すべきは反省すべきだという認識だ」と述べた。(2012/06/19-10:21)

要するに、順番が逆。米国情報を日本政府が市民に知らせなかった​のではなく、日本政府が最初から市民に知らせないつもりでSPE​EDI情報を米国にだけ渡して調べさせたのである。文科省はSP​EEDI情報を事故直後3月14日に米国に提供し、米エネルギー​省はその情報をもとに航空モニタリングを行った。また、文科省は自らの職員もSPEEDIの予測で高汚染が予測された浪江町に派遣した。その結果SPE​EDI予測が正確であったことが立証された文科省は怖くなっ​てSPEEDIの情報は極力隠し、米国モニタリング情報が3月2​2日以降エネ省のサイトで堂々と発表された後も無視してなかった​ことにした。その隠蔽に大手メディアは全て加担した。米国はこの​情報を自国民の避難に使ったが、日本政府からの重圧か、気を遣ってか、エネ省のサイトに調査結果をさりげなく置いただけで日本​市民に積極的に伝えようとはしなかった。そして米国に追随するよ​うに、文科省は申し訳程度に3月23以降小出しにSPEEDIの​情報を出しはじめた。情報隠ぺいに必死になっていた政府の避難政​策は後手後手となり、結局、高汚染地域だと事故当初からわかって​いた飯館村の避難がほぼ完了したのが5月末、3ヵ月間住民を放置​し多量の放射線に晒すという大罪を犯した(6月20日追記:5月25日東京新聞報道「飯舘村指定に3週間も 助言チーム、至急避難提言 政府の対応遅れ」では小佐古内閣官房参与ら専門家の助言チームの強い提言があったにも関わらず政府は避難区域見直しを渋った経過が報道されている。)平野文相は今になって​「反省すべきところは反省」とか言ってしらばっくれているが、米​国にだけSPEEDI情報を提供し調査させ、その結果を国民から​隠したのは政府の確信犯罪である。

冒頭の報道に戻るが、頭にくるのは、ネットでは公表されていた米エネルギー省の情報に目をつぶって全く報道せず、政府に重圧を与えることもしなかったメディアに対してである。政府がこの情報を使わなかったなどとよく言えるものだ。メディアが今になって自分たちの責任逃れをしているとしか思えない。

このSPEEDIとそれに伴うモニタリングの情報を住民避難に生かさなかった政府+東電、メディアの共犯、そしてトモダチ米国の加担は絶対にこのままにしてはいけない。「煽るな」といった脅迫を受けながらも、ネット言論者が事故直後からずっと訴え発信してきたことが、遅すぎる今になって次々と、後付のアリバイのように「こんなこともありました」といった風に報道されていく。無力感にさいなまれながらも、諦めてはいけないと自分に言い聞かせる。@PeacePhilosophy

参考報道

東京新聞 2012年5月25日
飯舘村指定に3週間も 助言チーム、至急避難提言 政府の対応遅れ

東京電力福島第一原発事故で、小佐古敏荘(こさことしそう)内閣官房参与(当時)らの「助言チーム」が昨年三月末、高い放射線量が計測された福島県飯舘村への立ち入り制限を政府に提言したにもかかわらず、政府が避難の対象区域とするまで三週間以上を要したことが分かった。その間も多くの村民が村にとどまり、無用の被ばくをした可能性がある。
助言チームは、官邸の信頼を失った原子力安全委員会に代わる提言機関として昨年三月十六日、当時の菅直人首相の要請で発足。小佐古氏や近藤駿介原子力委員長、原子力に詳しい民主党の空本誠喜(そらもとせいき)衆院議員らが提言づくりに参加した。
三月中旬以降、原発から二十~三十キロ圏の屋内退避の対象区域より遠くでも高線量が計測されたが、安全委事務局は二十二日に「区域の変更は不要」との考えを国の原子力災害対策本部に示した。
これに対し助言チームは二十四日、避難区域見直しの検討を官邸に提言。三十一日には「(三十キロ以遠の)立ち入り制限措置を至急決定すべきであり、強く提言する」と、異例の表現で訴えた。特に飯舘村の名を挙げ「立ち入り制限を検討すべきことは、文部科学省の土壌モニタリングの結果から明らか」だと指摘している。
文科省の計測で、実際に原発から北西に三十三キロ離れた飯舘村長泥(ながどろ)などで線量が高くなっていた。だが、災害対策本部が避難区域見直しの助言を安全委に要請するのは、四月十日になってから。政府は翌日、安全委の助言に基づき、五月までに避難するよう求める計画的避難区域などの設定を発表したが、対象区域の発表は四月二十二日にずれこんだ。
飯舘村は事故後、希望する村民の自主避難を支援したが、三月三十一日時点で、三分の二が村内にとどまっていた。門馬伸市副村長は「すべてにおいて情報が遅かった。もう元には戻れないのだから、今さらどうしようもない」と話した。
助言チームから立ち入り制限が提言されたことは、知らなかったという。村の一部は年間線量が五〇ミリシーベルトを超え「帰還困難区域」となる可能性が高い。
災害対策本部の事務局を務める経済産業省原子力安全・保安院の担当者は「提言を受けて検討を始めたが、検討に時間がかかった」と釈明している。
助言チームの座長だった空本氏は「縦割り行政で責任の所在があいまいだった。官邸がしっかり対応すべきだった」と、提言が迅速に生かされなかったことに苦言を呈した。

Wednesday, June 13, 2012

韓国版『ルモンド・ディプロマティク』掲載:「日本から見た済州島の海軍基地建設問題と東アジアの平和」(成澤宗男)「제주도 해군기지 건설과 동아시아의 평화」(나루사와 무네오)

韓国版『ルモンド・ディプロマティク』43号、2012年4月14日(土)付けの成澤宗男氏による記事のオリジナル日本語版を紹介します。韓国語版のリンクはhttp://www.ilemonde.com/news/articleView.html?idxno=1743



日本から見た済州島の海軍基地建設問題と東アジアの平和



成澤宗男(『週刊金曜日』編集部企画委員)

 この1月24日から26日まで、日本の兵庫県伊丹市にある陸上自衛隊伊丹駐屯地で、米国陸軍と陸上自衛隊の共同演習「ヤマサクラ61」が実施された。演習といってもコンピューターによるシミュレーションだが、自衛隊4500人と米軍1500人が参加している。この演習は1982年から開始されているが、オーストラリア軍も初めて参加した今回は、注目すべき二つの点があった。

 まず第一に、公表されている限りにおいて初めて、中国と北朝鮮による日本本土上陸作戦が想定された。演習で使用される地図は当然実物だが、中国が「ハンナン」、北朝鮮が「バルヘ」というコードネームでそれぞれ記載されている。この二ヵ国が「朝鮮半島有事」の結果在韓米軍を撤退に追い込み、その後日本海に面した石川・鳥取両県に「侵攻」してくるという。次に、この「アジア・太平洋地域の(米日両軍の)即応態勢強化」を目的とする演習で全作戦を指揮する統合任務部隊司令部を、初めて在韓米軍第8陸軍司令部が担当した。

 いまや日米にとって中国が最大の仮想敵国であり、それへの対処のために日韓両国が何らかの形で共通の軍事行動・作戦立案を迫られているような現状が見えてこよう。実際、演習が終了した26日から8日まで、同じ伊丹駐屯地で米陸軍と海兵隊、陸上自衛隊の高級幹部会である「第21回シニア・レベル・セミナー」が開かれたが、参加幹部は、「日米韓の3ヵ国と多国間の協力関係を強化していくことの重要性」について「認識を共有した」という。

 日韓の軍事関係については、20103月の韓国海軍哨戒艦「天安」の沈没事件、及び同年一〇月の延坪島砲撃事件を契機により密接な提携への動きが目立っている。2010 7 月の米韓両軍による日本海での合同軍事演習「インビンシブル・スピリット」に、日本の海上自衛官4 名がオブザーバー参加。同年12 月の日本周辺における日米共同統合演習「キーン・ソード」には、韓国軍がオブザーバーで派遣された。さらに翌20111 月にソウルで開かれた日本の北沢俊美防衛大臣(当時)と韓国の金寛鎮国防相との日韓防衛相会談で、多国間の軍事協力に不可欠な物品役務相互提供協定(ACSA)締結に向けた協議を開始し、軍事情報包括保護協定(GSOMIA)についても意見を交換していくことで一致した。

だが、日本は当面の脅威の対象を北朝鮮よりも中国にシフトしながらも、竹島問題や歴史認識等の障害を抱えているため韓国との軍事協力の進展は遅れており、中国という「共通の敵」に対抗する韓国との連携はできていない。例えば自衛隊は、日本の沖縄及び南西諸島への配備を強化しているが、済州島での海軍基地建設計画とは関連性がないし、そのためか日本において済州島については報じられる機会も少なく、概して関心は薄い。

昨年度の『防衛白書』(最新版)でも、韓国については「防衛力整備」の項目に「20102月には、韓国初の機動部隊となる第7機動戦団の創設式が釜山港で開催された」等の記述があるが、済州島をめぐる動きについては皆無である。だが、日本の保守・右翼勢力に読まれている『産経新聞』が昨年91日にインターネットで流した電子版の「対中国警戒の要 済州島海軍基地計画 反対激化で政治問題化」と題した記事では、「東シナ海に面する済州島基地は、海洋権益拡大を狙って海軍力増強を続ける中国を牽制する意味がある」と同基地を好意的に評価。一方で、「野党民主党や左派勢力は政権奪取のため、李大統領のあらゆる政策をとらえて政権批判を強めている」と、基地反対運動については「政治性」だけを強調している。

今後、「中国の脅威」を声高に唱えている勢力が済州島の基地問題に関心を示す可能性はあるだろうが、日本における中国の具体的な軍事的脅威は、第一列島線からの中国海軍の遠洋進出と受け止められており、そこでは沖縄本島と宮古島間の宮古海峡が通過ルートとして注目されている。いまや沖縄本島は「対中国の最前線」に位置付けられ、那覇の陸上自衛隊第15旅団はヘリコプター部隊や化学戦を担う「特殊武器防護隊」、そして移動型対空ミサイルの配備強化が今年度の予算措置で認められた。さらに、日本最西端で台湾に近い与那国島では、航行する船舶の情報収集に当たる陸上自衛隊の「沿岸監視部隊」が、受け入れをめぐる島民の世論が二分される中で配備されようとしている。

日本の防衛庁や右派が関心を集中しているこの第一列島線とは、日本の九州を起点とし、沖縄や台湾、フィリピン、ボルネオまでに至るラインを指し、中国海・空軍の作戦区域とされる。朝鮮半島・済州島はこのライン内に位置し、中国が他国と領有権を争っている南沙・西沙諸島も同様である。近年日本では、この第一列島線からの沖縄近辺を経由した中国海軍の太平洋進出と同様に、第一列島線内の中国海軍の増強に非難と警戒が高まっている。

だが、日本の海上自衛隊も(そして韓国海軍も)自国の経済成長に応じて海軍力を高めてきたのであり、中国だけが同じ行動をとっても責められるとは思えない。しかも公海を航行して外洋に出るのは違法ではなく、中国海軍が宮古海峡を通過した際も、「海洋法に関する国際連合条約」第38条で禁止されるような「沿岸国の主権、領土の統一及び政治的独立に対する武力的威嚇及び武力の使用」に踏み切ったわけではない。

さらに、北朝鮮のみならず中国にとっても目と鼻の先の黄海で、たびたび米韓合同演習が実施されている。特に前述した「キーン・ソード」では、日本の横須賀を母港とする原子力空母ジョージ・ワシントンが参加。空母の戦闘爆撃機80機と、随行する巡洋艦・駆逐艦の大量のトマホーク巡航ミサイルを主力とした巨大な破壊力を誇る機動艦隊に接近されて、中国と北朝鮮が「武力的威嚇」と感じなかったはずがない。近海でこうした演習を実施された中国が、米海軍に比べ未だ能力的に格段に劣る海軍力を「強化」したところで、ジョージ・ワシントンの母港を提供している日本がそれを批判する道義的権利はないだろう。

一方で、日本の「中国脅威論」者たちも認めるように、第一列島線内で米軍も出動するような中国軍との大規模な戦闘が勃発する可能性は、台湾への侵攻という事態にほぼ限られているが、彼らによるとその可能性は大いにありうるらしい。

日本の防衛省の準広報誌という性格を持ち、執筆者の大半が右派・保守派で占められている『軍事研究』という雑誌がある。その今年三月号に元海上自衛隊司令官の五味睦佳による「中国の海洋進出と我が国の海洋戦略」という論文が掲載されている。著者の肩書きからすれば海上自衛隊の見解とそう乖離してはいないだろうが、海上自衛隊は想定している「シーレーン防衛」において台湾とフィリピンの間のパシー海峡が西端に位置するため、「台湾防衛」についての関心が必然的に高い。そのためか五味は、「中国としては海洋戦略を遂行するためには、何が何でも台湾を併呑することが必要と考えている」と強調する。

この五味の主張は、今日の日本で流布する「中国脅威論」の中でも特異ではない。だが、従来中国にとって最大限優先されるべき軍事行動は台湾侵攻作戦と考えられてきたが、中台両国は20106月に自由貿易協定に当たる「経済協力昨組協定」を締結。現在台湾企業で中国に進出しているのは26000件で、そこで働く台湾人社員は約100万人にのぼる。台湾の輸出の4割以上が中国で、海外投資の8割が中国向けだ。五味や「軍事専門家」たちが必ず言及する中国が台湾沖にミサイルを撃ち込んだ1996年の台湾危機は、時代が激変して過去の昔話となった。

今年114日の台湾総選挙では、この間の急速な中台の経済関係強化を推進してきた馬英九総統率いる国民党が勝利し、両国関係の現状維持を望む世論は85%で「独立」支持派は一割にも満たない。今後、更なる大陸との経済一体化を深化させようとしている台湾に対し、経済上の大打撃と国際的非難・孤立を覚悟で中国が「併呑」するといった想定は、極めて無理がある。

 そうなると、中国は周辺諸国と多くの領土問題を抱えているが、東アジアで大規模な戦争を始める現実性は極めて薄い以上、日本も韓国も、軍事以外の手段で対立を解消し、それによって平和的秩序を新たに形成する可能性を追求する余地があると考えられる。だがこうした考えが理解されにくい背景には、日韓両国が、それぞれ軍事同盟関係を結んでいる米国によって思考と政策が制約されているために他ならない。

周知のように米国のオバマ大統領は今年1月、『米国の世界的リーダーシップを維持する 21世紀の国防の優先課題』と題した「新軍事戦略」を発表した。そこでは「今後はアジア太平洋地域を重視する必要がある」としながら中国を名指しし、「仮想敵国を抑止し、彼らが目標を達成するのを阻止するために、(米国の)接近と行動の自由が脅かされている地域に対しても、米国は戦力を投射する能力を維持しなければならない」と断定されている。

 見方によっては、第一列島線内の中国領海でも米軍は軍事行動を展開し、中国海軍を攻撃すると宣言したに等しい。ところが日本は独自の安全保障・外交政策を形成する意思も能力も極めて乏しく、対米従属に甘んじているため、米国の対中方針を無批判に受け入れているように思える。自衛隊も米軍の補完部隊という性格が強く、第一列島線に関連した沖縄・南西諸島での動向は、米軍の対中国包囲戦略に規定されている。

そして、済州島の海軍基地についても米国の戦略の埒外ではあり得ない。政府や国防部側がどのように主張しようが、韓米相互防衛条約の駐屯軍地位協定(SOFA)がある限り、軍港建設後に米軍が使用しないという想定は考えにくい。むしろ沖縄には大規模な米海軍基地が存在しない以上、すでに韓国政府が受け入れた「駐韓米軍の戦略的柔軟性」から、済州島の海軍基地がその規模から、自国の「自主防衛」という枠組みを離れ、東シナ海と黄海を睨んだ佐世保と並ぶ世界的戦略拠点となるのは避けられないだろう。

 すでに韓国の李明博大統領は昨年10月、訪米してオバマ大統領と会見した際、米韓同盟を「米国にとって太平洋地域の安全保障の礎石」と規定し、球規模の課題に共同対処するため、軍事協力の枠を超えた「21世紀の戦略同盟」へ深化・発展させることを確認した共同声明を発表した。

日本でも、小泉純一郎元首相が20035月に訪米し、ブッシュ元大統領と会見した際、「日米同盟が真にグローバルな『世界の中の日米同盟』であることを確認」し合ったが、これを前後し、①アフガニスタン戦争に加わった多国籍軍艦船に対する海上自衛隊のインド洋上での給油②イラク戦争時の航空自衛隊によるクェートからバクダッドへの米軍の軍事輸送③陸上自衛隊によるイラク国内の駐屯――を柱とした米軍の世界的軍事行動への組み込みが飛躍的に強化された。韓国も、日本と同じような対米関係に進もうとしているのだろうか。

李大統領は20112月のマスメディアとの座談会で、「米韓関係が強くなればなるほど中韓関係も強くなる」と発言しているが、小泉元首相も20016月、ブッシュ元大統領との会談で、「日米関係がよければよいほど他国との関係も良くなる」と述べている。両者の近似性を感じるが、米国との関係を優先しておけば、自然と他の国々との関係も煩わされることなく好転すると考えるのは根拠のない楽観論だろう。

ただ中国は、米国債1兆ドル以上の米国債を保有して米国の財政を支え、ウォール街で数兆ドルを運用し米国金融業界の大顧客となっている。その中国に対し、5年間での輸出倍増、200万人の雇用創出」を掲げるオバマ政権が、有望な中国市場を犠牲にしても正面からの軍事対決や過度の軍事的緊張を選択するという事態は想定し難い。このため、米国と同盟する日韓の対中国関係が今後急速に険悪になることはあるまい。

だが米国とは、共和党の大統領候補者を選出する予備選挙で健闘しているロン・ポール下院議員がいみじくも認めているように、「先制攻撃や他国内の破壊工作、軍事占領、拷問、暗殺を公然化する侵略国家」であり、その政府は「絶え間ない戦争や他国の資源を支配するための勝手気ままな侵略によって利益をむさぼる、一部の勢力だけに奉仕」している(選挙用ビデオ『Mutually Assured Destruction vs Mutually Assured Respect』より)。

必然的にその対外軍事行動は、これまでの事例が示すように①国連憲章・国際法の無視②戦争政策の決定過程の不透明③他国の主権に対する無頓着④米韓合同演習に象徴される他国への軍事的威嚇・挑発の頻繁さ⑤攻撃対象国の住民に対する残虐性―といった特徴を帯びる。そもそも米国の軍事アナリストであるリック・ロゾフが指摘するように、日米・韓米軍事同盟とは、「グローバルNATO」とでも呼べるような網の目のように張り巡らされた、「米国が全世界のあらゆる場所で軍事行動を可能にするための軍事ブロック」(「Southeast Asia: U.S. Completing Asian NATO To Confront China URLhttp://www.globalresearch.ca/index.php?context=va&aid=27519)の一環に他ならない。そこでは、軍事基地提供国及びその周辺地域の安全より米国の世界一極支配に向けた利害と思惑が優先され、中国への対応も「エア・シー・バトル」(空海戦闘)に象徴される攻撃的姿勢と軍事的不透明さが目立つ。東アジアにおける平和の創出という目的にとって、このような米国が主導する「グローバルNATO」への日韓の編入は有益なのだろうか。

むしろ日韓は、現在アジアで生じている米中のヘゲモニー争いとは一線を画すべきではないか。「抑止」や「均衡」を名目とした相手国の軍事強化に同じ手法で対抗し、脅威を脅威で応酬し合うこれまでの「同盟国」的手法は、再考されねばならない。それは中国との軍拡競争と敵愾心を増幅させる結果しか生まず、真の意味での自国の安全確立とそのための外交力形成には寄与しないからだ。したがって沖縄・南西諸島の自衛隊強化と同様、済州島の海軍基地建設も、東アジアでの平和構築という課題に対する賢明な回答ではありえないように思える。
Narusawa Muneo


成澤宗男1953年、新潟県生まれ。中央大学大学院法学研究科政治学専攻修士課程修了。政党機関紙記者を務めた後、パリでジャーナリスト活動。帰国後、衆議院議員政策担当秘書などを経て、現在、週刊金曜日編集部企画委員。著書に、『オバマの危険』『9・11の謎』『続9・11の謎』(いずれも金曜日刊)等


http://www.ilemonde.com/news/articleView.html?idxno=1743




나루사와 무네오

지난 1월 24일~2월 6일, 일본 효고현 이타미시에 있는 육상자위대 이타미 주둔지에서 미국 육군과 육상자위대가 공동훈련(演習) '야마 사쿠라 6'을 했다. 훈련이라고는 하나, 컴퓨터 시뮬레이션이다. 자위대원 4500명과 미군 1500명이 참가했다. 이 훈련은 1982년부터 해왔는데, 오스트레일리아군이 처음 참가한 이번 훈련에는 주목해야 할 점이 두 가지 있다.

먼저, 중국과 북한의 일본 본토상륙작전이 상정됐다. 이 사실이 공개적으로 발표되기는 이번이 처음이다. 훈련에 사용된 지도는 당연히 실물이고 중국이 '한난', 북한이 '발해'라는 코드네임으로 각각 쓰여 있다. 이 두 나라가 '한반도 유사'시 주한 미군을 밀어내고 이어서 일본해(동해)에 면한 이시카와와 돗토리현을 '침공'하는 걸로 돼 있다.

일본의 본토상륙작전 대비 훈련

또한 '아시아 태평양 지역 (미-일 양국 군의) 대응태세 강화'를 목적으로 한 훈련에서 작전 전체를 지휘하는 통합임무부대 사령부를 처음으로 주한 미군 제8 육군사령부(주한 미 8군)가 담당했다.

지금 일본과 미국에는 중국이 최대의 가상적국이고, 거기에 대처하기 위해 한-일 두 나라가 어떤 형태로든 공동의 군사 행동·작전을 세우도록 압박받는 듯한 현상을 감지할 수 있다. 실제로 훈련이 끝난 2월 6~8일 이타미 주둔지에서 미 육군과 해병대, 육상자위대의 고위간부 모임인 '제21회 시니어 레벨 세미나'가 열렸는데, 참가 간부들은 "한-미-일 3개국과 다국간 협력관계를 강화하는 일의 중요성에 인식을 공유했다"고 한다.

한-일 군사관계를 살펴보면, 2010년 3월 한국 해군 초계함 '천안'의 침몰사건과 같은 해 10월 연평도 포격사건을 계기로 밀접한 제휴를 맺으려는 움직임이 눈에 띈다. 2010년 7월 한-미 양국 군이 일본해(동해)에서 실시한 합동 군사훈련 '인빈서블 스피릿'(Invincible Spirit)에 일본 해상자위관 4명이 옵서버로 참가했다. 그해 12월 일본 주변에서 실시된 미-일 공동통합훈련 '킨스워드'(Keen Sword)에는 한국군이 옵저버로 파견됐다. 2011년 1월 서울에서 열린 일본 기타자와 도시미 방위대신과 한국 김관진 국방장관의 한-일 국방장관회담에서 다국간 군사협력에 불가결한 물품역무상호제공협정(ACSA)체결을 위해 협의했으며, 군사정보 포괄보호협정(GSOMIA)에 대해서도 의견을 교환해가기로 합의했다.

하지만 일본은 당면한 위협 대상으로 북한보다는 중국에 무게중심을 두게 되면서도 다케시마(독도) 문제와 역사 인식 등의 장애물을 안고 있어서, 한국과 군사협정이 제대로 추진되지 않고 있다. 또 중국이라는 '공동의 적'에 대항하는 제휴가 한국과 이뤄지지 못하고 있다. 예컨대 자위대는 일본의 오키나와와 난세이제도에 군사력 배치를 강화하고 있으나, 제주도 해군기지 건설계획과는 관련이 없다. 그 때문인지 일본에서 제주도에 대한 보도를 접할 기회가 적고, 대체로 관심도 희박하다.

지난해 <방위백서>(최신판)에는 한국에 대해서 '방위력 정비' 항목에 "2010년 2월에는 한국의 첫 기동부대가 될 제7기동전단의 창설식이 부산항에서 열렸다"는 등의 기술이 들어 있으나, 제주도를 둘러싼 움직임에 대해서는 아무 얘기도 하지 않았다. 그런데 일본의 보수·우익 세력이 읽고 있는 <산케이신문>이 지난해 9월 1일 인터넷판에 올린 '대중국 경계의 요충 제주도 해군기지 계획, 반대 격화로 정치문제화'라는 제목의 기사에서는 "동중국해에 면한 제주도 기지는 해양 권익 확대를 노려 해군력 증강을 계속해온 중국을 견제하는 의미가 있다"고 호의적으로 평가했다.

앞으로 '중국의 위협'을 소리 높여 외치는 세력이 제주도 기지 문제에 관심을 보일 가능성은 있지만, 일본에서 구체적인 중국의 군사적 위협으로 받아들이는 것은 중국 해군이 제1열도선을 넘어 원양으로 진출하는 것이다.

일본의 방위청과 우파에서 관심을 모으고 있는 제1열도선이란, 일본 규슈를 기점으로 오키나와와 대만, 필리핀, 보르네오섬에 이르는 선을 가리키며, 중국 해·공군의 작전구역이다. 한국의 제주도는 이 선 안에 들어 있고, 중국이 타국들과 영유권을 놓고 다투고 있는 남사·서사 군도도 마찬가지다. 최근 일본에서는 제1열도선에서 오키나와 근해를 경유한 중국 해군의 태평양 진출뿐만 아니라 제1열도선 안의 중국 해군 증강에 대한 비난과 경계가 커지고 있다.

하지만 일본 해상자위대도(그리고 한국 해군도) 자국의 경제성장에 따라 해군력을 강화해온 만큼 중국이 그 때문에 비난받을 이유는 없다. 더욱이 공해를 항해해서 외양(원양)으로 나가는 것은 위법이 아니다.

게다가 북한뿐만 아니라 중국에도 눈앞이요 코앞인 황해에서 종종 한-미 합동훈련을 하고 있다. 거대한 파괴력을 자랑하는 기동함대의 접근을 중국과 북한이 '무력 위협'으로 느끼는 것은 당연하다.

일본의 '중국위협론'자들도 인정하듯이, 제1열도선 안에 미군까지 출동해 중국군과 대규모 전투를 벌일 가능성은 대만에 중국이 침공을 감행할 경우로 거의 한정되지만, 그들은 그럴 가능성이 있다고 본다.

중국위협론과 제주 해군기지

예전부터 중국이 가장 우선해야 할 군사행동은 대만 침공 작전일 것이라 여겨왔으나, 2010년 6월 중국과 대만은 자유무역협정에 해당하는 '경제협력기본협정'을 체결했다. 현재 대만 기업의 중국 진출은 2만6천 건이고, 그곳에서 일하는 대만인 사원은 약 100만 명에 이른다. 대만 수출의 40% 이상이 중국으로, 해외 투자의 80%가 중국으로 간다. 고미 사령관이나 군사전문가들이 반드시 언급하는, 중국이 대만 앞바다에 미사일을 쏜 1996년의 대만 위기는 시대가 격변한 지금 이미 지난 시절의 옛이야기가 돼버렸다.

지난 1월 14일 대만 총선에서 최근 급속한 중국-대만 경제관계 강화를 추진해온 마잉주 총통이 이끄는 국민당이 승리했다. 앞으로 대륙과의 경제 일체화(통합)를 더욱 심화시키려는 대만을, 중국이 경제상의 대타격과 국제적 비난과 고립을 각오하고라도 '병탄'하리라 보는 건 매우 무리한 설정이다.

따라서 주변국들과 많은 영토 문제를 안고 있지만 중국이 동아시아에서 대규모 전쟁을 일으킬 가능성이 희박한 이상, 일본과 한국도 군사 외 수단으로 대립을 해소하고 그것을 통해 평화적 질서를 새로 만들어가야 할 것이다. 하지만 이런 생각이 쉽게 이해받지 못하는 배경에는 한-일 양국이 각기 군사동맹을 맺은 미국 때문에 사고와 정책상의 제약을 받는 것이다.

주지하듯이 미국의 버락 오바마 대통령은 지난 1월 '미국의 세계적 리더십을 유지하는 21세기 국방의 우선과제'라는 제목의 새 군사전략을 발표했다. 군사전략에서 "앞으로는 아시아·태평양 지역을 중시할 필요가 있다"면서 중국을 지칭해 "가상적국을 억지하고, 그들의 목표 달성을 막기 위해 (미국의) 접근과 행동의 자유가 위협받는 지역에 대해서도 미국은 전력(戰力)을 투입할 능력을 유지해야 한다"고 한다.

보기에 따라서는, 제1열도선 안의 중국 영해에서도 미군은 군사행동을 전개하고 중국 해군을 공격하겠다고 선언한 것이나 마찬가지다. 하지만 일본은 독자적 안전보장과 외교정책을 추진할 의사도 능력도 결여한 채 대미 종속을 감수하기 때문에 미국의 대중국 방침을 무비판적으로 받아들일 것이다. 자위대도 미군 보충부대로서의 성격이 강해, 제1열도선과 연관된 오키나와·난세이 제도에서의 동향은 미군의 대중국 포위 전략으로 규정되고 있다.

제주도 해군기지도 미국 전략의 울타리 바깥일 수 없다. 정부와 국방부 쪽이 어떻게 주장하든 한-미 상호방위조약상의 주둔군지위협정(SOFA)이 있는 한, 군항 건설 뒤 미군이 그것을 사용하지 않는다고 상정하긴 어렵다. 오히려 오키나와에는 대규모 미 해군기지가 존재하지 않는 이상 이미 한국 정부가 받아들인 '주한 미군 전략적 유연성'의 견지에서 제주도 해군기지가 그 규모부터 자국의 '자주국방' 틀을 넘어 동중국해와 황해를 시야에 넣고 있는 사세보(佐世保)에 버금가는 세계적 전략거점이 되는 걸 피할 수 없을 것이다.

'글로벌 나토'와 동아시아의 평화

이미 이명박 대통령은 지난해 10월 미국에 가서 오바마 대통령과 회견했을 때 한-미 동맹을 '미국 태평양 지역 안전보장의 초석'이라 규정하고 글로벌 규모의 과제에 공동대처하기 위해 군사협력의 틀을 넘은 '21세기 전략동맹'으로 심화·발전시킬 것을 확인하는 공동성명을 발표했다.

일본은 고이즈미 준이치로 전 총리가 2003년 5월 미국을 방문해 조지 부시 전 대통령과 회견했을 때, 미-일 동맹이 진정으로 글로벌한 '세계 속의 미-일 동맹'임을 확인했다. 그때를 전후해서 △아프가니스탄 전쟁에 가담한 다국적군 함선에 대해 일본 해상자위대가 인도양에서 급유활동을 벌이고 △이라크전쟁 때 항공자위대가 쿠웨이트에서 바그다드로 가는 미군의 군사수송을 담당하며 △육상자위대가 이라크 국내에 주둔한다는 등의 내용을 골자로 한 미군의 글로벌 군사행동으로의 자위대 편입이 비약적으로 강화됐다. 한국도 일본과 같은 대미관계를 구축하는 걸까.

이 대통령은 2011년 2월 언론 좌담회에서 "한-미 관계가 강화되면 될수록 한-중 관계도 강화된다"고 발언했다. 고이즈미 전 총리도 2001년 6월 부시 전 대통령과의 회담에서 "미-일 관계가 좋아질수록 타국과 관계도 좋아진다"고 말했다. 양자의 유사성을 느낄 수 있는데, 미국과 관계를 우선하면 자연히 다른 나라들과 관계도 별 탈 없이 호전될 것이라고 생각하는 건 근거 없는 낙관론일 것이다.

다만 중국은 미국 국채 1조 달러 이상을 보유한 채 미국의 재정을 떠받치고, 월가에서 몇조 달러를 운용하는 미국 금융업계의 큰 고객이 돼 있다. 그런 중국에 대해 '5년간 수출 배증, 200만 명 고용 창출'을 내건 오바마 정권이, 유망한 중국 시장을 희생해서라도 정면으로 군사대결을 벌이거나 과도한 군사적 긴장을 조성하는 쪽을 선택하는 사태는 상정하기 어렵다. 이 때문에 미국과 동맹하는 한-일의 대중국 관계가 향후 급속히 험악해지는 일은 없을 것이다.

하지만 미국이란 나라는 공화당의 대통령 후보자를 선출하는 예비선거전에 나선 론 폴 하원의원이 적절히 인정했듯이 "선제공격과 타국 내의 파괴공작, 군사점령, 고문, 암살을 공공연히 자행하는 침략 국가"이고, 그 정부는 "끊임없는 전쟁과 타국의 자원을 지배하기 위한 제멋대로의 침략을 통해 이익을 탐해온, 일부 세력에게만 봉사"하는 나라다.(선거용 비디오 에서 인용) 미 군사분석가 릭 로조프가 지적하듯이 미-일, 한-미 군사동맹은 '글로벌 나토(NATO·북대서양조약기구)'라고도 할 수 있는, 그물망처럼 둘러친 "미국이 전세계의 모든 장소에서 군사행동을 하기 위한 군사 블록"의 일환이나 다름없다. '동아시아의 평화 창출'이라는 목적을 위한 이런 미국 주도의 '글로벌 나토'에 한-일이 편입되는 게 유익할까.

오히려 한-일은 지금 아시아에서 고개를 들고 있는 미-중 헤게모니 싸움과는 일선을 그어야 하지 않을까. '억지'나 '균형'을 명분으로 내세운 상대국의 군사력 강화에 똑같은 수법으로 대응하고, 위협에는 위협으로 응수한 이제까지의 '동맹국'적 수법은 재고돼야 한다. 그것은 중국과의 군비 확장 경쟁과 적개심을 증폭시키는 결과만 초래하며, 진정한 의미의 자국 안전 확립과 그를 위한 외교력 형성에는 기여하지 못할 것이다. 따라서 오키나와·난세이 제도의 자위대 강화와 마찬가지로, 제주도 해군기지 건설도 동아시아에서의 평화 구축이라는 과제에 대한 현명한 회답이 될 수 없다.

*

글•나루사와 무네오 일본 언론인. <슈칸 깅요비>(週刊 金曜日) 편집부 기획위원.

번역•한승동 sdhan@hani.co.kr <한겨레> 논설위원.

Saturday, June 09, 2012

英医学誌『ランセット』論文:50ミリシーベルト程度の被ばくで小児の脳腫瘍や白血病が有意に増える(松崎道幸医師コメント)CT Scans of Children Raise Cancer Risk

6月7日に、幼少時のCTスキャンで発がんリスクが上昇するという英医学専門誌「ランセット」の研究論文が発表されました(下方報道参照)。(元論文はこちら

北海道深川病院の松崎道幸医師から、50ミリシーベルト程度の被曝から発がんリスクが有意に上昇することを示すグラフを日本語で解説したものと、コメントをいただいています。

★この投稿の引用、転載は自由ですが必ず投稿タイトル、サイト名(Peace Philosophy Centre)、URLを記した上でお願いします。@PeacePhilosophy

CT検査による骨髄に対する推定線量と白血病と相対リスク


CT検査による脳に対する推定線量と脳腫瘍の相対リスク


 以下松崎医師のコメントです。
 1)
上は、この論文のグラフです。小児の白血病、脳腫瘍とも、50ミリグレイ(ミリシーベルト)付近で統計学的に有意な疾病リスクの増加が観察されます。もちろんそれ以下の線量でも、もう少しで有意になることが予測されます。この論文は、もともと、子供のCT検査がどれくらいのガンを発生させているのかを突き止め、病気の診断・治療面でのメリットと、放射線被ばくのデメリットの問題を再考するために書かれたのですが、私たちにとっての意義は、「100ミリシーベル以下は安全」と言う主張が誤りであることを示す証拠がさらに追加されたことにあります。論文の冒頭で、著者等は「低線量被ばくにはリスクはない、それどころか健康に良いとまで主張する研究者もいる。Some investigators claim that there are no risks, or even beneficial effects, associated with low-dose radiation」と述べて、そのような主張が正しいかどうかを明らかにすることも、この論文の一つであ
るという立場を表明しています。

2)
サマリーには、10歳未満の子供に一回頭部CTを行うと、脳線量が30mSv、骨髄線量が10mSv弱となり、将来このCT検査を受けた1万から脳腫瘍1人と白血病1人が発生すると推定されると述べられています。しかも、それ以外のガンや非ガン性疾患(心臓病など)の発生を計算に入れると、このレベルの放射線被ばくによる健康被害はさらに大きくなるだろうと考案の部分で述べています。

3)
CTによる数10ミリシーベルトの被ばくでで1万人に1~2人がガンになると言うリスクは、病気の診断治療へのメリットを考えるなら、社会的に許容可能でしょう。しかし、原発事故で一方的に負わされた被ばくのリスクは、そもそもゼロであるべきです。また、アスベストや飲料水の安全基準(10万人の生涯リスクを1人以下にする)を1桁も2桁も上回るリスクです。したがって、50ミリシーベルト程度の被ばくをさらに10分の1,100分の1にしなければ、この国の既存の安全管理システムと整合性が取れないことになります。

【参考報道】

AFP 
幼少時のCTスキャンで発がんリスク上昇、英国で18万人を追跡調査http://www.afpbb.com/article/life-culture/health/2882432/9069794

  • 2012年06月07日 15:31 発信地:パリ/フランス
【6月7日 AFP】CTスキャンを多数回にわたって受けた子どもは、後に血液がん、脳腫瘍、骨髄がんを発症するリスクが最大3倍になる可能性があるとする調査論文が、7日の英医学専門誌「ランセット(The Lancet)」に掲載された。

調査を行ったカナダ、英国、米国の合同チームは、絶対的な発がんリスクは小さいとしつつ、CTスキャンによる放射線の照射量を最小限に留め、可能であれば代替の検査方法を用いる必要があるとしている。

研究チームは、幼少時に受けたCTスキャンの放射線量が成長後の発がんリスク増加につながるという直接的な証拠を、この調査で初めて示すことができたと述べている。

論文の主執筆者、英ニューカッスル大学(Newcastle University)健康・社会研究所(Institute of Health and Society)のマーク・ピアース(Mark Pearce)氏は、「最も重要なのは、臨床的見地から完全に正当化されうる場合にのみCTを使うことだ」と述べている。

研究チームによれば、CTスキャンはここ10年、特に米国での利用が急増している。だがCTスキャンの電離放射線が引き起こす潜在的な発がんリスクは、特に放射線の影響を受けやすい子どもに多くみられるという。

研究チームは、英国の1985年から2002年までの診療記録から、幼少期から青年期(22歳未満)までの間にCTスキャンを受けた経験がある人を選び出し調査を行った。

対象者18万人弱のうち、1985年から2008年の間に白血病(血液や骨髄のがん)を発症した人数は74人、脳腫瘍は135人だった。

研究チームの計算によると、累計30ミリグレイ(mGy)の放射線を照射された人は、5ミリグレイ未満の人と比べて後に白血病を発症するリスクが3倍高かった。脳腫瘍のリスクは、累計50~74ミリグレイの放射線を浴びた人で3倍になった。

調査では、CTスキャンを受けたことがない子どもたちが持つ発がんリスクとの比較は行っていない。

ピアース氏は「機器を改善して、CTの放射線量を減らすことが最優先の課題。放射線学会だけではなく、機器の製造メーカーも共に取り組むべきだ」と述べている。「電離放射線を使用しない超音波やMRI(磁気共鳴映像法)などの代替診断法を採用することも、状況によっては適切な場合がある」

(c)AFP

東京新聞(共同)

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012060801001452.html

CTで子どものがん危険増 国際チームが疫学調査

2012年6月8日 12時20分
【ワシントン共同】子どものころにコンピューター断層撮影(CT)検査を2~3回受けると、脳腫瘍になるリスクが3倍になるとの疫学調査結果を英ニューカッスル大などの国際チームがまとめ、7日付の英医学誌ランセットに発表した。5~10回のCTで白血病になるリスクも3倍になるという。
チームは「CTは迅速で正確な診断に優れ、短期的な利益が長期的な危険性を上回る場合が多い。しかし、1回の被ばく線量はできるだけ低くし、別の診断法がある場合はそちらを選ぶべきだ」と訴えている。
チームは、1985~2002年の間に英国でCT検査を受けた22歳未満の約18万人を調査。

Wednesday, June 06, 2012

沖縄復帰40周年: 全国紙の社説比較(ジャパン・タイムズ フィリップ・ブレイザー記事和訳)

英字新聞「ジャパン・タイムズ」2012年5月27日掲載のフィリップ・ブレイザー(東京在住のジャーナリスト)による寄稿は、5月15日の沖縄復帰40周年記念日の主要全国紙の社説を比較検証している。

Anniversary of Okinawa's reversion highlights opposing press views

フィリップ・ブレイザー氏の鉢呂経産相辞任劇の批判も併せてどうぞ。


沖縄復帰40周年-対立する各紙の視点


フィリップ・ブレイザー

翻訳 酒井泰幸・乗松聡子

 去る2月に、玄葉光一郎外務大臣は岩国市長と山口県知事に、日本政府として米軍からの「追加的負担」をお願いすることはないと保証した(assured)。岩国には既に海兵隊の航空基地があり、米国は軍隊の一部を沖縄から岩国に移転するかもしれないと考えられている。(訳注1)

 主要メディアは岩国市長と山口県知事の安堵を報じる一方で、この発言で侮辱されたと感じたであろうもう一方の当事者、すなわち沖縄県民に触れることはなかった。おそらくマスコミは、沖縄県民は中央政府に見下されることに慣れているのでわざわざ報道する必要は無いと考えたのだろう。玄葉の安心させるための言葉(assurance)が政治的駆け引きのためのものだったのかどうかは別として、これが意味することは明らかだった。つまり、「我々政府はあなた方と共にありますよ(ただし「あなた方」とは本土の皆さんのことです)」という意味だ。

 沖縄復帰40周年に関する最近の報道の中で、この発言についての言及はなかった。この記念日は歴史を振り返る重要な機会であり、日刊全国紙の社説はどこもこの難題に手腕を振るった。しかし率直な印象としては、それらの社説が対象としている読者は、またもや、当事者(沖縄県民)ではなかったということだ。論説委員たちがどれほど沖縄の「痛み」(ほぼ全ての社説が使った言葉)に理解を示したとしても、この日本最南端の県を、国家の不可分な一部というよりは、属国のように見せる傾向があった。

 日本経済新聞においてはこの区別が明らかだった。ハイビスカスや赤瓦の街並み、チャンプルー、ドミファソシ5音階といった、沖縄の生活と文化の特色に触れたあと、沖縄の「文化・習俗」が「私たちの」日常生活の一部になったのだと主張し、次に経済格差について説明した。一人あたり県民所得が東京より約100万円低く、これは全ての都道府県で最低である(訳注2)。ところが1972年以降10兆円以上の資金が中央政府から注入されていて、そのほとんどが「[振興予算に]見合った成果とはとても言い難い」公共事業に流れた。この金は、沖縄県が在日米軍の74 パーセントを受け入れていることに対する「見返り」であった。

 この社説は、沖縄の救済は経済的自立の達成にかかっていると書き、沖縄県がアジアの他地域に近いことを利用した、民間主導による国際物流拠点の建設に言及した。「沖縄側にも国任せにしない努力が求められる」と日経は書き、この島には戦略的「価値」があるので、もし「米軍基地の削減」が「慎重に」実施されなければ、沖縄と日本の両者の安全保障が危険にさらされるだろうと付け加えた。(訳注3)

 経済発展と安全保障を天秤にかけるこの意図は、読売新聞でさらに露骨に主張され、「在日米軍再編への地元の理解を地道に広げる」ことが中央政府にとって「欠かせない」と締めくくっている。米軍再編とは、普天間基地から沖縄県内の辺野古に機能を移転することを含む計画で、地元住民が強く反対する動きである。この記事は「粘り強く」、「地道に」、「着実に」といった言葉を使ったが、日本が米軍を必要としているという事実を受け入れ、沖縄は潔く責任を果たすべきだという、編集者の基本的立場からそれることはなかった。

 より中道の毎日新聞と朝日新聞は、特に第二次大戦末期の迫り来る本土決戦に備える時間稼ぎのために帝国陸軍が沖縄を犠牲にしたときのような、歴史を通じた沖縄に対する「本土による差別」について言及した。この犠牲は戦後米国が沖縄を支配してからも続いた。1972年の本土復帰は「沖縄が願っていた」形(「基地のない『本土並み』の暮らし」)で沖縄県民を日本の懐に連れ戻すはずだったが、結果的に米軍はまだ居座っている。

 朝日・毎日と日経・読売の立場の間の主な違いは、沖縄の状況が「本土と同等」であるべきという意味の「本土並み」という言葉の使い方にある。保守的な2紙はこれを経済的観点から語っているのに対し、他の2紙は、米軍と空間を共有することから来る、毎日新聞が呼ぶところの「生活被害」を指しているのだ。

 米国による占領の後、沖縄が日本の他の地域と同じ状況に「復帰」したことはなかった。東京新聞は515日付社説で、意志に反して基地負担を強いられている限り、沖縄県民に他の日本人が享受しているのと同じ権利が与えられたとは言えないと論じた。日米安保条約は事実上、憲法に優先している。 米国は人権の擁護者でありながら、日本政府に対しては一部の自国民の人権に「無関心」でいることを許すどころか推奨さえしている。その人たちが、たまたま戦略的軍事的重要性があるとされているところに住んでいるという理由からである。騒音に悩まされ、さまざまな不都合を強いられ、安全な生活を脅かされてきた沖縄県民が耐えてきた屈辱は、米国人だったら到底我慢できるはずがないものである。

 日米安保条約のおかげで、米軍当局者は地域社会と直接対話する義務を免れている。鳩山由紀夫元首相は先日、地元紙の琉球新報に、米軍基地を沖縄県外に移転する選挙公約を守ろうと努力したと語った。彼が失敗した理由は、すでに普天間の辺野古移設を決定していた防衛省と外務省が、いかなる変更も阻止するためにできることは何でもしたからだった。鳩山は、この計画を白紙に戻して、米国と直接交渉がしたかったと語った。本土のメディアは鳩山を単純で甘いと嘲笑したという。しかし、彼は自分が誰だと思っていたのだろう? 総理大臣だということがわかっていたのだろうか・・・?

 実際このような交渉が実現していたら示唆に富むものとなっていたかもしれない。日本が米国に出て行ってほしいと求めたかどうかは、私は疑わしいと思うが、米国務省が、日米安全保障のために沖縄が苦しみ続けるべきということをどう正当化するかを聞いてみたかったものだ。それが外交であり、相手に安心を与える(reassurance)ということであろう。

訳注1:沖縄の負担軽減策の一環として、海兵隊普天間飛行場の空中給油機部隊などを岩国に移転することは合意ずみ。今回問題になったのは米軍から打診があった岩国への追加移転の件である。(参考:朝日2月17日報道 「首相、岩国への追加移転否定 沖縄の在日米軍再編」http://www.asahi.com/special/futenma/TKY201202170128.html

訳注2:2012年2月29日に政府が発表した2009年の一人当たり県民所得では、沖縄県は最下位を脱し、下位から二番目の46位となっている。参考:内閣府県民経済計算(平成21年度)http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/sonota/kenmin/kenmin_top.html 

また、上記のデータでは沖縄は一人あたり約205万円、東京は一人あたり約391万円なので、格差は100万円というより実際は200万円に近いといえる。

訳注3:日経5月15日社説「復帰40年の沖縄は自立に向かえるか」の中での、「安易に米軍基地を減らせば沖縄県ひいては日本の安全保障を損ないかねない」という表現を言い換えたものと思われる。