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Saturday, April 02, 2011

米新論文:「意図しない再臨界」が起こっているのか。Is Unintended Recricality Ocurring?

NEW!

★★★この論文はここで解説文のみ和訳しましたが、本文の和訳ができました。関連リンク集もあわせてここで紹介していますのでこちらをご覧ください。
http://peacephilosophy.blogspot.com/2011/04/full-japanese-translation-of-dalnoki.html


(★翻訳の修正も終わりました。転載していただいて大丈夫です)
(★ダルノキ―ベレス論文を訳していただける方が見つかりました。もうすぐ発表します)

アジア太平洋ジャーナル:ジャパンフォーカスに昨日(3月31日)発表された、モントレー国際問題研究所不拡散研究センターの研究員、フェレンス・ダルノキ―ベレスによる論文の解説文(解説はIEERエネルギー環境研究所所長アージャン・マキジャーニによる)を翻訳し、配布します。この論文は『ネイチャー』誌ウェブサイトにさっそく取りあげられアジア太平洋ジャーナル(APJ)のウェブサイトにも今アクセスが集中しています。このピース・フィロソフィー・センターのブログの運営者はアジア太平洋ジャーナルの編集委員も務めており、この論文の解説文を翻訳・発表する経緯となりました。解説文の翻訳については正確を期したつもりですが、英語版が唯一の正式な文書であり、英語版と日本語版の間に意味や解釈に違いが生じた場合は、英語版を優先してください。転送転載は自由ですが、全文が条件、そしてこのサイトへのリンクを明確に記してください。解説の翻訳文に問題がある場合、info@peacephilosophy.com に連絡ください。また、この論文の本文を至急訳してくれる人―物理化学系の方が望ましい―を募集します。その場合もinfo@peacephilosophy.com に連絡ください。また、この論文の内容自体について質問やコメントがある場合は、英語で info@peacephilosophy.com に送ってくれれば著者たちに転送します。その場合は、議論を広く共有するために、質問やコメントもウェブサイト等で公表する可能性があることをご承知ください。日本語でコメントや質問を送っていただいた場合は、受け取りますが、翻訳の人手が足りず、著者に届けるのは現時点では難しいことをご了承ください。

ピース・フィロソフィー・センター



福島第一原発の1号機(タービン建屋)に見つかった高い濃度の放射性塩素38の原因は何か?

F. Dalnoki-Veress with an introduction by Arjun Makhijani
F.ダルノキ―ベレス
解説文 アージュン・マキジャーニ

(掲載誌 アジア太平洋ジャーナル:ジャパンフォーカスによる導入文)
This is a first for The Asia-Pacific Journal: publication of a technical scientific paper addressing critical issues pertaining to the leakage of radioactive water at the Fukushima reactors. Our goal is to make this information available to the Japanese and international scientific communities, to Japanese government authorities, and TEPCO as they address the formidable issues of cleanup and safety. But we also believe that the information is of importance to informed citizens and the press in the face of further dangers that have gone unmentioned not only in government statements, but also in the press. Arjun Makhijani’s introduction provides a lucid explanation of the problem and the issues, followed by F. Dalnoki-Veress’s paper. Asia-Pacific Journal
アジア太平洋ジャーナルは今回初めての試みをした。福島第一原発の原子炉において、高い濃度の放射性物質を含む水が漏れたことに関連する重要な事柄を議論する科学技術論文の掲載である。この論文が、汚染水の除去と作業員の安全確保という大変な課題を扱うものであり、私たちは、日本の、そして世界の科学技術学界、日本政府当局、東京電力にこの論文を提供したいという目的をもって掲載に至った。また、この論文の内容は、政府関係の書類や報道ではまだ触れられていない危険性について論じており、一般市民やメディアにとっても重要であると信ずる。まずアージュン・マキジャーニ博士の解説文によりこの論文の扱う問題を明らかにした後、F・ダルノキ―ベレス博士の論文を紹介する。(アジア太平洋ジャーナル)

解説文(IEERエネルギー環境研究所 所長 アージュン・マキジャーニ)

The presence of highly radioactive water in three turbine buildings at the Fukushima Daiichi nuclear plant is widely understood to be from the damaged fuel rods in the reactors. This has rightly raised concerns because it indicates several problems including extensive fuel damage and leaks in the piping system. Less attention has been paid to the presence of a very short-lived radionuclide, chlorine-38, in the water in the turbine building of Unit 1. The following paper evaluates whether its presence provides evidence of a serious problem – one or more unintended chain reactions (technically: unintended criticalities) – in the reactor. Such chain reactions create bursts of fission products and energy, both of which could cause further damage and aggravate working conditions that are already very difficult.
福島第一原発の3つのタービン建屋(訳者注:1号機から3号機のタービン建屋)の溜まり水の高放射線の原因は、原子炉の炉心が損傷を受けていることであると広く理解されている。これは炉心の損傷が進んでいることと、配管システムに漏れが生じていることをはじめとする数々の問題を示唆しており、懸念が高まるのは当然である。しかし1号機のタービン建屋の溜まり水に、塩素38という短命の放射性核種があることにはあまり関心が注がれていない。この論文は、この物質の存在が深刻な問題、つまり、意図しない連鎖反応が1回か複数回起こっている(技術的には、「意図しない再臨界」といえる)ことの証拠になっているかどうかを検証する。このような連鎖反応は、核分裂生成物とエネルギーの急速な放出をもたらし、その両方が損傷を悪化させ、すでに非常に困難な作業環境をさらに悪化させる可能性がある。

Chlorine-38, which has a half-life of only 37 minutes, is created when stable chlorine-37, which is about one-fourth of the chlorine in salt, absorbs a neutron. Since seawater has been used to cool, there is now a large amount of salt – thousands of kilograms – in all three reactors. Now, if a reactor is truly shut down, there is only one source of neutrons, namely, the spontaneous fission of some heavy metals which are created when the reactor is working and remain present in the reactor fuel. The most important ones are two isotopes of plutonium and two of curium. But if accidental chain reactions are occurring, it means that the efforts to completely shut down the reactor by mixing boron with the seawater have not completely succeeded. Periodic criticalities, or even a single accidental one, would mean that highly radioactive fission and activation products are being (or have been) created at least in Unit 1 since it was shut down. It would also mean that one or more intense bursts of neutrons, which cause heavy radiation damage to people, have occurred and possibly could occur again, unless the mechanism is understood and measures taken to prevent it. Measures would also need to be taken to protect workers and to measure potential neutron and gamma radiation exposure.
塩素38は半減期が37分と短く、天然の塩素に4分の1ほど含まれる塩素37が中性子を吸収するときに作られる。海水が冷却に使われたために、3つの原子炉すべてに何千(何万)キロもの大量の塩がある。原子炉が本当に停止しているのなら、中性子の出所は1つしかないはずだ。それはすなわち、原子炉が稼働しているときにつくられ、炉心の中に存在し続けるいくつかの重金属(訳者注:超ウラン)の自発的な分裂のことである。一番重要なものとして、プルトニウム2つ、キュリウム2つの同位体がある。しかし、もし予想外の連鎖反応が起きているとしたら、ホウ素を混ぜた海水で原子炉を完全に停止しようとする努力は、完全には成功していないということになる。断続的な臨界が起きているとしたら、いや、1回だけ偶発的に起きたにせよ、高い放射能を持つ放射性核分裂生成物と放射化生成物が、原子炉停止後も(少なくとも1号機では)生成され続けている(もしくは生成された)ということを意味している。それはまた、人に多大な放射線被害をもたらす中性子の集中的な発生が、1度かそれ以上起きていたという意味であり、その仕組みがわかり、もう起こらないような予防策が取られない限り、さらに起こる可能性があるということである。作業員を安全を確保し、発生している可能性がある中性子とガンマ線被ばくを測定するための対策を取るべきである。

This paper examines whether spontaneous fission alone could be responsible for the chlorine-38 found in the water of the turbine building of Unit 1. If that could be the only explanation, there would be less to be concerned about. However, the analysis indicates that it is quite unlikely that spontaneous fission is the sole or even the main explanation for the measured concentration of chlorine-38. Presuming the reported measurements are correct, this leaves only one other explanation – one or more unintended chain reactions. This paper is presented in the spirit of encouraging discussion of whether further safety measures might be needed, and whether supplementary measures to bring the reactors under control should be considered. It is also presented as a preliminary analysis for scientific discussion of a terrible and technically challenging nuclear crisis at the Fukushima Daiichi plant.
この論文での分析結果は、1号機の溜まり水から検出された塩素38の原因として考えられるのは自発的な核分裂だけなのかということである。それしか説明として考えられいのであれば、それほど心配することではない。しかし、この論文の分析では、計測された塩素38の濃度は、自発的な核分裂が唯一の原因であるどころか、主要な原因でさえない可能性が高いということを示唆する。報告されている計測値が正確であると仮定すると、残された可能性は一つしかないことになる。それは、1回かそれ以上の連鎖反応である。この論文は、安全策のさらなる強化が必要なのか、また、原子炉を安定させるための追加策が必要なのかという問題意識のもとで提示している。また、福島第一原発における、悲惨で、技術的にも困難な核の危機の、科学的議論の予備的分析を提供するものである。

(解説文 以上)
(フェレンス・ダルノキ―ベレス論文の本文は、まだ翻訳されていません。アジア太平洋ジャーナルのウェブサイトでご覧ください。)
リンク: http://www.japanfocus.org/-Arjun-Makhijani/3509


解説者・著者紹介

アージュン・マキジャーニ
エネルギー環境研究所所長。カリフォルニア大学バークレー校工学博士(専攻は核融合)。過去20年間、核兵器製造、実験、核廃棄物等、核燃料サイクルの分野で多くの研究業績と論文がある。著書のCarbon-Free and Nuclear Free: A Roadmap for U.S. Energy Policy (『CO2と核からの脱却:米国エネルギー政策のロードマップ』)では、化石燃料や核エネルギーに一切依存せず、米国経済を完全に再生可能エネルギーに移行させる初めての分析を行った。Nuclear Wastelands(『核廃棄物の土地』)のの共編者、Mending the Ozone Hole (『オゾン層の穴を治す』)の主著者でもある。メールアドレス: arjun@ieer.org 

フェレンス・ダルノキ―ベレス
モントレー国際問題研究所、ジェームズ・マーティン不拡散センターの研究員。核軍縮・廃絶と核分裂物質の世界的拡散についての専門家である。カナダ・カールトン大学で高エネルギー物理学の博士号取得(超低レベル放射線バックグラウンド測定器の研究)メールアドレス:ferenc.dalnoki@miis.edu 電話番号:831-647-4638.

著者注:この論文を注意深くレビューしてくれた、モントレー国際問題研究所不拡散センターのパトリシア・ルイス博士、IEERのアージュン・マキジャーニ博士に感謝する。ルイス博士の連絡先: patricia.lewis@miis.edu 

(Translation by Satoko Norimatsu)

5 comments:

  1. 河原昇12:16 pm

    その塩素が連鎖反応から起きたという可能性は、すでにどこかで見かけました。新聞記事か原子力資料情報室からです。見つけたらお伝えします。
    ただ私の推測では、その可能性が報道されていようがされていまいが、東京電力はすでに認識していると思います。なぜなら、彼らは公表されていない非常に多くのデータを持っているからです。外部の人々は、公表されたごくわずかのデータをもとに推論しているにすぎないのです。

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  2. 再臨界がおこれば中性子線が検出されるはずなのに、東電からしばし発表がありません。事故以来2度ほど中性子が検出されたのですが、正体はよく分かりません。このところ発表がないのです。ことの重大性から隠し通せるようなものではないはずなのですが。また、数日前に、半減期が大変短い放射性核種が見つかったという「誤認」事件がありましたが、もし短半減期の各種が見つかれば再び核分裂連鎖反応が送った証拠になります。ここ数日、近隣での放射能汚染が突然大きくなった経緯からして、4日ぐらい前に原子炉内部と外部がいっそうツーカーで通じるような何か異変がなかったのかどうか、注意しています。

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  3. 論文全ては読んでいませんが、大体のところは読んでみました。著者はかなり厳密な科学者であるようです(当然のことですが)。そ
    して、様々な仮定のもとでの計算もそれほど難しいわけではないが、正確にやっている。ただし、あまりにも仮定が多いし、計算の
    根拠たる数値の正確さについてはわたしには判断ができない。

    結論部分:
    Cl-38がどこから来たかの推定で、どうも停止している燃料棒に使用中にできたプルトニウームなどの自然崩壊でできた中性子
    によるのではなく、核分裂(再臨界)によるものだろうという推論は、重要でしょう。これはもちろんイントロとおなじだが。

    意味不明の部分はこうです:核燃料は主にウランで、そのうち大部分はU-238、濃縮されてあるU-235が核分裂を起こすもの。さ
    て,放射性Cl-38は、天然にあるCl-37
    に中性子が作用してできる。ということはこの問題の根本はこの中性子がどこから来たかになる。その源として二つの可能性がある。
    (1)燃料棒が完全に核分裂が終わっているとすれば、燃料棒にある物質のうちで、自然に核分裂を起こすので中性子を出す物質か、(2)燃料棒で、少し(?)核分裂が起った(再臨界)ためー核分裂がおこると中性子ができる。この論文は、この二つの可能性のうちどちらが現実に近いだろうかの検討です。そこで、先ず(1)を仮定すると可能性のあるのは、プルトニウームとウランの同位体である。この赤線の部分は、そのことで、これらの重金属(単に重い金属という意味だが、ここではプルトニウームとウラン)。ここで注意しなければならないのは、原発で使われるのは、主として、中性子をあてて引き起こされる高速の核分裂(ウランー235)を制御して用いるもの、しかし、このように中性子をあてなくとも、低速だが、自然に核分裂を起こすものも、燃料棒の中でできてしまう。それが、プルトニウームなどである。いずれにしても、核分裂が起ると中性子が出来る。中性子というのは、電気を帯びていない(だから中性子)なので、物質中の透過力が強いので、非常に危険である。

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  4. I.A.さん

    3月23日の東電発表:実は中性子線を11回検出していたのに見落としていた!

    http://ime.nu/www.yomiuri.co.jp/national/news/20110323-OYT1T00534.htm

    これまでに2回だけ計測されたとしていた中性子線が、12~14日に計13回検出されていた、とのこと。

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  5. evizo Janan12:54 am

    質問したいのは
    1.塩素38の検出結果は妥当か?
    2.臨界でなくとも核分裂で塩素38は生成されるのではないか?
    3.もし再臨界の状態であれば、さらに大きな変化が現れているのではないか?

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