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Tuesday, April 12, 2011

福島原発事故、レベル7:3月26日のNHKを振り返る-今こそメディアは率直な報道を

福島原発事故が、国際基準で、チェルノブイリと同じレベル7とする、との発表が原子力安全委員会からあった

これがただちに「フクシマ」イコール「チェルノブイリ」と考えるという意味ではないとはわかっていつつも、つい最近までは、「フクシマ」を、チェルノブイリと比べるだけで「大げさに恐怖を煽っている」との批判が高かったことを覚えておきたい。

一つ、記録しておいてよかったと思うことがある。日本時間の3月26日の朝6,7時のNHKニュースで、「福島がいかにチェルノブイリと全く違うか」ということを力説していたからである。その単純化におどろき、これも一連の事件過小評価報道の一環として記録しておいて、すぐ友人に以下のようなメールをした。

チェルノブイリと福島を比べるのは頭のおかしい反原発運動家の言う戯言のように1週間前ぐらいまでは言われていたが、今真剣に語られるようになった。NHKもやっとこの疑問を取り上げた。(26日朝6時、7時のニュースで二度やった)

こういう表を出してきて、チェルノブイリと福島がいかに異なるかを説明した(科学技術部の山崎氏) 

             チェルノブイリ        福島

原子炉          出力上昇         停止

燃料           核反応あり        核反応なし
              (臨界)          (崩壊熱)

爆発の場所       原子炉           建屋

福島で「臨界」があるかとのアナウンサーの質問に対し、山崎氏は、「専門家」(名前の指定はなし)は「臨界の可能性はほぼゼロである」と示し、画面にも大きなキャプションが出た。
私がNHKを見ている限り、名前も出さずに「専門家」と持ちだすことはほとんどない。これは、こんな無責任なことをNHKに登場して言える専門家なんて一人も見つからなかったからではないか。また、NHKは、東電さえもが「再臨の可能性はゼロではない」と言ったことを伝えていない。海江田大臣が「4号機の再臨界を防ぐように」と、4号機を名指しで指示したことも伝えていない。(下記の報道を参照。)

素人ながら、上記の表は単純化し過ぎであると思う。確かに原子炉の運転は福島では止まったが、問題は「停止」後の冷却であり、その冷却機能が停止したままで、今だに水かけの対処療法しかできていないことはもう日本中の子どもからお年寄りまで知っている。冷却の問題に触れず「停止」という言葉を出して安心感を与えさせようという意図があるように見える。

また、福島で「核反応なし」と言い切れるのだろうか。もう中性子をはじめ、核反応の結果といわれる物質がたくさん周辺で見つかっているのである。また、ウィキで見るかぎり、チェルノブイリも、爆発した4号炉のみ、「事故当時、爆発した4号炉は操業休止中であり、原子炉が止まった場合を想定した実験を行っていた。」ということである。「停止」していたとも言えるのではないか。まあこれはあまり強く言わない。あげ足取りみたいになり、今重要なことではないだろう。
また、爆発の場所が「原子炉」か「建屋」かというのも誤解を招くと思う。あたかも福島では原子炉が原因となっている問題が存在しないかのごとくに語られている。爆発という現象のみに焦点をおき、1-3号機それぞれで起こっている溶融の問題から目をそらしている。チェルノブイリと福島が他の場所で比べられるときは必ず格納容器の有無が語られる。福島のに比べ、チェルノブイリは格納容器がなかったから大惨事を招いた。しかし、格納容器の話をしたら、格納容器に損傷が生じている福島2,3号機のことを言わなければいけなかくなるので敢えて格納容器の話をしなかったのではないか。

今回福島で一番の問題となっている炉心溶融(チェルノブイリでも起こった)と使用済み燃料プールと、なんといっても問題になっている原子炉の数の圧倒的な多さ(福島は6、チェルノブイリは1、福島についてはそれプラス6400本の燃料が入っている共用プールがある)に触れずに、「チェルノブイリなどとと比べるな」と今頃言っているNHKはもう気が遠くなるほど危機意識が足りない。
4月12日、日本政府もとうとう「フクシマ」がレベル7であるということを発表した。3月25日のIEERエネルギー環境研究所のプレス・リリースでは、フランスのIRSNの推計では9万テラ(兆)ベクレル(240万キュリー)の放射性ヨウ素が出たとしている。原子力安全委員会の発表では、最大で1時間1万テラベクレルで、それが数時間続いたということだから、その「数時間」が何時間だったかにもよるが、IRSNの推計と大きく離れてはいない。NHKはようやく今日になって、震災以来の東電や政府の対応が後手後手になっていたと批判したが、NHKをはじめ多くの大メディアは、上に挙げた報道にも見られるように、政府による福島事故の過小評価、放射線は「健康に影響がない」キャンペーンに加担してきている。今からでもすぐに、各国で報道されているような気象庁による放射線拡散予想、格納容器、圧力容器の損傷を含む原子炉の状態の率直な報道、「炉心溶融」や「再臨界」といった言葉を避けない議論、3号機で使われているMOX(プルトニウム混合)燃料の存在、1-6号機の他に6千400本の使用済燃料が共有プールにある、といった事実、4月8日大余震後に1号機放射線量が異常な急上昇を(100シーベルト)を示して以来、数値は間違っていないとされながらも「計器不良」ということにされてうやむやになっていること等、ジャーナリズムの誇りを持って報道、議論してもらいたいと切に願う。

PP

追記:4月10日、無人ヘリで撮った1-4号機のビデオが発表された。報道には、「映像によると、1号機建屋の上部は大きく破損して骨組みだけになり、2号機の建屋の穴から白煙が上がっていた。3号機は骨組みも大きく曲がり、内部から白煙が。4号機は外壁が一部残るものの天井部分が骨組みだけになっている。」(東京新聞)とある。しかし4号機と3号機にばかり重点が置かれ、2号機と1号機、とくに1号機は最後の瞬間にちらりと画面の端に映っただけでほとんど見えなかった。4月8日に放射線量が急激に上がったという、大メディアでは全く報道されなかった事実があったので1号機を見たかったが、これでは全然わからない。

再追記:文科省サイトに無人ヘリで撮った写真がある。

――――参考報道:


産経新聞

福島4号機、東電「再臨界の可能性ゼロでない」ヘリからのホウ酸散布も
2011.3.16 09:20
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110316/dst11031609210028-n1.htm 

東京電力の福島第1原発4号機=2008年10月
 東京電力は16日午前、福島第1原発4号機のプールに貯蔵されている使用済み核燃料について、「再臨界の可能性がゼロではない」との見方を示し、臨界防止のために、ヘリコプターでホウ酸の散布を検討していることを明らかにした。

 4号機では、この日午前5時45分ごろ、原子炉建屋北西部付近から炎が上がっているのが確認されている。

東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/nucerror/list/CK2011031602100019.html 

福島第1原発4号機で再び火災 再臨界阻止、白煙も
2011年3月16日

 東京電力によると、16日早朝、福島第1原発4号機の原子炉建屋で火災が発生した。東電は、4号機の使用済み核燃料プールが、再び連鎖的な核分裂を起こす状態(再臨界)となる可能性が否定できないとして、ヘリコプターによるホウ酸散布の検討を始めた。ホウ酸は核分裂で生じる中性子を吸収し臨界を抑える性質がある。


 東京電力によると、16日早朝、福島第1原発4号機の原子炉建屋で火災が発生した。また午前10時ごろから同原発周辺で白煙のようなものが上がった。3号機から出た水蒸気の可能性があるという。

 東電は、4号機の使用済み核燃料プールが、再び連鎖的な核分裂を起こす状態(再臨界)となる可能性が否定できないとして、ヘリコプターによるホウ酸散布の検討を始めた。ホウ酸は核分裂で生じる中性子を吸収し臨界を抑える性質がある。

 海江田万里経済産業相は15日深夜、原子炉等規制法に基づき注水するよう命令を出した。

 4号機では、16日午前5時45分ごろ、4号機の中央制御室にバッテリーを運んでいた社員が戻る際に、原子炉建屋4階の北西付近から炎が上がっているのを見て通報した。爆発音は確認していない。炎は同日午前6時15分には見えなくなった。けが人の情報はない。地元消防の消防車4台、13人が現場に向かった。

 東電は「現場の放射線量はずいぶん高く、消火活動は線量を見ながらやることになる。周辺にはがれきがあり、消防の大型車が通れるかなどのいろいろな状況を考える必要がある」とし、消火活動は難航するとの見通しを示した。

 4号機は15日にも火災が発生した。この時は間もなく火が見えなくなり、それ以後東電は消火活動をしていなかった。16日早朝の出火場所も、前日とほぼ同じ原子炉建屋4階の北西角で、再循環ポンプなどが置かれているという。

 経済産業省原子力安全・保安院は「15日の火がくすぶっており、再び火がついたのではないか」としている。

 定期検査中の4号機は、東日本大震災の影響で注水や冷却ができなくなり、使用済み核燃料プールの水温が上昇。このため15日の火災は、プールの水が蒸発して水位が低下、燃料を覆う金属と水蒸気が反応して水素が発生し爆発を起こした結果起きた可能性がある。

 4号機は定期検査で炉心隔壁(シュラウド)という炉内の大型構造物を取り換える工事中のため、すべての燃料をプールに移して保管していた。これからまだ使う燃料を大量に保管したため、温度が上がりやすくなり、プールの温度は84度に上昇しているという。

日経新聞(2011/3/15 19:13)(リンクは切られている)

海江田万里経済産業相は15日、東京電力に対し、福島第1原発4号機について核分裂が連続して起きる「再臨界」の防止に努めるよう指示した。定期点検中で止まっていた4号機は同日午前に建屋で火災があり、使用済み核燃料を収めたプール内の水が高温になっている可能性がある。

また格納容器の一部に破損が生じたとみられる2号機については、原子炉への注水を急ぎ必要に応じて原子炉内部の空気を外部に出して圧力を下げる作業を指示した。原子炉等規制法に基づく措置。

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