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Saturday, June 21, 2008

「俺は劣化ウランを見てしまった。」-湾岸戦争帰還兵 デニス・カインさんの講演

                        Peace Journalist  菊野由美子


   自分が今まで強く信じていたことが実は偽りであったとわかった時、人は心のバランスを失ってしまうこともあるだろう。そしてその真実を話す決心をするまでに、人はどれほどの葛藤を乗り越えなければならないのであろう。そんなことを思わせる人に出会った。

   5月9日、東京水道橋にある東京学院で、「俺は劣化ウランを見てしまった」と題した湾岸戦争帰還兵、デニス・カイン氏の講演が開かれた。この講演会はグローバルピースネットワーク、たんぽぽ舎、東京反核医師の会の共催で開かれ、会場は満員だった。その他多くの支援団体の書籍、写真集、DVDなどが会場の後方で販売されており、右側には劣化ウラン兵器の被害を長年取材しているフォトジャーナリスト豊田直巳さんの写真が展示されていた。

   デニスさんは、1987年からアメリカ軍医療専門兵として従軍し、1991年の湾岸戦争で「砂漠の盾」「砂漠の嵐」作戦にも加わっていた。その時、クウェートからバクダッドをつなぐ「死のハイウェイ」と呼ばれる国道でこの世の光景とは思えない惨状を目撃した。そのハイウェイは、アメリカ軍による340トンもの劣化ウラン兵器による空爆で放射能汚染されていたのだ。
その後、多くの兵士が次々に体調不良を訴え亡くなっていく状況に不信を抱き、米軍が掲げる任務に対しても疑問を持ち始め、2003年に米軍を除隊した。「劣化ウラン兵器は核兵器である」と断言するデニスさんは、現在は劣化ウラン兵器を含む核兵器廃絶運動や反戦活動に取り組んでいる。
劣化ウラン兵器とは、原子力発電所で出る核廃棄物で作られ、その性質が重くて硬いため、弾丸や爆弾の先に取り付けられ、戦車さえも打ち抜く威力を持っている兵器である。その打ち抜く際に、劣化ウランが高温で燃焼しガス状になり拡散し、放射能を放ちながら空気、水、土を汚染する。戦場の兵士や市民はこの放射性微粒子を吸うことにより体内被曝する。劣化ウラン兵器が使われたイラクやコソボではガンや白血病、奇形児の発生数が激増している。

   デニスさんが戦地で撮影した数々の写真は、まさしく異様であった。兵士の死体は炭化しているが、すぐ傍のジープのタイヤは損傷していない。半分溶けているような死体のブーツは原形を留めている。そして、砲弾の跡がないのに人間だけが激しく損傷を受けて死んでいる。「この兵器は生命体は破壊するが、物には影響を与えない。」と説明するデニスさんの言葉を裏付けるのに十分だった。私は劣化ウラン兵器での体内被曝による被害の深刻さは以前から知っていたが、爆心地の惨状を見たのは初めてでショックだった。
「米国政府は、劣化ウランの放射能は自然界に存在する放射性物質より低いから安全と報告しているがこれはまやかしで、体内被曝したら低レベルでも危険であることを世界に知らせる必要がある。」とデニスさんは主張した。
そして、「子供のころは軍隊は平和のために働くと信じていた。しかし今私は、アメリカはその平和と反対側にいると思っています。」と話す。「戦争で民主主義は輸出できないし、軍は民主主義を作れない。そして、資本主義は民主主義を破壊している。さらに、戦争文化は恐怖心を常に抱かせることによって維持されていくのである。アメリカは戦争を正当化させるためにウソの広報活動をする。そしてそれを国民は信じてしまう。」と続けた。
またデニスさんは、アメリカでの兵士勧誘の方法として、学校に「学生軍事教練隊」を設置し、14歳から17歳の生徒を募集していることを話した。ここではしつけやマナーを学べるとされているが、実際は軍隊行進や戦術である。このコースを取り入れた学校は米政府から補助金が受け取れ、この訓練を卒業し正式にアメリカ軍へ入隊した生徒は早く昇進できるシステムになっている。


<デニスさんの本の紹介をしているのは、2月にカナダ、バンクーバーで講演されたきくちゆみさん>

知らなければよかったと思う真実もある。だが、ショックな真実は我々に恐怖や絶望をもたらすものではなく、問題提起に過ぎないのではないだろうか?今、我々はこのような社会に住んでいるというメッセージで、それは解決可能だから表面化されたと受け取りたい。デニスさんは講演をこう締めくくった。“Peace is Possible!”様々な地獄絵を見てきた彼の言葉である。

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