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Wednesday, December 15, 2010

丹羽大使の南京訪問計画についての報道 Reports on planned visit by Japanese Ambassador Niwa's visit to Nanjing

日本人はいつになったら相手の立場に立って考えるということができるようになるのだろう。

下の共同と産経のニュースを見た。丹羽大使が「経済交流」のために初めて南京を訪れるという。

南京大虐殺事件の凄まじさをほとんどの日本人は知らされていない。学校でもほとんど教えられないし、ネットで検索したり本を買おうとしても、日本語では南京大虐殺を否定したり過小評価したりする情報だらけである。日本語を使う人たちはこの歴史の重要な部分について教育機会を剥奪され、国際社会で孤立している。

忙しい人のために、南京大虐殺について一冊だけの本を読むとしたら笠原十九司の『南京事件』(岩波文庫、1997年)を勧める。当時南京で市民の保護に尽くした外国人の手記、ジョン・ラーベの日記が『南京の真実』というタイトルで講談社から出ている(2000年)。同じく当時、金陵女子大学の教員で、大学の構内に数千人の女子をかくまい日本軍の強姦・虐殺から救ったミニー・ヴォートリンの日記も、『南京事件の日々 ミニー・ヴォートリンの日記』として大月書店から発行されている(1999)。ネットに行っても本屋に行っても南京事件を否定するような情報だらけなので、直接ネット書店等で購入するか、図書館で借りるかリクエストするのがいい。南京大虐殺事件について、否定派のあふれる情報のせいで「本当はなかったんじゃないのか・あってもそれほどひどくはなかったんじゃないのか」とか疑っている人は、笠原十九司がそういう人たちのために書いた『南京事件論争史―日本人は史実をどう認識してきたか』(平凡社新書、2007年)を読むべきだ。(また、「南京事件」という呼称を問題視している人がいるが、これは、「南京大虐殺事件」の略であり、「南京大虐殺」と言うと、虐殺のことだけを指し、殺人に至らないまでもおびただしい数の強姦、暴行、略奪、放火が行われたことを逆に考慮していないことになるということを付記しておきたい。)加害、被害の両方の側からの多数の証言を読むには、松岡環の、『南京戦 閉ざされた記憶を尋ねて―元兵士102人の証言』(社会評論社、2002年)と『南京戦・切りさかれた受難者の魂―被害者120人の証言』(社会評論社、2003年)を勧める。

中国の丹羽大使の南京訪問についての記事で、現在の南京を「一部に根強い反日感情が残る」というように表現するのは、生存者や遺族、南京や中国の人たちにとってあまりにも心ない表現としか言いようがない。南京大虐殺事件についての中国人の心情を「反日感情」などという言葉で片付けようとする人は、上で勧めたような本を読み、もしこれらの戦争犯罪が自分の住む町で起こったら、自分の子ども、姉妹兄弟、父母に起こったら、という想像力を働かせてほしい。辛い歴史の記憶を単に「反・・・感情」という言葉で片付けてしまう乱暴さというものを味わってほしい。

南京で日本や日本人に対する怒りが残っているのは当然である。当時の日本軍による行為がたったの80年、100年、200年で許されるべきものだと思う人はもう一度上記の文献に当たるべきだ。それは1937年12月から1938年3月にかけて起こった南京大虐殺についての怒りもそうであるが、それ以上に、一部の日本人が歴史を歪曲、否定、過小評価し、他の日本人の歴史学習を妨げていることに対する現在進行形の怒りであることも強調したい。

また、丹羽大使が南京を訪れておきながら、南京大虐殺の歴史に触れず、記念館に足も向けずに帰ったとしたら、これはまた日本の恥と言わなければいけない。海外で平和教育に携わる者として常日頃感じているのは、日本の加害に対する一般的な日本人の歴史認識は気が遠くなるほど欠如しているということである。しかしそれは上に繰り返し書いたように一部の人間の歴史教育妨害行為によるもので、根本的には、日本の人たちは、他の国の人たちと同じように、知る力、感じる力が備わっていると私は信ずる。

PeacePhilosopher

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2010121501000904.html


丹羽大使が南京初訪問へ 反日の中、経済外交推進

2010年12月16日 02時02分



 【上海共同】丹羽宇一郎・駐中国大使が、旧日本軍による虐殺行為から一部に根強い反日感情が残る中国江蘇省南京市を20日から訪問する方向で最終調整していることが15日分かった。複数の日中関係筋が共同通信に明らかにした。



 実現すれば、丹羽大使にとっての南京初訪問。丹羽氏の地方視察は、初の民間出身大使として推進する経済外交の一環。



 日中関係筋によると、訪問は20日から3日間の予定。南京は日本との経済関係を強めており、80社以上の日系企業が進出している。丹羽氏は、南京で日系企業関係者らとの懇談を計画。また、地元の大学などの視察も予定。



 丹羽氏は7月末の着任後、天津市と河北省唐山市を訪問。その後、南京訪問を予定したが、キャンセルとなり、再調整を進めていた。





http://sankei.jp.msn.com/world/china/101215/chn1012152316004-n1.htm 

丹羽大使南京へ 「経済外交」を推進 根強い反日感情どう反応?

2010.12.15 23:15

 【上海=河崎真澄】今年7月末に着任した丹羽宇一郎・駐中国大使が20日からの3日間、一部に根強い反日感情が残る江蘇省南京を訪れる見通しとなった。日中関係筋が15日、明らかにした。それによると、南京に進出している日系企業約80社の関係者らと意見交換するほか、地元の大学を視察する見込みだという。



 実現すれば、丹羽大使にとって初めての南京訪問となる。丹羽大使の地方視察は先月の天津、河北省唐山に次いで2回目で、初の民間出身駐中国大使として推進する経済外交の一環と位置づけている。環境保全技術などがテーマになる。



 一方、旧日本軍による南京占領から73年を迎えた今月13日、「南京大虐殺記念館」で犠牲者の追悼式が開催された。中国漁船衝突事件を受け、11月には南京で呼びかけられた反日デモが当局に阻止された経緯もある。丹羽大使訪問に南京住民らがどのような反応をみせるか予断を許さない。

1 comment:

  1. Yasushi Ikeo3:33 pm

    12月13日の記念式典とともに、その日の午後に開催された、南京大虐殺史研究会でもスピーチをしてきました。
    南京の人たちは、「過去の歴史を忘れることはできないが、恨むことはしない」。だから、日本でいわれるほど、南京の人たちは反日感情を持っているわけではありません。
    また、よく犠牲者の数が問題になりますが、向こうでは、日本軍による虐殺を生き延びた生存者(中国では幸存者といいます)の数も、犠牲にあったとして数字に含めるので、日本のように、実際の死者の数だと理解するとこれまた中国に対する不信感が生まれます。

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