日本科学者会議記者会見(2月27日、福島県庁にて) |
提言は日本科学者会議のウェブサイトに全文がアップされているのでぜひ見てほしい。
「原発汚染水問題」にかかわる緊急提言
「除染」にかかわる提言
河北新報《2月28日)は、「『汚染水の調査不十分』科学者会議緊急提言」という見出しで、日本科学者会議は、東電による地質や地盤、地下水の調査は「不十分」であり、「ボーリング調査の範囲を敷地内の空白域と敷地外に拡大するよう」求めていると報道した。汚染水問題プロジェクトチームの代表、柴崎直明福島大教授は「現状を放置すれば、今後も汚染水が海や敷地外に流出する危険がある」と警告し、「敷地外にも汚染地下水が流出している可能性がある」とのことである。大変深刻な内容だ。
提言はこのような結論で終わっている。
これまで東電は汚染水問題について,重大な問題が発覚してから応急的で不十分な対策しかとってこなかった。このままの状況では,今後も汚染水タンクからの漏洩や汚染された地下水が港湾外の海や敷地外の陸地に流出する危険があるので,国や東電はこの緊急提言で指摘した事項を最短の工程で実施することを強く求めるものである。しかし全国メディアがどれほど報道したのか、ざっと検索した限りでは出てこない。隠蔽への圧力がかかっているのか。福島第一原発事故直後の2011年3月30日、日本の原発を推進した当事者の科学者たちが反省と危機感をこめて緊急提言を発表しているがほとんどのメディアは無視して、当ブログが転載したものが6万以上のアクセスを集めた。当時と同様のことが起っているのか。
除染問題についての提言も大変厳しい内容だ。一部を抜粋する。
福島県では2012年夏以降、各自治体で除染計画を策定し、大手ゼネコンに代表される主体が除染作業を進めている。しかしながら除染の実行力を担保する法令、ならびに実施体制が体系化されておらず、その結果様々な弊害が生じる。(抜粋以上)
第一は、何を持って除染とみなすのか(定義)、いかにして除染をするのか(方法)、除染の効果をどのように検証するのか(評価)、その統一的基準がない点である。それ故、不適切かつ不完全な除染が横行し、地域により除染効果に差が出ている。
第二は、除染計画を策定する際に不可欠な実態把握(放射能計測とマップ化)が不十分な点である。放射性物質の分布マップがあれば汚染や環境に即した然るべき除染方法が選択でき、除染を優先すべきエリアが検討できる。必要かつ十分な除染の見極めることで過剰な資本や労働力の低減、仮置き場や中間貯蔵施設の負荷低減を検討することも必要である。特に労働資本の投入は除染作業者の外部被曝の低減に直結する問題であり、除染作業者の人権問題として認識する必要がある。
第三は、除染の実施主体は各自治体であることから、市町村域を超えた合理的な計画策定や、専門的対応や判断が困難な事である。本来、除染は国の責任でやるべきものであり、人的資源も専門性も限られ、被災地対応に追われる地方自治体の事業範囲を超えている。それこそ復興庁などの国家レベルの機関が指導力を発揮しなければならない。
最後に「除染」は、それ自体が「目的」ではなく、あくまで生活再建に向けた「手段」である点、ならびに「除染」は放射性物質という物理的実体に即して科学的見地からの対応が求められる一方、極めて社会的・政治的な問題であることを強調しておきたい。たとえばガラスバッジによる個人被曝の積算線量は、空間線量から見積もられた値に比べて、平均値で3割ほどの外部被曝に止まることが明らかにされている。こうした科学的知見は、除染の優先度や対象エリアを検討するデータとされ除染エリアや避難エリアの縮小を支持するデータとなる可能性もある。だが依然として高い外部被曝が強いられる地域や個人も少なくなく、合理的な除染策の検討というものが、被災者の福祉や健康、ならびに基本的人権を侵すものであってはならない。除染の是非は科学的合理性のみならず、社会的道義性の観点からも十分に議論される必要があり、二つの観点からの議論の先にしか被災者の健康と生活の安寧は得られない。そして除染の計画や実施をもって、個人が故郷から避難する権利を奪ってはならないこと、また移住や避難をした人々にとっても、放射能汚染からの故郷の再生は悲願であることから、「除染」と「移住」は二者択一の選択とはならない。真に目指すべきは被災者の生活再建であり、除染はあくまで手段であって、除染の実施が被災者救済の最終目標ではないことも強調しておきたい。
NHKの福島局による放送はすでにリンク切れしているが、ここにアップされている。ほとんどの時間は除染問題、それも「汚染状況を把握し効果的な除染を」という語調、汚染水問題については最後に触れる程度で、「ボーリング調査の徹底などを求める」と、これらの提言が提起する問題の深刻度や国や東電への痛烈な批判が全然伝わらない報道になっている。昨年の9月からプロジェクトチームを組み日本中の科学者の英知を結集して作った提言のようだが、このような報道、そして何よりもこの提言を無視する報道機関は、被災者の立場から原発事故に真剣に取り組む科学者たちの努力を踏みにじったと言えないか。これはやはり「汚染水は完全にコントロール」と世界に大嘘をついた安倍政権への遠慮なのだろうか。
もう一度、今回の提言のリンクを記しておく。
「原発汚染水問題」にかかわる緊急提言
「除染」にかかわる提言
@PeacePhilosophy
1)福島第1原発敷地の地盤の液状化(ようやく昨日、日本科学者会議がこの問題を懸念する意見書を初めて政府に出しました。「液状化」という言葉は使っていませんし、「地盤」調査の必要性ということで間接的な示唆にとどまていますが)。大型地震が再び起きたら、原発敷地全てが崩壊する危険性。これが実際に起きたら、東京をはじめ、関東、東北地域、いや日本全国が大混乱に陥
ReplyDeleteるはずです。
2)アベノミクスの「液状化」:日本経済は、私が第2次安倍政権開始当初から懸念していた通り、自滅の道へ向かって急速降下しつつあるように思えます。1
月の貿易収支は2兆8千億円という大赤字。来月から消費税が上がり、ますます経済不況が深まるでしょう。日中関係が最悪状況にある中、大量の中国系ファンド投資がすでに日本から手を引き始めたという噂もあります。これが、これから他国のフェッジファンド投資の日本からの撤退をドミノ式に誘発したら、1千兆円を越える財政赤字を抱えた日本は、ギリシャ、スペイン、アルジエンチンのようなたいへんな状態になります。そのとき、最も深刻な状況におかれるのが
老人、非正規雇用者(とくに女性、なかでもシングル・マザー)、福島原発避難民など、国民の中でも最底辺にいる人たちです。この「経済基盤液状化」に安倍政権はなんら有効な対処政策を打ち出せないままになっており、安倍本人は憲法改悪のための地ならしに一生懸命で他のことが頭に入らないようです。私たちは安倍の自滅行動の道連れにされ、文字通り殺されようとしています。