Abe Shinzo's "Fukushima under control" speech at the Olympic bid. |
3月2日のニューヨークタイムズの論説(紙面には3月3日掲載)の和訳を紹介します。(訳文はより正確を期すため掲載後微修正することがあります)
原文は:
Mr. Abe's Dangerous Revisionism
http://www.nytimes.com/2014/03/03/opinion/mr-abes-dangerous-revisionism.html?_r=0安倍氏の危険な修正主義
論説委員会
2014年3月2日
安倍晋三首相の売り物となっている国粋主義は、日本の米国との関係に対する、かつてないほどの深刻な脅威となっている。彼による修正主義的歴史の使用は、すでに東シナ海、南シナ海の領土問題における中国の挑戦的なスタンスであつれきが生じている地域における、危険な挑発行為である。
しかし安倍氏は、この現実、そして条約の義務により日本を防衛するとコミットしており、中国と日本の間の紛争に引きずり込まれたくないという米国の国益を、気にも留めていないようである。
安倍氏の国粋主義は、理解に苦しむ。特定の国に向けられたものではなく、安倍氏が恥と感じている第二次世界大戦以来の自国の歴史に対して向けられている。彼が呼ぶところの、控え目であり続けた戦後レジームから脱却し、新たな愛国主義を再創造しようというのだ。
しかし安倍氏は日本の戦後文化を語る前に、戦争の歴史も歪曲している。彼と他の国粋主義者たちは1937年の日本軍による南京大虐殺がなかったといまだに主張している。先週の金曜、彼の政権は、日本軍によって性的奴隷状態を強制された朝鮮半島の女性たちへの謝罪を再検証し、場合によっては取り消す計画を語った。さらに安倍氏は、有罪判決を受けた戦争犯罪人たちを含む日本の戦死者に名誉を与える靖国神社を訪問することは、国のために命を犠牲にした人々に敬意を払うことに過ぎないと主張している。
今この時点における中国との敵対的な関係は、安倍氏にとって、平和主義に徹している人々に、防衛準備態勢を高める必要性を説得するのに役立っている。軍備態勢の強化を支持する人たちと歴史修正主義者が一致する傾向にあるのは、日本の特異性のように思える。安倍氏の国粋主義を別にしても、安倍氏も他の日本の主流派の指導者たちも、米国の同意なしでの軍事力の拡大をしようとはしていない。彼らは日米の安全保障同盟に深くコミットしているのだから。
(終)
参考:当ブログにおけるニューヨークタイムズ関連社説・記事翻訳:
2013年1月2日社説:
歴史を否定するさらなる試み
2013年4月24日社説:
日本の無用な国家主義
2013年10月29日社説:
自由主義とはいえない日本の秘密法案
2013年12月18日社説:
日本の危険な時代錯誤ぶり
2013年12月28日記事:
教科書闘争で、歴史の書き換えを狙う日本の指導者たち
2014年2月19日社説:
戦争と平和と法
(憲法を意のままに変えようとする安倍首相批判)
これらのリストはこのブログで訳を紹介したものという意味で、安倍政権の歴史認識を問題視した記事はもっとあります。
ワシントンポストで当ブログで訳したものは、
2013年4月27日社説:
歴史に向き合えない安倍晋三
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