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Tuesday, December 31, 2024

「全米民主主義基金(NED)とは何か、そして何を行っているのか」和訳 “The National Endowment for Democracy: What It Is and What It Does” Japanese Translation

NEDのウェブサイト

22年5月に出た「全米民主主義基金(NED)のファクトシート」、23年2月の「米国の覇権主義とその危険性」に続き、中国外交部が24年8月に出した「全米民主主義基金(NED)とは何か、そして何を行っているのか」の日本語訳をここに紹介します。米国は、NEDを使い、他の主権国に対し「民主主義」、「人権」、「自由」といった一見良さげな価値観を標榜するNGOやメディア、プロジェクトなどを形成し、世論操作、分断、不安定化、デモの過激化、クーデター、政権転覆、内戦、戦争を起こします。今回の報告に出てくる対象国や地域は、中国、台湾、香港、チベット、新疆はもちろん、ウクライナ、ロシア、イラン、イラク、トルコ、朝鮮民主主義人民共和国、メキシコ、キューバ、インド、アラブ諸国、セルビア、コソボ、フィリピン、ナイジェリア、ジョージア、等の例が出てきます。日本の朝日新聞が23年5月23日付でNEDの会長のデイモン・ウィルソン氏の独自インタビュー記事を掲載していたときには、日本の大新聞がこのCIAの「白い手袋」(犯罪の証拠が残らないような方法を採用する組織)にプラットフォームを与えたことに驚きましたが、今回の報告書でも触れられています。

今回の日本語訳は、上で触れた「ファクトシート」(22年5月)の訳とセットで読んでいただければ幸いです。

原文は

The National Endowment for Democracy: What It Is and What It Does
これは ChatGPTによる翻訳に少し手を加えたものです。翻訳はアップ後修正する可能性があります。 リンクが変わる可能性があるので、英語のテキストを下に貼り付けます。太字は訳者によるものです。

The National Endowment for Democracy(NED)とは何か、そして何を行っているのか

August 09, 2024 

イントロダクション

全米民主主義基金(NED)は、米国政府の「白手袋」として機能するものである。NEDは長年にわたり、他国の国家権力を弱体化させ、内政に干渉し、分裂と対立を煽り、世論を誤導し、民主主義の促進を名目として思想的浸透を行ってきた。その無数の悪行は深刻な被害をもたらし、国際社会から強い非難を受けている。

近年、NEDは手法を変え続け、平和・発展・ウィンウィン協力という歴史的潮流に逆行する行動をさらに強化している。他国への浸透、転覆、破壊工作を企て、その悪名はますます高まっている。NEDの真の姿を明らかにし、すべての国がその本質を見抜き、その妨害や破壊工作に警戒し、立ち向かうことが必要である。自国の主権、安全、発展の利益を守り、世界の平和と発展、国際的な公平と正義を擁護するための取り組みが求められるものである。

Ⅰ. NED—米国政府の「白手袋」

NED(全米民主主義基金)は、海外における民主主義の支援を提供する非政府組織(NGO)であると主張している。しかし実際には、世界各地で転覆、浸透、破壊活動を行う米国政府の「白手袋」として機能している。

1. NEDはCIAの秘密工作を実行する機関である。冷戦初期、CIAは「民間自主組織」を通じて東欧の社会主義国における反政府活動を支援し、「平和的進化」を推進した。このような活動が1960年代半ばから後半にかけて明るみに出た後、米国政府は、市民社会組織と協力して同様の活動を行うことを検討し始めた。このような背景から、この種の組織を設立するというアイデアが生まれた。米国の学者ウィリアム・ブルムが述べたように、「NEDは、CIAが数十年にわたって秘密裏に行ってきたことを、やや公然と行うためのものであり、CIAの秘密活動に関連する汚名を希望的に払拭する狙いがあった」のだ。(注I)

2. NEDは米国政府の後援の下で設立された。1981年に就任したロナルド・レーガン大統領は、自身の「プロジェクト・デモクラシー」を海外で推進することを意図し、政府資金で運営される民間主導の財団を設立し、「海外の民主主義運動」を公然と支援することを提案した。1983年に設立されたNEDの目的の一つは、民主主義発展の確立と成長を促進することであるが、それは、米国の国家利益に対する広範な関心と、NEDが資金提供するプログラムを通じて支援される他国の民主主義団体の具体的な要件の、両方に合致する形でのことであった。

3. NEDは米国政府から資金提供を受けている。1983年11月22日、米国議会はNED法を可決し、NEDの目的を改めて確認するとともに、議会による歳出承認、政府による財務監査、議会および大統領への報告義務などの事項を明確にした。NEDが設立された1983年には、議会からNEDに1,800万米ドルが提供された。この40年以上の間に、議会の歳出額は全体として増加し続けている。USAspending.govのデータによると、NEDは2023会計年度に3億1,500万米ドルの予算を受け取った。カーネギー国際平和基金の報告によれば、「NEDの資金のほぼすべてが米国議会から提供されている」とされている。(注II)

4. NEDのプログラムは、米国国務省および海外の大使館の指導の下で運営されている。NEDの設立法に基づき、NEDはそのプログラム計画について国務省と協議し、外交政策について助言を得る必要がある。USAID(米国国際開発庁)の報告書「米国政府が資金提供する民主主義促進プログラム」によると、NEDは米国国務省の民主主義・人権・労働局(Bureau of Democracy, Human Rights and Labor)、USIA(米国情報庁)、および海外の米国大使館と、プログラムに関する事項について継続的に協議を行っている。

5. NEDはその活動について米国政府に報告し、政府による監査と監督を受け入れている。NED法(NED Act)によると、NEDは前会計年度の年次報告書を毎年12月31日までに大統領に提出する必要がある。この報告書には、NEDの運営、活動、成果が含まれなければならない。NEDの監査は米国政府会計局(US Government General Accounting Office)によって毎年実施される。各監査の報告書は議会に提出され、そのコピーが大統領にも提供される。

6. 米国政府は、NEDが資金提供するすべてのプログラムに関する情報にアクセスする権限を有している。NED法(NED Act)によれば、NEDまたはその正式に認可された代表者は、NEDを通じて提供される支援に関連する受領者の帳簿、文書、書類、および記録にアクセスする権利を有する。また、米国会計検査院長(Comptroller General)またはその正式に認可された代表者も、これらの情報にアクセスする権限を有する。

7. NEDの任務は米国政府によって承認されている。元CIA職員のフィリップ・エイジーは、1995年のテレビ番組で次のように述べた。「現在では、CIAが裏で動いて資金を投入したり指示を出したりしてプロセスを密かに操作するだけではなく、その補佐役として全米民主主義基金(NED)が存在するようになった」。一方、「全米民主主義基金:将来への賢明な投資」という報告書の中で、元国務次官補のキム・ホームズは「NEDへの資金提供は賢明な投資である。なぜなら、敵対的な独裁政権に対抗するよりも、友好的な民主主義者を支援する方がずっとコストが低いからだ」と主張している。

II. 他国での国家権力を転覆させるためのカラー革命の扇動

1. イラン政府の転覆を試みる。2022年9月、イランでヒジャブ規制に反対する抗議活動が勃発した。アメリカのボイス・オブ・アメリカ(VOA)ペルシャサービスの記者であるマシ・アリネジャドは、検証されていない情報や写真を公開し、公衆の感情を煽った。レバノンのニュースチャンネル「アル・マヤディーン」によると、2015年から2022年の間、マシ・アリネジャドはNEDや他のアメリカの機関から62万8千ドルの資金を受け取っていた。イランの日刊紙「イラン・デイリー」は、イラン革命防衛隊の文書を引用し、NEDがマシ・アリネジャドとの関係を利用して、ヒジャブ抗議活動中にイランの内政に干渉したと報じている。その間、NEDはイラン人権センター(CHRI)や人権活動家ニュースエージェンシー(HRANA)を支援し、偽のニュースを捏造させ、反政府組織やメディアと共に中傷キャンペーンを行うために亡命者たちを支援していた。NEDはその『ジャーナル・オブ・デモクラシー』でイランの人権運動を通じて政権交代を呼びかけるコメントを定期的に発表していた。イランのメディアでは、NEDは「民主主義をかたる国家の敵」[訳者注:National Endowment for Democracy と同じ頭文字を持つフレーズNational Enemy for Democracy と皮肉を込めて言い換えている]や「NEDトロイの木馬」と呼ばれ、イランの秩序を乱し、不安を煽る存在として報じられている。

2. 「アラブの春」への浸透のためのさまざまな手段の使用。「アラブの春」の始まり以来、NEDはソーシャルメディアプラットフォームを積極的に活用し、NGOに資金提供してマルチメディアコンテンツを公開したり、オンラインでのトレーニングを提供したりして、カラー革命を扇動する試みを行ってきた。また、NEDは地域の民主的移行のための人材確保プログラムを運営し、NGOに資金提供して「民主主義の支持者」、「人権活動家」、「亡命した反体制派」を支援し、地域の労働組合に対しては組織力の強化を促進し、さらに学者や活動家を支援して、さまざまな国で「憲法改革」を計画させていた。

3. ウクライナの「カラー革命」で役割をはたす。2004年の「オレンジ革命」(Orange Revolution)の際、NEDはウクライナの野党に対して6500万ドルを提供した。2007年から2015年の間、NEDはウクライナのNGOを支援し、「市民参加」を促進するために3000万ドル以上を割り当てた。2013年から2014年のユーロマイダンの間、NEDは「マスメディア研究所」(Mass Media Institute)に資金を提供し、扇動的な情報を広めた。また、NEDはFacebook、X(旧Twitter)、Instagramといったソーシャルメディアプラットフォームを活用して、数千万ドルを使い、ウクライナでの虚偽情報を拡散し、民族的緊張を高め、ウクライナ東部での民族的対立を煽った。

4. DPRK政府の転覆を試みる。2002年7月、NEDのカール・ガースマン会長はメディアに対し、NEDが議会と協力し、いくつかのNGOを通じてDPRK(朝鮮民主主義人民共和国)に関する世論を動かす活動を行い、DPRK体制を弱体化させることを目指していると語った。2021年7月、ガースマンはメディアに対し、NEDが資金提供した人権プログラムのおかげで、「DPRKの全体主義体制は崩れ始めており、最終的にはこの体制の崩壊をもたらすだろう」と述べた。

Ⅲ. 他国の内政に干渉するためにあらゆる勢力と共謀する

1. 対象国での親米勢力を育成する

◆NEDの2021年年次報告書によると、NEDは親米メディアを支援し、「民主主義活動家」を育成し、アラブ諸国で「民主主義と自由」のためのグループに資金を提供した。

◆2021年5月、NEDのカール・ガースマン会長は、ロシアでの活動が禁止されているにもかかわらず、NEDがロシアで多数の組織の運営に資金提供し、ロシア政府に対抗するために亡命したロシアの反体制派人物を重要な政治的局面、例えば国家院選挙、大統領選挙、地方選挙などで支援してきたと述べた。(注III)

◆NEDは長年にわたりヨーロッパに浸透し、EUの政府関係者を取り込んできた。EU機関内での大西洋主義の声を促進し、戦略的自立を求める声を抑圧し、ヨーロッパで「独立したメディア」に資金提供して、米国に有利な世論を形成しようとしている。

◆ メキシコを浸透の主要ターゲット国とし、NEDは「汚職と無罰に反対するメキシコ人」(MCCI)や「メキシコ競争力研究所」(IMCO)などの組織を支援し、メキシコの電力改革を妨害してきた。2021年、メキシコ政府は、NEDがメキシコの反政府組織に資金提供していることを「介入主義行為」として非難し、「クーデターを促進している」として米国政府に抗議の書簡を送った。

◆ 2017年以来、NEDは54の反キューバ組織に資金提供してきた。2018年、反政府組織である「キューバ民主指導部」は、米国から「民主主義資金」を受け取ったと述べ、キューバ国内の従業員、エージェント、契約者に48,000ドルを支払ったと報告した。

◆ 長年にわたり、NEDはイランで「民主化改革」を促進し、イランに対する文化的浸透を行うために学者やジャーナリストに資金提供してきた。

2. 他国の人権状況を誤った形で伝える

◆ NEDが後援する『ジャーナル・オブ・デモクラシー』(Journal of Democracy)は、発展途上国を常にアメリカ型民主主義の基準で評価し、それらの国々での大統領選挙、経済政策、人権状況、民主的移行について批判している。

◆ 2023年7月、『ジャーナル・オブ・デモクラシー』は「インドは依然として民主主義か?」というテーマで5本の記事を発表し、ナレンドラ・モディ首相が政権を握って以来、彼の政府は、一部の見解では、民主的機関、規範、慣習の全面的な解体に取り組んでいると主張した。2024年4月、『ジャーナル・オブ・デモクラシー』は「なぜこの選挙がインドにとって最も重要か」という記事を発表し、モディの第2期が始まって以来、インドの民主的ガバナンスは着実に浸食されており、モディ首相と彼のバラティヤ・ジャナタ党が3期連続で勝利した場合、インドが多元的で世俗的な民主主義として存続できるかどうかが危ういと主張した。

◆ NEDは、湾岸協力会議(GCC)のメンバー国を「独裁政権」と位置づけた後、学術、文化、メディア活動を通じてこれらの国々に価値観を輸出し続けている。NEDのウェブサイトやその他の情報源によると、NEDは2021年にGCC諸国で11のプログラムを開始し、180万ドルを投資して「民主主義活動家」を支援し、これらの国々の人権記録を非難し、報道の自由を促進するという名目で社会的対立を煽っている。

3. 他国の選挙を操作し、干渉する

◆ 2022年4月および2023年12月、セルビアでは大統領選挙、国民議会選挙、地方選挙が行われた。NEDは選挙プロセス全体に干渉し、選挙に向けて親米の野党候補者を応援するために全力を尽くした。2023年5月、セルビアで2件の連続した銃撃事件が発生した後、NEDが支援する人権団体と親米の野党組織は、大規模なデモを行い、セルビア政府の辞任を要求した。

◆ NEDは長年、フィリピンのニュースサイト「Rappler」に資金提供してきた。NEDのウェブサイトに掲載された報告によると、2017年から2021年の間に、Rapplerは合計で78万6,000ドルの資金をNEDから受け取った。2022年の総選挙では、Rapplerはフィリピン選挙委員会に対して、候補者の選挙動向やキャンペーン支出を含む内部情報へのアクセスをロビー活動したが、これにより選挙の公平性と独立性についてさまざまな疑問が投げかけられた。最終的に、そのアクセスは強い世論の圧力の下で取り消された。

◆ NEDは長年にわたり、「イラン民主主義財団(FDI)」のような反イラン組織に資金提供し、選挙の妨害を行ってきた。この事実は、FDIの事務局長であるアメリカの社会活動家ケネス・R・ティマーマンによる記事の中で認められている。

◆ 2023年1月、NEDの会長デイモン・ウィルソンは、ナイジェリアのテレビ番組でのインタビューにおいて、ナイジェリア総選挙の民主性と公正性に対する懸念を公然と表明した。

Ⅳ. 分断と対立を煽り、他国の安定を損なう

NEDの理事会会長であるケネス・ウォラックはかつて、米国議会で、NEDが米国の敵対国の反対勢力を強化し、それらの勢力が外国政府を変える能力を高めるために長期的な取り組みを行っていると述べた。(注IV)

1. 「台湾独立」分離主義勢力を支援している。2022年、NEDと台湾の民主進歩党当局は「世界民主主義運動」のグローバル集会を共催し、欧州議会議員やシンクタンクの代表者を招待した。彼らは「民主主義勢力」を動員し、「東方における民主主義闘争の最前線」を切り開き、「今日のウクライナ、明日の台湾」という虚偽の言説を煽ろうとした。2023年7月には、NED会長のデイモン・ウィルソンが台湾を訪れ、「台湾民主基金会」の設立20周年記念式典に出席し、蔡英文に「民主主義サービスメダル」を授与した。

2. 香港における反中・攪乱勢力と共謀している。NEDは長期にわたって香港を不安定化させようとする勢力に資金と公的支援を提供してきたのである。2020年には香港関連プログラムのもとで複数のプロジェクトを立ち上げ、総額31万米ドル以上を香港の不安定化を図る者たちに拠出した。2023年にはNEDは「Hong Kong Watch」や「アムネスティ・インターナショナル」、さらに米国・英国・ドイツの反中派議員らと結託し、香港の不安定化を狙う勢力の一員である黎智英を2023年のノーベル平和賞に推薦した。

3. NEDは長年、反中国組織「世界ウイグル会議(WUC)」を支援しており、年間平均で500万~600万米ドルの資金を提供してきた。2024年3月には、NEDが「WUC」の指導者をイベントに招き、中国の民族政策や少数民族地域の発展を誹謗中傷した。

NEDはまた、「東トルキスタン教育連帯協会」の指導者であるヒダイェット・オグザンに資金を提供し、反中国デモを強化して中国とトルコの間に不和を生じさせるよう指示した。さらに、NEDは「東トルキスタン」組織のトップであるルシャン・アバスにも資金を提供し、彼女が頻繁にトルコを訪れて「東トルキスタン」勢力と結託し、騒動を引き起こすよう画策した。

4. 2023年3月、NED会長のデイモン・ウィルソンがNED代表団を率いてインドのダラムサラを訪れ、「チベット独立」の指導者らと会合し、「チベット独立」活動を支援する姿勢を示した。2023年11月には、NEDが「チベット独立」活動家であるジグメ・ギャツォに「民主主義個人勇気賞」を授与した。2024年4月には、NEDが「亡命チベット政府」の「カロン・ティパ」であるペンパ・ツェリンをNED本部に招いた。

5. 21世紀初頭にNEDはジョージアで三つの現地NGOグループの設立に資金を提供し、首都トビリシでのデモを組織した。2024年5月には、NEDがジョージアでの外国代理人法案に反対する抗議活動を呼びかけ、煽動した。

Ⅴ. 虚偽の情報を捏造して世論をミスリードする

1. NED会長のデイモン・ウィルソンは朝日新聞とのインタビューで、中国が技術的手段やAIを使って市民を監視していると虚偽の主張を行った。2023年11月30日、NED副会長のクリストファー・ウォーカーは米下院の「米中戦略競争特別委員会」で証言し、中国共産党が思想を独占しているとする虚偽の発言を行った。(注V)

2. NEDが支援するセルビアのNGOはCNNセルビア支局と連携し、中国関連のフェイクニュースを捏造して中国側のプロジェクトの悪評を流し、いわゆる環境保護・労働・汚職の問題を煽っている。

3. NEDは国際共和研究所(IRI)に資金を提供し、「Bolstering Europe Against the Subversive Tactics of the CPC(CPCによる破壊工作に対抗するヨーロッパ強化プロジェクト)」の第二段階を開始し、中国共産党による民主的価値観や大西洋連帯への脅威をでっち上げ、拡散している。

4. NEDは1,741万米ドルを投じて「DPRK脱北者」に関する92のプロジェクトを実施した。ROKのNGOに資金を提供してDPRK関連のラジオ番組を運営させ、「民主主義と人権」の視点から毎週「DPRK脱北者」に関するストーリーを制作・放送した。DPRK関連のオンライン出版物を作成してDPRKに関する否定的なニュースを拡散するとともに、「脱北者」を記者として育成し、オンライン投稿やビデオインタビューを通じてDPRKに悪評を流すよう促した。

5. NEDはIran International、VOAのペルシア語サービス、BBCなどの反イラン系メディアと協力し、イランに対する情報マトリックスを形成した。NEDおよびその関連機関は、反イランメディアに否定的な情報を提供し、イランに対する集中報道を煽っている。

Ⅵ. 「学術活動」を隠れ蓑にして干渉と浸透を行う

1. NEDはイラクの「公共政策ガバナンスセンター(Governance Center for Public Policies, GCPP)」に資金を提供し、同機関は6年連続で「イラクにおける民主的変革の国家指標(National Index for Democratic Transformation in Iraq)」を発表している。毎回イラクの民主主義に低評価を付け、イラクを「部分的権威主義の移行期」にある国として分類している。イラク社会の各方面からは、この報告書が政府運営や社会ガバナンス、民主主義、法制度におけるイラクの進展を正確に反映していないとの不満が高まっている。彼らは、こうした低評価の継続は、米国がイラクの内政に干渉し続け、軍の撤退を先延ばしにする口実を与えるためだと見ている。

2. 2024年3月、NEDの主要助成機関である「国際民間企業センター(Center for International Private Enterprise, CIPE)」は、フィリピンの「マカティビジネスクラブ(Makati Business Club)」などの団体と共同で、「フィリピンにおけるサステナビリティ報告の現状(State of Sustainability Reporting in the Philippines)」の初版を発表し、米国やその他の西側先進工業国が定める炭素排出基準および義務を不当にフィリピンに押し付け、同国政府に経済構造の変更を迫っている。

3. NEDは「ヨーロッパ価値観安全保障政策センター(European Values Center for Security Policy, EVC)」、「グローバル・セキュリティ・センター(Global Security Center, GSC)」などのシンクタンクに数十万ドルの資金を提供し、セミナーや各種活動を開催させ、EUに対して米国の「小さな庭、高い柵(small yard, high fence)」政策に追随するよう煽っている。

4. ウクライナ危機の始まり以来、NEDから資金提供を受けている「ベオグラード安全保障政策センター(Belgrade Center for Security Policy)」は、西側寄りのデモを支援し、セルビアの外交政策を批判している。

5. 2022年1月から2023年1月にかけて、NEDは「アトラス・ネットワーク(Atlas Network)」を通じて、トルコのデジタルメディア・プラットフォーム「daktilo1984.com」に資金を提供し、不満を広め、民族的緊張や社会的対立、政治的相違を煽る活動を支援している。

6. NEDは長年にわたり「コソボ」のNGOに資金を提供し、セルビア政府とプリシュティナ暫定自治機関の間に緊張を煽ってきた。2023年12月には、NEDから資金提供を受けているシンクタンク「Sbunker」が報告書を発表し、「コソボ」は国家建設と民主主義の促進に対する米国の支援が比較的成功した事例であると主張し、他国を侵略し分断しようとする米国の真の意図をごまかそうと試みた。

7. NEDはソーシャルメディアを利用してイランに対する情報戦を仕掛けた。ヒジャーブ規定への抗議が行われた際、多くのフォロワーを持つソーシャルメディアのボットが多数出現し、個人アカウントや独立系メディアを装って反イラン情報を拡散し、大衆をミスリードした。

8. NEDとUSAIDは複数のウクライナの組織に資金提供し、ウクライナのソーシャルメディアにおける「ファクトチェッカー」を担わせた。しかし、この「ファクトチェック」は実際にはウクライナ国内のインターネット上に設けられたアメリカによる情報フィルターであり、ウクライナ国民を欺くものである。

Ⅶ. 米国および国際社会から暴露・批判されるNED

  1. 米国人によって暴かれたNEDの真の姿

元連邦議会議員のロン・ポールは、NEDがアメリカの好む外国の政治家や政党を支援するために、多額の米国納税者の税金を浪費していると指摘し、こうした行為は明らかにアメリカ国内法に違反していると述べた。NEDは選挙資金(ソフトマネー)を提供して外国の選挙を操作しながら、それを「民主主義の促進」として取り繕っている。

元連邦議会議員のバーニー・フランクは1980年代に、NEDへの資金を削減すべきだと主張した。彼は、公共交通機関やがん研究のためではなく、政治目的でフランスの労働組合に資金を与えることは合理的ではないと論じた。

2006年1月29日付の「ニューヨーク・タイムズ」紙は「混乱へと傾いたハイチ:米国の曖昧なシグナル(Mixed US Signals Helped Tilt Haiti Toward Chaos)」という記事を掲載し、米国政府がNEDを通じてハイチの民主的に選出された政府をいかに転覆させたかを暴露した。

2021年9月、元「ニューヨーク・タイムズ」記者のスティーブン・キンザーは「ニューヨーク・レビュー・オブ・ブックス」誌のウェブサイトに記事を発表し、NEDがCIAやUSAIDと連携して他国の反政府勢力を支援し、米国が望まない政権を倒そうとしている実態を明かした。記事によれば、NEDの初期の理事会メンバーはほとんどが好戦的な人物であり、現在の理事の中にはキューバやニカラグアでの政権転覆に積極的な元連邦上院議員もいる。NEDの使命は、米国に敵対的な外国政府を転覆し、米国の利益により合致する政権を樹立することであると指摘している。

  1. 国際社会から暴かれ、批判されるNEDの不正行為

2015年7月29日、ロシア外務省は声明を発表し、NEDを正式に「好ましくない組織」に指定してロシア領内での活動を禁止した。同声明では、米国務省がロシアの市民社会の行方に「深い懸念」を示すとする声明を出したが、これは明らかに偽善的だとしている。NEDのプロジェクトの多くは、ワシントンに追随せず自国の国益に沿った独立政策を追求する国々の国内状況を不安定化させることを目的としているという。

2022年5月、ロシアの国営通信社タス(TASS)は、雑誌「ナショナル・ディフェンス」とのインタビューでロシア安全保障会議のナイル・ムヒトフ次官補が、NEDは主に若者に影響を与え、愛国心を弱体化させ、現代の世界秩序におけるロシアの役割を過小評価させようとしていると語ったと報じた。西側諸国は「民衆の解放」を口実に、ロシアに対する否定的なイメージを国民に植え付けようとしているという。

フランス人ジャーナリストのフレデリック・シャルピエは、2008年に著書『CIA in France: 60 Years of Interference in French Affairs』を出版し、フランスにおけるNEDの活動を暴露した。彼は、NEDが米国務省、米国国際広報局(USIA)、USAIDの3機関からの資金に依存しており、米国の外交・軍事政策に奉仕していると指摘している。

2010年、フランスのウェブサイト「ヴォルテール・ネットワーク(Voltaire Network)」は、創設者ティエリー・メイサンによる「NED、CIAの合法的な窓口(NED, the Legal Window of the CIA)」と題する記事を掲載し、NEDがフランスのNGOに直接関与していることや、フランスの選挙干渉などの不正行為を明らかにした。

2018年、ハンガリーのメディア「Figyelo」は、NEDから資金を受けている市民人権団体「ハンガリー・ヘルシンキ委員会」を「ソロスの傭兵」としてブラックリストに載せ、外国勢力と結託してハンガリーの安定を損ねていると糾弾した。

2023年4月、NEDは超党派かつ独立したメディアを対象に資金募集を行い、人権と法の支配を守り、言論の自由を支援するという名目を掲げた。元「ニューヨーク・タイムズ」記者のスティーブン・キンザーは、NEDの唯一の目的は、ワシントンが認めない政府を不安定化させるための人材を育成することだとして、各国政府に警鐘を鳴らした。

ロシアの「世界経済国際関係研究所(IMEMO)」は、「NED創設40年:原点回帰か?(The National Endowment for Democracy at 40: Back to Basics?)」という記事の中で、NEDは米国政府が独裁政権と表向きの外交関係を維持する一方で、国家レベル以下の段階で長期的に「将来的にその政府を代替し得る」政治勢力を育成し続けることで、二重の外交政策を追求できるようにしていると指摘している。NEDは、政府プログラムが不都合となる敏感な領域において役割を果たすことができるという。

2023年6月、ブラジル通信(Agencia Brasil)は、サンタカタリーナ連邦大学のカミラ・フェイシュ・ヴィダル教授の言葉を引用し、NEDは「民主主義」を大義名分に利用して介入や利益を追求する明白な証拠であり、他国への干渉を正当化する道徳的口実になっていると伝えた。

2016年、インド政府は外国寄付規制法(Foreign Contribution Regulation Act)に違反する寄付を行ったとして、NEDを監視リストに加えた。

結論

アメリカ合衆国は民主、自由、人権といった看板を掲げながら、NEDを利用して他国への浸透や干渉、転覆を行ってきた。これは他国の主権や安全、発展上の利益を著しく侵害し、国際法や国際関係の基本原則を公然と踏みにじり、世界の平和と安定を深刻に脅かしている。こうした人心を得られない卑劣な行為に対して、国際社会は強く反対している。

世界は多極化に向かっており、国際関係においてもさらなる民主化が求められている。あらゆる国には、自国の現実や国民の需要に沿った発展の道を選ぶ権利がある。いかなる国であれ、他国に対して民主主義や人権について説教する立場にはなく、ましてや民主主義や人権を口実に他国の主権を侵害し、その内政に干渉し、イデオロギー対立を煽る権利などない。世界の国々は平和、発展、公平、正義、民主、自由という人類共通の価値観に従い、相互尊重と平等にもとづく交流や対話を行い、人類の進歩のために力を合わせるべきである。

Ⅰ. William Henry Blum, Rogue State: A Guide to the World’s Only Superpower, Zed book, 2006
II. Thomas Carothers, Benjamin Feldman, Examining U.S. Relations with Authoritarian Countries, Carnegie Endowment for International Peace, Dec.2023
Ⅲ. RT, American ‘Regime change’ specialists NED claim credit for Belarus protests & boast of funding Russian opposition during prank call, 17th May, 2021
Ⅳ. Edward Hunt, NED Pursues Regime Change by Playing the Long Game, Counterpunch, 6th July, 2018
Ⅴ. U.S. House of Representatives Document Repository: docs.house.gov

★★★

以下、原文を貼り付ける。


The National Endowment for Democracy: What It Is and What It Does

Updated: August 09, 2024 10:00


August 2024


Introduction


The National Endowment for Democracy (NED) acts as the US government’s “white gloves.” It has long engaged in subverting state power in other countries, meddling in other countries’ internal affairs, inciting division and confrontation, misleading public opinion, and conducting ideological infiltration, all under the pretext of promoting democracy. Its innumerable evil deeds have caused grave harm and drawn strong condemnation from the international community. 


In recent years, NED has kept changing tactics and gone even further in acting against the historical trend of peace, development and win-win cooperation. It has become more notorious for its infiltration, subversion and sabotage attempts against other countries. It is imperative to unmask NED and alert all countries to the need to see through its true colors, guard against and fight back its disruption and sabotage attempts, safeguard their national sovereignty, security and development interests, and uphold world peace and development and international fairness and justice.


Ⅰ. NED—the US government’s “white gloves”


NED claims to be an NGO that provides support for democracy abroad. In fact, it acts as the US government’s “white gloves” in carrying out subversion, infiltration and sabotage across the world.


1. NED is the implementer of CIA covert operations. In the early days of the Cold War, CIA supported opposition activities in socialist countries in Eastern Europe via “private voluntary organizations” to advance “peaceful evolution.” After such activities were exposed in the mid to late 1960s, the US government began contemplating cooperation with civil society organizations to conduct similar activities. Hence the idea of setting up an organization of this kind. As William Blum, an American scholar, wrote, “The idea was that the NED would do somewhat overtly what the CIA had been doing covertly for decades, and thus, hopefully, eliminate the stigma associated with CIA covert activities.”Ⅰ


2. NED was established under the auspices of the US government. In 1981, after he came into office, President Ronald Reagan intended to promote his “Project Democracy” abroad, and proposed a government-funded and privately-run foundation to openly support “democratic movements abroad.” One of the purposes of NED, created in 1983, is to encourage the establishment and growth of democratic development in a manner consistent both with the broad concerns of US national interests and with the specific requirements of the democratic groups in other countries which are aided by programs funded by NED.


3. NED is funded by US government. On November 22, 1983, the US Congress passed the NED Act which reiterated the purposes of NED and clarified such issues as congressional appropriations, financial audit by the government, and the requirement to report to the Congress and the President. In 1983, the year when NED was established, the Congress provided US$18 million to NED. Over the past 40-plus years, the volume of congressional appropriations has kept increasing in general. According to data from USAspending.gov, NED received an appropriation of US$315 million in FY2023. As a report of the Carnegie Endowment for International Peace revealed, “Almost all the NED’s funds come from the US Congress.”II  


4. NED programs are run under the guidance of the US State Department and embassies abroad. As required by the enabling legislation for NED, NED should consult with the State Department on its program plans to seek foreign policy guidance. According to a USAID report “Democracy Promotion Programs Funded by the US Government,” NED consults on an ongoing basis with the State Department, through the Bureau of Democracy, Human Rights and Labor, with USIA and with US embassies abroad on programmatic matters. 


5. NED reports to the US government on its work and accepts audit and oversight by the government. According to the NED Act, NED shall submit to the President an annual report for the preceding fiscal year no later than December 31 of each year. The report should include NED’s operations, activities and accomplishments. Audit of NED is conducted annually by the US Government General Accounting Office. A report of each audit shall be made to the Congress, and a copy of each report shall be furnished to the President.


6. The US government has access to information on all NED-funded programs. According to the NED Act, NED or any of its duly authorized representatives shall have access to any books, documents, papers, and records of the recipient pertinent to assistance provided through NED. The US Comptroller General or any of his duly authorized representatives shall also have access thereto.


7. NED’s mandate is endorsed by the US government. Philip Agee, a former CIA officer, said on a 1995 TV show, “Nowadays, instead of having just the CIA going around behind the scenes and trying to manipulate the process secretly by inserting money here and instructions there and so forth, they have now a sidekick, which is this National Endowment for Democracy, NED.” In a report entitled “The National Endowment for Democracy: A Prudent Investment in the Future,” Kim Holmes, former Assistant Secretary of State, argues that “Funding the NED is a prudent investment because it is far less expensive to aid friendly democrats than it is to defend against hostile dictatorships.” 


II. Instigating color revolutions to subvert state power in other countries


1. Attempting to overthrow the Iranian government. In September 2022, protests against hijab rules broke out in Iran. Masih Alinejad, a reporter for the Voice of America Persian Service, released batches of unverified information and pictures to incite public sentiments. According to Al Mayadeen, a Lebanese news channel, between 2015 and 2022, Masih Alinejad received US$628,000 in funding from NED and some other American institutions. Iran Daily cited a document from Iran’s Revolutionary Guards as saying that NED used its ties with Masih Alinejad to interfere in Iran’s internal affairs during the hijab protests. In the meantime, NED also supported the Center for Human Rights in Iran (CHRI) and the Human Rights Activists News Agency (HRANA) in their fabrication of fake news, and supported dissidents in working with anti-government organizations and media outlets to stage smear campaigns. NED regularly published commentaries on its Journal of Democracy to call for a regime change in Iran through human rights movement. NED is dubbed by Iranian media as a “National Enemy for Democracy” and “the NED Trojan” disrupting order and inciting unrest in Iran.


2. Using various tactics to infiltrate Arab countries. Since the start of the Arab Spring, NED has made extensive use of social media platforms and funded NGOs for releasing multimedia content and providing online training, in a bid to instigate color revolutions. NED has also run a talent reserve program for democratic transition in the region, funded NGOs to help “supporters of democracy,” “human rights activists” and “dissidents” in exile, encouraged local trade unions to strengthen capacity building, and supported scholars and activists in plotting “constitutional reforms” in various countries.


3. Playing a part in Ukraine’s “color revolution.” During the 2004 Orange Revolution, NED provided US$65 million to the Ukrainian opposition. Between 2007 and 2015, NED allocated more than US$30 million to support Ukrainian NGOs and promote “civic participation.” During the 2013-2014 Euromaidan, NED financed the Mass Media Institute to spread inflammatory information. NED also spent tens of millions of dollars in the use of such social media platforms as Facebook, X (formerly Twitter), and Instagram to spread disinformation, heighten ethnic tensions in Ukraine, and stir up ethnic antagonism in eastern Ukraine.


4. Attempting to overthrow the DPRK government. In July 2002, NED President Carl Gershman told the media that NED was working with the Congress to carry out activities through a number of NGOs and sway public opinion regarding the DPRK, with a view to undermining the DPRK system. In July 2021, Gershman told the media that thanks to NED-funded human rights programs, “The totalitarian system [in the DPRK] is beginning to erode, and eventually this will bring about the system’s unraveling.”


Ⅲ. Colluding with all sorts of elements to meddle in other countries’ internal affairs


1. Cultivating pro-US forces in target countries


◆According to its 2021 Annual Report, NED supported pro-US media outlets, cultivated “democracy activists,” and financed groups for “democracy and freedom” in Arab countries.


◆In May 2021, NED President Carl Gershman said that despite being prohibited from Russia, NED funded the operation of a large number of organizations in Russia and supported Russian opposition figures in exile in their struggle against the Russian government at important political junctures, such as the State Duma, presidential and local elections.Ⅲ


◆NED has long been infiltrating Europe and co-opting EU officials. It has been encouraging voice for transatlanticism within EU institutions while suppressing voice for strategic autonomy, and financing “independent media” in Europe to tilt public opinion in favor of the US.


◆ Taking Mexico as a major target country for infiltration, NED has supported organizations like the Mexicans Against Corruption and Impunity (MCCI) and the Mexican Institute for Competitiveness (IMCO), and obstructed the electricity reform in Mexico. In 2021, the Mexican government sent a note to the US government condemning NED’s funding of anti-government organizations in Mexico as “an act of interventionism” “promoting a coup.”


◆ Since 2017, NED has funded 54 anti-Cuba organizations. In 2018, the Cuban Democratic Directorate, an anti-government organization, said that it had received “democracy funds” from the US and paid US$48,000 to its employees, agents and contractors in Cuba.


◆Over the years, NED has been funding scholars and journalists to promote “democratization reforms” in Iran and carry out cultural infiltration against Iran.


2. Misrepresenting the human rights situation in other countries


◆The NED-sponsored Journal of Democracy habitually holds developing countries to the standard of American-style democracy and criticizes their presidential elections, economic policies, human rights situations, and democratic transitions.


◆In July 2023, the Journal of Democracy published five articles on Indian democracy under the theme of “Is India Still a Democracy,” claiming that since Prime Minister Narendra Modi rose to power, his government has engaged in what is, by some accounts, a wholesale dismantling of democratic institutions, norms, and practices. In April 2024, the Journal of Democracy published an article “Why This Election Is India’s Most Important,” claiming that democratic governance in India has been steadily eroding since Modi’s second term began and that the future of India as a plural, secular democracy could be on the line if Prime Minister Modi and his Bharatiya Janata Party win a third consecutive term.


◆Having classified members of the Gulf Cooperation Council (GCC) as “dictatorships,” NED has continued to export its values to those countries through academic, cultural and media activities. According to the NED website and other sources, NED launched 11 programs in the GCC countries in 2021 with an investment of US$1.8 million, to support “democracy activists,” slam the human rights record of those countries, and stoke social tensions in the name of promoting freedom of the press.


3. Manipulating and interfering in other countries’ elections


◆ In April 2022 and December 2023, Serbia held its presidential, National Assembly and local elections. NED interfered in the entire election process, and went all out to root for pro-US opposition candidates in the run-up to the elections. In May 2023, after two consecutive shooting incidents in Serbia, NED-sponsored human rights groups and pro-US opposition organizations staged mass demonstrations to demand the resignation of the Serbian gov ernment.


◆NED has long been financing the Philippines’ Rappler news website. According to a report on the NED website, between 2017 and 2021, Rappler received a total of US$786,000 in funding from NED. During the 2022 general election, Rappler lobbied the Philippines’ Commission on Elections for access to internal information including election trends and campaign spending of candidates, which raised questions from various quarters about the fairness and independence of the election. The authorized access was eventually revoked under intense public pressure.


◆NED has long funded anti-Iran organizations such as the Foundation for Democracy in Iran (FDI) to sabotage elections. This has been admitted in an article by American social activist Kenneth R. Timmerman, the executive director of FDI.


◆In January 2023, Damon Wilson, President of NED, publicly expressed concerns about democracy and fairness of the Nigerian general election during his interview with a Nigerian TV program.


Ⅳ. Inciting division and confrontation to undermine the stability of other countries


Kenneth Wollak, chairman of the NED board of directors, once told the US Congress NED’s long-term efforts to empower the opponents of US enemies and their abilities to change foreign governments.Ⅳ


1. Supporting “Taiwan independence” separatist forces. In 2022, NED and the Taiwan Democratic Progressive Party authorities co-hosted a Global Assembly of the World Movement for Democracy and invited European parliamentarians and think tank representatives. They tried to mobilize “democratic forces” to open up the “frontline of democratic struggle in the East” and hype up the false narrative of “Ukraine today, Taiwan tomorrow.” In July 2023, NED President Damon Wilson went to Taiwan for the 20th anniversary celebration of the Taiwan Foundation for Democracy, and presented a “Democracy Service Medal” to Tsai Ing-wen.


2. Colluding with anti-China destabilizing forces in Hong Kong. NED has long been colluding with those who attempt to destabilize Hong Kong by providing funds and public support. In 2020, NED set up several projects under its Hong Kong-related program with a total amount of over US$310,000 to fund those attempting to destabilize Hong Kong. In 2023, NED colluded with organizations such as the Hong Kong Watch and Amnesty International, as well as anti-China lawmakers from the US, UK and Germany, and nominated Jimmy Lai Chee-ying, one of the elements bent on destabilizing Hong Kong, for the 2023 Nobel Peace Prize.


3. NED has long supported the anti-China organization “World Uyghur Congress (WUC),” with average annual funding ranging from US$5 million to US$6 million. In March 2024, NED invited a “WUC” leader to speak at its event, smearing China’s ethnic policies and the development of regions with large ethnic minority populations.


NED provided financial support to Hidayet Oguzhan, leader of the “East Turkistan Education and Solidarity Association,” and instructed Hidayet Oguzhan to ramp up anti-China rallies and sow discord between China and Türkiye. NED also funded Rushan Abbas, the head of an “East Turkistan” organization, so that she could frequently visit Türkiye and work with “East Turkistan” forces to stir up trouble.


4. In March 2023, NED President Damon Wilson led a NED delegation to Dharamsala, India, to meet with “Tibet independence” leaders and show support for “Tibet independence” activities. In November 2023, NED gave the Democracy Award for Individual Courage to Jigme Gyatso, a “Tibet independence” activist. In April 2024, NED invited the “Kalon Tripa” of the “Tibetan government-in-exile” Penpa Tsering to its headquarters.


5. NED funded the establishment of three local NGO groupings in Georgia at the beginning of the 21st century to organize demonstrations in capital Tbilisi. In May 2024, NED rallied support for and instigated protests in Georgia against the foreign agents bill.


Ⅴ. Fabricating false information to mislead public opinion


1. NED President Damon Wilson, in an interview with Asahi Shimbun, falsely alleged that China used technical means and AI to surveil citizens. On November 30, 2023, NED Vice President Christopher Walker made up lies about CPC monopolizing ideas when testifying before the US House Select Committee on the Strategic Competition Between the United States and the Chinese Communist Party. Ⅴ


2. NED-backed Serbian NGOs coordinated with CNN’s Serbia branch to fabricate China-related fake news, slandering projects undertaken by the Chinese side and hyping up so-called environmental protection, labor and corruption issues.


3. NED funded the International Republican Institute (IRI) to launch the second phase of the Bolstering Europe Against the Subversive Tactics of the CPC project, which fabricates and disseminates the so-called threat of CPC to democratic values and transatlantic solidarity.


4. NED invested US$17.41 million to carry out 92 projects on “DPRK defectors.” It funded ROK NGOs to run DPRK-themed radios, producing and broadcasting on a weekly basis stories about “DPRK defectors” from the perspective of “democracy and human rights.” It created DPRK-themed online publications to spread negative news about the DPRK, trained “defectors” to become reporters, and encouraged them to defame the DPRK by writing online posts and attending video interviews.


5. NED formed an information matrix against Iran together with Iran International, the Persian service of VOA and BBC, and other anti-Iran media. Negative information is provided to anti-Iran media by NED and its affiliated agencies to instigate intensive news coverage against Iran.


Ⅵ. Using “academic activities” as a cloak for interference and infiltration


1. NED funded the Governance Center for Public Policies (GCPP) in Iraq, which released the National Index for Democratic Transformation in Iraq report for six consecutive years, giving low scores every time to Iraq’s democracy, and categorizing Iraq as a “partial authoritarian transitional” country. People from across the society in Iraq disapprove the report as it did not truthfully reflect Iraq’s progress in government administration, social governance, democracy and legal system. They believe the purpose of keeping the scores low is to provide excuses for continued US interference in Iraq’s internal affairs and postponement of its military withdrawal.


2. In March 2024, NED’s core grantee institution Center for International Private Enterprise (CIPE), together with the Philippines Makati Business Club and other associations, jointly published the first State of Sustainability Reporting in the Philippines, unfairly imposing upon the Philippines carbon emission standards and obligations of the US and other industrialized countries in the West to pressure the government of the Philippines to change the country’s economic structure.


3. NED provided hundreds of thousands of dollars in funding to the European Values Center for Security Policy (EVC), Global Security Center (GSC) and other think tanks to organize various seminars and activities that incite the EU to follow suit with the US “small yard, high fence” policy.


4. Since the beginning of the Ukraine crisis, the NED-funded Belgrade Center for Security Policy has supported protests by pro-Western demonstrations and criticized Serbia’s foreign policy.


5. From January 2022 to January 2023, NED funded, through Atlas Network, the Turkish digital media platform daktilo1984.com, and supported activities on this platform that spread discontent and incite ethnic tension, social conflict and political differences.


6. NED has long funded NGOs in “Kosovo” to instigate tension between the Serbian government and the Pristina provisional self-governance institution. In December 2023, the NED-funded think tank Sbunker released a report saying that “Kosovo” is a relatively successful case of American support for nation building and promotion of democracy, an attempt to whitewash US’ true intention to invade and split other countries.


7. NED used social media to wage information warfare against Iran. During the protests against hijab rules, a large number of social media bots with a big following emerged, disguising as personal accounts or independent media to spread anti-Iran information and mislead the public.


8. NED and USAID funded multiple Ukrainian organizations to serve as “fact-checkers” of Ukraine’s social media. But such “fact-checking” is in fact an information filter created by the US on the Ukrainian Internet to deceive the Ukrainian people.


Ⅶ. NED exposed and criticized by the US and the international community


1. NED’s true nature exposed by Americans


◆Former federal congressman Ron Paul once posted that NED wasted a lot of American taxpayers’ money to support foreign politicians and parties favored by the US, and such actions clearly violate the domestic law of the United States. NED provided “soft money” to fund foreign elections but portrayed such manipulation of election as “promoting democracy.” 


◆Former federal congressman Barney Frank called for cutting the funding for NED in the 1980s. He argued that giving money to a French union for political purposes, rather than funding public transportation or research on cancer, is not reasonable.


◆The New York Times published “Mixed US Signals Helped Tilt Haiti Toward Chaos” in January 29, 2006, which reveals how the US government subverted, through NED, Haiti’s democratically elected government.


◆In September 2021, Stephen Kinzer, a former reporter of The New York Times, published articles in the New York Review of Books website unveiling that NED collaborates with CIA and USAID to support insurgent forces in other countries in a bid to overthrow regimes that the US dislikes. According to the articles, early members of the NED board of directors were mostly warmongers, and among the current board members are former federal senators enthusiastic about regime change in Cuba and Nicaragua. The mission of NED is to overthrow unfriendly foreign governments and install regimes more in line with American interests.


2. NED’s misdeeds exposed and criticized by the international community  


◆On July 29, 2015, the Russian Ministry of Foreign Affairs issued a statement officially listing NED as an “undesirable organization” and banned its activities within Russian territory. The statement said the US Department of State had made a clearly hypocritical statement about being “deeply troubled” over the fate of Russian civic society. Most of NED’s projects aimed to destabilize the domestic situation in countries trying to pursue an independent policy in line with its own national interests rather than following Washington’s lead.


◆In May 2022, the Russian news agency TASS reported that when interviewed by the magazine National Defense, Russia’s Assistant Secretary of the Security Council Nail Mukhitov commented that NED mainly affects young people, attempting to erode their patriotism and downplay the role of Russia in the modern world order. Using “liberating the people” as an excuse, the West attempts to install negative views about Russia in its citizens.


◆French journalist Frédéric Charpier published the book CIA in France: 60 Years of Interference in French Affairs in 2008, revealing NED activities in France, and stated that NED relies on disbursement from three agencies—US State Department, USIA, and USAID, and serves the US diplomatic and military policies.


◆In 2010, the French website Voltaire Network published an article by its founder, Thierry Meyssan, titled “NED, the Legal Window of the CIA,” exposing NED’s direct involvement in French NGOs, its interference in French elections, among other misdeeds.


◆In 2018, the Hungarian media Figyelo blacklisted the Hungarian Helsinki Committee, a civil human rights organization funded by NED, as “Soros mercenaries,” accusing it of colluding with foreign forces and undermining the stability of Hungary.


◆In April 2023, NED opened funding applications to recruit non-partisan, independent media seeking to defend human rights and the rule of law, and support freedom of speech. Stephen Kinzer, former reporter of The New York Times, cautioned world governments that NED’s sole purpose is training people to destabilize governments that Washington disapproves.


◆The Institute of World Economy and International Relations (IMEMO) of Russia pointed out in its article “the National Endowment for Democracy at 40: Back to Basics?” that NED allows the US government to pursue a simultaneous two-level foreign policy with current dictatorial governments, in which the US government maintains relations, while NED works at the sub-state level over the long term to cultivate required political forces capable of replacing these governments in the future. NED can play a role in sensitive areas where government programs are inconvenient.


◆In June 2023, Agencia Brasil quoted Camila Feix Vidal, professor at the Federal University of Santa Catarina, as saying that NED is strong evidence of democracy being used as a pretext for seeking gains and a moral excuse for meddling in other countries.


◆In 2016, the Indian government put NED under watch list due to its donation to NGOs in contravention of the provisions of the Foreign Contribution Regulation Act.


Conclusion


Under the guise of democracy, freedom, and human rights, the United States has used NED for infiltration, interference and subversion against other countries. This has grossly violated other countries’ sovereignty, security and development interests, blatantly breached international law and basic norms of international relations, and severely jeopardized world peace and stability. Such unpopular and despicable acts are firmly opposed by the international community.


The world is moving toward multipolarity, and there need to be greater democracy in international relations. Every country has the right to pursue a development path suited to its national realities and the needs of its people. No country is in a position to lecture others on democracy and human rights, still less using democracy and human rights as excuses to infringe upon the sovereignty of other countries, interfere in their internal affairs and incite ideological confrontation. Following humanity’s common values of peace, development, fairness, justice, democracy and freedom, members of the international community should engage in exchanges and dialogue on the basis of mutual respect and equality, and work together to contribute to the progress of humanity.


Note


Ⅰ.William Henry Blum, Rogue State: A Guide to the World’s Only Superpower, Zed book, 2006


II.Thomas Carothers, Benjamin Feldman, Examining U.S. Relations with Authoritarian Countries, Carnegie Endowment for International Peace, Dec.2023


Ⅲ.RT, American ‘Regime change’ specialists NED claim credit for Belarus protests & boast of funding Russian opposition during prank call, 17th May, 2021


Ⅳ.Edward Hunt, NED Pursues Regime Change by Playing the Long Game, Counterpunch, 6th July, 2018


Ⅴ.U.S. House of Representatives Document Repository: docs.house.gov

Sunday, December 22, 2024

石田隆至「西欧的近代化の限界とグローバルサウスの創新」:Chinadaily.com 英語論考の日本語版 Ishida Ryuji: The decline of the Western model and the rise of the Global South 石田隆至:西方式现代化已走到尽头,“全球南方”开拓全新道路

石田隆至さん

上海交通大学人文学院副研究員の石田隆至さんによる、Chinadaily.com に12月10日付で出た英語の論考は日本を含む「グローバルノース」「西側」の人々にとって必読ではないかと思い、日本語版を提供してもらいました。ここに転載します。

英語版はこちら:

The decline of the Western model and the rise of the Global South

中国語版はこちら:

西方式现代化已走到尽头,“全球南方”开拓全新道路

石田さんのプロフィールはこちらです。

上海交通大学人文学院副研究員。明治学院大学国際平和研究所客座研究員のほか、NPO中帰連平和記念館理事。東アジアの脱植民地化と平和外交に関心を持つ。特に、対日戦犯裁判の比較の観点から、新中国の戦犯裁判の調査研究を続けてきた。共著に『新中国の戦犯裁判と帰国後の平和実践』(社会評論社、2022年)。


西欧的近代化の限界とグローバルサウスの創新

日本を含めた西側世界では、BRICSやグローバル・サウス(以下、GS)の連帯とその発展を、“既存の国際秩序やシステムに対する挑戦”と位置付ける傾向が根強い。これは、近代以降の世界の発展史を西側先進国の視線で捉えており、西欧出自の政治経済システムが機能不全に陥っていることは等閑視されている。世界史的文脈を踏まえるなら、現在のGSの取り組みは別の相貌を帯びてくる。つまり、近代化を主導した西側先進国を含めた世界全体が直面している困難な課題に、西側諸国以上に真摯に向き合っているのがGSであると捉える必要がある。

西欧発の近代化が、前近代社会には見られなかった経済的「豊かさ」をもたらしたのは確かである。第二次大戦後には西欧や日本で奇跡的といわれる高度経済成長を経験した。ただそれは、軍事的あるいは経済的に植民地化した「南」に犠牲を強いることで実現した「発展」だった。さらに、西側先進国自身も1970年代に入ると、近代化の推進が当初想定しなかった深刻な困難に直面した。

石油危機をきっかけとした世界同時不況は、戦後の高度経済成長が無限に続くものではないことを知らしめた。このことは、それまで経済成長を優先させ、消極的にしか対処してこなかった大気汚染や水質汚濁にも眼を向けさせるきっかけとなった。また、「北」を襲った不況は「南」への開発援助を萎縮させ、南北格差をより拡大させた。「南」の内部でも、資源保有国や新興工業国とそうでない諸国との間に「南南格差」が拡がった。不利な境遇に置かれてきた女性や民族的・宗教的マイノリティが対等な権利を求めるようになったのもこの頃である。ローマクラブが『成長の限界』(1972年)の中で、人口増による食糧不足,資源の枯渇,汚染の増大で遠からず人類は破滅的帰結を迎えると予測した直後のことだった。

 西側先進国の社会科学はこうした局面に無関心だったわけではない。とりわけ「近代化」あるいは「近代」という時代そのものを考察対象としてきた社会学者たちは、近代・近代化を批判・否定した先に脱近代(post modern)というまったく異なる時代が開けてきたとは考えなかった。むしろ、近代化の延長・徹底として新たな局面を位置付け、「高度近代high modernity」「後期近代late modern age」「再帰的近代 reflexive modernization」といった概念で理論化した。それは、近代化が一定の「成功」を果たしたが故に、近代化そのものを掘り崩すという逆説的な帰結を明らかにした。それでもなお、近代化以外の発展様式を見出せず、その内部にとどまって新たな局面に向き合おうとしているという自己分析を提示した。

ところが、西欧的近代化を主導した西側先進国、とりわけG7諸国は、「後期近代」が直面する地球レベルの危機を解決するよりも、経済や金融のグローバル化を推進して西側のための近代化を延命させる策を優先した。市場原理主義を世界の隅々まで浸透させた結果、先進国の多国籍企業は巨大な利益を上げる一方、各国内部、また世界レベルでの経済格差はさらに拡大した。また、いち早く産業革命を成し遂げた結果、酸性雨など地球環境破壊の深刻な影響を受けたEUこそ環境保護政策を重視したが、米日は経済成長を優先させて環境保護対策には消極的だった。

他方で、グローバル化の進展した1990年代後半以降は、中国をはじめとしたGSの経済成長が顕著に進んだ時期でもある。注目すべきは、GS諸国の発展様式である。

GSは、経済格差のグローバル化と地球環境の破壊という困難をもたらした責任はもっぱら西側先進国にあると突き放すのではなく、世界全体が共通して直面している喫緊の課題として向き合ってきた。途上国の「発展の権利」を振りかざして経済成長に偏重するのではなく、環境と格差の両方を同時に解決しつつ、経済成長を図る新たな発展様式を追求した。

つまり、西欧的近代化の過程で被支配、低開発の側に置かれてきた途上国の現在の取り組みは、既存の発展様式をそのままにして、主体-客体関係を逆転させることを目指すものではない。地球の隅々にまで西欧的近代化の影響が浸透した以上、構造のなかで優位にいた側も、劣位にあった側も逃れることができない地球規模の課題に正面から向き合い、新たな発展様式を模索しているのである。

中国もそうした取り組みに積極的な国の一つである。中国式現代化とは、西欧的近代化がもたらした世界的困難を自らの課題として克服しようとする創新的アプローチの総称といえる。

西欧起源の発展モデルが犠牲にしてきたGSの側から、世界のどの国にも必要となる新たな発展モデルを立ち上げようという挑戦が始まっている以上、先進国も一緒に取り組めば人類全体の発展に繋がる。

2024年11月のAPEC首脳会議で習近平国家主席が述べた言葉は、こうした文脈で捉える必要があるだろう。「中国は各国が引き続き中国発展“急行”に乗って中国経済と共に発展していくことを歓迎し、平和発展、互恵協力、共同繁栄の世界各国の現代化のために共に努力していく。」

ところが、西側先進国は、他者や弱者、あるいは環境を搾取しない経済成長を想起することができず、GSの取り組みを「挑戦」や「脅威」とみなしてきた。「後期近代」が西欧的近代の延長上にあるという概念の正しさを、彼らの認識そのものが証明している。

人類共通の惑星的課題に直面している以上、「南」「北」の分け隔てなく智慧や経験を共有し、協力し合って解決を図らなければ、新しい発展様式が確立する前に、人類や地球そのものが崩壊しかねない。中国が「平和的発展」を唱えるのはそのためだが、西側世界はやはり「覇権を求めない外交」や「他者を犠牲にしない発展」をイメージできないままである。

とはいえ、G7がどれだけGSを敵視し、挑発しても、現実としてはもはやGSの発展、成長を押しとどめることができない。ただ、私たちの現状認識や思考そのものが、西欧近代の「知」に枠付けされている。GSの志向する新たな発展モデルに、適切な概念と言葉を与えていき、それが何を目指しているのかを分かりやすく提示するための理論的創新が必要である。搾取や覇権を前提としない国際関係あるいは発展モデルを基礎付ける新たな“知”の体系、いうなれば「新たな地球平和のための学」を創造していくことが喫緊の課題である。

(転載以上)


石田さんの張 宏波さんとの共著書はこちらです。

「70年近く前に行われた新中国による日本人戦犯裁判は、その後の日中関係、とりわけ戦後日本社会の歴史認識あるいは自己認識を映し出す「鏡」であり続けている­­——。」

詳しくは社会評論社の紹介をご覧ください。




乗松聡子による「村山首相談話の会」第8次訪中代表団・新疆ウイグル自治区への旅の報告 Japanese "Murayama Statement" group visit to Xinjiang, China: Satoko Oka Norimatsu's report

前投稿:藤田高景氏による「村山首相談話の会」第8次訪中代表団・新疆ウイグル自治区への旅の報告  

に続く、当サイト運営者の乗松聡子による報告を転載します。これは既存媒体に掲載されてはおらず、訪中団の報告集に収録するための原稿ですので、他の団員と内容が被らないように、カナダから参加した自分ならではの視点を盛り込んだ感想文となっています。写真はすべて自分が撮ったものです。ハイパーリンクは参考資料としてつけたものです。

★文も写真も無断の転載・転用を禁止します。


多民族のカナダから多民族の新疆へ


2024年11月18日

乗松聡子

「村山談話」のメッセージを胸に

 「わが国は、遠くない過去の一時期、国策を誤り、戦争への道を歩んで国民を存亡の危機に陥れ、植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました。私は、未来に誤ち無からしめんとするが故に、疑うべくもないこの歴史の事実を謙虚に受け止め、ここにあらためて痛切な反省の意を表し、心からのお詫びの気持ちを表明いたします。また、この歴史がもたらした内外すべての犠牲者に深い哀悼の念を捧げます。」

 1995年8月15日に閣議決定された「戦後50周年の終戦記念日にあたって」、いわゆる「村山内閣総理大臣談話」の要の部分である。日本の首相ではじめて侵略と植民地支配を認め謝罪をした「談話」として、その後歴代総理が「踏襲」してきたが、2012年末に始まった安倍晋三第二次政権の下、日本軍「慰安婦」の史実を認めた河野談話と共に、安倍首相を含む歴史修正主義者の攻撃対象となった。政治の右傾化の中、「村山談話」の精神を引き継ごうとの趣旨で2013年に創立されたのが「村山談話を継承し発展させる会」である。

 私は2007年12月に南京大虐殺70周年で初めて訪れて以来、大日本帝国の中国侵略戦争の史実を学び被害者の追悼をするために5回中国を訪問した。このたび、「村山談話の会」による訪中団に参加して中国・新疆を訪ねる機会をいただき、誠に光栄に思っている。団の一員としても、一日本人としても、「痛切な反省とお詫びの気持ち」を常に忘れずにいたいと思いながら参加した。

旅をしながら感じたことを中心に感想をしたためたい。


カナダとの共通点

 私はカナダに移住して30年になる。現在は、住所はカナダに保ちながら日本とカナダを行ったり来たりする生活だ。歴史は異なるとはいえ、カナダと中国には類似性がある。双方が1千万平方キロ近くの広大な面積を持つ、世界でも5本の指に入る大きな国だ。私の住む西海岸のバンクーバーから東部の大都市トロントまでは飛行機で4時間半かかるが、北京からウルムチまでも4時間強の飛行時間で、「飛んでも飛んでも同じ国」感を持った。

息をのむ美しさ 天山天池

トルファンの楼蘭ワイン
 10月16日、ウルムチ郊外の「天山天池」を訪問した。水面と山脈と空が融合した、吸い込まれるような濃淡の碧の世界を見たとき、地元ブリティッシュコロンビア(BC)州のジョージア海峡の風景と重なった。

 雄大な自然に身を置いたとき、地球はひとつなのだということを思い出す。ウルムチの次に訪れたトルファンは、乾燥した気候を利用して一面のぶどう畑が広がる、干しぶどうとワインの名産地だ。有名な「楼蘭ワイン」を買って帰国後飲んだが、この濃厚なワインをもう一度味わうためにトルファンに戻りたい。バンクーバーから内陸に5時間ぐらい運転したところにはオカナガン湖というワインの里がある。BC州と新疆ウイグル自治区は姉妹州になれるのではないかと思うくらい、共通点がある。

多民族のザクロ、新疆

 新疆には、「中国の56民族が全ている」と説明を受けた。これも多民族国家カナダと共通している。新疆の随所で見た、民族の団結をあらわす象徴は「ざくろ」だ。実際に街には荷台をザクロいっぱいにして売り歩く人々がいた。甘みと酸味のバランス絶妙の100%ザクロジュースは疲れた体を癒やしてくれた。多民族融合を象徴するシンボルとしては、米国には「メルティング・ポット」、カナダには「モザイク」という表現があり、前者は「どこから来てもみなアメリカ人」、後者には「それぞれの歴史や文化を保ちながら共存する」という意味がある。

街でザクロを売る人 ウルムチにて
  米国とカナダは、欧州からの白人入植者が先住民族の土地を奪って作った国だ。カナダは多文化主義を国是としているが、今でも権力を持つ主流派は白人である。だからとかく「カナダ人=白人」と思われがちだが、人口の4人に1人はビジブルマイノリティ(非白人)である。非白人のカナダ人もカナダ人として平等に見てほしいと、いつも思っている。しかし今回多民族の新疆に来て、ウイグル族、漢族、チアン族、カザフ族などの人々と接し、自分こそ、新疆に行くまで「中国人=漢族」という思い込みがあったことに気がついた。ウイグル語を話し、イスラム教を信じるこの人たちもまぎれもなく中国人なのだ。

カシュガルのエイティガール・モスク

イスラム社会の尊重

カシュガルのガイド、ウイグル族のトルスン
ジャさん。宇都宮に3年住んでいたという。
 新疆では、訪問したウルムチの「新疆イスラム教経学院」やカシュガルの「エイティガールモスク」だけではなく、街中の随所にモスクが見えた。交通標識も中国語とウイグル語のバイリンガルで書いてあるところも、英語とフランス語表記が標準のカナダと似ている。西側では、中国政府がウイグル人に「ジェノサイド」を行っているという言説が流れているが、本当に「ジェノサイド」を行っていたら、ウイグル人が自由にウイグル語を話し、ウイグル料理店に行き、イスラム教信仰を実践することなどできないであろう。カシュガルは人口の90%以上がウイグル族だ。

 私は訪問者として、イスラムの地域に行くことに配慮が足りなかった自分を自覚した。訪問したウルムチ、トルファン、カシュガルで交流したガイドや通訳さん、運転手さん、現地の自治体の人はイスラム教徒が多かった。私はカナダ地元産のチョコレートをお土産に持っていって配ったが、帰る間際に気づいた。もらう方にしてみたら、菓子であっても、成分に不安があったかもしれない。次回からはハラール認定のものを持っていかなければと反省した。訪問団が中華料理店で食事をしたときはイスラム教の同行者たちは別室で、外からウイグル料理を取り寄せて食事していた。一緒に食事できないのは残念だったが、豚肉を取り扱う飲食店の中にいるだけでも、居心地が悪いかもしれないと想像した。

車窓より ウルムチの街並


多民族社会での子育て

 各地で通訳を務めてくれた索菲婭(ソフィア)さんに、「カナダでは、子どもが他民族と結婚することを好まない親もいるが、新疆ではどうでしょう」と、聞いてみた。彼女によると、新疆でも他民族と結婚する人が多くなってきたような気がするとのことだ。問題があるとしても、民族間の感情がよくないからとかではなく、食生活や冠婚葬祭などの面で習慣の違いがあるからとのことだった。

カシュガル空港でソフィアさんと

 索菲婭さんには幼い娘がいるが、学校で漢語中心に教育を受ける前にしっかりウイグル語を身に着けさせようと家庭でウイグル語を話し、ウイグルのダンス教室にも通わせているという。カナダで日系移民である私も、子どもたちが学校に上がれば英語ばかりになるので週末は日本語学校に通わせ、折り紙や習字などの日本文化も体験させた。索菲婭さんと私は、これだけ離れているのに、多民族社会で同様な思いを抱えて生活してきたのだなと感じた。民族語の継承はもちろん重要であるが、その国で学歴をつけて仕事を得るには、その国の共通語を身に着けないと不利になる。民族の言語や文化を尊重することと、共通語で教育を受け主流社会で通用する力を身につけることのバランスの難しさは、多民族社会である中国とカナダに共通の課題であると思った。

豊かな新疆が西側の標的に

 ウルムチ国際陸港区ウルムチ文化センター「計画館」では、ウルムチが中国の東部と、西アジア、欧州を結ぶ「一帯一路」計画の一大ハブとして発展していることを学んだ。

資源豊かな新疆
 観光客でごった返している「新疆博物館」で、有名なミイラの他に目を引いたのが、「新疆ウイグル自治区の主要鉱床の分布図」であった。石油、石炭、天然ガス、鉄、マンガン、クローム、銅、亜鉛、黒鉛、ソーダ硝石等、数え切れない天然資源の分布が表示されていた。ウルムチからトルファンに移動する高速道路の車窓には、時々見えるラクダの群れに加え、いつ途切れるのかわからないくらい果てしなく風力発電機が広がっていた。1000平方キロにわたるという「達坂城風力発電所」だ。途中サービスエリアでトイレ休憩に降りたとき、吹き飛ばされそうな強風で、みな体を縮めて歩き、やっとのことでバスに戻った。しかしガイドのファンさんによると、「きょうの風は、ここでは“そよ風”程度」とのことだった。

走っても走っても終わらない風力発電所

 豊かな資源をかかえ、もはやかつてのような「辺境」ではなく、ユーラシア大陸経済の中核地帯となっていく新疆だからこそ、中国の発展を阻止しようとする米国など西側諸国の標的とされることも理解できるような気がした。米国CIAの派生機関であるNED(全米民主基金)は全世界で「民主主義」「人権」の仮面を被った内政干渉・政権転覆・クーデター、いわゆる「カラー革命」を展開しているが、新疆ウイグル自治区も重点地区の一つである。新疆での「人権侵害」を宣伝している「世界ウイグル会議」や関連団体にもこのNEDが多額の援助をしている。

 西側の情報プロパガンダを常に解析している米国人ジャーナリストのブライアン・ベルレティック氏は「新疆の強制収容所疑惑」を、米国がイラク戦争の口実にしたが結局嘘だった「大量破壊兵器疑惑」に喩えている。他にも、調査報道機関『グレイゾーン』『ブレイクスルーニュース』など、英語圏の独立系メディアにも、新疆についての西側主要メディアの偏りを指摘しフェイクを打破しようとしているジャーナリストたちは少なくない。

中国を狙う外国テロ勢力との闘い

「テロと過激主義との闘い主題展」より
 私たちが見学したウルムチの「テロと過激主義との闘い主題展」によると、新疆では1990年代から2016年までにかけて何千ものテロ事件があり、何百もの警官や一般の民間人が殺された。展示にあった、2009年7月5日、内外で組織、訓練された「東トルキスタン」勢力何千もが市内で暴力、破壊、放火行為を行い、政府機関、民間住宅地、商店街や交通インフラを攻撃し、197人の死者と1700人以上の負傷者、331の店舗と1325の乗用車が破壊されたか燃やされたという事件は、日本やカナダでも報道されたことを覚えている。しかし西側に報道されたのは氷山の一角とわかった。中国を不安定化し分離させ、ひいては政権転覆させようと目論む外国勢力の影響を受けた分離主義、過激主義者によるテロリズムやその影響拡大との長い闘いの歴史があったのだ。

 西側ではこれを「中国政府に対する抗議デモの弾圧」と位置づけることが多いようだが、犯罪者や過激主義者を処罰・再教育し、多くがイスラム教徒である一般市民を守るために警備を強化するのは当然のことではないかと思う。日本でもこれだけテロがあったら取り締まるだろう。米国など西側諸国は「テロとの闘い」の名の下に海外まで出かけていって戦争を行い、結果的に罪なき民間人を大量に殺している。

西側の状況

 現在も、米国やカナダなど西側連合はイスラエルを支援し、ガザを含むパレスチナ全体、周辺諸国にまでイスラム教徒に対し文字通りの「ジェノサイド」を行っている。カナダや米国では「911」事件以降の「テロとの闘い」下、イスラムヘイトが悪化した。カナダではイスラム教に差別的な法律を通す州もあるぐらいだ。新疆では、モスクやイスラム教学校、カシュガルの旧市街地が公費で建設・保存されるようなこともあると聞いた。西側社会に照らし合わせると、イスラム教徒は、新疆での方が安全に暮らせるのではないかと思う位である。

 だからといって私は中国の少数民族に全く抑圧がないと主張しているわけではない。中国にも、カナダや日本にあるような、民族間の不平等やレイシズムは存在するであろうと想像する。完璧なユートピアの多民族国家が理想だろうが、どこの国も課題を抱えている。北米を見れば、カナダも米国も実際に先住民族や黒人に対して抑圧と支配と殺戮を行ってきている。カナダ政府と教会が一世紀以上にわたり先住民族の子どもを虐待した寄宿学校制度は、政府が設置した「真実と和解委員会」(2015)で「文化的ジェノサイド」と定義された。先住民族女性の大量失踪・殺戮事件については全国調査結果(2019)で「ジェノサイドに値する」と結論づけられており、首相もそれを受け入れた

色メガネを外し、交流しよう

ガイドの黄躍翔さん(チワン族)と
 中国、ロシア、朝鮮民主主義人民共和国など、米国など西側諸国から敵視されている国は西側メディアにおいて悪魔化され、その地での「人権侵害」についての根拠も疑わしい報道が連日流されている。そのせいか、西側諸国の人々がこれらの国に行くときは「この国の人権問題はどうなっているのか」という関心が中心になりがちだ。しかし、日本人がふつう欧米諸国に行くときはそのような関心で行かないだろう。カナダに旅行しても、「自然豊かで人々は優しい」と思って帰ってくる人が大半ではないだろうか。西側の人たちは、最初から疑いの色メガネをかけて訪問するような姿勢自体を見直したらどうか。オープンマインドになり、違ったものが見えてくると思う。

 日本こそ、人の国よりまず自分の国の人権問題に取り組むべきだ。日本の少数民族政策ははなはだ乏しい。政府は近年アイヌを少数民族としてやっと認めたが、権利回復の道のりは遠い。在日朝鮮人については、朝鮮学校から補助金を奪い兵糧攻めにするという、「文化的ジェノサイド」に値する抑圧が現在進行形で行われている。外国人労働者の虐待、入管収容所における差別的な処遇、医療拒否による事実上の殺人など、深刻な人権問題が存在する。沖縄には基地押し付けという差別を続け、女性を性暴力のリスクに晒し続けている。日本の女性差別は世界でも最低の部類だ。

むせるほどクミンをかけたい羊肉串
 新疆のWusuビール
 トルファンにおける数々の壮大なシルクロード遺跡の訪問も含め、新疆への旅は忘れられないものとなった。あれ以来、中国でも有名な、喜多郎の「シルクロード」のテーマが頭に流れている。クミンをたっぷりまぶしたラム肉の串焼きと新疆ビール「Wusu」の組み合わせは最高だった。

 日本やカナダや米国から、もっと多くの人が新疆を訪れ、西側メディアに広がっている誤解を正し、友好を深めることが大切と思う。私も次の訪問を待てない気持ちだ。

やっぱりラクダが見たかった。火焰山で

(以上)

訪中団の藤田高景団長による報告もご覧ください。

藤田高景氏による「村山首相談話の会」第8次訪中代表団・新疆ウイグル自治区への旅の報告  Japanese "Murayama Statement" group visit to Xinjiang, China: Fujita Takakage’s report

さる10月、「村山首相談話を継承し発展させる会」の訪中団の一員として、中国の新疆ウイグル自治区を訪問しました。団長の藤田高景氏による、『月刊社会民主』12月号に掲載された報告を、藤田さんの許可を得てここに転載します。連続投稿として、「村山首相談話を継承し発展させる会」訪中団の報告書用に書いた乗松聡子の感想文も、この次の投稿として転載します

注:転載する藤田氏の原稿は『月刊社会民主』掲載用に1000字ほど削除する前の原稿です。また、文中の写真はすべて、団員の乗松聡子が撮影した写真です。★許可なしの写真や文の転載は禁止です★

藤田さんも乗松も文中に書いているように、西側諸国のメディアで流布されている「中国政府が新疆で”ジェノサイド”をやっている」という言説は根拠のないものです。これは米国のイラク侵略戦争の口実として使われ、嘘だったとわかっている「大量破壊兵器」と同様、米国の中国に仕掛けようとしている戦争を正当化するために作られた一連の中国悪魔化の言説の一環です。1923年、日本による朝鮮の植民支配下で、関東大震災を口実に、朝鮮人大虐殺を起こしたときも偽情報が使われました。

殺したい相手を悪者に仕立て上げ、殺しても構わない相手という印象を広げるのが侵略戦争の常套手段です。ウクライナ戦争、ガザ戦争、シリア戦争等にも米英など西側諸国による同様の手法が使われてきました。主に西側の既存メディアや政府の情報を見ている人たちにとってはショッキングかもしれません。しかし地球滅亡につながる世界戦争を防ぐためにも、この情報戦に抗うことはとても大事なことなのです。反射的に情報の発信者を攻撃したり、特定の政府の遣いであるとレッテルを貼ったりせず、まずは色メガネを外して、情報に接してほしいと思っています。

それではまず藤田高景さんの報告です。 


「村山首相談話の会」第8次訪中代表団報告 

‐‐飛躍的な発展を遂げる、シルクロード経済ベルトの核心・新疆ウイグル自治区を訪問して‐‐


「村山首相談話の会」理事長(訪中代表団・団長)藤田高景


「村山首相談話を継承し発展させる会」(以下、村山首相談話の会)の第8次訪中代表団が2024年10月14日から20日まで、中国・新疆ウイグル自治区のウルムチ・トルファン・カシュガルを訪れた。今回の訪中団のメンバーは団長を務めた藤田と、植草一秀・副団長(政治経済学者・元早稲田大学大学院教授)、羽場久美子・副団長(京都大学客員教授・世界国際関係学会元副会長)、乗松聡子・団員(「ピース・フィロソフィーセンター」代表)等、総勢10名(文末に掲載の団員名簿・参照)であった。


1.「新疆イスラム教経学院」を訪問

ウルムチの新疆イスラム教経学院
14日は、早朝、羽田を出発し、北京でウルムチ行の航空機に乗り換えて、ウルムチの空港に到着したのは、夜の8時30分前であったので、訪中団の本格的な活動開始は15日からであった。15日は、まず、最初に、ウルムチ市内にある「新疆イスラム教経学院」を訪問した。「新疆イスラム教経学院」は、中国新疆地区唯一の宗教高等学院(4年制)だ。院長自ら、学院を案内していただき、克明な説明を受けた。院長は、この学院は1987年にウルムチに建設されたが、拡張するため、現在の場所に移転し、2017年に開校した。2億7900万元の資金が投じられた。この内、2億2200万元は中央政府からの資金であり、残りは新疆ウイグル人民政府からの資金だ。今のキャンパスは、昔のキャンパスの1.5倍となった。学生数は、1000人で、昔のキャンパスの7倍となった。

広大なキャンパスの、教学ビル・図書館・礼拝堂・浴室(礼拝の前に身を清める)などを見学したが、実際に学生達が授業を受けている教室にも入り、説明を受けた。

院長のアブドゥレクプ・トゥニヤス先生(中央)
から説明を受ける藤田団長(通訳はソフィアさん)


この学校の主たる任務は、イスラム教関係の教師達の育成であり、この学校では、毎年8月に、統一試験を行ない、宗教教育の志望を持っている男性たちに応募してもらって、試験の成績によって、優れた者を選抜している。今年は102名合格した。この学院での授業の項目は、3つに分かれていて、一つは宗教に関する専門知識の習得。コーランの学習。イスラム教の教義・経典の学習。二つは、思想・政治・法律の学習。三つは中国の文化と社会の学習。中国の歴史や新疆ウイグルの歴史。イスラム教が新疆に入ってからの歴史・発展などだ。

ここの学校の学生は卒業後、新疆各地の学校で宗教教師となったり、自分の郷里に帰って、モスクの教師になったりして、故郷で宗教のために勤める事となるとの説明を受けた。

中国政府が、イスラム教に対して、手厚い保護と援助をしている実態を見学できた事は、大きな収穫であった。


2.ウルムチ国際陸港区の見学

「新疆イスラム教経学院」の訪問の後、15日の午前に、ウルムチ国際陸港区を訪問し、説明を受けた。新疆は、シルクロード経済ベルトの核心地域に位置し、ユーラシア大陸の内陸部に位置している。また、新アジア・ヨーロッパ大陸経済回廊、中国・モンゴル・ロシア経済回廊、そして中国・パキスタン経済回廊の交差点に位置する。この地域は、国内と国際の14億人口の巨大な市場を結んでおり、シルクロード経済ベルトの建設において、掛け替えのない役割を担っているとの説明を受けた。

一帯一路核心区の説明をうける
ウルムチとは、モンゴル語で、「優美な牧場」という意味だ。新疆ウイグル自治区の首府で、全世界で海洋から最も遠い内陸都市だ。ウルムチは、特に中華人民共和国建国後は、中国西北地区の拠点として開発が加速され、かつての優美な牧場だった地域は、高層ビルが林立し、道路が交錯して、貿易が盛んな都市へと姿を変え、新疆ウイグル自治区の政治、経済、交通、文化の中心として、飛躍的な発展を遂げている。私は、中国には、何回も訪問しているが、新疆ウイグル自治区には、今回が初めての訪問であった。私の不勉強もあり、訪問するまでは、ウルムチは、シルクロードの都市として、牧歌的な風景の残る地方都市かなとの先入観があったが、実際に訪問して、その発展ぶりに、大変、驚かされ、我が身の不勉強を反省するところ、大であった。
移動中に撮ったウルムチの市街地 

3.新疆ウイグル自治区博物館を訪問

15日の午後、ウルムチ市にある、新疆ウイグル自治区博物館を訪問し、見学した。この博物館は、新疆の文化財収集と科学研究の中心であり、省レベルの総合的な歴史博物館となっている。外観はウイグルの建築風格を持ち、館内も民族の特色であふれていた。常設展示は、新疆少数民族の民俗、新疆の歴史と出土文物などがあった。博物館の2階には、古代ミイラの陳列室があり、この博物館の目玉と言われる「楼蘭の美女」と呼ばれる美しいミイラも見学した。1980年にタクマラカン砂漠の東の楼蘭鉄板河遺跡で発掘された古代の女性のミイラで、約3800年前のミイラだ。

新疆博物館に展示されているミイラ

タクマラカン砂漠は、とても乾燥しているので、保存の状態も良かった。この博物館を見学していた時に、日本語の会話が聞こえてきたので、話かけたら、なんと、日本からきたJTBツアーの観光客の皆さんであった。あとで、中国の関係者の皆さんに聞いた所では、1980年4月から始まった、NHK特集「シルクロード 絲綢之路…喜多郞のテーマ音楽が素晴らしい」(全12回)のブームで、1980年代から1990年代の終わり年頃までは、多くの日本人が、新疆ウイグルの各都市を訪れた。この頃は、この地域を訪問する外国人の約6割以上が日本人観光客であった。しかし、その後の、日中関係の悪化で、ぱったりと日本人観光客は来なくなり、多くの日本人相手の中国の旅行社は倒産してしまったと。近年は、個人またはツアー客が、ぽつりぽつり、来る程度だと言われて、思わず、考えこんでしまった。今回、私たちの面倒を見ていただいた、中国の皆さんも、かつてのように、多くの日本人の皆さんがシルクロードの見学・観光に来て欲しいと呟かれていたことが、印象に残った。私も、日本に帰ったら、シルクロードの素晴らしい思い出を大いに、日本の友人・知人に伝えねばと言う気持ちになった。
バスで説明する ウルムチ市人民政府外事弁公室の礼賓科
 ジンナット・アブリキムさんと、ガイドの黄躍翔さん

4.「新疆に於けるテロと過激主義との闘い主題展示」の見学

15日の午後、新疆国際会議展覧センターの中にある「新疆に於けるテロと宗教の極端化を除去する闘い主題展示」を見学した。以下の説明を受けた。

「新疆のテロと過激主義との闘争」展示

新疆は反テロ主義および宗教の極端化を除去する主な戦場となってきた。テロ主義と極端主義は、新疆の民族の人たちの純粋な感情を利用して、宗教に熱心な人たちを扇動し、宗教の極端思想を吹聴した。そして、テロ活動を積極的に行なった。テロリスト達は、1990年代になると、ネットを利用した。ネットを利用して、極端な思想を吹聴した。その人たちは、テロ主義・テロビデオ・テロ音楽など、様々なものを作り、テロ教育を広めていった。具体的には、1990年4月に、カシュガルのアクト県で、武装暴動が起きた。東トルキスタンを名乗る勢力が異教徒に対する聖戦という口実で、いろいろな武器を持って、200人以上も集まって、アクト県の政府を攻撃した。ここから、新疆のテロ活動は一時期、連続的に発生した。1992年にはウルムチ市で、バスの爆破テロが発生した。1993年と1996年の3つのテロ事件では、テロリストは、いずれも愛国心を持っている宗教関係者を暗殺した。2000年の1月に起きたテロ殺人事件は、4人のテロリストが、9名の一般市民を攻撃し、7名を殺害した。そのうち、4名は11歳以下の子ども達だった。

2009年7月5日に、ウルムチで大規模な事件が起きた。多くの死傷者(死者197名)がでた。国内外の東トルキスタンを名乗る勢力が、テロ事件を引き起こした。

数々のテロ事件、使われた武器も展示

2013年の10月28日には、北京で、残虐なテロ事件が発生した。テロリストは、白いジープに乗って、北京の中心部、天安門の歩道に突っ込み、次々に、通行人を、跳ね殺した。2014年にウルムチで起きたテロ事件では、4名のテロリストが二台の車に乗って、朝のバザールに突っ込み、一般人を跳ね、34名を殺害した。

ここまで、皆さんに説明したのは、1990年代から2016年までのテロ事件の一部だ。ここでは、展示されていない、数多くのテロ事件によって、一般市民が生命・財産を奪われたケースが、数え切れないほど、たくさん起きた。テロ事件は2016年が最後であった。宗教の極端思想・極端行動・テロ活動などの犯罪に反対する事は全新疆の幹部・人民の心からの願いだとの説明を受けた。

ウルムチ文化センター計画館を見学する訪問団

5.新疆ウイグル人民政府関係者との座談会

訪中代表団は、10月15日の夕方、新疆ウイグル人民政府関係者との意見交換を行なった。

新疆ウイグル人民政府からは、朱立・新疆ウイグル人民政府・外事弁公室・アジア・アフリカ事務処長、陳宇・新疆ウイグル人民政府・人力資源保護処長、ムニラ・新疆ウイグル人民政府・民族事務委員会・処長、ソフィア・新疆師範大学日本語科教員等、5名が出席された。まず、冒頭、朱立・所長から、以下の説明があった。

新疆ウイグル人民政府関係者との座談会

まず、新疆ウイグル自治区の基本状況を報告する。

新疆は中国の西北部に位置し、以下の8つの特色を持っている。

新疆は広い。自治区の総面積は166万平方k㎡(筆者注:フランス共和国3つ分に相当する)。中国の総面積の1⁄6 中国最大の省レベルの行政区だ。

歴史が長い。紀元前60年には漢王朝が新疆に西域都護府を設置した。

新疆の国境線は長い。5700㎞もある。新疆ウイグル自治区は、北から南に向って、モンゴル・ロシア・カザフスタン・キルギス・アフガニスタン・パキスタン・インドの8ヵ国と接している。

あらゆる民族が同じ所に生活している。中国には56の民族がある。その56の民族が、全て、ウイグルに生活している。新疆の総人口は約2500万人。漢民族以外の少数民族の人口は新疆の57.76%を占めている。そのうち、ウイグル族の人口は1100万人以上あって、新疆総人口の44.96%を占めている。

多宗教が調和・共生している。主にイスラム教・仏教・道教・キリスト教がある。その中では、イスラム教の人数が最も多い。長い間、各宗教が新疆で融合して共存し、整然と発展してきた。

独特な民族文化を持っている。さまざまな民族の文化は、長い間交流し、かつ融合し、中国文明の肥沃な大地で花開き、中国文化の重要な一部となった。各民族は、それぞれ各自の民族文化を持っている。

新疆の風景が美しい。国内外から観光客が、たくさん来ている。

資源が豊富だ。石炭は中国の総資源の40%。石油は30%。天然ガスは34%。綿花生産量は90%以上を占めている。

習近平国家主席および中国共産党の指導のもとに、新疆が平和で安定し、歴史上最高の繁栄期を迎えている。

最近の米国や西側のメデイアの一部が、新疆に対して、ジェノサイド・強制労働・人権抑圧とかのネガテイブなニュースを流しているが、全く根拠はない。1100万人以上のウイグル族の人たちが、ここ、新疆で順調に生活しているので、ジェノサイド・強制労働・人権抑圧ということは、何の根拠もない、事実もない。米国は一部の学者の報告によって法律を作り、新疆の綿紡績・トマトなどの、いろいろな産業に制裁をかけてきている。アメリカの新疆に対する攻撃は、新疆を使って、中国を攻撃するというやり方である。皆さんは、日本からわざわざ来られたのだから、新疆で起きている全てのことを自分の目で見ていただくことが大切です。

この後、陳宇・処長から、人民政府は、就活を人民生活の最優先の課題として、雇用を優先する戦略を実施している。積極的な雇用政策を、たえず改善し、各民族の労働や就活における利益を保護し、新疆の人々に勤勉な労働を通じて、幸福な生活を創造することをサポートしている。近年、新疆の就活状況は安定してきており、各民族の収入は増加し、生活の質はますます高まってきているとの報告がなされた。

ウルムチの国際大バザール


6.シルクロードの有名な要衝、トルファンを訪問し、シルクロードの古代遺跡を見学

10月16日の午後、ウルムチから、南東183キロのトルファンに向けて、バスで出発した。天山山脈の南麓、トルファン盆地の中部に位置するトルファンの夏は暑くて長い。ゆえに古くから「火州」と呼ばれている。バスで約3時間の道中で、最も驚いたことは、途中から、巨大な風力発電の風車が、車の左右に延々と連なっている。その数は、膨大な数であった。驚いて、中国の方に聞くと、中国最大の風力発電のメッカであり、おそらく、世界最大の風力発電地帯であろうとの事であった。トルファンには2泊したが、到着翌日の17日に、早朝から、私が青春時代から、特に、1980年のNHKの特番を見てから、死ぬまでに一度は訪問せねばと憧れていた、シルクロードの著名な古代遺跡を次々に訪問した。紙面の関係で、詳細な報告ができないのは残念だが、この50年来の私の夢が実現したことは、望外の喜びであった。

火焰山

西遊記にも登場する「火焔山」を見学したあと、「火焔山」山中にある仏教寺院遺跡の「ベゼクリク千仏洞(現存する石窟は83個)」を訪問した。ベゼクリク千仏洞は5世紀から7世紀の高昌国の時代に栄えた仏教石窟だ。

ここは、かつてイスラム教がトルファンを支配した際に、仏像は破壊され、石窟に描かれた壁画も剥がされ、特に目からは邪気が出るとしてえぐられ破壊され、それをのがれた遺跡も、20世紀初頭に、外国の探検隊(ドイツ・イギリス・ロシア・日本の1902年の大谷探検隊など)に、壁画の一番、貴重な部分が、無残にもはぎ取られ、それぞれの国に、持ち去られた。その説明を聞いた時、私は、思わず、絶句した。

観光客が絶えないベゼクリク千仏洞
私は、これまで日本で、かつての侵略戦争の過程で日本が中国から略奪した、数多くの貴重な文化財を、中国に返還すべきという市民運動を、多くの学者・市民の皆さんと続けてきたが、「ベゼクリク千仏洞」の悲しい歴史と対面したとき、帰国後は、私たちの「略奪文化財返還運動」を、ますます、強化せねばと心に誓った。

この日は、その後、世界遺産「高昌故城」、「蘇公塔」、世界遺産「交河古城」、清らかな地下水が流れる古代の大規模工事による地下用水路「カレーズ(年間降水量16㎜のこの地域では、水は生命と同義語だ)」、バザールを訪問して、夜遅く、ホテルに戻った時は、疲労困憊であった。

ベゼクリク千仏洞から高昌故城に行くみちのり


7.タリム盆地の西縁に位置するカシュガルを訪問

18日は飛行機で、ウルムチから出発し、カシュガルに向った。

カシュガル旧市街で

カシュガルはシルクロードの南北2つのルートの集合地点だ。カシュガルは生きている千年の古代都市と言われ、まるで中世が溢れている巻物のような街だ。古代シルクロード文化を研究するには最も貴重な歴史文化都市だ。1986年、カシュガル旧市街は国務院により「国家歴史文化都市」と命名された。

カシュガルでは、まず、カシュガル旧市街改新記念館を訪問した。ここでは、カシュガルは、かつては上水道もなく、トイレも屋上にといった劣悪な住環境だった街を、住民の意向を大切にしながら、再開発を行ない、快適な住環境を作り上げたという詳しい説明を受けた。再開発に当たっては、何よりも住民の意向を尊重したという事は大変、参考となった。

9割以上がウイグル人というカシュガル。
くつろぐ地元の人々

19日は、午前中、エイテイガールモスクを訪問し案内・説明を受けた。このモスクは1442年に建てられ、580年以上の歴史を持っている。2001年に国務院から国家レベルの重点文物保護所とされた、新疆最大規模の著名なモスクで、寺院内は、礼拝持7000~8000人を収容できるという巨大なモスクだ。その後、カシュガル大学を訪問し、著名な教授の皆さんから、ご案内と説明を受けた。特に、黄冑教授の躍動する馬や人物を描いた素晴らしい水墨画に感動した。黄冑教授の水墨画は、北京の「中南海」にも展示されているとの説明を受けた時には、思わず、団員の中から、一度北京でみたいとの声が上がった。

エイティガールモスクではウイグル語で説明を受けた。


8.結語

米国CIAの別働隊とも言われている、全米民主主義基金(NED)は、膨大な資金を、世界ウイグル協会に(WUC)に提供している。世界ウイグル協会(WUC)は、世界各地で中国を攻撃するための、虚偽のニュースを流し、プロパガンダキャンペーンを、執拗に展開している。新疆ウイグルの分離・不安定化工作が全世界的に行なわれている。全米民主主義基金(NED)に大量の資金を提供している、米国政府の狙いは明確だ。米国は、このまま放置すれば、これまで長期に渡って築いてきた、世界最大の超大国・覇権国としての政治的・経済的・軍事的地位を、中国に奪われるとの恐怖心から、中国を最大の脅威・敵とみなして、世界各地で、米国の同盟国・従属国を、総動員して、中国の国力を破壊するための様々な工作を展開している。中国の新疆ウイグルの人権問題を振りかざして、攻撃しているのも、その一環だ。米国は、中国に対して人権問題などを口実に、徹底的に利用・活用して、中国の弱体化に、必死になって、取り組んできている。そのような米国の工作を考慮せずに、米国の立場からの中国攻撃・新疆ウイグル攻撃のニュースを一方的に垂れ流す、現状のメデイアのあり方も厳しく問われねばならない。今回、私たちが新疆ウイグル自治区を訪問して、新疆ウイグルは、飛躍的な経済発展を遂げている事が分ったし、米国などが盛んに流布している「ジェノサイド」キャンペーンなどは、全くの虚偽・フェイクだと強く確信した。これからも、意図的に作り上げられた「ウイグル人権問題」キャンペーンの実態の解明が、不可欠だ。

「村山首相談話の会」第8次訪中代表団名簿

団長 藤田高景 村山首相談話の会・理事長/副団長 植草一秀 村山首相談話の会・共同代表 政治経済学者・元早稲田大学大学院教授/副団長 羽場久美子 村山首相談話の会・共同代表 京都大学客員教授、世界国際関係学会(ISA)元副会長/団員 乗松聡子 村山首相談話の会・理事「ピース・フィロソフィーセンター」代表/団員 高梨晃嘉 村山首相談話の会・理事、元横浜市議会議員 かな川歴史教育を考える市民の会・事務局長/団員 川野純治   村山首相談話の会・理事、元沖縄県名護市議会議員/団員 加藤弘吉 村山首相談話の会・理事/団員 佐藤正兵 村山首相談話の会・理事/団員 和田久美 村山首相談話の会・理事/団員 小船麻子 村山首相談話の会


(以上)