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Saturday, February 16, 2008

(Japanese) ホワイトロックの会 2月の報告

This is a report of the meeting held in White Rock on Februrary 9, 2008, where Satoko spoke about her visit to Nanjing in December 2007.

<ピース・フィロソフィー・センター ホワイトロックの会>
2月の定例会の記録 (ホワイトロックの会メンバー K・Hさんによる記録)

日時:2008年2月9日(土)  1:30pm~
場所:ホワイトロックのメンバー宅
出席者:10名

(導入)
・これまでのホワイトロックの会の歩みを振り返って。
九条問題、アル・ゴアの“不都合な真実”、金英丸氏を招いて、“君が代・不起立”、“ピース・ツリー”、パッチワークの制作など、その時々に応じて話題を選んでき 
た。
・ピース・フィロソフィー・センターについての説明。
・ お茶を飲みながら学び合い、様々な意見を持った人たちが集まって意見を交換し、気軽に学べる会としていきたい。
・ 3月8日(土) “岩下美佐子平和教育スペシヤル”の案内 (詳細は追って。)


「事件」70周年の南京、そして日本を訪ねて (乗松聡子)

今年は、南京事件70周年にあたり、世界中でシンポジウムが開かれている。
南京では、“南京大虐殺記念館”(通称)が改装されてオープニング・セレモニーが行われた。
現在の日本では、政府が組織的に南京事件を否定しようとしている。 
今回は、初めての方がいるということもあり、残虐な南京事件の細部にはあまり触れないようにするが、過去にそのようなことがあったという事実を、日本人としては知っておく必要がある。 

・「ニュース23」特集
1937年12月13日、南京陥落の記念日に合わせて記念館のオープニング・セレモニーが行われた。70年ぶりに南京を訪れ、これに参加した元日本兵・三谷翔さん(88歳)を追った特集。
 
(聡子)TBSがここまで大きく取り上げたことは画期的。元日本兵の訪問により、本人だけでなく中国側の人たち(学生)にとっても癒しがあったのではないだろうか。その歩み寄りが紹介されたのだと考える。

犠牲者の数については、中国側の30万人という姿勢に“誇張である”との声もある。中国側の政治的な利用もあるように思うが、前提条件などもそれぞれ違う立場からの統計なので、数にこだわって議論しないほうが良い。

  *加害証言については、家族の反対(身の安全のため)もあると聞いているが、ここまでされたことは大変なことだったと思う。
  *加害者と被害者というわけ方は、良くないと思う。加害者も同時に被害者としての面も持っている。経験を分かち合うことが大切。
  *兵士達の置かれた状況を考える必要がある。精鋭の部隊というわけではなかったし、上海戦で疲弊していて、かつもう帰れると思っていた兵たちを、南京まで行軍させた。それらが士気の乱れにもつながったという見方がある。
  *南京事件は、大本営の指示ではなかったが、陸軍の一部の戦争拡大派の下克上的な動きによって暴走した。兵士たちは食料の補給もなく現地調達するしかないという極限状況に置かれていたことが、このような事件が起こった背景にある。
  *加害・被害の論争よりも、過去の事実を否定して隠そうとしている日本の姿勢に問題がある。                       
  *(参加者からコメント)真の加害者とも言える当時の軍の上層部の人たちは、保証金などもたくさんもらい、戦後も高い地位についていることは、あまり知られていない。当時の上層部がそのまま現在の日本の中枢に残っているので、南京事件を否定したりするのかもしれない。

   ・笠原十九司(トクシ)先生講演  (都留文科大学教授)
     2007年12月22日
現在の日本では、南京事件を否定する書物・雑誌が多数出版されており、それらが主流となりつつある。
     
(聡子)中国でも、政府と学者、また一般の認識の間にギャップがある。死者30万人という数字も見直されている部分もある。
日本の書店に置かれているのは南京事件を否定する側の書物がほとんどで肯定するものを探すのが難しいほどになっている。
(参加者からコメント)インターネットの検索なども、かなり情報操作されているように感じる。 

松岡環(南京事件ホットライン主催者)
 南京戦の加害者・被害者の証言を集め、証言集を出版した。
・「南京戦」 閉ざされた記憶を尋ねて 元兵士102人の証言
・「南京戦」 切り裂かれた受難者の魂 被害者120人の証言
                            (社会評論社) 
 


<乗松聡子さんの南京訪問記>
 2007年12月11日~14日、南京に滞在された聡子さんの体験を画像で紹介していただいた。
 この3日間、聡子さんの友人のご両親(鄧夫人・金大夫)宅にホームステイをされた。  

  ・ジョン・ラーベ国際安全区記念館
    John Rabe (1882-1950)
     1996年にドイツの世界的コンツエルン、ジーメンス社入社。日本軍占領下の南京で国際安全区委員会の代表者となって中国人を救うために奔走し、“南京のシンドラー”とも呼ばれている。その時の状況を詳細な日記にも  
記していた。   
        「南京の真実」 ジョン・ラーベ著 エルヴィン・ヴィッケルト編      
                               (講談社文庫)
ミニー・ヴォートリン 
  宣教師として南京に滞在。事件当時、中国人特に女性を助けるために尽力した。後に、あまりにも過酷な体験から抑うつ状態となり、アメリカ帰国後ガス自殺を遂げた。
    「ミニー・ヴォートリンの日記 南京事件の日々」
            岡田良之助・伊原陽子 訳   (大日書庫)
 
・アイリス・チャンの銅像(南京大虐殺記念館前)
      ベストセラーとなった「THE RAPE of NANKING」の著者。
内容や掲載されている写真の一部には、信憑性が疑問視される部分もあるが、それまで英語圏ではあまり知られていなかった南京事件を女性としての立場から世に知らしめた功績は大きい。
後に、抑うつ状態となり、自殺。
   「ザ・レイプ・オブ・南京 
第二次世界大戦のわすれられたホロコースト」
アイリス・チャン著  フ ショウコウ 訳
             (同時代社) 
   ・南京大虐殺記念館オープニングセレモニー
      大規模なセレモニーで、6000人が参加したと報道されている。参加外国人600人のうち、400人が日本人。
   (聡子)博物館は、日本バッシングのような立場はとっていなかったように感じた。逆に、史実を確実に記述していくということを念頭においているような印象があった。(日中の国交回復を展示するコーナーもあった。)
      但し、史実を改ざんしようとする動きには、厳しく対処していくという姿勢をとっている。
      旧博物館を知る人によると、前と比べ、展示方法があまりショッキングでなくなっているという話だ。最後に平和公園のような落ち着いたスペースが作られるなどの配慮も感じられた。

・その他
      中山陵(孫文の墓)、南京地下鉄、南京大学、博物館主催の学会、
玄武湖畔公園(追悼のために訪問者が鳩の形に献花する。)など。
また、南京で食べた美味しい食べ物もたくさん紹介していただいた。
  
(聡子さんの南京訪問の感想) 
・現在の南京の人々に会いその生活に触れることによって、かつての南京がいかに栄えていたところであったかを実感し、それを踏みにじった日本軍の行為を実感させられた。  
・通訳をしてくれた22歳の学生に、南京事件についてどう思うか聞いてみた。彼女は、「もちろん若い世代もみんな知っている。日本がひどいことをしたと思っているだけではないが、歴史を否定する人が多くいることに自分もまわりも怒りを感じている。」と言っていた。
・日本が九条を持っていること、徴兵がないことなどは、あまり知られていないように感じた。

その他    
南京事件70周年シンポジウム  12月15日~16日 @明治大学
演劇 「地獄のDecember」 (南京事件を主題とした夫婦の二人芝居)


(参加者の感想)
* 戦地では、上官の命令に従わねばならないし、みんながやっていたからということもあったと思う。兵士たちも被害者と言える。加害者は、軍の上層部なのではないか。
* 実際に手を下した兵士たちを責めるのではなく、あなたたちも被害者であると伝えたい。自分の名前を公表してまで証言する方は、すごいと思う。
* 特攻隊などのように、追い詰められた時の人間の精神構造を理解しておく必要がある。
* 戦争を始めた方も、やられた方も、どちらも被害者であり、苦しむのは庶民である。戦争はしない、という方法をとるのが良いということになる。
* アメリカと北朝鮮は外交をしているから戦争にならないと聞いた。ベトナム戦争の始まった時には、国同士のコミユニケーションがうまくできずに疑惑が生じたという話もある。外交官は、お互いをよく理解していかないと勤まらない。
* わからないことは、たくさんある。調査をしてもわからないことがある。それでも、過去を学びそれをいかに生かすか、何をしてはいけないかを考えていくことが大切だ。
* 氾濫している情報に疑問を持たなければならない。情報も操作されていることを考慮して、学んでいく姿勢が大切だと思う。

2 comments:

  1. 今回は、あのような暴虐行為がどうして起こってしまったのか、ということにもっ
    と思いを馳せる時間がなかった、特に、兵士が、中国人への人種的差別や偏見を
    植え付けられていたということが、この事件の決定的な背景要因の一つとしてあっ
    たことに言及することができませんでした。補給がない戦争、年配の後方部隊を
    無理な戦争に動員したことなど、歴史の上でいくらでもあったことでしょう。で
    はなぜ南京戦で歴史上類を見ないような南京事件が起こったか。それは中国人蔑
    視があり、同じ人間として扱わなくてもいいんだという
    姿勢を徹底的に教えられていたという背景があったことは否めないでしょう。そ
    の背景に、上記のような極限状態、逆恨み等が加わって、そして兵たちの暴走を
    上層部が止めるどころか容認していたというのもあったでしょう。

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  2. Anonymous11:59 pm

    "差別意識”というものは、人間の根底にある本性のようなものだと思います。
    自分の下に誰か(何か)を置くことで、なぜか安心できるという、人間の悲しい習性なのでしょうね。
    そんな戦時中あるいはそれ以前から植えつけられてしまった"差別意識”が、今もなお多くの人の中に残っていることは、残念です。
    そして、ほとんどの人がそういう自分自身の感情に気がついていないことが、大きな問題なのでしょう。
    私は在日の夫と結婚して、はじめてそのことに気づかされ、日本人としてとてもショックでした。
    (親切そうな言葉の裏に、「私達の方が上だ。」という感情が含まれている場面に何度となくぶち当たりました。)

    今の中国製品バッシングなども、その一環かもしれませんね。
    確かに農薬の濃度基準などは管理がズサンだと思うけれど、そこまで中国製品を毛嫌いすることもないように思います。(アメリカだって、かなりひどいらしいですしね。)
    その点、韓国は”韓流ブーム”で、ちょっと緩和されたのでしょうか。

    南京事件については知らないことだらけでしたが、聡子さんを通してまた少し目が開かれた思いです。
    南京事件を否定する動きが活発だというのも、なんと腹立たしい、情けない話でしょうか。
    他人の痛みをまるで無視して、自分の立場だけを守ろうとしている風潮に、日本の先行きにますます不安を感じずにはいられません。
    過去の事実も重たいし、現在の日本の状況にさらに気持ちが重くなった2月の定例会でした。

    いつも本当にありがとうございます。

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