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Thursday, May 22, 2008

「日の丸・君が代」強制反対をめぐる問題は、教育の自由を守る壮大な戦いである。

                       Peace Journalist 菊野由美子

  
    強制されるには目的や理由があるはず。それが何かを敏感に疑い、考えることの重要性を突きつけられた。5月6日、東京四谷の事務所で、日の丸・君が代予防訴訟原告のうち二人の先生に会うことができた。10.23通達までの流れとその内容の異常さ、そして多くの裁判事例を詳しく丁寧に説明していただいた。

    まず、通達までの流れである。天皇を主とした旧軍国精神を弱めるために、戦後すぐは学校での日の丸・君が代はなかった。東京都立高校では、2000年までは国歌斉唱がなかったのである。しかし、1989年の学習指導要領改訂から国旗掲揚、国歌斉唱の強制がじわじわと存在し始めた。その時、今の混乱を予言するような悲しい出来事が起こった。広島県は原爆被害地であったことから、国旗掲揚、国歌斉唱はなかった。しかし、学習指導要領改訂から教職員の間で、起立するかしないかで分裂し始めた。その結果、広島の校長が板ばさみを苦に自殺した。これがきっかけとなり、1999年に日の丸を国旗とし、君が代を国歌と法律で定めた。その際、多くの反対意見もあったが、敬礼などはしなくていい、強制はしないことを理由に法制化に踏み切った。

    その後校長は、思想の自由、内心の自由として起立するしないは本人の判断でするよう指導してきた。だが、強制の色がじわじわと濃くなり、東京都立高校では起立、斉唱せざるおえなくなってきた。それでもまだ、強制でないことを頼りに何名かの教師は座り続けていた。
2003年4月に石原都知事が大勝で再選してから、「やりたいようにやらせてもらいたい。」「内心の自由で歌わない、起立しないはけしからん。」とし、2003年7月に東京都教育委員会が、「都立学校卒業式・入学式対策本部」を立ち上げた。そして、2003年10月23日に日の丸・君が代通達が東京都立高校と養護学校へ出された。(10.23通達)
  
  *その内容の異常さ*

① 国旗掲揚、国歌斉唱の実施は職務命令であるので、それに従わない教職員は責任を問われる。
   このことから処分を不当と訴える訴訟では、職務命令の内容ではなく、職務に違反し たという理 
   由で多くのケースが敗訴している。

② 教職員は、指定された席で起立し、斉唱する。 
    校長は、起立せず歌わない教職員を正しく報告しないので、都教委の役人がチェックできるよう
    に前もって教職員の席を報告しておく。
 
③ 卒業証書は、舞台壇上で受け取る。 (常に日の丸に向かって礼ができるように。)
    養護学校の生徒や車椅子の生徒は、今まで舞台下で受け取っていたが、それができなく
    なった。
    対面式卒業式もできない。卒業証書をもらう生徒の顔を職員、在校生、保護者が見れなく
    なった。

④ 国家斉唱は、ピアノ伴奏が義務付けられ、音楽の先生は必ず強制される。
    過去に伴奏を拒否した先生にわざと職務命令する。


10.23通達以降の各訴訟

 * 予防訴訟 (国歌斉唱義務不存在確認等請求事件)
   通常は処分されてからその処分が不当だとして訴えるが、10.23通達によって処分さ れる前 
   に、この通達自体がおかしいことを訴える裁判。
   東京都立の高校、養護学校の約400名の教職員が原告。
   2006年 9月21日 東京地裁で原告全面勝訴の違憲判決が出された。
   しかし、東京都は控訴し、相変わらず「職務命令」を出し続け、強制を続けている。

*  「日の丸・君が代」不当処分撤回を求める裁判
   日の丸不起立、国歌を斉唱しなかったとして、戒告や減給などの処分を受けた先生方(約300 
   名)がその処分を不当とし訴えている。(根津先生はこの裁判に属している)

* 東京君が代裁判
   2003年10月23日の通達から、2004年3月の卒業式までの間の年周行事が行な われる学校
   へ、通達どおりにやるよう命令した。それに従わなかった先生10名が処分された。
   2004年、2005年の都立高校と養護学校の卒業式で着席した先生約200名が処分された。
   このケースを合わせた処分の撤回を求めた裁判である。

* 「君が代」強制解雇裁判
   定年退職後、再雇用職員(嘱託 定年後5年勤務できる)として勤務していた先生のうち 10.23
   通達にしたがわなかった先生方約200名が、次の年の嘱託を解雇された。
   その不当を訴える裁判→2007年9月 敗訴

* 嘱託不採用撤回裁判 
   定年退職前に再雇用の申請をし、合格していたにもかかわらず、通達にしたがわなかった ことを
   理由に嘱託希望を取り消された。(2005年、2006年の卒業式で)
   2008年2月 勝訴 だが、10.23通達の違憲は認められず、一度の不起立で嘱託
   合格を取り消すのは、裁量権の乱用であることが勝訴の内容。

* 再発防止研修を取り消す裁判
   2004年7月から処分された先生への研修。都議が反省するまでやらせる。
   2007年 夏 敗訴

* 教職員による挙手や採択を前面禁止した通知の撤回を訴える
   (これは裁判ではないが、参考までに)   
   2006年4月都教委は、「職員会議において「挙手」や「採決」等の方法を用いて職員 の意向を確
   認するような運営は不適切であり、行わないこと」と通知した。
   都立三鷹高校の土肥校長が「教育の現場で言論の自由が奪われている」と通知撤回を都立高校
   長会で訴えた。それから土肥校長は、1年に7回都教委に呼び出されている。

    「君が代不起立」の映画では、予防訴訟が全面勝訴したシーンがあったが、あの裁判は根津さんは原告の一人ではない。なぜなら、10.23通達は都立高校と養護学校に出されたもので、中学の家庭科の先生である根津さんはこの訴訟の原告にはなっていない。なので上記にあげたように、根津さんは不当処分の撤回を求める裁判の原告である。
以上のことからも、訴訟のケースは増え複雑化しており、これは延べ人数1000人以上の東京都教職員の方々の壮大な戦いなのである。

     そして、戦い方も様々である。断固として起立することを拒む先生もいれば、起立し、国家斉唱するが、「日の丸・君が代」の強制はあってはならないことを訴えて、予防訴訟の原告となってともに活動している先生もいる。この10.23通達の撤回運動を広めるためには、教育の自由、強制はおかしい、ということに焦点をあてて広めることが世論を高めるのに有効かもしれない。早く世論を高めなければ、真のターゲットである生徒の自由も奪い始めているからだ。2006年、 定時制高校の卒業式で、生徒数10数人のうち、10名が座った。それを理由に、生徒に起立斉唱を指導するように教職員へ通達がでた。

   強制されるのは何かの目的がある。その目的がどこに向かっているかを疑問視せねばならない。そして、その強制によって教育の自由や、子供たちまでの自由が奪われる恐れがあるなら、意見しなければならない。そんな状況を懸念して、保護者の中にも集会を開いたりデモをしたりの運動もある。
原告の先生方は言う、
「海外の人達にもこのことを広く知ってもらいたい。人権、思想、良心の自由において、今の日本の教育現場で起きていることは異常だと訴えてもらいたい。」

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