To view articles in English only, click HERE. 日本語投稿のみを表示するにはここをクリック。点击此处观看中文稿件한국어 투고 Follow Twitter ツイッターは@PeacePhilosophy and Facebook ★投稿内に断り書きがない限り、当サイトの記事の転載は許可が必要です。このブログの右サイドバーにある Contact Us フォームで連絡ください。Re-posting from this blog requires permission unless otherwise specified. Please use the Contact Us form in the right side-bar to contact us.

Sunday, July 08, 2012

8.6ヒロシマ平和へのつどい2012「核・原子力と "生きもの"は共存できない ― ヒロシマから反被曝の思想を! ―」

2011年8月6日晩、広島での灯篭流し。

広島市立大平和研究所の田中利幸氏から提供された、「8.6ヒロシマ平和へのつどい2012」(8月5日広島で開催:高橋哲哉記念講演)の案内です。久野成章氏と田中氏による趣旨文は戦後日本が直面を避けてきた戦争責任問題、ヒロシマナガサキからフクシマへの被曝問題、原発と核武装問題を含む核問題、安保と沖縄問題の相互のつながりを見事に要約しています。イデオロギーよりも「生きもの」としての視点重視に賛同し、2015年「世界核被害者大会」の構想を支援します。@PeacePhilosophy


8.6ヒロシマ平和へのつどい2012



「核・原子力と "生きもの"は共存できない ― ヒロシマから反被曝の思想を! ―」

日時:8月5日(日)

会場:広島市市民交流プラザ研修室ABC
(広島市中区袋町6-36)

第一部 各運動体からの発言17時~19時

第二部 記念講演:19時~20時
 「被爆者・被曝者の連帯のために―3・11後の地平」
講師:高橋哲哉(東京大学大学院教授)

参加費:1,000円

主催:
8.6ヒロシマ平和へのつどい2012実行委員会
(代表/田中利幸)

(チラシへのリンクはこちら


核・原子力と“生きもの”は共存できない — ヒロシマから反被曝の思想を! 


中国電力労働者で構成された電産中国(電気産業労働組合中国地方本部)は、反合理化闘争の一環として反原発闘争を1974年の大会で決定して以来、その後長年にわたって、反原発運動で粘り強く闘いました。中国地方の原発依存率が少ないのは、そのおかげでもあるのです。私たちは、1977年から、この電産中国と共に、8月5日または6日、反原発の課題を掲げ、反戦反核の声を強くあげてきました。


1 人類を含むあらゆる“生きもの”に敵対する核・原子力体制こそが、福島放射能汚染危機の本質

ウラン採掘・加工を出発点とする核兵器(DU兵器を含む様々な種類の核兵器製造、核実験、核兵器輸送)ならびにその応用である原子力産業(原発稼働、核廃棄物、核燃料再処理など)では、核兵器の使用や原発事故ではもちろん、そのあらゆる工程で多量の放射能を放出しています。広島・長崎への原爆投下やチェルノブイリ・福島での原発事故からも明らかなように、放射能は、人間のみならず、動植物を含む海陸の生きものを無差別に且つ大量に「殺傷」します。20世紀半ばから始まった「核の時代」は、かくして、人類を含むあらゆる「生きもの」、すなわち様々な生命体を犠牲にして築き上げられてきた、いわば「殺戮の政治・経済・社会・文化体制」であると言えましょう。このような体制の確立と維持に努力または協力してきた人間の行為は、人類とすべての生物と地球を絶滅の危険に曝すことを厭わなかった明確な「犯罪行為」でしたし、現在も多くの人間が、そうした犯罪行為に深く関わっているのが実情です。この犯罪行為の重大性は、3・11福島原発事故による放射能危機で、誰の目にも明らかとなりつつあります。


2 反被曝の思想を!

現在私たちが直面している最も重要な課題は、放射線の人体に対する影響です。政治家・官僚や資本家たちは、偽りの電力不足を口実にした原発再稼働で、全市民に被曝を受忍させようとやっきになっています。福島現地はもちろん全国各地で、低線量放射能は安全だとの「放射能安全神話」を、教育機関やマスメディアを通じて浸透させようとしています。その結果、日本列島全域で、食品放射能汚染がじわじわと進行しています。広島・長崎の経験からも明らかなように、被曝は受忍するものに最も強く押し付けられます。被曝の最小化、低減化の実現は、被曝を徹底的に拒否する「反被曝」の思想を抜きにしては実現できません。とりわけ、私たちの体を内部から細胞レベルで破壊していく内部被曝、その被曝線量に「安全値」などというものはありません。したがって、今、私たちは、被曝に抵抗していく思想をどう築くのかが問われています。この問題は日本の市民に限られた問題ではありません。恥知らずにも、日本の政治家・官僚や資本家は原発を海外に輸出し、新興国や発展途上国を放射能汚染させることをいささかも厭わず、今度は海外の市民を犠牲にしてまで利益を上げようと計画しています。犠牲を世界に拡大する、このような「被曝の輸出」にも、私たちは断固反対しなければなりません。


3 闘う広島、懐柔・利用された「ヒロシマ」

敗戦後間もなく、占領軍による検閲体制の下、大田洋子、栗原貞子、原民喜、正田篠枝、峠三吉、山代巴ら文学者、丸木位里・俊ら芸術家による原爆の徹底批判が始まりました。どんな状況下でも人間性を深く追求し続けたこれらの人たちの信念が、今の私たちを支えているのです。広島で原爆禁止が初めて提起されたのは、1949102日の平和擁護広島大会であり、翌年の朝鮮戦争反対の非合法アピールにも、「原爆を廃棄せよ」という要求が含まれていました。1954年ビキニ核実験被災を機に始まる原水爆禁止運動は、大きなうねりとなり過去最大規模の国民運動となりました。この大高揚にもかかわらず、いや、それゆえにこそ、「ヒロシマ」は日米支配層から懐柔・利用されるターゲットとされました。ヒロシマ・ナガサキは「放射線は外部から大量に浴びない限り、健康に大きな影響はない」とする「放射能安全神話」のモデルとされました。その結果、核の世界拡散体制=ヒバクシャ拡大体制に、広島市民が十分に抗することができなかったのではないかと考えます。私たちは今こそ、このことを真摯に受けとめ、深く考え直す必要があります。一例をあげれば、旧ABCC(原爆傷害調査委員会)、現在の放射線影響研究所が研究し続けているLSS(原爆生存者寿命調査)のデーターは、広島・長崎の放射線被害を過小評価し、内部被曝・低線量被曝が重大な問題ではないという「放射能安全神話」を世界中に拡散させ、国際放射線防護委員会(ICRP)体制の「被曝受忍強制」の基盤を提供してきました。


4 チェルノブイリの終わらない惨劇とヒロシマ

1986年のチェルノブイリ原発爆発事故後、26年を経た今、深刻な事態が徐々に認識され始めています。例えば、セシウム137は、全身の臓器や器官に蓄積しやすく、その結果、様々な癌や心臓疾患、不妊、流産、死産が多発し、重大な健康損傷を多くの市民、とりわけ幼児・子どもに与え続けています。ヒロシマのデーターが全く役に立たないどころか、皮肉にもその情報が、権威ある医師・研究者たちによって被害者の健康損傷を過小評価するために利用されており、原発推進側に悪用されているのです。私たちは、この「ヒロシマの権威」に裏付けられた嘘を打ち破らなければなりません。そうしなければ、この「ヒロシマの嘘」は、「フクシマの嘘」の拡大と正当化にも繋がってしまいます。


5 侵略戦争・国家責任の問題

大陸出兵の拠点であった軍都廣島の責任、アジア侵略戦争に対する日本国家の責任を追及し、被害者に対して国がその被害を償うこと=国家賠償・国家補償をさせること、すなわち、軍慰安婦をはじめとするあらゆる戦争被害者、朝鮮人をはじめとする在外被爆者、すべての原爆被害者に対して償いの表明と賠償を実現させる運動を引き続き継承していかなければなりません。侵略戦争に動員された民衆のうちの多くが、原爆被爆という「被害」を強制されたのです。世界の民衆の闘い、朝鮮・中国・アジア民衆の抵抗闘争が、結局は天皇制軍国主義を敗北させ、さらには、ソ連の対日参戦が日本降伏の決定的要因の一つとなりました。原爆投下が戦争を終結させたという「原爆神話」と、天皇裕仁が終戦させたという「聖断神話」を解体しなければなりません。アメリカの原爆投下の責任追求と、日本の天皇制軍国主義のアジア民衆に対する戦争責任追求は、表裏一体の問題なのです。両方の責任問題が、分離して考えられない、複合的なものであることを、私たちは決して忘れてはなりません。


6 NPT(核兵器不拡散条約)体制をめぐる世界状況

NPT(核兵器不拡散条約)の本質は、核抑止戦略を前提に、安保理5常任理事国による核の独占を保持し、非核兵器保有諸国への核兵器不拡散と原子力発電を世界的に推進させることが目的で設置されました。CTBT(包括的核実験禁止条約)、カットオフ(核兵器用核分裂物質の生産禁止)条約締結は難航しています。アメリカ政府の方針は、自国の核兵器堅持と反米組織による核テロの防止対策であって、真の意味での核不拡散では決してありません。「核兵器のない世界」をめざすとするアメリカは、核弾頭の配備数は削減するが、貯蔵核兵器や核兵器運搬手段の「現代化」のために史上最大の巨額の予算を計上しています。さらにイランと北朝鮮を敵視し続け、日本には「核の傘」政策の堅持により日米核安保体制が継続されています。イランへの武力攻撃の可能性をあからさまに公言しているイスラエル政府は、NPTに加盟することを強く拒み続け、約80~200発の核弾頭を保有しているのみならず、大量の化学・生物兵器も貯蔵しています。「中東非核(兵器)地帯」の設置に向けてアラブ諸国はひじょうに積極的ですが、この実現に向けての努力に最も妨げになっているのも、パレスチナに無法な武力行動を繰り返している核兵器保有国イスラエル政府なのです。また、アメリカは、NPT加盟を拒否して核兵器の開発を進め核保有国となったインドと原子力協定を結び、日本政府もこれに追随しようとしています。NPTに核廃絶の役割を期待することは幻想に近いと言えますが、それでも、2010NPT再検討会議の最終文書には、国際人道法の遵守や核兵器禁止条約の必要性という文言が初めて入り、本年5月、ウイーンで開かれた2015年再検討会議のための第1回準備委員会では、「核兵器のない世界」をめざす建前を無視させないという攻防が続きました。さらに福島原発事故は、「核の平和利用への権利」を前提としたNPT体制そのものを根底から覆す視点を提起していることも重要な点です。


7 日米安保体制と沖縄、憲法9条。そして、岩国、呉=ヒロシマの問題。

日本の憲法9条体制=集団的自衛権の行使禁止は、沖縄をアメリカ政府に軍事植民地として提供することで維持されてきました。沖縄の民衆が普天間基地の県内たらい回しに明確に反対の声をあげ続ける中、1952428日の日本独立=沖縄切り捨て60年のいま、私たちには、日米安保体制をどうすべきなのかという根本問題が突きつけられています。普天間基地即時無条件閉鎖のために、日本政府が対米交渉をやり直すことを、私たちは強く要求します。岩国では、横須賀を母港とする原子力空母ジョージ・ワシントンの第五空母航空団の厚木からの移駐阻止の課題があります。沖合移設を名目に拡張された岩国米軍基地への極東最大120機常駐態勢を阻止し、愛宕山での米軍住宅建設を、私たちはやめさせなければなりません。また、「旧軍港市転換法」によって、旧軍港4市(横須賀・舞鶴・呉・佐世保)が平和都市への転換を選択したにもかかわらず、自衛隊の海外派兵拠点になっているこの4港の非軍事化をめざし、海上自衛隊基地のある呉の地で憲法9条を具体的に現実化する必要があります。これも、広島の市民が直面している重大な課題です。

以上、広島と日本の市民には、反核・反原子力・反戦平和運動で、具体的行動を通して私たちの確固とした意思を表明し、日本社会を、ひいては世界を根本から変革するために貢献していくことが要求されています。つまり、私たちにいま要求されていることは、総体的且つ長期的に観れば、単なる人間としての「世直し」の倫理的行動ではなく、あらゆる生命体を守るための「生きもの」としての倫理的行動なのです。そうした行動の一つとして、私たちは、原爆投下70周年に当たる2015年、「世界核被害者大会」の広島開催を提唱します。

(文責:久野成章 田中利幸)

No comments:

Post a Comment