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Wednesday, September 11, 2013

朝鮮学校の良さを知ってもらいたい: 原京子レポート&映画「ウリ・ハッキョ」紹介 

バンクーバーの仲間、原京子さんによる貴重な寄稿です。たくさんの人に読んでもらえるようリンクを拡散してください。@PeacePhilosophy

追記:9月28日に一部加筆修正しております。


朝鮮学校ってどんなところ?

(横浜朝鮮学校訪問記と映画“ウリ・ハッキョ”のご紹介)

 
原 京子

東京・新大久保、大阪・鶴橋で“凱旋”を行っている一部団体の常軌を逸した行為が問題となっている。また、“ネトウヨ”(ネット右翼)と呼ばれる人種が出現し、ネット上で在日コリアン・韓国人・中国人を誹謗している。

北朝鮮情勢が緊迫してくると、マスコミ報道が過剰になり、これまで朝鮮学校を援助していた各地方自治体も、補助金の次年度予算案への計上を見送る方針に変わってしまった。

東京・町田市では、市内の小学校の新入生にこれまで配布してきた防犯ブザー(私立の場合は、希望する学校には配布していた)を、朝鮮学校の児童には配布をしないと教育委員会が決定した(20133月)。配布取りやめの理由は、「社会情勢と市民感情に照らし、今回は配布できない」ということだった。町田市の防犯ブザーの一件には多くの抗議が寄せられ、その後町田市教育委員会はこの決定を撤回した。

朝鮮学校については、「北朝鮮の思想教育をする危険な学校」のイメージが横行している。

私は、これまで多くの朝鮮学校の学生、卒業生と関わってきたが、“危険な思想”を感じたことはない。最近の朝校生からはむしろ、素直で純粋な印象を受けている。朝鮮学校を思想教育の場として考え危険視する方々のほとんどは、実際には朝鮮学校を知らず、朝鮮学校の学生と直接関わることなしに、イメージだけで判断しているのではないだろうか。
 
先日、横浜市在住の裵 安(ぺい あん)さんのご紹介により、朝鮮学校を訪問する機会を得たので、多くの人の中にある朝鮮学校への固定観念を払拭していただきたく、このレポートを投稿する。


神奈川朝鮮中高級学校・訪問

横浜駅から徒歩20分。小高い丘の中腹にあり、
“横浜朝鮮学校”として知られている。
20134月、学校法人・神奈川朝鮮学園(通称:神奈川朝鮮中高級学校)を訪れた。横浜駅より徒歩20分ほどの所にあるこの学校は、神奈川朝鮮中学校として1951年に開校した。現在は、中・高校があり、近郊に在住する生徒たちが通学している。(同じ敷地内には横浜朝鮮初級学校という小学校もある。)  

現在、全国に大小あわせると80余校あるという朝鮮学校の中でも、神奈川朝鮮中高級学校は大きな規模のもののひとつである。

迎えてくれた張末麗(ちゃん まるりょ)先生は、朝鮮学校での教師歴30年以上のベテラン先生。教師として、同胞として、時には母親の眼で学生たちを見守り育てている。
 
「言葉を話すことで朝鮮人としての自覚が芽生えると思います。朝鮮語を学ぶ機会として朝鮮学校に来るというのが、一番の理由ですね。」
これだけの校舎を造り上げた、一世たちの“想い”の強さを感じる

日本の中で育っている朝鮮人の子供たちは、日本の社会の中で、日本のテレビ(ニュースを含め)を見て、日本の食べ物を食べ、日本語を話して育つ。その中で民族を意識していくことには、大きな努力が必要となってくる。その中でも、特に言語の習得が、保護者が学校に期待する最も大きなものであるという。朝鮮学校に行かないと朝鮮語を習得する機会がないため、母国語を話せない在日の若者も増えてきている。言語を話せるかどうかは、民族のアイデンテイテイ-を保つために重要なものである。 

実際に、授業を参観させてもらった。教室の雰囲気は、明るくて柔らかい感じで、いわゆる“北朝鮮のイメージ”とはかなりかけ離れている。

20数名の生徒が机を並べ、見学者を少々意識しながらも、積極的に授業に参加していた。   

凛とした先生の朝鮮語が教室に響く。授業は、すべて朝鮮語で行われる。小学校から入学すると(幼稚園から朝鮮語を学ぶ子もいる)、通算12
年の間朝鮮語で学ぶ。日本生まれの子供たちは、初めは全く朝鮮語がわからずに入ってくるが、すぐに習得してしまうという。

学校内で飼われている犬は、みんなにかわいがられている。
朝鮮半島原産の、由緒正しい血統の末裔だという。
ウリ・マル(朝鮮語)の授業では、先生に示された生徒が前に出て、朝鮮語で朗々と詩を朗読する姿が印象的だった。

女性の先生は、みな民族衣装を着て授業をしている。男子学生は、ブレザーの制服だが、女の子たちは今は見かけなくなったチマチョゴリ風の制服を着用。この制服を着ているとターゲットになりやすいので、学校外では、普通のブレザーにスカートの制服で、学校に来てから民族衣装の制服に着替えるという。

以前は各教室の中心においてあったという金日成の写真も、見学した教室内には見られなかった。(飾られている教室もあると、説明を受けた。)

英語、朝鮮語、生物と3つの授業を見学させてもらったが、どれもテンポの良い授業で、先生たちの意気込みが感じられた。授業は少人数のためか教室内に活気があり、先生の眼が全体に行き届いているように感じる。現在の日本の学校で失われつつある、古き良き時代の先生と生徒のつながりが今でも生きているような印象を受けた。


授業風景を見学させてもらい、教室を出る時にちょっと目の合った数名の生徒は、みんなニコッと笑顔で、礼儀正しく会釈してくれて好感が持てた。
和やかな雰囲気の教室内。
先生の目が行き届いているという感じがする。
 
「多くの生徒が在日の家庭の子供ですが、国籍は韓国籍、朝鮮籍と様々です。最近では、韓国語を学びたいという日本人の入学希望者もいます。」と、張先生。

日本の政府からの補助がないため、高い授業料を払ってでも“母国語を身につけて民族としての誇りを持ちつづけて欲しい“という、親御さんの強い思いを感じるという。

「朝鮮学校と言うと昔はちょっと悪いイメージがあったかもしれませんが、外で悪いことをしてしまう子たちも、私たちには素直なかわいい子でした。外では、構えていたのかもしれませんね。今は、そういう問題も全くなくなりました。」 

父母(保護者)も大変協力的で、そのサポートがあるからこそ、学校が成り立っていると張先生は言う。多くの父母が朝鮮学校の卒業生ということもあるが、日本の学校で育った父兄が“我が子の教育はウリ・ハッキョ(朝鮮学校)で”というケースもある。

教員は、“日本の公立校よりかなり安い”給与で、それでも子供たちへの愛情と民族教育への情熱を持って、現場に立っているという。先生と父兄の強い信頼関係と協力がうかがわれる。「最近問題になっている教育現場での暴力も、ここでは問題なしです。“これだけのことをしたら、これくらいは当然だよね!?”と、ゴツンとやることもありますが、生徒も納得しているし、父兄も理解してくれます。」今時、珍しいタイプの学校かもしれない。


入学おめでとう応援隊”募集のポスター。
「卒業生は、朝鮮大学や、多くは日本の大学に進学しています。その後も社会の様々な場所で、朝校出身者が出て行って活躍しています。それだけ教育の質も高く、社会的にも評価されているということだと思います。これまで“多文化共生”を掲げてやっていた神奈川県が、昨今の情勢を受けて朝鮮学校の助成金の計上を見送ったことは、とても残念です。これまでとても良い関係が続いていたので、神奈川県の職員の中にもこの措置に驚いている人がたくさんいます。」と、裵さん。これまで、思想教育をしているかどうかの“査察”を受けながらも、県からは理解を得ていたという経緯があるので、今回の措置には納得できないものがある。 

神奈川朝鮮中高級学校は、地元とも共存して存続してきた。

校舎の中に“朝鮮学校の入学式に行ってみませんか?”というポスターをみつけたた。学校を知ってもらうための新しいイベントか?と思い質問したら、「ああ、それは、日本人の有志の方がボランテイアで初めてくれたものです。」とのこと。それまで朝鮮学校を温かく見守ってきた地元の人たちによって、様々な嫌がらせやバッシングを受けながらもがんばっている子供たちを応援しよう、入学式は明るい気持ちで迎えてもらおうと結成されたのが、この“入学おめでとう応援隊”だという。2003年に始まり今年で10
年、オレンジ色ののぼりを立てて入学式を盛り上げてくれている。心温まる企画である。

朝鮮学校は、単なる「学校」として以上に、在日コリアンのコミュニテイーにとって大     切な場所である。そして今、民族教育に力を注ぐ民族学校としてだけでなく、新しい存在意義を模索している。特に神奈川県の場合、様々な国からの在日外国人が増える中、人数も多く歴史も長い在日コリアン、そして朝鮮学校がその中心となっていけるような道を捜していきたいという。

映画“ウリ・ハッキョ(私たちの学校)

もう一つ、朝鮮学校を知るための映画をご紹介する。

「ウリ・ハッキョ」(監督:金明俊・キン・ミョンジュン、2006年・韓国映画)である。ウリ=私たちの、ハッキョ=学校という意味で、在日コリアンの間では、朝鮮学校を親しみを込めて“ウリ・ハッキョ”と呼んでいる。 
映画「ウリ・ハッキョ」ポスター

日本にある朝鮮学校については、日本人もだが、韓国人にもあまり知られていない。この映画は、韓国人の金監督が、北海道朝鮮初中高級学校の寄宿舎に3年半滞在し、先生や生徒と深く関わり合いながら撮影したドキュメンタリー映画である。

朝鮮学校はいったいどんなとことろであるか、実際にその中で暮らした韓国人・金監督の目で温かく描かれており、多くの人々の共感を呼んだ。韓国では、劇場公開された記録映画としては過去最大の動員数を記録し、2006年釜山国際映画祭雲波賞(ドキュメンタリー部門の最優秀賞)、大韓民国映像大賞最優秀賞を受賞している。(日本では、自主上映のみ。) 

朝鮮学校の生の姿を知っていただくために、是非、実際に観ていただきたい映画(DVD)だが、朝鮮学校および在日コリアンの立場を理解していただくために、映画の中の金監督の言葉を引用する。 
日本の敗戦により、その時まで日本国籍だった在日同胞には、植民地以前の朝鮮国籍が与えられた。 しかし65年の日韓協定以降、韓国籍を取得した同胞に多くの有利性が付与されると、韓国籍を取得する在日同胞が急激に増えた。これは在日同胞社会の二分化を加速させる結果を招いた。今でも朝鮮国籍を変えない同胞たちは、いまだに消えうせた朝鮮、あるいは記号としての朝鮮、すなわち無国籍者として存在しているのだ。多くの同胞が、故郷は南・祖国は北と話すのも、さかのぼれば理由がある。  
学校が建てられた初期、いちばん困難だった時代から現在まで、教育援助費を送り続ける北の政府に比べ、南の政府は数十年に及ぶ棄民政策、すなわち在日同胞のことは日本の政府の方でやりなさい、という態度と、各種のイデオロギー攻勢に終始したのだった。  
この事実が、生徒と先生たちには、故郷は南だが、自分たちを理解して大切にしてくれる祖国は北だという思いを生ませたのだ。
多くの在日コリアンと関わり、またこの映画を観て、朝鮮学校また在日コリアンたち     が望んでいるのは、何よりも南北祖国の統一なのだということを、強く感じる。

固定観念を抜きにして、多くの方々に“朝鮮学校”の良さを知っていただきたい。 


原 京子(はら・きょうこ)
フリーランス・ライター。神奈川県出身。1990年、在日コリアンの夫と結婚。1994年、渡加。現在は、バンクーバー郊外に在住。異文化の中での5人の子供の子育ての経験を通して、主婦として母としての視点から、情報を発信。バンクーバー九条の会・会員。平和を考える会「White Rock の会」・共同主催
 

1 comment:

  1. (原京子さんら「ホワイトロックの会」が開催した鑑賞会の報告をここに掲載します。

    ホワイトロック・9月の会の報告

    9月14日(土)のホワイトロックの会では、DVD“ウリハッキョ(私たちの学校)”を鑑賞しました。
    この映画は、この映画は、韓国人の金明俊(キム・ミョンジュン)監督が、実際に朝鮮学校の寄宿舎に泊り込み、3年半生活を共にして作り上げたドキュメンタリー映画です。

    金監督の温かい眼を通して、朝鮮学校の子供たちが生き生きと描かれたこの映画は、多くの人々の共感を集めました。韓国では、劇場公開された記録映画としては過去最大の動員数を記録し、2006年釜山国際映画祭雲波賞(ドキュメンタリー部門の最優秀賞)、大韓民国映像大賞最優秀賞を受賞しています。(日本では、自主上映のみ)

    日本に住んでいる人にも、あまり馴染みのない朝鮮学校とは、どんなところなのでしょうか。そこにいる生徒たちの学校生活・悩み・友情・笑顔。そしてその子たちを暖かく受け止め、見守り、育てていく先生たち・父兄たち。それぞれの素のままの姿を通して、朝鮮学校に関わる人々の優しさ・たくましさが伝わってきます。
    日本人社会の中では、なんとなく居場所のなかった在日コリアンの子供たちが、朝鮮学校で同じ仲間と共に学んでいくことによって、自分のアイデンテイテイ―を確立し、お互いに励まし合って成長していく姿には、胸が熱くなります。
    “思想教育をしている”というイメージのある朝鮮学校ですが、そこで行なわれているのは、母国語を学び民族の誇りを守っていくという、とても基本的な教育です。教師・父兄が協力し、子供たちを分け隔てなく育てていこうという教育は、残念ながら現在の日本の学校ではなかなか見られなくなってきているような気がします。落ちこぼれを作らずに、ひとりひとりの生徒を大事に愛情をもって育てていく、良い学校だと感じます。

    映像の中に、生徒たちが北朝鮮を訪問する場面がありました。韓国人の金監督が入国できないために、監督に代わって学生が撮影してきた映像には、私たちが通常の報道からは知ることのできない、北朝鮮という国の違った顔が映し出されていました。学生たちを暖かく受け入れてくれて、親身に世話をしてくれる同じ民族である北朝鮮の人々。。。純粋で暖かいその笑顔に、学生たちは感動します。日本の報道で繰り返し映し出される、北朝鮮の軍事訓練などとはまったく違う、北朝鮮という国の一面に驚かされます。
    そして、祖国で同胞との楽しい日々を過ごして日本に帰ってきた学生たちを待っていたのは、朝鮮人バッシングという現実。。。。学生たちの戸惑いとやり切れない気持ちが伝わってきます。
    様々な不条理を感じる状況の中で、悩みながらも一歩ずつ確実に成長してきた子供たちの卒業式には、映像を見ている私たちでさえも思わず“おめでとう!”と言いたい気持ちになっていました。先生と生徒、そして映像を撮っている金監督の間に結ばれた、心の絆になんとも温かい気持ちにさせてもらえたドキュメンタリーでした。


    朝鮮学校の卒業生である林聖淑(リム・ソンスク)さんに、コメントをいただきながらのDVD鑑賞で、ますます“ウリハッキョ”を生き生きと身近に感じることができました。

    参加された方々の感想をシェアします。
    * 学校というものの存在の大きさ、この民族学校が在日の人たちに与えることができるものの大きさを感じた。
    * 言葉によって祖国を認識し、そういう生涯を送っている人がいるということを、日本全体が理解する必要があると思う。日本という閉ざされた国でも、そうしていかなければならない。
    * 子供の頃から“人間は皆平等”と教えられていた。朝鮮学校(中学)が近くにあり、サッカーの試合で負けたことがある。同じくらいのレベルで、なぜ負けたのかと考えたときに、“民族意識に負けたな”と思ったことがあった。
    * カナダに来て、いろいろな人と話すようになった。昔は北朝鮮は危ない国だと思っていたが、自分の中のイメージが変わってきた。中国が嫌い、韓国が嫌いと言う人がいるが、そこに行ったことはないと言う。この映画を観て、イメージを取り払うことが大切だと思った。
    * “カナダで日本人として暮らして、どんなことを感じますか?”と、皆さんに質問したい。自分は差別を感じたことは、ない。皆、同じ人間なのに、それを見ようとしない人がいる。本当に考えようとしていないのではないか?
    * 民族性の否定は、人間性の否定になる。“在日”のバックグラウンドや、それぞれの歴史を知ることは、大切である。
    * (日本の)学校では、歴史が語られていない。
    * 朝鮮学校を理解しようとするなら、日本の植民地政策の問題と朝鮮半島の南北分断の問
    題を理解しなければならない。在日コリアンが南北統一を目指す理由は、それが唯一の平和解決の方法だからだ。
    * 9・11の後、アメリカで中東の人が差別された。それと共通している。“北朝鮮”という理由で攻撃するのは、いじめに近い。
    * 朝鮮学校は、“北朝鮮の学校”と言われるほど、“北”にべったりしているわけではない。

    「ウリハッキョの卒業生は、アイデンテイテイ―がしっかりしていて、自分自身に対して迷うことがない」と、ソンスクさんは言っています。様々な問題に出会っても、仲間と助け合い、悩みながらも前進していけるからではないでしょうか。イメージに捕われずに、ウリハッキョの良さを知っておきたいと思います。
    また一方で、「昔は平気だったが、今は緊張感があってチマ・チョゴリを着て外を歩けなくなった」という状況があります。つまり、身の危険を感じるほどの異常な状態だということです。東日本大震災の時には、関東大震災の朝鮮人虐殺のようなことが再び起こるのではないかと、在日コリアンが避難所で本名を名乗れなかった、ということがあったそうです。日本という国の中で、これほど異常なプレッシャーが与えられているということは、大きな問題です。歴史も含めて、ひとりひとりがもっと多くのことを知っていく努力をするべきではないかと思わされました。
                      
    (報告:原 京子)



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