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Tuesday, October 18, 2011

コメ本調査でキロ470ベクレル出ているのに「安全宣言」。これでいいのか。

18日午後7時のNHKニュースを見たら、二本松市の市長がコメ出荷式の場で「安全宣言」していた。二本松市は、確かに予備調査で一か所だけキロ500ベクレル出て、極端に取りざたされていたのは不公平であると思っていた。キロ500ベクレルのコメを1杯食べるのとキロ250ベクレルのコメを2杯食べるのは同じなわけだから。人によっては一日三食食べる、コメにさえ「暫定基準値」を聖域の如く適用し、それ以上は危険だがそれ以下は1ベクレルだろうが499ベクレルだろうが「安全」としてしまい、それを疑う声は全て「風評」と片付けてしまう横暴さ。二本松市長は、「100ミリシーベルトまで安全」「ニコニコしている人に放射能は来ない」といった発言で知られる山下俊一氏を招いた講演に「科学的でない」と失望し悔やむ映像で知る人も多いだろう(リンク)。良心があり、市民の健康第一に考えている市長として尊敬の声がネットでこだましていたこともあった。その市長が、「安全宣言」したことをけげんに思い、農水省のサイト(以下参照)で調べてみたら、本調査でキロ470ベクレル出ている地域があった。

500ベクレル出て大騒ぎし、470で「安全宣言」する。「宣言」するときは数値には触れない。これでいいのか。コメ農家と産業を思う気持ちは測り知れないものがあるが、三保市長には、500をクリアしたからといって「安全宣言」するのではなく、予備調査で騒がれた時点で、500ベクレル出た自分の市だけでなく、他の地域のコメも気をつけてほしいと逆に声を上げて欲しかった。
以下農水省サイトから抜粋。黄色マーカーはブログ運営者がつけた。

(関連投稿 福島「全域コメ出荷」発表の日に、コメどころ新潟の汚染が発表された)


公表日 放射性セシウム濃度(Bq/kg)
本調査(早期出荷米)
8月26日
22

本調査(早期出荷米)
8月29日
11

本調査(早期出荷米)
8月29日
11

本調査(早期出荷米)
8月31日
検出せず

本調査(早期出荷米)
9月9日 36
本調査(早期出荷米)
9月9日 37
予備調査 9月15日 61
予備調査 9月15日 9.8
予備調査 9月15日 16
予備調査 9月15日 14
予備調査 9月15日 57
予備調査 (6) 9月15日 検出せず
予備調査 9月23日 500
予備調査 9月23日 35
予備調査 9月23日 29
予備調査 9月23日 24.7
予備調査 (4) 9月23日 検出せず
予備調査 9月24日 18
予備調査 9月24日 85
予備調査(3)
9月24日 検出せず
本調査 (5) 10月6日
検出せず
本調査 10月8日 22
本調査 10月8日 24.6
本調査 10月8日 27
本調査 10月8日 9.3
本調査 10月8日 34
本調査 10月8日
34

本調査 10月8日 28
本調査 10月8日 14
本調査 10月8日 10
本調査 10月8日 23
本調査 10月8日 20.4
本調査 10月8日 8.6
本調査 10月8日 42

本調査 10月8日 16
本調査 10月8日 9.8
本調査 (41) 10月8日 検出せず
本調査 10月10日 15
本調査 10月10日 42
本調査 10月10日 33
本調査 10月10日 38
本調査 10月10日 12
本調査 10月10日 27
本調査 10月10日 42
本調査 10月10日 46
本調査 10月10日 66
本調査 10月10日 18
本調査 10月10日 12
本調査 10月10日 23
本調査 10月10日 7.3
本調査 10月10日 8
本調査 10月10日 24
本調査 10月10日 11
本調査 (58) 10月10日 検出せず
本調査 10月11日 39
本調査 10月11日 10
本調査 10月11日 16.5
本調査 10月11日 25
本調査 10月11日 34
本調査 10月11日 7.3
本調査 10月11日 11
本調査 10月11日 10
本調査 10月11日 9.9
本調査 10月11日 12
本調査 10月11日 11
本調査 10月11日 40
本調査 10月11日 40
本調査 10月11日 23.5
本調査 10月11日 8.8
本調査 10月11日 90
本調査 10月11日 10
本調査 10月11日 17.6
本調査 10月11日 9.5
本調査 10月11日 11
本調査 10月11日 21
本調査 10月11日 8.7
本調査 10月11日 33
本調査 10月11日 11
本調査 10月11日 47
本調査 (94) 10月11日 検出せず
本調査 10月12日 39
本調査 10月12日 34
本調査 10月12日 10
本調査 10月12日 14
本調査 10月12日 470
本調査 10月12日 37
本調査 10月12日 34
本調査 10月12日 110
本調査 10月12日 6.3
本調査 (25) 10月12日 検出せず

注:( )書きの数字は検査件数。

もうひとつ、後世への記録のために、農水省が芸能人と子どもを使って福島のコメを宣伝するビデオをここに置いておく。



小林幸子はともかく、子どもがご飯をほおばる姿は衝撃的だ。そのときしたツイッターより。

歴史教育で、戦時中のプロパガンダ映像を見せるときがあるが、この「おうえんごはん」を見ながら、20年後、30年後に教材として使われることをイメージしていた。電力会社のCMに出ていた御用芸能人のリストを見たことがあるが、「風評被害防止」に協力する芸能人たちも要チェックだ。
また、細野氏は「冷温停止」を「年内に前倒し」と息巻いているが、燃料が溶け落ちてどこにあるのかわからないのに圧力容器内の温度を計って意味があるのかという疑問の声には全く答えていないようだ。

福島第1原発:改定工程表 冷温停止の判断あいまいなまま
http://www.mainichi.jp/select/jiken/news/20111018k0000m040074000c.html 

毎日新聞は「冷温停止」についてまっとうな疑問を呈している。これを読むと「冷温停止」の定義というのは科学・工学的に決まるものではなく政治的に決まるものらしい。自分たちの目指す目標の定義を自分たちで設定できてしまい、場合によっては都合よく定義し直せてしまうのでは何のための目標なのか。@PeacePhilosophy

以下、記事引用。

東京電力福島第1原発事故について、政府と東電は17日に発表した改定工程表で、原子炉の「冷温停止状態」の達成時期を年内に前倒しする方針を盛り込んだ。しかし、原子炉の圧力容器底部の温度だけで「冷温停止」を判断できるかはあいまいなまま。放射性物質の放出量評価についても「暫定値」だけで、「達成」を明言するにはより精度の高いデータが求められる。さらに、収束の最終目標である避難区域解除についても方向性を示せず、「冷温停止」後の展望も示せなかった。

 政府の国会答弁によると、第1原発の「冷温停止状態」の定義は主に(1)圧力容器底部温度が100度未満(2)原子炉からの放射性物質の管理・抑制(3)放射性汚染水を原子炉の冷却水に再利用する「循環注水冷却システム」の安定運転の維持--の3点だ。

 圧力容器底部の温度は今月1日以降、炉心溶融した1~3号機のすべてで100度未満を維持し、これが「年内前倒し」の根拠となった。ただ、溶融燃料が圧力容器から格納容器へ落ちているとみられ、圧力容器底部の温度だけで炉心内の状況を判断するのは困難だ。

 東電が17日に発表した原子炉安定化の実施計画によると、格納容器に落ちた溶融燃料は最高で150度程度と推定している。東電の松本純一原子力・立地本部長代理は「上部からの注水で十分冷却できており問題ない」と説明したが、経済産業省原子力安全・保安院の山形浩史統括管理官は「これからその妥当性を検討する」と述べるにとどめた。

 改定工程表で示された各号機の放射性物質の放出量は、1号機毎時約0.4億ベクレル▽2号機同約0.1億ベクレル▽3号機同約0.4億ベクレル--で、事故直後(3月15日時点)の約800万分の1に相当する同約1億ベクレルになったとしている。しかし、測定が遅れている3号機の放出量について、保安院は「暫定値に過ぎない」としており、年内までに再測定したうえで、敷地境界の年間被ばく線量が法令基準(年1ミリシーベルト未満)を達成しているか判断する方針だ。

 冷温停止達成後の避難区域の解除について、内閣府の園田康博政務官は会見で「工程表の進捗(しんちょく)状況次第で、徐々に検討が始まるのではないか」と述べた。しかし「検討」の具体的時期などについては明言を避けた。【比嘉洋、中西拓司】
http://www.mainichi.jp/select/jiken/news/20111018k0000m040074000c.html 

4 comments:

  1. Anonymous5:22 pm

    500Bqだった農家の方は、「本検査で400になっても、消費者は安全と思わない。生産者の責任でうちのコメは絶対出荷しない。ほかの安全な福島県のコメに迷惑をかけるから」とおっしゃっていました。
    http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110925ddm041040061000c.html

    二本松市の発表では、この方のものと思われる米は、「県が買い上げるので、市場には流通しません」とのことのようです。二本松市のほとんどの地域(旧市町村単位)では不検出のようですから、主食の米に関しては、検出されたものは全て県や国に買い取らせるか、せめてウクライナやベラルーシのように主食の基準値は20Bqにまで下げさせるべきでした。
    http://www.city.nihonmatsu.lg.jp/z-sinsai-osirase/230330-nouka-gougai-2.pdf


    農家は風評被害の阻止のため出荷を自粛しようとする(そうしない農家もいるようですが)。→ 国(および自治体)は農家に暫定基準値以下は収入補償しないと通達を出す。→ 収入を断たれては生活できない農家はやむなく出荷する。→ 暫定基準値が高いので消費者は福島県やその隣接県の産品を全て買い控える。→ 国(および自治体)とマスコミは、消費者が風評被害をつくったと非難する。→ 非難された消費者は出荷した農家が悪いと言い出す。 → 農家と消費者がいがみ合っている限り、国は無責任を続けられる。

    こんな無責任極まりない日本政府を一体いつまで国民は放置するのでしょうか。

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  2.  放射性物質が所謂「基準値」以下でも、それが内部被曝で体内に蓄積されると、個人差のある臨界点を超えた場合にガンが発生して死に至る。
     だから、日本中の23年産米は玄米も精米も食べてはならない。死にたくなければ。外米か古米・古古米を食べるべきだ。
     ドイツが言っているように、東電も政府も殺人犯罪者だ。

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  3. Anonymous6:05 pm

    http://mainichi.jp/select/today/news/20111013k0000m040101000c.html

    本検査の結果は1174地点中964地点(82.1%)で、機器の検出限界値(5~10ベクレル)以下。100ベクレル以上は7地点あり、出荷されるコメの最大値は、伊達市小国地区の1地点で検出された163ベクレルとなる。

    いいか悪いかの前の情報提供と把握に問題がある。

    1963年は、玄米から最高20Bq/kg、平均10Bq/kg のセシウム137が。
    1964年には半減。

    こういうことも知られていない。

    マスコミは、包括的な情報把握をしたうえで、情報を提供する責任を放棄している。

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  4. Anonymous8:01 am

    1963年、玄米から最高20Bq/kg、平均10Bq/kgの137セシウムが。1964年には半減。この時代を生きてきた年代の健康被害をもっと調査すれば、ICRPとECRRの教条的論争のはざまで、悶々とする必要がないかもしれない。

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