気鋭の国際情勢アナリスト、ブライアン・バーレティック氏の最新の動画の翻訳です。彼は、米国と西側の覇権に対する執念は変わらない、多極化を認め国際協調路線に切り替えることはあり得ないと言っています。悲観的ではありますが、彼は、政治家が言うことではなく実際に起こることと、金の動きを見よと言っています。バーレティック氏は、企業メディアはもちろん、オルタナティブメディアにさえ懐疑の眼を向けます。トランプ大統領がディープステートを倒すとか、戦争をやめるとか、期待がありましたがすべて現実は別のものになっています。民主党であれ、共和党であれ、米国の政策的連続性は変わりません。これこそが今世界の平和に対する最も大きな脅威であるということをバーレティック氏は主張しています。
小見出し、強調の太字、リンクは訳者がつけたものです。AI訳に手を入れ、繰り返しなどはまとめたところもあります。翻訳はアップ後修正するときがあります。
元の動画はここです。動画は下に埋め込みました。 https://www.youtube.com/watch?v=5t27R1u2X_8&t=2085s
Fake Handshakes vs Continuity of Agenda: Trump Repeats 1st Term Bait & Switch on China Relations
米国外交の本質:戦争を終わらせる気などない
最初に取り上げたいのは、米国のドナルド・トランプ大統領と中国の習近平国家主席の会談です。
この会談は多くの分析を呼び、いわゆる「専門家」と称する人たちが、一言一句、あらゆる仕草まで細かく読み解こうとしています。
しかし、皆さんに思い出していただきたいのは、トランプ大統領が第1期のときにもまったく同じことをしていたということです。彼はプーチン大統領とも習近平主席とも会い、いずれについても「将来は明るい」「両国関係は素晴らしい」と言っていました。
ところが、彼の任期の残りの期間、トランプ大統領はオバマ大統領の政策を引き継ぎ、中国とロシアの両国を包囲・封じ込める路線を続けました。これは、第二次世界大戦終結後から冷戦期を通じ、現在に至るまで米国が追求してきた政策であり、今も続いています。
つまり、私たちが見ているのはトランプ政権第1期の再現なのです。彼はプーチン大統領と会った後、ウクライナ戦争を激化させました。ウクライナを通じて米国がロシアと戦っているこの戦争で、トランプ大統領は「戦争を終わらせたい」と装いながら、実際には激化させています。彼はバイデン政権がこの戦争を始めたと非難し、彼の国務長官マルコ・ルビオは「これは米国がウクライナを通じてロシアと戦っている代理戦争だ」と述べました。しかし実際には、彼らは戦争を続けるだけでなく、さらに拡大させているのです。
口では「終わらせたい」と言いながら、行動ではエスカレートさせている。まさに典型的です。これが彼が第1期を通じて行ったことであり、第2期でもまったく同じことをしています。米中関係についても同様です。
多くの人々は、トランプ大統領が米国と中国を「G2」と呼んだことに希望を抱き、「米国主導の一極体制が終わるのではないか」と考えました。
しかし、そうではありません。米国の大統領は誰であっても、選挙で選ばれていない特定の企業・金融権益層のために働いています。トランプ政権も例外ではありません。「G2」という一言、文字と数字の組み合わせを言っただけで、何十年にもわたるこの既得権益層の目的が終わるわけがないのです。
「交渉相手にならない国家」米国
私はXに「短い記憶――交渉相手にならない米国 Short Memories Regarding Agreement-Incapable America」という投稿をしました。
【訳者注:agreement-incapable というのはこの場合、交渉相手にならない、約束を守らない、信頼できない相手、という意味です。】
この「交渉相手にならない」という表現を最初に使ったのはロシアだったと思います。
それは、ドナルド・トランプ大統領やジョー・バイデン大統領個人が「交渉相手にならない」だという意味ではありません。米国の外交政策を動かしている、選挙で選ばれていない特別利益集団――つまり、支配的な経済・金融勢力――こそが「交渉相手にならない」なのです。
彼らは世界全体における米国の覇権を維持することを目的としています。競争相手や同盟国であっても、対等な存在として認めることを拒みます。彼らは単極的な世界秩序を望み、自分たちを他のすべての国の上に置こうとします。
他者との協調という概念そのものを否定している人々と、真の合意を結ぶことは不可能です。
最近の米中会談――関税、輸出制限、制裁、その他の経済・外交措置など――は、ほとんど意味がありません。なぜなら、米国は自らの提案や合意を維持する能力がなく、特に弱い立場で結んだ合意を守ることは決してないからです。
米国は衰退する帝国であり、多くの点で「弱い立場」から動いています。
彼らがロシアや中国と合意するのは、理性や多極的世界秩序を受け入れたからではなく、単なる実利主義によるものです。つまり、体制を立て直すための時間と余地を稼いでいるだけなのです。
これまでもそうしてきましたし、今もまったく同じです。
会談から生じる「進展」は、一時的な休止や再編成に過ぎず、再び包囲と封じ込めの政策を強化するための準備期間になります。
この封じ込めは、関税や制裁などの経済的手段だけでなく、軍事・非軍事の圧力、政治的工作、そして中国と友好的な政府(たとえばベネズエラなど)の転覆を通じて行われています。
衰退する帝国は、ロシア・中国・イランの同盟国を攻撃するーベネズエラ、ネパール
それにもかかわらず、「米国と中国は共に新しい未来を築いている」と語る分析者がいます。
しかし、現実には米国は中国の国境に接する国々の政府を転覆させています。ネパール政府を倒したばかりです。さらにベネズエラの政府を侵攻・転覆しようと公言しています。
その理由は単純で、ベネズエラがロシア・中国・イランの同盟国だからです。
米国はこれらの国々から直接的に欲しいものを得られないため、周辺国や同盟国を標的にしているのです。
このため、ベネズエラは深刻な破壊と死、そして政府崩壊の危機に直面する可能性があります。なぜなら、米国の本質は何も変わっていないからです。
米国はいまも「世界的覇権」という強迫観念に取りつかれています。しかし、もはや直接的な支配を維持できないため、間接的な方法――他国の同盟関係を切り崩し、多極世界を孤立させる――で再び優位を取り戻そうとしているのです。
多極化の流れが米国主導の覇権を完全に凌駕してしまう前に、それを抑え込もうとしているのです。
米国は中国包囲政策を再調整すれば、結んだあらゆる合意を無視し、中国の台頭を妨げるために再びあらゆる手段を使うでしょう。
私たちは何度も、米国がロシア・中国・イランと合意を結んでは破ってきたのを見ています。
たとえば、イランとの合意交渉の最中にイスラエルを通じてイランを攻撃し、軍事・科学・政治指導層を標的とした**斬首作戦(decapitation campaign)**を試みました。さらに米国自身がイランに対して公然と侵略を行いました。
中国に対しても同じことをするでしょう。すでに始まっています。中国はそれを理解しています。問題は、西側の「専門家」やオルタナティブ・メディアがそれを理解しているのか、それとも意図的に無視しているのかということです。
米国は外交を行いません。火を見るよりも明らかです。
米国には外交の概念そのものが存在しません。
米国が行っているのは、単に時間と空間を稼ぎ、状況を有利に整えるための操作です。目的は一貫しており、今も変わりません。世界覇権の維持と、敵味方を問わずすべての競争相手の排除です。
この根本的な目的と、それを支える利害構造が変わらない限り、米国の政策で変化するのは「手段」だけであり、本質は変わりません。
マレーシアのアンワル・イブラヒム首相は米国NEDの手先
私は米国によるベネズエラへの戦争準備を追跡しています。
人々の中には、「トランプ大統領は状況を変え、米国の覇権追求の路線から抜け出そうとしている」と考えている人もいます。
しかし実際には、彼はベネズエラ政府を攻撃し、転覆させる準備を進めています。
米国の外交政策の目的は何も変わっていません。変わっているのは、その達成方法だけです。
そのころ、マレーシアのある人からメールをもらいました。アンワル・イブラヒムについて調べてほしいというものでした。
私はイブラヒムについて、何年も前から警告してきました。
この写真を見ればわかるように、イブラヒムは長年にわたって米国の「民主主義基金(National Endowment for Democracy/NED)」の協力者です。
ワシントンD.C.で、NEDの元代表カール・ガーシュマンと一緒に写っている彼の写真があります。
アンワル・イブラヒムはNEDのイベントの常連パネリストであり、頻繁に参加しています。
彼の政治運動全体は、NED、ジョージ・ソロスの「オープン・ソサエティ財団」、そしてNEDの下部組織である「国際共和研究所」(IRI)「全米民主主義研究所」(NDI)などによって作り上げられたものです。彼らが文字通り、彼の政治基盤を築き、権力の座につかせたのです。
ある時期、マレーシア国内の一部勢力が、彼を取り込もうとしました。おそらく彼を懐柔し、米国への忠誠を弱めさせようとしたのでしょう。
しかし私はこう言われました――「ブライアン、アンワル・イブラヒムは中国と会っている。あなたは間違っている」と。
ですが、私は間違っていません。彼は今も、そしてこれまでもNEDと協力しています。これは疑いようのない事実です。
「中国と会う」=「中国の味方」とは限らない
こうした人々が中国と会っているのを見たとき、理解しておくべきことがあります。
米国には、中国のようにインフラ整備・生産・経済発展などの現実的な機会を他国に提供する能力がありません。
中国には多くの提供できるものがありますが、米国にはそれがありません。
したがって、どんなに親米的な国であっても、中国との関係を完全に断つのは自殺行為です。
実際、米国自身でさえ、中国との関係を完全に切ることは非常に困難だと認めています。
フィリピン、日本、韓国のような国々を見てください。政治的には米国の影響下にありますが、中国は依然としてこれらの国々の最大、または主要な貿易相手国です。
ですから、アンワル・イブラヒムが中国と接触しているという事実は、彼が「中国側についた」ことを意味しません。
彼は長年NEDの協力者として活動してきました。彼の政治的基盤は米国によって築かれ、忠誠も米国にあります。
このようにして米国の影響下で権力を得た人々は、決して信頼できません。
米国との自由貿易協定は「主権の譲渡」
アンワル・イブラヒムは最近、米国と自由貿易協定を結びました。
これに対し、かつての政治的ライバルであり、のちに協調を試みた人々――たとえばマハティール・モハマド元首相――が批判を強めています。
マハティール氏は、長年マレーシア独立のために闘ってきた政治家です。
マレーシアがかつて英国の植民地であったことを思い出すべきです。米国はその後、長い年月をかけて西洋による支配を再び確立しようとしてきました。
アンワル氏は、米国との自由貿易協定を擁護し、マハティール氏を含む前首相たちの批判を「政治的動機によるものだ」として退けました。
しかし、これらの批判には正当な理由があります。
アンワル氏はかつて米国の利益のために動いており、今もそうしています。
彼はマレーシアの国益ではなく、米国の利益のために行動しています。
これが「米国による政治的支配」の典型です。
最近、ある人たちは私にこう言いました。
「アンワル・イブラヒムが中国と取引しているのだから、あなたの警告はもう古い」と。
私はその誤りを説明しました。どの国であれ、中国とは関係を持たざるを得ません。
たとえば、アウンサン・スー・チーを見てください。
彼女は長年にわたり、米国政府が「民主化の象徴」として育て上げた人物でした。
彼女の野党は長い間、ワシントンD.C.に本部を置いて活動しており、その後ミャンマーに移され、政権の座につきました。
やがて軍によるクーデターで彼女は排除されましたが、そのとき人々はこう言いました。
「スー・チーが習近平主席と会ったから、米国が怒って軍を動かしたのだ」と。
しかし、それはまったくの誤解です。
誰もが習近平主席と会います。
中国は今や、経済・科学・技術の面で最も強力な国の一つです。
したがって、各国の指導者が中国と会い、協議するのは当然のことです。
スー・チーが習主席と会ったからといって、中国と同盟を結んだわけではありません。
同様に、アンワル・イブラヒムが中国と交渉しているからといって、彼が「中国側」に転じたと考えるのは誤りです。
それは単なる現実主義、つまり地理的・経済的な必然性に基づく行動です。
マレーシア経済は中国と深く結びついており、その関係を断てば国全体が崩壊します。
もし崩壊すれば、米国にとっても「使い勝手の良い代理国」ではなくなります。
したがって、握手や写真を見て「味方だ」「同盟だ」と判断するのはあまりにも単純です。
外交の握手など、ほとんど意味を持ちません。
「主権の譲渡」とNEDの構造
アンワル・イブラヒムが米国と結んだこの自由貿易協定は、彼の元同盟者たち――かつて彼を取り込もうとした人々――からも強く非難されています。
マハティール・モハマド氏はこの協定を「マレーシアの主権の譲渡」と呼びました。
これは非常に強い言葉であり、軽々しく言えることではありません。
NEDと関わる人物は決して信用できません。彼らは常に自国にとっての負担となります。アンワル・イブラヒムも例外ではありません。
このような人物を権力の座につけることは、極めて危険です。
もし彼のような人物が「人気があるから仕方ない」と言われるなら、それはその国の安全保障機構がいかに脆弱であるかを示しています。
米国はNEDやその資金提供先を通じて、各国の情報空間を支配し、21世紀型の植民地支配を維持しています。
これを排除できなければ、その国は再び「現代版植民地」と化します。
マレーシアではいま、米国に取り込まれた指導者が権力を握り、国家主権を売り渡しているのです。
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