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Monday, February 07, 2011

Historical Understanding to Combat Nationalism: Takazane Yasunori ナショナリズムに負けない歴史認識を 高實康稔

Takazane, giving keynote speech at the
memorial for Korean victims of Nagasaki
A-bombing, August 9, 2009
This is the prefatory article "Historical Understanding to  Combat Nationalism," in the January 1, 2011 issue of Nishizaka Dayori, newsletter of Oka Masaharu Memorial Nagasaki Peace Museum, by the museum's Director Takazane Yasunori. The article warns excessive nationalism in Japan, especially in its mass media, calls on them to deal with the territorial conflict over the southernwest islets called Diaoyu in China and Senkaku in Japan, with historical  understanding of Japan's past aggression against China. Oka Masaharu Museum helps visitors learn about Japan's acts of invasion and aggression during the war, such as forced labour, sex slavery, Nanjing Massacre, and Unit 731, and the struggles of Korean a-bomb victims.

For past articles in this blog about Takazane, Oka Masaharu Museum, and the annual memorial for Korean victims of Nagasaki atomic bomb, see this LINK.


ナショナリズムに負けない歴史認識を

岡まさはる記念長崎平和資料館理事長 高實康稔


「中国に親しみを感じる」が激減

ナショナリズムの高揚が平和を脅かし、友好関係を阻害するだけではなく戦争の原因とさえなりうることは歴史上数えきれない実例あり、論ずるまでもありません。しかし、このナショナリズムに対する警戒感は国際社会において未だに不充分といわざるをえません。日本もその例にもれず、近隣諸国との摩擦が生じる度に、ナショナリズムが高まる傾向を否定できません。最近では、尖閣諸島周辺での中国漁船の巡視船衝突事件を契機に、反中国感情が急激に高揚しています。2010年10月に実施された内閣府の世論調査で、「中国に親しみを感じる」とする回答は昨年の調査より18.5ポイントも減じて20.0%となり、「親しみを感じない」は19.3ポイント増の77.8%に上り、過去最高だったと発表(同年12月18日)されています。この調査結果に対して外務省は「9月の中国漁船衝突事件で日中間の緊張が高まり、国民感情に大きな影響を与えた」と分析しているとのことです(各紙報道参照)。

尖閣諸島の領有権宣言は日清戦争のさ中

中国漁船の衝突事件が尖閣諸島の領有権に絡む問題であることは明らかです。「尖閣諸島は日本の領土であり、領土問題は存在しない」と表明した日本政府に対し、中国政府は「中国の神聖な領土」と反発し、日中関係が一挙に緊張しました。激しい攻防の過程で、国民は「尖閣諸島は1895年に日本の領土に編入された」という報道記事にも接したはずです。近代史の流れを概略でも理解していれば、1895年と聞くだけで日清戦争を想起し、「日本の領土」に不透明感を抱いたに違いありません。事実は日清戦争中の同年1月に領土編入を閣議決定したものでした。すなわち、中国名を釣魚島と称し、それまでは日中帰属の不明確な小島でしたが、日本の戦勝とともにその閣議決定が既成事実と化したのです。

ナショナリズムに弱いマスメディア

不思議なことに、この歴史的経緯を解説する報道記事は皆無に近く、多くの国民は衝突漁船の過激な行為にのみ目を奪われました。日本が実効支配している海域での事件であり、故意の衝突という漁船の不法行為が批判されるのは当然としても、海域をめぐる帰属問題が冷静かつ客観的に論評されない現実はマスメディアの責任放棄といわざるをえません。本来マスメディアはナショナリズムと関連する事柄にも逃避することなく積極的に発言する責務があるからです。因みに、竹島(韓国名は独島)を日本が「領土宣言」したのは1905年のことであり、日露戦争後の第2次日韓協約(保護条約)によって統監府を置き、植民地化をほぼ完成した時期と重なりますが、日本の領有主張に対する抗議行動の報道はあっても、帰属問題を両者の主張に基づいて詳しく論評した報道記事を目にしたことはありません。これでは徒にナショナリズムを刺激するばかりです。

古来共通の魚場

日清戦争によって日本の植民地となった台湾が尖閣諸島の領有権を主張するのも自然なことと思われます。また、この海域は日本が領土編入を宣言する以前、古より沖縄(琉球)、台湾、福建省の漁民たちの共通の魚場であったことにも思いを馳せるべきです。

歴史認識の深い溝が日中間に潜在

漁船衝突事件後に中国で相次いだ抗日デモに不快感を覚えた人も多いことでしょう。しかし、一隻の漁船の巡視船衝突事件が両国の国民感情を刺激し、重大な外交問題にまで発展すること自体尋常ではなく、その原因がどこにあるのかを考えなければなりません。一言で言えば、それは歴史認識に深い溝があるからだと私には思えます。暴虐をきわめた中国侵略の歴史が共通認識とならないまま、いわば未清算の状態にあることが中国国民に反日感情を抱かせる潜在的な原因であるといって過言ではないでしょう。日本の首相の靖国神社参拝は反日感情に火をつけました。731部隊の生体実験という背筋も凍る戦争犯罪でさえ、日本政府は未だに認めてはいません。また例えば、国交を回復させた「日中共同声明」(1972年)で、中国が「中日両国国民の友好のために、日本国に対する戦争賠償の請求を放棄」した寛大な決断を認識している日本人は少なく、逆にその決断を逆手に取り、日本の最高裁判所が、中国人強制連行裁判において、中国国民の戦時損害賠償請求権は消滅したとして「裁判上訴求する権能を失った」と判決(2007年4月27日)したのも未清算の最たる証拠です。日清戦争の賠償金として清国の年間予算の3年分にも相当するという2億両を支払わせたことを思うとき、日中戦争の賠償請求を放棄した中国の「以徳報怨」の精神を日本国民は決して忘れてはなりません。正しい歴史認識をもつことによって、戦争はもとより、ナショナリズムの高揚をも根底から阻みたいものです。

永井隆が南京にいた?

一言付け加えたいことがあります。先日12月12日に行なわれた「南京大虐殺生存者証言長崎集会」で、「南京で軍医として治療に当たった永井隆が虐殺について何も書いていないので、大虐殺は事実無根ではないか」という趣旨の発言がありましたが、永井隆は第5師団所属で当時南京にはいませんでした。いかなる疑問や問題提起も事実を前提にしなければ欺瞞のそしりを免れません。また、こうした発言の背後にも歴史認識の溝が垣間見えるといえるでしょう。


岡まさはる記念長崎平和資料館は長崎の観光名所、二十六聖人殉教地のすぐ近くにあります。日本の帝国主義と軍国主義の歴史、朝鮮人・中国人の強制労働や日本軍性奴隷、南京大虐殺や731部隊、朝鮮人被爆者など、日本の学校では十分に教えない、または全く教えない重要な歴史について学べる場所です。上記の記事は資料館の会報「西坂だより」2011年1月1日号の巻頭言として掲載されたものです。

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