米国は昨年12月、金正日死去前からこの発射計画を知らされていたこともわかっている(天木直人ブログへのリンク)。結局この騒ぎは、日米韓、北朝鮮、中国双方の軍拡を推進するものであり、本当は関係各国全て合意の下で進んでおり、騙されているのは危機を煽られ、軍産複合体の利益のために税金を搾り取られる各国の市民なのではないかと勘繰ってしまう。@PeacePhilosohpy
危機便乗は国民への背信
北朝鮮が「衛星」打ち上げとしている長距離弾道ミサイル発射実験が懸念される中、政府はミサイル防衛(MD)システムの地対空誘導弾パトリオット(PAC3)を、沖縄県や東京都に配備。石垣島には自衛隊員約450人を配置し、海上配備型迎撃ミサイルを搭載したイージス艦も東シナ海に派遣するなど、自衛隊を大規模に展開している。
北朝鮮の核・ミサイル開発が、極東の平和と安定などにとって脅威なのは確かだが、政府の一連の対応は、「衛星」発射に便乗した過剰反応ではないか。通常なら批判を受けるような軍事的、準有事的な活動を、実態以上に強調した”脅威”の下で行うのであれば、国民に対する背信行為だとも言えよう。
北朝鮮はこれまで、米朝合意に反して核開発を勧めたり、ミサイル発射実験を繰り返してきたりした。日米両国はじめ国際社会の批判は正当なことだ。
だが、私たちは、日本政府が”脅威”を利用してきたことも自覚しておく必要がある。1998年の北朝鮮による長距離弾道ミサイル「テポドン」発射後、政府は高まった危機感を追い風に情報収集衛星の導入を決定。当時の高村正彦外相は非公式発言ながら「情報衛星は金正日の贈り物だ」と言ってのけた。
今回展開されるMDの導入目的についても、かつて外務省幹部らは取材に対し「対中国が本音だが、それは言えないから北朝鮮の核を理由にしている」と率直に認めた。
「ミサイル配備」「迎撃」などの」有事の言葉が政府当局者から平然と語られ、基地の外で自衛官が銃を携行する異常さも意識する必要があろう。
政府は石垣島など先島諸島に初めてPAC3を配備したが、今回の実験は核弾頭など兵器を積んだミサイルの発射ではないとされる。落下物があるとすれば失敗した場合の破片などであり、本島に配備の必要性があるとは考えられない。
「可能性」の問題であれば、韓国や中国の衛星打ち上げに際しても同様の対応が必要なはずだ。
政府の対応はむしろ①沖縄付近を通って海洋進出を図る中国を念頭に置いた演習やけん制②高価なMDの”有用性”の実証や、MDの日米統合運用の”演習”③南西諸島への自衛隊配備を進めるための環境づくり-などと考える方が自然だ。
北朝鮮が発射を強行した場合、日本はどうするのか。北朝鮮はすでに日本を射程に入れた中距離弾道ミサイル「ノドン」を配備しており、発射が日本への直接的な脅威増大となるわけではないことを踏まえる必要がある。
憲法改正論議も再開しているだけに、強調された”危機”が、9条改正論や敵基地攻撃能力の必要性などの議論に安易に結び付けられないよう、国民一人一人にも冷静な判断が求められている。(共同通信記者 阿部茂)
(4月11日『琉球新報』3面掲載記事より)
関連記事
北朝鮮衛星発射にあたり、ガバン・マコーマック論考-朝鮮半島の問題を歴史的にとらえる必要性 (コメント欄に天木直人メルマガより関連記事転載)
http://peacephilosophy.blogspot.ca/2012/04/gavan-mccormack-north-koreas-100th-to.html
世界を破滅に導くミサイルの発射実験をしているのは誰か:『クリスチャン・サイエンス・モニター』誌クリーガー&エルズバーグ論説
http://peacephilosophy.blogspot.ca/2012/04/krieger-and-ellsbers-call-for.html
天木直人メルマガ4月12日付より。重要と思われるメルマガは転載してもいいと許可をいただいて、有難く思う。これを見た人はぜひ天木氏のメルマガ購読(月500円)を検討してください。
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□■ 天木直人のメールマガジン2012年4月12日第301号
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もうすぐ終わる北朝鮮ミサイル騒ぎの前に書いておきたいこと
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北朝鮮のミサイル騒ぎはもうすぐ終わる。
その前に急いで書きとどめておきたいことがある。
一つはきょう4月12日の読売新聞が掲載していた柳沢元内閣
官房副長官の次の言葉だ。
「日本の領土、領海に落下する可能性があるのは、2段目の切り
離しに失敗し、予定より手前で落下したとき」、だが、「失敗と
される09年のときも2度目の切り離しには成功した。技術的に
進歩していれば2段目の切り離しが失敗する可能性はほとんどない」
つまりわが国領土、領海に落下する可能性はほとんどないと言って
いるのだ。
柳沢氏は防衛官僚OBで09年当時安全保障担当の官房副長官補
であった人物だ。その人物がこう言っているのである。
いまごろになってこんな記事を掲載する読売新聞。さては何事も
起こらない事を見越してのアリバイづくりなのだろうか。
二つは韓国と日本の対応の差だ。大騒ぎをしている日本の報道に
韓国のメディアは疑いの目を向け、冷ややかだという(4月12日
朝日)。
それよりもなによりも昨晩終わった総選挙において、北朝の脅威
がまったく争点にならなかったという(4月12日東京)。
三つはインドがミサイル実験を4月16日―24日に実施すると
インド国防当局が読売新聞に11日語ったと言うニュースである
(4月12日読売)。
しかも人工衛星ではない。核弾頭搭載可能で中国全土を射程に
入れる弾道ミサイル実験であると公言して実施するのだ。
それでも誰も批判しない。中国の反応はない。国連安保理決議など
という話にはならない。
日本のこの大騒ぎは何なのか。
メディアや評論家はもっと国民に正直になるべきではないか。
了
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4月28日(土)に【天木×植草リアルタイム時事対談】第4弾リアル
タイム配信が次のように決まりました。
■天木×植草リアルタイム時事対談
http://foomii.com/files/interview/nightlive2012/
●出演:天木直人(元外交官)、植草一秀(政治経済学者)
●配信日時:2012年4月28日(土曜日)
19時00分~20時30分放送予定
今回は判決が下された(4月26日)直後の対談でもあり「小沢一郎氏
裁判」とは何だったのかについて90分間徹底討論します。
また、今回は視聴者のみなさんからの質問を事前に募集、対談中にお
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(2012/02/27 放送分)
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