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Sunday, July 21, 2013

宮坂浩弁護士(国際法律家協会事務局長)による『沖縄の〈怒〉』書評

日本国際法律家協会の機関誌『インタージュリスト』177号(2013年8月号)に掲載される宮坂浩弁護士による書評を紹介します。

『沖縄の〈怒〉-日米への抵抗』ガバン・マコーマック+乗松聡子著

宮坂 浩

オーストラリア国立大学名誉教授のガバン・マコーマック氏とピース・フィロソフィー・センターの代表で、国法協の会員でもある乗松聡子さんとの共著「沖縄の〈怒〉-日米への抵抗」(法律文化社)が2013年4月に出版されました。


この本は、英語で執筆された「Resistant IslandsOkinawa Confronts Japan and the United States」の日本語版で、ノーム・チョムスキー氏や「敗北を抱きしめて」の著作で知られているジョン・ダワー氏等が推薦文を寄せ、高い評価をしています。

本では、琉球王国が日本に強制併合された琉球処分により差別的構造が作り出されたこと、1945年の沖縄戦では、沖縄は「皇土」と国体を守るための「捨て石」にされ、沖縄の人口の4分の1から3分の1にあたる12万人が殺戮されたこと、戦後、沖縄は米国の「太平洋の要石」とされ、昭和天皇は、沖縄の分離と米国の長期軍事占領を希望したこと、1952年のサンフランシスコ講和条約により本土の米国占領は終わったが、沖縄本島と周辺の島々、宮古・八重山諸島は1972年まで米国占領が続いたこと、1972年の施政権返還は、沖縄の肥沃な土地と空、海を米国が占領し続けるもので、「返還」とはほど遠いものであったこと、冷戦終了後、沖縄に基地を置く理由はなくなったのに、むしろ米軍再編で基地機能は強化され、沖縄の負担は加重されたことなどの歴史をひもときながら、現在の沖縄の問題を分析、論評しています。そして、大田昌秀元知事ら沖縄の抵抗運動を担ってきた人たちへのインタビューは、沖縄の人たちの視点を提供してくれると同時に、日本の本土人の沖縄への構造的差別の問題を私たちに提起しています。

「沖縄にとって不当な現実は、米軍事支配を受ける『戦争国家』として、憲法9条を持つ『平和国家』から切り離された1952年、そして安保改定によりその分断が再確認された1960年を経て、1972年の『返還』時に日本国憲法とその主権在民、基本的人権、平和主義の保障が沖縄に適用されるはずだったのに、実際には安保条約(密約部分を含む)が憲法の優位にたつ状態がずっと続いていることである。」というこの本での指摘は、まさに現在の沖縄問題の本質であると思います。

そして、英語版のタイトル「抵抗する島々:日米に立ち向かう沖縄」を、日本語版では「沖縄の〈怒〉」としたように、沖縄の過重基地負担やそれを生み出す構造的差別について、私たち日本人は自分の問題として捉え、主権侵害を許す日米安保と地位協定の改訂や廃棄について、真剣に取り組まなければならないと思います。

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