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Friday, November 22, 2013

一般焼却施設排ガスの放射性セシウムは、国が定めた方法では検出できない-東京都は技術者の実験提案を断った。

元電機メーカーの技術者、樗木博一(ちしゃき・ひろかず)さんからの投稿を掲載します。

日本では放射性セシウムに汚染された廃棄物を一般の焼却施設(放射性セシウムを閉じ込める仕組みを持たない焼却施設)で焼却していますが、日本国の環境省は、焼却施設の煙突から大気中に排出されるガス中に放射性セシウムが含まれていても検出しない方法でガス測定を実施することを法律で定めています。私は、この問題を解決するためガス中の放射性セシウムを検出できる装置を製作し、東京都に実験を提案しましたが、認められませんでした。この状況を知っていただきたく、お知らせするものです。
 
放射性セシウムが焼却施設から大気中に放出されている可能性等について

- 技術者からの問題提起 -

 

平成25年11月19日

樗木博一

 
1.放射性セシウムが焼却施設から大気中に放出されている可能性

日本では放射性セシウムに汚染された廃棄物が焼却施設で焼却されていますが、焼却炉で800℃を超える温度で加熱された放射性セシウムの一部は、排ガス中に空気のような気体やミストといったナノメーターレベルのサイズの微粒子形態で存在することが考えられます。しかしながら、焼却施設にはバグフィルターやHEPAフィルターといった、サイズの比較的大きいダストを捕捉するためのフィルター設備(空気を通す)しかありません。このことから、焼却施設の煙突から放射性セシウムが大気中に放出されている可能性が極めて高いと考えます。

2.排ガス中の放射性セシウムの測定法における問題点

排ガス中の放射性セシウムの測定は、環境省告示第百十一号に基づいた測定法(具体的な実施方法は放射能濃度等測定方法ガイドラインに示されています)で行われています。この測定法では、ダストに付着した放射性セシウムは捕捉し、検出できますが、気体やミストといったナノメーターレベルのサイズの微粒子形態で存在する放射性セシウムは捕捉されず、検出できません(実験で確認済み)。

3.新しい測定法の提案

従来より原子力発電所の焼却施設では、環境省告示第百十一号に基づいた測定法とは全く異なる方式、即ち、シンチレーション方式の検出器を用いた排ガス中の放射性物質の監視が行われてきました。 また、今年度(平成25年度)に福島第一原子力発電所に建設される予定の焼却施設(雑固体廃棄物焼却設備)でもシンチレーション方式の検出器が採用される計画になっています。

シンチレーションとは放射性物質が発するガンマ線がNaI、CsIなどの結晶に照射されると、これらの結晶が発光(フォトンを放出)する現象で、シンチレーション方式の検出器は、この現象を利用して排ガス中の放射性物質を検出します。シンチレーション方式の検出器であれば、排ガス中の放射性セシウムが気体やミストといった微粒子形態であっても検出することが可能です。

しかしながら、原子力発電所の焼却施設に設置されているシンチレーション方式の検出器は据付タイプであり、自治体が管理、運営する焼却施設まで持っていくことができません。そこで、市販のシンチレーション方式の空間線量計を用いて、持ち運び可能な排ガス検査用放射性物質検出装置を製作しました。この装置を使って排ガス中の放射性セシウムの有無を調べる実験を行うことを提案します。

[注記]

(1) 上記の内容をより詳しく説明したビデオをユーチューブにアップロードしました。

表題「一般焼却施設における排ガス中の放射性物質測定方法の問題点および新しい測定法の提案」「排ガス中の放射性セシウムの測定法」で検索すれば出てきます。
http://www.youtube.com/watch?v=up-tKf9MlPw&feature=youtu.be




(2) 下記は、私が製作した排ガス検査用放射性物質検出装置を使った実験を東京都に提案したときの東京都の回答です。東京都でも環境省告示第百十一号に基づいた測定法で排ガス中の放射性セシウムを測定していることがわかります。

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

樗木 博一様

                                  平成251017

                                 東京都下水道局総務部

                                広報サービス課長

 

 

                  お問い合わせに対するご回答について

 

 

 日頃より下水道事業にご理解、ご協力いただきまして、誠にありがとうございます。

 

平成25年10月15日にいただきましたお問い合わせについて、下記のとおりお答えします。

 

                             

 

 

排ガス中の放射性物質の測定は、環境省告示(H23年第百十一号)に基づき実施すること

 

が定められています。このため、東京都下水道局は、今後とも、これに基づき測定を行っていきます。

                       

今後とも、下水道事業にご理解とご協力のほど、よろしくお願い致します。

 

 

〒163-8001  東京都新宿区西新宿2-8-1

            東京都下水道局総務部広報サービス課お客さまの声係


                           電話03-5320-6511

 

以上
 
(以上の都からの回答は以下の樗木氏からの「焼却施設から放射性セシウムが放出される事象に係る実験提案」(10月15日にメールで都に問い合わせ)に対してものでした。) 

東京都知事 猪瀬 直樹 様

 はじめまして、樗木博一と申します。
 焼却施設から放射性セシウムが放出される事象に係る、実際の焼却施設での実験を下記の通り提案します。
ご検討の上、実験の可否を回答いただければ幸いです。

 なお、本実験については自費で行いますので、東京都で予算を取っていただく必要はありません。

1.焼却施設から放射性セシウムが放出される事象について
 放射性セシウムを含む廃棄物を焼却している施設において排ガス中に気体やミストといった微粒子形態で放射性セシウムが存在し、煙突から大気中に放出されている可能性があります。 しかしながら、特措法に基づいて環境省が定めた測定法(環境省告示第百十一号、放射能濃度等測定方法ガイドライン)では気体やミストといった微粒子形態の放射性セシウムを捕捉できないため、放射性セシウムが排ガス中に含まれていても不検出となってしまいます(実験で確認済み)。

2.実際の焼却施設での実験の提案
 焼却施設が東京都・葛西水再生センター(江戸川区臨海町)において、排ガス検査用放射性物質検出装置(下記)を用いて排ガス中の放射性物質の有無を調べる実験を行うことを提案します。*排ガス検査用放射性物質検出装置
 従来より原子力発電所の焼却施設では、特措法に基づいて環境省が定めた測定法とは全く異なる方式、即ち、シンチレーション方式の検出器を用いて排ガス中の放射性物質の監視が行われてきました。
 また、今年度(平成25年度)に福島第一原子力発電所に建設される予定の焼却施設でもシンチレーション方式の検出器が採用される計画になっています。(シンチレーションとは放射性物質が発するガンマ線がNaI、CsIなどの結晶に照射されると、これらの結晶が発光する現象で、シンチレーション方式の検出器は、この現象を利用して排ガス中の放射性物質を検出する装置です。)
 シンチレーション方式の検出器であれば、排ガス中の放射性セシウムが気体やミストといった微粒子形態であっても検出することが可能です。しかしながら、原子力発電所の焼却施設に設置されているシンチレーション方式の検出器は据付タイプであり、自治体が管理、運営する焼却施設まで持っていくことができません。そこで、市販のシンチレーション方式の空間線量計を用いて、持ち運び可能な排ガス検査用放射性物質検出装置を製作しました。

*特措法に基づいて環境省が定めた測定法では気体やミストといった微粒子形態の放射性セシウムを捕捉できないことを確認した実験および排ガス検査用放射性物質検出装置の基本構成、外観をビデオにしてユーチューブに投稿したので、「排ガス中の放射性セシウムの測定法」で検索すれば見ることができます。

*平成25年10月4日付けで東京都・下水道局から発表された各水再生センター、スラッジプラントにおける汚泥焼却灰の放射能濃度データおよび平成25年10月7日付けで東京二十三区清掃一部事務組合から発表された各清掃センターにおける飛灰の放射能濃度データにおいて、葛西水再生センター(江戸川区臨海町)の汚泥焼却灰の放射能濃度が最も高く、高い放射能濃度の排ガスが大気中に放出されていることが考えられることから、葛西水再生センターを実験を行う焼却施設として選定しました。

(参考)
葛西水再生センター(江戸川区臨海町)汚泥焼却灰放射能濃度
放射性セシウム134: 1,100Bq/kg
放射性セシウム137:2,600Bq/kg

3.提案する実験を実施した結果、放射性物質が検出された場合、仮に2020年の東京オリンピックまでに解決することを目指すならば7年間の対策を検討し、実施する時間があります。排ガス中に放射性物質が検出されなかった場合は、放射能に対する安心材料のひとつになります。

4.私について
 私は電機メーカに勤めていた技術者です。
 J-GLOBAL科学技術総合リンクセンターのサイトで「樗木博一」で検索すれば、在職中に電気学会に投稿した論文や特許などがわかります。
 平成10年に日本電機工業会より発達賞をいただきました。


以上
 

参考資料:「放射能濃度等測定方法ガイドライン」はここです。
http://www.env.go.jp/jishin/rmp/attach/haikibutsu-gl05_ver2.pdf#search='haikibutsugl05_ver2.pdf'

 これは「環境省告示第百十一号」に基づいて具体的な測定方法を環境省が示したものです。(P.5-29、P.5-30参照)。

[投稿者経歴]
九州大学工学部電気工学科卒業(1977年3月)
九州大学大学院エネルギー変換工学専攻修士課程修了(1979年3月)、工学修士
三菱電機株式会社入社(1979-04)三菱電機株式会社退職(2009年5月)
平成10年財団法人日本電機工業会功績者表彰において「500kV高電圧大容量サイリスタバルブの開発」にて発達賞を受賞

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