Sunday, August 17, 2025

8月15日は、朝鮮が日本の植民地支配から解放された「祖国解放の日」「光復節」です。August 15 is the Liberation Day for Koreans

 8月15日は朝鮮民主主義人民共和国にとっては「祖国解放の日」、大韓民国にとっては「光復節」でした。日本の植民地支配から解放されて80周年という感慨深い日なのです。当日の、金正恩委員長と、李在明大統領の演説は、日本人として全文しっかり読むことが必要と思います。読むと実にいろいろなことに気づかされます。

李在明大統領の演説については、市民団体「歴史正義と平和な韓日関係のための共同行動(韓日歴史正義平和行動)」が、「李在明大統領は強制動員や日本軍『慰安婦』問題などの、光復から80年が過ぎても解決されていない歴史懸案に具体的に言及もしなかった」と批判しました。ハンギョレ新聞でも報道されています

こういった点は踏まえつつ、日本人としてはやはりこの日に、日本が朝鮮を植民地支配した歴史を振り返るためにも、胸に手を当ててこの二つの演説を読むことは大事ではないかと考えます。朝鮮半島が分断されたままで朝鮮戦争も終結を見ないでいる状態には、米国の属国として朝鮮に対する敵視政策を続けている日本にも責任があるのです。

ちなみに私は、「日本人ファースト」のように排除的な文脈で使われることが多いことからも、ふだんは「日本人」という言葉を使わないようにしていますが、戦争責任や植民地支配責任を考える主体としての集団を指すときは「日本人」という表現を積極的に使います。

金正恩委員長の演説は「朝鮮新報」にアップされていました。李在明大統領の演説は韓国政府のサイトにアップされていました。AIの助けを借り、ネットで出回っている翻訳も参考にした日本語訳をここに掲載します。(翻訳はアップ後修正することがあります)    @PeacePhilosophy 乗松聡子


金正恩元帥が祖国解放80周年記念大会で行った演説


親愛なる同志たち、友人たち!

愛する平壌市民、全国の人民、人民軍将兵たち!

私たちは今日、国を取り戻した数千万の歓喜で限りなく震えた解放の広場で、80年前のあの感激を再び抱いています。

わが国家の誕生と発展の神聖な道程を高く思い起こす今日の祝典は、人民の運命を転換させた不滅の精神と数十年にわたる困難な抗争の歴史とともに、長き80年を歩んできた新しい朝鮮の歴史が、いかに尊厳と栄誉の頂点に位置づけられたのかを示す時代的照明であり、誇り高い総決算となります。

この意義深い場で、祖国の独立と繁栄のためにすべてを捧げた抗日革命闘士と愛国烈士たちに、彼らが遺した自由と繁栄の基盤の上で尊い生活を享受してきた全ての後孫の名において、崇高な敬意を表します。

尊く神聖なる祖国に燃える愛と無限の知恵を捧げ、富強と発展の新時代を創造している全国の人民と我が軍の将兵に熱い挨拶を送ります。

また、我が人民の解放偉業に血を捧げた赤軍将兵の戦闘的功績を厳粛に追憶し、烈士たちに崇高な敬意を表します。

あわせて、我が人民の解放節を両国の共同の祝日として祝賀し、厚い信頼と友情の心を共にしているロシア連邦のウラジーミル・プーチン大統領と、我が国を訪問したヴャチェスラフ・ヴォロージン同志をはじめとするロシアの貴重な賓客、親しい戦友と兄弟的人民に温かい挨拶を送ります。

同志たち!

1945年8月15日は、朝鮮人民にとって生命のような自主的尊厳を取り戻した運命転換の起点であり、偉大な勝利の日です。

過去、世界を席巻した列強の侵略戦争によって悲惨な境遇を経験した国と民族は多かったが、日帝植民地統治時期のわが国ほど徹底的に踏みにじられ、すべてを奪われた受難の国はかつてありませんでした。

五千年の歴史に最大の恥辱を残し、人民の怨恨と悲痛が深く刻まれた亡国の流れを止めたのが祖国解放でした。

我々が祖国解放の事変を、単に植民地から独立国家への転換としてではなく、代を超えて敬虔に記念すべき偉業とするのは、そこに朝鮮人民の尊い魂と犠牲が注がれているからです。

日帝植民地時期は、朝鮮人民の受難の歴史であると同時に、不義に屈せず血で綴られた抗争の歴史でもあります。

日本帝国主義は、朝鮮の精神と魂まで根こそぎ抹殺しようと、歴史上類を見ない暴圧と悪行を働きました。しかし、我が人民の堅固な独立精神を挫くことはできず、犠牲をいとわぬ愛国的抗日闘争は片時も途絶えることがありませんでした。

アジアの強国として君臨した日本軍国主義を相手に、朝鮮人民の優れた息子娘たちが繰り広げた武装闘争は、祖国と子孫の運命を背負い、苛酷な苦難と痛ましい犠牲を耐え抜いた決死の血戦でした。自主の立場を一貫して貫いた抗日革命の成果は、朝鮮人民が切り開いた自力独立の道程を鮮やかに証明しました。

それは決して歴史の流れが自然に生み出した事変ではなく、全人民的な抗日力が犠牲を恐れず支えた自主精神の勝利であるところに、解放偉業の革命的性格と政治的意義があります。

8月15日とともに、我が人民は失われた主権・領土・資源・歴史・文化のすべてを取り戻し、自由と運命開拓の可能性を手にし、民主的発展と幸福の偉大な事業の主人として堂々と歩み始めました。

過去80年のように歴史の場面が変わり、時代の名が新しく刻まれようとも、人民が自らの意志と闘争で勝ち取った8月15日の重みと価値は、変わることも削がれることもない絶対的なものです。

同志たち!

今日、我々は解放80周年を、先烈たちの前に、祖国と後代の前に、最も誇らしく神聖な歩みを刻んできた無限の誇りと栄光をもって迎えています。

命をかけて切り開いた偉大な歴史があっても、それを命をかけて守る継承がなければ、また先烈が遺した貴い成果があっても、代々それを守り輝かす闘争がなければ、国と民族の血脈は断たれ、栄光の記憶を持つ権利さえ失われることでしょう。

今日、我々がこのように盛大に祖国解放節を祝えるのは、先烈の血が染み込んだこの土地の上に、強大で繁栄する国家を建設するための闘争の道程が正々堂々とあったからです。

8月15日は、民族の宿願であった自由と独立が実現した勝利の日であり、受難の歴史を永遠に終わらせる強国建設の闘争が始まった日です。

8月15日を分岐点として始まった、朝鮮共産主義者と人民の新たな歴史的使命は、最初の一歩から既存の観念と公式を超える未曽有の開拓であり、反革命に命をかけた敵国との不利な激戦を伴う、実に困難な課題でした。

解放とともに、我が国の社会発展を逆行させようとした勢力とその基盤は崩れました。しかし、新たに独立した国々を再び隷属させるための侵略戦争と分裂工作、新植民地主義政策の先頭に立った帝国主義勢力、さらに先進国と後進国の差を永遠に固定しようとする支配主義勢力の圧力と干渉は、我々に計り知れない挑戦と難関をもたらしました。

しかし、それらすべては朝鮮人民の強い自尊心と剛健さの前に無力でした。

再び外勢に蹂躙されるまいとする自主の信念は、暴政と強権よりも強く、誇り高く幸福な生活を創造しようとする愛国の情熱と努力は、苦難と試練を克服しました。

そのように苛烈な年代に、政治も経済も国防も自らの方式で築き上げてきた輝かしい富国強兵の歴史には、国家建設と活動の不変の原則としての自主路線の生命力とともに、命は捨てても自尊は捨てない朝鮮人民特有の強靭さが刻まれています。

自ら選んだ理念と制度を守り、自分の祖国を強大で繁栄する国にするために歩んだこの道程で、我々が受けた痛みと苦難は数百数千冊の書物にも収めきれません。

しかし、我が人民には、それを栄光と幸福として記憶するに足る尊い闘争の誇りと、築き上げた歴史と現実に対する特別な自負があります。

自主的な生活と未来を保障する政権を自ら樹立し、守り、どんな勢力も手出しできない強大な力を自分の手で築き、自分の方式で繁栄を実現している——これこそが、誰も体感できない朝鮮人民だけの誇りです。

まさにその力、その誇りとともに我が祖国は、自主と正義、尊厳と平和を守る強力な砦となり、歴史を逆行させようとする帝国主義の横暴と強権を打ち砕き、人類の解放偉業に無視できない貢献をしています。

自らの闘争、自らの力と知恵によって、革命先烈たちの願いと青春が輝いて生き続ける富強繁栄の国を建設し、解放80周年を祝う我が人民の感激と誇りは限りありません。

祖国解放80周年は、我が人民が隷属と屈従を打ち破った自主独立の基盤の上に築き上げた祖国繁栄の記念碑であり、徹底した自主意識と不屈の闘争によって祖国の地位と名声を新たに刻んだ尊厳と栄光の分岐点です。

同志たち!

新しい朝鮮の誕生が記された歴史の日から80年の歳月を振り返るこの時刻、改めて胸に迫るのは偉大なる人民への限りない敬意です。

我々の記憶の中には、様々な年代と時代に戦闘的業績と功勲で祖国の勝利と栄誉を支えてきた数えきれぬ名があり、我々の心には夢も愛も青春もこの地に埋めた無数の英雄の魂が生きて躍動しています。

祖国と革命の道で命を惜しまず捧げ、愛する子供たちさえためらわず送り出し、その道から戻らぬ息子娘を持ったとしても、それを悲しみではなく栄光と受け止める、この国人民特有の強靭さは、抗日の時代から今日まで一世紀を通じて曇りなく継承されてきました。

今にして思えば、それは決して抗日革命という歴史の一区間、当時の厳しい環境で発揮された特別な感情や衝動ではなく、自国の勝利と栄光に捧げる人生を最も価値あり幸福なものとみなす我が人民の高潔な人生観であり、朝鮮人民の偉大さの発露であり、いつも続き必ず受け継がれる血脈のような精神であり伝統なのです。

この不滅の継承こそが朝鮮人民の第一の優秀性であり偉大さです。

歴史と現実は、この国の政権を支えるのがいかなる人民であり、どんな信念と精神が革命の継承性を守っているのか、そして朝鮮の強大さがどこに根ざしているのかを明白に示しています。

人民大衆はその本性ゆえに正義であり力ある存在ですが、この世界に朝鮮人民ほど正義に満ち、強靭で誇り高い人民はいません。

このような人民を誰も屈服させることはできません。そして、このように愛国的で誇り高い人民が建設し支える国家は、永遠に強大で不滅です。

私はこの場を借りて、祖国への真摯で不変の愛と、屈することのない強靭さをもって、自らの時代の歴史的使命と義務に無限に忠実な我が人民に、崇高な敬意と衷心の挨拶を送ります。

同志たち、友人たち!

朝鮮の解放をめぐる決戦の記録には、世界反ファシズム戦争の前線で英雄的に戦った赤軍将兵の功績が鮮やかに刻まれています。わが人民はロシア人民の優れた息子娘たちの崇高な国際主義的偉業を鮮明に記憶しています。

帝国主義・植民地主義に反対する兄弟姉妹的人民の民族解放闘争を支持し声援したロシア人民の正義の理念と努力は、血によって結ばれ厚みを増した朝露関係の貴重な遺産となっています。

今日、朝露の友好関係は歴史に類を見ない同盟関係へと発展し、新ナチズムの復活を阻止し、主権と安全、国際的正義を守る共同の闘争の中で強化されています。

両国はいつの時も歴史の正しい側に立ち、覇権に反対し、公平と正義を要求する人類の志向と要求を、断固とした闘争で代弁してきました。

今年、人類は世界を隷属化しようとしたファシズムを打倒し、その犯罪的蛮行に終止符を打った第二次世界大戦終結80周年を迎えます。

しかし今日の国際舞台では、甚大な破壊と犠牲の代償で成し遂げられた世界反ファシズム戦争と民族解放闘争の成果を消し去り、逆転させようとする危険な行為が公然と行われ、主権国家の権利と利益を侵害する帝国主義者の極端な蛮行がかつてなく深刻化しています。

歴史の中で失われた政治的支配権を取り戻そうとする野望の下、絶え間ない戦争と威嚇政策によってヨーロッパとアジア、さらには世界全体を右傾化・一極化しようとする極めて横暴で無謀な策動を粉砕することは、平和を愛し正義に忠実な国と人民が担うべき歴史的任務であり、それは進歩勢力の強力な連帯と共同闘争を要求しています。

朝鮮とロシアは今、国の尊厳と主権、世界の平和と安定のための闘争の最前線で、再び正義の歴史を創造しています。

崇高な理念と真実の友情で結ばれ、革命を血で支えた歴史と伝統を基盤とする朝露団結の力は無尽です。

我が党と政府は今後も自主と正義のために、時代と歴史が与えた使命に忠実であり、この道程で兄弟姉妹のような両国人民はいつも勝利者の栄誉ある名声を共にするでしょう。

同志たち!

偉大な人民が築き育てるこの国は、歴史の厳しい挑戦と困難の中でも繁栄と発展への力強い前進を続けています。

強大で無窮に繁栄する祖国の今日と明日のために命を捧げた先烈の前に、この地で代々生き続ける後代の前に、我々世代が担う使命は実に重いものです。

偉大な強国のために、子孫万代に輝く愛する祖国の永遠の安寧と繁栄のために、屈することなく我々の前の挑戦を克服していきましょう。

闘争を通じてさらに強くなった我々の力で、我が人民特有の自尊と気質で、祖国をさらに偉大に高めていきましょう。

朝鮮人民の尊厳と栄光の偉大な歴史は、千年万年にわたり代々永遠に輝くでしょう。

偉大なる朝鮮人民万歳!
栄光ある我が祖国、朝鮮民主主義人民共和国万歳!



李在明大統領による 第80周年 光復節 記念演説


尊敬する5,200万国民の皆さん、

700万在外同胞の皆さん、

そして独立有功者とご遺族の皆さん、

80年前の今日、私たちは奪われた光を取り戻しました。

三千里の山河を感激で明るく照らしたその光は、決してただ得られたものではありませんでした。解放への不屈の意志、主権回復への強烈な渇望の中で、自らを燃やした無数の人々の犠牲と献身によって勝ち取られたものでした。

光復節は単に独立を達成した日ではありません。
自らの手で未来を定め、自らの生活を選択する自由と権利を取り戻した日なのです。

この80年間、大韓民国はまばゆい成果を成し遂げました。

植民地から解放された国々の中で唯一、産業化と民主化を同時に実現し、軍事力世界5位、経済力世界10位圏の先進民主国家として堂々と立ちました。

尊敬する金九先生が願った文化強国の夢も現実となっています。
世界の人々が韓国語で歌い、映画・ドラマ・漫画・文学など私たちが生み出したコンテンツを楽しんでいます。

再び奪われることのない富強な国をつくるという独立闘士や愛国先烈たちの情熱があったからこそ可能だったのです。

「飲水思源」——水を飲むときその源を思えという言葉のように、大韓民国の今日を築いた先烈の犠牲と献身を顧みることは、自由と豊かさを享受する私たちの当然の責務です。

誇らしい抗日闘争の歴史を顕彰し、独立有功者の名誉を守ることは、共同体の過去と今日、そして未来を守ることです。

独立闘争の歴史を否定し、独立運動家を侮辱する行為は、もはや決して許されてはなりません。

すべての人のために犠牲を払った方々を顧みなければ、再び危機が訪れたとき、果たして誰が共同体のために先頭に立つでしょうか。

共同体のために特別な犠牲を払った方々に敬意と尊崇の心を寄せれば寄せるほど、私たちの共同体は一層強固になるのです。

我が政府は独立闘争の歴史を正しく記憶し、記録し、国民と共に作っていきます。

生存しておられる愛国志士の方々に格別の敬意を尽くし、
独立有功者遺族への補償範囲もさらに広げます。
海外に眠る独立有功者の遺骨返還を積極的に推進し、叙勲を受けられなかった未叙勲独立有功者を発掘し、すべてがふさわしい待遇を受けられるようにします。


尊敬し愛する国民の皆さん、

我々の曲折の歴史は「光の革命」へと至る長い過程でした。
奪われた光を取り戻し、その光を守るための闘争の連続でした。

3.1運動の偉大な精神は臨時政府へとつながり、半島を越えて世界中に独立闘争の炎となって広がり、ついに我々は再び光を取り戻しました。

分断と戦争の暗い絶望の中でも、国民は希望を捨てず、独裁の厳しい寒さの中でも尊い光を守り抜きました。

4.19革命と5.18民主化運動、6.10民主抗争によって民主化の光を明るく照らし、世界史に例のない二度の無血平和革命によって、この地が国民主権の生きる民主共和国であることを天下に宣言しました。

昨年末から今年にかけて続いた「光の革命」は、かつてタゴールが歌った「東方の灯火」が、五色のペンライトの輝きとなって光り輝いた感激の瞬間でした。

暗闇があったから光の大切さを知り、光があったからこそ暗闇に立ち向かう勇気を持てました。

光復で取り戻した光を再び奪われぬように、独裁と内乱から守った光が二度と消えぬように、私たち皆で共に守りましょう。

それこそが「光の革命」の真の完成であり、先烈の崇高な犠牲に応える道だと信じます。


尊敬する国民の皆さん、

我が先祖たちは苦難の中でも富強な国、共に豊かに暮らす世界を夢見ました。

死を目前にしても東洋の平和を説き、侵略の苦痛の中でも高い文化の力を願いました。

しかし思いがけぬ分断は、この切なる願いを遮る障害となりました。

分断体制は国土を断ち切っただけでなく、大きな壁となって国民を分裂させました。

私利を追う勢力は分断を口実に果てしなく国民を分断し、国論を裂きました。

民主主義を抑圧し国民主権を制約するだけでなく、戦争の惨禍へ国民を追い込もうとする無謀な試みさえためらいませんでした。

いま私たち内部の壁を壊さねばなりません。
そうしてこそ先祖たちが望んだ国へ進めるのです。

憎悪と嫌悪、対立と対決では何も解決できず、むしろ国民の生活と民主主義を深刻に脅かすだけだということが、この80年で得た痛切な教訓です。

分裂と排除の暗いエネルギーを、包容と統合、連帯の明るいエネルギーに変えるとき、社会はよりよい未来へと大きく飛躍できるでしょう。

国民は常に危機の前で小さな違いを超えて大きな一つに団結してきました。

国を失った悲しみを乗り越え命を懸けて独立を勝ち取ったのも、戦争の廃墟を越えて目覚ましい産業化を遂げたのも、金集めでIMF外貨危機を克服したのも、そして武力による内乱から憲政秩序を守ったのも、すべて国民でした。

しかし残念ながら政治は、国民の期待と水準に達していません。

いま政治文化も変えなければなりません。
政治が私益ではなく公益を追求する機能を回復し、国民が政治を心配する異常な状況を終わらせるとき、内に根を張った葛藤と嫌悪の壁も初めて消えるのです。

古いイデオロギーと陣営に基づく分裂の政治から脱し、対話と譲歩に基づく連帯と共生の政治を共に作っていこうと、この場を借りて改めて提案し、強く訴えます。

先祖が願った富強な国、共に豊かに暮らす国、国民主権が完全に実現する真の民主共和国に向かって、共に手を取り合い進んでいきましょう。


尊敬し愛する国民の皆さん、

分断によって続いてきた南北対立は、私たちの生活を脅かし、経済発展を制約し、国の未来に深刻な障害となっています。

古い冷戦的思考と対決を超え、平和な朝鮮半島の新時代を開かなければなりません。

敵対状態の持続は、南と北いずれの住民にも何の利益ももたらさないことを私たちはよく知っています。

平和が揺らぐとどんな不幸が起こるか、すでに過去の歴史を通じて痛いほど体験しました。

平和は安全な日常の基礎であり、民主主義の土台であり、経済発展の必須条件です。

戦って勝つより、戦わず勝つより、戦う必要のない状態――すなわち平和をつくることこそ最も重要ではないでしょうか。

度重なる浮き沈みの中でも続いてきた南北対話は、前政権の間に完全に途絶えてしまいました。

もつれた糸玉であればあるほど、忍耐を持って一つひとつ解きほぐしていかなければなりません。

遠い未来を語る前に、今すぐ信頼回復と対話の復元から始めることが順当な道でしょう。

信頼は言葉ではなく行動で築かれます。

国民主権政府は就任直後から、ビラ散布の中止、大北向け拡声器放送の中止などの措置を講じてきました。

今後もわが政府は、実質的な緊張緩和と信頼回復のための措置を一貫して取ってまいります。

南と北は敵ではありません。

南と北は互いの体制を尊重し認め合いながら、平和的統一を志向するその過程にある特別な関係であると、私たちは定義しました。

南北基本合意書に込められたこの精神は、6.15共同宣言、10.4宣言、板門店宣言、9.19共同宣言に至るまで、南北間のすべての合意を貫いてきた精神です。

わが政府は既存の合意を尊重し、可能な事案についてはすぐにでも履行していきます。

まず、現在の北側の体制を尊重し、いかなる形の吸収統一も追求せず、一切の敵対行為を行う意思もないことを明確にいたします。

特に、南北間の偶発的衝突を防止し、軍事的信頼を構築するために、「9.19軍事合意」を先制的かつ段階的に復元してまいります。

さらに、公利公営・有無相通の原則に基づき、南北住民の生活を実質的に改善できる交流協力の基盤を回復し、共同成長の条件を整えていきます。

光復80周年である今年こそ、対立と敵対の時代を終え、平和共存と共同成長の朝鮮半島新時代を共に切り開いていく適期であると考えます。

信頼を回復し、断絶された対話を復元する道に、北側が応えてくれることを忍耐強く期待します。

一方で、平和な朝鮮半島とは「核のない朝鮮半島」であり、周辺国との友好的協力を基盤とする朝鮮半島です。

非核化は短期に解決できるものではない、複雑で極めて難しい課題であることを認めます。南北、そして米朝対話や国際社会の協力を通じて平和的解決の糸口を探しつつ、朝鮮半島の平和と南北関係発展に対する国際社会の支持と共感を広げていきます。


尊敬する国民の皆さん、

今年は光復80周年であると同時に、韓日国交正常化60周年を迎える年です。

過去を直視しつつ、未来へ進む知恵を発揮すべき時です。

韓日両国は長きにわたり曲折の歴史を共有してきたため、日本との関係を確立する問題は常に重要であり、難しい課題でした。

私たちの傍らには、今なお過去の歴史問題で苦しんでいる方々が数多くおられます。

立場を異にする大きな葛藤も存在します。

同時に私たちは独立志士たちの夢を忘れてはなりません。苛烈な日本帝国の植民地支配に抗しながらも、いつの日か韓日両国が真の隣人となれるという希望を捨てなかった、その先烈たちの切なる願いを引き継いでいかなければなりません。

日本は庭を共にする隣人であり、経済発展において切り離すことのできない重要なパートナーです。

60年前の韓日国交正常化当時、両国国民の往来はわずか1万人余りに過ぎませんでしたが、今では年間1200万人の人的交流の時代に入りました。

私たちの国力もまた、当時とは比べ物にならないほど成長しました。

韓国と日本が産業発展の過程で共に成長してきたように、両国が信頼を基盤に未来のために協力するとき、超格差の人工知能時代の挑戦も十分に共に乗り越えていけるでしょう。

国益中心の実用外交の原則に立ち、シャトル外交を通じて頻繁に会い、率直に対話しながら、日本と未来志向的な共生協力の道を模索してまいります。

信頼が厚くなればなるほど、協力の質も高まるものです。

日本政府が過去の痛ましい歴史を直視し、両国間の信頼が損なわれないよう努力してくれることを期待します。

そうしてこそ、互いにより大きな共同利益と、より良い未来が開かれると信じます。


尊敬する大韓民国の主権者である国民の皆さん、

私たち皆は今、巨大な変化の「渦」の中にいます。

サプライチェーン再編と通商秩序の急激な変化、先端技術競争に伴う産業大転換、気候危機によるエネルギー転換、この複合的な危機を賢明に乗り越えなければなりません。

韓米関税協議は一つの波に過ぎません。

これからも次々と別の波が押し寄せてくるでしょう。

急変する秩序にきちんと対応できなければ、国家の未来が揺らぎ、国民の暮らしが脅かされることになります。

変化する国際情勢に追いつけず、列強の狭間で押しつぶされ、ついには国権を奪われた120年前の乙巳年の過ちを二度と繰り返してはなりません。

2025年の乙巳年は、当時とは違うものでなければなりません。

高い波に飲み込まれて難破するのか、危機を機会に変えて再び跳躍するのかは、全て現在の私たち自身にかかっています。

一歩遅れれば苦しい追随者の身に甘んじることになりますが、たとえ大変でも半歩先に出れば、無限の機会を享受する先導者となれるのです。

半導体、人工知能など先端科学技術を育成し、変化に積極的に対応しなければなりません。エネルギー高速道路をはじめとするエネルギー転換の速度を高め、未来を先頭に立って切り開いていかなければなりません。私たちの文化もさらに磨き上げ、ソフトパワーで世界を先導しなければなりません。

そうしてこそ、私たちは新しい100年の飛躍を迎えることができるのです。

歩んだことのない道ではありますが、私たちはこれまでそうしてきたように、いくらでもやり遂げることができます。先祖たちが取り戻した自主独立の光が、わが国民が成し遂げた民主主義の光が、私たちの未来を照らす道しるべとなってくれるからです。

偉大なわが国民の底力が再び発揮されるならば、暗闇の中でも道を失わず歩んできたように、私たちが進むべき道も見失うことなく見出すことができるでしょう。

世界を先導する大韓民国、

平和と繁栄に満ちた国、

国民主権の光が消えない国へと、

国民の皆さん、ともに進んでいきましょう。

ありがとうございます。

(翻訳以上)

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