ペペ・エスコバール氏の7月17日の記事を紹介します。翻訳はアップ後修正する可能性があります。
How Tehran is running the clock
https://telegra.ph/How-Tehran-is-running-the-clock-07-16
事態はテヘランのペースで進んでいる
ペペ・エスコバール 2026年7月17日
まず、このますます危険さを増している岐路において作用している四つの重要な要素から始めよう。
| Pepe Escobar |
第一。 イラン議会(マジュリス)は火曜日の夜、前最高指導者アヤトラ・ハメネイ師がマシュハドで埋葬された先週金曜日に始まった「新たなモジタバ時代」の幕開けとともに開会した。290人の議員は全会一致で二つの決議を採択した。
第一の決議は、ペゼシュキアン大統領率いる政府に対し、「核能力の加速」を求めるものである。これはウラン濃縮の加速とも解釈できるし、さらに画期的な何かを意味する可能性もある。
第二の決議は、これまで合意されていた条件に基づく米国とのいかなる(強調は原文)妥協も拒否するものである。つまり、たとえ新たな了解覚書(MoU)が再び締結されるとしても、アンカラでのNATO首脳会議の直後に米国大統領によって事実上破棄された前回とは異なり、その条件は米国にとってはるかに厳しいものとなるだろう。
第二。 イラン・パキスタン・カタールのルートである。
今週初め、パキスタンとカタールは集中的な協議を再開した。いや、「必死」と表現してもよいほどであり、今度の日曜日にもテヘランとの直接対話を再開しようとしている。
しかし、それはいくら頑張っても無駄になる仕事である。なぜなら、それは米国によるイラン標的への大規模爆撃――民間インフラを含む――と、先週イラン各地で数百万人が叫んだ「復讐」というスローガンと真っ向から対立する形で行われなければならないからだ。
それでも外交努力は現実に存在する。ただし、その目的は仲介者たちによって「和解への道」から「大惨事の防止」へと格下げされてしまった。
第三。 トランプ=ムニール秘密ルート。
交渉の場の哀れな残骸に関わる仲介者たちは、トランプが今なおパキスタンのアシム・ムニール元帥に直接電話をかけ、自らが面目を失わずに済む「出口」を見つけるよう迫っていることを確認している。
これは、ニュースを支配する大統領(POTUS)特有の大げさな発言――「イランは取引を懇願している」――を完全に無効にする。現実はまったく逆だ。ちなみに、トランプにとってムニールは、この危機から抜け出すための最後の望みである。
第四。 米国の爆撃に対するイラン軍の対応である。
その中でも特に重要なのは、精密クラスター弾によってクウェート、バーレーン、ヨルダンにある米軍基地が壊滅的打撃を受けたことである。
実際の被害の圧倒的大部分は公表されていない。カタールのアル・ウデイド空軍基地からヨルダンの指揮統制センター、クウェートで破壊されたパトリオット・ミサイル・システム、UAEのアル・ダフラ空軍基地に至るまで。MQ-9無人機の格納庫、HIMARS発射機、弾薬庫、さらにはオマーン・ドゥクム港の給油施設まで破壊された。
とりわけ注目すべきはドゥクム港である。ここはアラビア海沿岸、ホルムズ海峡の外側に位置する。米艦船はペルシャ湾に入ることなくここに寄港し、給油や修理、補給を受ける。北インド洋に展開する米艦隊の後方支援拠点として極めて重要な場所である。
モジタバ・ハメネイの立場は
繰り返すが、たとえ「MoU2.0」への道が開かれたとしても、最初の会談でテヘランは極めて明確にこう伝えるだろう。ワシントンはMoU第1条(すべての戦争の終結)を履行しなければならない。それがなければ交渉はない。
その間、トランプによる「封鎖2.0」があろうとなかろうと、テヘランはホルムズ海峡を引き続き厳しく制限する。通航はララク島沖の革命防衛隊(IRGC)海軍の航路を通る場合に限られる。
さて、モジタバは何を考えているのか。
西アジアの安全保障構造は単に変化しただけではない。それは崩壊し、新たに再構築された。そして、その再構築の条件を決めているのはテヘランであり、しかもペルシャ湾全域においてエスカレーションの主導権を握っている。
14項目から成るMoUは、イランが条件を決めることを明記しており、仲介者も交渉担当者もそれを理解している。彼らは、どれほど脆弱であっても間接対話のルートを維持しようと必死になっている。
新指導者モジタバ・ハメネイは圧倒的な国民的支持を得ている。先週金曜日以来、新時代の指導者として、彼は事実上、文書による指示で統治している。
マジュリスの有力議員マフムード・ナバヴィアンは、すでにモジタバの内部文書の一部を国営テレビで読み上げている。その中で彼は、核問題でいかなる譲歩にも反対し、米国に賠償を求め、ホルムズ海峡をイランだけが管理することを主張している。
仲介者や外部の評論家がどのような議論を持ち出そうとも、イランが交渉の場へ無理やり引き戻されることはない。
テヘランからコム、マシュハドに至るまで、6日間昼夜を問わず続いた弔問者たちの大合唱は「復讐」を求めていた。そしてモジタバも書面声明でその点を改めて強調した。
イラン・イスラム共和国の新時代を形づくる宗教的・戦略的な物語は、ハメネイ師の死をシーア派政治的アイデンティティの根本的物語の中に深く組み込み、外国勢力による暗殺を神聖な犠牲へと昇華させている。
そして、ここでの「復讐」は超越的な意味を帯びる。モジタバは「復讐」を政治的選択や国家政策として描いてはいない。それを国民の意思であり、何より時を超えた神聖な使命と定義している。
したがって、「復讐」がいつ成就したと見なされるかは歴史が決める。モジタバは、それは自分個人や国家機関によるものではなく、「世界中の自由な人々」がそれぞれこの神聖な使命の一部を担うことによって実現すると位置づけている。
ポストモダン時代における政治神学の声明として見れば、これは他に類を見ないものである。
自らの宣伝に溺れるナルキッソス
一方で、ガリバフ議長とアラグチ外相による交渉路線と、ヴァヒディ率いる革命防衛隊の軍事指揮統制路線は、ペゼシュキアン大統領の政府内で今後も並存する。
実際には、この二つは同じ過程の二つのベクトルである。イラン内部に「亀裂」があるというあらゆる宣伝は、言うまでもなく、米国側の宣伝にすぎない。
さて、その宣伝工作について話そう。
シオニスト勢力から成るワシントン・ニューヨーク・テルアビブ軸が、米国を「総力戦(Totaler Krieg)」体制に縛り付け続けようと全力を尽くしていることは公然の事実である。
だからこそ、テヘランのあらゆる行動――常に防御的なものであるにもかかわらず――は開戦理由(casus belli)として描かれる。そしてMoUのような出口は「宥和」として貶められる。
この総力戦の思考は、終わりなきエスカレーションを保証する。そしてそれは、ホルムズ海峡封鎖であれ、NPT脱退の可能性であれ、イランのいかなる対応にも正当性を与える。
さらに、それはシオニスト強硬派に「さらなる戦争」を要求する口実を与える。
この地獄の機械、この自己拘束的な循環は、最終的にはイランに利益をもたらす。なぜならイランに必要なのは、この循環が続くことだけだからである。
その一つ一つの展開が、米国の帝国的破壊手法を、イラン国内だけでなくグローバルサウスの大部分におけるイランの正統性の拡大へと変えていく。
トランプはいま、自らの虚像に溺れるナルキッソスの状態にある。ホルムズ海峡の封鎖、戦略石油備蓄(SPR)が危険水域に達する中で避けられない原油価格の急騰、そしてイランのNPT脱退の可能性という、耐え難い現実に直面している。
忘れてはならないのは、60日間のMoU期限は8月中旬に切れるということだ。つまりあと1か月しかない。それまでに最終合意が成立しなければ、この枠組み全体が失効する。
改めて記録のために言えば、テヘランにとって元の14項目MoUだけが唯一の枠組みである。再交渉はない(強調は原文)。あるのは、その履行手順を実施することだけだ。
テヘランはこの点を常に明確にしておかなければならない。なぜなら米国はいまだに理解していないからである。
テヘランはすでに、この戦争の中心的な問題――ホルムズ海峡――において勝利している。それは決して核問題だけの話ではなかった。ワシントンはいずれこの現実を認めざるを得なくなる。
しかし、それはほとんど不可能だろう。
今後のシナリオは暗い。
「管理された緊張緩和」は、いまや砂漠の蜃気楼のように見える。
交渉は続くが合意はなく、タンカー事件が散発し、海運量は戦前の3分の1から5分の1にとどまるという「凍結された膠着状態」も同様である。
現時点では、あらゆるベクトルはむしろ垂直的エスカレーションを指している。すなわち、ホルムズ海峡の全面封鎖、米国による大規模攻撃、そしてそれに対するイランのNPT脱退である。
実質的に言えば、トランプはイランと交渉しているのではない。巨大な戦略的敗北を必死に覆そうとしているのである。
「停戦」は最初から、失われた交渉力を回復するための時間稼ぎにすぎなかった。
トランプが望んでいたのは降伏であり、完全屈服であり、体制転換であり、イランを新植民地化することであった。
彼が手にしたのは、自ら署名したにもかかわらず理解していないMoUである。ベルサイユで盛大な演出のもと署名したにもかかわらず、おそらく読んですらいない。
彼は、自分が署名した文書がホルムズ海峡の意思決定権をイランとオマーンで分けているのではなく、イランだけに与えていることすら理解していない。
だからこそ彼は、自分が署名した内容を認めることなく書き換えようとしている。エスカレーションを利用し、外交を装った強硬な威圧を行い、テヘランから交渉上の優位性を奪おうとし、さらには来週にはイラン国内の発電所、橋梁、エネルギー施設すべてを攻撃すると脅迫している。
技術的には、イランは署名したMoUの義務をすべて履行してきた。
一方、米国は、ほんの数例を挙げるだけでも、イランの凍結資産の解除を拒否し、第9条に直接違反する新たな制裁を課し、第10条に直接違反して石油制裁免除を撤廃し、第1条に直接違反して戦争を再開した。
歴史は最終的に、この事例を「いかに戦争の時間を操るか」のケーススタディとして扱うことになるだろう。
テヘランは意図的にワシントンへの対応を抑制している。なぜなら時間も石油市場もイランの味方だからである。
戦略石油備蓄は1か月足らずで枯渇し、ホルムズ海峡におけるイランの影響力は絶対的である。
あらゆる歴史的変数と向き合ってきた文明国家だけが、粗暴な帝国機構よりもはるかに長い時間軸で勝負し、本質的な戦力を温存しながら、帝国に残された戦略的余力を徐々に消耗させていくことができるのである。
(以上)
参考までに、14項からなる「覚書」の日本語訳をここに置いておく(BBCのサイトにあったものを訳)
第1項 アメリカ合衆国およびイラン・イスラム共和国、ならびに現在の戦争におけるそれぞれの同盟国は、本覚書(MOU)への署名により、レバノンを含むすべての戦線における軍事作戦を即時かつ恒久的に終了することを宣言する。また、今後は互いにいかなる戦争または軍事作戦も開始せず、相互に武力による威嚇または武力の行使を控え、レバノンの領土保全および主権を確保することを約束する。最終合意では、レバノンを含むすべての戦線における戦争の恒久的終結と、本項のその他の規定を確認する。
第2項 アメリカ合衆国およびイラン・イスラム共和国は、互いの主権および領土保全を尊重し、互いの内政に干渉しないことを約束する。
第3項 アメリカ合衆国およびイラン・イスラム共和国は、最終合意に向けた交渉を開始し、最大60日以内に合意に到達することを約束する。この期間は双方の合意により延長することができる。
第4項 本覚書への署名と同時に、アメリカ合衆国はイラン・イスラム共和国に対する海上封鎖およびその他すべての妨害・障害の撤廃を開始し、30日以内に海上封鎖を全面的に終了する。この期間中、船舶の往来は、イラン・イスラム共和国による戦前の航行量の回復に応じた規模で再開されるものとする。さらにアメリカ合衆国は、最終合意成立後30日以内に、自国軍をイラン・イスラム共和国近傍から撤収させることを約束する。
第5項 本覚書への署名後、イラン・イスラム共和国は、ペルシャ湾とオマーン海との間を往来する商船の安全な航行を、60日間無償で確保するため最大限の努力を払う。商船の航行は直ちに再開されるものとし、イラン・イスラム共和国は、戦術上・軍事上の障害物の除去および機雷除去の必要性を踏まえ、30日以内に航行体制を整える。またイラン・イスラム共和国は、ホルムズ海峡の将来の管理および海上サービスについて、オマーン国および他のペルシャ湾沿岸諸国と、適用される国際法およびホルムズ海峡沿岸国の主権的権利に従って協議を行う。
第6項 アメリカ合衆国は、地域のパートナー諸国とともに、イラン・イスラム共和国の復興および経済発展のため、少なくとも3,000億ドル(2,250億ポンド)規模の、双方が合意する包括的な計画を策定することを約束する。この計画の実施メカニズムは、60日以内に締結される最終合意の一部として確定される。関連する金融取引に必要なすべての許可、免除および承認は、アメリカ合衆国が付与する。
第7項 アメリカ合衆国は、イラン・イスラム共和国に対するあらゆる種類の制裁を終了することを約束する。これには、国連安全保障理事会決議、国際原子力機関(IAEA)理事会決議、およびアメリカによる一次・二次を含むすべての一方的制裁が含まれる。その実施は双方が合意する日程に従う。最終合意の一環として、アメリカ合衆国およびイラン・イスラム共和国は、制裁解除が極めて重要な課題であることを確認し、この問題について直ちに交渉を開始し、相互に受け入れ可能な合意を目指す意思を表明する。
第8項 イラン・イスラム共和国は、核兵器を取得または開発しないことを改めて確認する。アメリカ合衆国とイラン・イスラム共和国は、第7項に定める日程に従い、双方が合意する仕組みに基づいて、備蓄された高濃縮物質の処分方法を決定することに合意する。最低限の方法として、IAEAの監督下で現地において希釈(ブレンディング)を行うものとする。両国はまた、イラン・イスラム共和国の核エネルギー需要に関連する濃縮活動およびその他双方が合意する事項についても、最終合意で合意される枠組みに基づき協議することで一致した。最終合意では本項の内容を確認する。アメリカ合衆国およびイラン・イスラム共和国は、これら核問題の重要性を認識し、相互に受け入れ可能な合意に達するため、直ちに交渉を開始する意思を表明する。
第9項 最終合意が成立するまでの間、アメリカ合衆国およびイラン・イスラム共和国は現状を維持することに合意する。イラン・イスラム共和国は現在の核計画の現状を維持し、アメリカ合衆国は新たな制裁を課さず、地域への追加兵力も展開しない。
第10項 アメリカ合衆国は、本覚書への署名直後から制裁解除が完了するまでの間、米財務省を通じて、イラン産原油、石油製品およびその派生製品の輸出、ならびに銀行業務、決済、保険、輸送など関連するすべてのサービスについて、必要な制裁免除を発給することを約束する。
第11項 アメリカ合衆国は、本覚書の実施に伴い、凍結または利用制限されているイラン・イスラム共和国の資金および資産を全面的に利用可能にすることを約束する。アメリカ合衆国およびイラン・イスラム共和国は、交渉期間中にこれら資金の解除手続について相互に合意する。当該資金は、元の口座に留め置かれる場合であれ、他の口座へ移転される場合であれ、イラン中央銀行が指定する最終受益者への支払いに全面的に使用できるものとする。アメリカ合衆国は、そのために必要なすべての許可および認可を発給することを約束する。
第12項 アメリカ合衆国およびイラン・イスラム共和国は、本覚書の履行状況および将来の最終合意の遵守を監視するため、実施監視メカニズムを設置することに合意する。
第13項 本覚書への署名後、第1項、第4項、第5項、第10項および第11項の履行が開始され、かつそれらの措置が継続的に実施されることを条件として、アメリカ合衆国およびイラン・イスラム共和国は、最終合意に向けた交渉を排他的に開始する。
第14項 最終合意は、法的拘束力を有する国連安全保障理事会決議によって承認されるものとする。
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