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Thursday, January 19, 2012

一部削除された読売新聞記事-SPEEDI否定によって東電の過失をかばった安全委

1月18日の読売新聞の記事「避難判断にSPEEDI使わず…安全委が改定案」(下記参照)を読んでこうツイートした。(@PeacePhilosophy)
読売「 「スピーディの予測は不確実性が大きく、緊急時の活用は困難」との見解だ。「予測情報が提供されていれば、より適切な避難経路や避難方向を選ぶことができた」とする政府の第一原発事故調査・検証委員会の中間報告書(昨年12月)の指摘に反するもので、議論を呼びそうだ。」

読売「作業部会の本間俊充主査(日本原子力研究開発機構安全研究センター長)は、「放射性物質が放出された時間と量が分からなければ、単なる風向の予測と変わらない」と話している。」

「単なる風向き予測」だと。その「単なる」予測がいかに大事だったか。風向き予測を真剣に知らせた政府機関があったか。皆海外の機関で調べていたし今もそうだ。この投稿ではSPEEDIの予測が実際の放射能拡散をかなり正確に予期したことを示した。http://peacephilosophy.blogspot.com/2011/05/blog-post_16.html 

避難する市民の立場から考えると、放射性物質の量とか種類なんてどうでもいいことなのである。セシウムは北へ、ヨウ素は南へなんてわけがないのだから。今どっちの方向に逃げるのが一番安全なのか、それだけが大事なのである。風向き情報を元に、より安全な方向に逃がすべきだった。

安全委はSPEEDIの信憑性を否定することでSPEEDIを公開しなかった責任から逃れ、保身をはかっているようだが、炉心の状態や溶融のタイミングが正確にわかる原発事故なんてあるわけないじゃないか。あり得る最悪のシナリオで逃がすべきなのだ。何の言い訳にもならない。
元記事をここにコピペする。

1月18日読売新聞
東京電力福島第一原子力発電所の事故を受け、原子力防災指針の見直しを検討している内閣府原子力安全委員会の作業部会は18日、原発事故で住民の避難判断をする際、これまで活用するとしていた放射性物質拡散予測システム「SPEEDI(スピーディ)」を使わず、実測した毎時の放射線量などをもとに判断するという改定案をまとめた。

「スピーディの予測は不確実性が大きく、緊急時の活用は困難」との見解だ。「予測情報が提供されていれば、より適切な避難経路や避難方向を選ぶことができた」とする政府の第一原発事故調査・検証委員会の中間報告書(昨年12月)の指摘に反するもので、議論を呼びそうだ。

現行の原子力防災指針では、「スピーディの情報や事故状況などを基に、50ミリ・シーベルト以上の被曝が予測される場合に、避難指示を出す」となっているが、実際の住民の避難指示には活用されず、批判されていた。

作業部会は、福島第一原発事故のスピーディ活用法を検証。事故直後、炉心のデータが得られなかったため、仮のデータを入力したが、放射線量が高くなる方向、分布は1時間ごとに風向きなどに応じてめまぐるしく変わったため、「汚染地域を正確に予測することはできない」と結論づけた。

作業部会の本間俊充主査(日本原子力研究開発機構安全研究センター長)は、「放射性物質が放出された時間と量が分からなければ、単なる風向の予測と変わらない」と話している。
今日(19日)もう一度このリンク(http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20120118-OYT1T00416.htm?from=tw)に行ったら内容が変更されていたことに気付いた。キャッシュも探したが見つからない。差し替え後の記事がこれだ。

原子力防災指針の改定を検討している内閣府原子力安全委員会の作業部会は18日、原発事故で住民の避難判断をする際、放射性物質拡散予測システム「SPEEDI(スピーディ)」は信頼性が低いため使わず、実測した放射線量などをもとに判断するという見直し案をまとめた。

 「スピーディの予測は不確実性が大きく、緊急時の活用は困難」というのが見解。「予測情報が提供されていれば、より適切な避難経路などを選ぶことができた」とする政府の東京電力福島第一原子力発電所事故調査・検証委員会の中間報告書(昨年12月)の指摘と対立するもので、議論を呼びそうだ。

 現行の原子力防災指針では、「スピーディの情報や事故状況などを基に、50ミリ・シーベルト以上の被曝(ひばく)が予測される場合に、避難指示を出す」となっているが、実際の住民の避難指示には活用されず、批判されていた。

(2012年1月18日11時37分 読売新聞)
比べてみると、読売の当初の記事の最後二段落分が削除されていた。この部分である。
作業部会は、福島第一原発事故のスピーディ活用法を検証。事故直後、炉心のデータが得られなかったため、仮のデータを入力したが、放射線量が高くなる方向、分布は1時間ごとに風向きなどに応じてめまぐるしく変わったため、「汚染地域を正確に予測することはできない」と結論づけた。


作業部会の本間俊充主査(日本原子力研究開発機構安全研究センター長)は、「放射性物質が放出された時間と量が分からなければ、単なる風向の予測と変わらない」と話している。
なぜこの記事に戻ろうとしたかというと、今日このような記事が目に入ったからである。各社で報道されているが、最初に見た産経のものを記録しておく。

福島原発データ送信装置 非常用電源外し放置 東電、震災4カ月前から
産経新聞 1月19日(木)7時55分配信
 ■事故時、監視システム機能せず

 東京電力福島第1原発の原子炉データを、国の原子炉監視システムに送信する装置の非常用電源が、事故の4カ月前に行った工事で取り外されたまま放置されていたことが18日、関係者への取材で分かった。非常用電源が接続されていなかったため、東日本大震災による外部電源喪失で監視システムにデータを送信できず、事故状況の予測に生かすことができなかった。非常用電源があれば地震後約2時間はデータを送信できた可能性が高い。監視システムの根幹にかかわる事態で、東電の危機意識の低さが改めて問われそうだ。

 非常用電源が外れたままとなっていたのは「メディアコンバーター(MC)」と呼ばれる機器で、原子炉の温度や周辺の放射線量などを監視する「ERSS」と呼ばれるシステムにデータを送信する装置の一部。MCが非常用電源の「無停電電源装置」に接続されておらず、地震により外部電源を喪失した昨年3月11日午後2時47分ごろにデータの送信が停止した。

 関係者によると、平成22年11月に行われた設備更新工事で、MCからの電源ケーブルを作業員が誤って別の機器に接続。東電は同月、ミスに気づき、ケーブルを非常用電源につなぎ直そうとしたが、ケーブルの長さが足りず断念。未接続のまま放置したという。

 ERSSを所管する経済産業省原子力安全・保安院は「非常用電源が接続されていればデータが受け取れた」と認めており、本震から余震で国の通信網がダウンする昨年3月11日午後4時43分ごろまでの約2時間、本震直後のデータを生かすことができた可能性が高い。ERSSのデータを基に放射性物質の拡散を予測するシステム「SPEEDI」にも活用できなかった。

 東電は、放置していた理由を「電源ケーブルを手配しなければいけないという認識はあったが、3月11日までにつなげなかった。完全に忘れていたわけではない」と説明している。

 一方、保安院は「なぜ長いケーブルに取り換えなかったのか」と、東電の対応を疑問視している。

 政府の事故調査・検証委員会は昨年12月に公表した中間報告で、MCについて「非常用電源やバッテリーが備え付けられていなかったため、装置が停止したと考えられる」としているが、非常用電源の不備ではなく、未接続が原因と判明したことで、今後問題視される可能性もある。

【用語解説】ERSS

 チェルノブイリ原発事故などを受け、原子力事故が起きた際の国の対応を迅速化する目的で導入されたシステム。全原発55基の原子炉の圧力や周辺の放射線量などの状況を一元的に把握し、事故状況を予測することなどができる。これまでに国が155億円以上を投じ開発・運用してきた。昨年12月末には、24時間以上にわたってデータが表示されなくなるトラブルがあった。

この記事で、18日の、一部削除される前の読売の記事では、安全委が、事故直後「炉心のデータが得られなかったため」と、さらりと言っていたことが、実は東電の重大なミス(非常用電源をはずしたまま放置していた)ことによって原子炉データをSPEEDIに送るERSSが機能していなかったことによって起こったことだということがわかったのだ。

これには呆れた。これまで10カ月間、官邸、文科省、保安院、安全委等政府の関係者たちはSPEEDIが正確ではないので発表が遅れたとか言い訳を続けながら、この重大な過失を犯していた東電をかばい続けてきたということだ。計算が正確ではないのはSPEEDIの問題ではなくて、SPEEDIに重要な原子炉データを提供するERSSの非常電源が東電の怠慢で何か月も前から切られたままになっていたからだったのだ。

挙句の果てに安全委は、18日の読売の報道にあるように、「スピーディの予測は不確実性が大きく、緊急時の活用は困難」だから今後の事故にはスピーディを使わないようにしようなどと提案した。今回の東電の過失がばれないように今後のスピーディ活用自体を否定して蓋をしてしまおうとの魂胆が見える。

そして、読売新聞が記事の当該部分を削除したのは、安全委が、炉心データが得られなかったのはスピーディ自体の欠陥だと思わせる発言をして東電をかばおうとしている証拠を隠すためだったのではないか。電力会社を監視するはずの安全委が完全に電力会社と癒着しているだけではなく、メディアもこうやって情報操作に協力している共犯だという証拠ではないか。

柿沢未途衆院議員はこうツイートしている。

産経新聞記事 http://bit.ly/yzoCHZ のように、原子炉データをオンラインで伝送し事故解析と進展予測をするERSSというシステムが、事故後、データ伝送の途絶で全く使われなかった。これについて保安院も斑目原子力安全委員長も極めて適当な言い訳を繰り返してきた。

昨年4月30日の予算委、ここで私はERSSのデータ伝送途絶の理由について早くも質問している。斑目委員長が「オフサイトセンターから逃げちゃったから」と言っていたのが、私が矛盾を指摘すると、寺坂保安院長が「機器の故障だ」となり、その場で言っている事がコロコロ変わった。

昨年4月30日の予算委、質問と答弁はこちら→http://bit.ly/zu3GPd 今、見返してみてもとんでもない答弁をしている。そしてコロコロ変わる言い訳も全て嘘で、結局は、非常用電源を繋がないまま放置していた東電の「重大な過失」によるものだったのだ。許せない。

同様にSPEEDIにも放出源の原子炉データが伝送されず、それがSPEEDIの拡散シミュレーション図を公表しなかった言い訳になった。ERSSは150億円、SPEEDIは120億円の巨費を投じて作ったシステムだ。それをこんな過失で使えなくして、しかも適当な言い訳をする。とんでもない。

さらに付け加えれば、ERSSとSPEEDIを非公表とした理由を「原子炉の生データが得られなかったから」としているのもおかしい。ERSSは震災当日の夜にメルトダウンを正確に予測していたのだし、SPEEDIは風向きによるシミュレーション図を作成し、米軍には送信されたというではないか。

このように嘘を嘘で固めるような事をやってきたのが東電であり、保安院であり、斑目委員長だった、という事になる。年末年始に3・11を振り返り、私なりの検証を少しずつ書き始めたが、まだまだ私が震災及び原発事故対応の与野党協議の最前線で見聞きしてきたもので、検証すべき事は多い。

それに、政府の事故調査検証委員会は、一体何をやっていたんだという話にもなる。これだけの重大な過失を究明しないまま見過ごしていたのか。あるいは東電に配慮して中間報告に書かなかったのか。いずれにしても存在意義が問われる事態ではないだろうか。
柿沢議員が言うように、炉心のデータがなかったにせよSPEEDIは仮のデータを使って風向き情報と共に計算結果を出していた。私の冒頭のツイートでも述べたように、事故直後住民避難のためには放射線の正確な量や種類などよりまず風向きが大事であり、風向き情報だけでもそれにもとづいて避難させることができたはずだ。

東電、政府、省庁、メディア、輪になって尻を拭い合う姿は醜悪としか言えない。高汚染地域に事故後2ヶ月半も放置された飯館村の人々、一番放射性物質が降っているときに外に並んで水の配給を待っていた人々、すぐ避難してもより汚染された地域に避難させられてしまった人々と、子どもたちのことを考えると、絶句する。もう怒りや悔しさを表現する言葉も、エネルギーも使い果たしてしまったと思っていたが、一昨日の「政府は事故後すぐ米軍にスピーディ情報を提供していた」に続き、昨日今日の一連のニュースには、本当のたたかいは始まったばかりだとの感を新たにする。Follow → @PeacePhilosophy

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