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Thursday, May 07, 2026

Brian Berletic & Glenn Diesen: Iran War - A Gateway to War with China & Russia (Japanese Translation) ブライアン・バーレティック&グレン・ディーセン「イラン戦争―中国・ロシアとの戦争に通じる道」(日本語訳)

このサイトでも何度も紹介したノルウェーのグレン・ディーセン教授が、3月19日、軍事評論家・国際政治評論家のブライアン・バーレティック氏に話をきく対談は非常に重要と思い全訳しました。この動画の書き起こしをアップしていたSingju Post の記事をAI翻訳し、実際に動画を聞きながら翻訳を確認・修正していきました。(翻訳はアップ後修正する可能性があります)

冒頭の部分で、ディーセン教授がバーレティック氏に対して「自分が間違っていた。あなたが正しかった」と言ったのは、米国とイスラエルによるイラン本格攻撃が行われるか否かという段階において、ディーセンは「やらない」、バーレティックは「やる」と予想していたということです。これは、ジャッジ・ナポリターノの常連ゲストのラリー・ジョンソンとレイ・マクガバン(二人とも元CIA)がやはり「やる」「やらない」で対立していたほど、情報通の分析家の中でも意見が分かれていました。

この対談では、現在のイラン戦争やウクライナ戦争を個別の地域紛争ではなく、米国が単独覇権を維持するために「多極化」に戦争を仕掛けていると位置付けています。バーレティック氏は、米国外交政策は大統領個人ではなく軍産複合体・金融資本によって規定されており、トランプ政権もその例外ではなかったと指摘しています。ベネズエラ、キューバ、イラン、ロシア、中国への圧力は一体化した戦略であり、米国の最終目的は中国のエネルギー供給網や経済成長を阻止することであると。バーレティック氏はこれらは自分の想像ではなく、米国のシンクタンクに詳細に書かれていると指摘します。特に2009年の Brookings Institution の報告書『Which Path to Persia?』や RAND 研究所の『Extending Russia』を引きながら、代理戦争、制裁、エネルギー攻撃などが長期的計画として進められてきたと説明しています。

バーレティック氏は、湾岸アラブ諸国、ウクライナ、イスラエル、日本、韓国などを「政治的に捕われた国家」と位置づけ、米国の代理勢力として機能していると論じています。ディーセン教授はロシア・ウクライナ問題の専門家であり、彼のウクライナについてのコメントは注目に値すると思います。日本とソ連が和平に近づいたが結局実現できなかった経緯にも触れています。ディーセン教授のいるスカンジナビア諸国を含め、米国の属国は完全に「捕獲」された状態で、もはや自律性を取り戻すことはないのではないかという見方もしています。たくさんの分析家が「米国がイスラエルに引きずられている」という見方をする中、バーレティック氏は、そう見せること自体が米国の戦略なのだと一貫して論じています。

★太字は重要と思われる部分に訳者がつけました。

  

 

イラン戦争―中国・ロシアとの戦争に通じる道

2026年3月19日

グレン・ディーセンのYouTubeチャンネルより

GLENN DIESEN:
またお戻りいただきありがとうございます。本日は、元米海兵隊員であり、政治アナリスト、著述家、そして「New Atlas」のホストでもあるブライアン・バーレティック氏をお迎えしています。少し間が空きましたね。番組に戻ってきてくださって本当にありがとうございます。

BRIAN BERLETIC:
また呼んでいただき、本当にありがとうございます。

トランプの戦略と中東のエスカレーション

GLENN DIESEN:
私たちはしばしば少し立場が分かれていましたね。私はあなたよりもトランプに対してやや楽観的だったと思います。というのも、私はある程度、彼のレトリックを信じていたからです。なぜなら、それは単純に米国の利益にかなっているように見えたからです。つまり、多極的な勢力分布に適応することです。政治リアリストとして、私たちは通常、合理的な国家とは自国の安全保障を最適化するためにそうした行動を取るものだと考えます。

実際、もし米国が多極的な勢力分布の中でなお米国覇権の回復を試み続けるならば、米国は自らを消耗させることになるだろうと考えられます。他の大国によって集団的に均衡化され、大規模戦争を招くことになるでしょう。対照的に、もし米国が後退し、多数ある権力中心の一つになるならば、自らの力を回復し、「米国を再び偉大にする」機会を得ることができるはずです。また、巨大なユーラシア諸国同士が少なくともソフト・バランシングを行い、どこか一国が他よりも強大になりすぎないようにするとも言えるでしょう。そしてもちろん、米国はこうした戦争を回避することができる。社会もまた、そうした戦争にかなりうんざりしてきています。

ですから私はこの理由でトランプに楽観的でした。つまり、彼はこれ以上戦争を行わない、財政規律を回復すると繰り返し主張していたからです。そして実際、昨年12月に新しい国家安全保障戦略が発表されたとき、それはおおむねこうした考えを裏付けるものでした。つまり、もし米国が多極世界の至る所に存在できないのであれば、自国の本拠地、すなわち西半球と、主要な同等競争相手が存在する東アジアに集中すべきだということです。言い換えれば、欧州と中東におけるプレゼンスを縮小しなければならないということです。

しかし、(就任後)1年以上経った今でも状況は続いています。米国は依然として、兵站、兵器、情報、標的選定という点でウクライナ戦争の主要当事者です。そしてもちろん今や、トランプは中東戦争を極限までエスカレートさせています。これはもちろんイランであり、イラクのような国とは比較にもなりません。そして地域全体に火を放っています。

ですから、今何が起きているのか、特に中東について、あなたはどのように評価していますか。これは最初から必然だったのでしょうか。それともトランプは引きずり込まれたのでしょうか。米国の戦略をどう見ていますか。これは本質的に、「アメリカ・ファースト」が「覇権回復」へと変質したということなのでしょうか。それとも、この全体をどう捉えていますか。残念ながら、あなたが正しく、私は間違っていました。

米国外交政策の構造的性質

BRIAN BERLETIC:

もしそれで少しでもあなたの気が楽になるなら、私は自分の方が間違っていてほしいと心から願っていました。なぜなら、今まさに世界的危機が形を取りつつあり、それはあなたや私、私たちの家族、友人、共同体、あらゆる人々に影響を及ぼすことになるからです。そしてこれを見ている人が誰であれ、ほぼ確実に、彼らもまたこのすべての影響を感じ始めることになるでしょう。

残念ながら、私は正しかった。そして私は2024年選挙の何か月も前から、誰が当選しようと関係ないと警告していました。なぜなら、問題は米国システムの構造的性質にあるからです。それは巨大企業と金融資本の利益によって支配されています。彼らは利益と権力の絶え間ない拡大を前提として存在しています。それが企業としての彼らの本質であり、また彼らが掌握・支配している国家システムにおいて行っていることでもあります。そして彼らは何十年にもわたってそうしてきました。

私は常に、何年も前にこれを極めて詳細に書き記していた政策文書に立ち返っています。特に現在イランに対して進行しているこの紛争についてです。私はいつも、2009年のブルッキングス研究所の報告書『Which Path to Persia(ペルシャへのいかなる道か)』に言及しています。そして章ごと、言葉ごとに見れば、ブッシュ・ジュニア政権から現在のトランプ政権に至るまで、米国はそこに列挙されていたあらゆる選択肢を実行してきました。

そして、それは単独の選択肢を用いて対イランに対し成功するという話ではありませんでした。彼らは常に、それらを相互に組み合わせて用い、相乗効果を生み出し、イランを弱体化・空洞化させ、最終的にイランを打倒しなければならないと考えていました。それは米国が他国に対して行ってきたのと同じやり方です。

バイデン政権末期のシリアがそうでした。ちなみに、それは現在トランプ政権下で進行している戦争の舞台を意図的に整えたものでした。シリアが崩壊し、米国とイスラエルがシリアの統合防空システムを破壊していた瞬間、私は彼らが航空回廊を開いているのだと警告しました。それはまさに、あのブルッキングス報告書で求められていたものです。2009年の時点から、彼らはイランを直接攻撃するための航空回廊確保に執着していました。そしてそれが実行されると、まずイスラエルがダマスカスの領事館を攻撃しました。あれは一種の試験運転でした。その後ミサイルの応酬があり、そして2025年に、すべてが始まったのです。

そして繰り返しますが、2009年の同じ政策文書は、この戦争を挑発し、最初に始める手段としてイスラエルを利用すること、あらゆる準備を進めること、そしてイスラエルを引き金として使い、報復と戦争責任の大部分を引き受けさせることについて語っていました。

もう一度強調したいのですが、これはすべて2009年の話なのです。

そして今のトランプ政権、トランプ支持者、西側メディアが、その政策文書に書かれていたまさにその手法を実行しているのを見ることができます。トランプ大統領は、イランのエネルギー生産施設を攻撃した件についてイスラエルを非難しています。しかしこれは明らかに米国・イスラエル共同作戦です。それでも彼らは、政策文書に書かれていた通り、イスラエルに責任を負わせているのです。

ですから、米国という国家がどのように機能しているのか、あるいは企業金融資本の利益に乗っ取られた国家としてどのように機能しているのかという、その構造的・物質的現実を理解することによって、米国が何をしているのか、なぜそうしているのかについて、ほとんど無限の洞察を得ることができます。本質的にそれは、利益と権力のために拡大を続ける巨大な地政学的ウイルスなのです。だからこそ、多極世界を決して受け入れることができない。なぜなら、それは彼らの絶え間ない権力と利益拡大への欲求を制約することを意味するからです。そしてそれは、その本性に根本的に反しており、現在米国を動かしている勢力が支配を続ける限り不可能なのです。

ですから残念ながら、これはすべて避けられないことでした。だからこそ、人々は実際に数年前の私の動画に戻って、私がこれらすべてについて警告していたことを確認できるのです。そしてだからこそ、事態は今のような形で展開したのです。それは私が未来を予測できるからではありません。企業が米国の外交・内政を動かしているからです。彼らはこうした政策文書を使ってコンセンサスを形成します。そして政策文書は法律家たちによって法案へと変えられ、また戦略家たちによってペンタゴンやワシントンの戦争計画へと変えられるのです。そして企業メディアがその政策を大衆に売り込み、企業利益こそ米国の利益でもあるのだと人々に信じ込ませようとします。

そしてこれこそが、誰に投票しても何も終わらない理由です。結局のところ、これらの政治家たちは皆、巨大なロビー資金や選挙献金によって権力の座に就いたのであり、その大半は巨大企業や産業ブロック全体から来ているからです。

中国・ロシアへの踏み石としてのイラン

GLENN DIESEN:
ええ、まあ、これをより大きな文脈の中で見ることが重要だと思います。というのも、ご存じの通り、地政学とは地理が政治にどのような影響を与えるかということです。そして地政学において、少なくともマッキンダーの時代以来、主たる焦点は常にユーラシアにありました。そして常に焦点となってきたのは、三つの主要勢力、すなわちロシア、中国、そして南方に位置するイランでした。

そして、私たちは新しいゲームに入ったようにも見えます。なぜなら、あなたが言ったように、彼らは常に相乗効果を探しているからです。つまり、一方を弱体化させ、互いを引き離す。そして戦争計画を見れば、これらすべてを一体として捉えようとする試みがあることがわかります。

しかし、この新しい「グレート・ゲーム」において、19世紀や20世紀とは非常に異なるものが見られます。それは絶望感、リスクを取る姿勢、自己破壊すら辞さない姿勢、あらゆるルールを投げ捨てる意志です。実際、現在のエネルギー市場を見ればわかるように、完全な無秩序を受け入れている。そして世界経済を破壊する準備さえできている。これは新しいことのように感じられます。

しかし、あなたはイラン破壊の試みを、中国やロシアに向かうための、いわば踏み石、さらなる踏み石だと見ていますか。あなたが言ったように、シリアが倒された時点で、次はイランになることはかなり予測可能でした。つまり、あなた自身が言ったように、未来を予言する必要はなく、シンクタンクや、それを事実上運営している情報機関の文書を読めばよいわけです。

さらに、ウェズリー・クラーク将軍のような人物も、ほぼそのシナリオをそのまま描き出していました。彼は(米国が)打倒する予定の七つの国について語り、イランはその最終段階として位置づけられていました。ですから、これはもはや秘密ではありません。その構図は非常に明白です。あなたはイランを、中国やロシア、あるいはその両方へ向かうための踏み石だと見ていますか。

イラン包囲の青写真としての「アラブの春」

BRIAN BERLETIC:
両方です。実際、2011年のいわゆる「アラブの春」までさかのぼって見ればわかりますが、それは実際には何年も前から米国によって仕組まれていたものであり、それを証明する文書証拠も存在しています。「アラブの春」の全目的は、アラブ世界をイランに対する統一戦線へと再編し、イランを包囲・封じ込め、最終的に崩壊させることにありました。

そして最終目標は常に――2011年当時を思い返せばわかりますが――ジョン・マケインや、おそらくリンジー・グラハム、その周辺の人々が、繰り返し公然とこう語っていました。「アラブの春」は今日アラブ世界を倒しているが、次はイランを狙う。そして最終的な目的地はモスクワと北京だ、と。彼らはこれを非常に率直に語っていました。

そしてその時から現在に至るまで、共和党政権であれ民主党政権であれ関係なく、非常に意図的で協調された段階的措置が取られてきたことがわかります。

ロシアをウクライナに縛り付けたこと――これもまた2019年のRAND研究所の報告書『Extending Russia(ロシアを過度に消耗させる)』に戻ればわかりますが――その目的はロシアを弱体化させ、拘束することにありました。そしてその報告書を見れば、現在実際に標的にされているものすべてを、彼らが標的にすると書いていることがわかります。ロシアのエネルギー輸出、ロシアのエネルギー生産、ウクライナ内部での代理戦争への拘束、周辺地域全域で問題を引き起こすこと。しかし同時に、シリアへの追加武器供与のような選択肢も含まれていました。なぜならロシアは、シリアを安定化させようと必死だったからです。

そして最終的に、これらすべてが組み合わされることで、ロシアは弱体化し、注意をそらされました。彼らは選択を迫られ、ウクライナを優先事項と決定した。その結果、シリアは崩壊しました。しかしご覧の通り、シリアそれ自体が、イランを包囲・封じ込め、戦争を仕掛けるための踏み石だったのです。そしてもちろん、このすべては中国を狙ったものです。

中国台頭を阻止するための「閉じゆく時間窓」

BRIAN BERLETIC:
米国は、中国が台頭しつつあることを理解しています。そして中国が、米国を不可逆的に追い越すまで、おそらく5年から10年――長く見積もっても10年、現実的には5年前後――しか残されていないことも理解しています。そうなれば、米国はもはや中国の台頭を減速させたり阻止したりすることが不可能になります。

特にエネルギー自立という点においてです。ここ数年、中国が何をしてきたのかを見ればわかります。海上石油封鎖を回避するための陸上ルートを構築する「一帯一路」構想に加え、中国は以前から海上封鎖の可能性を認識し、それに備えてきました。そして国内では、石炭液化産業プロセスを急速に拡大してきました。つまり、石炭を、中東から依然として輸入している燃料の代替へと転換しているのです。またロシアとのパイプライン建設を進め、ロシアから膨大な量のエネルギーを中国へ輸入しており、さらに増やす計画です。加えて、原子力発電、そしてもちろん太陽光やその他再生可能エネルギーへの大規模投資も進めてきました。

中国は、こうしたあらゆるエネルギー源の導入において、地球上のどの国よりも圧倒的に先行しています。原子力でも、再生可能エネルギーでも同じです。中国は群を抜いて先頭に立っています。そしてそれは、彼らがエネルギー自立を達成しようとしているからです。おそらく2030年頃には、それを実現していたはずです。したがって米国には、中国がその最終段階に到達する前に、中国を妨害するための非常に小さく閉じゆく機会の窓しか残されていなかったのです。

形成されつつある世界的石油封鎖

だからこそ彼らはイランを攻撃したのです。そして実際に何が起きたかを見ることができます。彼らはイランを攻撃しただけではありません。その前にベネズエラ大統領を拉致し、現在は残るベネズエラ政府を人質状態に置いています。そしてベネズエラから中国へのエネルギー供給を止めたのです。

また――ニューヨーク・タイムズが報じている通り、そして以前から明白だったことですが――CIAは、ロシア領深部への長距離ドローン攻撃の背後にいます。ロシアのエネルギー生産施設を攻撃しているのです。そしてCIAはまた、海上ドローンを使って、ロシア産エネルギーを運ぶタンカーへの攻撃も行っています。

それに加え、米国は長年にわたり、ミャンマーやパキスタンにおける「一帯一路」インフラを妨害してきました。ミャンマーを横断して中国へ石油・天然ガスを輸送するパイプラインがありますが、それは米国支援武装勢力によって何度も攻撃されてきました。つまり、ご覧の通り、米国はすでに、本質的には中国に対する世界規模の海上石油封鎖を構築してきたのです。

そして長年にわたる彼らの計画を見れば、本来はマラッカ海峡とアジア太平洋地域でそれを行うつもりだったことがわかります。なぜなら、そうすれば中東から自国の代理勢力へはエネルギー輸出を維持し、世界的な代理ネットワークを機能させたまま、中国だけを選択的に締め上げることができたからです。

しかし、中国の軍事的台頭によって、それはもはや不可能になりました。人々は「中国軍はどこにいるのか? なぜイランを助けないのか?」と言います。しかし、中国軍はアジア太平洋地域にいるのです。だからこそ、米国はアジア太平洋地域で中国を締め上げることができないのです。

BRIAN BERLETIC:
そして、私やあなた、そして多くの人々が語ってきたこと――つまり、米国の軍産基盤と、多極主義、そして最終的には中国に対する世界戦争に必要な量の兵器を生産できないという問題――を踏まえ、彼らは決断したのです。

彼らには、イランを打倒し、同時にロシアへの圧力を維持し、さらにアジア太平洋地域で中国との大規模戦争を、代理戦争であれ直接戦争であれ遂行するだけの弾薬がないのです。

ですから私は率直に言って、彼らは今、一つの戦争で二つの問題を解決しようとしているのだと思います。すなわち、イランを不安定化させ転覆しようとすること、そして同時に、中東からの輸出を徐々に圧迫し、最終的には完全に遮断する地域的条件を作り出すことです。

人々は、「タンカーは通過している」「イランは中国向けタンカーを通している」と言っています。それは事実かもしれません。しかし、見ての通り、米国とイスラエルはイランのエネルギー生産施設を攻撃しており、それはイランが中国へ輸出できるエネルギー量に影響を与えることになります。

さらに、カタール、クウェート、サウジアラビアでもエネルギー生産施設への攻撃がありました。これらすべての国で生産停止が起きています。カタールはLNG生産を全面停止しましたが、それは中国向け輸出にも寄与していました。ですから、仮にイランが船舶通航を認めているため船が通れるとしても、何を運ぶのでしょうか。生産量はゼロか、あるいは50%にまで落ち込んでいるのです。

つまり、これはすでに、中国に対する世界的石油封鎖の形を取り始めているのです。そしてここは、中国がなお輸入を受けていた最後の地域でした。そして米国は、それを段階的に閉じつつあります。

しかも彼らは、それを「あたかも計画などなく、事態が制御不能に陥っているだけだ」というふうに装いながら進めています。そして偶然にも、中国が徐々に、しかし確実に締め上げられている?(偶然ではないでしょう)米国は戦争を継続し、さらに悪化させるために、地域へ追加の軍事資産を送り込んでいます。

なぜなら、もし彼らが「中国に対して世界的海上封鎖を実施する」と公然と言えば、それは国際化された戦争行為となるからです。そして彼らは、それを避けようとしているのです。

米国システムと中国の経済構造

GLENN DIESEN:
私はよく、中国の地経学――言うならば――は、19世紀初頭の「アメリカン・システム」と多くの共通点を持っていると指摘しています。つまり、米国が英国からの経済的独立を望んだとき、彼らは三つの柱の上に「アメリカン・システム」を築きました。

第一は製造業、つまり技術と産業です。第二は輸送の支配であり、それは当初は道路と港湾であり、後には鉄道となりました。そして第三が金融力――国営銀行です。この三本柱が、英国から独立した後の米国の独立維持を支える経済基盤を形成したのです。 (senate.gov)

中国は、ほぼ同じ道を歩んでいます。同じ三本柱を持っています。技術的優位と産業基盤。そして輸送回廊――本質的には世界を結ぶ「一帯一路」構想です。そしてさらに、通貨の国際化、新たな決済システム、開発銀行など、金融的な権力手段も持っています。

そして、米国が狙ってきたのはまさにこれだと思われます。つまり、中国の台頭を押し戻すことです。繰り返しますが、米国はこれについて非常に率直なので、陰謀論などではまったくありません。中国の技術発展を巻き戻し、サプライチェーンを寸断して工業力を弱め、今ベネズエラで見ているように、石油などのエネルギー源から切り離す。そして輸送回廊を遮断する。これもまた重要です。

トランプ支持派は、脱ドル化を試みるBRICS諸国を処罰する用意があると公然と語っています。これもまた、代替的な開発銀行を弱体化させるものです。ですから、全面的に見れば、まさにこうしたことが行われてきたのです。

しかし、それがうまくいかない最大の理由は、もはやどの国も単独では存在していないからです。これらユーラシア諸国は協力している。そして懸念されるのは、もし米国が経済戦争によって目的を達成できなければ、次は軍事的アプローチへ移行するだろうということです。つまり、支配を維持するための唯一の代替手段として全面戦争へ向かうということです。これほど巨大な戦争が非常に急速に拡大している今、その可能性を考えないわけにはいきません。

戦争の口実としての外交

GLENN DIESEN:
しかし、私は今、外交の可能性をあなたがどう見ているのかをぜひ聞きたいと思っていました。というのも、外交――さらには米国が平和について語る時でさえ――それはしばしば欺瞞的だと指摘されているからです。実際、見ての通り、交渉期間中にイランに対する奇襲攻撃が二度行われました。

しかしこれは、エスカレーション管理の問題でもあります。あなたが触れたように、世界最大のガス田であるサウス・パースを米国が攻撃しました。数時間前にトランプがTwitter、あるいはTruth Socialで、「我々はこんなことを望んでいなかった。エネルギー戦争など望んでいない。これはイスラエルのせいだ。一般消費者を苦しめるようなことはやめよう」と投稿していたのを見ました。

しかしその一方で、「もしイランが報復すれば、我々はすべてを焼き尽くす」とも言っている。

つまり、これがエスカレーション管理というものです。自分は少しだけエスカレートし、相手には同じことをするなと説得する。そして上下にエスカレーションを調整しながら、一方的に懲罰を加え、相手には報復させない。もしイランがこれを受け入れるなら、それで終わりだという気がします。

しかし、あなたはここにロシアとの関連も見ていますか。というのも、米国はロシアに対しても同じことをしているからです。あなたが言ったように、彼らは平和について語り続ける一方で、ロシア船舶への攻撃の背後におり、ロシア国内への攻撃の標的選定も続け、武器供与も続けています。もはやこの外交に何か意味はあるのでしょうか。それとも、エスカレーション支配のための純粋な欺瞞なのでしょうか。

BRIAN BERLETIC:
重要な質問です。そして答えは、米国には外交への関心などない、ということです。彼らが望んでいるのは地球規模での覇権です。そんなものを誰も受け入れません。すべての国が、それぞれの方法で抵抗しようとするでしょう。

そして米国が外交を使って行っていること――特にイランに対して外交を用いてきたやり方――は、継続的なアジェンダを、露骨に見えない形で前進させることです。彼らは、自分たちが理性的に振る舞おうとしているように見せたいのです。そして、これは単に不運な展開、不運な外交崩壊であり、その結果として軍事力に訴えざるを得なくなったのだ、と見せかけたい。

しかし実際には、彼らは戦争回避のために外交を用いているわけではまったくありません。いかなる形でも、いかなる意味でもそうではない。彼らは意図的に、それを戦争の口実として利用しているのです。

そしてまた、何度も同じ話をして恐縮ですが、2009年の『Path to Persia』報告書には、外交について丸々一章が割かれています。そしてその章を読めば、彼らは基本的にこう言っているのです。この選択肢こそ、イランに対する体制転換戦争を開始するための最善の方法だ、と。なぜなら、それによって「彼らは外交を望んでいたが、イラン自身がこの事態を招いた」と世界に信じ込ませることができるからです。ですから、これが彼らの行っているゲームなのです。

さらに言えば、もしこれら諸国の首都で誰かが、外交に関して米国の言葉を本気で信じているならば、それはこのゲームにおいて相手に騙されているということです。しかし究極的には、その目的は戦争回避ではなく、戦争の口実作りなのです。

だからこそ、ロシアはロシア自身のゲームをしているのだと思います。中国もまた、自分たち自身のゲームをしている。イランについては断言できませんが、ほぼ確実に、時間を稼ぐために独自のゲームをしていたのだと思います。彼らは皆、このことを十分理解していると思います。

だからこそロシアは、米国との外交交渉において、いかなる譲歩も一切してこなかったのです。本当に一つも譲歩していない。なぜなら、たとえ米国政府の誰もが「そんなことはない」と誓い約束したとしても、それが結局は「ミンスク3.0」になるだけだと知っているからです。

「防衛戦争」として売り込まれる戦争

GLENN DIESEN:
ええ、米国が侵攻する直前、Politico の報道では、ホワイトハウスかペンタゴンの関係者――少なくとも彼らが取材した人物――が、「まずイスラエルに攻撃させた方がよい」と述べていました。そうすれば、イランが報復した際に、米国はイスラエル支援に入ることができる――いわば「イスラエルの存在する権利を守る」という形にできるからです。

要するに、それを「防衛戦争」として売り込むことができる。つまり、ナラティブ管理も必要だということです。最終的には彼らはこの選択肢を採りませんでしたが、こちらの方が、もしかするとより管理しやすかったのかもしれません。

しかし、少し話題を移して、今イランで実際に起きていることの詳細に入りたいと思います。というのも、これは互いを消耗させることを目的とした戦争のように見えるからです。つまり、双方が相手に苦痛を与えようとしており、同時に自らもその苦痛を吸収できなければならない。

現時点で、双方の能力や、この――今は第三週目だと思いますが――ここまででどの程度能力が損耗しているのかについて、私たちは何を知っているのでしょうか。

米国の戦略――イランを消耗させることと、米国の限界

BRIAN BERLETIC:
はい、ほぼ三週間です。ほぼ丸三週間ですね。

そして、これこそが今米国が行っていることです。彼らは最初、非常に迅速かつ圧倒的な攻撃を試みました。おそらく、それによって連鎖反応が起き、すべてが崩壊することを期待していたのでしょう。しかし私は、彼らにプランBがなかったとは到底思えません。

彼らは当然知っていたはずです。「モザイク防衛」という概念は、西側諸国、とりわけ米国の政策文書の中で何十年にもわたり言及されてきました。ですから、イランの指揮統制システムがどれほど強靭で、どれほど分散化されているか、彼らは理解していたはずです。

実際、彼らはすでにこの戦争を遂行していたのです。少なくとも初期段階は。私は昨年イランに対して行われた暴力行為(6月の12日戦争のこと)を、現在進行している紛争と一体のものとして捉えています。これは一つの侵略戦争であり、単に再編成、 regroup、再武装のための短い休止を挟みながら、段階的に実施されているだけなのです。

ですから彼らは、それを知っていたはずです。そして今彼らがやろうとしているのは、イランを経済的に消耗させることです。彼らは今、イラン国民9300万人にとって不可欠なインフラを攻撃し始めています。イランは石油・ガス輸出に依存しています。そして政府歳入の半分はその輸出から来ています。

したがって、米国がそれを攻撃し、しかも当然ながらその責任をイスラエルに押しつけることで、9300万人のイラン国民の生活基盤そのものが脅かされているのです。これは単に政府や軍を標的にしているわけではありません。

しかし繰り返しますが、私は正直、これはホルムズ海峡を閉鎖することも目的としていると思います。現在アジア太平洋地域から中東へ向かっている海兵遠征部隊(Marine Expeditionary Unit)の役割の一つは、ホルムズ海峡を通過することを許された船舶に対する臨検・阻止行動に従事することだと思います。少なくとも米国は、その能力を現地で保持したいのだと思います。そして、それこそが海兵遠征部隊がその地域で米国に提供する能力の一つなのです。

ですから私は、彼らは戦争継続を望んでいると思います。しかし同時に、事態が制御不能へと螺旋状に進み、しかも非常にゆっくりと、あたかも自然な成り行きであるかのように、何らかの形で全輸出が閉ざされていくことを望んでいるのだと思います。

互いのエネルギー生産に対する「相互確証破壊」です。すでに起きています。すでに中国向け輸出量を減少させています。彼らはイラン政府を打倒したい。それはロシアと中国を孤立化させ、その後、同盟国やパートナーを失ったロシアと中国を個別に処理していくための前提条件なのです。

しかし同時に、これは中国を遮断することでもあると思います。ですから私たちは、その点を注意深く見続けなければなりません。

米国防空ミサイルの消耗

BRIAN BERLETIC:
米国が抱えている問題は、対ミサイル迎撃弾の保有量が非常に限られているということです。私たちは何年も前から、ウクライナにおけるロシアとの代理戦争との関連で、この問題について話してきました。

2022年にウクライナ紛争が激化する以前から、すでにパトリオット・ミサイル不足は起きていました。なぜなら、米国がサウジアラビアを通じて遂行していたイエメン代理戦争があったからです。サウジアラビアはパトリオット・ミサイルを使い果たしかけており、その時点ですでに米国は追加供給ができなくなっていました。彼らは近隣諸国から借りなければならなかったのです。つまり、その時点ですでにそういう状況だったのです。

そして今、それがどれほど悪化しているか想像してみてください。イエメン紛争は続いており、昨年の紛争、昨年イランに対して開始された侵略戦争、そして今年と続いています。彼らは現在、迎撃ミサイルを極めて低い水準まで消耗しています。

そして見ての通り、イランはミサイル発射のペース配分を始めています。毎日20発から30発程度です。彼らはミサイル切れではありません。依然として安定したペースで発射を続けており、しかもより多くが突破するようになっている。

これは何を意味するのでしょうか。(米国側の)防空用弾薬が尽きつつあり、防空網に穴が生じ始めているということです。

私たちは、THAADシステム用の極めて貴重で、ほとんど代替不能に近いレーダーをイランが破壊したのを見ました。確か、世界全体で13基程度しか存在せず、そのうち3〜5基が、今回の戦闘だけですでに破壊されたと思います。これは重大なことです。

ですから米国は、こうしたすべての問題と戦っているのです。大量の戦闘機を送り込んでいますが、海軍艦艇も、すでに整備限界に達しているか、まもなく達しようとしています。

USSフォードが、事実上クレタ島へ退避して修理を受けているのを見ています。そしてUSSフォードの損傷について語られている内容が、あの施設で修理可能だとは到底思えません。ほぼ確実に、修理のためには米国本土へ戻らなければならないでしょう。

つまり、彼らは現在そういう状態なのです。過剰に引き伸ばされている。彼らは多極主義に対する世界戦争を遂行したがっています。しかし、それを実行するための無限の資源は持っていない。

一方で、多極主義そのものは成長し、拡大し、強化され続けています。そしていずれ、米国は歴代の帝国と同じように、疲弊し、過剰拡張の果てに限界点へ到達することになるでしょう。

その時、彼らが何をするのか、私たちは見守るしかありません。彼らは核兵器を保有しています。これは、自らの限界に達した時の大英帝国には存在しなかったものです。

その限界点に達した時、米国は何をしようとするのでしょうか。もしイランが、自らの軍事能力を消耗し尽くした結果、本当に衰弱し崩壊し始めたなら、何が起きるのでしょうか。

私にはわかりません。極めて危険な状況です。なぜなら、最終的にこれはすべて、ロシアと中国を狙ったものだからです。そしてその両国は核保有国家です。ですから、この紛争が良い方向へ向かう道は存在しないのです。

希土類鉱物と米国の意図の役割

GLENN DIESEN:
現時点での米国の能力についてですが――あなたは破壊されているレーダー群について言及しました。そのうちいくつかは数億ドル規模のものであり、さらに重要なのは、それらを製造するために必要な資源です。例えば、それらの製造にはガリウムが必要です。そしてガリウム生産の98%あるいは99%は、たまたま中国で行われています。

つまり、もし米国がこの戦争を継続し、中国へ向かおうとするなら、実際には中国の助けが必要になるということです。そして問題はすでに見え始めていますが、もちろんこれはもっと広範な問題です。

米国内でも、多くの人々が、こうしたレアアース鉱物を持たないことの深刻さに目覚めつつあります。そして砲弾やミサイルを作るためにはアンチモンも必要ですが――これもまた中国です。そして中国側も、この問題に気づいたように見えます。彼らは米国を「非軍事化」したいと考えているのでしょう。そして戦争に利用可能な鉱物について上限や制限を設けています。なぜなら、米国の戦争機構が明らかに中国をも標的としているからです。

ですから、これらすべては米国の意図について何を物語っているのでしょうか。私は、それはかなり明白だと思います。特にRANDのようなシンクタンクの政策文書を読めば、誰にとっても明らかです。

しかし、あなたはこれらの意図が、実際の能力によってどの程度実現可能だと考えていますか。というのも、米国はおそらく、現在直面しているような困難をまったく想定していなかったのではないかと思うからです。

私は、バイデンからトランプに至るまで、「我々は世界最強の国だ」「世界最強の軍隊を持っている」「同時に全員を相手にできる」と豪語してきたこと――ちなみにこれはほとんどバイデンの直接引用ですが――そうした発言を見る限り、彼らは自らの能力を過大評価していたのではないかと思っています。

では、彼らが壁に突き当たった時、何が起きるのでしょうか。

過剰拡張、焦燥、そして中国との時間競争

BRIAN BERLETIC:
私は、彼らが実際に自らの能力を過大評価しているとは思いません。むしろ、どこに欠陥があるのかを理解しているのだと思います。そして、だからこそ今私たちが見ているような、明らかに非常に急いだプロセスが進行しているのだと思います。彼らはもはや、これを取り繕おうとすらしていません。

トランプ大統領のような人物が、「我々はキューバを取る」と言っています。誰がそんな話し方をするでしょうか。まるで映画の悪役です。現実世界の本物の指導者がそんな話し方をするのを、まず見ないでしょう。なぜなら、それはあまりにも露骨で、不適切で、あらゆる意味で違法かつ間違っていることが明白だからです。

しかし彼らは、自分たちが何をしているのかを隠そうとすらしていません。なぜなら、それこそ彼らが実際にやっていることだからです。彼らは国家を奪い取っているのです。

彼らは多極主義と戦争をしている。そして現在、多極主義に投資している世界中のすべての国々――その数は増え続けていますが――に対するメッセージはこうです。

「もしお前たちがこれを続けるなら、我々はベネズエラにしたことをお前たちにもする。我々はお前たちの大統領を拉致し、首都で数百人を殺し、政府を人質に取り、お前たちの足元から資源を根こそぎ奪い取る。そしてお前たちにはそれを止める術はない。」

そしてこれは、トランプ大統領、その政権の人々、西側メディアの人々が実際に語ってきたことです――「お前たちには止められない」と。これは公然たる世界的暴力団行為です。ほとんどマフィア的です。これこそが、彼らが世界に送ろうとしているメッセージなのです。

彼らはキューバを倒すことで、自分たちが「容易に倒せる相手」と考えている国々を見せしめにし、他の国々を再び従わせようとしているのです。

彼らは中国経済を締め上げ、中国の経済成長を弱体化させ、中国を再び従わせようとしている。あるいは少なくとも、自分たちの残り時間を少しでも延ばそうとしているのです。

なぜなら最終的に、中国はあと約5年で、あらゆる指標において不可逆的に米国を追い越すからです。そしてその時には、米国にはもはやそれを止めることも逆転させることもできなくなる。だからこそ、彼らはその時間との競争をしているのです。

そして彼らの視点からすれば――率直に言って、米国の企業金融エリート、さらには政治階級を見てください。彼らの誰かが、ブッシュ時代以降、自分たちの行為について責任を問われたことがありますか。

21世紀だけを見ても、ブッシュ・ジュニア政権から現在に至るまで――ありません。

このすべての代償を払っているのは誰でしょうか。中東で殺されている人々です。ちなみに、米兵たちもまた、このすべての中で命を落としています。そして燃料価格の上昇を見ている世界中の消費者たちです。さらに燃料に依存するあらゆる商品の価格上昇もあります。代償を払っているのは彼らなのです。

ワシントンではありません。ウォール街でもありません。彼らは代償を払っていない。

だから彼らは、この最後の賭け――地球規模の覇権を再確立しようとする最後の賭け――に、何の下振れリスクも見ていないのです。

そして彼らは、第二次世界大戦時と同じように、こう考えているのかもしれません。

「我々はユーラシアを、巨大な大陸規模戦争――あるいはそれを超える規模の戦争――で徹底的に破壊できる。そして我々自身はほとんど無傷で浮上する。なぜなら我々の間には二つの海があるからだ。第二次世界大戦と同じように、世界中が我々の戦争と代理戦争によって疲弊した後、我々は最後に勝ち残る。」

そして彼らは、そうすれば再び自らを立て直す機会があるかもしれないと考えているのです。中国に対して相対的に、より強い立場でこの危機を抜け出せるかもしれない、と。

それが彼らの唯一の希望なのです。

なぜなら、現在のままであれば、中国は不可避的に米国、そして西側集団全体を完全に追い越していくからです。彼らが何か劇的なことをしない限り、それを止める手段は他に存在しないのです。

エスカレーションの選択肢と、この戦争がどれほど長引きうるか

GLENN DIESEN:
では、この戦争はどれほど長く続きうると思いますか。というのも、トランプは「さらに強力な攻撃を始める」と述べていましたが、同時に、攻撃すべき軍事目標はそれほど多く残っていないことも認識しています。

ですから、もしエスカレーションを進めるなら、別の方法へ向かうことになります。もちろん民間人を標的にすることもできる。病院や重要インフラを攻撃し、人々に圧力をかけることです。また、すでに見ているように、ガス田や石油施設を攻撃して、国内にエネルギー危機や経済問題を引き起こすこともできる。

さらには原子力発電所を攻撃することも可能です。実際、ブーシェフル原発への攻撃がありました。そして「小規模な核攻撃」は、当然ながら実際の核攻撃へと発展する可能性もあります。

では、米国にとって、エスカレーションの梯子を上るとは今どういう意味を持つのでしょうか。そして、これはどれくらい続きうるのでしょうか。

BRIAN BERLETIC:
ええ、戦争開始当初、米国がイランに対する侵略戦争を始めるために投入していた資源量――それはおそらく二、三週間程度しか維持できないものでした。彼らはそのような極めて高強度の作戦を続けることはできましたが、限界に達する数日前、あるいは一週間ほど前には、すでに追加資源を投入し始めていました。

彼らはすでに追加の空母を送り込んでいましたし、戦闘機を米国本土から欧州へ飛ばし、さらにそこから中東地域へ投入していました。

ですから現在、おそらく彼らには、あと一〜二か月、あるいはそれ以上、この高強度の作戦を継続するだけの資源はあるのでしょう。

そしてもちろん、もし彼らがイランの能力をかなり劣化させたと感じつつも、なお政府を不安定化・打倒できない場合には、作戦テンポをかなり落とすこともできます。そしてその場合、ほぼ無期限に維持することも可能でしょう。特に、イラン防空網をそれほど気にせず、イラン上空の一部区域だけでも飛行できるのであれば、非常に長期間続けることができます。

繰り返しますが、彼らの限界は迎撃ミサイルの数と、イランが毎日継続して弾道ミサイルを発射できる能力です。

もし迎撃ミサイルが大幅に不足し、防空網に巨大な穴が生じ、さらにイランが地域全体にある米軍インフラ――つまりイスラエルを含む、実質的には地域のすぐそばに押し出された「沈まない米空母」のような存在――を本格的に解体し始めたなら、深刻な問題が発生し得ます。

もちろん米国は、自国資産を後方へ移動させ、遠距離から攻撃を行うことはできます。しかし、後方へ下がるたびに、航空機への整備負担、空中給油能力への負担など、あらゆる問題が増大します。ですから、多くのジレンマが存在しています。

あなたは非常に重要な点を指摘しました。米国はすでに民間インフラ、そして不可欠な経済インフラを攻撃しています。彼らは今後もそれを続けるでしょう。そして私はほぼ確実に、米国はイランがホルムズ海峡通航を認めているタンカーを止め始めると思います。ほぼ間違いなく、それらを拿捕し始めるでしょう。そして事態は制御不能にエスカレートし得ます。

私が最も懸念しているのは、米国がイスラエルを「究極のスケープゴート」として極めて露骨に利用していることです。

彼らはイスラエルを通じて何でも行うことができ、その上で、「これはイスラエルの行為であり、米国には止めることができなかった」と大衆の大部分を納得させることができる。そしてそれは核兵器にまで及びます。

イスラエルは核兵器を持っています。もし米国が何らかの理由でイランに核兵器を使いたければ、単にイスラエルにやらせればよい。そしてトランプ大統領はTruth Socialに座って、「私はやるなと言った。彼らが本当にやるとは知らなかった。そして彼らはやってしまった」と言うだけです。

繰り返しますが、2009年の『Which Path to Persia』報告書には、「Leave it to Bibi(ビビに任せろ)」というタイトルの章があります。それは、イランに対する体制転換作戦を推進するために、イスラエルを使い捨て可能な代理勢力として利用することについて書かれた章です。

ですから私は、これらはすべて現実的可能性だと思っています。だからこそ、この紛争はこれほど危険なのです。

しかし繰り返しますが、米国は今、非常に急いでいます。彼らは追い詰められている。追い詰められ、傷ついた帝国ほど危険な帝国はありません。

政治的一体性と戦争継続能力

GLENN DIESEN:
ええ、同感です。彼らは抵抗せずに退場するつもりはないでしょう。しかし、この戦争がどれほど続きうるのか、あるいはどちら側が先に崩れるのかという点について言えば――イランが崩れる可能性もあれば、米国が崩れる可能性もあります――それは単に軍事能力だけで測れるものではありません。

つまり、相手側の経済をどれだけ弱体化できるか、政治的一体性、社会的支持をどれだけ維持できるかも重要です。

例えばジョー・ケントの辞任ですが、私はこれは戦争支持を弱めるという点でかなり重要だと思いました。しかし、双方について、あなたはどう見ていますか。軍事能力以外――経済、政治、社会問題を含めて――どれほど持ちこたえられるのでしょうか。

BRIAN BERLETIC:
まずイラン側について言えば、イランは何十年にもわたり非常に粘り強く抵抗しました。

イラン・イラク戦争の八年間は、イラン国家にとって巨大な悲劇でした。そしてそれは再び、イラクを通じて米国によって押しつけられたものでした。それでもイランは生き延び、その後それを乗り越えることができた。

そしてそれは八年間です――双方で何十万人もの人々が死亡した、丸八年間の戦争です。イランの経済やエネルギー生産インフラには甚大な被害が与えられました。船舶も失いました。それでもイランは耐え抜いたのです。

さらにその後も、米国からの巨大な圧力に耐えてきました。なぜなら、これは1970年代後半以来、イランを消耗させ、打倒しようとする継続的プロセスだからです。つまり、イラン国民が、自分たちの上に据えられていた米国の傀儡政権を正当に打倒して以来ずっと続いているのです。

ですから彼らは非常に強靭です。しかし、限界は必ずあります。そしてその限界がどこなのか、私たちにはわかりません。

イランはすでに、この戦争の現在段階においても、驚異的な耐久力を示しています。しかし、あとどれほど続けられるのでしょうか。特に米国が経済インフラを本格的に解体し始めた場合です。

すでに水供給施設は攻撃されています。今後、エネルギー生産、大規模停電、発電施設、その他あらゆるインフラ、病院なども攻撃される可能性があります。

彼らはすでに女子学校を爆破し、その後嘘をつき、それをイランのせいにしました。それが意図的だったかどうかは別として、侵略戦争を行えば、そういうことが起きるのです。ですから、意図的だったかどうかにかかわらず、そういう事態は必然的に発生する。だからこそ、そもそも侵略戦争など始めてはならないのです。

したがって、それらすべてについて彼らには責任があります。そして今、彼らはイランに対してそういうことをしている。

では、それがいつイランを本当に崩壊させるのか。私にはわかりません。

米国の政治的一体性について言えば――これもまた、私が2024年選挙前から警告していたことです。反対勢力など存在しません。民主党も共和党も、その中間のすべての勢力も、ワシントンにいる者たちは皆ウォール街のために働いています。

そして米国民の前でどんな芝居を演じようとも、最終的には常にウォール街のために動くのです。彼らはずっとそうしてきました。だからこそ、ジョージ・W・ブッシュから現在に至るまで、あなたは彼らが一歩一歩、この戦争へ向かって進んでいくのを見ることができるのです。

一つの政権が、次の政権がイランに対する侵略戦争へさらに進めるよう、完璧に舞台を整える。そして次の政権がそれを引き継ぐ。今起きているのはその結果です。

ジョー・ケントの辞任については、私は非常に慎重に見るべきだと思います。なぜなら、彼が辞任した目的は、トランプ政権を批判することではなかったからです。彼はイスラエルを非難していたのです。

ですから、再び2009年の政策文書――「Leave it to Bibi(ビビに任せろ)」に戻ってください。イスラエルを使い捨ての代理勢力として利用し、イランに対する侵略戦争を遂行する、という話です。

この戦争が米国にとって悪い方向へ進む可能性はあります。現時点では誰にもわかりません。まだ判断するには早すぎます。

しかし、どちらに転んでも、世界経済を破壊していることだけは確実です。

ですから、もし可能なら、その責任を誰か別の相手になすりつけたいと思わないでしょうか。そして、そのすべてを他人に押しつけたうえで、自分自身は比較的「手が汚れていない」状態でこの危機を切り抜けたいと思わないでしょうか――あるいは少なくとも、一部の人々に「比較的無実だ」と信じ込ませたいと思わないでしょうか。

ですから、彼がやっているのはまさにそれです。

彼はこれを非難しイスラエルを責めている時でさえ、イランを「脅威」のように描いています。あるいは「イランは何年も米国人を殺してきた」と言っています。

しかし彼は、その米国人たちが、イランを包囲・封じ込め、その存在そのものを脅かすために、違法に地域へ侵攻していた人々だという事実には触れません。

もし立場が逆だったなら、米国人もまったく同じことをしていたでしょう。彼はそうしたことには一切触れない。

ですから彼は、体制側の人物として、ダメージコントロールとスケープゴート作りを行っているのです。この点は非常に注意深く見る必要があります。

そして米国の政治システムは、まさにそのために設計されています。つまり、問題を区分化し、ダメージコントロールを行い、スケープゴートを作り、人々を分断し、注意を逸らし、そしてアジェンダの継続性を維持するために設計されているのです。

それこそが、そのシステムの本質です。そして彼らは、それを実行することに非常に長けています。

イランの戦略――エネルギー・インフラへの攻撃

GLENN DIESEN:
適切な反対勢力が存在しないという点についてですが、私は――ええ、それもまた、この戦争から得られる教訓の一つだと思います。

トランプは、究極のポピュリストのように見えました。体制に挑戦する人物、自党内の政治エスタブリッシュメントにも、メディアにも挑み、「終わりなき戦争」に反対し、触れてはならないとされていたあらゆる「聖域」に切り込む人物に見えた。

しかし今では、結局のところ、誰に投票しようと本質的には変わらなかったのではないか、反対側が勝っていても全く同じ政策になっていたのではないか、という印象を受けます。

しかし、イランが今どのようにカードを切ろうとしていると見ていますか。

というのも、昨日――つまり米国、あるいはイスラエル、あるいは米国・イスラエルが――イランのサウス・パース・ガス田を攻撃しました。そして私たちが眠っている間に、イランがカタールのガス田の一部を攻撃し、さらにサウジアラビアも攻撃したのを見ました。

興味深いと思ったのは、彼らがサウジ西岸、つまり紅海側の製油所と港湾を攻撃したことです。つまり、こちら側のルートも遮断しようとしている。

ですからイランは、自分たちがどのような戦いの中にいるのかを理解し、エネルギーを主要な報復領域として認識しているように見えます。

そしてまた――決してあり得ない話ではないと思いますが――イエメンも参戦し、紅海を封鎖するために海峡封鎖を試みる可能性もあるでしょう。それは湾岸諸国全体を崩壊させる可能性もあります。

あるいは、イラン側も他の誰もと同じ現実認識を持っているとすれば、彼らは今後どのように動くと思いますか。

つまり、彼らは湾岸諸国に対して、事実上こうした最後通牒を突きつけるつもりなのでしょうか――「我々があなた方を完全に停止させるか、それともあなた方が米国から切り離されるかだ」と。

イランはここでどのようなゲームをしているのでしょうか。

BRIAN BERLETIC:
まあ、それについては断言できません。もしそれがイラン側の戦略なのだとしても、その戦略の問題は、これらアラブ諸国が本質的に政治的に捕えられた状態にあるということです。

彼らは、本質的にはウクライナと同じ状況にあります。ウクライナは、たとえ望んだとしても、もはや何もできない。米国の利益に完全に奉仕し、自国の犠牲の上に成り立つ、抜け出せない立場へ追い込まれているのです。そして今、まさに同じことがこれらアラブ諸国すべてに起きています。

彼らが、どうして本気で「米国が自分たちを守ってくれる」「米国は信頼できるパートナーだ」と信じられたのか、私には理解できません。

もちろん、そこまで騙されやすい人々がいる可能性はあります。しかし彼ら自身、自分たちが代理勢力であり、本質的には常に「虎に乗っている」状態であって、そこから優雅に降りる方法など存在しないことを知っていたはずです。

そして私は、彼らが今まさにその地点にいると思います。もしかすると降りたいと思っているかもしれない。しかし、どうやって降りるのでしょうか。本当に方法がないのです。

ですからイランは、可能な限り最大のコストを、米国と地域内のその代理勢力に課そうとしているのです。

しかし私は、イランがこれらアラブ諸国に「米国を追い出させよう」と考えているとは思いません。考えてみてください――彼らはいったいどうやってそれを実行するのでしょうか。

もし実際にそうなれば、もちろん素晴らしいニュースでしょう。それは地政学的発展における革命的出来事になります。しかし私は、それが起きるとは思えません。それは、ウクライナ人たちが立ち上がって、「もうこの代理戦争に加わりたくない」と言い出すのを期待するのと同じくらい現実味がない。

私は、彼らが上から下まで政治的に支配されている以上、このまま続いていくと思います。米国は、最後のインフラ一つに至るまで、最後の一人のアラブ人に至るまで、彼らを使い尽くしてイランとの戦争を遂行するでしょう。

そして実際、同じことをイスラエルに対しても行っています。

多くの人々は、これは逆の関係だと思っています。しかし現実には、イスラエルもまた毎日弾道ミサイル攻撃を受けています。そして今ではヒズボラからのロケット攻撃も受けている。さらに彼らはレバノンへ部隊を送り込んでいますが、南レバノン地上戦でヒズボラに対して前進できていません。

ですから、この地域のすべての国々は、米国への従属関係によって、今やこの戦争に閉じ込められているのです。

そして彼らに残された唯一の希望は、米国が最終的にイラン軍事能力を劣化させ、政府を打倒できることです。本当に、それしか希望がない。

私は、彼らの誰かが米国に対して、「もうこんなことはしたくない。どうか我々の国から出ていってくれ」と言うとは思えません。彼らにそんなことができるとは到底思えないのです。

多くのアラブ諸国では、国内治安機構そのものが米国やその他西側諸国によって構築され、その一部は今なお運営されています。ですから彼らが、どうやって米国排除を考え始めることができるのか、私にはわかりません。

「捕獲された国家」――代理勢力、消耗、そして多極化への道

GLENN DIESEN:
ええ、ウクライナ問題について言えば、私にはいつも驚きでした。というのも、古い情報の多くが、西側メディアの中でも実際にはかなりアクセス可能だったからです。ニューヨーク・タイムズからワシントン・ポストに至るまで、彼らは過去数年間に多くのことを確認してきました。そして今では、さらに多くのことを確認しています。

その一つは、(マイダン)クーデター直後の初日から、米国がウクライナ情報機関を掌握していたということです。これは確認されています。また、ウクライナの検事総長の証言から、政府に入る人物を誰にするかを選び、決定していたのは米国側だったこともわかっています。つまり、政治システムそのものを掌握していたのです。

さらに、彼らが独自の軍事勢力を構築したこともわかっています。つまり、極右グループが米国情報機関によって訓練・武装されていた。そしてそれはドンバスの反体制派と戦うためだけではなく、キーウがもし和平を考えようとした場合に拒否権を行使するためでもあった。

NGO資金停止の一時的混乱からもわかったことですが、ウクライナのNGOは、資金面で言えば、現在では米国のNGO――そして情報機関と連携する組織――によってほぼ代表されている。彼らがウクライナの「市民社会」を代表しているのです。また、ウクライナ・メディアの85〜90%が米国資金によって支えられていることもわかっています。

ですから、ええ、良い指摘です。社会そのものが捕獲されている。そして2019年に実際に見たように、ウクライナ国民が本当に投票できた時、73%が和平プラットフォームに投票した(ロシアとの和平をうったえたゼレンスキーに投票した)にもかかわらず、それがどれほど迅速に封じ込められたか。

米国が支援するNGOと、米国が訓練した右翼グループが「越えてはならない一線」を設定し、「あなたが選挙で掲げた政策、和平構想、あなたの綱領のすべてがレッドラインだ」と言った。そしてゼレンスキーは自らを翻した。つまり、これは捕獲国家なのです。

ですから、それは非常に重要な点です。しかし私は、今でも同じレトリックが続いていると感じます。「いや、我々はウクライナを助けなければならない」「決めるのはウクライナだ」「ウクライナが決めない限り、我々は何も合意しない」と。

しかし、ウクライナは何も決めていない。決定はワシントンやその他の場所で行われているのです。

しかし、ここでの私のポイントはこうです。もし湾岸諸国が米国から切り離されないなら、イランは彼らを破壊できるように見える、ということです。

つまり、民間人や都市住民を直接攻撃するという意味ではありません。しかし例えば海水淡水化プラントを止めてしまえば、水がなくなる。彼らの大半は、本質的には砂漠地帯に住んでいるわけです。

では、これは湾岸諸国の終わりなのでしょうか。それとも、それはイラン側にとってあまりに野心的すぎる見方なのでしょうか。

イランの耐久力と米国パワーの消耗

BRIAN BERLETIC:
これまでのところ、イランは「報復」という形を取っています。つまり、最初に自分たちからこうした行動を始めているわけではありません。自分たちに対して行われたことに応答しているのです。

しかしほぼ確実に、彼ら自身も理解しているはずです。つまり、自分たちに対して行われていることは、「イランが必ず報復する」と十分承知した上で行われているのだ、と。

そしてもちろん、米国はアラブ世界の誰のことも、さらにはイスラエルのことさえも気にしていません。彼らは地域全体のことなど気にしていないのです。

彼らは皆、代理勢力であり、使い捨て可能な存在なのです。ウクライナと同じように。

BRIAN BERLETIC:
米国がウクライナの人々のことを本気で気にしていると、本当に誰か信じているのでしょうか。あるいは、ウクライナそのものについて何か気にしていると。米国にとって重要なのは、ロシアに対する地政学的目標を推進する上での有用性だけです。そして今の場合は、イランに対する有用性です。

ですから、イラン、ロシア、中国は皆、非常に厳しい立場に置かれています。なぜなら、彼らは米国が最終的には使い捨て可能と見なしている代理勢力に囲まれているからです。

そして、彼らがその代理勢力にどれほど大きな損害を与えようとも、問題の根源は依然として地球の反対側にいる米国なのです。これは非常に大きな問題です。

しかし、もしそれら代理勢力を排除できる、あるいは深刻に弱体化させることができれば、それはある意味で、米国がそれら代理勢力を使って自分たちを脅かす能力を弱めることにもなります。

それらがより弱く、より破壊されればされるほど、米国が標的国に対してそれらを利用することは難しくなる。

しかしまた、この紛争の性質そのものも重要です。米国は現在、膨大な量の弾薬を消耗しています。対ミサイル迎撃弾だけではありません。長距離精密誘導兵器もです。

私が以前、「戦略的シークエンシング」について話していたのを覚えていると思います。米国はウクライナに対して、実際にはアジア太平洋地域で中国との戦争を挑発した際には決して使うつもりのなかった兵器を送っていた、と。

しかし今、イランに対して使っている兵器は、まさに彼らが中国との潜在的戦争のために温存していた種類の兵器なのです。

つまり彼らは、自らの在庫を消耗している。そして、その消耗した備蓄を補充する方法を持っていない。補充には何年も何年もかかります。

彼らはトマホーク巡航ミサイルやJASSMを、数年分の生産量に相当する量、たった数日間――この作戦の初期段階だけで――使い果たしてしまったのです。

ですから、ある意味では、イランが単に生き残り、このすべてを耐え抜き、米国の兵器在庫を消耗させ続けること自体が、今の米国を深刻に制約しているのです。

米国は今、世界規模の侵略、殺害、拉致の連続行動を行っています――世界的な犯罪的暴走状態にある。しかし彼らは、それを永遠に続けることはできない。

そしてイランが持ちこたえる時間が長ければ長いほど、米国はより消耗し、次の標的国へ進んでこの暴走の勢いを維持する能力を失っていくことになるのです。

BRIAN BERLETIC:
私は、これはバイデン政権末期に始まり、そしてトランプ政権下で一気に加速したのだと思います。そして繰り返しますが、これは常に、常に計画通りでした――イラン領事館への攻撃です。あれが、この全過程の始まりでした。

そして、この全過程が、イランと同時にロシアと中国の両方を狙ったものだと理解すれば、この事態がどれほど深刻な紛争へ発展したかも理解できるでしょう。

彼らは、これがこうした事態に至るとわかっていた。そして、それでも実行したのです。

ですから結局のところ、彼らは自らを消耗させている。そしてイランとの結果がどうなろうとも、その後ここから他国へ、他地域へと軍事的圧力を展開する能力を、自ら制限しているのです。

もしこの戦争に「せめてもの救い」があるとすれば、それでしょう。

最前線国家と、ウクライナから教訓を学べないこと

GLENN DIESEN:
ええ、それは確かに一つの明るい側面です。しかし彼らは軍事資源を消耗しているだけではありません。例えば韓国のような国々にも衝撃を与えています。自国の防空システムが引き抜かれ、イラン方面へ送られているのを目の当たりにしているわけですから。

つまり、ある時点で、東アジアや欧州の「代理勢力」や「最前線国家」は、湾岸諸国を見て、「次は自分たちかもしれない」と考えるようになるはずだと思うのです。

しかし、これもまた楽観的すぎる見方かもしれません。

ここスカンジナビアを見ると、これまで何十年もの間、中立あるいは半中立を維持し、少なくとも安全保障競争を慎重に管理してきた国々が、今では米軍基地を開放し、しかも非常に熱心に「最前線国家」の役割を受け入れています。しかも彼ら自身、トランプの予測不能な振る舞いに怯えきっているにもかかわらずです。

本来なら、彼らはウクライナや湾岸諸国を見て、「我々も帝国のために戦う次の最前線国家になるのか」と問い始めるべきなのです。

しかし、それはまだ起きていないように見えます。少なくとも今のところは。

GLENN DIESEN:
ええ、あなたの言う通り、もしこれがより長期間続くなら、これまで疑問視すること自体が許されてこなかった前提に対して、誰かが疑問を抱き始めるかもしれません。

最後に、締めくくる前に何かありますか。

政治的捕獲、多極主義、そして今後の道筋

BRIAN BERLETIC:
ええ、実は韓国についてですが――韓国は本来、そうした迎撃ミサイルを必要としていません。

いったい誰が、何の理由もなく韓国を突然攻撃するというのでしょうか。誰もいません。誰も韓国を攻撃しようなどとはしない。

朝鮮と韓国の関係は、時として改善へ向かっていました。そして、そのプロセスに割って入り、再び凍結させたのは米国でした。

また、韓国と中国は膨大な量のビジネスを行っています。そして中国が韓国に望んでいるのは、基本的にはそれだけです――韓国と商売をすることです。中国は韓国へ侵攻したいわけでも、ミサイルを撃ち込みたいわけでもありません。

彼らがそうしたミサイルを必要とする唯一の理由は、米国が戦争を挑発した場合です。そして、その挑発された戦争の結果として、韓国国内にミサイルが飛来することになる。なぜなら韓国が米軍基地を受け入れているからです。これはアラブ諸国とまったく同じです。

そして残念ながら、アラブ諸国であれ、ウクライナであれ、韓国、日本、最近ではフィリピン、あるいは北欧諸国であれ――これらはすべて政治的に「捕獲」されています。

政府上層部がすでに掌握されているのです。彼らは喜んでワシントンのために働いている。そして、自分たちはこのすべての結果から守られていると知っている。

彼らは芝居を演じるでしょう。まるで国民の最善の利益を守ろうとしているかのように見せかけるために。

もし人々がこうした構造を見抜き始めるなら――そして最終的には、それこそが必要になるのだと思います――それは、これらの国々の内部にいる人々が目を覚ますことから始まるでしょう。

自分たちの政治システムは、単に「壊れている」のではない。これは自己決定のためのシステムではなく、支配のためのシステムなのだ、と。そして次に、「では、それをどう変えるのか」を考えなければならない。

しかし同時に、多極主義そのものが、米国がそれを破壊できる速度を上回る形で成長し続けなければならない。

そして今私たちが見ているように、米国は侵略戦争を次々に行う中で、自らを深刻に消耗させています。一つの戦争の後にまた別の戦争、しかも同時並行で複数の戦争を行っている。

そしていずれ、転換点が訪れるでしょう。その時には、多極世界の構築速度が、米国による破壊速度を上回るようになる。

しかし、そのためには私たち全員が、人々を目覚めさせる努力をしなければならない。それが今起きていることなのです。

イランだけ、ウクライナだけ、あるいはベネズエラやキューバだけに、近視眼的に焦点を当ててはならない。

米国は、単極支配を維持するために、多極主義に対して世界規模で戦争を行っているのです。

ですから私たちは、その現実を理解し、それを暴露し、他の人々にも気づかせなければならない。そして、多極主義――世界における公正な勢力均衡――が、この乱暴で、明らかに制御不能になった単極世界秩序に打ち勝つために何ができるのかを考え始めなければならないのです。

歴史的パターン――覇権にとっての「平和」という脅威

GLENN DIESEN:
まあ、韓国も本来ならそのことを理解しているはずです。

第二次世界大戦後にさかのぼれば、1956年、ソ連と日本が和平に近づいた時期がありました。日ソ共同宣言が署名され、領土問題解決の可能性さえ見えていた。

そして興味深いのは、あなたが先ほど言った「関係が改善した場合に何が起きるか」という点です。実際、米国は「平和が起きるかもしれない」ということでパニックに陥ったのです。

なぜなら、もし1956年にソ連と日本が和平を結べば、それは覇権の基盤を弱めることになるからです。

というのも、覇権国家であるためには、同盟システムが必要です。そして緊張が存在しなければ、敵対勢力を封じ込めることはできず、代理勢力も忠誠を維持しなくなるからです。

ですから、常に一定の緊張状態を維持しておく必要があるのです。もちろん、管理された形でですが。

そうでなければ、日本は独自の自律性や独自の思考を持ち始めるでしょうし、ソ連に対する太平洋での封じ込めも同じようには機能しなくなる。

つまり、私たちはこれまで何度も同じ展開を見てきたのです。それなのに、再び同じものを見るたびに驚いてしまう。

本日はお時間をいただき、本当にありがとうございました。

BRIAN BERLETIC:
こちらこそ、お招きいただき本当にありがとうございました。

(翻訳以上)


Wednesday, December 24, 2025

グレン・ディーセン:EUは戦争続行に不都合な言論を弾圧している(ナポリターノ判事との12月22日対談より)Glenn Diesen: The EU Is Suppressing Dissent to Continue the War (With Judge Napolitano, Dec 22, 2025)

アンドリュー・ナポリターノ判事のチャネルの常連ゲストであるグレン・ディーセン教授の最新の動画の訳です。トランプ大統領が先月発表した安全保障戦略にはburden sharing 「負担共有」という概念がありますが、ディーセン氏は、弱体化する米国帝国が、直接ではなく、属国に戦争をやらせる手法に変わっていると指摘しています。「モンロー主義のトランプ補論」とあるように、ラテンアメリカを自分の裏庭と位置づけ、どこの国と交易を行うかも管理・規制しようとする、危険な米国の動きについても述べます。米ロの間で進んでいるウクライナ戦争の和平交渉も、トランプ側が求めるような経済的なディールの前にまずはウクライナ戦争を解決しなければいけないし、そのためにはロシアが一貫して主張している、冷戦後30年間欧州側が作ってきたこの戦争の「根本の原因」に取り組まなければいけないことを強調しています。欧州におけるロシアの凍結資産をウクライナに与えることにEUが合意できず、かわりに900億ユーロを融資するというのは結局戦争の継続が目的であるという指摘は重要です。最後に、EUは同じヨーロッパ人で、戦争継続に都合の悪い分析をする者に制裁を加えるというあり得ないことをやっている件について解説しています。ジャック・ボーというスイスのインテリジェンス専門家(元スイス陸軍大佐、戦略情報部員)は、西側の情報を分析して、西側がこの戦争を招いたという結論を述べただけです。私も自分の記事で引用したことがあります。EUは他国の資産をどろぼうし、域内の人間にも言論の自由を許さず、資産凍結、移動禁止といった極端な人権侵害を行う独裁組織と化しました。 @PeacePhilosophy 乗松聡子

★翻訳はAI訳に手を入れたものです。繰り返しや冗長な部分を一部割愛しています。小見出しと太字は訳者によるものです。翻訳はアップ後修正することがあります。

   

 https://www.youtube.com/watch?v=kYWm-oSVKLs 

Prof. Glenn Diesen : Is the EU a Criminal Gang?

グレン・ディーセン教授を迎えて:EUは犯罪集団か?


トランプの国家安全保障戦略

ナポリターノ:アメリカ合衆国と中国について、いくつか質問させてください。過去2週間で、次の出来事が起きました。トランプ政権は国家安全保障戦略を公表し、そこでは、中国はもはや「敵」ではなく、「経済的な競争相手」だとされています。ところが先週、トランプ大統領は国防権限法(NDAA)に署名して法律として成立させましたが、それは台湾に110億ドル相当の攻撃用ミサイルを供与する内容です。そして週末には、アメリカ海軍が、パナマ運河を経て最終的に中国へ向かう予定だったベネズエラの石油タンカーを止め、拿捕しました。中国はそれらすべてに、どのように反応すると思われますか。

ディーセン:かなり悪く反応すると思います。しかし、米国は軍事的アプローチを取っていますが、それは、中国を経済的なライバルと見ていることは見ているのですが、米国が中国と競争できないのではないか、という懸念があるからです。おそらく、米国の経済が過度に金融化してしまったからかもしれませんし、中国の側が自給自足の度合いを高め、あらゆるものを規模拡大できるため、AIの実装という点でも、その他のあらゆる利点という点でも優位に立っているからかもしれません。

私は、米国が競争できないときに軍事力を用いる、という誘因は常に存在してきたと思います。ただ、中国側は、米国の姿勢が少し変化してきているのを見ているのだと思います。覇権の時代、すなわち米国が支配的だった時代には、米国の力は、大きな部分が「安全保障提供者」であること、つまり、米国に同調する同盟国に対して抑止力を提供することから来ていました。しかし衰退の時代には、米国にとっての利益は、他の大国との対立を準備してそれらを弱体化させることにあるのだと思います。ただし直接ではありません。中国と直接戦争をしたくはないからです。その代わり、以前は米国の傘の下にいた同盟国が、今度はより「属国」として利用されるようになる、ということです。

ですから、ロシアと戦うなら、もちろんウクライナ人を使います。イラク人と戦うなら、クルド人を使います。中国と戦うなら、台湾人や日本人を使いたい、ということになります。そして、中国側は、この点をよりいっそう懸念するようになっているのだと思います。


米国のベネズエラ攻撃

そしてベネズエラに関して言えば、これは国家安全保障戦略のもう一つの要素だと思います。そこでは、「アメリカ大陸全体は米国の裏庭だ」という見方がされています。つまり、米国は、この地域に誰がアクセスでき、誰がアクセスできないのかを、よりいっそう取り締まるようになる、ということです。第一段階は、ロシアと中国を遮断することだと思いますが、とりわけ、そして最も重要なのは、ベネズエラから中国を遮断することです。

ナポリターノ:しかし、中国向けの石油を積んだタンカーを奪うことの結果は、何かしらあるはずです。海軍や、トランプは、やっていることの意味がわかっていたのでしょうか。ラリー・ジョンソン氏(元CIA分析家)は、中国が米国国債を売り浴びせるだろう、と示唆しています。そうなれば米国財務省はより高い金利を提示せざるを得なくなり、すると米国政府は、借りた金の利子を支払うためにさらに多くの金を借りなければならなくなります。米国がどう反応するかはどうでしょうか。もし中国がハバナに攻撃用ミサイルを置いたら?

ディーセン:もし中国が米国の石油タンカーを乗っ取り、奪い始めたら、米国がどう反応するかは、かなり予測可能だと思います。もちろん、これは中国が何もしないというわけにはいかない事柄です。何もしなければ、これが新しい「通常」になってしまいます。つまり、米国またはNATOが、競争相手の国々から、外洋で船舶を押収し始めることが可能になる、ということです。

中国は軍事ルートに進みたくはないのだと思います。中国が学んだ明白な教訓は、世界と貿易したいなら、自国の貿易のつながりを、強力な軍事力で補完し、貿易のつながりが安全であることを確保する必要がある、ということです。第二に、これを目的としてロシアとの結びつきも強くなるでしょう。なぜなら、両国には非常に長い陸上国境があり、そこでは誰も両者のつながりを妨害できないからです。

しかし、軍事ルートに進む前に、もちろん中国としては、自国の経済的な力の手段を使うことが利益になります。あなたがおっしゃったように、中国には多くの手段があります。国債を売り浴びせることもできます。貿易や外貨準備における米ドルの使用を減らすこともできます。米国に対して非常に強い制裁を課すこともできます。とくに、武器に必要なアンチモンなどの希少資源です。つまり、米国を実質的に非軍事化させ始めることができるのです。

良いニュースは、中国はこの道に進みたくない、ということです。しかし悪いニュースは、米国が中国をまさにその方向に押しやっているように見える、ということです。なぜなら、そうするか、あるいは屈服して、自国の貿易と経済力のすべてがワシントンの善意に依存することを受け入れるか、そのどちらかだからです。

ナポリターノ:米国は愚かなのですか。それとも、これは中国向けの巨大な石油タンカーを拿捕した、単なるミスだったのですか。

ディーセン:私は、優先順位がこう設定されているのだと思います。すなわち、米国はベネズエラはまず孤立させたい。そして政権転覆という文脈の中で、米国はリスクをおかし、代償が生じている。それをちゃんと考えていないのです。というのも、これは中国を苛立たせ、ロシアを挑発するだけではありません。アメリカ大陸は、かつてのように後進的なバナナ・リパブリックばかりではありません。例えばブラジルのような大国がいますし、こうした砲艦外交を喜ばない国も多いのです。

しかし米国は実際砲艦外交をしています。米国海軍がベネズエラを取り囲み、誰がベネズエラと貿易できるのかを指図し、石油とタンカーを押収、あるいは強奪し、そして、ありもしない麻薬カルテルの嫌疑をかけて船を爆撃しているのです。


ウクライナ戦争

ナポリターノ:ロシア側のキリル・ドミトリエフと、米国側のスティーブ・ウィトコフおよびジャレッド・クシュナーによる、交渉について、あなたはどう見ていますか。私たちはロシアが何を要求しているか知っています。プーチン大統領も先週の金曜日にも繰り返したように、要求を変えるつもりがないことも知っています。彼らはいったい何を話しているのですか。

ディーセン:私には、良い答えはありません。私は確かに分かりません。ただ、ドミトリエフもウィトコフも、主としてビジネスマンです。ですから彼らは、ロシアとアメリカ合衆国の二国間関係を改善する機会を見たいのでしょう。もちろん、これは両国にとって利益になります。ロシアは中国への過度な依存を望みません。米国もロシアが中国に過度に依存することを望みません。もちろん、だからといって、ロシアがいかなる状況でも中国に敵対して同盟を組むということはありません。しかし、経済的な結びつきを多様化することは常に良いことです。

ですから共通の利害はありますが、問題は、ウクライナ問題を解決する前に二国間関係を本当に前進させることはできない、という点です。そしてウクライナ問題については、私はあまり進展を見ていません。ここで誰もが頭の中に入れておくべき重要な言葉があります。(この戦争の)「根本的な原因」です。ロシアは、自分たちが根本原因と考えるものを述べています。それは、要するに、欧州安全保障秩序の崩壊です。冷戦後、欧州は「ロシアを除いて皆が所属するヨーロッパを作ろう」と決めました。そして、ロシアを含まないヨーロッパを作ることは、必然的にロシアに対立するヨーロッパを作ることになります。そして今や欧州はロシアの国境全域にNATOの軍事基地を置くことになったのです。

モルドバ、ウクライナ、ジョージアのように、人口が(欧州寄りかロシア寄りかに)分断されている国々があるなら、もちろんそれらの国々が西側に傾くことを確実にするためには、人口の半分(分断されている片側)を抑圧しなければならなくなります。ロシアはこれを受け入れるわけがありません。

要するに、ロシアが求めていることは根本的なことです。過去30年にわたって(西側が)犯してきた誤りを、すべて再考しなければなりません。ですから、ウィトコフとドミトリエフが来て、「さあ、うまい貿易協定をまとめましょう。信じてください。」と言ったところでそうはいきません。たとえ信頼があったとしても、ロシアはその信頼にすべてを賭けるわけにはいかないでしょう。なぜならトランプは翌日にでも気が変わるかもしれませんし、いつまで続くかもわからないのです。

彼らはこの紛争の主要な根本原因に対処していませんし、それに対処するのは非常に難しいことです。第一歩はもちろん、ヨーロッパ諸国が実際にロシアと話すことですが、まだそこに至っていません。


ロシア資産を奪うのか

ナポリターノ:ベルギーの銀行にあるロシア資産を奪おうとする動きについてですが、(見送りという)結論に驚きましたか。それとも、ショルツとマクロンとスターマーが、ベルギー首相を威圧して押し切れると思いましたか。

ディーセン:一方では、通ることはあり得ないと思っていました。他方では、通ってしまうかもしれないとも疑っていました。というのも、欧州では国益に反する行為があまりにも多かったからです。ヨーロッパは、ロシアのエネルギーから自らを切り離しましたが、それは脱工業化をもたらします。そして脱工業化は、米国がヨーロッパを優先しなくなることをもたらします。こうやってヨーロッパは、何度も何度も自分たちの利益を損なうことを続けてきました。ですから、私はどちらにも転び得ると思っていました。

しかし問題は、ヨーロッパが何か常軌を逸したことをするたびに、反対する声がすべて「おまえはプーチン側だ」として中傷され、検閲されるということです。今回従わなかったベルギーを「プーチンの最重要資産」とまで呼ぶ者たちもいました。

しかし、これが問題なのです。これは親プーチンかどうかの話ではありません。自国の国益に忠実かどうかの話なのです。そしてこの問題は、ヨーロッパを分断させてもいます。なぜなら、法の支配を投げ捨て、盗みを本質的に合法化することは、非常に極端です。


EUがヨーロッパに有害な存在

たとえ通らなかったとしても、EUはそれでも、制裁を6か月ごとに投票で更新するというルールを停止し、いまや資産を無期限に凍結しています。ですから、すでに、EUがヨーロッパにとってかなり危険な存在であることが証明されつつあります。これは、イーロン・マスクが言っていることでもあります。そしてまた、米国の国家安全保障戦略は、多かれ少なかれ、ヨーロッパをEUから解放したいというものです。責任ある主体であることを示すどころか、EUはむしろ、国家安全保障戦略とイーロン・マスクが正しい、つまりEUがヨーロッパを損なっている、ということを示してしまっているのです。

ナポリターノ:ここで、水曜日のヴィクトル・オルバン首相(ハンガリー)の発言があります。彼がどう感じているかは非常に明白です。

オルバン:「そもそも、誰かの金を取り上げるという発想自体が愚かです。戦争をしているのは二つの国です。EUではありません。ロシアとウクライナです。なのにEUの誰かが、戦争当事者の片方から金を取り上げて、もう片方に渡そうとしている。これは戦争に踏み込むことです。だからベルギー首相は正しい。私たちはそんなことをすべきではありません。」

これは投票の直前でした。私は彼が正しいと思います。戦争に踏み込むな、ということです。メルツ首相の発案が頓挫し、代わりに1000億ドルの融資という案が出てきたとき、ヨーロッパではこれがどのように受け止められましたか。エリート層、メディア、そして一般の人々はどう受け止めましたか。

 

戦争継続に向かい、自ら破滅を招くEU

ディーセン:まず言うべきは、ヴィクトル・オルバンは別の点も指摘した、ということです。すなわち、EUがいまこの金、つまり900億ユーロを貸す場合、問題は、それを回収できる唯一の方法が、ロシアがそれを返済するか、あるいは賠償として支払うことだ、という点です。そしてロシアから賠償を得る唯一の方法は、ロシアを打ち負かすことです。つまり、EUは、破産しないため、そして金を回収するためには、戦争を長引かせなければならない立場に自らを置いたのです。たとえウクライナにとってどれほど深刻な結果であろうと、また核戦争への段階を踏むことになろうと、です。つまり、EUはいまや戦争自体が目的となっており、平和は敵だ、ということです。これはオルバンが言ったこととほぼ同じで、これもまた正しいのです。ですから、これは極めて危険なことが行われたと言えます。

ヨーロッパは少し分裂しています。多くの国々では、人々は、これがどこまで進むのか、この地点からどれほど先まで行ってしまうのか、という点を懸念しています。私は、これは主としてエリートによって推進されているプロジェクトだと考えています。スターマー、マクロン、メルツのような人物の支持率を見れば、歴史的にひどい状態です。彼らはその政策について、ほとんど民衆の支持を得ていません。

他方で、街頭の普通の人に尋ねれば、彼らもまた、行われていることのいくつかを批判するのが難しいと感じるでしょう。なぜなら、欧州はいま、ほとんどカルトのように機能していて、政府に同意するか、さもなくば敵側だ、という構図になっているからです。ですから、メディアにも、もはやあまり体制を批判する声がありません。


異論を唱えるジャック・ボー氏を制裁

もちろん、声を上げようとする人もいます。私の同僚で、スイス軍の退役大佐であり、スイス情報機関にいた人物がいます。ジャック・ボー大佐です。EUは実際に彼を制裁しました。彼はかつてNATOで働いていました。EUは彼を制裁し、銀行口座を凍結し、渡航禁止にしました。理由は、彼の分析の結論が気に入らなかったからです。つまり、欧州はいま本当に追い詰められていて、必死になっているのです。これは犯罪行為です。これが合法であり得るはずがありません。

ナポリターノ:明らかに犯罪行為です。ギルバート・ドクトロウ教授は、EUは、ボー氏に、司法的な異議申し立てすら認めていないのではないか、と言っています。EUはボー氏を黙らせ、移動を制限し、自分の金を使うこともさせない。すべてが彼の言論が理由なんです。何も犯罪をおかしたわけでもない。それなのに、どうしてこのような制裁が合法であり得るのでしょうか。

ディーセン:はい。EUの文書を読むと、こう説明しています。ボー氏が親ロシア的な発言をしてきたからだ、と。まずその「親ロシア的」という言葉が何を意味するのか。これは非常に曖昧な言葉です。ロシアについて何か肯定的なことを言ったり、ロシアを悪魔化しなかったり、西側ではなくロシアの側に立ったとかでしょう。


「西側がこの戦争を挑発した」と結論づけただけで

ボー氏は自らの分析に基づいて、「西側がこの戦争を挑発した」と言っているのであり、それは反西側でも親ロシアでもありません。それは、もし私たちが核戦争を回避し、ウクライナが破壊されるのを避けたいなら、そしてもし私たちがこれを挑発し、ロシアが自らを実存的脅威に直面していると見ているのなら、和平を望むなら、まずそれを認識しなければならない、ということを言っているだけです。問題を解決するには、まず正しい診断を得なければなりません。

ですから、彼らの説明は、こうした曖昧な言葉だらけなのです。そしてまた、「親ロシア的であること」を犯罪扱いするというのも、非常に奇妙なことです。

ジャック・ボー氏が親ロシア的だったという議論でさえ、EUが制裁の説明に挙げた例は一つで、「ウクライナがロシアの侵攻を自ら招いた」と示唆した、というものです。しかし、大佐が引用したのは、ゼレンスキーの元顧問、オレクシイ・アレストビッチの言葉でした。2019年のインタビューで、アレストビッチは、NATO加盟のために私たちが支払わなければならない代償は、ロシアとの大戦争であり、私たちはその戦争に勝つのだ、と言っていました。そして、NATOに加入しようとすればロシアを挑発して侵攻させることになり、侵攻したらNATOが助けてくれて、一緒にロシアを打ち負かす。最高にクールなことになる。そしてそれがNATOへの切符になる、ということを言っていたのです。


規則など投げ捨てたEU

ボー大佐はゼレンスキーの最側近の顧問の言葉を引用しているのに、EUはこれを、いわゆる陰謀論を広めたとして、彼を制裁する理由にしているのです。

ナポリターノ:本当に救済手段がないのですか。適正な手続がなかったのだから制裁を解除せよ、と裁判官に求めることもできないのですか。

ディーセン:神のみぞ知る、です。繰り返しになりますが、EUにとって法も規則もどうでもよくなっていますから、そういうことを言える状況ではありません。

ナポリターノ:スイスにあるこれらの銀行はどこにあるのですか。スイスの銀行は、ブリュッセルの連中の言うことを聞くのでしょうか。

ディーセン:そうならないことを願います。繰り返しになりますが、スイスはEU加盟国ではありません。ボー大佐はブリュッセルに住んでいると私は理解していますから、彼の口座はそこで凍結されているのでしょう。ただ、EUが自国の大佐の一人にしたことを考えると、スイス政府が非常に静かであるのは気になります。

これは、いじめ以外の何物でもありません。自己破壊的でもあります。これは、EU寄り、あるいはヨーロッパ寄りだから賛成すべき、という議論ではありません。EUは自滅しているのです。EUがどれほど、藁にもすがる思いでいるかを表すことです。


「いわれなき侵略」と言わないと制裁対象に

もしボー大佐を親ロシアの工作員だと非難するのなら、それは本当に深刻な事態です。もはや異論が許されない、ということです。ボー氏は自分の仕事をしていたにすぎません。相手方が何を恐れているかを評価し、どう反応しているかを説明することは、危機を解決するための条件なのです。

ヨーロッパの問題は、ロシアの安全保障上の関心を語ることさえ許されない、という点です。そしてこれは米国が言ったことでもあります。いかなる合意でもロシアは安全の保証を必要としていない、と。しかし和平合意が必要とするのは、相互の安全の保証です

ナポリターノ:EUは言論の自由を認めていません。となると、EUはギルバート・ドクトロウにも同様の制裁をやり得るのでしょう。彼はブリュッセルに住んでいます。

ディーセン:これは終着点ではありません。彼らがここで止まるわけではありません。これは、言論の自由への取り締まりがエスカレートし続けるパターンです。ですから、次は誰でもあり得ます。これは威嚇です。

ナポリターノ:EUはどうやってこの決定に至ったのですか。投票があったのですか。それとも、フォン・デア・ライエン氏が紙に署名して命令しただけなのですか。

ディーセン:私の理解が正しければ、これは理事会から出たものです。つまり、EU議会には、これに関して何の発言権もありませんでした。

ポイントは、この制裁が2年、3年後に覆る可能性があったとしても、重要なのは、プロセスです。このような処罰があったということです。これは他者への見せしめになるのです。あなたの分析が、つまり、(ウクライナ戦争は)アドルフ・ヒトラーの再来(つまりプーチン大統領)による挑発なき侵略だ、という結論に達しないなら、あなたは制裁され得る。私たちはあなたの口座を凍結し、あなたが請求書を払うことを不可能にし、あなたは家から追い出される。大陸を去らなければならない。大陸内を旅行することも許されない。こういうことです。

これが、いまの私たちです。これが、いまのヨーロッパなのです。

ナポリターノ:では、もし彼がブリュッセルからチューリヒへ飛ぼうとしたら、どうなるのですか。彼は飛行機に乗れないのですか。

ディーセン:どう機能するのか、私はよく分かりません。彼はEUを出てスイスへ行くことになりますが、スイスはEUではありません。ただ、繰り返しになりますが、言いにくいです。これは、こういう形でEUがヨーロッパ人、特に軍の上級者を制裁するという、新しい領域です。

ですから、これが当然の帰結、つまり十分な反発を受けない限り、EUはタガが外れた状態になり、今後も他の人々に対してこれを続けるでしょう。

ナポリターノ:私はぜひボー氏にインタビューしたいです。もしそれが実現するなら、新年の後になるでしょう。ディーセン教授、本当にありがとうございました。