8月11日追記。定員300名の会場は一杯になり活発な議論が交わされました。IWJによる録画です。
Peace Philosophy Centre, based in Vancouver, Canada (est. 2007), provides a space for dialogue and facilitates learning for creating a peaceful and sustainable world. ピース・フィロソフィー・センター(カナダ・バンクーバー 2007年設立)は平和で持続可能な世界を創るための対話と学びの場を提供します。피스필로소피센터(캐나다·밴쿠버 2007년 설립)는 평화롭고 지속 가능한 세계를 만들기 위한 대화와 배움의 장소를 제공합니다. 欢迎来到和平哲学中心!我们来自加拿大温哥华,我们致力于促进对话及建立可持续发展的和平世界。欢迎您留下宝贵的评论。Follow Twitter: @PeacePhilosophy / "Like" Facebook: Peace Philosophy Centre メールEmail: peacephilosophycentre@gmail.com
Wednesday, July 26, 2023
日中平和友好条約締結45年記念大集会のお知らせ China-Japan Peace and Friendship Treaty 45th Anniversary Symposium
Saturday, July 08, 2023
横浜での 「戦争の加害パネル展」8月26日ー9月3日開催(2023年)Japanese War Atrocities Panel Exhibit in Yokohama: August 26 to September 3, 2023
第8回 「戦争の加害パネル展」が今年も横浜「かながわ県民センター」で開催されます。主催は「記憶の継承を進める神奈川の会」今年は関東大震災後朝鮮人・中国人らの大虐殺という、日本人による史上最大規模のヘイトクライムの100周年であり、この展示会でも特集展や講演会があります。昨年私は訪問して大変感銘を受けました。万人坑(中国人強制労働)、毒ガス兵器、南京大虐殺、マレー侵略時の大虐殺、朝鮮人・中国人強制動員、日本軍「慰安婦」、満州への朝鮮人強制移住、731部隊、重慶無差別爆撃、沖縄戦と沖縄差別、ドイツと日本の戦後処理など、今年も大変豊富な内容のようです。大日本帝国の侵略戦争の本質を捉え、知らなかった歴史の事実を学ぶためにも今年もぜひ足を運びたいと思います。詳しくは下のポスターをご覧ください。
The 8th "Panel Exhibition on the War Atrocities" will be held again this year at the Kanagawa Prefectural Citizens' Center in Yokohama. This year is the 100th anniversary of the massacre of Koreans and Chinese after the Great Kanto Earthquake, one of the worst hate crimes of human history committed by Japanese. This year's exhibition covers a wide range of topics such as the forced labor and abuse, murder of Chinese people during the Japanese invasion of China, poison gas weapons, the Nanjing Massacre, the massacre during the Malay invasion, forced mobilization of Koreans and Chinese, Japanese military "comfort women," forced migration of Koreans to Manchuria, Unit 731, indiscriminate bombing of Chongqing, the Battle of Okinawa and discrimination against Okinawa, German and Japanese handling of war responsibilities, and more. For more information, please see the poster.
「ファクトチェック」というフェイク:『歴史地理教育』より転載 Fake in the Name of "Fact Check" -- from July 2023 Edition of History and Geography Education Journal
「ファクトチェック」というフェイク
乗松聡子
一九六〇年代から数々の戦争を取材してきたジャーナリスト、ジョン・ピルジャー氏は二二年七月、「サウスチャイナ・モーニングポスト」の取材に応え、ウクライナ戦争について「私は人生で今回ほど、西側メディアが情報を操作し好戦的になるのを見たことがない」と語った。ロシアの侵攻は支持しないが、西側報道には歴史的視点が全く欠落していると指摘した。
戦争への反省に基づく日本国憲法は、「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうに」と謳う。市民が「政府の行為」を唯一知りうる媒体である報道機関が、大本営発表をそのまま報じ、「戦争の惨禍」に加担したことへの反省があった。しかし今回の戦争について日本メディアは、西側メディアの Unprovoked(いわれのない) という枕詞に倣い、「独裁者プーチンが突然侵略した」という言説をそのまま流している。それでは日本の戦前に逆戻りだ。
1 同調せず事実を伝える者たち
それでも英語の言論界には、主要メディアが報道しない事実や異なる視点を発信する数々の学者やジャーナリストがいる。その一人であるシカゴ大学のジョン・ミアシャイマー教授は、ウクライナ紛争は「西側の責任」であると言い切る。「米国と欧州同盟国の狙いは、ウクライナをロシア影響圏から剥ぎ取り西側に編入すること」にあった。西側軍事同盟NATO(北大西洋条約機構)は、米国の「東方拡大せず」との約束を破りロシアの目前まで拡大した。〇八年のNATOブカレストサミットでは「ジョージアとウクライナの加入を歓迎する」とし、ロシアが容認できないといくら表明しても米国は一顧だにせず、核兵器とミサイル防衛基地配備で威嚇を続けた。米国は、ニ◯一四年二月にはネオナチ勢力を使って政権転覆を行った。これに危機感を抱いたクリミアとセバストポリ市は住民投票を行い、双方八〇%以上の投票率で九五%以上の圧倒的多数でロシア再編入の道を選んだ。
コロンビア大学のジェフリー・サックス教授も、この戦争は「ニ〇二二年二月ではなく一四年二月に始まった」と強調している。ロシア系住民が多い東部ドンバスの市民は一四年クーデター以降、NATO諸国から支援を受けた自国政府による圧政と武力攻撃に晒された。ウクライナ政府勢力とドンバスの武装集団との八年の内戦では一万四千人が亡くなっている(国連報告)。サックス教授は、米国ネオコン(新保守主義)が起こした戦争について「米英のメディアは完全に一方的な報道しかせず、プロパガンダを先導した」と批判した。「ミンスク合意」という和平合意があったが、今やメルケル前ドイツ首相やオランド前フランス大統領が認めているように、ウクライナ再軍備のための時間稼ぎに過ぎなかった。一九年に就任したゼレンスキー大統領も遵守する気は毛頭なかった。サックス教授はこの合意が西側の「フェイク」であったと言った。
2 責任ある言論を「フェイク」と呼ぶフェイク
「フェイク」とは「嘘」「偽物」「本物ではない」という意味だが、事実の伝達を妨害する言説全てが「フェイク」と言えよう。一九八〇年代「イラン・コントラ」事件報道などで知られたジャーナリスト、ロバート・パリー氏(二〇一八年死去)が、自らが設立した調査報道サイト「コンソーシアムニュース」でメッセージを遺している。氏が若い頃は取材において常に「別の意見」を報じることが期待されていたが、次第に「公式見解への疑問を封じることがジャーナリストの奇妙な義務になった」という。この傾向は二一世紀に悪化し、「欧米の主要な報道機関は、でっち上げの『フェイクニュース』や根拠のない『陰謀論』と、公式見解に異を唱える責任ある分析を混同するようになった。どちらも同じ釜に入れられ、軽蔑と嘲笑の対象になっている」と。ウクライナ戦争においてはまさしく、どれだけ客観的な調査や言論も西側のナラティブに沿わないものは「ロシアのプロパガンダ」と一蹴される現象が起こっている。これも一つのフェイクの手法だ。
3 真相究明を妨害するフェイク
重要な例を紹介する。二〇二二年九月二六日の「ノルドストリーム・パイプライン爆破」は衝撃的なテロ事件であった。ドイツにロシアの安価な天然ガスを提供するパイプラインは、欧州経済に欠かせない存在であり、米国は目の敵にしていた。バイデン大統領はロシア侵攻前に「パイプラインに終止符を打つ」と公言していた。爆破後にブリンケン国務長官は、ロシアの替わりに米国がガスを提供する「素晴らしい機会だ」と繰り返した。ロシアのパイプラインなのにロシアのせいにする声さえあった。
そんな中、二〇二三年二月八日に、正確な調査報道で定評のあるシーモア・ハーシュ氏が「米国はいかにしてノルドストリーム・パイプラインを破壊したのか」という記事を出した。記事は、バイデン政権が舵を取り、海軍のダイバーが二二年六月NATOの演習を隠れ蓑にして爆発物を仕掛け、三ヶ月後、ノルウェー海軍機がソナーブイで爆破させたと報じた。これが本当なら、米国は同盟国の基幹インフラを攻撃したということになる。それなのにドイツをはじめ欧州全体で怒りが噴出することもなかった。EU議会の左派議員クレア・デイリー氏は「誰がやったのかを調べる関心が全くないことに呆れる!」(二〇二三年二月一五日)と怒りを露にした。
調べるどころか、同年三月七日には米独が共同で火消しを図るかの如く同時に記事が出た。「ニューヨーク・タイムズ」は、「最新のインテリジェンスを検証した米国高官」の話として、民間の親ウクライナグループがやったという記事を出した。「ツァイト・オンライン」は、ポーランドの会社からレンタルしたヨットで「船長、潜水士二名、潜水助手二名、女医一名」のグループが「爆薬を事件現場に運び、仕掛けた」と報じた。このようなグループがどうやって水深八〇メートルにあるコンクリートに覆われたパイプラインを特定し、爆破できるのか。にわかには信じられない物語だ。
三月二七日、国連の安全保障委員会で、独立した国際的な調査委員会を設立するロシアの提案は否決された。これだけの重大事件の調査を米国は強硬に反対している。それはすでに答えを知っているからか、答えを出してほしくないか、あるいはその両方かしかないであろう。真相究明への妨害というフェイクである。
4 利益相反の「ファクトチェック」
このような動きにはSNSも加担している。二〇二三年四月一九日、フェイスブックがハーシュ記事を検閲していることが発覚した。記事をシェアしようとすると、「嘘のニュースを繰り返しシェアするページには制限がかかります」という脅しのような文句が出る。何よりも、現時点では最も論理的で詳細にわたるハーシュ氏の報道が「嘘」と決めつけられている。
フェイスブックが「ファクトチェック」として誘導するノルウェー語の「ファクティスク」というサイトには、事件へのノルウェーの関与を否定する記事が出てくる。しかしこのページには、国営メディアNRKが関与していた。ハーシュ記事で事件への関与を指摘されたノルウェー政府の息がかかったサイトには明らかに利益相反がある。客観的な「ファクトチェック」などできるはずがない。これは「ファクトチェック」という名のフェイクだ。昨年4月に米国政府が、ジョージ・オーウェルの「真実省」さながらの「偽情報統制委員会」を作ったことは記憶に新しい。これには批判が殺到して結局廃止された。
フェイスブックは他にも、ネオナチのアゾフ運動を、そのヘイトクライムや暴力性により禁止処置にしていたのに、ロシア侵攻後解禁するなど、西側の戦争に協力している。米国政府は現代人の情報収集には欠かせないグーグル検索やユーチューブ等IT大手を使い、政府を批判するジャーナリストや、ロシアやイランなど、米国が敵視している国々のメディアを次々と検閲してきた。これらの会社は米国政府から巨額の事業を請け負っており、癒着関係にある。
5 独裁化しているのは西側「民主主義」国家
ラテンアメリカを拠点に活動するジャーナリスト、ベン・ノートン氏は、これらの動きに触れ、「米国は、自由や民主主義を標榜し、中国やロシアの国内での検閲を批判しておきながら自分たちは世界中で検閲を行い『情報戦争』を展開している」と言う。いまや表現や報道の自由の制限が加速しているのは西側なのだ。
フランスの人類学者エマニュエル・トッド氏は、近著『第三次世界大戦はもう始まっている』(文藝春秋、二〇二二年)で、金権政治と格差が加速する西側はもはや自由民主主義とは言えず、逆に専制国家と言われている中国やロシアでは、大衆の意見を反映する民主主義が存在すると指摘している。今の世界の対立関係は、西側が言うような「民主主義陣営VS専制主義陣営」ではなく、「リベラル寡頭制陣営VS権威的民主主義陣営」であるとの見方だ。
米国を中心とする西側諸国が「ルールに基づく国際秩序」というときの「ルール」とは、米国ルールのことである。西側諸国が「国際社会」というとき、自分たちのことだけを指している。世界でロシアを制裁しているのは主にこの西側連合の国々であり、人口にしたら世界の十五%程度だ。他の圧倒的多数派は歴史的に西側諸国から搾取され続けてきた「グローバルサウス」の国々であり、西側に必ずしも同調していない。日本の報道にも顕著な、西側の基準が正しい国際基準であるかの如くの言説自体にバイアスがあることを知る必要がある。世界の現実を反映していないという意味からも、一種のフェイクなのである。
6 マッカーシズム再来
ノルドストリーム破壊事件について、バイデン政権が行ったという疑惑を追及していたのは米国メディアでは「フォックス・ニュース」のタッカー・カールソン氏であった。彼は右派であるが、米国のウクライナ戦争へ責任を問い、バイデン大統領の息子の汚職疑惑も追及し、巨大製薬会社がTVニュースを支配していると指摘した。事実を追求するという共通点で左派のゲストを招くことも多かった。二〇二三年四月二〇日には、民主党から大統領選出馬を表明したロバート・F・ケネディJr氏をゲストに呼び、大企業による政府の支配への痛烈な批判に耳を傾けた。そのカールソン氏が、四月二四日に突然解雇された。日本の安倍政権下で政府に批判的だったニュースキャスターが立て続けに降板させられたことを彷彿とさせる出来事だった。
「米国憲法修正第一条」は表現、報道、集会、信教の自由を保障する憲法条項である。今、修正第一条をかなぐり捨てたような言論と事実の弾圧は止めを知らない。同年四月一八日、「アフリカ人民社会主義党」の指導者ら四人の米国人はその政府批判活動に対し、「ロシアのプロパガンダを広め、米国の選挙に干渉した」として米国司法省により起訴された。米国では黒人の政治活動家が体制の標的にされてきた歴史がある。体制に反対する声をすぐ敵国のスパイであると嫌疑をかける「マッカーシズム」再来を懸念する声も上がっている。
中国敵視が強まっているカナダでも、中国政府が中華系カナダ人の政治家を利用して選挙に影響を与えているという報道が連日大きく扱われている。これもカナダの諜報機関筋の情報ということで、証拠も不十分なまま印象だけが肥大している。
7 戦争の最初の犠牲者は真実
二〇二三年四月初頭、英米のメディアが、ウクライナ戦争の現状に関する国防総省の極秘文書を、マサチューセッツ州空軍に属するジャック・テシェイラ氏が漏洩したと報じ、FBIが逮捕した。これらの文書は、ウクライナ軍の窮状、米国の直接参戦、米国によるロシアと同盟国に対する広範なスパイ活動等を明らかにしている。
今回の出来事で大きな意味を持つのはメディアの変貌だ。かつては、ベトナム戦争の機密文書をリークさせたダニエル・エルズバーグ氏に協力し、「ニューヨーク・タイムズ」や「ワシントン・ポスト」がスクープ記事を出した。イラク戦争における米軍の戦争犯罪等を暴いた「ウィキリークス」のジュリアン・アサンジ氏や、米国家安全保障局(NSA)による大量監視行為を内部告発したエドワード・スノーデン氏を、勇敢な発信者として位置づけるメディアも多かった。そのような西側の大手媒体がいまや、率先して告発者を悪人として叩き、当局に引き渡すような行為をしている。
「戦争の最初の犠牲者は真実である」という言葉がある。主要報道機関にジャーナリズムが存在しなくなっている今、市民が体制側のフェイクを見極める力を養い、抵抗していく必要がある。戦争を止めるために。
(のりまつ さとこ・ジャーナリスト)
Friday, July 07, 2023
必読!国連安全保障理事会でマックス・ブルメンタール氏が発言:私的利益をむさぼる少数の者たちが米国を支配し代理戦争を強行している。(全文日本語訳) Max Blumenthal addresses UN Security Council: Japanese Translation
米国の調査報道メディア『グレイ・ゾーン』のマックス・ブルメンタール氏が国連安全保障理事会で発言し、ウクライナ戦争の本質を完膚なきまでに言語化しました。ブルメンタール氏の許可を得てここに全訳を掲載します。翻訳は Deepl の力を借りました。(アップ後に翻訳は微修正する可能性があります)
原文中にはソースを示すハイパーリンクがたくさん張られていますがこの翻訳文には反映させていませんので原文を参照してください。
ツイッターで日本語字幕版の動画を拡散しているアカウントもありました。
‘Why are we tempting nuclear annihilation?’ Watch Max Blumenthal address UN Security Council
なぜ米国は核による全滅を誘導しようとするのか?マックス・ブルメンタールの国連安全保障理事会での演説を見る
https://thegrayzone.com/2023/06/29/nuclear-annihilation-max-blumenthal-security-council/
The Grayzone『ザ・グレイゾーン』のマックス・ブルメンタールは、国連安全保障理事会で、ロシアとの紛争をエスカレートさせたウクライナへの米国の軍事援助の役割と、キエフの代理戦争に対するワシントンの支援の背後にある本当の動機について演説した。
このプレゼンテーションの準備を手伝ってくれたワイアット・リード、アレックス・ルービンシュタイン、アーニャ・パランピルに感謝する。ワイアットは、2022年10月にドネツクで彼が泊まっていたホテルがウクライナ軍の米国製榴弾砲の標的になったジャーナリストとして、このテーマについて直接体験している。彼は100メートル離れたところで攻撃を受け、瀕死の重傷を負った。
私の友人である公民権活動家のランディ・クレディコも今日、私とここにいる。彼は最近ドネツクに滞在し、ウクライナ軍による民間人を標的とした定期的なハイマース(訳者注:米国製の高機動ロケット砲システム)攻撃を目撃することができた。
私は、20年以上にわたって複数の大陸で政治と紛争を取材してきたジャーナリストとしてだけでなく、自国政府に引きずられ、同胞の福祉を犠牲にして地域と国際の安定を脅かす代理戦争に資金を提供することになったアメリカの一市民としてここにいる。
6月28日、アメリカでまたしても、今回はモンタナ川で発生した有毒な列車脱線事故(それはこの国の慢性的なインフラの資金不足とそれが我々の健康にもたらす脅威をさらに明らかにした)に緊急作業員たちが処理にあたっている間に、国防総省は、ウクライナに5億ドル相当の軍事援助を追加する計画を発表した。
これはウクライナ軍が自慢の反攻作戦を開始してから3週間目に入ったところで出てきた動きだ。この反抗作戦については、CNNは「期待に応えられていない」とし、ヴォロディミル・ゼレンスキーでさえ 「思ったよりも進行が遅い」と述べている。
ウクライナ軍がロシアの主要防衛線を突破できなかったため、CNNは6月12日までに、キエフに送られた米国製の装甲車16台を「失った」と報じた。
それで国防総省は何をしたのか?ウクライナの浪費された軍備を交換するために、私のような平均的な米国の納税者にさらに3億2500万ドルを請求してきたのだ。この件に関してアメリカ国民の意見を聞く試みはまったくなく、大多数のアメリカ人はこのやり取りが行われたことすら知らなかっただろう。
今述べたアメリカの政策とは、自国の国内インフラが目の前で崩壊する一方で、政府が外国の核保有国との代理戦争に無制限の資金提供を優先させるというもので、ウクライナ紛争の核心にある不穏な動きを露呈している。つまり、欧米のエリートが、一般市民が苦労して稼いだ富を奪い取り、西側が支援する団体「トランスペアレンシー・インターナショナル」でさえ「ヨーロッパで最も腐敗している」と評価する外国政府(訳者注:ウクライナのこと)の財源に注ぎ込むことを可能にする、国際的なねずみ講的詐欺である。
アメリカ政府は、ウクライナへの資金提供について公式な監査を行っていない。アメリカ国民は、自分たちの税金がどこに消えたのか知らない。
そこで今週、『グレーゾーン』は、2022年と2023会計年度を通じてウクライナに配分された米国税に関する独立監査を発表した。我々の調査は、元軍事情報将校であり、アフガニスタンとイラクにおける米国の戦争の退役軍人であるヘザー・カイザーが主導した。
その中で我々は、米国社会保障庁からキエフ政府への448万ドルの支払いを発見した。
また、ウクライナの国家債務返済のために、米国国際開発庁から45億ドル相当の支払いがあったことがわかった。その債権の多くは世界的な投資会社「ブラックロック」が所有している。
これだけでも、アメリカ国民の10人に4人が400ドルの緊急医療費を支払う余裕もない時代に、国民全員から30ドルも巻き上げられていることになる。
さらに、トロントのテレビ局、ポーランドの親NATOシンクタンク、そして信じられないかもしれないが、ケニアの地方農家の予算が、ウクライナに充てられた税金で水増しされているのを発見した。
ジョージア共和国の企業を含む非公開企業への数千万ドル、キエフの個人起業家への100万ドルの支払いも見つかった。
我々の監査はまた、国防総省が「アトランティック・ダイビング・サプライ」という会社と450万ドルの契約を結び、ウクライナに不特定の爆発物を提供していたことも明らかにした。この会社は以前、上院軍事委員会のトム・ティリス委員長が 「詐欺の歴史」があるとして非難した、悪名高い腐敗企業である。
しかし、議会はまたしても、このような疑わしい支払いや巨額の武器取引が適切に追跡されていることを確認できていない。
実際、ウクライナに送られた軍事援助や人道援助の多くは消えてしまった。昨年、『CBSニュース』はウクライナの親ゼレンスキー派NPOのディレクターの話を引用し、ウクライナの前線に届いている援助はわずか30%程度だと報告した。
資金や物資の横領は、少なくとも軍用兵器の不正な移転・販売がもたらす潜在的な結果と同じくらい厄介だ。昨年6月、国際刑事警察機構(インターポール)のトップは、ウクライナへの武器の大量移送は、「ヨーロッパとそれ以外の地域への武器の流入が予想される」ことを意味し、「犯罪者たちは今こうしている間にも、これらの武器に注目している」と警告した。
今年5月、ウクライナ政府から支給された装備で身を固めた反クレムリン派のロシア人ネオナチ集団が、アメリカ製のハンヴィー(高機動多目的装輪車)を使ってロシア領内でテロ攻撃を行ったとして、西側の政治家たちから称賛された。いわゆる 「ロシア義勇軍 」と呼ばれるこの集団は、自らを 「ホワイト・キング」と称する男が率いており、アドルフ・ヒトラーを公然と敬愛する者も多数含まれているが、ロシア軍に対するこの民兵集団を西側諸国が武器化していることについて、議会から何の反発も出ていない。
バイデン政権は、送られた兵器についてはしっかり管理していると約束しているが、昨年12月にリークされた国務省の公電は、「ウクライナ軍とロシア軍の間の動きと活発な戦闘は、標準的な検証手段が時には実行不可能か不可能な環境を作り出している」と認めている。
バイデン政権は、ウクライナに輸送している兵器を追跡できないことを知っているだけでなく、世界最大の核保有国に対して代理戦争をエスカレートさせていることも知っているし、ウクライナにそれなりの対応をするようあえてけしかけているのだ。
政権がそういう認識であることは明白だ。2014年、バラク・オバマ大統領がキエフに攻撃用武器を送るという要求を拒否したのは、『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙が言うように、「ウクライナを武装させれば、モスクワを刺激してさらにエスカレートし、ワシントンを代理戦争に引きずり込むことになりかねないという長年の懸念」があったからだ。
2017年に大統領に就任したドナルド・トランプは、オバマの政策に一線を画そうとしたが、レイセオンのジャベリン・ミサイルをウクライナ軍に送ることを拒否したことで、ワシントンの記者団や民主党からすぐにロシアの操り人形の烙印を押された。トランプがジャベリンの送付を渋ったことは、弾劾の根拠の一部とされた。驚きではなかったが、トランプは譲歩した。
米国製の攻撃兵器がドンバスの最前線に到達し始めると、西側諸国はミンスク合意を悪用して、ドイツのアンゲラ・メルケル元首相が言ったように、ウクライナに武装する「時間を与える」ことにした。
2022年1月、米国はウクライナへの2億ドルの武器供与を発表した。2月18日までに、欧州安全保障協力機構(OSCE)のオブザーバーは、停戦違反が倍増していることを報告した。OSCEの地図によると、ドネツクとルガンスクの親ロシア分離主義者側が標的となった場所が圧倒的に多い。その5日後、ロシアはウクライナに侵攻した。
それ以来、アメリカとその同盟国は機会あるごとにエスカレーションの階段を駆け上がってきた。
「エスカレートさせる武器だからということで1月に送ることができなかった武器は2月には送ることができるようになった」と、ウクライナ側との会合を終えた国務省職員は言った。「そして2月には送れなかったものが4月にはできてしまう。これがパターン化している。スティンガーをはじめとして、どうしようもない!」と、彼らは肩に装着するミサイルのことを指して言った。
ジョー・バイデン大統領自身、2022年3月にこう語っている。「攻撃的な装備を送り込み、飛行機や戦車を保有するという考えは......ごまかしはきかない。どう呼んだって、それは第三次世界大戦という意味だ」と。
アメリカからハイマースシステムを受け取ってからウクライナ軍が重要インフラを標的にし始めるまで、わずか2カ月しかかからなかった。ドニプロ川に架かるアントノフスキー橋を攻撃するためにハイマースを使用し、その2カ月後には「ロシアの横断を阻止するためにドニエプル川の増水が可能かどうかを確認する」ためにカホフカ・ダムを試験攻撃した、と『ワシントン・ポスト』紙は報じている。
3週間前、カホフカ・ダムが破壊され、大規模な洪水と地元水源の汚染を引き起こし、大きな環境破壊を引き起こした。ウクライナはもちろん、この攻撃をロシアのせいだと非難しているが、何の証拠も示していない。
またこの頃、ウクライナはロシアがザポリツィア原発で挑発行為を計画していると、根拠のない非難をした。これが引き金となり、リンジー・グラハム上院議員とリチャード・ブルメンタール上院議員(私とは無関係)は、このような事件が起きた場合、NATOがウクライナに直接介入し、ロシアを攻撃することを求める決議案を提出した。
ブルメンタールとグラハムによるこの動きは、シリアで設定されたレッドラインと同様、アメリカの軍事行動を開始するための事実上のレッドラインを確立した。元米外交官がジャーナリストのチャールズ・グラスに語ったように、「偽旗への公然の招待状」であった。
ドゥーマ(訳者注:シリアが化学兵器を使ったとされる疑惑で米国がミサイル攻撃を正当化した)の手口が、今度はザポリツィアで見られるのだろうか?
アメリカはなぜこんなことをするのか?なぜウクライナに高度な兵器を溢れんばかりに送り続け、交渉をことごとく妨害することで、核による全滅を誘導しようとするのか?
私たちは、ディック・ダービン上院議員のような人々から、ウクライナは「文字通り、自由と民主主義そのものを守る戦いの中にある」のだから、バイデン大統領が言ったように、「必要なだけ」武器を供給しなければならないと言われてきた。ウクライナへの軍事援助に反対する者は、この論理によれば、民主主義の防衛に反対しているということになる。
では、ヴォロディミル・ゼレンスキーはどうなのか。野党を禁止し、正当な野党のメディアを違法化し、野党のトップを投獄し、彼の部下たちを一斉検挙し、ロシア正教会を家宅捜索し、聖職者たちを逮捕したといった決定のどこに民主主義があるのか?
ウクライナ政府が、アメリカ市民であるゴンザロ・リラを、戦争に関する公式見解に疑問を呈したとして投獄したことのどこに民主主義があるのか?
戒厳令が発令されたという理由で2024年の選挙を停止するというゼレンスキーの最近の決定のどこに民主主義があるのだろうか?最近はウクライナに民主主義を見つけることは、突然いなくなった軍最高司令官、ヴァレリー・ザルジニーを見つけるよりも難しいようだ。
グラハム上院議員は、ウクライナに何十億ドルもの武器を供給する根拠として、もっと厳しい、そして的を得ている根拠を提示している。最近、キエフでゼレンスキーと面会した際に同議員がこう自慢した。「ロシア人はどんどん死んでいる。我々がこんなに上手に使った金はなかった。」
グラハムは、われわれアメリカは、この戦争を「最後のウクライナ人まで」戦わなければならないとも言っている。公式の死傷者数は厳重に機密扱いにされているが、ウクライナではグラハム議員の残酷な妄想が実現しつつあることを懸念しなければいけない。
今月、ウクライナの兵士が『バイス・ニュース』に訴えた。ゼレンスキーの「計画が何なのかはわからないが、自国民の絶滅のようだ。戦闘可能な労働年齢人口の全滅作戦のような。まさしくそれだ」と。
実際、ウクライナの兵隊墓地は、ロッキード・マーチン、レイセオンなど、第二次世界大戦後2番目に高い軍事費から利益を得ている軍需産業の幹部たちのバージニア州北部の豪邸街やビーチフロントの邸宅群と同じくらい急速に拡大している。
この者たちがウクライナ代理戦争の真の勝者である。平均的なウクライナ人でもアメリカ人でもない。ロシア人でも西ヨーロッパ人でもない。
その勝者とは、オバマ政権とバイデン政権の間に「ウェストエグゼク・アドバイザーズ」というコンサルティング会社を立ち上げ、諜報機関や兵器産業に有利な政府契約を獲得したトニー・ブリンケン国務長官のような人々である。ブリンケンの「ウェストエグゼク・アドバイザーズ」の元パートナーには、国家情報長官アヴリル・ヘインズ、CIA副長官デビッド・コーエン、元ホワイトハウス報道官ジェン・サキ、そしてバイデンの国家安全保障チームの現・元メンバー12人近くが含まれている。
ロイド・オースティン国防長官は、レイセオンの元役員であり、将来もまた役員になる可能性がある。また、ウェストエグゼクと協力関係にあり、ブリンケンが顧問を務める「パインアイランド・キャピタル投資会社」の元パートナーでもある。
一方、現在の米国国連大使であるリンダ・トーマス・グリーンフィールドは、オルブライト・ストーンブリッジ・グループ(自称 "商業外交会社")の上級顧問として名を連ねている。この会社は故マデレーン・オルブライトが設立したもので、彼女はアメリカの制裁体制下で50万人のイラクの子供たちを死なせたことは "それだけの価値がある "と言った悪名高い発言で知られる。
つまり、ウクライナの中年男性たちが憲兵によって路上から拉致され、最前線に送られる一方で、この代理戦争の資金的・政治的につながりのある立役者たちは、バイデン政権での任期が終われば、回転ドアをくぐって想像を絶する利益を得ようと画策しているのだ。
彼らにとって、この領土問題を交渉で解決することは、ウクライナに対する1500億ドル近いアメリカの援助という「金のなる木」の終焉を意味する。
国連安全保障理事会の常任理事国であるアメリカ合衆国が、「必要な限り」代理戦争を続けようとする政府(訳者注:バイデン政権)の支配下に入ったとき、バイデンが言ったように「ルーブルを瓦礫に変える」一方的な強制措置(訳者注:経済制裁のこと)を外交であると取り違えた政府に支配されているとき、その指導者が利益を追求するために交渉を破壊する一方で、自国民が何に対して金を払わされているのかをきちんと知らせようとしないとき、地政学上のライバルを打ち負かすために、仲間であるはずのウクライナ人の息子たちや兄弟たちを殺戮の場に押し出すとき、ゼレンスキーも米国議会の議員も、国連憲章第51条の精神に反するロシアへの先制攻撃を求めているとき、安全保障理事会は憲章を実施するための行動をとらなければならない。
同憲章の第6章第33条から第38条は、安全保障理事会は、特に国際安全保障を脅かすような紛争が発生した場合、その平和的解決を保証するためにその権限を行使しなければならないと明言している。それはロシアとウクライナだけに適用されるべきではない。安全保障理事会には、米国と、NATOという違法な軍事組織を厳しく監視し、牽制する義務がある。
ありがとうございました。
(翻訳以上)