(8月30日追記。文科省の計算のからくりを示す『学校において受ける線量の計算方法について』の存在をコメント欄で読者から教えてもらいました。コメント欄に全文転載しております。)
学校の毎時3・8マイクロ・シーベルト基準廃止という報道が流れている(下記参照)。
「夏休み明けは学校で子どもが受ける放射線量を原則として年間1ミリシーベルト以下とし、この目標を達成するための新たな目安を1時間当たり1マイクロシーベルト未満にすること」(NHK)とある。
数字の「1」さえ使えば聞く方は安心するとでも思っているのだろうか。計算が合わない。小学生だっておかしいと思う数値だ。
毎時1マイクロシーベルトはそのまま年に換算すれば8.76ミリシーベルトである。当初文科省は一日屋外8時間、屋内16時間、屋内は屋外の4割の放射線量という仮定で毎時 3.8マイクロシーベルトの校庭の場合年間20ミリSVである、というこじつけ的な計算をしていた。今回の「新基準」とやらで、屋外毎時1マイクロシーベルト、屋内毎時0.4マイクロシーベルトとして、同じ計算式を適用しても年間5ミリシーベルトとなる。
屋外8時間、屋内16時間(屋内は屋外の4割)の計算で1年1ミリシーベルトに抑えるには、屋外の線量は毎時0.19マイクロシーベルトでなければいけない計算になる。一体どうこじつけたら毎時1マイクロシーベルトが年間1ミリシーベルトになるのかわからない。
私が文科省の役人でこじつけを命じられたら、子どもは学校にいる間の外部被曝しかしない、というあり得ない仮定をして、たとえば学校にいる約6時間のうち1時間は校庭活動をし5時間は校舎の中にいるとしてみたら、できた!屋外毎時1μSVでも年間1ミリSVを達成できる。あとはメディアにごまかし報道をさせればいい。
実際のこじつけをどうやっているかは文科省の書類を見ればわかるのだろう(まだ見つからない)が、校庭が毎時1マイクロシーベルトの学校を国の費用で除染するなど、5月末に「年1ミリSVを目指す」と言った時点で約束していたことだ。今回の「新基準」とやらは、追加費用をかけず追加避難もさせず追加責任も取らず何か進んだことをしているかのように見せかけるペテンとしか思えない。
こんな小細工をしかけて、内外からの20mSV避難基準に対する批判をかわし市民を騙そうとしているのなら断固許せない。子どもの命を何だと思っているのか。プラス、読む人に全く理解できない、計算の合わない数値をそのまま流すメディアの批判能力の欠如は手のつけようがない。忙しい人はササっと読んで、「ああそうか、政府も子どもの健康を考えているのだな」と思ってしまう。みなさん、だまされないように。
本日、アメリカの医師団体IPPNW(核戦争防止国際医師会議)が菅首相宛てに公開書簡を送った。全文はここにある。ここにはまさしく、
We remain profoundly concerned that the 20 mSv annual radiation dose limit for members of the public, including children and pregnant women, set by your government in April, unfortunately represents the greatest willingness to accept radiation-related health harm for the general population of any government around the world in recent decades. As physicians, we have an ethical responsibility to state that such a level isと書かれている。IPPNWは、4月29日にも高木文科相に書簡を出し「福島の子どもたちの被曝許容量は有害であり、保護義務を放棄している」と訴えている。アメリカの「社会的責任のための医師の会」(PSR)は、4月26日にワシントンで会見を開き、「日本政府が子どもの被曝限度引き上げたことは衝撃的」と述べている。その後5月27日に文科相は「年間1ミリシーベルト」を目指すとし、国の負担で校庭の除染などを進めてきたが、この20ミリシーベルトの避難基準を変更したわけではない。
associated with unacceptable health risks where these can be avoided.
「我々は、あなたの政府が4月に設定した、子どもや妊婦を含む一般市民の年間被曝限度20ミリシーベルトが、この数十年のうち世界中の政府が設定した基準値の中でも、最も公衆を放射線による健康被害にさらすことを容認するものであることに対し、深い懸念を抱き続けています。我々は医者として、このようなレベルの放射線量は、とても許容できない健康被害のリスクをはらんでいるということを訴える倫理的な義務があります」
このIPPNWから菅首相への書簡の日本語版がもうすぐ発表されるのでそのときにまた投稿します。(8月27日追記:26日に投稿しました。「IPPNW(核戦争防止国際医師会議)から日本政府へ勧告:「国際的に最善といえる水準の放射線防護策を実施するには、いっそうの避難が必要」 IPPNW Advises Japan: "We see no alternative but that additional evacuations will be required to implement best-practice international standards of radiation protection."」 )
参考報道
NHK(以下、8月27日追記分。ツイッター@PeacePhilosophyで書いたもの)
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110824/t10015110761000.html
学校の放射線量に新たな目安
8月24日 12時31分
東京電力福島第一原発の事故を受けて示された学校での屋外の活動を制限する放射線量の目安について、文部科学省は年間の積算で20ミリシーベルト未満とする数値を廃止することを決め、新たな目安を年間1ミリシーベルト以下とすることを福島県に通知することになりました。
福島県の学校や幼稚園などの屋外での活動を制限する目安の放射線量については、文部科学省がことし4月、年間20ミリシーベルト未満、1時間当たり3.8マイクロシーベルト未満という数値を示していました。その後、福島県内の学校などでは、放射線量を下げるために校庭の土を取り除く作業が進み、現在は、すべての学校で1時間当たり3.8マイクロシーベルトを下回っていることなどから、文部科学省はこの目安を廃止することを決めました。そのうえで、夏休み明けは学校で子どもが受ける放射線量を原則として年間1ミリシーベルト以下とし、この目標を達成するための新たな目安を1時間当たり1マイクロシーベルト未満にすることにしています。また1マイクロシーベルトを超えても屋外活動を制限する必要はないとしていますが、速やかに除染対策を行うことが望ましいとしています。文部科学省は新たな目安について今月26日にも福島県に通知を出して周知を図ることにしています。
読売新聞
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110824/t10015110761000.html
学校の毎時3・8マイクロ・シーベルト基準廃止
政府は、学校での屋外活動を制限する放射線量としてきた毎時3・8マイクロ・シーベルトの基準を廃止し、今後は同1マイクロ・シーベルトを目安に校庭などの除染を進める方針を固めた。
基準線量が高すぎるとの批判や、福島県内外で独自に除染が進められている状況を受けたもので、事実上これまでの「安全値」を見直す形だ。文部科学省は、子供が学校で受ける積算線量を年間1ミリ・シーベルト(1000マイクロ・シーベルト)以下に抑えることを目指し、除染費用を支援する。
毎時1マイクロ・シーベルトは、年間の積算放射線量が1ミリ・シーベルトを超えない目安と位置づけ、屋外活動を制限する新たな基準とはしない方針。年間1ミリ・シーベルトは、平常時に自然界や医療行為以外で浴びる線量の限度とされる。
(2011年8月24日03時04分 読売新聞)
共同通信
http://www.47news.jp/CN/201108/CN2011082401000414.html
屋外活動で放射線量に新基準 政府、学校など除染支援
政府が、小中学校や幼稚園での屋外活動制限の放射線量としていた毎時3・8マイクロシーベルトの基準を廃止し、毎時1マイクロシーベルトを新たな目安とし、学校などの除染を支援する方針であることが24日、分かった。
文部科学省は「年間1ミリシーベルトを目指す」とする目標を示しており、これに対応した措置。1ミリシーベルトは一般人の年間被ばく線量の限度とされる。近く開かれる原子力災害対策本部の会合で正式に決める。
政府は、国際放射線防護委員会の被ばく線量の基準に従い、これまで年間20ミリシーベルトを超えないように毎時3・8マイクロシーベルトと設定。しかし生徒・児童らの被ばく線量を年間20ミリシーベルトを目安に算定していたことに批判があった。
先日問題にした「政府が学校の放射線に新目安」報道は計算が合わないという件http://peacephilosophy.blogspot.com/2011/08/blog-post_24.html と、その元になる文科省通知「福島県内の学校の校舎・校庭等の線量低減について」http://radioactivity.mext.go.jp/ja/8849/8850/8864/1000_082614_1.pdf は見つかった。
暫定的に毎時3.8μSVが校庭活動制限基準だったが今後「夏季休業終了後,学校において児童生徒等が受ける線量については,原則年間1mSv以下(※3)とし,これを達成するため,校庭・園庭の空間線量率については,児童生徒等の行動パターン(※4)を考慮し,毎時1μSv未満を目安」と。
「夏季休業後」というのがまず問題だ。多量の被ばくをした3月を含め、1学期を考慮しないという意味である。お役所は勝手にそうやって基準を「リセット」できるが、被ばくしてしまった子供たちの体は「リセット」なんてできない。そして問題点がこの通知の注記(3)(4)にある。
「※3 学校での内部及び外部被ばくを含み,自然放射線による被ばく及び医療被ばくは含まない。また,夏季休業終了後からの数値とする。 ※4 学校への通学日数を年間200日,1日当たりの平均滞在時間を6.5時間(うち,屋内4.5時間,屋外2時間)とする。」
学校での被ばくしか考えていないということは、子供たちが学校外でする被ばくには責任を持ちませんよということだ。4月19日通達では少なくとも屋内16時間、屋外8時間と、一日に子どもは24時間生きて空気を吸っているということを認めているが、今回は計算を合わせるために基準を改悪した。
「学校での内部および外部被ばくを含み」と簡単に言って、「内部被ばくを考慮していない」との批判をかわそうとしているように聞こえるが、子どもの学校での内部被ばくなどわかるのか。空間線量からの推測をしようとしているのだろうが数式もない。給食からの内部被ばくなど考慮してないだろう。
あとは、問題にしてきた、毎時1μSVがどうしたら年間1mSVになるのかという計算だ。4・19通達では木造校舎での屋内を屋外の4割の被ばくとするという仮定があったが、今回の通達にはそれさえ見当たらない。この書類だけでは計算できる情報を出さず、人に胸張って出せる計算でないことがうかがえる。
4・19通達と同じ、屋内が屋外の4割の被ばくと想定すると、注記(4)の、屋外2時間、屋内4.5時間、年間200日の登校で外の線量が毎時1μSVの場合(1 μSV X 2 hours + 0.4 μSV X 4.5 hours) X 200 = 760 μSV (0.76mSV)
初期の大量被ばくはなかったことにして、学校にいるときだけの被ばくで、外部被ばくだけで、毎時1μSVの場合、年間0.76mSVなので、1mSVを下回るということか。子どもたちは学校にいない長時間の外部被ばくと全内部被ばく合計を年間0.24mSVに抑えなくてはいけなくなる。
こんな数のつじつまだけ合わせ、「今後の対応」なんてよくも言えたものだ。悪質な印象操作で、現状はそのままで、年1ミリが達成できるような幻想を与えようとしている。それを鵜呑みにしてメディアも報道している。本当にこの国は子どもの命などどうでもいいのか。
下記にTWしてきた件でAFPの英語記事発見。http://www.japantoday.com/category/national/view/japan-cuts-radiation-exposure-limits-for-children 「日本は子どもの被ばく限度を引き下げた」とある。文中には年1ミリシーベルトに引き下げたと書いてある。こんな誤解を招く記事が海外に出ては大問題だ。
(以下、8月29日追記。)
毎日の報道を見た。
http://mainichi.jp/select/science/news/20110826k0000e040048000c.html (下方貼り付け)
毎日「夏休み終了後に福島県内の児童生徒らが学校で受ける線量は、通学日数200日、1日当たりの滞在時間6.5時間(屋内4.5時間、屋外2時間)の条件で、校庭などの線量を毎時1マイクロシーベルトとした場合、給食などの内部被ばくを含めても年間0.534ミリシーベルトとの推計」
前記は文科省の書類にはないので、記者会見で文科省が発表した内容であると察する。以前も書いたが、内部被ばくをどう予測してるのか。「給食での内部被ばく」は当たり前だが文科省が口頭でも認めたとしたらえらいことだ。私は、外部線量から予測した吸引による内部被ばくのことだと思っていた。
いずれにせよ内部被ばくも加味して年0.534ミリなど、計算のプロセスを見せてもらえなければ絶対信用できないし、自信を持って人に提示できるような計算をしているのなら文科省も書類に書くと思うし記者会見でも言うだろう。記者会見で計算式を提示するように誰も問い詰めなかったのだろうか。
とりあえず、内部被ばくの計算式がどうだったのかを脇に置いておいて、この「年0.534ミリ」から逆算して屋内と屋外の比率をどう前提しているのかはわかるだろう。
(1x2 + X x 4.5) x 200 = 534 のXを割り出せばいい。
計算すると、 X = 0.14888...となる。少数二ケタで四捨五入して、0.15。1に対する0.15の割合は当然ながら同じ0.15。屋内被ばくを屋外の15%とみなしている計算だ。これは4月19日時点での文科省による木造校舎内被ばくの屋外に対する比率の推定、40%より随分低く見積もっている。
311から今までの間に福島の学校の校舎を全部鉄筋コンクリートに作り替えたとでもいうのだろうか。この数字に内部被ばく分も入っていると主張しているのだから呆れる。これは断固、文科省に追及すべき問題だ。
参考報道 毎日新聞
http://mainichi.jp/select/science/news/20110826k0000e040048000c.html
学校放射線量:毎時3.8を1マイクロシーベルト未満に
文部科学省は26日、東京電力福島第1原発事故を受け福島県内の学校などで屋外活動を制限する放射線量の基準値毎時3.8マイクロシーベルトを廃止し、校庭などで受ける線量の目安として毎時1マイクロシーベルト未満とする方針を同県など全国に通知した。児童生徒らが学校で受ける線量は原則年間1ミリシーベルト以下に抑制する。毎時1マイクロシーベルトを超えても「屋外活動を制限する必要はない」とし、局所的に線量が高い場所の除染で対応する。
現状では政府の指示で住民が避難した地域以外で積算線量の予測値が年間1ミリシーベルトを超える学校などはなく、暫定基準値の役割が終わったと判断。夏休み終了後に福島県内の児童生徒らが学校で受ける線量は、通学日数200日、1日当たりの滞在時間6.5時間(屋内4.5時間、屋外2時間)の条件で、校庭などの線量を毎時1マイクロシーベルトとした場合、給食などの内部被ばくを含めても年間0.534ミリシーベルトとの推計を示した。
文科省は4月19日、国際放射線防護委員会(ICRP)の声明を参考に、夏休み終了までの放射線量の目安を年間1~20ミリシーベルトとし、上限値から逆算した毎時3.8マイクロシーベルトを超えた場合に屋外活動を1時間に制限する基準を設けた。だが、「影響を受けやすい子どもには高すぎる」と基準を批判した内閣官房参与が辞任するなど混乱が広がったことを受け、文科省は5月27日、基準を維持しながら、今年度に児童生徒らが学校で受ける放射線量について年間1ミリシーベルト以下との目標を新たに設定していた。【木村健二】
ツイッターでフォローさせて頂いています、@akanetwitです。いつも同意しつつ、また、貴重な情報提供に感謝しております。
ReplyDeleteこの不可解な「計算」について、ツイート(「やった!」という、こじつけ計算解明の)で、文科省文書からの資料をお探しと知り、私も知りたくて探してみましたが見つからず。でも、多分これの取り込み(または変形)だろうという、素晴らしく?姑息な、守谷市の例を、怒りで解説しているブログ記事を見つけました。
【3.11東日本大震災後の日本】/モバイル 6/10 / http://bit.ly/mts610
年間200日、間違いなくこの論理と思えます。
(上記はテキストのみで読めるので敢えてモバイルバージョンのURLをご紹介。PCでこれを読むなら画面サイズを横幅詰めるか、または、
PC版URLブログTOP http://bit.ly/tsokdb から、カレンダーで6/10記事へ)
akane さん
ReplyDelete素晴らしい情報提供をありがとうございます。この守谷市のこじつけを記載しているブログよりここに転載します。
以下このブログより引用
http://tsukuba2011.blog60.fc2.com/?mode=m&no=226
「さて、ここまでは守谷市のHPからの抜粋でいいところを書いてきましたが、今度は??なところです。
『<年間1ミリシーベルトは学校のみの線量目安です>
「年間1ミリシーベルト以下を目指す」とは,学校生活(通学・部活動を含む)において,年間1ミリシーベルト以下を目指すことを意味します。
簡易な試算として,校庭が毎時1マイクロシーベルト,通学路も毎時1マイクロシーベルトとした場合,児童生徒が屋外の空間線量率を1/10にするコンクリート造りの校舎内に5時間,屋外で部活を含む4時間を過ごし,年間200日学校へ通うと想定した場合でも,学校で受ける児童生徒の積算線量は年間1ミリシーベルト以下(巻き上げた砂埃の吸引等内部被ばくを勘案しても同様)になることから,国際放射線防護委員会の事故収束後の参考レベル,年間1~20ミリシーベルトの最小値に近づけるとしたものです。 』
これを読んで何人の人がわかるでしょうか?私にはこれではさっぱりわかりません。文科省が以前3.8μSv/hを算出したときも、ちゃんと途中の計算式を書いてありました。
皆さんのほとんどもわからないでしょうから、ここに与えられた情報から計算してみましょう。
まず、「6/7 学校の20mSv/年の基準をめぐる騒ぎについて おまけ」でも紹介したように、年間1mSvをμSv/hになおすと、単純計算では、1000μSv÷365÷24=0.114μSv/hになります。ここの例に合うように1μSv/hとすれば、1×24×365=8760μSv/年=8.76mSv/年です。
しかしここでは、そういう計算をしないでいかにして児童が受ける放射線量を少なく見せて1mSv以下にするか、という姑息な計算が入ってきています。
仮定として、校庭、通学路は1μSv/hとしても、校内はコンクリート造りなので1/10で0.1μSv/hになるという試算です。200日とわざわざ書いてあるので、365日ではなく200日だとしたいのでしょう。校庭で過ごす時間を5時間、校内を4時間としているので、ここの表現にあったように計算してあげましょう。
0.1×5+1×4=4.5μSv これが一日です。
年間200日なので、4.5μSv×200=900μSvで1mSvよりも低い、だから1μSv/hであっても1mSv以下になるという信じられない理屈を作り上げています。
なぜ1μSv/hを例として出したかというと、『校庭の線量減少のための対応をすることが合理的と考えられる線量目安が毎時1マイクロシーベルト以上であると説明がありました。』という説明をするために、1μSv/h以下であれば問題ない、何もしなくてよいという理由をこじつけるためなのです。
ですが、よく上の試算を見てください。一応『(巻き上げた砂埃の吸引等内部被ばくを勘案しても同様)』と書いてあるので、内部被ばくも考えているというふりはしていますが、ここで考慮に入れているのは下記の時間の外部被ばくだけです。
一日のうち、学校に行って帰ってくるまでの9時間のみ。あとの15時間は一切被ばくなし。
1年のうち、学校に通う日数が約200日(これはだいたい合っています)で、それ以外は一切被ばくなし。
このような信じられない前提を置くと、初めて1μSv/hでも年間1mSv以下になるというとんでもない数値が導き出されるのです。これってあまりにも人をバカにしていると思いませんか?」
(引用おわり)
文科省もこの数式を使っている可能性がありますね。福島市のどれだけの学校が鉄筋コンクリートなのでしょうか。いずれにせよ学校でしか被曝しない、外部被爆しかしないというあり得ない前提を元にしているのでとても受け入れられるものではありません。
フォロアー数人からも指摘がありましたが、そもそも毎時0.6μSVで「放射線管理区域」なのです。この数式を認めたら、18歳未満の人は働いてはいけない放射線管理区域で子どもたちは学校に通っていいのだということになってしまいます。
基調な情報感謝します。
いつも貴重な情報をありがとうございます。毎日新聞が報じた「年間0.534ミリシーベルトとの推計」というのは、文科相が26日に「通知」とともに発表した「学校において受ける線量の計算方法について」での試算結果の引用だと思います。
ReplyDeletehttp://radioactivity.mext.go.jp/ja/8849/8850/8864/1000_082614_2.pdf
http://radioactivity.mext.go.jp/ja/8849/8850/8864/1000
ReplyDeleteこの書類は見えていませんでした。からくり計算の詳細が記述されていますね。
記録のためにも文科省のからくり計算書を全文ここに転載しておきます。
ReplyDeletehttp://radioactivity.mext.go.jp/ja/8849/8850/8864/1000_082614_2.pdf
学校において受ける線量の計算方法について
夏季休業終了後、学校において児童生徒等が受ける線量(学校での内部
及び外部被ばくを含み、自然放射線による被ばく及び医療被ばくは含まな
い。)については、児童生徒等の行動パターンを考慮すると、下記の式から
推計される。
① 学校における外部被ばく分は、
(A×T1+B×T2)×D/1000(mSv/年) で推計される。
A:校庭・園庭の空間線量率(μSv/時)
B:学校の屋内の空間線量率(μSv/時)*
(*:測定値がない場合には、A×0.2(平屋あるいは2階だてのブロックある
いは煉瓦造りの家屋における、沈着した放射性物質のガンマ線による被ばくの低
減係数/出典:原子力施設等の防災対策について(原子力安全委員会))を用いる。)
T1:1日当たりの校庭・園庭での活動時間(時/日)
T2:1日当たり学校の屋内での活動時間(時/日)
D:1年間の学校への通学日数(日/年)
② 学校において児童生徒等が受ける自然放射線(宇宙線:0.29mSv/年,
大地放射線:0.38mSv/年/出典:(財)原子力安全研究協会「生活環
境放射線」(平成4年))は、
(0.29+0.38)×(D/365)×(T1+T2)/24(mSv/
年) で推計される。
③ 学校において測定される空間線量率には、自然放射線が含まれている
ことから、学校における外部被ばく分(上乗せ分)は、
①-②(mSv/年) で推計される。
④ 内部被ばくは、食品経由、粉じんの吸入被ばく、手などからの経口摂
取、傷口からの侵入による被ばくなどの経路を考慮し、内部被ばくの全
線量に対する寄与をZ%と仮定すると、
③×Z/(100-Z)(mSv/年) で推計される。
⑤ したがって、内部被ばくを含めた学校における被ばく線量(上乗せ分)
は、
③+④(mSv/年) で推計される。
以下のようなモデルを想定した場合、
A:1.0μSv/時
B:0.2μSv/時(「福島県学校等空間線量率の測定結果」(平成23年8月4
日実施分)における平均値を採用)
T1:2時間
T2:4.5時間
(T1+T2=6.5時間,出典:平成18年社会生活基本調査(総務省))
D:200日
Z:10%(給食の回数を190回とし、原発事故の影響による飲食物による
線量推計(0.111mSv/年,薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会放射性物
質対策部会作業グループ発表(2011年7月))及び学校グランドの利用に
伴う内部被ばく線量評価(1.9%,第31回原子力安全委員会資料第3-1
号、平成23年5月12日文部科学省)から安全側に立って仮定)
学校において児童生徒等が受ける線量は、0.534mSv/年
であり、1mSv/年以下となる。