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Friday, December 12, 2014

沖縄県新知事・翁長雄志氏の就任あいさつを聞いて

沖縄県翁長雄志新知事が県民の8割にも上るといわれる「辺野古新基地反対」の民意を託されて誕生した。 以下12月12日新知事就任あいさつの全文である。
 ハイサイ、グスーヨー、チューウガナビラ。
 平成26年第6回沖縄県議会の開会に当たり、提案しております議案のご説明に先立ち、県政運営に関する私の所信の一端と基本的な考え方を申し述べ、議員各位、ならびに県民の皆さまのご理解とご協力をたまわりたいと存じます。
 私は、去る11月16日の県知事選挙において、有権者多数の支持を得て当選いたしましたが、本議会に臨み、142万県民の知事として、その責任の重さにあらためて身の引き締まる思いであります。
 県民の皆さまのご期待に添うべく、全力で県政運営に取り組んでまいりますので、よろしくお願い申し上げます。
 さて、これまで、私たちは、自ら持ってきたわけではない「基地」を挟んで「経済」か「平和」かと厳しい選択を迫られてきました。しかし、社会情勢の変化とともに、これらは両立し得るものとなってまいりました。
 私たちは、「経済と生活」「平和と尊厳」を県民一人ひとりが手にすることができるようになりました。このことをしっかり自覚した上で、「誇りある豊かさ」を求める沖縄県民の意思を明確に示さなければなりません。
 こうした考えの下、私は、議員各位、ならびに県民の皆さまと心を一つにし、県政運営に力を尽くしてまいる所存であります。
 県政運営に当たりましては、沖縄が持つ地域力、文化力、伝統力、人間力、自然力、離島力、共生力、経済力など、国内外の多くの人々を魅了する大いなる可能性を秘めたソフトパワーで沖縄の未来を拓(ひら)いていくことが重要であると認識しております。
 私は、こうした県民の誇りの上に沖縄経済や社会が成り立つ「誇りある豊かさ」を手にしていくことが今後の沖縄が目指すべき姿だと考えます。
 このような認識の下、県民の英知を結集してつくられた沖縄21世紀ビジョンで示された将来像の実現を目指して、うやふぁーふじ(先祖)から受け継いだソフトパワーを生かし、3つの視点から、沖縄を拓き、うまんちゅの笑顔が輝く沖縄を創りあげてまいります。
 一つ目は、沖縄の「経済」を拓く―経済発展プラン―の視点であります。
 経済振興につきましては、成長著しいアジアのダイナミズムと連動した「アジア経済戦略構想」を策定し、国際物流拠点の形成をはじめ、情報通信関連産業、観光リゾート産業の振興などのリーディング産業の拡充、強化を進め、沖縄の経済をさらに発展させてまいります。
 空手・古武道、組踊などの文化資源を守り育てながら観光資源化を図ってまいります。
 健康・医療分野、環境・エネルギー分野では、沖縄の地域特性を生かした産業の集積を図ってまいります。
 農林水産業につきましては、亜熱帯気候を生かした沖縄ブランドの確立や6次産業化などを図ってまいります。
 中小企業など地場産業の活性化を着実に進めつつ、沖縄の優位性を生かした新たなビジネスの動きについてもしっかりと捉えながら、広範な経済発展施策を展開してまいります。
 二つ目は、沖縄の「幸せ」を拓く―生活充実プラン―の視点であります。
 人と人とを結ぶ絆は、協働のまちづくりの礎となります。私は、こどもや高齢者の笑顔が輝き、女性や障がいのある方などの力が正しく生かされる活気に満ちた幸せ感あふれる社会を創り上げてまいります。それぞれの地域の宝を大切にしながら、そこに関わるすべての人々が尊重される生活充実施策を展開してまいります。
 こどもの貧困対策や待機児童の解消などに取り組み、こども環境・日本一の実現を目指すとともに、女性が輝く社会づくりや女性リーダーの育成などに取り組んでまいります。
 また、若者が希望を持てる社会を目指し、格差社会などの課題の解決に取り組んでまいります。
 少子高齢化社会を見据えた、健康・医療・福祉政策を実行するとともに、きめ細かな教育指導ができる少人数学級の導入の推進など教育施策についても力を尽くしてまいります。
 離島・過疎地域につきましては、県民全体でこれらの地域を支える仕組みを構築しながら、定住人口の増加につながる生活環境の整備や産業振興など各種施策を展開してまいります。
 三つ目は、沖縄の「平和」を拓く―平和創造プラン―の視点であります。
 今、過重な基地負担に立ち向かうことができるのは、先人たちが土地を守るための熾烈(しれつ)な「島ぐるみ闘争」でウチナーンチュの誇りを貫いたからであります。私は、基地の整理縮小を加速化し、豊かな生活に導く土地活用を図るとともに、近隣諸外国との平和交流を促進する平和創造施策を展開してまいります。
 私は、日米安全保障体制の必要性は理解しております。しかしながら、戦後約70年を経た現在もなお、国土面積の約0・6%である本県に約74%の米軍専用施設が存在する状況は、異常としか言いようがありません。そして、その米軍基地が沖縄経済発展の最大の阻害要因であることは明確であります。日本の安全保障が大事であるならば、日本国民全体で考えるべきであります。
 このような基本認識のもと、私は、日米両政府に対し、過重な基地負担の軽減、日米地位協定の抜本的な見直しを求めるとともに、騒音問題や米軍人軍属による犯罪など米軍基地から派生する諸問題の解決に取り組んでまいります。
 普天間飛行場の辺野古移設問題につきましては、この度の県知事選挙の結果を受けて、公約の実現に向けて全力で取り組んでまいります。国においては、現行の移設計画をこのまま進めることなく、わが国が世界に冠たる民主主義国家であるという姿勢を示していただきたいと思います。
この問題につきましては、埋め立て承認の過程に法律的な瑕疵(かし)がないか専門家の意見も踏まえ検証いたします。法的瑕疵があった場合は承認の「取り消し」を検討してまいります。
 私は、建白書の精神に基づき、県民が心を一つにし、共に力を合わせて、国内外に向けた働きかけを行っていくことが、基地負担軽減の実現につながるものと考えております。この問題の解決のため、県民の皆さまと力を合わせて全力で取り組んでまいります。
 以上の基本的考え方に基づき、私は、県政運営に関し、多くの公約を掲げました。未来を担う子や孫のために、「誇りある豊かさ」をいかに創りあげ、引き継いでいくか。県民すべてが生き生きと活躍できる協働のまちづくりの理念を大事にし、職員と一丸となって、その一つ一つの実現に邁進(まいしん)する覚悟であります。
 最後となりましたが、以上申し述べましたことに対し、議員各位、ならびに県民の皆さまには、ご理解とご協力を賜りますよう、重ねて衷心よりお願い申し上げ、私の知事就任あいさつとさせていただきます。
 イッペーニフェーデービル。
平成26年12月12日
沖縄県知事 翁長雄志
 2点コメントしたい。

★青色の部分

「私は、日米安全保障体制の必要性は理解しております。しかしながら、戦後約70年を経た現在もなお、国土面積の約0・6%である本県に約74%の米軍専用施設が存在する状況は、異常としか言いようがありません。そして、その米軍基地が沖縄経済発展の最大の阻害要因であることは明確であります。日本の安全保障が大事であるならば、日本国民全体で考えるべきであります。」

在日米軍基地というのは日本を守るためというよりも米軍の中東や中央アジアにおける軍事展開のための前進基地として存在してきた。翁長氏は「日本の安全保障が大事であるならば」と言っているが、ここは「日米安保、つまり在日米軍基地が大事であるならば=日本が米軍の世界的軍事展開に国と主権を差し出し続けたいならば」と言い直すべきであろう。

それはともあれ、日本人の約8割が日米安保体制を肯定し、日本人は自らの選択によって日米安保を維持し推進する政府を選んでいるのだから、翁長氏が言うように安保の負担は「日本国民全体で考えるべき」なのは当然である。我々日本人は翁長氏が勝ったと喜んでいる場合ではなく、沖縄の凄まじい不平等な米軍基地負担を平等にしなければいけない。日本人が持つと合意している米軍基地は国土の割合でいえば沖縄には0.6%だけ置けばいいのであってあとの99.4%は日本に置くべきなのである。普天間基地が返還され、そこに所属していた部隊や装備でグアムに移転しない分は日本にある基地で受け入れるのは当然である。沖縄の負担が0.6%に減るまで日本の各地で受け入れることだ。いや、これまで日本が沖縄に行ってきた不当な差別を考えたらゼロにして基地のない県にして余りあると思う。日本人は全員、平等に、自分の住んでいる近くの地域でも受け入れるように動かなければいけない。私の故郷の東京都にもあまり使われていないといわれる横田基地がある。沖縄の基地機能を受け入れられる余地があるはずだ。

もう1点

★黄色の部分

普天間飛行場の辺野古移設問題につきましては、この度の県知事選挙の結果を受けて、公約の実現に向けて全力で取り組んでまいります。国においては、現行の移設計画をこのまま進めることなく、わが国が世界に冠たる民主主義国家であるという姿勢を示していただきたいと思います。
この問題につきましては、埋め立て承認の過程に法律的な瑕疵(かし)がないか専門家の意見も踏まえ検証いたします。法的瑕疵があった場合は承認の「取り消し」を検討してまいります。

翁長氏には前職の仲井眞知事が下した辺野古埋め立て承認の取消や撤回をしてほしいとの県民の期待が寄せられたが、知事選の公約として取消や撤回を約束することはなかった。これは「保革をこえた」枠組みの中での保守側への配慮とされたが、ご自身にその気があれば、当選後すぐに取消や撤回を行うという意思の宣言はできるはずだ。しかし「法的瑕疵があれば取消を検討、法的瑕疵がなくても撤回を視野に」と言い続けており、それは知事選前と変化がなかった。

変化がないどころか、この就任あいさつでは、「法的瑕疵があれば取消を検討」と言っているがずっと言っていた「撤回」の可能性に触れていない。

「撤回」の可能性はなくなってしまったということだろうか。法的瑕疵が仮にないと判断されたら承認については何もしないという意味なのだろうか。国に対して「民主主義を尊重し移設計画を進めないでください」と言うことで国が作業をやめるのだったらとっくの昔にやめているだろう。県民は座り込みや県民大会、世論調査や選挙のたびに民意はもうこれ以上示せないほど示してきている。あとは知事の権限を使って前任者が県民を裏切って承認してしまったものを取消か撤回をすることが翁長氏の責任と思う。少なくとも県民のそのような期待を託されて当選したのだ。

この挨拶の中でも知事選の主要争点とされた辺野古新基地問題の優先順位や比重は、知事選で県民に託された民意を反映するには小さすぎる。

ずっと言っていた普天間基地の「国外県外移設」も言っていない。辺野古基地「阻止」も言っていない。

承認から1年も経っている。今から「専門家」とじっくり埋め立て承認に「法的瑕疵」がないかを調べるというのか。埋め立て申請の根拠となった環境アセス自体に欠陥がたくさんあったことは専門家が口を揃えて言っている。翁長氏はこの美しい海を埋め立ててはいけないとずっと言っている。それだけで十分な撤回の理由ではないのか。そもそも「県外」と言って辺野古移設反対の民意を受けて知事になった仲井眞氏が民意を裏切ったのは「法的に問題がないから」という理由であった。この埋め立て問題を「法的な問題」のみに還元して語るのは仲井眞氏の土俵に乗っているとは言えないか。埋め立ての本格作業は来年6月から始まると言われている。一刻の猶予もないのではないか。

翁長氏は県民の信託に背くことがないようにお願いしたい。         @PeacePhilosophy

2 comments:

  1. 弥永健一4:37 am

    安保について、翁長さんを含む多くのひとびととの間に、米国の世界戦略の意味についての認識の違いがあることは、押さえたうえで、辺野古埋め立て阻止のためにどのように力を合わせられるか共に考えることが大事だと思います。仲井真前知事による承認が不当極まりないことは明らかですが、まずなすべきことは、埋め立て工事そのものをあらゆる可能な手段で止めることでしょう。稲嶺さんにならって、知事の権限を駆使して工事への非協力を貫き、計画変更を承認せず、工事そのものの違法性を明らかにすることは、沖縄の海、県民の将来、尊厳を重視するという現知事の立場から、実現可能だろうと思います。いまの法制度は、問題だらけですが、憲法がいう人権尊重の原点にたてば、住民の権利侵害は法的にも許されないでしょう。たとえ、名護漁協が埋め立てに同意して補償金を受け取っても、埋め立てによって生きる術を危うくされる漁民は隣接する漁村にもいるはずです。彼らが漁業を営む権利が埋め立てによりどのよな侵害を被るかについて、防衛局による環境アセスでは触れてさえいません。「保革」の間にくさびを打ち込むことは、安倍政権にとって第一の課題でしょう。それに負けてはなりません。弥永健一(生命の輪・会員)

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  2. いろいろ考えて気づきました。日本は日本で沖縄の新基地を建てさせない運動をもっと確立させるべきであるということが。「沖縄との連帯」ではなく、日本の責任としてです。これは沖縄の「民意」に左右されるものであってはいけません。基地の押しつけは根本的に不当なのです。新基地建設阻止には翁長知事に埋め立て承認の取消・撤回をしてもらうことはどうしても必要ですが、日本人は日本人で日本政府への働きかけをしなければいけないことです。今この気づきが自分の中で渦巻いています。公につぶやくのはここまでにして自分の中で発展させ行動に反映させていきます。

    気づきというより琉球新報の「正義への責任」シリーズ皮切りで自分自身が書いたことでもあります。原点に返らなければいけないと反省しています。

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